JP2021161102A - 皮膚を菌又はウイルスから防御する方法 - Google Patents

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由紀 西岡
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憲二 眞鍋
Kenji Manabe
一郎 森
Ichiro Mori
健一 長野
Kenichi Nagano
義隆 古賀
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Abstract

【課題】皮膚を菌又はウイルスから効果的に防御することができ、且つ人体への安全性が高い方法を提供する。【解決手段】皮膚を菌又はウイルスから防御する方法であって、前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cm2あたり0.5μg以上200μg以下である、方法。【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法に関する。
乳幼児のいる子育て世帯においては、乳幼児が外界から屋内に菌又はウイルスを家庭内に持ち込むことが主な感染ルートとして知られており、特に子育て世帯は風邪やインフルエンザウイルスの罹患リスクが高いと考えられる。
近年の調査によれば、人の日常生活における菌又はウイルスの感染経路としては接触感染が多いことが知られてきている。接触感染は主として、菌又はウイルスの感染者、ドアノブ、ハンドル、食器、玩具、その他日用品、内装品等の被接触物に手指が接触することにより起こる。
このような日常生活での接触行動による菌又はウイルスの接触感染を予防する方法が求められている。
手指を介しての菌又はウイルスの接触感染を予防する方法として、手指にアルコール系消毒剤等を適用して殺菌消毒する方法が知られている(例えば特許文献1,2を参照)。しかしながら、殺菌消毒において皮膚に施用される殺菌剤については、殺菌効果のみならず、人体に安全であることが望まれる。特に、皮膚の敏感な人や幼児が安心して使用することのできる殺菌方法が求められている。
例えば特許文献1,2に記載されている除菌剤・消毒剤は、有効量以上のエタノールやカチオン性殺菌剤を含有し、皮膚への刺激性が強く、さらに皮膚に塗布して用いるリーブオン製剤の用途では揮発性が強く長時間の殺菌が困難であることから、これらの要望を十分に満たしていないのが現状である。
特開2000−355506号公報 特開2004−155712号公報
本発明者は、予め手指に菌又はウイルスに対する防御機能(以下、単に「バリア性」ともいう)を付与する方法について検討した。当該方法によれば、菌又はウイルスへの感染防止効果が継続して得られ、外出先などで手洗い場がない環境下でも接触感染を予防することができる。また、菌又はウイルスが付着した被接触物に繰り返し接触した場合でも感染を防止できる点で好ましい。
本発明は、皮膚を菌又はウイルスから効果的に防御することができ、且つ人体への安全性が高い方法を提供することを課題とする。
本発明者は、ヒトの皮膚成分及び性状の網羅解析により、皮膚表面での菌数減少速度には、皮膚表面に存在する乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸量、水素イオン指数、温度、乾燥速度の4要素が寄与しており、特に乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸量が多い手指は菌及びウイルスの繁殖を防ぎ、手指等を介した接触感染の防止に有効であることを見出した。
この知見を基に検討を進め、生来、人の皮膚表面に存在している乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸を殺菌・殺ウイルス成分として用い、これら成分のうち解離型(乳酸イオン、ピルビン酸イオン、ウロカニン酸イオン)ではなく酸型(乳酸、ピルビン酸、ウロカニン酸)で存在する成分の量が所定範囲となるよう皮膚に適用することにより、人肌由来の成分を用いて皮膚表面において菌やウイルスの繁殖を抑えることができ、皮膚が衛生的に保たれることを見出した。
本発明は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法に関する。
本発明によれば、本来、人の皮膚表面に存在している乳酸、ピルビン酸又はウロカニン酸を用いて皮膚を菌又はウイルスから効果的に防御することができ、且つ人体への安全性が高い方法を提供できる。
手指上の有機酸組成を、実施例に記載の方法により分析した結果を示す図である。 人の皮膚表面における、有機酸によるバリア性の発現機構を示す模式図である。 菌又はウイルスの細胞膜を、乳酸の酸型が通過することで、殺菌又は殺ウイルス性が発現する機構を示す模式図である。
[皮膚を菌又はウイルスから防御する方法]
本発明の、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法(以下、「本発明の方法」ともいう)は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である方法である。
本発明の方法は上記構成を有することにより、菌又はウイルスに対するバリア性が良好で、且つ人体への安全性が高いものとなる。
本明細書において「皮膚を菌又はウイルスから防御する」とは、(1)前記組成物を適用した皮膚表面を用いて殺菌・殺ウイルスを行う、(2)前記組成物を適用した皮膚表面の殺菌・殺ウイルス作用により、菌・ウイルスが媒介しない皮膚に整える、(3)前記組成物を皮膚に適用することにより皮膚を菌・ウイルスから保護し、衛生的に保つ、及び(4)前記組成物を適用した皮膚表面の、菌・ウイルスに対する皮膚の感染防御力を高める、という概念を包含するものである。また、本発明の方法は、エタノール等で殺菌・殺ウイルスを行う技術とは異なり、前記組成物が皮膚表面に残留しやすく、継続的な殺菌・殺ウイルス効果を皮膚表面に付与できることから、皮膚表面に残留させる用途で用いられるリーブオン製剤に対し、特に有用な技術である。さらに、生来、人の皮膚表面に存在している乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸を用いることから、組成物を適用した皮膚表面のかぶれ等の皮膚トラブルを抑制できることも期待できる。
本明細書において「酸型で存在する成分(A)」とは、成分(A)のうち、前記組成物中又は該組成物を適用した皮膚表面で乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸として存在する成分を意味し、「解離型で存在する成分(A)」とは、成分(A)のうち、前記組成物中又は該組成物を適用した皮膚表面で乳酸イオン、ピルビン酸イオン及びウロカニン酸イオンとして存在する成分を意味する。
本発明に至った経緯について以下に述べる。
成分(A)である乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸は、汗腺から供給されるなどして、生来、人の皮膚表面に存在している。本発明者らは人の手指の成分・性状に関する網羅解析を行った。具体的には、まず、20〜40代の日本人の男女54名を対象に、実施例に記載の方法により人の手指上の有機酸組成を分析した。図1はその分析結果を示したものであり、乳酸が最も多く(90質量%)、ピルビン酸(5.7質量%)、及びウロカニン酸(3.4質量%)が全体の99質量%以上を占めていることが判った。さらに、手指上の乳酸量、ピルビン酸量及びウロカニン酸量が多い人ほど、インフルエンザ等の感染症に罹患しにくいという知見を得た。
図2は、人の皮膚表面における、有機酸によるバリア性の発現機構を示す模式図である。図2に示す通り、本発明者らは、得られた上記知見から、汗に含まれる乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸等の有機酸が、人の皮膚表面において菌、ウイルス等に対するバリア機能を担っていると予想した。そして、感染症に罹患しにくい人の手指を再現するように皮膚表面に人肌由来成分である成分(A)を補うことで、皮膚表面に菌又はウイルスに対するバリア性を付与しながらも、皮膚刺激による肌トラブルが抑制された、人体安全性の高い、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法を提供できると考え、本発明を完成させた。
本発明の方法が上記効果を奏する理由については定かではないが、次のように考えられる。以下、推察される本発明の作用機構について、図3を用いて説明する。
図3は、菌又はウイルスの細胞膜を、乳酸の酸型が通過することで、殺菌又は殺ウイルス性が発現する機構を示す模式図である成分(A)の1種である乳酸は、水溶液中で酸型(CHCH(OH)COOH)と解離型(CHCH(OH)COO)の形態を取り得るが、酸型の方が電荷をもたず、菌又はウイルス体内に取り込まれやすいことから、酸型の方が高いバリア性を発現する。そのため、前記組成物の皮膚への適用量を、酸型で存在する成分(A)の量が所定の範囲となるよう調整することにより、殺菌・殺ウイルス成分である成分(A)の適用量が少なくても菌又はウイルスに対するバリア性を付与することができ、さらには皮膚刺激性も低減できると推察される。
本発明の方法がバリア性を奏する対象となる菌又はウイルスとしては、酸との接触により不活性化又は死滅するものであれば特に制限されず、例えば厚生労働省の保育所における感染症対策ガイドラインに記載の微生物を適用することができると考えられる。具体的には、菌としてはグラム陽性細菌である炭疽菌、結核菌、溶血性レンサ球菌、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、あるいはグラム陰性細菌である野兎病菌、ペスト菌、ブルセラ菌、鼻疽菌、コレラ菌、サルモネラ菌、赤痢菌、腸管出血性大腸菌、百日咳菌等が挙げられる。また、ウイルスとしては、エンベロープウイルスであるアレナウイルス、エボラウイルス、痘そうウイルス、ナイロウイルス、マールブルグウイルス、コロナウイルス、サル痘ウイルス、ベータコロナウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヘルペスウイルス、ムンプスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルス、風しんウイルス、麻しんウイルス、及びノンエンベロープウイルスであるエンテロウイルス、アデノウイルス、コクサッキーウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス等が挙げられる。
なお、本実施例では、大腸菌及び腸球菌を例に挙げて殺菌性を評価しているが、これは倫理的に皮膚に付着させることが可能な微生物、あるいはヒトの皮膚に付着させる評価手法が公的試験法あるいは学術論文等で確立されている微生物であるという観点から採用しており、本発明が対象とする菌又はウイルスはこれらに限定されない。
<組成物>
本発明に用いる組成物は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する。
(成分(A))
本発明の組成物に用いる成分(A)は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩である。成分(A)は菌又はウイルスに対するバリア性成分として作用する。
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の塩としては、乳酸又はピルビン酸の、カリウム塩、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アミン塩;アンモニウム塩等が挙げられる。これらの中でも、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点、並びに入手容易性の観点から、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、カリウム塩、ナトリウム塩、及びカルシウム塩からなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、成分(A)としては乳酸又はその塩が好ましく、乳酸、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上がより好ましく、乳酸がさらに好ましい。
本発明に用いる組成物中の成分(A)の含有量は、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上、よりさらに好ましくは3質量%以上、よりさらに好ましくは8質量%以上である。また、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である。そして、前記組成物中の成分(A)の含有量は、好ましくは0.1〜35質量%、より好ましくは0.3〜30質量%、さらに好ましくは0.8〜30質量%、よりさらに好ましくは3〜20質量%、よりさらに好ましくは8〜15質量%である。
なお本明細書において「成分(A)の含有量」とは、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸に換算した量を意味する。
本発明に用いる組成物中の、酸型で存在する成分(A)の含有量は、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、よりさらに好ましくは1質量%以上である。また、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは8質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下である。そして、前期組成物中の成分(A)の含有量は、好ましくは0.005〜20質量%、より好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜8質量%、よりさらに好ましくは1〜5質量%である。
菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、前記組成物中の、酸型で存在する成分(A)及び解離型で存在する成分(A)の合計に対する、酸型で存在する成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)]は、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.1以上、よりさらに好ましくは0.3以上である。また、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、よりさらに好ましくは0.6以下である。そして、前記組成物中の上記モル比[酸型/(酸型+解離型)]は、好ましくは0.0001〜0.995、より好ましくは0.01〜0.9、さらに好ましくは0.1〜0.8、よりさらに好ましくは0.3〜0.6である。
上記モル比は、pH調整剤等を用いて組成物のpHを調整することにより制御でき、具体的には実施例に記載の方法により算出することができる。
本発明に用いる組成物は、成分(A)を溶解させる観点、及び皮膚表面に適用しやすくする観点から、さらに水を含有することが好ましい。組成物中の水の含有量は、成分(A)の配合量に応じ適宜選択することができるが、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下、よりさらに好ましくは92質量%以下である。そして、組成物中の水の含有量は、好ましくは10〜99.9質量%、より好ましくは30〜98質量%、さらに好ましくは60〜95質量%、よりさらに好ましくは85〜92質量%である。
前記組成物中の成分(A)及び水の合計含有量は、本発明の効果を得る観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。
なお、前記組成物には、上記以外に、必要に応じて他の成分、例えば、成分(A)以外の酸又はその塩、界面活性剤、増粘剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、制汗剤、香料、保湿剤、植物エキス、美白成分等を含有させることもできる。
上記の中でも、前記組成物に界面活性剤を含有させると、組成物の安定性を向上させる観点、及び組成物の保形性を向上させ、塗布時に皮膚上により滞留させることができ、菌又はウイルスに対するバリア性がより向上する観点で好ましい。
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤等が挙げられ、安全性の観点から、非イオン性界面活性剤が好ましい。
界面活性剤を用いる場合、前記組成物中の含有量は、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、よりさらに好ましくは0.3質量%以上であり、また、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下である。
そして、前記組成物中の界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%、さらに好ましくは0.1〜3質量%、よりさらに好ましくは0.3〜2質量%である。
前記組成物は、成分(A)を菌又はウイルスに対するバリア性成分として用いた組成物である観点で、カチオン性殺菌剤等を配合した殺菌剤組成物とは区別される。この観点、及び皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、該組成物中のカチオン性殺菌剤の含有量は好ましくは15質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以下であり、実質0質量%とすることが最も好ましい。
本発明に用いる組成物のpHは、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは1.5以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは3.2以上、よりさらに好ましくは3.5以上、よりさらに好ましくは3.7以上である。また、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下、さらに好ましくは5.5以下、よりさらに好ましくは5.0以下、よりさらに好ましくは4.5以下、よりさらに好ましくは4.2以下である。そして、前記組成物のpHは、好ましくは1.5〜7.0、より好ましくは1.5〜6.0、さらに好ましくは3.0〜5.5、よりさらに好ましくは3.2〜5.0、よりさらに好ましくは3.5〜4.5、よりさらに好ましくは3.7〜4.2である。
上記pHは25℃における値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
前記組成物の形態は特に制限されず、例えば、固形状、液状、ジェル状、クリーム状とすることができる。皮膚への塗布しやすさの点からは、ジェル状、又はクリーム状であることが好ましい。組成物は乳化組成物の形態であってもよく、該乳化組成物としては水中油型乳化組成物、油中水型乳化組成物のいずれでもよい。
前記組成物の剤型にも特に制限はなく、例えば、固形状組成物を備えたスティック製剤;液状組成物を充填したロールオン製剤もしくはスプレー製剤;液状、ジェル状又はクリーム状組成物をボトル、チューブ、ディスペンサー式容器等に充填した製剤、本組成物を含浸させたシート製品等が挙げられる。
<組成物の適用工程>
本発明の方法は、前記成分(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有する。前記組成物を皮膚に適用する方法は該組成物の剤型、適用部位等に応じて選択でき、例えば、該組成物を皮膚に塗布、噴霧等して適用することができる。
前記組成物を適用する身体部位は特に制限されず、手指、上腕、下肢、首、胴体等、任意の身体部位に適用できる。ヒトとヒト、モノとヒトの接触によって菌やウイルスが感染・伝播する経路を断つという観点から、日常生活中、公共物、自身の鼻や口に触れる機会が多い手指に適用することが好ましい。
該工程においては、前記組成物の適用量が、該組成物中に酸型で存在する成分(A)の量が皮膚1cmあたり0.05μg以上200μg以下となる量であることが好ましい。この範囲であれば、菌又はウイルスに対するバリア性が良好に発現し、且つ皮膚刺激性が少なく肌トラブルを抑制することができ、人体への安全性が高い。
前記組成物の上記適用量は、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、該組成物中に酸型で存在する成分(A)の量として、皮膚1cmあたり、より好ましくは0.5μg以上、さらに好ましくは2μg以上、よりさらに好ましくは5μg以上、よりさらに好ましくは20μg以上、よりさらに好ましくは30μg以上である。また皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは100μg以下、より好ましくは80μg以下、さらに好ましくは60μg以下、よりさらに好ましくは45μg以下である。そして、前記組成物の適用量は、該組成物中に酸型で存在する成分(A)の量として、好ましくは0.05〜200μgであり、より好ましくは0.5〜200μg、さらに好ましくは2〜100μg、よりさらに好ましくは5〜80μg、よりさらに好ましくは20〜60μg、よりさらに好ましくは30〜45μgである。
なお、ここでいう「組成物中に酸型で存在する成分(A)の量」とは、皮膚に適用する前の組成物中に含まれる酸型の成分(A)の量である。
該工程においては、前記組成物を適用した皮膚表面における酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下となるように該組成物を適用する。この範囲であれば、菌又はウイルスに対するバリア性が良好に発現し、且つ皮膚刺激性が少なく肌トラブルを抑制することができ、人体への安全性が高い。
前記組成物を適用した皮膚表面での、酸型で存在する成分(A)の量は、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、皮膚1cmあたり、好ましくは0.8μg以上、より好ましくは5μg以上、さらに好ましくは10μg以上、よりさらに好ましくは30μg以上である。また皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは92μg以下、より好ましくは80μg以下、さらに好ましくは60μg以下、よりさらに好ましくは43μg以下である。そして、前記組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量は、皮膚1cmあたり0.5〜200μgであり、好ましくは0.8〜92μg、より好ましくは5〜80μg、さらに好ましくは10〜60μg、よりさらに好ましくは30〜43μgである。
なお、「組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量」とは、前記組成物を適用した時点での皮膚表面における、該組成物由来の酸型の成分(A)と、皮膚表面に本来存在する酸型の成分(A)との合計量であり、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
前記組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)及び解離型で存在する成分(A)の合計に対する、酸型で存在する成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)]は、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.20以上、よりさらに好ましくは0.30以上である。また、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.60以下、よりさらに好ましくは0.50以下である。そして、前記組成物を適用した皮膚表面における上記モル比[酸型/(酸型+解離型)]は、好ましくは0.05〜0.92、より好ましくは0.10〜0.80、さらに好ましくは0.20〜0.60、よりさらに好ましくは0.30〜0.50である。
上記モル比[酸型/(酸型+解離型)]においては、前記組成物を適用した時点での皮膚表面における、該組成物由来の成分(A)と、皮膚表面に生来存在する成分(A)の両方が考慮される。該モル比は、具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
前記組成物を適用した後の皮膚表面のpHは、皮膚刺激による肌トラブルを抑制する観点から、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは3.5以上、よりさらに好ましくは3.7以上である。また、菌又はウイルスに対するバリア性向上の観点から、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5.0以下、よりさらに好ましくは4.5以下である。そして、前記組成物を適用した後の皮膚表面のpHは、好ましくは2.0〜6.0、より好ましくは3.0〜5.5、さらに好ましくは3.5〜5.0、よりさらに好ましくは3.7〜4.5である。
皮膚表面のpHは、本発明の方法を適用する環境温度での測定値であり、具体的には実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の方法においては、前記組成物を皮膚に適用した後に水洗等で該組成物を除去せず、皮膚表面に残留させることが好ましい。該組成物をリーブオン製剤として用いて、バリア性成分である成分(A)を皮膚表面に残留させることにより、菌又はウイルスに対するバリア性を付与できるためである。
前記組成物は予め水、石鹸、ボディソープ、ハンドソープなどで皮膚を洗浄し、洗浄後の皮膚に適用してもよく、未洗浄の皮膚に適用することもできる。洗浄後の皮膚は、本来存在する乳酸等の成分が洗い流され、外界に存在する菌やウイルスへのバリア性が低下している状態であることから、洗浄後の皮膚に前記組成物を適用して本発明の方法を実施することがより好ましい。
本発明の方法は、菌又はウイルスに対するバリア性により優れ、かつ皮膚刺激による肌トラブルがより抑制された、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法を提供する観点から、乳酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.8μg以上92μg以下である方法であることが好ましい。
本発明の方法は、菌又はウイルスに対するバリア性により優れ、かつ皮膚刺激による肌トラブルがより抑制された方法を提供する観点から、乳酸又はその塩(A)を含有し、酸型で存在する成分(A)の含有量が0.05質量%以上10質量%以下であり、酸型で存在する成分(A)及び解離型で存在する成分(A)の合計に対する、酸型で存在する成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)]が0.01〜0.9である殺菌又は殺ウイルス性組成物を、皮膚に適用する工程を有する方法であることが好ましい。
本発明は、皮膚を菌又はウイルスから防御する方法であって、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有し、酸型で存在する成分(A)の含有量が0.005質量%以上20質量%以下である殺菌又は殺ウイルス性組成物を皮膚に適用する工程を有する方法も提供する。
成分(A)、組成物中の酸型で存在する成分(A)の含有量、組成物の適用工程、及びこれらの好適態様は前記と同じである。
[殺菌又は殺ウイルス性組成物]
本発明は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する、皮膚に適用するための殺菌又は殺ウイルス性組成物であって、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、殺菌又は殺ウイルス性組成物を提供する。
成分(A)、酸型で存在する成分(A)の量、及びこれらの好適態様は前記と同じである。
[感染防御力を高める方法]
本発明は、皮膚の菌又はウイルスへの感染防御力を高める方法であって、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である方法も提供する。
成分(A)、酸型で存在する成分(A)の量、組成物の適用工程、及びこれらの好適態様は前記と同じである。
上述の実施形態に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
<1>
皮膚を菌又はウイルスから防御する方法であって、
前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、
該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、方法。
<2>
前記組成物を適用した皮膚表面での、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり、好ましくは0.8μg以上、より好ましくは5μg以上、さらに好ましくは10μg以上、よりさらに好ましくは30μg以上であり、好ましくは92μg以下、より好ましくは80μg以下、さらに好ましくは60μg以下、よりさらに好ましくは43μg以下である、<1>に記載の方法。
<3>
前記組成物の適用量が、該組成物中に酸型で存在する成分(A)の量が皮膚1cmあたり0.05μg以上、好ましくは0.5μg以上、より好ましくは2μg以上、さらに好ましくは5μg以上、よりさらに好ましくは20μg以上、よりさらに好ましくは30μg以上であり、200μg以下、好ましくは100μg以下、より好ましくは80μg以下、さらに好ましくは60μg以下、よりさらに好ましくは45μg以下である、<1>又は<2>に記載の方法。
<4>
成分(A)における乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の塩が、乳酸又はピルビン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、又はアンモニウム塩、好ましくは、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩からなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸の、カリウム塩、ナトリウム塩、及びカルシウム塩からなる群から選ばれる1種以上、さらに好ましくは、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれか1に記載の方法。
<5>
成分(A)が乳酸又はその塩、好ましくは乳酸、乳酸カリウム、乳酸ナトリウム、及び乳酸カルシウムからなる群から選ばれる1種以上、より好ましくは乳酸である、<1>〜<4>のいずれか1に記載の方法。
<6>
前記組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)及び解離型で存在する成分(A)の合計に対する、酸型で存在する成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)]が、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.20以上、よりさらに好ましくは0.30以上であり、好ましくは0.92以下、より好ましくは0.80以下、さらに好ましくは0.60以下、よりさらに好ましくは0.50以下である、<1>〜<5>のいずれか1に記載の方法。
<7>
前記組成物中の、酸型で存在する成分(A)及び解離型で存在する成分(A)の合計に対する、酸型で存在する成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)]が、好ましくは0.0001以上、より好ましくは0.01以上、さらに好ましくは0.1以上、よりさらに好ましくは0.3以上であり、好ましくは0.995以下、より好ましくは0.9以下、さらに好ましくは0.8以下、よりさらに好ましくは0.6以下である、<1>〜<6>のいずれか1に記載の方法。
<8>
前記組成物中の成分(A)の含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上、よりさらに好ましくは3質量%以上、よりさらに好ましくは8質量%以上であり、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、よりさらに好ましくは15質量%以下である、<1>〜<7>のいずれか1に記載の方法。
<9>
前記組成物がさらに水を含有し、該組成物中の水の含有量が、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、よりさらに好ましくは85質量%以上であり、また、好ましくは99.9質量%以下、より好ましくは98質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下、よりさらに好ましくは92質量%以下である、<1>〜<8>のいずれか1に記載の方法。
<10>
前記組成物がさらに界面活性剤を含有し、該組成物中の界面活性剤の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、よりさらに好ましくは0.3質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、よりさらに好ましくは2質量%以下である、<1>〜<9>のいずれか1に記載の方法。
<11>
前記界面活性剤は非イオン性界面活性剤である、<10>に記載の方法。
<12>
前記組成物中の成分(A)及び水の合計含有量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、よりさらに好ましくは90質量%以上、よりさらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%以下である、<1>〜<11>のいずれか1に記載の方法。
<13>
前記組成物のpHが好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは3.2以上、よりさらに好ましくは3.5以上、よりさらに好ましくは3.7以上であり、好ましくは7.0以下、より好ましくは6.0以下、さらに好ましくは5.5以下、よりさらに好ましくは5.0以下、よりさらに好ましくは4.5以下、よりさらに好ましくは4.2以下である、<1>〜<12>のいずれか1に記載の方法。
<14>
前記組成物中のカチオン性殺菌剤の含有量が好ましくは15質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以下であり、実質0質量%である、<1>〜<13>のいずれか1に記載の方法。
<15>
前記組成物を適用する身体部位が、手指、上腕、下肢、首、又は胴体であり、好ましくは手指である、<1>〜<14>のいずれか1に記載の方法。
<16>
前記組成物を適用した後の皮膚表面のpHが、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上、さらに好ましくは3.5以上、よりさらに好ましくは3.7以上であり、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下、さらに好ましくは5.0以下、よりさらに好ましくは4.5以下である、<1>〜<15>のいずれか1に記載の方法。
<17>
前記組成物を皮膚に適用した後に該組成物を除去せず、皮膚表面に残留させる、<1>〜<16>のいずれか1に記載の方法。
<18>
前記組成物を未洗浄の皮膚に適用する、<1>〜<17>のいずれか1に記載の方法。
<19>
前記組成物を洗浄後の皮膚に適用する、<1>〜<17>のいずれか1に記載の方法。
<20>
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物の使用であって、皮膚表面における酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下となるように皮膚に適用する、使用。
<21>
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する方法であって、該組成物を適用した皮膚表面における酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下となるように適用する、方法。
<22>
皮膚を菌又はウイルスから防御する方法であって、
前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有し、酸型で存在する成分(A)の含有量が0.005質量%以上20質量%以下である殺菌又は殺ウイルス性組成物を皮膚に適用する工程を有する、方法。
<23>
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する、皮膚に適用するための殺菌又は殺ウイルス性組成物であって、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、殺菌又は殺ウイルス性組成物。
<24>
皮膚の感染防御力を高める方法であって、
前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、
該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、方法。
<25>
乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有し、酸型で存在する成分(A)の含有量が0.005質量%以上20質量%以下である殺菌又は殺ウイルス性組成物を皮膚に適用する工程を有する、殺菌又は殺ウイルス性組成物の適用方法。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は実施例の範囲に限定されない。なお本実施例において、各種測定及び評価は以下の方法により行った。
(人の手指上の有機酸組成分析)
被験者54名に対して、それぞれ60μLの純水を滴下したろ紙3枚を手のひらに5分間貼り付け、手のひら上の水溶性成分を回収した。このろ紙を窒素噴霧により乾固したのち、再度純水を添加して超音波処理を行い、前記水溶性成分を抽出した。次いで遠心分離を行い、上清を回収した後、LC/MSを用いて上清中の有機酸成分の同定及び定量を行った。図1の円グラフに示した有機酸の組成は、20〜40代の日本人の男女54名を被験者とした、手のひらにおける有機酸の組成の平均値を示したものである。
(pH)
組成物のpHは、25℃において電極6367−10D((株)堀場製作所)により測定した。皮膚表面(手のひら)のpHは、電極Skin−pH−Meter PH905(Courage+Khazaka社製)により測定した。
(成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)])
使用した組成物中、及び組成物を適用した後の皮膚表面における成分(A)の上記モル比は、以下の計算式より求めた。なお、酸型を「HA」、解離型を「A」と表記する。
pH=pKa+log(A/HA)
log(A/HA)=pH−pKa
/HA=10^(pH−pKa)
=10^(pH−pKa)×HA
上記より、酸型のモル比[酸型/(酸型+解離型)]は
HA/(HA+A)=HA/(HA+10^(pH−pKa)×HA)
=1/(1+10^(pH−pKa))
ここで、成分(A)として乳酸を用いた場合(pKa=3.86)、
モル比[乳酸/(乳酸+乳酸イオン)]=1/(1+10^(x−3.86))
(xは、組成物のpH又は皮膚表面のpHを示す。)
実施例1〜10(殺菌性評価)
(殺菌用組成物の調製)
乳酸(富士フイルム和光純薬(株)製)を精製水に添加して混合し、乳酸水溶液を調製した。次いで、48%NaOH水溶液を用いて該乳酸水溶液のpH(25℃)を表1に示す値となるよう調整した後、乳酸の最終濃度が表1に記載の「組成物中の成分(A)の濃度」となるように精製水を添加して、殺菌用組成物を調製した。
(菌液の調製)
殺菌性評価には、下記方法により調製した大腸菌及び腸球菌の菌液を用いた。
大腸菌としてはNBRC3301株、腸球菌としてはNBRC3181株を用いた。これらの菌を、それぞれLB液体培地にて培養し、遠心により菌体を回収した後、純水を用いてOD600=10になるように調整した。
(殺菌性評価)
被験者の手を「ビオレu Rg」(花王(株)製)を用いて洗浄し、水道水で30秒間、純水で10秒間順にすすいだ。1〜5分待機後、調製した殺菌用組成物を手のひらに一定量(3μL/3cm)、均一に塗布した後、3分静置して乾燥させた。この際、殺菌用組成物を塗布した部位の皮膚表面のpHを前記方法で測定し、このpH値から、前記計算式により、組成物を適用した後の皮膚表面における、乳酸及び乳酸イオンの合計に対する乳酸のモル比[乳酸/(乳酸+乳酸イオン)]を求めた。
次いで、前記方法で調製した大腸菌又は腸球菌の菌液を、手のひらの、前記殺菌用組成物を塗布した部位に一定量(3μL/3cm)、均一に塗布した。3分静置した後、スワブ2本を用いて塗布した菌液を回収し、インキュベーションリーダー「HiTS」((株)サイニクス製)を用いて下記方法により生存菌数を測定して、菌数の減少量(生存菌数/初期の生菌数)を確認した。
〔菌数の減少量の測定〕
回収した菌液を、インキュベーションリーダー「HiTS」中で37℃にて液体培養し、波長600nmにおける吸光度(濁度)を経時で測定して、菌液中の生菌数の増殖曲線を作成した。同時に既知の生菌数を有する菌液を段階希釈し、同様に培養及び増殖曲線の作成を行い、一定の濁度に到達する時間と生菌数との検量線を作成した。本検量線より、回収した菌液中の生存菌数を推定し、菌数の減少量を確認した。
菌数の減少度合いについては、上記菌数減少量の−log値をとり、表1に示した。大腸菌に対する「−log(菌数減少)」の値が1.5以上であれば、十分な殺菌性が得られていると判断した。
比較例1
被験者の手のひらに純水を一定量(30μL/3cm)、均一に塗布し、数回ピペッティングを行った。この際、純粋を塗布した部位の皮膚表面のpHを前記方法で測定した。その後、手のひら上の溶液を回収し、ラクテートプロ(アークレイ(株)製)を用いて乳酸及び乳酸イオンの合計濃度を測定した。次に、使用した純水の容量と塗布面積から単位面積当たりの乳酸及び乳酸イオンの合計量を計算し、皮膚表面のpHから、前記計算式により、組成物を適用した後の皮膚表面における、乳酸及び乳酸イオンの合計に対する乳酸のモル比[乳酸/(乳酸+乳酸イオン)]を求めた。
それ以降の工程は、実施例1〜10と同様の方法により大腸菌の殺菌性評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2021161102
本発明によれば、生来人の皮膚表面に存在している乳酸、ピルビン酸又はウロカニン酸を用いて皮膚を菌又はウイルスから効果的に防御することができ、且つ人体への安全性が高い方法を提供できる。

Claims (6)

  1. 皮膚を菌又はウイルスから防御する方法であって、
    前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、
    該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、方法。
  2. 前記組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)及び解離型で存在する成分(A)の合計に対する、酸型で存在する成分(A)のモル比[酸型/(酸型+解離型)]が0.05以上0.92以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記組成物中の成分(A)の含有量が0.1質量%以上35質量%以下である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 皮膚を菌又はウイルスから防御する方法であって、
    前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有し、酸型で存在する成分(A)の含有量が0.005質量%以上20質量%以下である殺菌又は殺ウイルス性組成物を皮膚に適用する工程を有する、方法。
  5. 乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する、皮膚に適用するための殺菌又は殺ウイルス性組成物であって、該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、殺菌又は殺ウイルス性組成物。
  6. 皮膚の感染防御力を高める方法であって、
    前記方法は、乳酸、ピルビン酸及びウロカニン酸からなる群から選ばれる1種以上の酸又はその塩(A)を含有する組成物を皮膚に適用する工程を有し、
    該組成物を適用した皮膚表面における、酸型で存在する成分(A)の量が、皮膚1cmあたり0.5μg以上200μg以下である、方法。
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