JP2021161458A - 耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材および構造物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)耐食性、特に塗装耐食性の向上には、W、Cu、NiとともにMo、SnおよびSbのうちから選んだ1種または2種を複合添加することが有効である。このように、これらの元素を複合添加することで優れた耐食性が得られる理由は不明であるが、以下のように推定される。
Wはアノード反応に伴って溶出し、さび層中にWO4 2−として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを静電的に防止する。さらに、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。さらに、錆粒子の微細化により塩化物イオンなどの腐食促進因子の透過を抑制し、アノード反応、カソード反応を防止する。Cu、Niはさび層を緻密化させ、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。Sn、Sbは地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することによって、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、鋼材表面においてアノード反応を抑制する。ただし、これらの効果は単独含有では不十分であり、これらの元素を複合含有することによる相乗効果により、腐食抑制効果が大きく向上する。
(2)さらに、耐火性の観点からは、W、Cu、Niとともに、Sn、Sb、Moのうちから選んだ1種以上を複合添加することが有効である。
(3)(1)および(2)の知見に基づき、これらの元素の耐食性、耐火性に及ぼす影響についてさらに鋭意検討を行い、耐火性を示すF値および耐食性を示すR値を見出した。そして、R値が0.75以上になるように、W、Cu、Ni、Sn、Sb、の含有量を調整し、かつF値が1.00以上となるように、W、Cu、Ni、Sn、Sb、Moの鋼中における成分含有量を調整することにより、耐火性および耐食性にすぐれた鋼材を得ることができる。
[1]質量%で、
C:0.030%超え、0.200%以下、
Si:0.05%以上、1.00%以下
Mn:0.20%以上、2.00%以下、
P:0.003%以上、0.030%以下、
S:0.0001%以上、0.0100%以下、
Al:0.001%以上、0.100%以下、
W:0.03%以上、2.00%以下、
Cu:0.03%以上、0.50%以下、
Ni:0.03%以上、0.50%以下を含有し、
Sn:0.005%以上、0.200%以下、
Sb:0.005%以上、0.200%以下、
Mo:0.01%以上、1.00%以下から選ばれる1種以上を含有し、
さらに、式(1)で定義されるF値が1.00以上であり、
さらに、式(2)で定義されるR値が0.75以上であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
F=0.2×Cu+0.05×Ni+0.65×W+0.5×Sn+0.5×Sb+1.9×Mo (1)
R=3.5×Cu+4.5×Ni+8×W+4×(Sn+Sb) (2)
ここで、Cu、Ni、W、Sn、Sb、Moは各元素の含有量(質量%)である。
[2]さらに、質量%で、
Co:0.010%以上、1.000%以下を含有することを特徴とする[1]に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
[3]さらに、質量%で、
Ti:0.001%以上、0.050%以下、
V:0.005%以上、0.200%以下、
Nb:0.005%以上、0.200%以下、
Zr:0.005%以上、0.200%以下から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]または[2]に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
[4]さらに、質量%で、
B:0.0001%以上、0.0050%以下を含有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
[5]さらに、質量%で、
Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上、0.0100%以下から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
[6]前記構造用鋼材の表面に、塗膜を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
[7]前記塗膜が防食下地として無機ジンクリッチペイントを有し、下塗りとしてエポキシ樹脂塗料を有し、中塗りとしてふっ素樹脂上塗り用中塗り塗料を有し、上塗りとしてふっ素樹脂塗料上塗りを有することを特徴とする[6]に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
[8][1]〜[7]のいずれかに記載の構造用鋼材を用いた耐火性および塗装耐食性に優れた構造物。
[9]前記構造物が橋梁であることを特徴とする[8]に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造物。
Cは、鋼材の強度を上昇させる元素である。このため、Cは、構造用鋼としての所定の強度を確保するため、0.030%を超えて含有させる必要がある。一方、C含有量が0.200%を超えると、溶接性および靭性が劣化する。したがって、C含有量は0.030%超え、0.200%以下とする。好ましくは、0.040%以上である。また、好ましくは、0.180%以下である。
Siは製鋼時の脱酸に必要な元素である。このような効果は、Si含有量が0.05%以上で得られる。一方、Si含有量が1.00%を超えると、靭性および溶接性が著しく劣化する。したがって、Si含有量は0.05%以上、1.00%以下である。好ましくは0.10%以上である。また、好ましくは0.65%以下である。より好ましくは0.55%以下である。
Mnは、鋼材の強度を上昇させる元素である。このため、Mnは、構造用鋼としての所定の強度を確保するため、0.20%以上含有させる必要がある。一方、Mn含有量が2.00%を超えると、靭性および溶接性が劣化するとともに合金コストが増大する。したがって、Mn含有量は0.20%以上、2.00%以下とする。好ましくは0.50%以上である。また、好ましくは1.75%以下である。
Pは、鋼材の塗装耐食性の向上に寄与する元素である。このような効果を得る観点から、Pは0.003%以上含有させる必要がある。一方、P含有量が0.030%を超えると、溶接性が劣化する。したがって、P含有量は0.003%以上、0.030%以下とする。
Sは、溶接性および靭性を劣化させる元素である。このため、S含有量は0.0100%以下とする必要がある。ただし、S含有量を0.0001%未満にしようとすると、生産コストが増大する。したがって、S含有量は0.0001%以上、0.0100%以下とする。
Alは、製鋼時の脱酸に必要な元素である。このような効果を得るため、Alは0.001%以上含有させる必要がある。一方、Al含有量が0.100%を超えると、溶接性に悪影響を及ぼす。したがって、Al含有量は0.001%以上、0.100%以下とする。好ましくは0.005%以上、より好ましくは0.010%以上である。また、好ましくは0.050%未満、より好ましくは0.030%未満である。
Wは本発明の鋼材において重要な元素であり、焼入れ性を向上させることで母材の常温強度を上昇させ、高温強度も上昇させる。そして、Wは、CuやNi、Sn、Sb、Moとともに複合添加することで、これらの元素との相乗効果によって鋼材の耐火性を大きく上昇させる。また、アノード反応に伴って溶出し、さび層中にWO4 2−として分布することによって、腐食促進因子の塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを静電的に防止する。さらに、鋼材表面にWを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。さらに、錆粒子の微細化により塩化物イオンなどの腐食促進因子の透過を抑制し、アノード反応、カソード反応を防止する。さらにまた、Wは、CuやNi、Sn、Sbとともに複合添加することで、これらの元素との相乗効果によって、鋼材の塗装耐食性を大きく向上させる。これらの効果を十分に得るためには、Wを0.03%以上含有させる必要がある。一方、W含有量が2.00%を超えると、合金コスト上昇を招く。したがって、W含有量は0.03%以上、2.00%以下とする。好ましくは、0.04%以上1.00%以下、より好ましくは、0.05%以上0.75%以下である。
Cuは、本発明の鋼材において重要な元素であり、固溶強化により母材の常温強度ならびに高温強度を上昇させる。また、さび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。これらの効果は、Cu含有量が0.03%以上で得られる。一方、Cu含有量が0.50%を超えると、合金コストの上昇を招く。したがって、Cu含有量は0.03%以上、0.50%以下とする。好ましくは、0.04%以上、0.40%以下、より好ましくは、0.05%以上、0.30%以下である。
Niは、本発明の鋼材において重要な元素であり、固溶強化により母材の常温強度ならびに高温強度を上昇させる。また、Niは、さび層のさび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、腐食促進因子である酸素や塩化物イオンの地鉄への透過を抑制する効果を有する。これらの効果は、Ni含有量が0.03%以上で得られる。一方、Ni含有量が0.50%を超えると、合金コストの上昇を招く。したがって、Ni含有量は0.03%以上、0.50%以下とする。好ましくは、0.04%以上、0.40%以下、より好ましくは、0.05%以上、0.30%以下である。
Snは、本発明の鋼材において重要な元素であり、固溶強化により母材の常温強度ならびに高温強度を上昇させる。また、地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することによって、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、Snは、鋼材表面においてアノード反応を抑制する。これらの効果を十分に得るためには、Sn含有量が0.005%以上とする必要がある。一方、Sn含有量が0.200%を超えると鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sn含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.100%以下、より好ましくは0.020%以上、0.050%未満である。
Sbは、本発明の鋼材において重要な元素であり、固溶強化により母材の常温強度ならびに高温強度を上昇させる。また、地鉄表面近傍においてさび層中に存在し、さび粒子を微細化することによって、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを防止する。また、Sbは、鋼材表面においてアノード反応を抑制する。これらの効果を十分に得るためには、Sb含有量が0.005%以上とする必要がある。一方、Sb含有量が0.200%を超えると鋼の延性や靭性の劣化を招く。したがって、Sb含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上0.100%以下、より好ましくは0.020%以上、0.050%未満である。
Moは本発明の鋼材において重要な元素であり、焼入れ性を向上させることで母材の常温強度を上昇させ、高温強度も上昇させる。さらに、高温時に炭窒化物を形成することで高温強度を上昇させる。また、鋼材のアノード反応に伴って溶出し、さび層中にMoO4 2−が分布することで、腐食促進因子である塩化物イオンがさび層を透過して地鉄に到達するのを抑制する。また、鋼材表面にMoを含む化合物が沈殿することで、鋼材のアノード反応を抑制する。これらの効果を十分に得るためには、Moを0.01%以上含有させる必要がある。しかしながら、Mo含有量が1.00%を超えると、合金コストの上昇を招く。したがって、Mo含有量は0.01%以上、1.00%以下とする。好ましくは、0.05%以上、1.00%以下、より好ましくは、0.10%以上0.75%以下である。
F=0.2×Cu+0.05×Ni+0.65×W+0.5×Sn+0.5×Sb+1.9×Mo (1)
ここで、Cu、Ni、W、Sn、Sb、Moは各元素の含有量(質量%)である。
但し、含有量の分析値が検出限界以下の元素は0(零)%とする。
上記式(1)で表されるF値は、鋼材の耐火性を示す指標であり、優れた耐火性を得るために1.00以上とする。なお、上限は限定するものではなく、数値が大きいほど優れた耐火性を示し、所望の耐火性に応じて適宜設定すればよいが、必要以上にF値を大きくするとコストがかさむため、1.00〜1.40が好ましい。
R=3.5×Cu+4.5×Ni+8×W+4×(Sn+Sb) (2)
ここで、Cu、Ni、W、Sn、Sbは各元素の含有量(質量%)である。
但し、含有量の分析値が検出限界以下の元素は0(零)%とする。
上記式(2)で表されるR値は、鋼材の耐食性を示す指標であり、優れた耐食性を得るためには、R値は、0.75以上とする。なお、上限は限定するものではなく、数値が大きいほど優れた耐食性を示し、所望の耐食性に応じて適宜設定すればよいが、必要以上にR値を大きくするとコストがかさむため、0.75〜20.0が好ましい。
また、F値およびR値は、それぞれの成分量と耐火性、耐食性との関係を調査して式(1)、式(2)を算出した。
Coは、さび層全体に分布し、さび粒を微細化することで緻密なさび層を形成し、これにより鋼材の耐候性を向上させる効果を有する。これらの効果を得るためには、Coを0.010%以上含有させる必要がある。しかしながら、Co含有量が1.000%を超えると、合金コストの上昇を招く。したがって、Coを含有する場合、Co含有量は0.010%以上、1.000%以下とする。好ましくは0.030%以上、0.500%以下、より好ましくは0.100%以上、0.350%以下である。
Tiは、微量の添加で常温強度および高温強度を高める元素である。これらの効果を得るためには、Tiを0.001%以上含有させる必要がある。しかしながら、Ti含有量が0.050%を超えると、靭性の劣化を招くおそれがある。したがって、Tiを含有する場合、Ti含有量は0.001%以上、0.050%以下とする。好ましくは0.005%、以上0.030%以下である。
Vは、微量の添加で常温強度および高温強度を高める元素である。これらの効果を得るためには、Vを0.005%以上含有させる必要がある。しかしながら、V含有量が0.200%を超えると、その効果が飽和する。したがって、Vを含有する場合、V含有量は0.050%以上、0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上、0.100%である。
Nbは、微量の添加で常温強度および高温強度を高める元素である。これらの効果を得るためには、Nbを0.005%以上含有する必要がある。しかしながら、Nb含有量が0.200%を超えると、靭性の劣化を招くおそれがある。したがって、Nbを含有する場合、Nb含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。好ましくは、0.010%以上、0.050%以下である。
Zrは、微量の添加で常温強度および高温強度を高める元素である。これらの効果を得るためには、Zrを0.005%以上含有する必要がある。しかしながら、Zr含有量が0.200%を超えると、その効果が飽和する。したがって、Zrを含有する場合、Zr含有量は0.005%以上、0.200%以下とする。好ましくは0.010%以上、0.200%以下である。
Bは、強度を高める元素である。この効果を得るためには0.0001%以上含有させる必要がある。しかしながら、B含有量が0.0050%を超えると靭性の劣化を招くおそれがある。したがって、Bを含有する場合、B含有量は0.0001%以上、0.0050%以下とする。好ましくは0.0005%以上、0.0025以下である。
Caは、鋼中のSを固定し、溶接熱影響部の靭性を向上させる元素である。この効果を得るためには、0.0001%以上含有させる必要がある。しかしながら、Ca含有量が0.0100%を超えると、鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。したがって、Caを含有する場合、Ca含有量は0.0001%以上、0.0100%以下とする。なお、好ましくはCa含有量が0.0005%以上、0.0080%以下である。
Mgは、鋼中のSを固定し、溶接熱影響部の靭性を向上させる元素である。この効果を得るためには、0.0001%以上含有させる必要がある。しかしながら、Mg含有量が0.0100%を超えると、鋼中の介在物の量が増加し、かえって靭性の劣化を招く。したがって、Mgを含有する場合、Mg含有量は0.0001%以上、0.0100%以下とする。なお、好ましくは0.0005%以上、00080%以下である。
各鋼板の板厚1/4位置から、引張方向が圧延方向に対して垂直方向に平行になるようJIS4号引張試験片(丸棒)を採取し、常温の降伏強さYS、引張強さTSおよび600℃の高温における降伏強さYSを求めた。なお、600℃の高温における降伏強さYSが常温のYS規格値の2/3以上であれば、耐火性に優れるとした。ここで、常温のYS規格値は、要求される規格、例えば、溶接構造用圧延鋼材JIS G 3106などに基づく。
鋼板から70mm×50mm×5mmの試験片を採取した。この試験片の表面に、JIS Z 0313(2004)に規定される除錆度Saが2.5となるようショットブラストを施し、アセトン中での超音波脱脂を5分間行い、風乾した。ついで、試験片の片面を塗装面とし、防食下地として無機ジンクリッチペイント(関西ペイント株式会社製 SDジンク1500A、厚さ:75μm)を塗布し、ついでミストコートとしてエポキシ樹脂塗料(関西ペイント株式会社製 エポマリン下塗ミストコート用)を塗布し、ついで下塗りとしてエポキシ樹脂塗料(関西ペイント株式会社製 エポマリンHB(K)、厚さ:120μm)を塗布し、ついで中塗りとしてふっ素樹脂上塗り塗料用の中塗り塗料(関西ペイント株式会社製 セラテクトF中塗塗料、厚さ:30μm)を塗布し、ついで上塗りとしてふっ素樹脂塗料上塗り塗料(関西ペイント株式会社製 セラテクトF上塗塗料、厚さ:25μm)を塗布し、防食下地層、下塗り層(ミストコートにより形成された塗膜も含む)、中塗り層および上塗り層からなる塗膜を形成した。なお、試験片の他方の片面と端面は、溶剤型のエポキシ樹脂塗料にてシールし、さらにシリコン系のシール剤にて被覆した。塗装後、試験片に形成した塗膜の中央部に、地鉄に到達するように幅:1mm、長さ:40mmの直線のカットを入れ、初期欠陥を設けた。ついで、ISO 16539 2013に準拠し、以下に示す条件にて腐食試験を実施した。
すなわち、試験片表面の人工海塩の付着量が6.0g/m2となるように、人工海塩を純水で所定の濃度に希釈した溶液をスプレーし、試験片に人工海塩を付着させた。ついで、この試験片を用いて、条件1(温度:60℃、相対湿度:35%、保持時間:3時間)から条件2(温度:40℃、相対湿度:95%、保持時間:3時間)および条件2から条件1への各移行時間を1時間とする、合計8時間のサイクルを1サイクルとして、これを1200サイクル繰り返す腐食試験を実施した。なお、人工海塩の付着は、週に1回とした。そして、腐食試験終了後、塗装における初期欠陥部からの膨れ面積(以下、塗装膨れ面積という)を測定し、塗装耐食性を評価した。なお、塗装膨れ面積が548mm2以下であれば、塗装耐食性に優れると判断した。
Claims (9)
- 質量%で、
C:0.030%超え、0.200%以下、
Si:0.05%以上、1.00%以下
Mn:0.20%以上、2.00%以下、
P:0.003%以上、0.030%以下、
S:0.0001%以上、0.0100%以下、
Al:0.001%以上、0.100%以下、
W:0.03%以上、2.00%以下、
Cu:0.03%以上、0.50%以下、
Ni:0.03%以上、0.50%以下を含有し、
Sn:0.005%以上、0.200%以下、
Sb:0.005%以上、0.200%以下、
Mo:0.01%以上、1.00%以下から選ばれる1種以上を含有し、
さらに、式(1)で定義されるF値が1.00以上であり、
さらに、式(2)で定義されるR値が0.75以上であり、
残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
F=0.2×Cu+0.05×Ni+0.65×W+0.5×Sn+0.5×Sb+1.9×Mo (1)
R=3.5×Cu+4.5×Ni+8×W+4×(Sn+Sb) (2)
ここで、Cu、Ni、W、Sn、Sb、Moは各元素の含有量(質量%)である。 - さらに、質量%で、
Co:0.010%以上、1.000%以下を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。 - さらに、質量%で、
Ti:0.001%以上、0.050%以下、
V:0.005%以上、0.200%以下、
Nb:0.005%以上、0.200%以下、
Zr:0.005%以上、0.200%以下から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。 - さらに、質量%で、
B:0.0001%以上、0.0050%以下を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。 - さらに、質量%で、
Ca:0.0001%以上、0.0100%以下、
Mg:0.0001%以上、0.0100%以下から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。 - 前記構造用鋼材の表面に、塗膜を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
- 前記塗膜が防食下地として無機ジンクリッチペイントを有し、下塗りとしてエポキシ樹脂塗料を有し、中塗りとしてふっ素樹脂上塗り用中塗り塗料を有し、上塗りとしてふっ素樹脂塗料上塗りを有することを特徴とする請求項6に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造用鋼材。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の構造用鋼材を用いた耐火性および塗装耐食性に優れた構造物。
- 前記構造物が橋梁であることを特徴とする請求項8に記載の耐火性および塗装耐食性に優れた構造物。
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