JP2021160753A - 成形容器用の金属ラミネート包材、成形容器、包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形容器用の金属ラミネート包材であって、該包材よりなる成形容器をCCDカメラ方式の画像検査装置に付した場合に表面欠陥の有無や形状合否を容易に判定させ得る金属ラミネート包材を提供する。【解決手段】金属ラミネート包材10として、ポリプロピレン及び着色剤を含む被着色熱融着性樹脂層と、金属箔よりなるバリア層10bと、合成樹脂よりなる保護樹脂層10cとを順次積層させたものを用いる。【選択図】図2

Description

本発明は、成形容器用の金属ラミネート包材、並びに該金属ラミネート包材よりなる成形容器、及び該成形容器を熱封緘してなる包装体、に関する。
金属ラミネート包材は、金属箔の両面に熱可塑性ないし熱硬化性の合成樹脂を貼り合わせた積層シートであり、これを加工したハイバリアー容器は従来、食品や薬品など変質しやすい内容物の長期保存手段として賞用されている。特にアルミラミネート包材は光や水分、酸素等の遮断効果が高く、低コストでもあるため特に需要が大きい。
ハイバリアー容器はこれまで多くの種類が開発、上市されており、例えば特許文献1と2には、ポリオレフィンよりなる熱融着性樹脂層と、アルミニウム箔よりなるバリア層と、ポリエチレンテレフタレートやナイロン等よりなる保護樹脂層と順次積層してなるアルミラミネート包材で作製したレトルト包装容器や、カップ状乃至トレイ状の成形容器(以下、ハイバリアー成形容器ともいう。)が開示されている。
ところでハイバリアー容器には、表面を構成する合成樹脂に原料由来の不純物が混入していたり、ライン工程で異物が付着したりして、黒点やピンホール等の表面欠陥が生じることがある。特にハイバリアー成形容器の場合には、成形時に本体の歪みやフランジ部のうねり等の問題が生じることもあり、そうした形状上の問題は、ハイバリアー成形容器に内容物を収容した包装体についても生じ得る。そこで製造ラインには通常、種々の自動外観検査装置が導入されており、例えば特許文献3には、CCDカメラ方式の画像検査装置が開示されている。
特開平7−266520号公報 特開平6−345123号公報 特開2003−202299号公報
CCDカメラ方式の画像検査装置による検査は一般的に、被検査体である金属ラミネート包材やハイバリアー容器に白色光(検査光)を所定方向より照射し、反射光をCCDカメラで受光し、撮像装置で受光画像データを作成し、作成された画像の明暗パターンや寸法パターンと、リファレンスとなるパターンを対比し、両者の陰影差(グレースケール差分)や形状差分に基づいて、前記表面欠陥の有無や、形状合否の判定が行われる。
しかし、前記被検査体は金属箔を含むため、前記検査光の入射角度や強度によっては反射光強度が過大となる結果、前記判定が困難となる場合がある。例えば、ハイバリアー容器が図2で示されるようなカップ状の成形容器の場合、前記形状合否の判定は、該容器のフランジ部の円環形状並びに側壁及び底部のそれぞれに形設された段差の各円環形状と、基準となる成形容器のそれら形状との差分に基づいて行い得る。しかし、成形容器の開口上方より検査光を入射させると、金属箔からの強い反射光によりCCDカメラの出力信号レベルが飽和してしまい、受光画像のホワイトレベルがオーバーする結果、成形容器の形状パターンを計算機が認識できなくなるため、前記形状合否判定は勿論のこと、前記表面欠陥の有無も判定困難となる。
前記問題を解消するためには、検査光の入射角度を変更したり、撮像装置の処理能力を上げたりする方法が採られるが、検査精度の低下や装置の複雑化、コスト増大等を招く。
本発明の課題は、CCDカメラ方式の画像検査装置において前記表面欠陥の有無や形状合否を容易に判定させ得る成形容器を製造可能な金属ラミネート包材、該包材を成形してなる容器、及び該容器を用いた包装体を提供することである。
本発明者は検討の結果、下記構成よりなる成形容器用金属ラミネート包材、成形容器及び包装体によれば前記課題が解決可能であることを見出した。
1)成形容器用の金属ラミネート包材であって、該成形容器の内面を構成し且つポリプロピレン及び着色剤を含む被着色熱融着性樹脂層と、金属箔よりなるバリア層と、合成樹脂よりなる保護樹脂層とを順次積層してなる、金属ラミネート包材。
2)前記被着色熱融着性樹脂層が多層構成であって、その最表層が着色剤を含まない無着色ポリプロピレン層であるとともに、該無着色ポリプロピレン層に直接又は他の層を介して着色剤を含む被着色ポリプロピレン層が積層されている、前記1)の金属ラミネート包材
3)前記最表層が、着色剤を含まない無着色ホモポリプロピレン層である、前記2)の金属ラミネート包材。
4)前記着色剤が無機顔料である、前記1)〜3)のいずれかの金属ラミネート包材。
5)前記1)〜4) のいずれかの金属ラミネート包材を、前記被着色熱融着性樹脂層が内面となるように成形してなる、開口周縁にフランジ部を有する成形容器。
6)前記5)の成形容器に内容物を収容し、そのフランジ部に、下面が熱融着性樹脂よりなる蓋材を熱融着させてなる、包装体。
1)の金属ラミネート包材は、内面がポリプロピレン及び着色剤を含む被着色熱融着性樹脂層で構成されている点に特徴がある。該包材は、CCDカメラ方式の画像検査装置において検査光を照射すると、バリア層(金属箔)からの反射光が、該バリア層の表面粗度に関わらず、該被着色熱融着性樹脂層により適度に遮蔽され、CCDカメラの出力信号レベルが既定値をオーバーしなくなるため、該包材よりなる成形容器の表面欠陥の判別や、該成形容器の形状合否の判定が容易となる。
2)の金属ラミネート包材は、前記被着色熱融着性樹脂層が少なくとも二つの独立した層で構成されている。そして、その最表層が着色剤を含まない無着色ポリプロピレン層よりなるとともに、該無着色ポリプロピレン層が、同層下面に直接又は他の層を介して積層された着色剤を含む被着色ポリプロピレン層の保護層として機能する。そのため、該金属ラミネート包材よりなる成形容器に内容物として例えば着色した油脂含有食品(例えばカレーやシチュー、パスタソース等)を収容しても、該成形容器内面に色移りが生じ難くなる。
3)の金属ラミネート包材は、前記被着色熱融着性樹脂層の最表層が着色剤を含まない無着色ホモポリプロピレンで構成されているため、同包材よりなる成形容器は、前記色移りが一層生じ難い。
4)の金属ラミネート包材は、前記着色剤が無機顔料であるため、低コストで提供できる。
5)の成形容器のうち、前記1)の金属ラミネート包材より得られるものは、内面がポリプロピレンと着色剤を含む被着色熱融着性樹脂層で構成されているため、CCDカメラ方式の画像検査装置において、表面欠陥の判別や、該成形容器の形状合否の判定が容易である。また、前記2)又は3)の金属ラミネート包材より得られる成形容器は、それらの最表層が着色剤を含まない無着色ポリプロピレン層で構成されているため、内容物として例えば前記着色油脂含有食品を収容しても、内面に色移りが生じ難い。また、前記4)の金属ラミネート包材より得られる成形容器は、低コストで提供可能である。
6)の包装体は、前記5)の成形容器に内容物を収容し、蓋材で熱封緘したものであり、内容物が食品や薬品等変質しやすいものであっても長期保管が可能である。また、内容物による内面の着色が少なく、低コストで提供可能である。
本発明の金属ラミネート包材の断面図を示す。 本発明の成形容器の断面図と、CCDカメラによる画像検査システムの平面図とを示す。 前記画像検査システムにおける本発明の成形容器と比較態様の成形容器の受光画像を示す。 本発明の包装体の斜視図を示す。
以下、本発明の実施形態を、図1〜図4を参照しつつ説明する。
本発明の金属ラミネート包材(10)は所望形状に成形加工され、本発明の成形容器(1)を与える。成形容器(1)はCCDカメラ方式の画像検査装置(2)による検査に付される。検査後の成形容器(1)に内容物(3)を収容して蓋(4)で熱封緘したものが本発明の包装体(5)である。
<金属ラミネート包材(10)>
金属ラミネート包材(10)は、所定の被着色熱融着性樹脂層(10a)、バリア層(10b)及び保護樹脂層(10c)を順次積層した複合シートである。
被着色熱融着性樹脂層(10a)は、成形容器(1)の内面を構成する層であり、ポリプロピレン及び着色剤を含む。
前記ポリプロピレンは、同樹脂層(10a)の連続相を形成する。具体例としては、ホモポリプロピレン、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体及び酸変性ポリプロピレン等が挙げられ、二種以上を組み合わせてもよい。これらの中では、内容物(3)による色移りが少ない点で、ホモポリプロピレンが特に好ましい。尚、ホモポリプロピレンとしては、例えば塩化チタン(III)-ジエチルアルミニウムクロリド等のチーグラー系触媒の存在下でプロピレンを配位アニオン重合させることにより得られるイソタクチックホモポリプロピレンや、BASE法、Anoco法及びUCC法等で得られるホモポリプロピレンが挙げられる。原料であるプロピレンには、他のαオレフィンとして、例えばエチレン及び/又は1-ブテン等が微量であれば含まれていてもよい。前記ポリプロピレンには、スチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマー等の各種エラストマーを含めてもよい。
前記着色剤は、同樹脂層(10a)の分散相を形成する。具体例としては、顔料及び/又は染料が挙げられ、顔料としては、二酸化チタン、亜鉛華、グロスホワイト、パライト、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、沈降性シリカ、エアロジル、タルク、アルミナホワイト、マイカ、合成ケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、カーボンブラック、マグネタイト、ベンガラ等の有機系若しくは無機系の顔料を例示できる。染料としては、アントラキノン系染料、アゾ系染料及びキノリン系染料等を例示できる。これらの中でも、被着色熱融着性樹脂層(10a)の遮光性を考慮すると顔料が好ましく、コストを加味すると無機顔料がより好ましく、成形容器(1)の内面における後述の検査光(26a)の均一な拡散反射に配慮すると二酸化チタンが一層好ましい。
被着色熱融着性樹脂層(10a)における着色剤の含有量と大きさ(平均一次粒子径)は特に限定されず、順に通常0.5〜40重量%、通常0.1〜5μmであり、同樹脂層(10a)の遮光性や、バリア層(10b)との接着性等を考慮すると、好ましくは順に2〜10重量%、0.5〜3μmである。
被着色熱融着性樹脂層(10a)は、単層又は多層であってよい。単層の同樹脂層(10a)は、前記着色剤を含む一の被着色ポリプロピレン層(101a)で構成できる(図1(a)参照)。
多層の同樹脂層(10a)は、(ア)二以上の被着色ポリプロピレン層(101a)で構成してもよく、この場合の層数nは通常1〜5、好ましくは1〜3である。
また、(イ)一若しくは二以上の被着色ポリプロピレン層(101a)と、着色剤を含まない一若しくは二以上の無着色ポリオレフィン層(102a)とを任意の順序で組み合わせて構成してもよい(図1(b)、(c)参照)。ポリオレフィンとしては、前記ポリプロピレンの他、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレンが挙げられる。また、同層(101a)の数nと同層(102a)の数mの合計は通常2〜5、好ましくは2〜3である。また、同層(101a)並びに同層(102a)を構成するポリプロピレン及び着色剤の種類、並びに該着色剤の含有量及び大きさは前記同様である。
被着色熱融着性樹脂層(10a)を被着色ポリプロピレン層(101a)だけで構成したり、前記態様(イ)のように同樹脂層(10a)の最表層を被着色ポリプロピレン層(101a)で構成したりする場合、同層(101a)の表面は前記着色剤(特に顔料)により凹凸形状を呈していることがある。このとき、内容物(3)として後述の食品のうち例えばカレールー等のように強く着色した油脂含有食品を接触させると、それらの色素が同層(101a)の内部に移行してしまい、成形容器(1)の内面に色移りが生じることがある。そのため、被着色熱融着性樹脂層(10a)は、前記態様(イ)のように多層構成にするとともに、最表層(最内層)を無着色ポリプロピレン層(102a)で構成し、且つ同層(102a)に直接又は他の層を介して被着色ポリプロピレン層(101a)を積層することによって、同層(101a)に内容物(3)を直接接触させない構成を採るのが好ましい(図1(b)、(c)参照)。この構成に基づく金属ラミネート包材(10)で作製した成形容器(1)は、表面欠陥の有無や形状合否の判定が容易となる。その理由は、該成形容器(1)の開口(11)上方より入射させられた検査光(26a)が被着色ポリプロピレン層(101a)の表面で散乱させられるとともに、同層(101a)を透過した一部の検査光(26a)もバリア層(10b)の表面で反射した後同層(101a)で再び遮光される結果、CCDカメラ方式の画像検査装置において、出力信号のホワイトレベルが超過しなくなるためであると考えられる。また、同成形容器(1)の内面には内容物(3)由来の残色が生じ難くなる。
被着色熱融着性樹脂層(10a)の厚みは特に限定されないが、金属ラミネート包材(10)の成型性や成形容器(1)の強度等を考慮すると、全体の厚みT10aが通常200μm〜500μm、好ましくは200μm〜400μmであればよい。尚、T10aがそれら数値範囲内にある限り、被着色ポリプロピレン層(101a)の厚みの合計T101aと無着色ポリプロピレン層(102a)の厚みの合計T102aも特に限定されない。例えば前記態様(イ)の場合には、被着色熱融着性樹脂層(10a)の合計厚みと被着色ポリプロピレン層(101a)の合計厚みとの比率(T101a/T10a)が通常0.15〜0.98、同層(10a)の合計厚みと無着色ポリプロピレン層(102a)の合計厚みとの比率(T102a/T10a)が通常0.85〜0.02である。
バリア層(10b)は、成形容器(1)の中間層に相当し、ガスや水蒸気、光等を遮断し、包装体(5)中の内容物(3)の変質を防ぐ機能層である。同層(10b)は各種公知の金属箔で構成でき、例えば、アルミニウム箔、鉄箔、ステンレス鋼箔、銅箔及びニッケル箔が挙げられる。これらの中でも、バリア機能、成形性及びコスト等考慮するとアルミニウム箔が好適である。アルミニウム箔としては、軟質(O材)若しくは硬質(H18材)の純アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔が挙げられ、特にJIS H4160で規定されるA1000系又はA8000系の軟質材(O材)は成形性の点で好ましく、特にA8021H-O材、A8079H-O材及びA1N30-O材が好適である。
バリア層(10b)の片面又は両面には、下記(i)、(ii)及び(iii)よりなる群より選ばれる一種の化成処理液を、クロム付着量(片面当たり)が通常0.1〜50mg/m2、好ましくは2〜20mg/m2となるよう塗工して、下地層を形成してもよい。
(i)リン酸と、クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む水-アルコール溶液
(ii)リン酸と、クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂とを含む水-アルコール溶液
(iii)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂及びフェノール系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂と、クロム酸及びクロム(III)塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、フッ化物の金属塩及びフッ化物の非金属塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物とを含む水-アルコール溶液
バリア層(10b)の厚さ(下地層の厚みを除く。)は特に限定されず、バリア性と成形性を考慮すると、通常40〜300μm、好ましくは80〜200μmである。
保護樹脂層(10c)は、成形容器(1)の外面を形成する層であり、各種公知の合成樹脂で構成できる。合成樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート及びポリオレフィン等が挙げられる。これらの中でも成形性や耐水性、耐油性、耐薬品性、コスト等の点でポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンとしては、前記ポリプロピレンや、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等が挙げられる。合成樹脂に代えて、エポキシ樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、硝化綿、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等の熱硬化性架橋性樹脂よりなるオーバーコート剤で保護樹脂層(10c)を構成してもよい。保護樹脂層(10c)は、合成樹脂を二層以上積層したり、合成樹脂の上に該オーバーコート剤よりなる層を積層したりして構成してもよい。保護樹脂層(10c)の厚みは特に制限されず、包装体(5)の耐久性や耐衝撃性、耐候性等を考慮すると、通常15〜50μm、好ましくは20〜30μmである。
金属ラミネート包材(10)は、例えば押し出しラミネート法やヒートラミネート法、ドライラミネート法で作製できる。ドライラミネート法の場合には、被着色熱融着性樹脂層(10a)及びバリア層(10b)、並びに/又は、バリア層(10b)及び保護樹脂層(10c)を接合する目的で各種公知の接着剤を使用できる。接着剤としては、例えば、ポリウレタン樹脂系接着剤、アクリル樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリオレフィン樹脂系接着剤及びエラストマー系接着剤が挙げられ、コストや同包材(10)の成形性等を考慮するとポリウレタン樹脂系接着剤が、特に二液硬化型ポリエーテル-ウレタン樹脂系接着剤及び/又は二液硬化型ポリエステル-ウレタン樹脂系接着剤が好ましい。硬化剤としては、例えば多官能イソシアネートや多官能エポキシ化合物、多官能オキサゾリン化合物、ケチミン化合物等が挙げられる。該接着剤よりなる接着層(10d)の厚みは特に限定されないが、通常1〜6μmである。該接着剤は前記着色剤を含まない。
図1(a)は、金属ラミネート包材(10)の基本態様であり、被着色熱融着性樹脂層(10a)が前記被着色ポリプロピレン層(101a)のみで構成されるとともに、同層(101a)、接着剤層(10d)、バリア層(10b)、接着剤層(10d)及び保護樹脂層(10c)がこの順で積層されている(実施例1参照)。
図1(b)は、図1(a)の態様において、被着色熱融着性樹脂層(10a)の最表層を無着色ポリプロピレン層(102a)で構成し、その下面に被着色ポリプロピレン層(101a)を直接配置した態様である(実施例2参照)。
図1(c)は、図1(a)の態様において、被着色熱融着性樹脂層(10a)の最表層を無着色ポリプロピレン層(102a)で構成するとともに、その下面に被着色ポリプロピレン層(101a)を直接配置し、更にその下面に無着色ポリプロピレン層(102a)を直接配置した態様である(実施例3参照)。
<成形容器(1)及び画像検査装置(2)>
図2に、成形容器(1)の一態様の断面図と、CCDカメラ方式の画像検査装置(2)による検査システムの平面図とを示す。
成形容器(1)は、前記金属ラミネート包材(10)を各種公知の方法で成形加工したものである。図2の成形容器(1)は、開口(11)と、開口(11)周縁である環状のフランジ部(12)と、該開口周縁(12)と一体形成された側壁(13)及び底壁(14)で構成される。側壁(13)及び底壁(14)にはそれぞれ段差(15)が形成されている。
前記成形加工手段としては、張り出し成形及び深絞り成形等のプレス成形が挙げられる。深絞りで図2の成形容器(1)を作製する場合には、例えば、成形容器(1)の開口(11)と同形の開口を有するしわ抑え台と、該成形容器(1)の収容部と同形の凹部を有する可動雌型と、該成形容器(1)の収容部と同形の凸部を有する可動雄型とを有する成形装置において、所定寸法にカットした金属ラミネート包材(10)を前記しわ抑え台の上面に、その中心が可動雄型(ダイ)中心線に在るようにセットし、同包材(10)の上方から可動雌型を降下させることによって同包材(10)を挟持するとともに、可動雄型を下方から上昇させて深絞りを行う。次いで、可動雌型を上昇させるとともに可動雄型を下降させ、成形容器を取り出し、その開口外周部をトリミングすることによって、所望形状の成形容器(1)が得られる。
成形容器(1)の形状は図2のものに限定されず、用途やデザインに応じ適宜設定できる。例えば開口(11)は円形、楕円形及び多角形等であってよいし、フランジ部(12)は円環状の他、楕円環状及び多角環状等であってよいし、側壁(13)は円柱状や多角柱状であったり、テーパー状であったり、エンボス加工が施されていたりしてもよいし、底壁(14)は開口(11)と同様に円形、楕円形及び多角形等であってよい。段差(15)は省略できる。また、成形容器(1)の寸法も特に限定されず、図2のそれの場合には、例えばフランジ部(12)の幅が通常3〜10mm、開口(11)の直径(R)と容器深さ(D)との比(D/H)が通常0.2〜0.8である。また、成形容器(1)の全体形状は、図2のようなカップ状に限られず、例えばトレイ状であってもよい。
画像検査装置(2)は、成形容器(1)の表面欠陥の有無や形状の歪み、寸法誤差等を検知する装置である。図2の装置(2)は、照明装置(2a)と、画像処理システム(2b)とで構成される。照明装置(2a)の本体であるドーム状の反射フード(21a)の上部にはCCDカメラ挿入孔(22a)が、底部には投光用開口(23a)が形成されており、同開口(23a)周縁のフランジ部(24a)の上面にはLED光源(25a)が等間隔で円環状に配列している。同光源(25a)より発せられた検査光(26a)は、反射フード(21a)の内面で反射され、投光用開口(23a)を通過して成形容器(1)の開口(11)の上方よりその内面に照射させられた後、成形容器(1)のバリア層(10b)で反射させられる。この反射光は再び投光用開口(23a)を通過してレンズ(21b)に向けて収束し、CCDカメラ(22b)で捕捉されて信号化された後、画像処理装置(23b)内でプロセッシングが行われ、図示外のモニターに受光画像が表示される。そして、成形容器(1)のフランジ部(12)の円環形状並びに側壁(13)及び底壁(14)に夫々形設された段差の各円環形状(15)と、基準となる成形容器のそれら形状との差分に基づいて形状合否判定が行われる。その際、グレースケール差分に基づき、異物の有無も目視判定可能である。
図3(a)は、成形容器(1)の前記画像検査装置(2)による受光画像であり、図3(b)は、比較態様の成形容器についての同受光画像である。前者は後者と比較して、ホワイトレベルが均質であり、部位毎の陰影に大きな差がないため、形状パターンの合否や表面欠陥有無の判定が容易に行える。
<内容物(3)>
内容物(3)としては、食品又は非食品が挙げられる。食品としては、例えばカレールー、パスタソース、シチュー、デミグラソース、魚加工食品(鮪、鯖、秋刀魚及び鰯等の油漬けや煮物等)、ピーナツバター、肉加工品(コンビーフ、スパム等)などの動植物油を含む油脂含有食品が挙げられ、半固形状又は固形状であってよい。油脂含有食品以外の食品として、例えばゼリー、ジャム、ヨーグルト、チーズ、飲料等の液状又は半固形状の加工食品を例示できる。非食品としては、例えば接着剤や化粧品等が挙げられる。
<蓋(4)>
蓋(4)は、内容物(3)を収容した成形容器(1)の開口(11)周縁に熱融着させられる部材であり、所定のラミネート包材(40)で構成される。
ラミネート包材(40)は、例えば、所定の保護樹脂層(40a)、金属箔層(40b)、強化層(40c)、及び熱融着性樹脂層(40d)をこの順番で積層したものである(図示略)。ただし、金属箔層(40b)と強化層(40c)はいずれも任意であり、省略できる。
保護樹脂層(40a)は、蓋(4)の最外面を形成する層であり、各種公知の合成樹脂を特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、延伸ポリエチレンテレフタレート、延伸ポリアミド及び延伸ポリプロピレン等の延伸フィルムが挙げられる。保護樹脂層(40a)は、同一又は異なる合成樹脂を任意の順序で一又は二以上組み合わせた複層あってもよい。保護樹脂層(40a)は前記オーバーコート剤で構成してもよい。保護樹脂層(40a)の厚みは特に制限されず、包装体(5)の耐久性や耐衝撃性、耐候性等の観点より、通常1〜30μm、好ましくは2〜25μmである。
任意の金属箔層(40b)は、成形容器(1)に収容する内容物(3)を、ガス、水蒸気及び光等から保護するためのバリア層として機能する。金属箔としては前記したものや、アルミニウム硬質箔(H18材)を使用できる。金属箔層(40b)の片面又は両面には前記下地層を形成してもよい。金属箔層(40b)の厚みは特に制限されず、水分、ガス及び光のバリア性やシール性の観点より、通常5〜40μmである。
任意の強化層(40c)は、各種公知の合成樹脂で構成されており、金属箔層(40b)と熱融着性樹脂層(40d)との間に介在させることで、蓋(4)の強度を向上できる。該合成樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン及び二軸延伸ナイロン等が挙げられる。強化層(40c)の厚みは特に制限されず、包装体(5)の耐久性や耐衝撃性等の観点より通常5〜30μmである。
熱融着性樹脂層(40d)は、成形容器(1)のフランジ部(12)の上面を構成する被着色熱融着性樹脂層(10a)にヒートシールさせられる層であり、各種公知の熱可塑性樹脂で構成できる。具体的には、例えば、ホモポリプロピレン、ポリ(エチレン-プロピレン)ランダム共重合体、ポリエチレン-ポリプロピレンブロック共重合体、酸変性ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリオレフィンや、ポリビニルアルコール、アイオノマー樹脂及びアクリル系共重合樹脂が挙げられる。熱融着性樹脂層(40d)の厚みは特に制限されず、通常10〜100μmである。
ラミネート包材(40)は、例えばドライラミネート法や押し出しラミネート法、ヒートラミネート法などで作製できる。ドライラミネート法の場合には前記接着剤を使用できる。ラミネート包材(40)を所望の形状に加工することにより蓋(4)が得られる。蓋(4)の形状は特に限定されず、例えば、成形容器(1)のフランジ部(12)と同形又は相似形であればよい。
蓋(4)には、任意に開封用タブ(41)を設けてよい。開封用タブ(41)の大きさや形状は特に限定されず、例えば半円形や三角形、四角形であってよい。
<包装体(5)>
図4は包装体(5)の一態様の斜視図であり、蓋(4)の一部が仮想的に剥離されており、内容物(3)を看取できる。包装体(5)の製造法は特に限定されず、例えば、所定形状の成形容器(1)に内容物(3)を所定量収容した後、フランジ部(12)の上面に所定形状の蓋(4)を重ね、所定温度に加熱した環状ヒートシーラーを所定位置に所定圧力で所定時間押し当て熱封緘することにより、所望の包装体(5)が得られる。熱封緘により、蓋(4)下面と、成形容器(1)のフランジ部(12)の上面との間には環状の熱融着帯(X)が形成される。
包装体(5)は、蓋(4)で密封されているため、内容物(3)の長期保管が可能である。また、本体の成形容器(1)が所定の金属ラミネート包材(10)で形成されているため、内面が内容物(3)により着色され難い。そのため、蓋(4)を剥離し、内容物(3)を除去した後の成形容器(1)も、内面に残色が生じ難く、再利用に供し得る。
以下、本発明を、実施例及び比較例を通じて更に説明するが、それらによって本発明の技術範囲が限定されることはない。
<金属ラミネート包材(1)の作製>
実施例1
120μm厚のアルミニウム箔(JIS H4160のA8079-O材)の両面に、リン酸、ポリアクリル酸、クロム(III)塩化合物、水及びエタノールよりなる化成処理液を、クロム付着量が片面当たり10mg/m2となるよう塗工し、150℃で30秒間乾燥させることによって、下地層を有する処理アルミニウム箔を作製した。次に、該処理アルミニウム箔の片面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、4.5μm厚のランダムポリ(エチレン-プロピレン)フィルム、21μm厚のブロック(ポリエチレン-ポリプロピレン)フィルム及び4.5μm厚のランダムポリ(エチレン-プロピレン)フィルムよりなる合計30μm厚の無着色無延伸ポリオレフィン複合フィルムを貼り合わせた。次に、該処理アルミニウム箔のもう一方の面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、平均一次粒子径約1μmの酸化チタン顔料を5重量%分散させた300μm厚の着色ホモポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、40℃で8日間ヒートエージングすることにより、アルミラミネート包材Aを作製した。構成を表1に示した。
実施例2
実施例1の前記処理アルミニウム箔の片面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、実施例1の前記無着色無延伸ポリオレフィン複合フィルムを貼り合わせた。次に、該処理アルミニウム箔のもう一方の面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、着色剤を含まない60μm厚の無着色ホモポリプロピレンフィルムと、平均一次粒子径約1μmの酸化チタン顔料を5重量%含有する240μm厚の着色ホモポリプロピレンフィルムとよりなる合計300μm厚のホモポリプロピレン複合フィルムを、該着色ホモポリプロピレンフィルム側より貼り合わせ、40℃で8日間ヒートエージングすることにより、アルミラミネート包材Bを作製した。
実施例3
実施例1の前記処理アルミニウム箔の片面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、実施例1の前記無着色無延伸ポリオレフィン複合フィルムを貼り合わせた。次に、該処理アルミニウム箔のもう一方の面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、着色剤を含まない50μm厚の高密度ポリエチレンフィルムと、平均一次粒子径約1μmの酸化チタン顔料を5重量%含有する200μm厚の着色ポリ(エチレン-プロピレン)フィルムと、着色剤を含まない50μm厚の無着色ホモポリプロピレンフィルムとよりなる合計300μm厚の複合フィルムを貼り合わせ、40℃で8日間ヒートエージングすることにより、アルミラミネート包材Cを作製した。
比較例1
実施例1の前記処理アルミニウム箔の片面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、実施例1の前記無着色無延伸ポリオレフィン複合フィルムを貼り合わせた。次に、該処理アルミニウム箔のもう一方の面に、着色剤を含まない二液硬化型ポリエステル-ポリウレタン系接着剤(硬化剤:多官能イソシアネート)を3μm厚で塗工した後、着色剤を含まない300μm厚の無着色ホモポリプロピレンフィルムを貼り合わせ、40℃で8日間ヒートエージングすることにより、アルミラミネート包材Dを作製した。
<成形容器(3)の作製>
アルミラミネート包材Aを、着色ホモポリプロピレンフィルムが内面となるように市販のプレス金型機にセットし、絞り成形を行い、フランジ部をトリミングすることによって、口径66mmφ、底径57mmφ、高さ26mm及びフランジ幅7mmのカップ状成形容器Aを作製した。アルミラミネート包材B〜Dについても同様にして、同寸法のカップ状成形容器B〜Dを作製した。
<成形容器(3)の画像検査>
成形容器A〜Dの形状合否判定を、図2で概念的に示されるCCDカメラ方式の市販画像検査装置(オムロン(株)製、画像処理システムFZシリーズ)を用い、以下の手順で行った。結果を表1に示した。
(1)成形容器Aに、ドーム状の照明器具を被せた。該照明器具の頂点付近にはCCDカメラ挿入孔が形成されており、ここにCCDカメラが装着されていた。
(2)前記照明器具底部のフランジ部上面のLED素子より検査光(白色光)を発し、該照明器具内面で反射させられた同検査光を、成形容器Aの開口上方よりその内面に照射させた。
(3)成形容器A内面からの反射光を前記CCDカメラで受光し、画像作成装置で受光画像データを作成した。
(4)前記受光画像データの平均ハンターL値(明度)が75以上であれば合格(○)であり、それ未満であれば不合格(×)とした。尚、「L値」とは、L*a*b*色差(CIE1976)における明度指数である。
(6)図3(a)に成形容器Aの出力画像を、図3(b)に成形容器Dの出力画像を示した。後者画像は、フランジ部、側壁部及び底壁部における陰影差が著しいため、リファレンスとなる成形容器との形状照合が困難と考えられた。尚、成形容器B及びCの出力画像は、図3(a)と同様であった。
<成形容器(3)の画像検査>
成形容器Aに、市販のレトルトカレールー(ハウス食品(株)製 プロクオリティビーフカレー(登録商標) 中辛)から具材を除いたものを、容器開口付近に達するまで注入し、蓋をして、2週間常温で放置した後、カレールーを除去し、水で軽く洗浄して内面を拭いてから、色移りの状態を、着色なし(○)、着色あり(△)、強く着色(×)の三段階で目視評価した。
成形容器B、C及びDについても同様に評価を行った。結果は表1に示した。
Figure 2021160753
表1中、Alはアルミニウムを、hPPはホモポリプロピレンを、HDPEは高密度ポリエチレンを、PE+r-PPはランダムポリ(エチレン-プロピレン)を、PE+b-PPはブロックポリ(エチレン-プロピレン)を示す。
(10)金属ラミネート包材、(10a)被着色熱融着性樹脂層、(101a)被着色ポリプロピレン層、(102a)無着色ポリプロピレン層、(10b)バリア層、(10c)保護樹脂層、(10d)接着剤層
(1)成形容器、(11)開口、(12)フランジ部、(13)側壁、(14)底壁、(15)段差
(2)画像検査装置、(2a)照明装置、(21a)反射フード、(22a)CCDカメラ挿入孔、(23a)投光用開口、(24a)フランジ部、(25a)LED光源、(26a)検査光、(2b)画像処理システム、(21b)レンズ、(22b)CCDカメラ、(23b)画像処理装置
(3)内容物
(4)蓋材、(41)開封用タブ
(5)包装体
(X):熱融着帯

Claims (6)

  1. 成形容器用の金属ラミネート包材であって、
    前記成形容器の内面を構成し且つポリプロピレン及び着色剤を含む被着色熱融着性樹脂層と、
    金属箔よりなるバリア層と、
    合成樹脂よりなる保護樹脂層とを順次積層してなる、
    金属ラミネート包材。
  2. 前記被着色熱融着性樹脂層が多層構成であって、その最表層が着色剤を含まない無着色ポリプロピレン層であるとともに、該無着色ポリプロピレン層に直接又は他の層を介して着色剤を含む被着色ポリプロピレン層が積層されている、請求項1の金属ラミネート包材。
  3. 前記最表層が、着色剤を含まない無着色ホモポリプロピレン層である、請求項2の金属ラミネート包材。
  4. 前記着色剤が無機顔料である、請求項1〜3のいずれかの金属ラミネート包材。
  5. 請求項1〜4のいずれかの金属ラミネート包材を、前記被着色熱融着性樹脂層が内面となるように成形してなる、成形容器。
  6. 請求項5の成形容器に内容物を収容し、その開口周縁に、下面が熱融着性樹脂よりなる蓋材を熱融着させてなる、包装体。
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