JP2021162625A - 光学フィルタ及び光学部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐久性を有する光学フィルタを提供する。【解決手段】光学フィルタは、その透過スペクトルにおいて、550nm以上650nm以下の波長範囲における透過率の最小値は、20%以上60%以下であり、かつ、570nm以上620nm以下の範囲に含まれている。光学フィルタは、1種類以上の吸収色素を含む。吸収色素は、中心金属がニッケル又はコバルトであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素である。【選択図】図4

Description

本発明は、光学フィルタ及び光学部品に関する。
従来、有機系色素を用いて所定の光透過性を有するメガネレンズが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特開2013−61653号公報
しかしながら、上記従来のフィルタは、有機系色素の劣化によってその機能が低下していくので、その機能低下の速度を抑制したいという要望がある。
そこで、本発明は、優れた耐久性を有する光学フィルタ及び光学部品を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光学フィルタは、前記光学フィルタの透過スペクトルにおいて、550nm以上650nm以下の波長範囲における透過率の最小値は、20%以上60%以下であり、かつ、570nm以上620nm以下の範囲に含まれる。前記光学フィルタは、1種類以上の吸収色素を含む。前記吸収色素は、中心金属がニッケル又はコバルトであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素である。
本発明の一態様に係る光学部品は、前記光学フィルタを備える。
本発明によれば、優れた耐久性を有する光学フィルタ及び光学部品を提供することができる。
図1は、実施の形態に係る光学フィルタの使用環境を示す概略図である。 図2は、実施の形態に係る光学フィルタの透過スペクトルとその経時変化とを示す図である。 図3は、図2の領域IIIを拡大して示す図である。 図4は、実施の形態に係る光学フィルタに含まれる吸収色素の吸収スペクトルを示す図である。 図5は、比較例に係る光学フィルタの透過スペクトルとその経時変化とを示す図である。 図6は、図5の領域VIを拡大して示す図である。 図7は、実施の形態に係る光学フィルタに含まれる吸収色素の残存率を吸収色素の種類毎に示す図である。 図8は、実施の形態に係る光学フィルタの耐久性を吸収色素の種類毎に示す図である。 図9は、実施の形態に係る光学フィルタを備えるメガネの斜視図である。 図10は、実施の形態に係る光学フィルタを備えるコンタクトレンズの斜視図である。 図11は、実施の形態に係る光学フィルタを備える眼内レンズの平面図である。 図12は、実施の形態に係る光学フィルタを備えるゴーグルの斜視図である。
以下では、本発明の実施の形態に係る光学フィルタ及び光学部品について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、例えば、各図において縮尺などは必ずしも一致しない。また、各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
また、本明細書において、平板などの要素の形状を示す用語、及び、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
(実施の形態)
[概要]
まず、実施の形態に係る光学フィルタの概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る光学フィルタ10の使用環境を示す概略図である。
図1に示される光学フィルタ10は、入射する光の一部の透過を抑制するフィルタである。具体的には、光学フィルタ10は、入射する光に含まれる黄色から橙色の光の透過を抑制する。光学フィルタ10の透過スペクトルの詳細については、後で説明する。
光学フィルタ10は、例えば、図1に示されるように、照明装置1が作り出す照明環境下で使用される。具体的には、光学フィルタ10は、ユーザ3が紙面2を見るのに使用される。
紙面2は、一般的な普通紙(PPC(Plain Paper Copier)用紙)の一面である。紙面2は、上質紙、再生紙又は新聞紙の一面であってもよい。紙面2は、白色である。紙面2の白色度は、50%より大きく100%以下である。紙面2には、黒色の文字が描かれている。
照明装置1は、色温度が5200Kの照明光L1を照射する。照明光L1は、ユーザ3又は4が紙面2を見るときの環境光の一例である。照明光L1は、紙面2で反射される。紙面2が白色であるので、紙面2(具体的には、文字以外の背景部分)で反射された反射光L2は、照明光L1と同じ分光スペクトルを有するとみなすことができる。このため、反射光L2の色温度は、照明光L1の色温度と同じ5200Kである。
反射光L2は、光学フィルタ10を通過することで透過光L3に変換される。透過光L3の分光スペクトルは、反射光L2の分光スペクトルから主に黄色成分が減少したスペクトルになる。透過光L3の色温度は、反射光L2の色温度よりも高くなり、例えば6500Kになる。つまり、光学フィルタ10は、透過する光の色温度を上昇させるフィルタである。
黄色成分が減少することで、紙面2のクロマ値を下げることができる。これにより、紙面2の見た目の白さ感を高め、白色の背景部分と黒色の文字とのコントラストを強調することができる。これにより、光学フィルタ10を介して紙面2を見るユーザ3は、紙面2に描かれた文字が見やすくなる。
照明光L1によって照射される紙面2の照度が750lxである場合、光学フィルタ10を介して紙面2を見たときのクロマ値は、1.3であった。一方、図1に示されるユーザ4のように、光学フィルタ10を介さずに紙面2を見たときのクロマ値は、3.3であった。つまり、光学フィルタ10は、クロマ値を2低下させている。光学フィルタ10は、環境光が照射された対象物を、光学フィルタ10を介して見た場合に、対象物のクロマ値を低下させるフィルタである。光学フィルタ10は、対象物の目立ち指数(FCI:Feeling of Contrast Index)を上昇させるフィルタでもある。
本実施の形態に係る光学フィルタ10によるクロマ値の低下量は、例えば2以上である。発明者らの検討によれば、クロマ値が2以上低下することで、文字の見やすさが向上したと感じる被験者が多く、クロマ値の低下量が2以上であることが統計学的に有意であった。
以上のように、光学フィルタ10は、黄色から橙色の光の透過を抑制することで、文字の見やすさを高めることができる。
[透過スペクトル]
以下では、光学フィルタ10の具体的な透過スペクトルについて、図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態に係る光学フィルタ10の透過スペクトルとその経時変化とを示す図である。図3は、図2の領域IIIを拡大して示す図である。図2及び図3において、横軸は波長(単位:nm)を表し、縦軸は波長毎の透過率、すなわち、分光透過率(単位:%)を表している。分光透過率は、光学フィルタ10に入射する特定の波長の光が通過する割合である。
図2の実線のグラフで示されるように、光学フィルタ10の透過スペクトルにおいて、550nm以上650nm以下の波長範囲における透過率の最小値は、20%以上60%以下である。当該最小値は、30%以上50%以下であることが好ましい。また、当該最小値は、570nm以上620nm以下の範囲に含まれている。図3の実線のグラフで示されるように、光学フィルタ10の透過スペクトルでは、550nm以上650nm以下の波長範囲において約594nmに透過率の最小値が存在し、当該最小値は、約36.5%である。
なお、図2及び図3では、光学フィルタ10の透過スペクトルの経時変化も示しているが、これについては後で説明する。
[構成]
次に、光学フィルタ10の構成について、図1を用いて説明する。図1の破線で囲まれた領域には、光学フィルタ10の断面の一部を模式的に拡大して示している。図1に示されるように、光学フィルタ10は、樹脂基材11と、1種類以上の吸収色素12とを含んでいる。
樹脂基材11は、透光性を有する板状の部材である。例えば、樹脂基材11は、透明な樹脂材料を所定形状に成型することで形成されている。具体的には、樹脂基材11は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分として含む。なお、「主成分として含む」とは、樹脂基材11全体の質量に対する、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂の質量が占める割合(質量%)が50%を超えていることを意味する。本実施の形態では、樹脂基材11は、実質的にポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂から構成されている。樹脂基材11の形成に用いられる樹脂材料は、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリシラザン、シロキサン、アリルジグリコールカーボネート(CR−39)、又は、ポリシロキサン複合アクリル樹脂であってもよい。
樹脂基材11の板厚は、例えば1mm以上3mm以下である。樹脂基材11は、平板であってもよく、凸面又は凹面を有する湾曲板であってもよい。例えば、樹脂基材11は、凸レンズ又は凹レンズのように光を集光又は拡散させるレンズ機能を実現する形状を有してもよい。つまり、樹脂基材11の板厚は、面内で均一でなくてもよく、部位によって異なっていてもよい。樹脂基材11の大きさ及び形状は、例えば、人が装着可能なメガネ又はコンタクトレンズなどに合った大きさ及び形状である。
吸収色素12は、所定の波長帯域の光を選択的に吸収する色素材料である。吸収色素12の吸収スペクトルの具体例については、後で説明する。
吸収色素12は、樹脂基材11の内部に均等に分散されている。具体的には、吸収色素12は、樹脂基材11の厚み方向及び面方向の全体に均等に分散されている。なお、吸収色素12は、樹脂基材11の内部の一部の領域のみに分散されていてもよい。例えば、樹脂基材11の主面を正面から見た場合に、吸収色素12は、樹脂基材11の中央領域のみに分散されていてもよい。あるいは、吸収色素12は、樹脂基材11の厚み方向において一方の面の表層部分のみに分散されていてもよい。
吸収色素12は、中心金属がニッケル(Ni)であり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素である。テトラアザポルフィリン系色素の中心金属及び置換基の少なくとも一方の材料を調整することにより、吸収色素12の吸収スペクトルを異ならせることができる。
図4は、本実施の形態に係る光学フィルタ10に含まれる吸収色素12の吸収スペクトルを示す図である。図4において、横軸は波長(単位:nm)を表し、縦軸は波長毎の吸光度を表している。
図4に示される吸収色素12の吸収スペクトルは、光学フィルタ10の透過率に基づいて算出される。具体的には、約20ppmの吸収色素12を含む、厚さ2mmのポリカーボネート製の樹脂基材11からなる光学フィルタ10の分光透過率を450nm以上800nm以下の波長範囲で実測し、実測値の最小値をベースラインとして規格化することにより、吸収色素12の吸収スペクトルを算出した。
図4に示されるように、吸収色素12の吸収ピークのピーク波長は、580nm以上610nm以下である。つまり、吸収色素12は、黄色から橙色の光を吸収する。本実施の形態では、吸収色素12の吸収ピークのピーク波長は、590nm以上600nm以下である。吸収色素12は、中心金属がニッケル(Ni)であり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素であるので、吸収ピークのピーク波長は、約592nmである。
吸収色素12の吸収ピークの頂点の吸光度の1/4の吸光度におけるピーク幅w1は、60nm以上80nm以下である。具体的には、ピーク幅w1は、71nm以上73nm以下である。
吸収色素12の吸収ピークの頂点の吸光度の1/2の吸光度におけるピーク幅w2、すなわち、半値幅は、20nm以上35nm以下である。具体的には、ピーク幅w2は、27nm以上29nm以下である。
吸収色素12の吸収ピークの頂点の吸光度の2/3の吸光度におけるピーク幅w3は、15nm以上25nm以下である。具体的には、ピーク幅w3は、18nm以上20nm以下である。
以上のように、ピーク幅が比較的狭い急峻な吸収ピークを有する吸収色素12を光学フィルタ10が含むことにより、図1に示される反射光L2から黄色成分を選択的に効率良く除去することができる。つまり、反射光L2の光量の減少を抑えつつ、黄色成分の透過を抑制することで、紙面2の明るさを維持しながら文字の見やすさを高めることができる。
[耐久性]
続いて、光学フィルタ10の耐久性について、図2、図3、図5及び図6を用いて説明する。
図5は、比較例に係る光学フィルタの透過スペクトルとその経時変化とを示す図である。図6は、図5の領域VIを拡大して示す図である。図5及び図6において、横軸は波長(単位:nm)を表し、縦軸は分光透過率(単位:%)を表している。
比較例に係る光学フィルタは、本実施の形態に係る光学フィルタ10と比較して、吸収色素の種類が異なっている。具体的には、比較例に係る光学フィルタは、吸収色素として、中心金属が銅(Cu)であり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系のテトラアザポルフィリン系色素を含んでいる。つまり、比較例と本実施の形態とでは、吸収色素の中心金属が異なっており、他の構成は実質的に同じである。例えば、図2と図5とで実線のグラフを比較して分かるように、比較例に係る光学フィルタは、実施の形態に係る光学フィルタ10と同様に、黄色から橙色の光の透過を抑制する。このため、比較例に係る光学フィルタも、紙面2に描かれた文字を見やすくすることができる。
しかしながら、本願発明者らの検討により、比較例に係る光学フィルタは、耐久性が十分ではないことが判明した。具体的には、本願発明者らは、比較例に係る光学フィルタ及び本実施の形態に係る光学フィルタ10の各々に対して、キセノン(Xe)耐光性試験を行った。キセノン耐光性試験では、キセノンランプを利用して、紫外光及び可視光を含む光を光学フィルタに照射し、照射前(初期状態)と、120時間、240時間及び500時間経過後とでそれぞれ、透過スペクトルを測定した。その結果が図2、図3、図5及び図6に示されている。
図6に示されるように、比較例に係る光学フィルタでは、透過率の最小値が初期状態から時間が経過するにつれて徐々に大きくなっている。つまり、光学フィルタに含まれる吸収色素は、時間の経過とともに光の吸収機能を徐々に失っていることが分かる。具体的には、初期状態では、最小値が約28%であったのに対して、500時間経過後では、最小値が31%を超えている。最小値が大きくなることにより、黄色成分の光を効果的に遮断することができなくなるので、文字の見やすさが悪化する。
一方で、図3に示されるように、本実施の形態に係る光学フィルタ10では、透過率の最小値が初期状態と120時間経過後とで実質的に同じである。つまり、120時間経過後であっても、初期状態と同等の文字の見やすさを実現できていることが分かる。
240時間、500時間と経過するにつれて、透過率の最小値は徐々に大きくなっている。しかしながら、初期状態で最小値が約36.5%であったのに対して、500時間経過後でも透過率の最小値は約37%である。つまり、約0.5%しか最小値は大きくなっていない。比較例では3%以上の変化があったのに対して、十分に最小値の変化が抑制されている。
このように、本実施の形態に係る光学フィルタ10によれば、紫外線を含む光に長期間曝されたとしても、吸収色素12の劣化が少なく、初期状態の吸収スペクトルを長期間維持することができる。したがって、耐久性に優れて、長期間使用可能な光学フィルタ10を実現することができる。
なお、図3及び図5に示される例では、比較例に係る光学フィルタの方が、実施の形態に係る光学フィルタ10よりも透過率の最小値が低いが、これは、吸収色素の含有量の差異に基づいている。吸収色素の含有量を調整することで、透過率の最小値を調整することができる。
[吸収色素の別の例]
次に、吸収色素12の別の例について説明する。本願発明者らは、テトラアザポルフィリン系色素の中心金属がニッケル以外の場合の耐久性についても検討した。
図7は、本実施の形態に係る光学フィルタ10に含まれる吸収色素12の残存率を種類毎に示す図である。本願発明者らは、図7に示されるように、吸収色素12として、中心金属が異なる5種類の色素を用意し、各色素材料の残存率を測定した。5種類の吸収色素の中心金属はそれぞれ、コバルト(Co)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、酸化バナジウム(II)(VO)、銅(Cu)である。なお、5種類の吸収色素の置換基は、フルオロベンゾ系である。各々の吸収ピーク波長、半値幅、グラム吸光係数については、図7に示される通りである。いずれの吸収色素も、吸収ピークのピーク波長は、580nm以上610nm以下である。
ここでは、樹脂基材11の内部に吸収色素12を分散させるのではなく、白板ガラスを基材として、その表面に、吸収色素12を含む樹脂をコーティングした。樹脂は、熱硬化性のアクリル樹脂であり、溶剤としてトルエンを含んでいる。白板ガラスの板厚は、実測値である。
また、紫外線吸収剤(UVA:Ultraviolet Absorber)及び光安定剤(HALS:Hindered Amine Light Stabilizers)の効果を検討するため、吸収色素の種類毎に、UVA及びHALSを含まない場合(図中の「無」)とUVA及びHALSを含む場合(図中の「有」)との2つのサンプルを測定に用いた。
本願発明者らは、10個のサンプルに対して、メタルウェザー試験機を利用して耐久性を評価した。各サンプルに対して、75℃の環境下で可視光のみを照射した。図7では、各サンプルの吸収ピーク近傍の波長に対する吸収の残存率(すなわち、色素材料の残存率に相当する)を日数に換算した結果を示している。各結果において、数値が負の値又は100%を超えているのは、測定誤差に基づく。
図7に示されるように、中心金属がパラジウム又は酸化バナジウム(II)のサンプルについては、中心金属が銅のサンプルよりも残存率の低下が早かった。一方で、中心金属がコバルト又はニッケルのサンプルは、中心金属が銅のサンプルよりも残存率の低下が遅かった。
図8は、本実施の形態に係る光学フィルタの耐久性を吸収色素の種類毎に示す図である。図8には、図7に示される結果を、中心金属が銅のサンプルと比較して示している。
図8に示される残存率が80%に達する日数は、光学フィルタの耐久性を示す指標である。当該日数が長い程、光学フィルタの耐久性が優れている。
図8に示されるように、中心金属がコバルト又はニッケルのサンプルは、中心金属が銅のサンプルよりも長い。つまり、中心金属がコバルト又はニッケルのサンプルは、中心金属が銅のサンプルよりも耐久性に優れていると言える。具体的には、中心金属がコバルトのサンプルは、中心金属が銅のサンプルよりも5.8倍の耐久性がある。中心金属がニッケルのサンプルは、更に耐久性に優れており、中心金属が銅のサンプルよりも14.3倍の耐久性がある。
したがって、吸収色素12としては、中心金属がコバルトであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素を利用することができる。なお、光学フィルタ10は、2種類以上の吸収色素を含んでいてもよい。具体的には、中心金属がコバルトであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素と、中心金属がニッケルであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素とが混合されて、樹脂基材11に分散されていてもよい。
[光学部品]
上述した光学フィルタ10は、様々な光学部品に用いられる。
図9〜図12は、本実施の形態に係る光学フィルタ10を備える光学部品の例を示す図である。具体的には、図9、図10及び図12はそれぞれ、光学部品の一例であるメガネ20、コンタクトレンズ22及びゴーグル26の斜視図である。図11は、光学部品の一例である眼内レンズ24の平面図である。各図に示されるように、メガネ20、コンタクトレンズ22、眼内レンズ24及びゴーグル26はそれぞれ、光学フィルタ10を備える。
例えば、メガネ20は、左右のレンズとして2つの光学フィルタ10と、2つの光学フィルタ10を支持するフレーム21とを備える。コンタクトレンズ22及び眼内レンズ24は、その全体が光学フィルタ10である。あるいは、コンタクトレンズ22及び眼内レンズ24の中央部分のみが光学フィルタ10であってもよい。ゴーグル26は、両目を覆うカバーレンズとして1つの光学フィルタ10を備える。
また、光学フィルタ10を備える光学部品は、図9に示されるメガネ20のレンズであってもよい。光学フィルタ10は、ルーペであってもよい。
[効果など]
以上のように、本実施の形態に係る光学フィルタ10は、光学フィルタ10の透過スペクトルにおいて、550nm以上650nm以下の波長範囲における透過率の最小値は、20%以上60%以下であり、かつ、570nm以上620nm以下の範囲に含まれる。光学フィルタ10は、1種類以上の吸収色素12を含む。吸収色素12は、中心金属がニッケル又はコバルトであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素である。
これにより、中心金属が銅の色素に比べて、吸収色素12の劣化が抑制される。このため、光学フィルタ10の耐久性を高めることができる。つまり、長期間に亘って使用可能な光学フィルタ10を実現することができる。
また、例えば、吸収色素12の吸収ピークのピーク波長は、580nm以上610nm以下であってもよい。
これにより、黄色成分を選択的に除去することができるので、光学フィルタ10を介して見る紙面2のクロマ値を2以上低減することができる。このため、紙面2に描かれた文字の見やすさを高めることができる。
また、例えば、中心金属は、ニッケルであり、吸収色素12の吸収ピークのピーク波長は、590nm以上600nm以下であってもよい。
これにより、光学フィルタ10の耐久性を更に高めることができる。
また、例えば、吸収色素12の吸収ピークの頂点の吸光度の1/4の吸光度におけるピーク幅は、60nm以上80nm以下であってもよい。
これにより、ピーク幅が比較的狭い急峻な吸収ピークを有する吸収色素12を光学フィルタ10が含むことにより、黄色成分を選択的に効率良く除去することができる。このため、紙面2の明るさを維持しながら文字の見やすさを高めることができる。
また、例えば、吸収色素12の吸収ピークの頂点の吸光度の1/2の吸光度におけるピーク幅は、20nm以上35nm以下であってもよい。
これにより、ピーク幅が比較的狭い急峻な吸収ピークを有する吸収色素12を光学フィルタ10が含むことにより、黄色成分を選択的に効率良く除去することができる。このため、紙面2の明るさを維持しながら文字の見やすさを高めることができる。
また、例えば、吸収色素12の吸収ピークの頂点の吸光度の2/3の吸光度におけるピーク幅は、15nm以上25nm以下であってもよい。
これにより、ピーク幅が比較的狭い急峻な吸収ピークを有する吸収色素12を光学フィルタ10が含むことにより、黄色成分を選択的に効率良く除去することができる。このため、紙面2の明るさを維持しながら文字の見やすさを高めることができる。
また、例えば、光学フィルタ10は、吸収色素12が内部に分散された樹脂基材11を含む。樹脂基材11は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分として含む。
これにより、吸収色素12が樹脂基材11の内部に分散されているので、樹脂基材11が吸収色素12を保護することができ、吸収色素12の劣化を抑制することができる。このため、光学フィルタ10の耐久性を更に高めることができる。
また、本実施の形態に係る光学部品は、光学フィルタ10を備える。また、例えば、光学部品は、例えば、レンズ、メガネ20、コンタクトレンズ22、眼内レンズ24又はゴーグル26である。
これにより、メガネ20などの、ユーザ3が装着可能な光学部品が実現される。
(その他)
以上、本発明に係るフィルタ及び光学部品について、上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
例えば、吸収色素12は、樹脂基材11の内部に分散されていなくてもよい。例えば、吸収色素12は、樹脂基材11の表面に塗布されていてもよい。
また、例えば、上記の実施の形態では、光学フィルタ10を備える光学部品として、人が装着可能な物品を例に挙げたが、これに限らない。例えば、光学フィルタ10は、照明装置及びディスプレイなどの発光部の光出射面に配置されて使用されてもよい。つまり、光学フィルタ10を備える光学部品は、照明装置及びディスプレイなどであってもよい。
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
10 光学フィルタ
11 樹脂基材
12 吸収色素
20 メガネ
22 コンタクトレンズ
24 眼内レンズ
26 ゴーグル

Claims (9)

  1. 光学フィルタであって、
    前記光学フィルタの透過スペクトルにおいて、550nm以上650nm以下の波長範囲における透過率の最小値は、20%以上60%以下であり、かつ、570nm以上620nm以下の範囲に含まれ、
    前記光学フィルタは、1種類以上の吸収色素を含み、
    前記吸収色素は、中心金属がニッケル又はコバルトであり、かつ、置換基がフルオロベンゾ系であるテトラアザポルフィリン系色素である
    光学フィルタ。
  2. 前記吸収色素の吸収ピークのピーク波長は、580nm以上610nm以下である
    請求項1に記載の光学フィルタ。
  3. 前記中心金属は、ニッケルであり、
    前記吸収色素の吸収ピークのピーク波長は、590nm以上600nm以下である
    請求項2に記載の光学フィルタ。
  4. 前記吸収色素の吸収ピークの頂点の吸光度の1/4の吸光度におけるピーク幅は、60nm以上80nm以下である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  5. 前記吸収色素の吸収ピークの頂点の吸光度の1/2の吸光度におけるピーク幅は、20nm以上35nm以下である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  6. 前記吸収色素の吸収ピークの頂点の吸光度の2/3の吸光度におけるピーク幅は、15nm以上25nm以下である
    請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  7. 前記光学フィルタは、前記吸収色素が内部に分散された樹脂基材を含み、
    前記樹脂基材は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を主成分として含む
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の光学フィルタ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の光学フィルタを備える光学部品。
  9. 前記光学部品は、レンズ、メガネ、コンタクトレンズ、眼内レンズ又はゴーグルである
    請求項8に記載の光学部品。
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