JP2021161975A - 内燃機関のリンク部材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】油路21の内周面21aに対するショットピーニング加工を確実かつ容易にし、燃焼荷重による応力集中に対して油路21の強度を高める。【解決手段】ロアリンクアッパ6Aは、アッパピンとアッパリンクとの軸受部へ向かって潤滑油を噴射するように、クランクピン軸受部11を貫通した油路21を有する。油路21は、一定径の単純な円筒形ではなく、潤滑油入口となる内周側開口22が相対的に小径で潤滑油出口となる外周側開口23が相対的に大径となった円錐台形をなす。油路21の内周面21aがテーパ状に傾くので、大径な外周側開口223を通したショットの投射によるショットピーニング加工が確実かつ容易となる。【選択図】図3

Description

この発明は、内燃機関のクランクピンに連結されるリンク部材およびその製造方法に関し、特に、リンク部材に設けられる油路の改良に関する。
レシプロ式内燃機関のピストンピンとクランクピンとの間を複リンク式のピストンクランク機構で連結した従来技術として、本出願人が先に提案した特許文献1等が公知となっている。これは、ピストンのピストンピンに連結されるアッパリンクと、このアッパリンクとクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、一端が機関本体側に揺動可能に支持され、かつ他端が上記ロアリンクに連結されるコントロールリンクと、を備えている。そして、上記アッパリンクと上記ロアリンクとは、アッパピンを介して互いに回転可能に連結され、上記コントロールリンクと上記ロアリンクとは、コントロールピンを介して互いに回転可能に連結されている。
このような複リンク式のピストンクランク機構におけるロアリンクは、ピストンが受けた燃焼圧力をアッパリンクを介してアッパピンより受け取り、コントロールピンを支点とする一種の”てこ”のような動作でクランクピンに力を伝達する。
特許文献1には、クランクピンに嵌合するクランクピン軸受部に、クランクピン側の油孔と合致したときに潤滑油を外部へ噴射する油路がほぼ半径方向に沿って貫通形成された構成が開示されている。この油路から噴射された潤滑油は、アッパピンとアッパリンクとの間の軸受部を潤滑する。
また、単リンク式ピストンクランク機構では、リンク部材として、クランクピンにコンロッドが連結される。特許文献2には、クランクピンに嵌合するコンロッド大端部に油路が貫通形成された構成が開示されている。
特開2016−196888号公報 特開2008−82482号公報
クランクピンが嵌合するクランクピン軸受部には、燃焼荷重の入力に伴い、周方向に沿った荷重が作用し、油路のクランクピン側の開口縁に引張応力や曲げ応力として大きな応力が発生する。そのため、油路の形成がリンク部材の強度上の弱点となっている。
また、応力集中が問題となる箇所での強度向上の手段としてショットピーニング等の圧縮残留応力付与処理が知られているが、クランクピン軸受部に設けられる油路は比較的細く、かつ通路径に比較して通路長が長いので、油路の内周面に対するショットピーニング等の処理は一般に困難である。
この発明は、リンク部材のクランクピン軸受部に形成される油路を、内周面がテーパ状をなすように一端部における第1の開口に対し他端部における第2の開口が拡がっている構成とした。
第1の開口に対し第2の開口が拡がった構成とすることで、油路の内周面がテーパ状に傾いたものとなる。そのため、例えば残留応力付与処理としてショットピーニングを施す場合に、ショットの投射方向に対する被投射面の角度が大きくなり、効果的なショットピーニングが可能となる。ピン先端での押圧による残留応力付与処理等でも同様である。
この発明によれば、油路の内周面がテーパ状となることでショットピーニング等の残留応力付与処理を効果的に行うことができ、応力集中に対する油路の強度が向上する。
一実施例の複リンク式ピストンクランク機構の構成説明図。 一実施例のロアリンクの斜視図。 第1実施例の油路を備えたロアリンクアッパの断面図。 アッパリンクと組み合わせた状態での油路の構成を模式的に示す断面図。 第2実施例の油路を備えたロアリンクアッパの断面図。 アッパリンクと組み合わせた状態での油路の構成を模式的に示す断面図。 第3実施例の油路を備えたロアリンクアッパの断面図。 (a)図7のA−A線に沿って油路を見た図、(b)図(a)のB−B線に沿った断面図、(c)C−C線に沿った断面図。 この発明を適用したコンロッドの要部を断面とした平面図。
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
初めに、この発明を複リンク式ピストンクランク機構のロアリンクに適用した実施例を説明する。図1は、この発明が適用される複リンク式ピストンクランク機構の構成要素を示している。この複リンク式ピストンクランク機構自体は前述した特許文献1等によって公知のものであり、ピストン1にピストンピン2を介して一端が連結されたアッパリンク3と、このアッパリンク3の他端にアッパピン4を介して連結され、かつクランクシャフトのクランクピン5に連結されたロアリンク6と、このロアリンク6の自由度を規制するコントロールリンク7と、を備えている。上記コントロールリンク7は、一端が機関本体側の支持ピン8に揺動可能に支持され、他端が上記ロアリンク6にコントロールピン9を介して連結されている。なお、上記複リンク式ピストンクランク機構は、上記支持ピン8の位置を可変とすることで、可変圧縮比機構として構成することも可能である。
図2に示すように、上記ロアリンク6は、上記クランクピン5に嵌合する円筒形のクランクピン軸受部11を中央に有し、かつこのクランクピン軸受部11を挟んで互いにほぼ180°反対側となる位置に、アッパピン用ピンボス部12およびコントロールピン用ピンボス部13がそれぞれ設けられている。このロアリンク6は、全体として、菱形に近い平行四辺形をなしており、クランクピン軸受部11の中心を通る分割面14において、アッパピン用ピンボス部12を含むロアリンクアッパ6Aと、コントロールピン用ピンボス部13を含むロアリンクロア6Bと、の2部品に分割して形成されている。これらのロアリンクアッパ6Aおよびロアリンクロア6Bは、クランクピン軸受部11をクランクピン5に嵌め込んだ上で、図示せぬ2本のボルトによって互いに締結されている。
上記アッパピン用ピンボス部12およびコントロールピン用ピンボス部13は、アッパリンク3やコントロールリンク7を軸方向中央部に挟むように二股状の構成となっており、アッパピン4やコントロールピン9の軸方向端部をそれぞれ支持する一対の片12a,13aが、ロアリンク6の軸方向の端面に沿って延びている(図4参照)。つまり、ピンボス部12,13の各片12a,13aは、円筒状をなすクランクピン軸受部11の軸方向両端部にそれぞれ接続されている。
上記クランクピン軸受部11は、半円筒形の一対の軸受メタル16を介してクランクピン5に嵌合する。クランクピン5は、加圧された潤滑油が供給される潤滑油通路(図示せず)を内部に備えており、半径方向に延びた潤滑油通路の先端がクランクピン5の外周面に油孔として開口している。後述するようにクランクピン軸受部11には油路が貫通形成されており、この油路がクランクピン5側の油孔と合致したときに油路から潤滑油がいわゆるオイルジェットとして噴射される構成となっている。
ロアリンク6は、アッパリンク3からアッパピン4を介してアッパピン用ピンボス部12に燃焼荷重が作用し、コントロールピン9を支点として揺動することで、一種の”てこ”のような動作でクランクピン5に力を伝達する。従って、アッパピン用ピンボス部12に燃焼荷重が図1の下側方向へ作用するのに対し、クランクピン軸受部11中央付近にクランクピン5からの反力が図1の上側方向に作用し、これにより、ロアリンクアッパ6Aのアッパリンク3寄りの領域に大きな応力(曲げ応力ないし引張応力)が発生する。
図3は、第1実施例の油路21をクランクピン軸受部11に備えてなるロアリンクアッパ6Aの断面図(クランクピン5の軸方向と直交する面に沿った断面図)を示している。油路21は、アッパピン用ピンボス部12においてロアリンク6と連結されるアッパリンク3の軸受部つまりアッパピン4とアッパリンク3との間の摺動面を潤滑するためのもので、クランクピン軸受部11においてクランクピン5の半径線にほぼ沿って直線状に貫通形成されている。なお、油路21が「直線状」であるとは、油路21の中心線が折れ曲がったり湾曲したりせずに一つの直線であることを意味している。
油路21は、一端部にクランクピン5外周面に対向する内周側開口22を有し、他端部にロアリンク6の外側へと向かう外周側開口23を有する。内周側開口22は、円筒面をなすクランクピン軸受部11の内周面に開口し、潤滑油入口となる。外周側開口23は、潤滑油出口となり、アッパピン用ピンボス部12に支持されるアッパピン4の外周面を指向している。なお、アッパピン4は、アッパピン用ピンボス部12のピン孔12bに圧入される(図4参照)ものであり、図3に示すピン孔12bの内径と実質的に等しい外径を有している。従って、図3に示すように、油路21は、ピン孔12bの接線方向に沿って配置されている。
ここで、油路21は、単純な円筒形ではなく、内周側開口22が相対的に小径で外周側開口23が相対的に大径となったいわゆる円錐台形をなしている。つまり、潤滑油入口となる内周側開口22に対して潤滑油出口となる外周側開口23が拡がっている。これにより、油路21の内周面21aは、油路21の中心線に対して一定のテーパ角でもってテーパ状に傾いている。
図4は、ロアリンク6をアッパリンク3と組み合わせた状態でもってアッパピン用ピンボス部12および油路21の断面(クランクピン5の軸方向と平行な面に沿った断面)を示している。図示するように、油路21は、クランクピン軸受部11の軸方向寸法の中央に位置し、一対の片12aの間でアッパリンク3の端部へ向かって開口している。なお、軸受メタル16には、油路21に対応する位置に円形の油孔25が設けられている。
ロアリンクアッパ6A(換言すればロアリンク6)は、鉄系金属材料を用いた鍛造もしくは鋳造によって形成される。鍛造の場合には、ロアリンクアッパ6Aの全体的な形状を鍛造で形成した後に、油路21が二次的に機械加工される。鋳造の場合には、油路21を鋳造時に同時に形成することも可能である。例えば、ロストワックス法による精密鋳造によってテーパ状の油路21を備えたロアリンクアッパ6Aを鋳造することができる。いずれの場合も、油路21の形成後に、ショットピーニング等の残留応力付与処理が油路21の内周面に施されている。
好ましい一つの例では、以下の工程でロアリンクアッパ6Aが製造される。まず、SCR420等のクロムモリブデン鋼を用いて、ロアリンクアッパ6Aの全体形状を鍛造で形成する。鍛造後、クランクピン軸受部11やアッパピン用ピンボス部12ならびにコントロールピン用ピンボス部13等の必要箇所の機械加工を行うとともに、テーパ状の油路21を機械加工により形成する。次に、ワークの浸炭処理を行い、浸炭処理に続いて、焼入れ・焼戻しを行う。
その後、油路21の内周面21a(少なくとも内周側開口22付近の領域)に、残留応力付与処理具体的にはショットピーニングを施す。このショットピーニングは、径の大きな外周側開口23側からショットを投射して行う。なお、ショットピーニングは、油路21の内周面21aのほか、強度向上に必要な他の箇所に併せて行うようにしてもよい。次に、面精度が必要な箇所等に最終的な仕上げ加工を施すことで、ロアリンクアッパ6Aが完成する。
上記のように内周面21aがテーパ状となるように円錐台形とした油路21にあっては、ショットピーニングの際に、ショットの投射方向に対する被投射面(つまり内周面21a)の角度を比較的大きく確保することができ、内周側開口22付近を効果的にショットピーニング加工することができる。つまり、仮にショットの投射方向が油路21の中心線と平行であると仮定して、油路21が一定径の単純な円筒形であった場合には、ショットを被投射面に衝突させることができない。これに対し、上記実施例のように内周面21aがテーパ状に傾いていると、投射方向が油路21の中心線と平行であっても、被投射面となる内周面21aにショットを衝突させることができ、効果的な強度向上が図れる。しかも、上記実施例では、ショットの入口となる外周側開口23が相対的に大径となることから、油路21の中心線に対して角度を有する方向でもって(つまり斜め方向に)ショットを投射することも可能となり、内周側開口22付近にショットピーニングを行うことがより容易となる。
このようなことから、テーパ状をなす油路21の内周面21aのテーパ角としては、上述したショットピーニングが可能な角度が必要である。
アッパピン4を指向するように油路21が設けられる位置は、上述したように、ロアリンク6の中で燃焼荷重による大きな曲げ荷重が作用する場所であり、特に内周側開口22付近に応力(主にクランクピン5の周方向に沿った引張応力)が集中する。そのため、一般的に、油路21の形成がロアリンク6の強度上の弱点となり易い。
これに対し、上記実施例では、内周側開口22付近の強度がショットピーニングによって高く得られるので、応力集中による亀裂の発生などが効果的に抑制される。また、外周側開口23を大径とすることで相対的に外周側開口23付近が弱くなって大きな変形が許容されるようになり、これによっても、内周側開口22での応力集中による亀裂発生が生じにくくなる。
また、円錐台形とした油路21によれば、図4から理解できるように、油路21を通して外周側開口23からオイルジェットとして噴出した潤滑油がテーパ状の内周面21aに沿って拡がろうとする。そのため、アッパリンク3の端部の軸方向端面とアッパピン用ピンボス部12の片12aの内側面との間の境界26により多くの潤滑油を供給することができ、アッパリンク3とアッパピン4外周面との間の摺動面が確実に潤滑される。
なお、図示例のロアリンクアッパ6A(ロアリンク6)は、上記の油路21のほかに、ピストン1(図1参照)へ向かってオイルジェットを供給するための油路28を備えている。この油路28は、クランクピン軸受部11の円周の中で油路21よりもコントロールピン9寄りに位置しており、前述した燃焼荷重による応力集中が少ない箇所にある。そのため、図示例では、油路28は一定径の単純な円筒形に形成されている。必要であれば、この油路28を油路21と同様にテーパ状に構成してもよい。
次に、図5および図6は、第2実施例の油路121を備えたロアリンクアッパ6Aを示している。第2実施例の油路121は、内周側開口122が相対的に大径で外周側開口123が相対的に小径となった円錐台形をなしている。つまり、第1実施例の油路21とは逆に、潤滑油出口となる外周側開口123に対して潤滑油入口となる内周側開口122が拡がっている。これにより、油路121の内周面121aは、油路121の中心線に対して第1実施例とは逆向きの一定のテーパ角でもってテーパ状に傾いている。
油路121の内周面121aの少なくとも内周側開口122付近は、強度向上のための残留応力付与処理として、例えばショットピーニングが施されている。
このような第2実施例の油路121においても、相対的に大径となる内周側開口122側からショットを投射することで、内周側開口122付近をより確実にかつ容易にショットピーニング加工することができる。
また、この第2実施例の油路121によれば、図6から理解できるように、内周側開口122から流入した潤滑油が絞られながら外周側開口123から噴出するので、オイルジェットの流速が高く得られる。そのため、一定径の単純な円筒形をなす油路に比較してロアリンク6の軸受部に対する潤滑性能が向上する。
なお、上記の第1,第2実施例では、残留応力付与処理としてショットピーニングについて説明したが、棒状のピン先端で被加工面を押圧する残留応力付与処理等、公知の残留応力付与処理を広く適用することが可能である。いずれの方法であっても、被加工面となる内周面21a,121aが傾いていること、および、加工工具の入口となる一方の開口を大きく開口していることで、加工が容易となる。
次に、図7および図8は、第3実施例の油路221を示している。図8の(a)は、図7のA−A線に沿って油路221を外側から見た図であり、図8の(b),(c)は、B−B線およびC−C線に沿った油路221の断面図である。これらの図に示すように、油路221は、基本的には、潤滑油入口となる一端部の内周側開口222から潤滑油出口となる他端部の外周側開口223へ向かって徐々に拡がった形状をなしている。
ここで、第3実施例の油路221は、単純な円錐台形ではなく、外周側開口223が真円形(あるいは真円形にごく近い円形)の開口形状をなすのに対し、内周側開口222が細長い楕円形(あるいは長円形でもよい)をなしている。楕円の長径はクランクピン5の周方向に沿っており、短径がクランクピン5の軸方向となる。楕円の長径の長さは、外周側開口223の直径よりも短い。
このような構成では、油路221の内周面221aは、基本的には外側へ向かって開くように傾斜したテーパ状をなすが、そのテーパ角は、油路221内周の各部で異なるものとなる。楕円の長径と短径とで寸法が異なることから、図8の(b),(c)に示すように、長径方向に沿った壁面のテーパ角αは相対的に小さく、短径方向に沿った壁面のテーパ角βは相対的に大きい。
内周側開口222は、前述した燃焼荷重を受けたときに、クランクピン5の周方向に沿って引っ張られるので、図8に符号Sで示す領域(つまり内周側開口222の中でクランクピン5の軸方向に沿った領域)で最も高い応力が発生する。これに対し、第3実施例の油路221では、領域S付近での内周面221aのテーパ角βが大きく得られることから、当該領域Sに対する残留応力付与処理例えばショットピーニングが確実かつ容易となる。図8(c)における矢印330は、油路221の中心線と平行にショットを投射した場合の投射方向を示しており、このように投射されたショットが領域Sの壁面に確実に衝突する。
また、この第3実施例の油路221によれば、潤滑油入口となる内周側開口222がクランクピン5の周方向に長く延びているので、潤滑油噴射期間を長く確保することが可能となる。
以上、この発明を複リンク式ピストンクランク機構のロアリンク6に適用した実施例を説明したが、この発明は、単リンク式ピストンクランク機構におけるコンロッドに適用することも可能である。
図9は、この発明を適用したコンロッド301を示している。コンロッド301は、ピストンピンに嵌合する小端部302と、クランクピンに嵌合する大端部303と、を有し、大端部303は、小端部302と一体の本体部303Aとキャップ部304とに2分割して形成されている。キャップ部304は、一対のボルト305によって本体部303Aに締結されている。つまり、このコンロッド301では、大端部303がクランクピン軸受部に相当する。
油路321は、図示しないピストンの下面もしくはシリンダ内周面へ向けてオイルジェットを供給するように、クランクピンの半径線に沿って本体部303A側の大端部303を貫通して形成されている。油路321は、一定径の単純な円筒形ではなく、潤滑油入口となる内周側開口322が相対的に小径で潤滑油出口となる外周側開口323が相対的に大径となったいわゆる円錐台形をなしている。つまり、内周側開口322に対して外周側開口323が拡がっており、これにより、油路321の内周面321aは、油路321の中心線に対して一定のテーパ角でもってテーパ状に傾いている。油路321の内周面321aの少なくとも内周側開口322に近い領域は、ショットピーニング等の残留応力付与処理が施されている。
6…ロアリンク
6A…ロアリンクアッパ
11…クランクピン軸受部
21,121,221,321…油路

Claims (8)

  1. 内燃機関のクランクピンに回転可能に嵌合するクランクピン軸受部を有し、このクランクピン軸受部に、クランクピン側の油孔と合致したときに潤滑油を外部へ噴射する油路が直線状に貫通形成されてなる内燃機関のリンク部材において、
    上記油路は、内周面がテーパ状をなすように一端部における第1の開口に対し他端部における第2の開口が拡がっている、内燃機関のリンク部材。
  2. 上記第1の開口がクランクピン側の潤滑油入口であり、上記第2の開口が潤滑油出口である、請求項1に記載の内燃機関のリンク部材。
  3. 上記第2の開口がクランクピン側の潤滑油入口であり、上記第1の開口が潤滑油出口である、請求項1に記載の内燃機関のリンク部材。
  4. 上記第1の開口が、クランクピンの周方向を長径とした楕円形ないし長円形をなしており、
    短径方向における油路内周面のテーパ角が長径方向における油路内周面のテーパ角よりも大きい、請求項2に記載の内燃機関のリンク部材。
  5. 上記油路の内周面の少なくともクランクピン側の部分に、圧縮残留応力付与処理が施されている、請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関のリンク部材。
  6. 内燃機関のピストンにピストンピンを介して一端が連結されたアッパリンクと、このアッパリンクの他端とクランクシャフトのクランクピンとを連結するロアリンクと、一端が本体部の支持点に揺動可能に支持され、他端が上記ロアリンクに連結されたコントロールリンクと、を含む複リンク式ピストンクランク機構における上記ロアリンクである、内燃機関のリンク部材。
  7. クランクピン軸受部の中心を通る分割面に沿って2分割した形状にリンク部材を形成し、
    上記クランクピン軸受部に、該クランクピン軸受部を貫通する直線状の油路を機械加工し、この油路は、内周面がテーパ状をなすように一端部における第1の開口に対し他端部における第2の開口が拡がっており、
    浸炭処理を行い、
    上記第2の開口側からショットを投射して上記油路の内周面の少なくともクランクピン側の部分にショットピーニングを施す、
    内燃機関のリンク部材の製造方法。
  8. 上記第1の開口がクランクピン側の潤滑油入口であり、上記第2の開口が潤滑油出口である、請求項7に記載の内燃機関のリンク部材の製造方法。
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