JP3037925B2 - 一体式中空プッシュロッドの製造方法 - Google Patents

一体式中空プッシュロッドの製造方法

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JP3037925B2
JP3037925B2 JP10007691A JP769198A JP3037925B2 JP 3037925 B2 JP3037925 B2 JP 3037925B2 JP 10007691 A JP10007691 A JP 10007691A JP 769198 A JP769198 A JP 769198A JP 3037925 B2 JP3037925 B2 JP 3037925B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属素材等を用い
て一体形成された、強度が高く慣性質量が小さい一体式
中空プッシュロッドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、エンジンにおいては、クランク
シャフトによってこれと同期して回転駆動されるカムシ
ャフトに取り付けられたカムによって、吸排気バルブが
クランクシャフトの回転に同期して開閉されるようにな
っている。そして、カムシャフトをクランクシャフトに
近い位置に配置すると、クランクシャフトからカムシャ
フトへの動力伝達機構を簡素なものとすることができる
ので、カムシャフトはしばしばクランクシャフト近傍に
おいてシリンダブロックに取り付けられる。
【0003】ところで、普通のエンジンにおいては、吸
排気バルブが燃焼室の上端部に配置される関係上、カム
シャフトをクランクシャフト近傍に配置する場合は、カ
ムと吸排気バルブとが上下方向にかなり離れることにな
る。そこで、このようなエンジンでは、吸排気バルブ
は、カムによって概ね上下方向に往復移動させられる細
長いプッシュロッドと、吸排気バルブのステムの上端部
近傍に配置されたロッカアームとを介して、カムによっ
て駆動されるようにしている。ここで、プッシュロッド
には、その慣性質量ができる限り小さいことが要求され
るので、該プッシュロッドは、内部に中空部を備えた中
空構造とされることが多い。
【0004】そして、内部に中空部を備えたプッシュロ
ッドは、一般に、中空部を有するパイプ状の軸部材の軸
線方向の両端部がそれぞれ支持端部材で閉止された構造
とされている。例えば図21に示すように、パイプ状の
軸部材101の一方の端部に凸球面状端面を備えた支持
端部材102(球状支持端部材)が圧入され、他方の端
部に凹球面状端面を備えた支持端部材103(球状支持
端部材)が圧入されてなる圧入式プッシュロッドが従来
より広く用いられている。なお、図21に示す圧入式プ
ッシュロッドでは、両支持端部材102、103には、
それぞれ小径の油孔104、105が設けられ、中空部
106は、油孔104、105を介して外部と連通して
いる。
【0005】かかる圧入式プッシュロッドでは、軸部材
101の両端部にそれぞれ支持端部材102、103の
軸部を圧入することにより、軸部材101と両支持端部
材102、103とが接合されている。そして、この圧
入式プッシュロッドでは、支持端部材102、103が
軸線方向に移動しようとする力の反力すなわち軸接合力
は、軸部材101の内径と支持端部材102、103の
軸部の外径との間の軸径差に起因して生じる「タイト量
(絞め代)」や、「圧入部長さ」や、軸部材101及び
支持端部材102、103の「剛性(軸直角断面の形状
による)」や、接合平面A(界面)の「摩擦係数(粗
さ)」などによって決定される(強度、機能)。
【0006】ここで、圧入式プッシュロッドに軸線方向
の圧縮荷重が負荷された場合、各部材の相対位置が変化
しない限界の力すなわち元長さ保持力は、上記「軸接合
力」や、各部材の接合平面Aの「粗さ」や、各部材の接
合平面Aの「平行度」などによって決定される(強度、
機能)。なお、上記軸接合力や元長さ保持力は、各部材
を機械的に接合した結果得られるものであり、該圧入式
プッシュロッドが実際にエンジンで使用される際に、こ
れらの軸接合力や元長さ保持力が維持されていなければ
ならない(信頼性、耐久性)。
【0007】また、図22に示すように、パイプ状の軸
部材107の一方の端部に、凸球面状端面を備えた支持
端部材108が溶接され、他方の端部に凹球面状端面を
備えた支持端部材109が溶接された溶接式プッシュロ
ッドも、従来より広く用いられている。なお、図22に
示す溶接式プッシュロッドでは、両支持端部材108、
109にそれぞれ油孔110、111が設けられ、中空
部112は、油孔110、111を介して外部と連通し
ている。
【0008】この溶接式プッシュロッドでは、軸部材1
07の両端部にそれぞれ支持端部材108、109が、
例えば抵抗溶接により冶金的に接合されている。ここ
で、溶接式プッシュロッドにおける軸部材107と支持
端部材108、109との接合力は、軸部材107と支
持端部材108、109との「溶着面積」や、「溶着深
さ」や、「各部材の材質」や、「溶接条件」や、「溶接
後の熱処理」等によって決定される(強度、機能)。
【0009】この溶接式プッシュロッドでは、支持端部
材108、109の球支持部(球面状端面)は、これに
対応する球支持部(球面状端面)を備えた他の部品(例
えば、タペット)と接触する。ここで、支持端部材10
8、109の球支持部は、これと対応する球支持部を備
えた他の部品から圧縮荷重を受けながら、その界面を摺
動させるので、その球支持部は耐摩耗性が必要とされ
る。このため、かかる溶接式プッシュロッドでは、球支
持部の表面に硬化処理(浸炭、高周波焼き入れ)を施す
か、あるいは支持端部材108、109自体を硬質材料
(例えば、軸受け鋼)で形成している。ただし、軸部材
107は軟鋼で形成するのが一般的である(信頼性、耐
久性)。上記接合力は、各部材を溶融接合した結果得ら
れるものであり、該溶接式プッシュロッドが実際にエン
ジンで使用される際に、この接合力が維持されていなけ
ればならない(信頼性、耐久性)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば
図21に示すような従来の圧入式プッシュロッドにおい
て、必要とする軸接合力が得られない場合、あるいは軸
接合力が低下した場合には、繰り返し負荷される外力に
より軸接合力が漸次低下し、最終的には軸部材101と
支持端部材102、103との接合は完全に緩んでしま
う。そして、軸部材101と支持端部材102、103
との接合が完全に緩んでしまうと、負荷される外力は全
て接合平面Aで受け止められることになる。外力が全て
接合平面Aに負荷されると、接合平面Aが圧縮変形(塑
性)し、元長さが短くなるといった不具合が生じる。
【0011】上記不具合のほか、軸部材101と支持端
部材102、103との接合が完全に緩んでしまうと、
該プッシュロッドが実際にエンジンで使用される際(プ
ッシュロッドが軸線方向に往復運動する)に、軸部材1
01と支持端部材102、103とが相対的に移動し、
その移動中(接合平面Aに隙間を生じたとき)におい
て、軸部材101の内周と支持端部材102、103の
軸部の外周とが、ガジリ現象等により再接合されると、
元長さが伸びてしまうといった不具合が生じる。
【0012】なお、圧入式プッシュロッドにおいて、
「タイト量(絞め代)」を大きくすれば大きな軸接合力
を得ることができる。しかしながら、この場合、軸部材
101及び支持端部材102、103の剛性(軸直角断
面の形状による)を高くする必要がある(いずれの部材
もマクロ的な塑性変形を起こさない領域で設定しなけれ
ばならない)。この場合、圧入式プッシュロッドの質量
が増加してしまい、慣性質量の軽減要求に相反するとい
った問題が生じる。
【0013】さらに、タイト量が大きいと、支持端部材
102、103の圧入時に、接合平面Aに微細な塑性変
形(ガジリ)を生じ、必要な軸接合力が得られないばか
りか、塑性変形して部分接触となった接合部に負荷荷重
が局部的に作用し、塑性変形が生じて軸接合力が低下す
るといった問題が生じる。また、軸接合部長さを長くす
る場合も、これと同様の問題が生じる。該圧入式プッシ
ュロッドを実際にエンジンで使用する際には、軸接合力
や元長さ保持力を維持しなければならないが、軸接合力
や元長さ保持力を維持するには、各接合平面Aに高い加
工精度(粗さ、平面度、平行度等の幾何寸法)が要求さ
れる。いずれにせよ、このような機械的接合平面では界
面の「なじみ」が生じ、軸接合力や元長さ保持力が低下
するといった問題を解決することは困難である。
【0014】また、例えば図22に示すような従来の溶
接式プッシュロッドでは、前記のとおり、硬質材料(軸
受け鋼)と軟鋼とが冶金的に接合されるので、接合部の
脆弱化による破壊や、応力集中による破壊等が生じるお
それがある。
【0015】本発明は、上記従来の問題点を解決するた
めになされたものであって、強度が高くかつ慣性質量が
小さい安価な中空プッシュロッドの製造方法を提供する
ことを解決すべき課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明にかかる一体式中空プッシュロッド
の製造方法は、中空部を有する薄肉の軸部と、該軸部の
軸線方向の両端部に形成されそれぞれ球面状端面を有す
る第1及び第2の厚肉の球状支持端部とが一体形成され
ている一体式中空プッシュロッドの製造方法において、
(a)プッシュロッド最大径(最も太い部分の外径)よ
り大きい外径を有するパイプ状の加工素材の円柱状空間
部に、第1の端部近傍の所定の部位を除き、中空部の内
径とほぼ等しい外径を有する芯金(ピン)を配置する芯
金配置工程と、(b)加工素材に対して、第2の端部近
傍の所定の部位を除き、絞り加工(鍛造、塑性加工)を
施して、芯金が配置されていない部位に第1の厚肉部を
形成する一方、芯金が配置されている部位に軸部を形成
する第1の絞り加工工程と、(c)円柱状空間部から芯
金を除去した上で、加工素材の第2の端部近傍の上記所
定の部位に絞り加工(鍛造、塑性加工)を施して、該部
位に第2の厚肉部を形成する第2の絞り加工工程と、
(d)第1及び第2の厚肉部の端面をそれぞれ球面状に
加工して、第1及び第2の球状支持端部を形成する球状
支持端部形成工程とを備えていることを特徴とするもの
である。
【0017】この一体式中空プッシュロッドの製造方法
によれば、中空部を有する薄肉の軸部と、該軸部の軸線
方向の両端部に形成されそれぞれ球面状端面を有する第
1及び第2の球状支持端部とが一体形成されている、強
度が高く慣性質量が小さい一体式中空プッシュロッド
を、容易にかつ低コストで製造することができる。
【0018】上記一体式中空プッシュロッドの製造方法
においては、第1及び第2の絞り加工工程で、それぞ
れ、第1及び第2の厚肉部内の円柱状空間部が消滅する
まで加工素材を絞って、第1及び第2の厚肉部に中空部
を閉塞させるようにしてもよい。なお、この場合、パイ
プ状の加工素材に代えて、第1の端部近傍の部位が閉塞
された略カップ状の加工素材を用いてもよい。このよう
にすれば、第1及び第2の球状支持端部がそれぞれ中空
部を閉塞している一体式中空プッシュロッドを容易にか
つ低コストで製造することができる。
【0019】上記一体式中空プッシュロッドの製造方法
においては、第1及び第2の絞り加工工程の少なくとも
一方で、第1又は第2の厚肉部内の円柱状空間部が少量
だけ残留するように加工素材を絞り、第1及び第2の厚
肉部の少なくとも一方に、中空部を外部に連通させる小
径の穴部を形成するようにしてもよい。このようにすれ
ば、第1及び第2の球状支持端部の少なくとも一方に、
プッシュロッド軸線方向に伸び中空部を外部に連通させ
る小径の穴部が形成された一体式中空プッシュロッドを
容易にかつ低コストで製造することができる。
【0020】上記一体式中空プッシュロッドの製造方法
においては、(i)第1の絞り加工工程で、加工素材を
第1の金型の穴部内に押し出して第1の厚肉部と上記軸
部とを形成し、(ii)第2の絞り加工工程では、凸状の
球状型面を有する金具を用いて加工素材を第2の金型の
穴部内に押し出し、第2の厚肉部を形成するとともに該
厚肉部の端面に凹状の球面状端面を形成し、(iii)球
状支持端部形成工程で、第1の厚肉部の端面に機械加工
を施して凸状の球面状端面を形成するのが好ましい。こ
のようにすれば、第1の球状支持端部の球面状端面が凸
状で、第2の球状支持端部の球面状端面が凹状である一
体式中空プッシュロッドを容易にかつ低コストで製造す
ることができる。この場合、第2の金型の穴部の径を第
1の金型の穴部の径よりも大きく設定するのが好まし
い。このようにすれば、該一体式中空プッシュロッドの
製造(絞り加工、鍛造、塑性加工)に際して、薄肉部と
厚肉部との境界部においてプッシュロッド外周にその強
度を低下させる欠肉部ないしは脆弱断面(危険断面)が
生じるのが防止される。
【0021】上記一体式中空プッシュロッドの製造方法
においては、第2の金型の穴部にテーパ部を設け、第2
の絞り加工工程で、加工終了時点で加工素材の第2の端
部を上記テーパ部内に位置させるようにしてもよい。こ
のようにすれば、第2の球状支持端部の球面状端面近傍
に径方向外向きに膨出する縁部を有する一体式中空プッ
シュロッドを容易にかつ低コストで製造することができ
る。
【0022】上記一体式中空プッシュロッドの製造方法
においては、(i)第1の絞り加工工程で、加工素材を
第1の金型の穴部内に押し出して第1の厚肉部及び上記
軸部を形成し、(ii)第2の絞り加工工程で、加工素材
をさらに第1の金型の穴部内に押し出して、第2の厚肉
部を形成し、(iii)球状支持端部形成工程で、第1及
び第2の厚肉部の端面にそれぞれ機械加工を施して凸状
の球面状端面を形成するようにしてもよい。このように
すれば、第1及び第2の球状支持端部の球面状端面がそ
れぞれ凸状である一体式中空プッシュロッドを容易にか
つ低コストで製造することができる。なお、第2の絞り
加工工程で、加工素材を、第1の金型の穴部よりも径が
大きい穴部を有する第2の金型の該穴部内に押し出し
て、第2の厚肉部を形成するようにしてもよい。このよ
うにすれば、該一体式中空プッシュロッドの製造(絞り
加工、鍛造、塑性加工)に際して、薄肉部と厚肉部との
境界部においてプッシュロッド外周にその強度を低下さ
せる欠肉部ないしは脆弱断面(危険断面)が生じるのが
防止される。
【0023】上記各一体式中空プッシュロッドの製造方
法においては、球状支持端部形成工程の後で第1及び第
2の球状支持端部に表面硬化処理を施す表面処理工程を
備えているのが好ましい。なお、表面硬化処理として
は、例えば浸炭処理、窒化処理、高周波焼き入れ処理等
があげられる。このようにすれば、球状支持端部の耐摩
耗性が高められる。また、表面処理工程の後で第1及び
第2の球状支持端部に研磨処理を施す研磨工程を備えて
いるのがさらに好ましい。なお、研磨処理としては、例
えばペーパー研磨、バフ研磨、バレル研磨等があげられ
る。このようにすれば、球状支持端部の表面状態(粗
さ)が良くなる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を具体
的に説明する。 (実施の形態1) まず、本発明の実施の形態1を説明する。図20に示す
ように、オーバーヘッドバルブ型のエンジン1において
は、シリンダブロック2の上にシリンダヘッド3が取り
付けられている。そして、シリンダブロック2内に形成
されたシリンダ4(気筒)にはピストン5が嵌入されて
いる。このエンジン1においては、吸気バルブ6が開か
れたときに吸気ポート7から燃焼室8内に混合気が吸入
され、この混合気が点火プラグ(図示せず)によって着
火・燃焼させられる。ここで、燃焼ガス(排気ガス)
は、排気バルブ9が開かれたときに排気ポート10と排
気通路(図示せず)とを介して外部に排出される。かく
して、ピストン5はシリンダ4内で往復運動し、このピ
ストン5の往復運動はコネクチングロッド11とクラン
クアーム12とによってクランクシャフト13の回転運
動に変換される。
【0025】クランクシャフト13の近傍にはカムシャ
フト16が配置され、このカムシャフト16にカム17
が取り付けられている。なお、カムシャフト16はシリ
ンダブロック2によって回転自在に支持されている。そ
してカムシャフト16は、クランクシャフト13に取り
付けられた駆動ギヤ14と、カムシャフト16に取り付
けられ駆動ギヤ14と噛み合う被駆動ギヤ15とを介し
て、クランクシャフト13によってこれと同期して回転
駆動されるようになっている。
【0026】吸気バルブ6の軸部の上端部近傍には、回
動軸19回りに回動することができるロッカアーム20
が設けられている。そして、下端部がカム17(吸気用
カム)と当接し、上端部がロッカアーム20の一端に当
接するプッシュロッド18(一体式中空プッシュロッ
ド)が設けられ、吸気バルブ6は、カムシャフト16の
回転に伴って、プッシュロッド18とロッカアーム20
とを介して、カム17によって開閉されるようになって
いる。
【0027】同様に、排気バルブ9の軸部の上端部近傍
には、回動軸22回りに回動することができるロッカア
ーム23が設けられている。そして、下端部がカム17
(排気用カム)と当接し、上端部がロッカアーム23の
一端に当接するプッシュロッド21(一体式中空プッシ
ュロッド)が設けられ、排気バルブ9は、プッシュロッ
ド21とロッカアーム23とを介して、カム17によっ
て開閉されるようになっている。
【0028】ここで、プッシュロッド18、21は、カ
ムシャフト16に取り付けられたカム17のカムプロフ
ィルをロッカアーム20、23に正確に伝達することが
要求される。そして、プッシュロッド18、21は、エ
ンジン1の運転時に、その長さ(上側支持端部と下側支
持端部との距離)が、「座屈」、「へたり」あるいは
「摩耗」によって短くなるようなことがあってはならな
い。プッシュロッド18、21の長さが短くなると、ロ
ッカアーム20、23の作動量が少なくなり、吸・排気
バルブ6、9で要求されるバルブリフトが得られず、吸
気あるいは排気に支障をきたすことがある。さらに、こ
の現象が著しくなると、吸・排気バルブ6、9が完全に
開かなくなってエンジン停止に至るおそれがある。
【0029】また、プッシュロッド18、21は、エン
ジン1の運転時に、その長さが長くなるようなことがあ
ってはならない。プッシュロッド18、21の長さが長
くなると、ロッカアーム20、23の作動量が正常時に
比べて大きくなり、吸・排気バルブ6、9が完全には閉
まらなくなる(吸・排気バルブ6、9がバルブシートに
密着しなくなる)。このため燃焼室8内の混合気ないし
は燃焼ガスが十分に圧縮されないといった現象が生じ
る。燃焼ガスが圧縮されない場合、エンジン1の出力低
下が生じ、エンジン停止に至ることもある。
【0030】したがって、プッシュロッド18、21
は、ロッカアーム20、23を作動させて吸・排気バル
ブ6、9をリフトさせるために、十分な強度ないしは剛
性を備えていることが必要である。他面、動弁系の性能
の向上あるいは信頼性の向上を図るため、プッシュロッ
ド18、21の慣性質量を可及的に小さくすることが必
要である。
【0031】かくして、本発明にかかるプッシュロッド
18、21(一体式中空プッシュロッド)は、中空部を
有する薄肉の軸部と、該軸部の軸線方向の両端部に形成
されそれぞれ球面状端面(球支持部)を有する第1及び
第2の厚肉の球状支持端部とが一体形成された構造とさ
れ、その強度が高められるとともに、慣性質量が低減さ
れている。
【0032】すなわち、プッシュロッド18、21は、
一体形成された単一の部材ないしは一体構造物であり、
機械的接合あるいは冶金的接合を用いていないので、該
プッシュロッド18、21に軸線方向の荷重が作用して
も、従来の複数部材からなる中空プッシュロッドの場合
のような部材間の接合の緩みや破壊は起こらない。した
がって、該プッシュロッド18、21の強度ひいては信
頼性が大幅に高められる。また、軸部に中空部が設けら
れているので、該プッシュロッド18、21の慣性質量
が小さくなり、動弁系の性能あるいは信頼性が大幅に高
められる。
【0033】以下、図1〜図6を参照しつつ、実施の形
態1にかかるプッシュロッド18、21(一体式中空プ
ッシュロッド)の製造方法を具体的に説明する。なお、
実施の形態1にかかるプッシュロッド18、21は、基
本的には、絞り加工ないしは鍛造(通常は冷間鍛造であ
るが、温間鍛造あるいは熱間鍛造でもよい)で形成され
る。また、以下で説明するように、ワークとして鍛造可
能なパイプ状の加工素材が用いられているが、このワー
クは、鍛造可能な円柱形の加工素材の一方の端面から途
中まで穴を明けたカップ状のものでもよい。
【0034】(1)ワークセット工程 図1は、第1ダイス25(金型)内にパイプ状のワーク
26を配置した上で、ワーク26とほぼ同一径のパイプ
状の第1パンチ28(押圧金具)をワーク26の上端面
に当接させた状態を示している。図1に示すように、第
1ダイス25内には、上側から下側に向かって順に、円
柱状の大径部25aと、凹状屈折部25bと、テーパ状
の移行斜面部25cと、凸状屈折部25d(絞り部)
と、該凸状屈折部25dより若干大きい(例えば、直径
で0.03〜0.15mm大きい)径をもつ円柱状の小径
部25eとが設けられている。なお、ワーク26の第1
端面26a(下方端面)は凹状屈折部25bに位置して
いる。
【0035】そして、第1パンチ28の内部空間部には
芯金29(ピン)が配置され、この芯金29は、第1パ
ンチ28から下方に突出して、ワーク26内の円柱状空
間部27に挿入されている。なお、第1パンチ28と芯
金29とは一体式でもよい。ここで、芯金29は円柱状
空間部27の途中までしか挿入されず、したがって図1
に示すようにワーク26と第1パンチ28と芯金29と
を配置した状態では、ワーク26の下部に、芯金29が
挿入されていない部分(芯金無し部)が存在する。後で
説明するように、この芯金無し部が、成形後におけるプ
ッシュロッド18、21の厚肉の第1球状支持端部32
(第1厚肉部)となる(図6参照)。また、ワーク26
の芯金29が挿入されている部分(芯金有り部)の下部
が、プッシュロッド18、21の中空部27を有する軸
部31(薄肉部)となる(図6参照)。なお、該芯金有
り部の上部(残部)は、プッシュロッド18、21の厚
肉の第2球状支持端部30(第2厚肉部)となる(図6
参照)。
【0036】(2)第1絞り加工工程(第1鍛造工程) 図2に示すように、この第1絞り加工工程では、第1パ
ンチ28及び芯金29に加工荷重W1がかけられ、ワー
ク26に対して絞り加工ないしは鍛造加工が施される。
なお、図2は該絞り加工が終了してワーク26が成形さ
れた後の状態を示している。以下、この第1絞り加工工
程において、図1に示す状態から図2に示す状態に至る
までの成形過程を説明する。すなわち、図1に示す状態
において第1パンチ28及び芯金29に上側から下側に
向かって加工荷重W1を加えると、第1パンチ28及び
芯金29は連動しつつ下方に移動し、これに伴ってワー
ク26の第1端面26a(下端面)及び芯金無し部は、
第1ダイス25のテーパ状の移行斜面部25cに沿って
塑性流動(金属流動)する。第1ダイス25の凸状屈折
部25dを通過した芯金無し部は、その外径が凸状屈折
部25d(絞り部)により該凸状屈折部25dとほぼ同
一径となるとともに、小径部25eに押し出され、円柱
状空間部27が極限まで小さくなって中心部33で実質
的に消滅(圧着)し、第1厚肉部32が形成される。な
お、この場合、パイプ状のワーク26の絞り率やワーク
肉厚等を調整することにより、円柱状空間部27をうま
く消滅させることができる。なお、該第1厚肉部32に
油孔が必要な場合は、機械加工等により該第1厚肉部3
2に小径の孔部を形成する。
【0037】さらに、第1パンチ28及び芯金29を下
向きに移動させる(ワーク26を押し込む)と、芯金2
9は第1ダイス25の凸状屈折部25dに至り、凸状屈
折部25dと芯金29とで円環状の空間(金型配置)を
構成する。なお、この状態からは芯金29を移動させず
第1パンチ28のみを下向きに移動させるようにしても
よい。さらに、第1パンチ28を下向きに移動させる
と、ワーク26の芯金有り部の肉部がこの円環状の空間
に押し出されて成形され、中空部27を有する軸部31
となる。なお、ワーク26の上部には、大径部25a内
に位置し、成形が施されていない残留部30が存在す
る。ワーク26のこの残留部30は、次の第2絞り加工
工程で第2球状支持端部30となる(図6参照)。
【0038】(3)第2ワークセット工程 図3は、第2ダイス35(金型)内に、第1絞り加工工
程で成形されたワーク26を配置した上で、第2パンチ
36(押圧金具)をワーク26の上端面に当接させた状
態を示している。図3に示すように、第2ダイス35内
には、上側から下側に向かって順に、円柱状の大径部3
5aと、第1凹状屈折部35bと、テーパ状の第1移行
斜面部35cと、第1凸状屈折部35dと、円柱状の中
径部35eと、第2凹状屈折部35fと、テーパ状の第
2移行斜面部35gと、第2凸状屈折部35hと、円柱
状の小径部35iとが設けられている。また、第2パン
チ36の下端部には、凸型の球状端面36a(球状端
部)と、該球状端面36aを取り囲む平面状端面36b
と、該平面状端面36bを取り囲む傾斜端面36cとが
形成されている。
【0039】(4)第2絞り加工工程(第2鍛造工程) 図4及び図5に示すように、この第2絞り加工工程で
は、第2パンチ36に加工荷重W2がかけられ、ワーク
26に対して絞り加工ないしは鍛造加工が施されて、第
2球状支持端部30が形成される。なお、図4は該絞り
加工の途中の状態を示し、図5は該絞り加工が終了して
ワーク26が成形された後の状態を示している。
【0040】以下、この第2絞り加工工程において、図
3に示す状態から図5に示す状態に至るまでの成形過程
を説明する。すなわち、前記のとおり、第2パンチ36
は、球状端面36aと平面状端面36bと傾斜端面36
cとを備えている。ここで、球状端面36aは、ワーク
26を絞り加工すると同時に、第2球状支持端部30に
凹型球面状端面41(凹状球支持部)を成形するための
ものである。第2パンチ36の球状端面36aをワーク
26に押し込むと、凹型球面状端面41の底部(球支持
部底)に欠肉が生じるのが普通であるが、本発明にかか
るこの製造方法では、第2ダイス35の第1及び第2の
凸状屈折部35d、35h(絞り部)によってワーク2
6の肉部が絞られるので、欠肉は生じない。ただし、凹
型球面状端面41(凹状球支持部)をこの後で機械加工
で形成し、又は別工程で金型により成形する場合は、球
状端面36aを設ける必要はなく、第2パンチ36の端
面は平面でよい。
【0041】前記のとおり、第2ダイス35には、第1
及び第2の2つの凸状屈折部35d、35h(絞り部)
が設けられている。ここで第1凸状屈折部35dは、第
2球状支持端部30の凹型球面状端面41(球支持部)
の剛性を高めるために、該第2球状支持端部30の凹型
球面状端面41まわりの部分の外径を軸部31の外径よ
りも大きく成形するものである(したがって、両側の球
状支持端部が凸状の場合は不要である)。第2屈折部3
5h(絞り部)は、軸部31の外径とほぼ同じ内径であ
る。したがって、ワーク26の肉部が該第2屈折部35
hを通過する際にワーク26が成形されて小径となり、
第2球状支持端部30(厚肉部)が形成される。このと
き、円柱状空間部27は次第に小さくなって細い空間部
37となり(図4参照)、さらに極限まで小さくなって
中心部38で実質的に消滅(圧着)し、第2球状支持端
部30(厚肉部)が形成される。なお、凹型球面状端面
41のまわりには平面状端面42が形成されている。こ
の場合、ワーク26の絞り率やワーク肉厚等を調整する
ことにより、円柱状空間部27をうまく消滅させること
ができる。なお、該第2球状支持端部30に油孔が必要
な場合は、機械加工等により該第2球状支持端部30に
小径の孔部を形成する。
【0042】(5)機械加工工程 図6に示すように、このように成形されたワーク26
(中空部27を有する軸部31と、第2球状支持端部3
0とは完成している)の第1厚肉部32に機械加工が施
され、該第1厚肉部32に凸型球面状端面40が形成さ
れ、第1球状支持端部32となり、基本的にはプッシュ
ロッド18、21が完成する。
【0043】(6)後処理 この後、第1及び第2の球状支持端部32、30の球面
状端面40、41に表面硬化処理が施され、該球面状端
面40、41の耐摩耗性が高められる。なお、表面硬化
処理としては、例えば浸炭処理、窒化処理、高周波焼き
入れ処理等が用いられる。さらに、第1及び第2の球状
支持端部32、30の球面状端面40、41に研磨処理が
施され、該球面状端面40、41の表面状態(粗さ)が
改善される。ここで、研磨処理としては、例えばペーパ
ー研磨、バフ研磨、バレル研磨等が用いられる。なお、
これらの後処理は、とくに必要がなければ省略すること
ができる。
【0044】かくして、この実施の形態1によれば、第
1球状支持端部32の球面状端面40が凸状で、第2球
状支持端部30の球面状端面41が凹状であるプッシュ
ロッド18、21を容易にかつ低コストで製造すること
ができる。
【0045】(実施の形態2) 以下、図7〜図15を参照しつつ、本発明の実施の形態
2にかかるプッシュロッドの製造方法を説明するが、こ
の実施の形態2の基本構成は、前記の実施の形態1と共
通であるので、説明の重複を避けるため、以下では実施
の形態1と異なる部分についてのみ説明する。すなわ
ち、実施の形態2でも、実施の形態1の場合とほぼ同様
の手順で、第1球状支持端部32の球面状端面40が凸
状であり、第2球状支持端部30の球面状端面41が凹
状であるプッシュロッド18、21が製造される。な
お、実施の形態2における図7〜図12は、それぞれ、
実施の形態1における図1〜図6に対応する。
【0046】しかしながら、実施の形態2では、第1絞
り加工工程で芯金無し部に絞り加工を施す際に、円柱状
空間部27は完全に消滅(圧着)させられるのではなく
若干残留させられ、この残留部分が小径の穴部43とな
る。つまり、第1厚肉部32(ないしは第1球状支持端
部32)には、軸部31の中空部27を外部に連通させ
る小径の穴部43すなわち油孔が設けられる。
【0047】また、第2絞り加工工程でワーク26の上
部(第1絞り加工工程で成形されなかった部分)に絞り
加工を施す際も、円柱状空間部27は完全に消滅(圧
着)させられるのではなく、若干残留させられ、この残
留部分が小径の穴部44となる。つまり、第2球状支持
端部30には、軸部31の中空部27を外部に連通させ
る小径の穴部44すなわち油孔が設けられる。
【0048】また、図11から明らかなとおり、第2絞
り加工工程の終了時点では、ワーク26の上端部すなわ
ち第2球状支持端部30の上端部が第1移動傾斜面35
c内に位置するように絞り加工が施される。このため、
図12から明らかなとおり、プッシュロッド18、21
ないしは第2球状支持端部30の上端部には、プッシュ
ロッド径方向外向きに膨出する縁部45(つば部)が形
成されている。なお、実施の形態2では、このような縁
部45を形成する関係上、第2パンチ36の傾斜端面3
6cは、実施の形態1の場合に比べて小さくなってい
る。
【0049】また、実施の形態2では、第2ダイス35
の第2凸状屈折部35hないしは小径部35iの径が、
第1ダイス25の凸状屈折部25dないしは小径部25
eの径よりも大きくなっている。これは、該プッシュロ
ッド18、21の軸部31(薄肉部)と第2球状支持端
部30(厚肉部)との境界部においてプッシュロッド外
周にその強度を低下させる欠肉部ないしは脆弱断面(危
険断面)が生じるのを防止するためである。
【0050】すなわち、第2ダイス35の第2凸状屈折
部35hないしは小径部35iの径と、第1ダイス25
の凸状屈折部25dないしは小径部25eの径とが同一
である場合、第2絞り加工工程で、図13に示すよう
に、軸部31(薄肉部)と第2球状支持端部30(厚肉
部)との境界部に、その肉厚Dが軸部肉厚よりも小さい
欠肉部46が生じやすい。
【0051】このような欠肉部46が生じる原因は、お
よそ次のとおりである。すなわち、図14に示すよう
に、ワーク26の絞り移行部Bを第2ダイス35の第2
凸状屈折部35h(絞り部)で絞る際、絞り移行部Bの
肉部(材料)は軸中心側へ移動しようとする(軸外径が
小さくなろうとする)。このため、剛性の低い軸部31
(薄肉部)を軸中心方向へ変形させながら絞り加工が施
されるので、成形後においては軸部31と第2球状支持
端部30との境界部に欠肉部46が生じる。
【0052】かくして、図13に示すように、欠肉部4
6すなわち危険断面ないしは脆弱断面が生じると、該プ
ッシュロッド18、21の静的強度の低下、あるいは応
力集中による疲労破壊等が生じるおそれがある。そこ
で、実施の形態2では、第2ダイス35の第2凸状屈折
部35hないしは小径部35iの径を、第1ダイス25
の凸状屈折部25dないしは小径部25eの径よりも大
きくしている。なお、この径の設定は、絞り角度や第2
凸状屈折部35h(絞り部)のR(曲率)や、絞り成形
後における穴部44の形状あるいは寸法等に応じて行わ
れる。
【0053】なお、このようにすると、図15に示すよ
うに、第2球状支持端部30の外径は、軸部31の外径
よりも若干大きくなる。軸部31の外径は、第1ダイス
25の凸状屈折部25dないしは小径部25eの径と実
質的に同一となり、他方第2球状支持端部30の外径
は、第2ダイス35の第2凸状屈折部35hないしは小
径部35iの径と実質的に同一となるからである。
【0054】その他は、実施の形態1の場合と同様であ
る。かくして、実施の形態2においても、第1球状支持
端部32の球面状端面40が凸状で、第2球状支持端部
30の球面状端面41が凹状であるプッシュロッド1
8、21を容易にかつ低コストで製造することができ
る。
【0055】(実施の形態3) 以下、図16〜図19を参照しつつ、本発明の実施の形
態3にかかるプッシュロッドの製造方法を説明するが、
この実施の形態3にかかるプッシュロッドの製造方法の
基本構成は、前記の実施の形態1の場合と共通であるの
で、説明の重複を避けるため、以下では実施の形態1と
異なる部分についてのみ説明する。 (1)ワークセット工程 図16は、第1ダイス25(金型)内にパイプ状のワー
ク26を配置した上で、ワーク26とほぼ同一径のパイ
プ状の第1パンチ28(押圧金具)をワーク26の上端
面に当接させた状態を示している。図16から明らかな
とおり、このワークセット工程は、実施の形態1のプッ
シュロッドの製造方法のワークセット工程と実質的に同
一であるので、その詳しい説明は省略する。
【0056】(2)第1絞り加工工程(第1鍛造工程) 図17に示すように、この第1絞り加工工程では、第1
パンチ28及び芯金29に加工荷重W1がかけられ、ワ
ーク26に対して絞り加工ないしは鍛造加工が施され
る。図17から明らかなとおり、この第1絞り加工工程
は、実施の形態1のプッシュロッドの製造方法の第1絞
り加工工程と実質的に同一であるので、その詳しい説明
は省略する。
【0057】(3)第2絞り加工工程(第2鍛造工程) 図18に示すように、この第2絞り加工工程では、第1
パンチ28から芯金29を抜き去った後、第1パンチ2
8に加工荷重W3がかけられ、ワーク26に対して絞り
加工ないしは鍛造加工が施されて、ワーク26の上部
(第1絞り加工工程で成形されなかった部分)に第2厚
肉部30が形成される。このとき、円柱状空間部27は
極限まで小さくなって中心部54で実質的に消滅(圧
着)する。
【0058】(4)機械加工工程 図19に示すように、このように成形されたワーク26
(中空部27を有する軸部31は完成している)の第1
厚肉部32に機械加工が施され、該第1厚肉部32に凸
型球面状端面40が形成され、第1球状支持端部32と
なる。さらに、第2厚肉部30に機械加工が施され、該
第2厚肉部30に凸型球面状端面55が形成され、第2
球状支持端部30となる。
【0059】(5)後処理 この後、第1及び第2の球状支持端部32、30の球面
状端面40、55に表面硬化処理が施され、該球面状端
面40、55の耐摩耗性が高められる。なお、表面硬化
処理としては、例えば浸炭処理、窒化処理、高周波焼き
入れ処理等が用いられる。さらに、第1及び第2の球状
支持端部32、30の球面状端面40、55に研磨処理が
施され、該球面状端面40、55の表面状態(粗さ)が
改善される。ここで、研磨処理としては、例えばペーパ
ー研磨、バフ研磨、バレル研磨等が用いられる。なお、
これらの後処理は、特に必要がなければ省略することが
できる。
【0060】かくして、この実施の形態3によれば、両
球状支持端部32、30の球面状端面40、55がいず
れも凸状であるプッシュロッド18、21を容易にかつ
低コストで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1にかかるプッシュロッドの製造
工程のワークセット工程における、ダイス、パンチ及び
ワークの立面断面図である。
【図2】 実施の形態1にかかるプッシュロッドの製造
工程の第1絞り加工工程の終期における、ダイス、パン
チ及びワークの立面断面図である。
【図3】 実施の形態1にかかるプッシュロッドの製造
工程の第2絞り加工工程の初期における、ダイス、パン
チ及びワークの立面断面図である。
【図4】 実施の形態1にかかるプッシュロッドの製造
工程の第2絞り加工工程の中期における、ダイス、パン
チ及びワークの立面断面図である。
【図5】 実施の形態1にかかるプッシュロッドの製造
工程の第2絞り加工工程の終期における、ダイス、パン
チ及びワークの立面断面図である。
【図6】 実施の形態1にかかる製造方法で製造された
プッシュロッドの立面断面図である。
【図7】 実施の形態2にかかるプッシュロッドの製造
工程のワークセット工程における、ダイス、パンチ及び
ワークの立面断面図である。
【図8】 実施の形態2にかかるプッシュロッドの製造
工程の第1絞り加工工程の終期における、ダイス、パン
チ及びワークの立面断面図である。
【図9】 実施の形態2にかかるプッシュロッドの製造
工程の第2絞り加工工程の初期における、ダイス、パン
チ及びワークの立面断面図である。
【図10】 実施の形態2にかかるプッシュロッドの製
造工程の第2絞り加工工程の中期における、ダイス、パ
ンチ及びワークの立面断面図である。
【図11】 実施の形態2にかかるプッシュロッドの製
造工程の第2絞り加工工程の終期における、ダイス、パ
ンチ及びワークの立面断面図である。
【図12】 実施の形態2にかかる製造方法で製造され
たプッシュロッドの立面断面図である。
【図13】 欠肉部が生じたプッシュロッドの欠肉部近
傍を拡大して示した立面断面図である。
【図14】 図9のダイス及びワークの一部を拡大して
示した立面断面図である。
【図15】 第2球状支持端部が若干大径に形成された
プッシュロッドの第2端部近傍部分の立面断面図であ
る。
【図16】 実施の形態3にかかるプッシュロッドの製
造工程のワークセット工程における、ダイス、パンチ及
びワークの立面断面図である。
【図17】 実施の形態3にかかるプッシュロッドの製
造工程の第1絞り加工工程の終期における、ダイス、パ
ンチ及びワークの立面断面図である。
【図18】 実施の形態3にかかるプッシュロッドの製
造工程の第2絞り加工工程の終期における、ダイス、パ
ンチ及びワークの立面断面図である。
【図19】 実施の形態3にかかる製造方法で製造され
たプッシュロッドの立面断面図である。
【図20】 プッシュロッドを用いたオーバーヘッドバ
ルブ型のエンジンの一部断面立面図である。
【図21】 従来の圧入式中空プッシュロッドの縦断面
図である。
【図22】 従来の溶接式中空プッシュロッドの縦断面
図である。
【符号の説明】
1…エンジン、2…シリンダブロック、3…シリンダヘ
ッド、4…シリンダ、5…ピストン、6…吸気バルブ、
7…吸気ポート、8…燃焼室、9…排気バルブ、10…
排気ポート、11…コネクチングロッド、12…クラン
クアーム、13…クランクシャフト、14…駆動ギヤ、
15…被駆動ギヤ、16…カムシャフト、17…カム、
18…プッシュロッド、19…回動軸、20…ロッカア
ーム、21…プッシュロッド、22…回動軸、23…ロ
ッカアーム、25…第1ダイス、26…ワーク、27…
中空部、28…第1パンチ、29…芯金、30…第2球
状支持端部(第2厚肉部)、31…軸部、32…第1球
状支持端部(第1厚肉部)、33…中心部、35…第2
ダイス、36…第2パンチ、38…中心部、40…凸型
球面状端面、41…凹型球面状端面、42…平板状端
面、43…穴部、44…穴部、45…縁部、46…欠肉
部、54…中心部、55…凸型球面状端面。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−244808(JP,A) 特開 昭60−106635(JP,A) 実開 昭54−72212(JP,U) 実開 昭53−32209(JP,U) 実公 昭50−3862(JP,Y2) 登録実用新案355991(JP,Z1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F01L 1/14 B23K 1/20

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空部を有する薄肉の軸部と、該軸部の
    軸線方向の両端部に形成されそれぞれ球面状端面を有す
    る第1及び第2の厚肉の球状支持端部とが一体形成され
    ている一体式中空プッシュロッドの製造方法であって、 プッシュロッド最大径より大きい外径を有するパイプ状
    の加工素材の円柱状空間部に、第1の端部近傍の所定の
    部位を除き、上記中空部の内径とほぼ等しい外径を有す
    る芯金を配置する芯金配置工程と、 上記加工素材に対して、第2の端部近傍の所定の部位を
    除き、絞り加工を施して、芯金が配置されていない部位
    に第1の厚肉部を形成する一方、芯金が配置されている
    部位に上記軸部を形成する第1の絞り加工工程と、 上記円柱状空間部から芯金を除去した上で、加工素材の
    第2の端部近傍の上記所定の部位に絞り加工を施して、
    該部位に第2の厚肉部を形成する第2の絞り加工工程
    と、 上記第1及び第2の厚肉部の端面をそれぞれ球面状に加
    工して、上記第1及び第2の球状支持端部を形成する球
    状支持端部形成工程とを備えていることを特徴とする一
    体式中空プッシュロッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 上記第1及び第2の絞り加工工程で、そ
    れぞれ、上記第1及び第2の厚肉部内の円柱状空間部が
    消滅するまで加工素材を絞って、上記第1及び第2の厚
    肉部に上記中空部を閉塞させるようにしたことを特徴と
    する請求項1に記載された一体式中空プッシュロッドの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 上記パイプ状の加工素材に代えて、第1
    の端部近傍の部位が閉塞された略カップ状の加工素材を
    用いることを特徴とする請求項2に記載された一体式中
    空プッシュロッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 上記第1及び第2の絞り加工工程の少な
    くとも一方で、上記第1又は第2の厚肉部内の円柱状空
    間部が少量だけ残留するように加工素材を絞り、上記第
    1及び第2の厚肉部の少なくとも一方に、上記中空部を
    外部に連通させる小径の穴部を形成するようにしたこと
    を特徴とする請求項1に記載された一体式中空プッシュ
    ロッドの製造方法。
  5. 【請求項5】 上記第1の絞り加工工程で、加工素材を
    第1の金型の穴部内に押し出して上記第1の厚肉部と上
    記軸部とを形成し、 上記第2の絞り加工工程で、凸状の球状型面を有する金
    具を用いて加工素材を第2の金型の穴部内に押し出し、
    上記第2の厚肉部を形成するとともに該厚肉部の端面に
    凹状の球面状端面を形成し、 上記球状支持端部形成工程で、上記第1の厚肉部の端面
    に機械加工を施して凸状の球面状端面を形成するように
    したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記
    載された一体式中空プッシュロッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 上記第2の金型の穴部の径を上記第1の
    金型の穴部の径よりも大きく設定することを特徴とする
    請求項5に記載された一体式中空プッシュロッドの製造
    方法。
  7. 【請求項7】 上記第2の金型の穴部にテーパ部を設
    け、上記第2の絞り加工工程で、加工終了時点で加工素
    材の第2の端部を上記テーパ部内に位置させるようにし
    たことを特徴とする請求項5又は6に記載された一体式
    中空プッシュロッドの製造方法。
  8. 【請求項8】 上記第1の絞り加工工程で、加工素材を
    第1の金型の穴部内に押し出して上記第1の厚肉部及び
    上記軸部を形成し、 上記第2の絞り加工工程で、加工素材をさらに上記第1
    の金型の穴部内に押し出して、上記第2の厚肉部を形成
    し、 上記球状支持端部形成工程で、上記第1及び第2の厚肉
    部の端面にそれぞれ機械加工を施して凸状の球面状端面
    を形成するようにしたことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1つに記載された一体式中空プッシュロッドの
    製造方法。
  9. 【請求項9】 上記第1の絞り加工工程で、加工素材を
    第1の金型の穴部内に押し出して上記第1の厚肉部及び
    上記軸部を形成し、 上記第2の絞り加工工程で、加工素材を、上記第1の金
    型の穴部よりも径が大きい穴部を有する第2の金型の該
    穴部内に押し出して、上記第2の厚肉部を形成し、 上記球状支持端部形成工程で、上記第1及び第2の厚肉
    部の端面にそれぞれ機械加工を施して凸状の球面状端面
    を形成するようにしたことを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1つに記載された一体式中空プッシュロッドの
    製造方法。
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