JP2021161068A - 歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤 - Google Patents

歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤 Download PDF

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Abstract

【課題】操作性の向上を図ることができながら、高比重フィラーの沈降を抑制できる歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤を提供すること。【解決手段】歯科用充填用組成物に、ラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合性モノマーに可溶なポリマーと、比重が4g/cm3以上である高比重フィラーとを備え、ペースト状に調製する。そして、高比重フィラーの含有割合を50質量%以上に調整する。【選択図】 なし

Description

本発明は、歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤に関する。
歯科治療において、う蝕に罹患した歯がある場合、う蝕病原菌に感染した歯の一部を除去する必要がある。この場合、歯科用充填剤が、歯の一部が除去された窩洞とよばれる孔に充填され、X線造影により窩洞に対する充填状態が確認される。そのため、歯科用充填剤には、優れたX線造影性が望まれる。
そのような歯科用充填剤として、例えば、2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、ポリエチレングリコールジメタクリレートと、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレートと、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸の無水物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、N−フェニルグリシンナトリウムと、炭酸酸化ビスマスと、シリカとを含有する、易除去性歯科用組成物が提案されている(例えば、特許文献1の実施例1参照)。
そのような易除去性歯科用組成物は、炭酸酸化ビスマスなどを含む粉状のA剤と、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのラジカル重合性モノマーなどを含む液状のB剤とを別々に備える。そして、A剤とB剤とが使用直前に混合され、それらの混合物が、歯の一部が除去された窩洞に充填された後に硬化する。
国際公開第2011/049244号
しかし、特許文献1に記載の易除去性歯科用組成物は、粉状のA剤と液状のB剤とを混合して調製されるため、易除去性歯科用組成物を十分に硬化させるには、A剤およびB剤の混合割合を精度よく確保し、かつ、A剤およびB剤を十分に混合する必要がある。
そのため、特許文献1に記載の易除去性歯科用組成物の使用時における操作が煩雑である。そこで、A剤およびB剤のそれぞれをペースト状に調製して、歯科用充填剤の操作性の向上を図ることが望まれている。しかし、炭酸酸化ビスマスを含むA剤をペースト状に調製すると、炭酸酸化ビスマスが沈降して、A剤が固液分離する場合がある。
そこで、本発明は、操作性の向上を図ることができながら、高比重フィラーの沈降を抑制できる歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤を提供する。
本発明[1]は、ラジカル重合性モノマーと、前記ラジカル重合性モノマーに可溶なポリマーと、比重が4g/cm3以上である高比重フィラーと、を備え、ペースト状を有し、前記高比重フィラーの含有割合が50質量%以上である、歯科用充填用組成物を含む。
本発明[2]は、前記ポリマーは、メチル(メタ)アクリレートの単独重合体、および/または、メチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体を含む、上記[1]に記載の歯科用充填用組成物を含む。
本発明[3]は、微粒子フィラーをさらに備える、上記[1]または[2]に記載の歯科用充填用組成物を含む。
本発明[4]は、有機アミン系重合開始剤をさらに備え、前記微粒子フィラーは、疎水性シリカを含む、上記[3]に記載の歯科用充填用組成物を含む。
本発明[4]は、上記[4]に記載の歯科用充填用組成物を含有するA剤と、ラジカル重合性モノマーと、水と、親水性フィラーとを含有するB剤と、を備える、二剤型歯科用充填剤を含む。
本発明の歯科用充填用組成物は、高比重フィラーの含有割合が50質量%以上であるので、優れたX線造影性を有する。そして、歯科用充填用組成物がラジカル重合性モノマーに可溶なポリマーを含有するので、歯科用充填用組成物をペースト状に調製し、高比重フィラーの含有割合を上記下限以上としても、高比重フィラーが沈降することを抑制できる。そのため、歯科用充填用組成物は、優れたX線造影性および操作性を確保できながら、高比重フィラーの沈降を抑制できる。
本発明の二剤型歯科用充填剤は、上記した歯科用充填用組成物を含有するA剤と、ラジカル重合性モノマーと、水と、親水性フィラーとを含有するB剤とを備えるので、A剤とB剤とを円滑に混合でき、操作性の向上を図ることができる。
<歯科用充填用組成物>
本発明の歯科用充填用組成物は、ペースト状を有し、ラジカル重合性モノマーと、ラジカル重合性モノマーに可溶なポリマー(以下、可溶性ポリマーとする。)と、比重が4g/cm3以上である高比重フィラーとを備える。
ラジカル重合性モノマーは、重合性基を有する。重合性基は、エチレン性不飽和二重結合を含む。重合性基として、例えば、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミド基、ビニル基、シアン化ビニル基などが挙げられる。なお、(メタ)アクリロイルとは、メタクリロイルおよび/またはアクリロイルを含む。
ラジカル重合性モノマーとして、例えば、国際公開第2011/049244号に記載の(A)重合性単量体などが挙げられる。より具体的には、ラジカル重合性モノマーとして、水酸基含有ラジカル重合性モノマー、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー、トリメチロール骨格含有ラジカル重合性モノマー、酸性基含有ラジカル重合性モノマー、ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマー、イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマーなどが挙げられる。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーは、分子中に、上記した重合性基と、水酸基とを有する。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーにおける重合性基の数は、例えば、1以上、例えば、4以下、好ましくは、2以下である。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーにおける水酸基の数は、例えば、1以上、例えば、4以下、好ましくは、2以下である。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーの分子量は、例えば、70以上、好ましくは、120以上、例えば、500以下、好ましくは、300以下である。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーとして、例えば、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレートなど)、水酸基含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ1,3-ジメタクリロキシプロパンなど)、水酸基含有(メタ)アクリルアミド(例えば、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなど)などが挙げられる。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーは、分子中に、上記した重合性基と、ポリオキアルキレン基とを有するポリオキシアルキレン基は、少なくとも2つ連続したオキシアルキレン基を含む。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーにおける重合性基の数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上、例えば、4以下、好ましくは、3以下である。
ポリオキシアルキレン基が含むオキシアルキレン基の数は、例えば、2以上、好ましくは、3以上、例えば、30以下、好ましくは、25以下である。なお、以下では、ポリオキシアルキレン基が含むオキシアルキレン基の数をnとして示す。
オキシアルキレン基として、例えば、炭素数1以上4以下のオキシアルキレン基が挙げられ、好ましくは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が挙げられる。
ポリオキシアルキレン基は、1種のオキシアルキレン基のみを有してもよく、2種以上のオキシアルキレン基を有してもよい。ポリオキシアルキレン基は、好ましくは、1種のオキシアルキレン基のみを有する。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーの分子量は、例えば、100以上、好ましくは、200以上、例えば、2000以下、好ましくは、1500以下である。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーとして、例えば、ポリオキシエチレン基含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、トリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=3)、テトラオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=4)、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=9、14、23)など)、ポリオキシプロピレン基含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、ポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=7、12)、トリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=3など)、ポリオキシエチレン基含有(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
トリメチロール骨格含有ラジカル重合性モノマーは、分子中に、上記した重合性基と、トリメチロール骨格とを有する。
トリメチロール骨格含有ラジカル重合性モノマーにおける重合性基の数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下である。
トリメチロール骨格含有ラジカル重合性モノマーの分子量は、例えば、200以上、好ましくは、400以上、例えば、800以下、好ましくは、600以下である。
トリメチロール骨格含有ラジカル重合性モノマーとして、例えば、トリメチロール(メタ)アクリルアミド骨格含有ラジカル重合性モノマー(例えば、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミドなど)などが挙げられる。
酸性基含有ラジカル重合性モノマーは、分子中に、上記した重合性基と、遊離の酸性基および/または酸無水物を形成している酸性基とを有する。
酸性基含有ラジカル重合性モノマーにおける重合性基の数は、例えば、1以上、例えば、4以下、好ましくは、3以下である。
遊離の酸性基として、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基などが挙げられる。
このような酸性基は、酸無水物を形成することができる。酸無水物は、2つの酸性基が脱水縮合することにより形成される。なお、以下において、酸無水物を形成している酸性基を酸性基の酸無水物とする。
酸性基の酸無水物として、例えば、カルボキシ基の酸無水物、リン酸基の酸無水物、スルホ基の酸無水物などが挙げられる。
このような酸性基は、酸性基含有ラジカル重合性モノマーの分子中において、1種のみ含有されてもよく、2種以上併有されてもよい。
酸性基含有ラジカル重合性モノマーとして、例えば、カルボキシ基含有ラジカル重合性モノマー(例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸の無水物など)、リン酸基含有ラジカル重合性モノマー(例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートなど)、スルホ基含有ラジカル重合性モノマー(例えば、4−((3−メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)ブタン―スルホナートなど)などが挙げられる。
ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーは、分子中に、上記した重合性基と、ウレタン結合とを有する。
ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーにおける重合性基の数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上、例えば、4以下、好ましくは、3以下である。
ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーの分子量は、例えば、100以上、好ましくは、300以上、例えば、3000以下、好ましくは、1500以下である。
ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーとして、例えば、ウレタン結合含有ジ(メタ)アクリレート(例えば、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジ(メタ)アクリレートなど)などが挙げられる。
イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマーは、分子中に、上記した重合性基と、イソシアヌレート環とを有する。
イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマーにおける重合性基の数は、例えば、1以上、好ましくは、2以上、例えば、5以下、好ましくは、4以下である。
イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマーの分子量は、例えば、200以上、好ましくは、300以上、例えば、600以下、好ましくは、500以下である。
イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマーとして、例えば、イソシアヌレート環含有ラジカルトリ(メタ)アクリレート(例えば、トリス(2−(メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ε−カプロラクトンエトキシル化イソシアヌル酸トリアクリレートなど)などが挙げられる。
このようなラジカル重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用できる。
ラジカル重合性モノマーは、好ましくは、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー、トリメチロール骨格含有ラジカル重合性モノマー、酸性基含有ラジカル重合性モノマー、および、イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマーから選択される少なくとも1種のラジカル重合性モノマー(以下、上記群から選択されるラジカル重合性モノマーとする。)と、水酸基含有ラジカル重合性モノマーと、ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーとを含む。ラジカル重合性モノマーは、より好ましくは、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーと、水酸基含有ラジカル重合性モノマーと、ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーとを含み、さらに好ましくは、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーと、水酸基含有ラジカル重合性モノマーと、ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーとからなる。
ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマーのなかでは、好ましくは、ポリオキシエチレン基含有ジ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、ポリオキシエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(n=9、14、23)が挙げられ、さらに好ましくは、ポリオキシエチレグリコールジメタクリレート(n=9、14、23)が挙げられる。
水酸基含有ラジカル重合性モノマーのなかでは、好ましくは、水酸基含有モノ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、さらに好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)が挙げられる。
ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーのなかでは、好ましくは、ウレタン結合含有ジ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、ウレタン結合含有ジメタクリレートが挙げられ、さらに好ましくは、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレートが挙げられる。
ラジカル重合性モノマーが、ポリオキシエチレン基含有ジ(メタ)アクリレートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジ(メタ)アクリレートとを含有すると、歯科用充填用組成物における高比重フィラーの沈降を安定して抑制できる。
歯科用充填用組成物におけるラジカル重合性モノマーの含有割合は、例えば、5.0質量%以上、好ましくは、15.0質量%以上、例えば、45.0質量%以下、好ましくは、40.0質量%以下である。
ラジカル重合性モノマーにおける上記群から選択されるラジカル重合性モノマー(ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)の含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、20質量%以上、より好ましくは、40質量%以上、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
ラジカル重合性モノマーにおける水酸基含有ラジカル重合性モノマーの含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、15質量%以上、より好ましくは、35質量%以上、例えば、65質量%以下、好ましくは、55質量%以下である。
ラジカル重合性モノマーにおけるウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーの含有割合は、例えば、0質量%以上、好ましくは、1質量%以上、より好ましくは、3質量%以上、例えば、10質量%以下、好ましくは、8質量%以下である。
可溶性ポリマーは、上記したラジカル重合性モノマーに可溶である。可溶性ポリマーのラジカル重合性モノマーに対する可溶性は、例えば、溶解度パラメータにより評価できる。可溶性ポリマーの溶解度パラメータは、例えば、8.5以上、好ましくは、9.5以上、例えば、11.0以下、好ましくは、10.5以下である。可溶性ポリマーの溶解度パラメータとラジカル重合性モノマーの溶解度パラメータとの差は、例えば、2.0以下、好ましくは、1.5以下、より好ましくは、1.0以下である。
可溶性ポリマーとして、例えば、ポリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートとして、例えば、アルキルモノ(メタ)アクリレートの単独重合体、アルキルモノ(メタ)アクリレートの共重合体が挙げられる。
アルキルモノ(メタ)アクリレートとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜4のアルキルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリ(メタ)アクリレートは、単独使用または2種類以上併用できる。
ポリ(メタ)アクリレートは、好ましくは、メチル(メタ)アクリレートの単独重合体、および/または、メチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外のアルキルモノ(メタ)アクリレートとの共重合体とを含み、より好ましくは、メチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外のアルキルモノ(メタ)アクリレートとの共重合体を含み、さらに好ましくは、メチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外のアルキルモノ(メタ)アクリレートとの共重合体からなる。
ポリ(メタ)アクリレートが、メチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外のアルキルモノ(メタ)アクリレートとの共重合体を含むと、歯科用充填用組成物における高比重フィラーの沈降をより安定して抑制できる。
メチル(メタ)アクリレートのなかでは、好ましくは、メチルメタクリレートが挙げられる。
メチル(メタ)アクリレート以外のアルキルモノ(メタ)アクリレートのなかでは、好ましくは、炭素数2〜4のアルキルモノ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、エチル(メタ)アクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートが挙げられ、さらに好ましくは、エチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
可溶性ポリマーの重量平均分子量は、例えば、3万以上、好ましくは、6万以上、より好ましくは、8万以上、例えば、30万以下、好ましくは、25万以下、より好ましくは、15万以下である。なお、重量平均分子量は、ポリスチレンを標準物質とするGPC(Gel Permeation Chromatography、ゲル浸透クロマトグラフィー)などにより測定できる(以下同様)。
歯科用充填用組成物における可溶性ポリマーの含有割合は、例えば、0.1質量%以上、好ましくは、0.3質量%以上、より好ましくは、1.0質量%以上、さらに好ましくは、2.0質量%以上、とりわけ好ましくは、3.0質量%以上、例えば、30.0質量%以下、好ましくは、10.0質量%以下である。
可溶性ポリマーの含有割合は、ラジカル重合性モノマー100質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1.0質量部以上、より好ましくは、2.0質量部以上、さらに好ましくは、5.0質量部以上、とりわけ好ましくは、10.0質量部以上、例えば、40.0質量部以下、好ましくは、30.0質量部以下、さらに好ましくは、25.0質量部以下である。
高比重フィラーは、4g/cm3以上の比重を有する。高比重フィラーの比重は、4g/cm3以上、好ましくは、5g/cm3以上、より好ましくは、6g/cm3以上、例えば、15g/cm3以下、好ましくは、10g/cm3以下、より好ましくは、8g/cm3以下である。比重は、ゲーリュサック型比重瓶(ピクノメータ)法により測定できる(以下同様)。
高比重フィラーの比重が上記下限以上であれば、歯科用充填用組成物に優れたX線造影性を付与することができる。高比重フィラーの比重が上記上限以下であれば、歯科用充填用組成物において高比重フィラーが沈降することを抑制できる。
高比重フィラーは、粒子状を有しており、例えば、球形状、疑球形状や不定形状を有する。
高比重フィラーの平均一次粒子径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、0.5μm以上、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。なお、平均一次粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定でき、得られた粒度分布における積算値50%(d50)での粒径を意味する(以下同様)。
高比重フィラーとして、例えば、ビスマス含有フィラー(例えば、炭酸酸化ビスマス、酸化ビスマス、オキシ塩化ビスマスなど)、バリウム含有フィラー(例えば、硫酸バリウム、酸化バリウムなど)、カルシウム含有フィラー(例えば、タングステン酸カルシウム、モリブテン酸カルシウムなど)、酸化バリウムを含むシリカガラスなどが挙げられる。
高比重フィラーは、単独使用または2種類以上併用できる。
高比重フィラーは、好ましくは、ビスマス含有フィラーを含み、より好ましくは、ビスマス含有フィラーからなる。
高比重フィラーを含有する歯科用充填用組成物における高比重フィラーの割合は、50.0質量%以上、好ましくは、60.0質量%以上、例えば、90.0質量%以下、好ましくは、80.0質量%以下である。
高比重フィラーの含有割合は、高比重フィラーを含有する歯科用充填用組成物中のラジカル重合性モノマー1質量部に対して、例えば、0.5質量部以上、好ましくは、1.0質量部以上、より好ましくは、2.0質量部以上、例えば、6.0質量部以下、好ましくは、4.0質量部以下である。
高比重フィラーの含有割合は、可溶性ポリマー1質量部に対して、例えば、2.0質量部以上、好ましくは、5.0質量部以上、より好ましくは、10.0質量部以上、例えば、60.0質量部以下、好ましくは、40.0質量部以下、より好ましくは、30.0質量部以下である。
高比重フィラーの含有割合が上記下限以上であると、歯科用充填用組成物に優れたX線造成性を付与することができる。高比重フィラーの含有割合が上記上限以下であると、歯科用充填用組成物における高比重フィラーの沈降を安定して抑制できる。
また、歯科用充填用組成物は、必要に応じて、微粒子フィラーと、有機アミン系重合開始剤とをさらに含有する。
歯科用充填用組成物が微粒子フィラーを含有すると、歯科用充填用組成物における高比重フィラーの沈降をより安定して抑制できる。
微粒子フィラーは、4g/cm3未満の比重を有する。微粒子フィラーの比重は、4g/cm3未満、好ましくは、3g/cm3以下、例えば、1g/cm3以上である。
微粒子フィラーは、粒子状を有しており、例えば、球形状を有する。
微粒子フィラーの平均一次粒子径は、例えば、3nm以上、好ましくは、5nm以上、例えば、50nm以下、好ましくは、30nm以下である。
微粒子フィラーとして、例えば、シリカ(例えば、疎水性シリカ、親水性シリカなど)などが挙げられる。
微粒子フィラーは、単独使用または2種類以上併用できる。
微粒子フィラーは、好ましくは、シリカを含み、より好ましくは、シリカからなる。また、歯科用充填用組成物が有機アミン系重合開始剤を含有する場合、微粒子フィラーは、好ましくは、疎水性シリカを含み、より好ましくは、疎水性シリカからなる。
歯科用充填用組成物が有機アミン系重合開始剤を含有する場合、微粒子フィラーが親水性シリカを含むと、有機アミン系重合開始剤が失活するおそれがある。一方、微粒子フィラーが疎水性シリカを含むと、有機アミン系重合開始剤の活性を確保することができる。
微粒子フィラーを含有する歯科用充填用組成物における微粒子フィラーの含有割合は、例えば、1.0質量%以上、好ましくは、3.0質量%以上、例えば、10.0質量%以下、好ましくは、5.0質量%以下である。
微粒子フィラーの含有割合は、ラジカル重合性モノマー1質量部に対して、例えば、0.03質量部以上、好ましくは、0.1質量部以上、例えば、1.0質量部以下、好ましくは、0.5質量部以下である。
微粒子フィラーの含有割合は、可溶性ポリマー1質量部に対して、例えば、0.1質量部以上、好ましくは、0.3質量部以上、より好ましくは、1.0質量部以上、例えば、15.0質量部以下、好ましくは、10.0質量部以下、より好ましくは、5.0質量部以下である。
微粒子フィラーの含有割合は、高比重フィラー1質量部に対して、例えば、0.01質量部以上、好ましくは、0.02質量部以上、例えば、0.20質量部以下、好ましくは、0.10質量部以下、より好ましくは、0.06質量部以下である。
有機アミン系重合開始剤は、上記したラジカル重合性モノマーの重合(ラジカル重合)を開始させる。有機アミン重合開始剤として、例えば、国際公開第2011/049244号に記載の(B)有機アミン系重合開始剤などが挙げられる。より具体的には、有機アミン系重合開始剤として、フェニルグリシン化合物(例えば、N−フェニルグリシン(NPG)、N−フェニルグリシンナトリウム(NPG−Na)、N−メチル―N−フェニルグリシンなど)、N−フェニルグリシンカリウム(NPG−K)などが挙げられる。
有機アミン系重合開始剤は、単独使用または2種類以上併用できる。
有機アミン系重合開始剤は、好ましくは、フェニルグリシン化合物を含み、より好ましくは、フェニルグリシン化合物からなる。フェニルグリシン化合物のなかでは、好ましくは、N−フェニルグリシンナトリウム(NPG−Na)、N−フェニルグリシンカリウム(NPG−K)が挙げられる。
歯科用充填用組成物における有機アミン系重合開始剤の含有割合は、例えば、0.5質量%以上、好ましくは、1.0質量%以上、例えば、10.0質量%以下、好ましくは、5.0質量%以下である。
有機アミン系重合開始剤の含有割合は、ラジカル重合性モノマー1質量部に対して、例えば、0.02質量部以上、好ましくは、0.05質量部以上、例えば、0.50質量部以下、好ましくは、0.10質量部以下である。
有機アミン系重合開始剤の含有割合は、可溶性ポリマー1質量部に対して、例えば、0.05質量部以上、好ましくは、0.10質量部以上、例えば、10.0質量部以下、好ましくは、5.0質量部以下、より好ましくは、0.8質量部以下である。
<二剤型歯科用充填剤>
上記した歯科用充填用組成物は、二剤型歯科用充填剤に好適に利用できる。二剤型歯科用充填剤は、歯科用充填用組成物を含有するA剤と、ラジカル重合性モノマー、水および親水性フィラーを含有するB剤とを別々に備える。言い換えれば、二剤型歯科用充填剤は、A剤およびB剤を備える歯科用充填剤キットである。
A剤は、好ましくは、上記した歯科用充填用組成物からなる。A剤を調製するには、例えば、上記したラジカル重合性モノマーに、上記した可溶性ポリマーを加えて溶解させた後、必要に応じて、上記した微粒子フィラーおよび/または有機アミン系重合開始剤を添加し、次いで、高比重フィラーを添加する。これによって、歯科用充填用組成物からなるA剤を調製できる。
B剤は、ペースト状を有し、ラジカル重合性モノマーと、親水性フィラーと、水とを含有する。B剤は、好ましくは、ラジカル重合性モノマーと、親水性フィラーと、水とからなる。
B剤が含有するラジカル重合性モノマーとして、例えば、上記したラジカル重合性モノマーが挙げられ、好ましくは、上記した水酸基含有ラジカル重合性モノマー、上記した酸性基含有ラジカル重合性モノマーおよび上記したウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーが挙げられる。
B剤が含有するラジカル重合性モノマーは、単独使用または2種類以上併用できる。
B剤が含有するラジカル重合性モノマーは、好ましくは、上記した水酸基含有ラジカル重合性モノマー、上記した酸性基含有ラジカル重合性モノマーおよび上記したウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーを含み、上記した水酸基含有ラジカル重合性モノマー、上記した酸性基含有ラジカル重合性モノマーおよび上記したウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーからなる。
B剤における水酸基含有ラジカル重合性モノマーのなかでは、好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられ、さらに好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)が挙げられる。
B剤における酸性基含有ラジカル重合性モノマーのなかでは、好ましくは、カルボキシ基含有ラジカル重合性モノマーが挙げられ、さらに好ましくは、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸の無水物(4−META)が挙げられる。
B剤におけるウレタン結合含有ラジカル重合性モノマーのなかでは、好ましくは、ウレタン結合含有ジ(メタ)アクリレートが挙げられ、より好ましくは、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
B剤におけるラジカル重合性モノマーの含有割合は、例えば、40.0質量%以上、好ましくは、50.0質量%以上、例えば、90.0質量%以下、好ましくは、80.0質量%以下である。
B剤が含有する親水性フィラーとして、例えば、上記した親水性シリカなどが挙げられる。
B剤における親水性フィラーの含有割合は、例えば、1.0質量%以上、好ましくは、3.0質量%以上、例えば、20.0質量%以下、好ましくは、10.0質量%以下である。
B剤における水の含有割合は、例えば、3.0質量%以上、好ましくは、5.0質量%以上、例えば、40.0質量%以下、好ましくは、30.0質量%以下である。
B剤を調製するには、例えば、上記したラジカル重合性モノマーに、水と上記した親水性フィラーとを添加して混合する。これによって、B剤を調製できる。
なお、B剤には、有機アミン系重合開始剤以外の公知の重合開始剤を混合することができる。
このようなA剤およびB剤は、使用直前に混合され、それら混合物が治療個所である窩洞に充填されて硬化される。
<作用効果>
上記した歯科用充填用組成物では、高比重フィラーの含有割合が50質量%以上である。そのため、歯科用充填用組成物は、優れたX線造影性を有する。そして、歯科用充填用組成物がラジカル重合性モノマーに可溶なポリマーを含有するので、歯科用充填用組成物をペースト状に調製し、高比重フィラーの含有割合を上記下限以上としても、高比重フィラーが沈降することを抑制できる。その結果、歯科用充填用組成物は、優れたX線造影性および操作性を確保できながら、高比重フィラーの沈降を抑制できる。
また、上記した二剤型歯科用充填剤は、上記した歯科用充填用組成物を含有するA剤と、ラジカル重合性モノマーと、水と、親水性フィラーとを含有するB剤とを備える。そのため、A剤とB剤とを円滑に混合でき、二剤型歯科用充填剤の操作性の向上を図ることができる。
このような優れたX線造影性および操作性を有する歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤の用途として、例えば、上記されるような、う蝕病原菌に感染した歯の一部を除去した後に使用するコンポジットレジン、根管充填材、根管充填用シーラー、シーラント材、仮封材、および、事前に製作した補綴物の接着に使用するセメントなどの歯科用接着材などが挙げられる。
とりわけ、根管充填材は、歯髄が除去された根管(窩洞の一例)に充填されるため、優れたX線造影性が要求される。そのため、上記した歯科用充填用組成物および二剤型歯科用充填剤は、好ましくは、根管充填材として利用される。言い換えれば、上記した歯科用充填用組成物は、好ましくは、根管充填用組成物であり、二剤型歯科用充填剤は、好ましくは、二剤型根管充填剤である。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
(実施例1および2)
表1に示す処方となるように、プラスチック容器に、ウレタンジメタクリレート(UDMA、ウレタン結合含有ラジカル重合性モノマー)と、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000、富士フィルム和光純薬社製、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、水酸基含有ラジカル重合性モノマー)とを加えて完全に溶解させた。
その後、表1に示す処方となるように、ラジカル重合性モノマーの混合液に、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA)、重量平均分子量10万、可溶性ポリマー)を加えて完全に溶解させた。
次いで、表1に示す処方となるように、ラジカル重合性モノマーおよびポリマーの混合液に、疎水性シリカ(微粒子フィラー)と、N−フェニルグリシンナトリウム(NPG−Na、有機アミン系重合開始剤)とを混合した後、さらに、炭酸酸化ビスマス(高比重フィラー、比重6.86g/cm3)を混合して、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例3)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EMA)、重量平均分子量16万、ポリマー)0.5質量部に変更した点、および、HEMAの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例4)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EMA)、重量平均分子量11万、ポリマー)2質量部に変更した点、および、HEMAの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例5)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2質量部に変更した点、および、HEMAの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例6)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EMA)、重量平均分子量14万、ポリマー)0.5質量部に変更した点、および、HEMAの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例7)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、メタクリル酸メチル−メタクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EMA)、重量平均分子量14万、ポリマー)1質量部に変更した点、および、HEMAの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例8)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、メタクリル酸メチル−メタクリル酸ブチル共重合体(Poly(MMA−co−BMA)、重量平均分子量7.5万、ポリマー)2質量部に変更した点、および、HEMAの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例9)
表1に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))の処方を変更した点、炭酸酸化ビスマスの処方を表1に示す値に変更した点、および、疎水性シリカ(微粒子フィラー)を加えなかった点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例10)
表2に示すように、炭酸酸化ビスマス(比重6.86g/cm3)を、酸化ビスマス(比重8.9g/cm3、高比重フィラー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例11)
表2に示すように、炭酸酸化ビスマス(比重6.86g/cm3)を、硫酸バリウム(比重4.5g/cm3、高比重フィラー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例12)
表2に示すように、炭酸酸化ビスマス(比重6.86g/cm3)を、タングステン酸カルシウム(比重6.06g/cm3、高比重フィラー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例13)
表2に示すように、炭酸酸化ビスマス(比重6.86g/cm3)を、モリブテン酸カルシウム(比重4.35g/cm3、高比重フィラー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例14)
表3に示すように、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000、ポリオキシアルキレン含有ラジカル重合性モノマー)を、トリオキシエチレングリコールジメタクリレート(富士フィルム和光純薬社製、ポリオキシアルキレン含有ラジカル重合性モノマー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例15)
表3に示すように、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)を、トリス[2−(アクリロイルオキシ)エチル]イソシアヌレート(東京化成工業社製、イソシアヌレート環含有ラジカル重合性モノマー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例16)
表3に示すように、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)を、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド(富士フィルム和光純薬社製、トリメチロール骨格ラジカル重合性モノマー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例17)
表3に示すように、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)を、4−((3−メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)ブタン―スルホナート(富士フィルム和光純薬社製、酸性基含有ラジカル重合性モノマー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(実施例18)
表3に示すように、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)を、ポリオキシプロピレングリコールジアクリレート(商品名ポリオキシプロピレングリコール700ジアクリレート、東京化成工業社製、ポリオキシアルキレン基含有ラジカル重合性モノマー)に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(比較例1)
表3に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))質量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)39質量部に変更した点、および、炭酸酸化ビスマスの処方を表1に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000)に不溶であった。
(比較例2)
表3に示すように、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))3質量部を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)3質量部に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(比較例3)
表3に示すように、ウレタンジメタクリレート(UDMA)と、ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート(商品名ポリオキシエチレングリコールジメタクリレート1000)と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)と、メタクリル酸メチル−アクリル酸エチル共重合体(Poly(MMA−co−EAA))と、疎水性シリカ(微粒子フィラー)と、N−フェニルグリシンナトリウム(NPG−Na)と、炭酸酸化ビスマスとの処方を表3に示す値に変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(比較例4)
表3に示すように、高比重フィラーを、バリウムガラスフィラーに変更した点以外は、実施例1と同様にして、歯科用充填用組成物を調製した。
(調製例1)
4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸の無水物(4−META)25質量部と、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)43質量部と、ウレタンジメタクリレート(UDMA)5質量部と、水20質量部と、親水性微粒子シリカフィラー7質量部とを混合して、B剤を調製した。
<評価>
<<分離性>>
各実施例および各比較例の歯科用充填用組成物1mLを、1.5mLのEPPENDORF TUBESに装入して、遠心分離機(eppendorf社製)を用いて5000回転にて、所定時間後に、フィラー(高比重フィラーまたはバリウムガラスフィラー)とラジカル重合性フィラーとの分離状態を目視にて確認し、以下の基準にて評価した。その結果を表1〜表3に示す。
〇:5000rpm×30分後に分離なし。
△:5000rpm×10分後に分離なし。
×:5000rpm×10分後に分離あり。
<<除去性>>
樹脂製の歯内療法実習用ブロック(ニッシン社製、S1−U1)を用い、二液型歯科用充填組成物を充填した。二液型歯科用充填組成物は、各実施例および各比較例の歯科用充填用組成物をA剤とし、A剤と調製例1のB剤とを練和紙に等量採取して、プラスチックスパチュラにて均一になるまで練和したものである。
充填後、相対湿度95%、37℃の恒温槽内に24時間静置して、二液型歯科用充填用組成物を硬化させ、これを歯科用ファイル(例えば、マニー社製#25、Hファイル、0.02テーパー)を用いて取り除き、その除去性が容易に取り除くことができたものを「〇(良好)」と評価した。すなわち、2年以上の歯科技術経験者5名にて、4名以上が容易と判断した場合は「〇(良好)」、3〜2名の場合は「△(普通)」、1名以下は「×(不良)」とした。その結果を表1〜3に示す。
<<X線造影性>>
各実施例および各比較例の歯科用充填用組成物をA剤とした。次いで、A剤と調製例1のB剤とを練和紙に等量採取して、プラスチックスパチュラにて均一になるまで練和した後、歯科材料のX線造影性試験方法(JIS T 6006(2018))に準じて評価した。その結果を表1〜3に示す。
〇:アルミニウム7mm相当以上のX線造影性である。
△:アルミニウム3mm相当以上,7mm相当未満のX線造影性である。
×:アルミニウム3mm相当未満のX線造影性である。
<<流動性>>
各実施例および各比較例の歯科用充填用組成物をA剤とした。次いで、A剤と調製例1のB剤とを練和紙に等量採取して、プラスチックスパチュラにて均一になるまで練和した後、歯科用根管充填シーラ(JIS T 6522(2015))「ちょう度」の試験方法に準じて評価した。その結果を表1〜3に示す。
〇:≧17mm
×:<17mm
Figure 2021161068
Figure 2021161068
Figure 2021161068

Claims (5)

  1. ラジカル重合性モノマーと、
    前記ラジカル重合性モノマーに可溶なポリマーと、
    比重が4g/cm3以上である高比重フィラーと、を備え、
    ペースト状を有し、
    前記高比重フィラーの含有割合が50質量%以上であることを特徴とする、歯科用充填用組成物。
  2. 前記ポリマーは、
    メチル(メタ)アクリレートの単独重合体、および/または、
    メチル(メタ)アクリレートとメチル(メタ)アクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の歯科用充填用組成物。
  3. 微粒子フィラーをさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の歯科用充填用組成物。
  4. 有機アミン系重合開始剤をさらに備え、
    前記微粒子フィラーは、疎水性シリカを含むことを特徴とする、請求項3に記載の歯科用充填用組成物。
  5. 請求項4に記載の歯科用充填用組成物を含有するA剤と、
    ラジカル重合性モノマーと、水と、親水性フィラーとを含有するB剤と、を備えることを特徴とする、二剤型歯科用充填剤。
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