JP2021162076A - ヘリウム回収装置およびヘリウム回収方法 - Google Patents

ヘリウム回収装置およびヘリウム回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】常温常圧のヘリウムガスを、液体ヘリウムによる貯蔵ほどではないが高圧ガスタンクによる貯蔵より貯蔵と運搬に適し、かつ取り扱いも簡便な形態として貯蔵する。【解決手段】ヘリウム回収装置は、断熱真空層を有し液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器と、ヘリウムを吸着するヘリウム吸着剤を内蔵し液体水素断熱貯蔵容器内の液体水素中に収納されたヘリウム吸着容器と、液体水素断熱貯蔵容器内で気化した水素を外部に排出する水素排出流路と、水素排出流路の水素と熱交換可能に設けられ、液体水素断熱貯蔵容器外からヘリウム吸着容器内にヘリウムを流入すると共にヘリウム吸着容器内から液体水素断熱貯蔵容器外にヘリウムを流出するヘリウム入出流路と、を備え、常温のヘリウムを、液体水素の蒸発潜熱と顕熱とを用いて冷却してヘリウム吸着剤に吸着させることにより回収する。【選択図】図1

Description

本発明は、ヘリウム回収装置およびヘリウム回収方法に関する。
ヘリウムは4.2Kという最も低い沸点をもつ液体寒剤として、また最も不活性な希ガスとして基礎研究や先端産業に欠くことのできない希少物質である。しかし、日本を含む多くの国ではヘリウムを100%輸入に頼っている。限りある天然資源のヘリウムを使用後も回収して再利用するリサイクル使用の普及が世界的に喫緊の課題となっている。従来、この種の技術としては、ヘリウム回収配管網が完備した液化プラントや一部の大学等を除けば、以下の2つの方法があった。いずれの方法も、まず回収した常温常圧(293K、0.1MPa)のヘリウムガスをガスバッグ又はバッファタンクに貯蔵する。ガスバッグ又はバッファタンクに貯蔵されたヘリウムガスを、1つの方法では冷凍機により4.2Kの液体ヘリウムとして中間容器に貯蔵する。もう1つの方法ではヘリウム圧縮機を使って常温(293K)で15MPaの高圧ガスとしてヘリウム高圧ガスボンベあるいは長尺カードルに貯蔵する。前者の一例が特許文献1であるが、この技術では、備蓄用小型液体ヘリウム容器から蒸発したヘリウムガスや小容量ヘリウム容器への充填時に発生する蒸発ヘリウムガスなど比較的少量のヘリウムを回収して液化し、備蓄用小型液体ヘリウム容器や小容量ヘリウム容器に充填する。後者の技術では、ガスバッグ又はバッファタンクに貯蔵されたヘリウムガスをヘリウム圧縮機を使って常温(293K)で15MPaの高圧まで圧縮し、長尺カードル等に貯蔵する。あるいは車載式の長尺カードルに充填して遠方の液化プラントまで運搬し、そこで大型のヘリウム液化機で液化して再利用する。いずれの貯蔵又は運搬方法でも、リサイクル使用の用途に応じて、専用のヘリウム精製装置を使って不純物を除去する。
特開2016−180558
現在、ヘリウム回収配管網が完備した液化プラントや一部の大学等を除き、多くの使用後のヘリウムが回収されず大気中に放出されている。回収したヘリウムガスを高圧ガスボンベに貯蔵する場合は常温(293K)で15MPaの高圧とするため、常温常圧のヘリウムを基準とすると、その密度は、ビリアル補正を考えて140倍程度となる。一方、常圧で4.2Kの液体ヘリウムの密度は750倍程度となるので、常温での高圧ガス貯蔵に比べ同じ量のヘリウムを貯蔵又は運搬するのに1/5以下の体積で済む。また、耐圧のため重い鉄の容器を使う高圧ガスボンベに比べ、液体ヘリウム容器の材質は薄肉の軽量合金なので、同じ量のヘリウムを貯蔵又は運搬するのに、容器と内容物の合計重量は1/10で済む。さらに、15MPaに加圧する行為は高圧ガスの製造に当たるので、それらの設備の運用について監督官庁より高圧ガス製造の認可を受ける必要がある。また、その運用も高圧ガス製造保安責任者の免状をもつ者に限られる。このように、リサイクルのためヘリウムを貯蔵、そして特に運搬するには、常圧で4.2Kの液体ヘリウムとするのが一番好ましい。しかし、特許文献1にあるように通常の冷凍機の液化能力は高々毎時1・2Lでしかないので、100・200Lの小型液体ヘリウム容器からの自然蒸発ヘリウムを再液化できる程度の能力しかない。例えば、市中の病院ではMRI装置を納入したり撤去する時に数百Lの液体ヘリウムを数時間で蒸発させるが、そのとき発生する大量のヘリウムガスを回収して貯蔵又は運搬する有効な手段はない。
本発明のヘリウム回収装置およびヘリウム回収方法は、常温常圧のヘリウムガスを、液体ヘリウムによる貯蔵ほどではないが高圧ガスタンクによる貯蔵より貯蔵と運搬に適した形態として貯蔵することを主目的とする。
本発明のヘリウム回収装置およびヘリウム回収方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のヘリウム回収装置は、
ヘリウムを回収するヘリウム回収装置であって、
断熱真空層を有し、液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器と、
真空吸引または熱交換ガスを導入可能な空隙を有し、ヘリウムを吸着するヘリウム吸着剤を内蔵し、前記液体水素断熱貯蔵容器内の液体水素中に収納されたヘリウム吸着容器と、
前記液体水素断熱貯蔵容器内で気化した水素を外部に排出する水素排出流路と、
前記水素排出流路の水素と熱交換可能に設けられ、前記液体水素断熱貯蔵容器外から前記ヘリウム吸着容器内にヘリウムを流入すると共に前記ヘリウム吸着容器内から前記液体水素断熱貯蔵容器外にヘリウムを流出するヘリウム入出流路と、
を備えることを要旨とする。
この本発明のヘリウム回収装置では、ヘリウムを吸着するヘリウム吸着剤を内蔵するヘリウム吸着容器を液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器内の液体水素中に配置し、液体水素断熱貯蔵容器内で気化した水素を外部に排出する水素排出流路と、液体水素断熱貯蔵容器外からヘリウム吸着容器内にヘリウムを流入すると共に逆にヘリウム吸着容器内から液体水素断熱貯蔵容器外にヘリウムを流出するヘリウム入出流路とを、熱交換可能に設ける。常圧で液体水素は20Kであるから、液体水素の蒸発潜熱と顕熱とを用いて熱交換により常温のヘリウムを20Kまで冷却すると共にヘリウム吸着剤に吸着させる。このとき、常圧(0.1MPa)では、常温常圧(293K、0.1MPa)のヘリウムガスの密度比を値1とすると、密度比は300程度となり、1MPaでは密度比は500程度となる。なお、体積比とすれば、0.1Mpaで1/300程度、1MPaで1/500程度となる。これにより、常温常圧のヘリウムガスを、液体ヘリウムとして貯蔵するほどではないが高圧ガスタンクによる貯蔵より貯蔵と運搬に適した形態として貯蔵することができる。しかも、液体ヘリウムとする場合に必要な冷凍機が不要となり、液体ヘリウムとする場合に比して装置も簡易なものとなる。また、複雑な精製器を付加することなく回収ヘリウムガス中の不純物を除去して高純度のヘリウムとして再生利用できる。
こうした本発明のヘリウム回収装置において、前記ヘリウム吸着剤を加温する加温手段を備えるものとすることもできる。こうすれば、加温手段によりヘリウム吸着剤を加温し、吸着していたヘリウムを脱着させてヘリウム入出流路から排出することができる。また、上記のヘリウム吸着容器の外周壁に沿った空隙を真空吸引して断熱真空槽とすればその外側に配置した液体水素断熱貯蔵容器と遮熱されるので、吸着剤の加温のための入熱は液体水素断熱貯蔵容器内の液体水素を大きくは蒸発させない。吸着剤の加熱温度を適切に選べば、回収ヘリウム中に混入している可能性のある全ての不純物を脱着させることなくヘリウムのみを脱着および排出することができる。このように、本発明のヘリウム回収装置は、特に複雑な機能を追加することなく、回収ヘリウムの精製器の役割も兼ね備えている。
本発明のヘリウム回収装置で、比較的不純物の多いヘリウムを吸着貯蔵することもできる。その場合、不純物濃度や不純物の種類に応じて、適切な温度まで吸着剤を加熱して不純物を脱着させ、その状態でヘリウム吸着容器を真空引きすることで、吸着剤本来の吸着性能を復活させることができる。また、回収したいヘリウムを液体水素断熱貯蔵容器内に導く前に、別途用意する液体窒素容器又は前記の液体水素断熱貯蔵容器中に浸したコールドトラップに導入して、不純物を除去したのちにヘリウム吸着容器に導入することもできる。この場合、液体窒素容器に浸すコールドトラップと液体水素に浸すコールドトラップを直列に接続することもできる。また、これらのコールドトラップはそれぞれ複数個を並列に用意して、挿入してもよい。
本発明のヘリウム回収装置において、前記ヘリウム吸着容器は、前記空隙の真空吸引用の吸引流路を有するものとすることもできる。吸引流路から真空ポンプで空隙を真空吸引して断熱真空とすれば、ヘリウム吸着剤をヒータで効率よく加温できるので、液体水素をあまり蒸発させることなく、ヘリウムを離脱させてヘリウム入出流路から排出することができる。一方、吸引流路から空隙へ熱交換ガスを供給すれば、ヘリウム吸着時の吸着熱を効率よく液体水素に伝えてその蒸発潜熱に変えることができるので、吸着剤の温度を常に20K付近に保ってその吸着性能を低下させることなく、ヘリウム入出流路からヘリウムを吸着回収できる。
ここで、ヘリウム吸着剤としては、多孔質の活性炭やゼオライトなどを用いる。活性炭の中でも特に吸着比表面積の大きいアルカリ賦活活性炭を用いるのが好ましい。
本発明のヘリウム回収方法は、
常温常圧のヘリウムを1/300〜1/500程度の体積として回収するヘリウム回収方法であって、
常温のヘリウムを、液体水素の蒸発潜熱と顕熱とを用いて冷却してヘリウム吸着剤に吸着させることにより回収する、
ことを特徴とする。
この本発明のヘリウム回収方法では、常温のヘリウムを、液体水素の蒸発潜熱と顕熱とを用いて冷却してヘリウム吸着剤に吸着させる。ヘリウム吸着剤としては上述の本発明のヘリウム回収装置に用いたものと同様である。ヘリウム吸着剤におけるヘリウムの吸着の際の温度を20Kとすれば、常温常圧(293K、0.1MPa)のヘリウムガスの体積を値1とすると、常圧(0.1MPa)では体積比は1/300程度となり、1MPaでは体積比は1/500程度となる。なお、密度比とすれば、常温で300程度、1MPaで500程度となる。これにより、常温常圧のヘリウムガスを、液体ヘリウムとして貯蔵するほどではないが高圧ガスタンクによる貯蔵より貯蔵と運搬に適した形態として貯蔵することができる。本発明品で液体ヘリウム1000リットル相当のヘリウムを吸着貯蔵する場合、吸着剤(1220kg)、液体水素(142kg)、空容器(約1550kg)そしてヘリウム(125kg)の全ての重量を加算すると約3040kgとなる。一方、高圧ガスボンベで同じ量のヘリウムを運搬するときの全重量は約5880kgと約2倍である。したがって、本発明品の方法の方が高圧ガス化して運搬するより積載重量の点で運搬費用が安く済む。さらに、15MPaに加圧する行為は高圧ガスの製造に当たり、設備は高圧ガス製造認可を受ける必要があり、高圧ガス製造保安責任者の免状をもつ運用者が必要である。これに対して、本発明品が採用するヘリウムの吸着回収法の場合、圧縮機や精製器などの付帯設備は不要であり、用いるヘリウムや水素も常圧(0.1MPa)仕様が可能なので、運用に特別な常設の設備や免状保有者を必要としない。
本発明のヘリウム回収方法において、液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器の液体水素中に前記ヘリウム吸着剤を内蔵するヘリウム吸着容器を設け、前記液体水素断熱貯蔵容器からの気体の水素を排出する水素排出流路と前記ヘリウム吸着容器へのヘリウムの入出を行なうヘリウム入出流路と水素とヘリウムとの熱交換を可能に配置する、ことを特徴とするものとすることもできる。
実施形態のヘリウム回収装置に用いられるヘリウム回収器20の構成の概略を示す説明図である。 ヘリウム(4He)と平衡水素(n・H2)の温度と顕熱との関係を示すグラフである。 ヘリウムガスが一定圧力(0.1MPa)の元でヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着されるとき、吸着剤の表面に吸着したヘリウムの割合(表面被覆率)と温度と顕熱との関係を示すグラフである。 ヘリウム吸着剤60a〜60nにおけるヘリウム吸着質量とヘリウム吸着圧力と温度との関係を示すグラフである。
次に、本発明を実施するための形態について説明する。図1は、実施形態のヘリウム回収装置に用いられるヘリウム回収器20の構成の概略を示す説明図である。この図は、液体ヘリウム100Lに相当する常温常圧(293K、0.1MPa)のヘリウムガスを回収する装置の例である。ヘリウム回収器20は、20Kの液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器22と、液体水素断熱貯蔵容器22内の液体水素中に収納されるヘリウム吸着容器42と、ヘリウム吸着容器42に収納されるヘリウム吸着剤60a〜60nと、を備える。
液体水素断熱貯蔵容器22は、外壁24と内壁25とその間の断熱層27とにより構成されている。外壁24は、ステンレスにより略円筒形状の一方の端部を引き延ばしたような形状に形成されており、内壁25は、ステンレスにより略円筒形状に形成されている。内壁25内の収納部26には、20K、0.1MPaの液体水素が貯蔵されており、その液体水素中にヘリウム吸着容器42が収納されている。収納部26は、外壁24から内壁25を貫く管状の水素入出流路30により外部と連通しており、水素入出流路30に取り付けられた管状の液体水素供給流路32から液体水素が供給され、水素入出流路30に取り付けられた管状の水素排出流路34から気化した水素ガスが排出されるようになっている。断熱層27は真空に吸引された状態でn層のスーパーインシュレーション28a〜28nが施されている。断熱層27側の水素入出流路30の外部には、外壁24から内壁25に向かって順にn個の環状の等温部29a〜29nが取り付けられており、このn個の等温部29a〜29nにはn層のスーパーインシュレーション28a〜28nが各層を熱的に遮断するように取り付けられている。したがって、水素入出流路30では、外壁24から内壁25までで室温(例えば293K)から20Kの温度勾配を持つようになる。
ヘリウム吸着容器42は、外壁44と、内壁45と、その間の空隙47と、内壁45内の収納部46に収納された棒状のn個のヘリウム吸着剤60a〜60nと、により構成されている。外壁44は、ステンレスにより略円筒形状に形成されており、内壁45も、ステンレスにより略円筒形状に形成されている。空隙47には水素入出流路30を貫通する真空吸引管58が取り付けられており、空隙47の真空吸引が可能となっている。空隙47内に内壁45全体を囲むように数層のスーパーインシュレーションを挿入して、断熱性能を上げることもできる。ただし、スーパーインシュレーションは、真空吸引を妨げないようコンダクタンスを下げない配置を取るものとする。収納部46には、水素入出流路30を介して水素入出流路30に取り付けられたヘリウム給排流路52に連通するヘリウム入出流路50が取り付けられている。ヘリウム入出流路50は、例えば細いステンレス管によってヘリウム吸着容器42の近傍の液体水素中では螺旋状(スパイラル)となるように形成されており、流路内のヘリウムが水素入出流路30内の水素や収納部26内の水素(液体水素)と熱交換できるようになっている。
ヘリウム吸着剤60a〜60nは、多孔質の活性炭やゼオライトなどを用いることができるが、活性炭の中でも特に吸着比表面積の大きいアルカリ賦活活性炭を用いるのが好ましい。アルカリ賦活活性炭は、下記の関連文献1や関連文献2にもあるように、以下のように生成することができる。まず前駆体である無煙炭を0.6・1mmの粒状に粉砕する。重量比でおよそ水酸化カリウム:無煙炭=2:1となるよう水酸化カリウム水溶液中に粒状無煙炭を混ぜて60℃で2時間攪拌して水酸化カリウムを含浸させ、その懸濁液を110℃で一晩乾燥する。その後、窒素ガスのフロー雰囲気中で毎分5・10℃の速度で昇温し、700℃の温度に到達したらその温度に1時間保つことで炭化及び賦活させて生成する。こうして生成した活性炭のBET比表面積は約1400m2/g、圧力封入したときのパッキング密度は0.46g/cm3程度、空隙率は約80%である。空隙の孔径は階層構造をもつが、一番小さいミクロ孔径は0.5・1.5nmに分布し中心値は0.8nmである。この状態の活性炭はヘリウム吸着に寄与しないマクロ空隙が多いので、これを重量比で15%程度の適切なバインダーと混ぜて135℃で枠内に圧力封入し、750℃で2時間にわたり熱分解処理して活性炭モノリスとする。活性炭モノリスの密度は0.70g/cm3まで増加し機械的強度や熱伝導度が向上するが、BET比表面積は約1200m2/gとあまり減少しない。そのため、吸着剤の単位体積(1cm3)当たりのBET表面積は860m2と大きい。
関連文献1:D. Lozano-Castello, M.A. Lillo-Rodenas, D. Cazorla-Amoros, and A. Linares-Solano, Carbon 39, 741-749 (2001).
関連文献2:D. Lozano-Castello, M. Jorda-Beneyto, D. Cazorla-Amoros, A. Linares-Solano, J.F. Burger, H.J.M. ter Brake, H.J. Holland, Carbon 48, 123-131 (2010).
ヘリウム吸着剤60a〜60nの中心軸には棒状のヒータ62a〜62nが取り付けられている。ヒータ62a〜62nには、ヘリウム給排流路52に枝管として取り付けられた配線取出口54からヘリウム入出流路50内に配線された電力線64によって電力が供給される。
ヘリウム回収装置としては、このヘリウム回収器20だけでなく、ヘリウム回収器20の水素排出流路34に接続されて気化した水素を消費(例えば発電)する水素消費装置(例えば燃料電池)、ヘリウム吸着容器42の空隙47を真空吸引する真空ポンプなども含まれる。
なお、実験室ベースでは、液体水素断熱貯蔵容器22やヘリウム吸着容器42、ヘリウム吸着剤60a〜60nについては以下のものを用いた。
(1)液体水素断熱貯蔵容器22は、外壁24については、厚みが約2mmのステンレスにより円筒部での直径が約103cmで高さが約140cmとなるように形成し、内壁25については、厚みが約3mmのステンレスにより収納部26の直径が約93cmで高さが約80cmとなるように形成した。スーパーインシュレーション28a〜28nとしては、厚みが約10μmのアルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムの片面に厚みが約10μmの不織布を貼り合わせたものを用い、約40層とした。
(2)ヘリウム吸着容器42は、外壁44は、厚みが約1mmのステンレスにより直径が約90cmで高さが約45cmとなるように形成されており、内壁45は、厚みが約3mmのステンレスにより収納部46の直径が約87mで高さが約43cmとなるように形成されている。
(3)ヘリウム吸着剤60a〜60nは、活性炭モノリスにより直径約15cm又は9cmで長さが42cmの棒形状に形成されており、その軸中心にヒータ62a〜62nが取り付けられている。ヘリウム吸着剤60a〜60nは収納部46には直径約15cmのものが19個、直径約9cmのものが12個収納されている。活性炭モノリスは、厚さ3・5cmの板形状に形成してもよい。活性炭の熱収縮率は多くの金属に比べて1桁程小さいので、熱収縮率の違いからひび割れが発生しないよう、板形状にする場合には、一辺7・10cmの正方形に分割して敷き詰めるのがよい。
こうして構成されたヘリウム回収装置におけるヘリウム回収器20の動作について説明する。ヘリウム給排流路52から供給されたヘリウムはヘリウム入出流路50を流通する際に水素入出流路30内の水素や収納部26内の水素の顕熱を用いて熱交換によりその温度を20Kとし、ヘリウム吸着容器42の収納部46に収納されたヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着される。ヘリウム吸着剤にヘリウムが吸着する際に必要な冷熱は液体水素の蒸発潜熱により賄われる。その際、空隙47には熱交換ガスとして少量のヘリウムを封入してヘリウム吸着剤と液体水素の間の熱交換を良好にし、ヘリウム吸着時に発生する吸着熱によって吸着材の温度が上昇するのを防ぐ。一方、液体水素断熱貯蔵容器22の収納部26で気化した水素は、水素入出流路30を流通し、水素排出流路34を介して水素消費装置(例えば燃料電池)に供給される。したがって、ヘリウムをヘリウム給排流路52から供給すると共に水素排出流路34から水素を取り出すことにより、ヘリウムをヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着させることができる。今回の装置図では、水素入出流路30内でヘリウム入出流路50の熱交換を促進するようなスパイラル(螺旋)を設けていないのは、出て行く水素の顕熱が十分大きいためである。すなわち、ヘリウム吸着量:水素蒸発量=1:2と、排出される水素流量の方がずっと大きいし、単純なパイプの熱交換率も70・80%と決して悪くないからである。一方、ヘリウムが効率よく吸着されるには、吸着剤に到達するまでに確実に20K近くまで予冷されていることが重要なので、ヘリウム吸着用容器42に入る直前では十分スパイラルを用意する必要がある。
一方、ヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着したヘリウムの取り出しは、ヒータ62a〜62nによりヘリウム吸着剤60a〜60nを約77Kの温度まで加温することにより、ヘリウム吸着剤60a〜60nからヘリウムを脱着させ、ヘリウム入出流路50を通流してヘリウム給排流路52から取り出すことにより行なうことができる。このときは空隙47を真空吸引してヘリウム吸着剤と液体水素の間の断熱性を高め、吸着剤を加温するためのヒータによる入熱が直接液体水素を大きく蒸発させないようにする。
液体水素の蒸発潜熱と顕熱(エンタルピー)とによりヘリウムをヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着させる際の熱収支について説明する。図2は、ヘリウム(4He)と平衡水素(n・H2)の温度と顕熱との関係を示すグラフである。温度の下限はヘリウムと平衡水素の沸点であり、それぞれ4.2Kと20Kである。沸点での顕熱の値は、それぞれヘリウムと平衡水素の蒸発の潜熱に等しい値としている。図3は、ヘリウムガスが一定圧力(0.1MPa)の元でヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着されるとき、吸着剤の表面に吸着したヘリウムの割合(表面被覆率)と温度と顕熱との関係を示すグラフである。図3のグラフでは、気体の圧力は常に一定(P=0.1MPa)であり、一定の吸着熱(qad=255K)を仮定している。ここではオルソ水素とパラ水素の割合は常に熱平衡値と等しいと仮定したが、例えば水素入出流路30の内壁に、オルソ-パラ変換を触媒するグラファイト粉末を塗布すれば、平衡水素は容易に実現できる。図2から解るように、液体水素1リットル当たりのエンタルピーは20K以上のどの温度領域でも液体ヘリウム1リットル当たりのエンタルピーより大きく、その比は温度が高くなるほど大きくなる。図3にあるように、ヘリウム吸着剤60a〜60nの吸着熱qadは6.6×104(J/L)であり、図2にあるように、水素の蒸発潜熱は3.15×104(J/L)であるから、ヘリウムの吸着熱qadを液体水素の蒸発潜熱で賄うためには、次式(1)より式(2)となり、液体ヘリウム1リットルに相当するモル数のヘリウムを温度20Kでヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着させるには液体水素2.1リットルを20Kで気化させて、両者をよく熱交換させればよいことが解る。上述したように、液体水素1リットル当たりのエンタルピーは20K以上のどの温度領域でも液体ヘリウム1リットル当たりのエンタルピーより大きいことを考慮すると、液体ヘリウム1リットル相当の室温(例えば293K)のヘリウムガスを20K近くまで冷却することは容易であり、ヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着させるには、液体水素VH2≒2.1リットルを気化させればよいことが解る。なお、吸着熱を一定とせず、その吸着量依存性まで考慮すれば、VH2≒1.8リットルとなり、実際に気化する液体水素は2.1リットルより少ない。
1×(6.6×104)=VH2×(3.15×104) (1)
H2≒2.1 (2)
図4は、ヘリウム吸着剤60a〜60nにおける吸着剤1g当たりのヘリウム吸着質量とヘリウム吸着圧力と温度との関係を示すグラフである。ヘリウム吸着剤60a〜60nにおけるヘリウム吸着質量は、温度が20Kより高くなると急激に減少し、吸着圧力が大きいほど増加するが吸着圧力が0.5Mpa以上では増加の割合は小さくなる。実施形態のヘリウム吸着剤60a〜60nでは、吸着圧力が0.1MPa、温度が20Kのとき、吸着剤1g当たり70mgのヘリウムを吸蔵できる。このうち、マクロ孔およびメソ孔内に気体として存在するヘリウムは1.3mgと少なく、大部分はミクロ孔内で表面吸着したヘリウムである。吸着圧力が1MPa、温度が20Kのときは、吸着剤1g当たり96mgのヘリウムを吸蔵できる。これに対して、温度が75Kになると、吸着圧力が0.1MPaのとき0.9mgしかヘリウムを吸蔵しないので、吸着剤をこの温度まで加熱すれば、逆にヘリウムを取り出すことができる。
以上説明した実施形態のヘリウム回収装置におけるヘリウム回収器20では、常温のヘリウムを、液体水素の蒸発潜熱と顕熱とを用いて冷却してヘリウム吸着剤60a〜60nに吸着させることにより回収する。このとき、吸着圧力を0.1MPaでは、常温常圧(293K、0.1MPa)のヘリウムの密度比(体積比)を値1とすれば、密度比は300程度(体積比では1/300程度)となり、吸着圧力を1MPaでは、密度比は500程度(体積比では1/500程度)となる。これにより、常温常圧のヘリウムガスを、液体ヘリウムとして貯蔵するほどではないが高圧ガスタンクによる貯蔵より貯蔵と運搬に適した形態として貯蔵することができる。しかも、液体ヘリウムとする場合に必要な冷凍機が不要となり、液体ヘリウムとする場合に比して装置も簡易なものとなる。
実施形態では、ヘリウム吸着剤としてアルカリ賦活活性炭を用いたが、Na−A型ゼオライトなどを用いてもよい。実施形態で用いたアルカリ賦活活性炭では吸着剤1g当たりのヘリウム吸蔵量は70mgであるが、Na−A型ゼオライトでは吸蔵量はその半分程度と予想されることから、ヘリウム吸着剤としてゼオライトを用いる場合には、実施形態に比べてヘリウムの密度比は小さくなる。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、ヘリウム回収装置の製造産業などに利用可能である。
20 ヘリウム回収器、22 液体水素断熱貯蔵容器、24 外壁、25 内壁、26 収納部、27 断熱層、28a〜28n スーパーインシュレーション、29a〜29n 等温部、30 水素入出流路、32 液体水素供給流路、34 水素排出流路、42 ヘリウム吸着容器、44 外壁、45 内壁、46 収納部、47 空隙、50 ヘリウム入出流路、52 ヘリウム給排流路、54 配線取出口、58 真空吸引管、60a〜60n ヘリウム吸着剤、62a〜62n ヒータ、64 電力線。

Claims (7)

  1. ヘリウムを回収するヘリウム回収装置であって、
    断熱真空層を有し、液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器と、
    真空吸引または熱交換ガスを導入可能な空隙を有し、ヘリウムを吸着するヘリウム吸着剤を内蔵し、前記液体水素断熱貯蔵容器内の液体水素中に収納されたヘリウム吸着容器と、
    前記液体水素断熱貯蔵容器内で気化した水素を外部に排出する水素排出流路と、
    前記水素排出流路の水素と熱交換可能に設けられ、前記液体水素断熱貯蔵容器外から前記ヘリウム吸着容器内にヘリウムを流入すると共に前記ヘリウム吸着容器内から前記液体水素断熱貯蔵容器外にヘリウムを流出するヘリウム入出流路と、
    を備えるヘリウム回収装置。
  2. 請求項1記載のヘリウム回収装置であって、
    前記ヘリウム吸着剤を加温する加温手段、
    を備えるヘリウム回収装置。
  3. 請求項1記載のヘリウム回収装置であって、
    前記ヘリウム吸着容器は、前記空隙の真空吸引用の吸引流路を有する、
    ヘリウム回収装置。
  4. 請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載のヘリウム回収装置であって、
    前記ヘリウム吸着剤は、多孔質の活性炭またはゼオライトである、
    ヘリウム回収装置。
  5. 常温常圧のヘリウムを1/300〜1/500程度の体積として回収するヘリウム回収方法であって、
    常温のヘリウムを、液体水素の蒸発潜熱と顕熱とを用いて冷却してヘリウム吸着剤に吸着させることにより回収する、
    ことを特徴とするヘリウム回収方法。
  6. 請求項5記載のヘリウム回収方法であって、
    液体水素を貯蔵する液体水素断熱貯蔵容器の液体水素中に前記ヘリウム吸着剤を内蔵するヘリウム吸着容器を設け、
    前記液体水素断熱貯蔵容器からの気体の水素を排出する水素排出流路と前記ヘリウム吸着容器へのヘリウムの入出を行なうヘリウム入出流路と水素とヘリウムとの熱交換を可能に配置する、
    ことを特徴とするヘリウム回収方法。
  7. 請求項5または6記載のヘリウム回収方法であって、
    前記ヘリウム吸着剤として、多孔質の活性炭またはゼオライトを用いる、
    ヘリウム回収方法。
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