以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[射出成形機管理システムの構成]
まず、図1、図2を参照して、本実施形態に係る射出成形機管理システムSYS(射出成形機システムの一例)の構成について説明する。
図1、図2は、本実施形態に係る射出成形機管理システムSYSの一例を示す図である。具体的には、図1には、射出成形機1の型開完了時の状態を示す側面断面図が描画され、図2には、射出成形機1の型締時の状態を示す側面断面図が描画される。以下、本実施形態の図中において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに垂直であり、X軸の正負方向(以下、単に「X方向」)及びY軸の正負方向(以下、単に「Y方向」)は水平方向を表し、Z軸の正負方向(以下、単に「Z方向」)は鉛直方向を表す。
射出成形機管理システムSYSは、複数(本例では、3台)の射出成形機1と、管理装置2とを含む。
尚、射出成形機管理システムSYSに含まれる射出成形機1は、1台や2台であってもよいし、4台以上であってもよい。
<射出成形機の構成>
射出成形機1は、成形品を得るための一連の動作を行う。
また、射出成形機1は、所定の通信回線NWを通じて、管理装置2と通信可能に接続される。また、射出成形機1は、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1と通信可能に接続されてもよい。通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場内のローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)を含む。ローカルネットワークは、有線であってもよいし、無線であってよいし、その両方を含む態様であってもよい。また、通信回線NWは、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の広域ネットワーク(WAN:Wide Area Network)を含んでもよい。広域ネットワークには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網が含まれてよい。移動体通信網は、例えば、LTE(Long Term Evolution)を含む4G(4th Generation)や5G(5th Generation)等に対応していてよい。また、広域ネットワークには、例えば、通信衛星を利用する衛星通信網が含まれてもよい。また、広域ネットワークには、例えば、インターネット網が含まれてもよい。また、通信回線NWは、例えば、ブルートゥース(登録商標)通信やWiFi通信等に対応する近距離無線通信回線であってもよい。
例えば、射出成形機1は、通信回線NWを通じて、管理装置2に射出成形機1の稼働状態に関するデータ(以下、「稼働状態データ」)を送信(アップロード)する。これにより、管理装置2(或いは、その管理者や作業者等)は、稼働状態を把握し、射出成形機1のメンテナンスのタイミングや射出成形機1の稼働スケジュール等を管理することができる。また、管理装置2は、射出成形機1の稼働状態データに基づき、射出成形機1の制御に関するデータ(例えば、成形条件等)を生成し、射出成形機1に送信することにより、外部から射出成形機1に関する制御を行うことができる。
また、例えば、射出成形機1は、マスタ機として、通信回線NWを通じて、スレーブ機としての他の射出成形機1の動作を監視したり、制御したりしてもよい。具体的には、射出成形機1(スレーブ機)は、通信回線NWを通じて、稼働状態データを射出成形機1(マスタ機)に送信してよい。これにより、射出成形機1(マスタ機)は、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を監視することができる。また、射出成形機1(マスタ機)は、稼働状態データに基づき、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作状態を把握しながら、動作に関する制御指令を、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1(スレーブ機)に送信してもよい。これにより、射出成形機1(マスタ機)は、他の射出成形機1(スレーブ機)の動作を制御することができる。
射出成形機1は、型締装置100と、エジェクタ装置200と、射出装置300と、移動装置400と、制御装置700とを含む。
<<型締装置>>
型締装置100は、金型装置10の型閉、型締、及び型開を行う。型締装置100は、例えば、横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置100は、固定プラテン110、可動プラテン120、トグルサポート130、タイバー140、トグル機構150、型締モータ160、運動変換機構170、及び型厚調整機構180を有する。
以下、型締装置100の説明では、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1及び図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1及び図2中左方向)を後方として説明する。
固定プラテン110は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン110における可動プラテン120との対向面に固定金型11が取付けられる。
可動プラテン120は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン120を案内するガイド101が敷設される。可動プラテン120における固定プラテン110との対向面に可動金型12が取付けられる。
固定プラテン110に対し可動プラテン120を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。
金型装置10は、固定プラテン110に対応する固定金型11と、可動プラテン120に対応する可動金型12とを含んで構成される。
トグルサポート130は、固定プラテン110と所定の間隔Lをおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。トグルサポート130は、例えば、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてよい。この場合、トグルサポート130のガイドは、可動プラテン120のガイド101と共通であってもよい。
尚、固定プラテン110がフレームFrに対し固定され、トグルサポート130がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート130がフレームFrに対し固定され、固定プラテン110がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
タイバー140は、固定プラテン110とトグルサポート130とを型開閉方向に間隔Lをおいて連結する。タイバー140は、複数本(例えば、4本)用いられてよい。各タイバー140は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー140には、タイバー140の歪を検出するタイバー歪検出器141が設けられる。タイバー歪検出器141は、例えば、歪みゲージである。タイバー歪検出器141は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。タイバー歪検出器141の検出結果は、例えば、型締力の検出等に用いられる。
尚、タイバー歪検出器141に代えて、或いは、加えて、型締力を検出するために利用可能な任意の型締力検出器が用いられてもよい。例えば、型締力検出器は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式等であってもよく、その取付け位置もタイバー140に限定されない。
トグル機構150は、可動プラテン120とトグルサポート130との間に配設され、トグルサポート130に対し可動プラテン120を型開閉方向に移動させる。トグル機構150は、クロスヘッド151、一対のリンク群等で構成される。各リンク群は、ピン等で屈伸自在に連結される第1リンク152及び第2リンク153を有する。第1リンク152は可動プラテン120に対しピン等で揺動自在に取付けられ、第2リンク153はトグルサポート130に対しピン等で揺動自在に取付けられる。第2リンク153は、第3リンク154を介してクロスヘッド151に取付けられる。トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させると、第1リンク152及び第2リンク153が屈伸し、トグルサポート130に対し可動プラテン120が進退する。
尚、トグル機構150の構成は、図1及び図2に示す構成に限定されない。例えば、図1及び図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク154の一端部が、第1リンク152と第2リンク153との節点に結合されてもよい。
型締モータ160は、トグルサポート130に取付けられており、トグル機構150を作動させる。型締モータ160は、トグルサポート130に対しクロスヘッド151を進退させることにより、第1リンク152及び第2リンク153を屈伸させ、トグルサポート130に対し可動プラテン120を進退させる。型締モータ160は、運動変換機構170に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構170に連結されてもよい。
運動変換機構170は、型締モータ160の回転運動をクロスヘッド151の直線運動に変換する。運動変換機構170は、ねじ軸171と、ねじ軸171に螺合するねじナット172とを含む。ねじ軸171と、ねじナット172との間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置100は、制御装置700による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程等を行う。
型閉工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン120を前進させ、可動金型12を固定金型11にタッチさせる。クロスヘッド151の位置や速度は、例えば、型締モータエンコーダ161等を用いて検出される。型締モータエンコーダ161は、型締モータ160の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、クロスヘッド151の位置を検出するクロスヘッド位置検出器、及び、クロスヘッド151の速度を検出するクロスヘッド速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。また、可動プラテン120の位置を検出する可動プラテン位置検出器、および可動プラテン120の速度を検出する可動プラテン速度検出器は、型締モータエンコーダ161に限定されず、一般的なものを使用できる。
型締工程では、型締モータ160をさらに駆動してクロスヘッド151を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型12と固定金型11との間にキャビティ空間14が形成され、射出装置300がキャビティ空間14に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間14の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
型開工程では、型締モータ160を駆動してクロスヘッド151を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン120を後退させ、可動金型12を固定金型11から離間させる。その後、エジェクタ装置200が可動金型12から成形品を突き出す。
型閉工程及び型締工程における設定条件は、一連の設定条件として、まとめて設定される。例えば、型閉工程および型締工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置を含む)や型締力等は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型閉開始位置、速度切替位置、型閉完了位置、および型締位置は、後側から前方に向けてこの順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型締位置と型締力とは、いずれか一方のみが設定されてもよい。
また、型開工程における設定条件も同様に設定される。例えば、型開工程におけるクロスヘッド151の速度や位置(型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置を含む)は、一連の設定条件として、まとめて設定される。型開開始位置、速度切替位置、および型開完了位置は、前側から後方に向けて、この順で並び、速度が設定される区間の始点や終点を表す。区間毎に、速度が設定される。速度切替位置は、1つでもよいし、複数でもよい。速度切替位置は、設定されなくてもよい。型開開始位置と型締位置とは同じ位置であってよい。また、型開完了位置と型閉開始位置とは同じ位置であってよい。
尚、クロスヘッド151の速度や位置等の代わりに、可動プラテン120の速度や位置等が設定されてもよい。また、クロスヘッドの位置(例えば、型締位置)や可動プラテンの位置の代わりに、型締力が設定されてもよい。
トグル機構150は、型締モータ160の駆動力を増幅して可動プラテン120に伝える。その増幅倍率は、トグル倍率とも呼ばれる。トグル倍率は、第1リンク152と第2リンク153とのなす角(以下、「リンク角度」)θに応じて変化する。リンク角度θは、クロスヘッド151の位置から求められる。リンク角度θが180°のとき、トグル倍率が最大になる。
金型装置10の交換や金型装置10の温度変化等により金型装置10の厚さが変化した場合、型締時に所定の型締力が得られるように、型厚調整が行われる。型厚調整では、例えば、可動金型12が固定金型11にタッチする型タッチの時点でトグル機構150のリンク角度θが所定の角度になるように、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
型締装置100は、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整することで、型厚調整を行う型厚調整機構180を有する。型厚調整機構180は、タイバー140の後端部に形成されるねじ軸181と、トグルサポート130に回転自在に保持されるねじナット182と、ねじ軸181に螺合するねじナット182を回転させる型厚調整モータ183とを有する。
ねじ軸181及びねじナット182は、タイバー140ごとに設けられる。型厚調整モータ183の回転は、回転伝達部185を介して複数のねじナット182に伝達されてよい。複数のねじナット182を同期して回転できる。
尚、回転伝達部185の伝達経路を変更することで、複数のねじナット182を個別に回転することも可能である。
回転伝達部185は、例えば、歯車等で構成される。この場合、各ねじナット182の外周に受動歯車が形成され、型厚調整モータ183の出力軸には駆動歯車が取付けられ、複数の受動歯車及び駆動歯車と噛み合う中間歯車がトグルサポート130の中央部に回転自在に保持される。
尚、回転伝達部185は、歯車の代わりに、ベルトやプーリ等で構成されてもよい。
型厚調整機構180の動作は、制御装置700によって制御される。制御装置700は、型厚調整モータ183を駆動して、ねじナット182を回転させることで、ねじナット182を回転自在に保持するトグルサポート130の固定プラテン110に対する位置を調整し、固定プラテン110とトグルサポート130との間隔Lを調整する。
間隔Lは、型厚調整モータエンコーダ184を用いて検出する。型厚調整モータエンコーダ184は、型厚調整モータ183の回転量や回転方向を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。型厚調整モータエンコーダ184の検出結果は、トグルサポート130の位置や間隔Lの監視や制御に用いられる。
尚、トグルサポート130の位置を検出するトグルサポート位置検出器、および間隔Lを検出する間隔検出器は、型厚調整モータエンコーダ184に限定されず、一般的なものを使用できる。
型厚調整機構180は、互いに螺合するねじ軸181とねじナット182の一方を回転させることで、間隔Lを調整する。複数の型厚調整機構180が用いられてもよく、複数の型厚調整モータ183が用いられてもよい。
尚、本実施形態の型締装置100は、型開閉方向が水平方向である横型であるが、型開閉方向が上下方向である竪型でもよい。
また、本実施形態の型締装置100は、駆動源として、型締モータ160を有するが、型締モータ160の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置100は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
<<エジェクタ装置>>
エジェクタ装置200は、金型装置10から成形品を突き出す。エジェクタ装置200は、エジェクタモータ210、運動変換機構220、及びエジェクタロッド230等を有する。
以下、エジェクタ装置200の説明では、型締装置100の説明と同様に、型閉時の可動プラテン120の移動方向(図1及び図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン120の移動方向(図1及び図2中左方向)を後方として説明する。
エジェクタモータ210は、可動プラテン120に取付けられる。エジェクタモータ210は、運動変換機構220に直結されるが、ベルトやプーリ等を介して運動変換機構220に連結されてもよい。
運動変換機構220は、エジェクタモータ210の回転運動をエジェクタロッド230の直線運動に変換する。運動変換機構220は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタロッド230は、可動プラテン120の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド230の前端部は、可動金型12の内部に進退自在に配設される可動部材15と接触する。エジェクタロッド230の前端部は、可動部材15と連結されていても、連結されていなくてもよい。
エジェクタ装置200は、制御装置700による制御下で、突き出し工程を行う。
突き出し工程では、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で待機位置から突き出し位置まで前進させることにより、可動部材15を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ210を駆動してエジェクタロッド230を設定速度で後退させ、可動部材15を元の待機位置まで後退させる。エジェクタロッド230の位置や速度は、例えば、エジェクタモータエンコーダ211を用いて検出する。エジェクタモータエンコーダ211は、エジェクタモータ210の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、エジェクタロッド230の位置を検出するエジェクタロッド位置検出器、およびエジェクタロッド230の速度を検出するエジェクタロッド速度検出器は、エジェクタモータエンコーダ211に限定されず、一般的なものを使用できる。
<<射出装置>>
射出装置300は、フレームFrに対し進退自在なスライドベース301に設置され、金型装置10に対し進退自在とされる。射出装置300は、金型装置10にタッチし、金型装置10内のキャビティ空間14に成形材料を充填する。射出装置300は、例えば、シリンダ310、ノズル320、スクリュ330、計量モータ340、射出モータ350、及び圧力検出器360等を有する。
以下、射出装置300の説明では、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1及び図2中左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1及び図2中右方向)を後方として説明する。
シリンダ310は、供給口311から内部に供給された成形材料を加熱する。成形材料は、例えば、樹脂等を含む。成形材料は、例えば、ペレット状に形成され、固体の状態で供給口311に供給される。供給口311はシリンダ310の後部に形成される。シリンダ310の後部の外周には、水冷シリンダ等の冷却器312が設けられる。冷却器312よりも前方において、シリンダ310の外周には、バンドヒータ等の加熱器313と温度検出器314とが設けられる。
シリンダ310は、シリンダ310の軸方向(図1及び図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器314の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
ノズル320は、シリンダ310の前端部に設けられ、金型装置10に対し押し付けられる。ノズル320の外周には、加熱器313と温度検出器314とが設けられる。ノズル320の検出温度が設定温度になるように、制御装置700が加熱器313を制御する。
スクリュ330は、シリンダ310内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ330を回転させると、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ310からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。その後、スクリュ330を前進させると、スクリュ330前方に蓄積された液状の成形材料がノズル320から射出され、金型装置10内に充填される。
スクリュ330の前部には、スクリュ330を前方に押すときにスクリュ330の前方から後方に向かう成形材料の逆流を防止する逆流防止弁として、逆流防止リング331が進退自在に取付けられる。
逆流防止リング331は、スクリュ330を前進させるときに、スクリュ330前方の成形材料の圧力によって後方に押され、成形材料の流路を塞ぐ閉塞位置(図2参照)までスクリュ330に対し相対的に後退する。これにより、スクリュ330前方に蓄積された成形材料が後方に逆流するのを防止する。
一方、逆流防止リング331は、スクリュ330を回転させるときに、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って前方に送られる成形材料の圧力によって前方に押され、成形材料の流路を開放する開放位置(図1参照)までスクリュ330に対し相対的に前進する。これにより、スクリュ330の前方に成形材料が送られる。
逆流防止リング331は、スクリュ330と共に回転する共回りタイプと、スクリュ330と共に回転しない非共回りタイプとのいずれでもよい。
尚、射出装置300は、スクリュ330に対し逆流防止リング331を開放位置と閉塞位置との間で進退させる駆動源を有していてもよい。
計量モータ340は、スクリュ330を回転させる。スクリュ330を回転させる駆動源は、計量モータ340には限定されず、例えば、油圧ポンプ等でもよい。
射出モータ350は、スクリュ330を進退させる。射出モータ350とスクリュ330との間には、射出モータ350の回転運動をスクリュ330の直線運動に変換する運動変換機構等が設けられる。運動変換機構は、例えば、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを有する。ねじ軸とねじナットの間には、ボールやローラ等が設けられてよい。スクリュ330を進退させる駆動源は、射出モータ350には限定されず、例えば、油圧シリンダ等でもよい。
圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間で伝達される圧力を検出する。圧力検出器360は、射出モータ350とスクリュ330との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器360に作用する圧力を検出する。
圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。圧力検出器360の検出結果は、スクリュ330が成形材料から受ける圧力、スクリュ330に対する背圧、スクリュ330から成形材料に作用する圧力等の制御や監視に用いられる。
射出装置300は、制御装置700による制御下で、計量工程、充填工程、及び、保圧工程等を行う。
計量工程では、計量モータ340を駆動してスクリュ330を設定回転数で回転させ、スクリュ330の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ330の前方に送られシリンダ310の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ330が後退させられる。スクリュ330の回転数は、例えば、計量モータエンコーダ341を用いて検出する。計量モータエンコーダ341は、計量モータ340の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。
尚、スクリュ330の回転数を検出するスクリュ回転数検出器は、計量モータエンコーダ341に限定されず、一般的なものを使用できる。
計量工程では、スクリュ330の急激な後退を制限すべく、射出モータ350を駆動してスクリュ330に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ330に対する背圧は、例えば、圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330が計量完了位置まで後退し、スクリュ330の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
充填工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を設定速度で前進させ、スクリュ330の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置10内のキャビティ空間14に充填させる。スクリュ330の位置や速度は、例えば、射出モータエンコーダ351を用いて検出する。射出モータエンコーダ351は、射出モータ350の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。スクリュ330の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。V/P切替が行われる位置をV/P切替位置とも称する。スクリュ330の設定速度は、スクリュ330の位置や時間等に応じて変更されてもよい。
尚、充填工程においてスクリュ330の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ330を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ330の停止の代わりに、スクリュ330の微速前進または微速後退が行われてもよい。また、スクリュ330の位置を検出するスクリュ位置検出器、およびスクリュ330の速度を検出するスクリュ速度検出器は、射出モータエンコーダ351に限定されず、一般的なものを使用できる。
保圧工程では、射出モータ350を駆動してスクリュ330を前方に押し、スクリュ330の前端部における成形材料の圧力(以下、「保持圧力」とも称する。)を設定圧に保ち、シリンダ310内に残る成形材料を金型装置10に向けて押す。金型装置10内での冷却収縮による不足分の成形材料を補充できる。保持圧力は、例えば、圧力検出器360を用いて検出する。圧力検出器360は、その検出結果を示す信号を制御装置700に送る。保持圧力の設定値は、保圧工程の開始からの経過時間等に応じて変更されてもよい。
保圧工程では金型装置10内のキャビティ空間14の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間14の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間14からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間14内の成形材料の固化が行われる。成形サイクル時間の短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
尚、本実施形態の射出装置300は、インライン・スクリュ方式であるが、プリプラ方式などでもよい。プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在にまたは回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。
また、本実施形態の射出装置300は、シリンダ310の軸方向が水平方向である横型であるが、シリンダ310の軸方向が上下方向である竪型であってもよい。竪型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、竪型でも横型でもよい。同様に、横型の射出装置300と組み合わされる型締装置は、横型でも竪型でもよい。
<<移動装置>>
移動装置400は、金型装置10に対し射出装置300を進退させる。また、移動装置400は、金型装置10に対しノズル320を押し付け、ノズルタッチ圧力を生じさせる。移動装置400は、液圧ポンプ410、駆動源としてのモータ420、及び液圧アクチュエータとしての液圧シリンダ430等を有する。
以下、移動装置400の説明では、射出装置300の説明と同様に、射出装置300を金型装置10に対し接近させる方向(図1及び図2中左方向)を前方とし、射出装置300を金型装置10に対し離間させる方向(図1及び図2中右方向)を後方として説明する。
尚、移動装置400は、図1,2では射出装置300のシリンダ310の片側に配置されるが、シリンダ310の両側に配置されてもよく、シリンダ310を中心に対称に配置されてもよい。
液圧ポンプ410は、第1ポート411と、第2ポート412とを有する。液圧ポンプ410は、両方向回転可能なポンプであり、モータ420の回転方向を切り替えることにより、第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液(例えば、油)を吸入し他方から吐出して液圧を発生させる。また、液圧ポンプ410は、タンクから作動液を吸引して第1ポート411及び第2ポート412のいずれか一方から作動液を吐出させることもできる。
モータ420は、液圧ポンプ410を作動させる。モータ420は、制御装置700からの制御信号に応じた回転方向及び回転トルクで液圧ポンプ410を駆動する。モータ420は、電動モータであってよく、電動サーボモータであってよい。
液圧シリンダ430は、シリンダ本体431、ピストン432、及びピストンロッド433を有する。シリンダ本体431は、射出装置300に対して固定される。ピストン432は、シリンダ本体431の内部を、第1室としての前室435と、第2室としての後室436とに区画する。ピストンロッド433は、固定プラテン110に対して固定される。
液圧シリンダ430の前室435は、第1流路401を介して、液圧ポンプ410の第1ポート411と接続される。第1ポート411から吐出された作動液が第1流路401を介して前室435に供給されることで、射出装置300が前方に押される。射出装置300が前進され、ノズル320が固定金型11に押し付けられる。前室435は、液圧ポンプ410から供給される作動液の圧力によってノズル320のノズルタッチ圧力を生じさせる圧力室として機能する。
一方、液圧シリンダ430の後室436は、第2流路402を介して液圧ポンプ410の第2ポート412と接続される。第2ポート412から吐出された作動液が第2流路402を介して液圧シリンダ430の後室436に供給されることで、射出装置300が後方に押される。射出装置300が後退され、ノズル320が固定金型11から離間される。
尚、移動装置400は、液圧シリンダ430を含む構成に限定されない。例えば、液圧シリンダ430に代えて、電動モータと、その電動モータの回転運動を射出装置300の直線運動に変換する運動変換機構とが用いられてもよい。
<<制御装置>>
制御装置700は、型締装置100、エジェクタ装置200、射出装置300、及び移動装置400等に直接的に制御信号を送信し、射出成形機1に関する各種制御を行う。
制御装置700は、任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。制御装置700は、例えば、CPU(Central Processing Unit)701と、メモリ装置702と、補助記憶装置703と、入出力用のインタフェース装置704とを有するコンピュータを中心に構成される。制御装置700は、補助記憶装置703にインストールされるプログラムをCPU701に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置700は、インタフェース装置704を通じて、外部の信号を受信したり、外部に信号を出力したりする。例えば、制御装置700は、インタフェース装置704に基づき、通信回線NWを通じて、管理装置2と通信可能に接続される。また、制御装置700は、インタフェース装置704に基づき、通信回線NWを通じて、他の射出成形機1(の制御装置700)と通信可能に接続されてもよい。
制御装置700の機能は、例えば、一のコントローラだけで実現されてもよいし、後述の如く、複数のコントローラにより分担されてもよい。
制御装置700は、射出成形機1に型閉工程、型締工程、及び型開工程等を繰り返し行わせることにより、成形品を繰り返し製造させる。また、制御装置700は、型締工程の間に、射出装置300に計量工程、充填工程、及び保圧工程等を行わせる。
成形品を得るための一連の動作、例えば、射出装置300による計量工程の開始から次の射出装置300による計量工程の開始までの動作を「ショット」または「成形サイクル」とも称する。また、1回のショットに要する時間を「成形サイクル時間」とも称する。
一回の成形サイクルは、例えば、計量工程、型閉工程、型締工程、充填工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、及び突き出し工程の順に構成される。この順番は、各工程の開始の順番である。また、充填工程、保圧工程、及び冷却工程は、型締工程の開始から型締工程の終了までの間に行われる。また、型締工程の終了は、型開工程の開始と一致する。
尚、成形サイクル時間の短縮のため、同時に複数の工程が行われてもよい。例えば、計量工程は、前回の成形サイクルの冷却工程中に行われてもよく、この場合、型閉工程が成形サイクルの最初に行われてもよい。また、充填工程は、型閉工程中に開始されてもよい。また、突き出し工程は、型開工程中に開始されてもよい。また、射出装置300のノズル320の流路を開閉する開閉弁が設けられる場合、型開工程は、計量工程中に開始されてもよい。計量工程中に型開工程が開始されても、開閉弁がノズル320の流路を閉じていれば、ノズル320から成形材料が漏れないからである。
制御装置700は、操作装置750及び表示装置760等と接続されている。
操作装置750は、ユーザによる射出成形機1に関する操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号を制御装置700に出力する。
表示装置760は、制御装置700による制御下で、各種画像を表示する。
表示装置760は、例えば、操作装置750における操作入力に応じた射出成形機1に関する操作画面を表示する。
表示装置760に表示される操作画面は、射出成形機1に関する設定等に用いられる。射出成形機1に関する設定には、例えば、射出成形機1に関する成形条件の設定(具体的には、設定値の入力)が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時のロギングデータとして記録される射出成形機1に関する各種センサ等の検出値の種類の選択に関する設定が含まれる。また、当該設定には、例えば、成形動作時の射出成形機1に関する各種センサ等の検出値(実績値)の表示装置760への表示仕様(例えば、表示する実績値の種類や表示のさせ方等)の設定が含まれる。操作画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。ユーザは、表示装置760に表示される操作画面を見ながら、操作装置750を操作することにより、射出成形機1に関する設定(設定値の入力を含む)等を行うことができる。
また、表示装置760は、例えば、制御装置700による制御下で、操作画面上での操作に応じた各種情報をユーザに提供する情報画面を表示する。情報画面は、複数用意され、表示装置760に切り替えて表示されたり、重ねて表示されたりする。例えば、表示装置760は、射出成形機1に関する設定内容(例えば、射出成形機1の成形条件に関する設定内容)を表示する。また、例えば、表示装置760は、管理情報(例えば、射出成形機1の稼働実績に関する情報等)を表示する。
操作装置750及び表示装置760は、例えば、タッチパネル式のディスプレイとして構成され、一体化されてよい。
尚、本実施形態の操作装置750及び表示装置760は、一体化されているが、独立に設けられてもよい。また、操作装置750は、複数設けられてもよい。また、操作装置750に変えて、或いは、加えて、ユーザの操作入力以外の入力を受け付ける他の入力装置が設けられてもよい。他の入力装置は、例えば、ユーザの音声入力を受け付ける音声入力装置やユーザのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置等を含んでよい。音声入力装置は、例えば、マイクロフォン等を含む。また、ジェスチャ入力装置は、例えば、カメラ(撮像装置)等を含む。
<管理装置>
管理装置2(外部装置、情報処理装置の一例)は、上述の如く、通信回線NWを通じて、射出成形機1と通信可能に接続される。
管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場の外部の管理センタ等の遠隔地に設置されるクラウドサーバである。また、管理装置2は、例えば、射出成形機1が設置される工場内部や工場に相対的に近い場所(例えば、工場の近くの無線基地局や局舎等)に設置されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1が設置される工場内の端末装置(例えば、デスクトップ型のコンピュータ端末)であってもよい。また、管理装置2は、射出成形機1の管理者等が携帯可能な携帯端末(例えば、スマートフォン、タブレット端末、ラップトップ型のコンピュータ端末等)であってもよい。
管理装置2は、例えば、射出成形機1から送信(アップロード)されるデータに基づき、射出成形機1の稼働状態を把握し、射出成形機1の稼働状態を管理してよい。また、管理装置2は、例えば、把握される射出成形機1の稼働状態に基づき、射出成形機1の異常診断等の各種診断を行ってよい。
また、管理装置2は、例えば、通信回線NWを通じて、射出成形機1に対する制御データ(例えば、成形条件等の各種の設定条件に関するデータ)を送信してもよい。これにより、管理装置2は、射出成形機1の動作を制御することができる。
[射出成形機管理システムのバックアップ機能に関する構成の一例]
次に、図3、図4を参照して、射出成形機管理システムSYSのバックアップ機能に関する構成の一例について説明する。
バックアップ機能は、射出成形機1(制御装置700)に関するデータを射出成形機1から管理装置2に送信して、管理装置2でバックアップ保存し、必要に応じて、管理装置2から射出成形機1に送り戻す機能である。
バックアップ対象のデータ(以下、「バックアップデータ」)は、例えば、制御装置700による射出成形機1の制御に関するデータ(以下、「制御データ」)を含む。バックアップ対象の制御データには、例えば、制御パラメータが含まれる。また、バックアップデータは、例えば、射出成形機1の稼働状況を表す情報を含むデータ(以下、「稼働状況データ」)を含む。バックアップ対象の稼働状況データには、例えば、射出成形機1の所定のタイミング(例えば、起動後の稼働開始)からのショット数等の情報が含まれる。
図3は、射出成形機管理システムSYSの機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
<射出成形機(制御装置)の機能構成>
図3に示すように、制御装置700は、電源電圧検出部7001と、瞬低状態検出部7002と、パラメータ設定部7003と、データ送信部7004と、データ記憶部7005と、データ比較部7006とを含む。
電源電圧検出部7001は、射出成形機1の電源電圧を検出する。
瞬低状態検出部7002は、電源電圧検出部7001により検出される電源電圧に基づき、電源からの瞬低(瞬時電圧低下)状態を検出する。瞬低状態は、射出成形機1の電源電圧が正常な電圧範囲から急に相対的に低く外れる状態を意味する。瞬低状態検出部7002は、瞬低状態を検出すると、射出成形機1の瞬断防止機能(瞬断防止回路)を作動させる。これにより、瞬低状態から瞬断状態に移行しても、ある程度の期間、射出成形機1(制御装置700)の稼働を継続させることができる。
パラメータ設定部7003は、射出成形機1の制御パラメータを設定する。パラメータ設定部7003は、例えば、設定(変更)されている各種の成形条件に合わせて、制御パラメータを設定する。成形条件は、操作装置750で受け付けられる、成形条件を設定する設定画面に対するユーザの所定の操作入力に応じて設定される。そのため、パラメータ設定部7003は、ユーザからの操作入力に応じて成形条件が設定変更されると、その変更後の成形条件に合わせて制御パラメータを変更する。また、パラメータ設定部7003は、操作装置750で受け付けられる、制御パラメータを設定する設定画面に対するユーザの所定の入力に応じて、直接、制御パラメータを設定する態様であってもよい。
データ送信部7004は、通信回線NWを通じて、管理装置2に射出成形機1に関するデータを送信する。データ送信部7004は、例えば、射出成形機1の稼働中において、所定の時間間隔(例えば、数十ms〜数秒間隔)で、定期的に、管理装置2に射出成形機1に関するデータを送信する。定期送信の対象のデータには、上述のバックアップデータが含まれる。また、定期送信の対象のデータには、例えば、電源電圧検出部7001により検出された射出成形機1の電源電圧に関する検出データ(以下、「電源電圧検出値」)が含まれる。これにより、管理装置2は、射出成形機1の電源電圧を把握することができる。また、データ送信部7004は、例えば、瞬断防止機能の作動の有無に関するデータ(以下、「瞬断防止作動状態データ」)を管理装置2に送信する。具体的には、データ送信部7004は、瞬断防止機能が作動している場合に、瞬断防止機能が作動していることを表す瞬断防止作動状態データを管理装置2に送信してよい。また、データ送信部7004は、瞬断防止機能が作動していない場合に、瞬断防止機能が非作動であることを示す瞬断防止作動状態データを送信してもよい。前者の瞬断防止作動状態データだけで無く、後者の瞬断防止作動状態データが管理装置2に送信される態様の場合、定期送信の対象のデータに、瞬断防止作動状態データが含まれてもよい。
データ記憶部7005は、制御装置700内或いは制御装置700に接続される不揮発性の記憶装置(例えば、補助記憶装置703)に規定される記憶領域として実現される。データ記憶部7005には、例えば、バックアップデータと同じ種類のデータの最新版が適宜記憶(保存)される。具体的には、データ記憶部7005は、パラメータ設定部7003により設定される制御パラメータ等の最新の制御データを記憶してよい。また、データ記憶部7005は、最新の稼働状況データを記憶してよい。
データ比較部7006は、データ記憶部7005に記憶されているデータと、管理装置2から送り戻される(フィードバックされる)、データ記憶部7005のデータと同じ種類のバックアップデータとを比較する。後述の如く、管理装置2にバックアップ済みのバックアップデータは、射出成形機1の電源電圧の低下に伴う電源の異常状態からの復旧時に、管理装置2から射出成形機1(制御装置700)に送信される(送り返される)。データ比較部7006は、データ記憶部7005のデータと、管理装置2から受信される同じ種類のバックアップデータとが同じ内容である場合、データ記憶部7005のデータが射出成形機1の異常発生直前の状態を反映していると判断する。一方、データ比較部7006は、データ記憶部7005のデータと、管理装置2から受信される同じ種類のバックアップデータとが異なる内容である場合、データ記憶部7005のデータを管理装置2から受信された同じ種類のバックアップデータの内容で更新させる。射出成形機1の異常発生の直前に変更されたデータがメモリ装置やレジスタ等から不揮発性のデータ記憶部7005に書き込まれることなく、射出成形機1が異常状態に遷移したと考えられるからである。これにより、制御装置700は、例えば、射出成形機1の電源電圧に異常が発生し、異常発生直前のデータを適切に保持できなかった場合であっても、管理装置2から受信されるバックアップデータ(制御データ)を利用して、射出成形機1に関する制御を適切に継続することができる。また、制御装置700は、例えば、管理装置2から受信されるバックアップデータ(稼働状況データ)を利用して、表示装置760に表示されるショット数等の稼働状況に関する情報を異常発生前からの履歴を維持した状態で継続させることができる。
<管理装置の機能構成>
図3に示すように、管理装置2は、受信データ記憶部2001と、電源状態監視部2002と、データ保持部2003と、データフィードバック部2004とを含む。
受信データ記憶部2001は、射出成形機1(制御装置700のデータ送信部7004)から受信される射出成形機1に関するデータ(以下、「受信データ」)を記憶する。受信データには、上述の如く、バックアップデータ、電源電圧検出値、及び瞬断防止作動状態データ等が含まれる。
電源状態監視部2002は、受信データ記憶部2001に記憶される、射出成形機1の電源電圧検出値に基づき、射出成形機1の電源状態を監視する。具体的には、電源状態監視部2002は、所定の制御周期ごとに、射出成形機1から逐次受信される最新の電源電圧検出値に基づき、射出成形機1の電源状態を監視する。
例えば、図4は、射出成形機1の電源状態の監視方法の一例を説明する状態遷移図4000である。
図4に示すように、射出成形機1の電源状態には、正常状態ST1と、異常状態ST2とが含まれる。
異常状態ST2には、電源電圧低下状態ST21と、瞬断防止状態ST22と、電源OFF状態ST23とが含まれる。
電源電圧低下状態ST21は、射出成形機1の電源電圧が正常状態ST1に相当する電圧範囲から相対的に低くなっている状態を表す。
瞬断防止状態ST22は、射出成形機1(制御装置700)の瞬断防止機能が作動している状態を表す。
電源OFF状態ST23は、電源電圧低下状態ST21或いは瞬断防止状態ST22から更に電源電圧が低下したり、制御装置700の通信異常が発生したりし、強制的に電源がOFF(異常停止)された状態を表す。
電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の正常状態ST1において、遷移条件TC1_21が成立すると、射出成形機1の電源状態が電源電圧低下状態ST21に遷移したと判断する。遷移条件TC1_21は、例えば、"電源電圧検出値Vdが閾値Vth1以下且つ閾値Vth2(<Vth1)以上の範囲まで低下していること"である。
また、電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の正常状態ST1において、遷移条件TC1_22が成立すると、射出成形機1の電源状態が瞬断防止状態ST22に遷移したと判断する。遷移条件TC1_22は、例えば、"射出成形機1(制御装置700)の瞬断防止機能が作動していること"である。
電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の電源電圧低下状態ST21において、遷移条件TC21_1が成立すると、射出成形機1の電源状態が正常状態ST1に復旧したと判断する。遷移条件TC21_1は、例えば、"射出成形機1の電源電圧検出値Vdが所定の正常範囲に復旧(正常復旧)していること"である。このとき、遷移条件TC21_1の正常範囲の下限は、閾値Vth1以上に設定される。
また、電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の電源電圧低下状態ST21において、遷移条件TC21_23が成立すると、射出成形機1の電源状態が電源OFF状態ST23に遷移したと判断する。遷移条件TC21_23は、例えば、"電源電圧検出値Vdが閾値Vth2より小さい、或いは、射出成形機1(制御装置700)との間の通信異常が発生していること"である。
電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の瞬断防止状態ST22において、遷移条件TC22_1が成立すると、射出成形機1の電源状態が正常状態ST1に復旧したと判断する。遷移条件TC22_1は、例えば、"瞬断防止機能が非作動であること"である。
また、電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の瞬断防止状態ST22において、遷移条件TC22_23が成立すると、射出成形機1の電源状態が電源OFF状態ST23に遷移したと判断する。遷移条件TC22_23は、例えば、"電源電圧検出値Vdが閾値Vth2より小さい、或いは、射出成形機1(制御装置700)との間の通信異常が発生していること"である。
電源状態監視部2002は、射出成形機1の電源の電源OFF状態ST23において、遷移条件TC23_1が成立すると、射出成形機1の電源状態が正常状態ST1に復旧したと判断する。遷移条件TC23_1は、例えば、"電源電圧が正常復旧し、且つ、瞬断防止機能が非作動であること"である。
図3に戻り、データ保持部2003は、電源状態監視部2002により射出成形機1の電源状態が正常状態ST1から異常状態ST2に遷移したと判断される場合、その判断の直前に、射出成形機1から受信されたバックアップデータ(以下、「直前バックアップデータ」)を保持する。また、データ保持部2003は、少なくとも、電源状態監視部2002により射出成形機1の電源状態が異常状態ST2から正常状態ST1に復旧したと判断されるまで、直前バックアップデータを保持し続ける。
データフィードバック部2004は、電源状態監視部2002により射出成形機1の電源状態が正常状態ST1に復旧したと判断される場合、データ保持部2003により保持されている直前バックアップデータを射出成形機1に送信する(送り返す)。これにより、射出成形機1(制御装置700)は、電源の異常状態からの復旧後に、直前バックアップデータに含まれる異常発生直前の制御データや稼働状況データ等を利用することができる。
[射出成形機管理システムのバックアップ機能に関する動作]
次に、図5を参照して、射出成形機管理システムSYSのバックアップ機能に関する動作の具体例について説明する。
図5は、射出成形機管理システムSYSの動作の一例を示すタイムチャート5000である。タイムチャート5000は、パラメータ設定部7003、データ送信部7004、電源状態監視部2002、データ記憶部7005、データ保持部2003、データフィードバック部2004、データ比較部7006、及びデータ記憶部7005のそれぞれの動作を示すタイムチャート5100,5200,5300,5400,5500,5600,5700,5800を含む。
尚、タイムチャート5400は、データ記憶部7005の通常時の動作を表し、タイムチャート5800は、データ記憶部7005の異常時の動作(例外処理動作)を表す。
図5に示すように、本例では、時刻t1にて、射出成形機1に停電が発生し、電力供給が停止し、その後、時刻t2にて、射出成形機1への電力供給が復旧している。
停電が発生する少し前に、ユーザが操作装置750に所定の操作入力を行い、成形条件の変更が行われている。そのため、射出成形機1のパラメータ設定部7003は、成形条件の変更に応じて、制御パラメータを"パラメータA"の設定状態から"パラメータB"の設定状態に変更している(タイムチャート5100参照)。
射出成形機1のデータ送信部7004は、上述の如く、停電発生前から、所定の時間間隔ごとに制御パラメータを含むバックアップデータを管理装置2に送信している。具体的には、データ送信部7004は、制御パラメータの変更前に"パラメータA"を含むバックアップデータを管理装置2に送信している。また、データ送信部7004は、制御パラメータの変更後、停電発生の直前及び直後に"パラメータB"を含むバックアップデータを管理装置2に送信している。その後、停電に伴う電源電圧の低下に伴い射出成形機1が異常停止(電源OFF)し、時刻t2の後まで、データ送信部7004の動作は停止している(タイムチャート5200参照)。
管理装置2の電源状態監視部2002は、停電発生(時刻t1)の直後に射出成形機1から送信されたデータを受信し、そのデータに含まれる電源電圧検出値に基づき、射出成形機1の電源の異常状態ST2を判断することができる。そして、電源状態監視部2002は、射出成形機1からデータが受信されない通信異常に基づき、射出成形機1の電源の異常状態ST2(電源OFF状態ST23)を判断することができる(タイムチャート5300参照)。
射出成形機1のデータ記憶部7005には、本来、制御パラメータの変更("パラメータA"→"パラメータB")に合わせて、変更後の制御パラメータ("パラメータB")が記憶されることになる(タイムチャート5400の点線部参照)。しかし、本例では、制御パラメータの変更直後に停電が発生している。そのため、変更後の制御パラメータの内容("パラメータB")がデータ記憶部7005に書き込まれず、データ記憶部7005に記憶されている制御パラメータの内容は、変更前の状態("パラメータA")のままで維持されてしまう(タイムチャート5400参照)。
管理装置2のデータ保持部2003は、停電発生(時刻t1)の後に、電源状態監視部2002により射出成形機1の電源の異常状態ST2が判断されると、"パラメータB"を含む直前バックアップデータを保持する。そして、データ保持部2003は、射出成形機1への電力供給の復旧(時刻t2)の後、電源状態監視部2002により射出成形機1の電源の正常状態ST1が判断されるまで、"パラメータB"を含む直前バックアップデータを保持し続ける(タイムチャート5500参照)。
射出成形機1のデータ送信部7004は、異常停止後、ユーザにより或いは自動で起動(電源ON)の操作がされることにより、時刻t2の後に、管理装置2へのデータの送信を再開する(タイムチャート5200参照)。そのため、管理装置2の電源状態監視部2002は、射出成形機1からの受信データに含まれる電源電圧検出値に基づき、射出成形機1の電源が異常状態ST2(電源OFF状態ST23)から正常状態ST1に復旧したと判断することができる(タイムチャート5300参照)。
管理装置2のデータフィードバック部2004は、射出成形機1への電力供給の復旧(時刻t2)の後、電源状態監視部2002により射出成形機1の電源の正常状態ST1が判断されると、データ保持部2003により保持されている直前バックアップデータを取得する。そして、データフィードバック部2004は、"パラメータB"を含む直前バックアップデータを射出成形機1に送信する(送り返す)(タイムチャート5600参照)。
射出成形機1のデータ比較部7006は、管理装置2から直前バックアップデータが受信されると、データ記憶部7005に記憶されている制御パラメータ("パラメータA")と、直前バックアップデータの制御パラメータ("パラメータB")とを比較する(タイムチャート5700参照)。データ比較部7006は、データ記憶部7005に記憶されている制御パラメータと、直前バックアップデータの制御パラメータとが異なっているため、直前バックアップデータの"パラメータB"をデータ記憶部7005の"パラメータA"に上書きさせる(タイムチャート5800参照)。これにより、制御装置700は、停電の発生前に変更された制御パラメータの内容("パラメータB")を、停電からの復旧後の射出成形機1の制御に反映させることができる。そのため、制御装置700は、射出成形機1を適切に制御することができる。
[射出成形機管理システムのバックアップ機能に関する構成の他の例]
次に、上述の一例を援用して、射出成形機管理システムSYSのバックアップ機能に関する構成の他の例について説明する。
バックアップ機能は、管理装置2と異なる他の装置によって実現されてもよい。
例えば、バックアップ機能は、管理装置2に代えて、或いは、加えて、バックアップデータを外部に送信する射出成形機1と異なる他の射出成形機1(制御装置700)により実現されてもよい。
具体的には、複数の射出成形機1は、互いに、他の射出成形機1のバックアップデータを受信し、必要な場合に、そのバックアップデータを送り返してよい。これにより、例えば、複数の射出成形機1のうちの一部だけに停電が発生したような場合、停電が発生していない射出成形機1は、停電が発生した射出成形機1に直前バックアップデータを提供(送り返す)することができる。
また、複数の射出成形機1のうちのマスタ機は、他のスレーブ機から送信されるバックアップデータを受信し、必要な場合に、そのバックアップデータを送り返してよい。この場合、マスタ機には、例えば、無停電電源装置等が接続され、停電時であっても、マスタ機の制御装置700の継続稼働が可能な態様であってよい。これにより、例えば、複数の射出成形機1が設置される工場で停電が発生したような場合、マスタ機は、停電が発生した他のスレーブ機に直前バックアップデータを提供(送り返す)することができる。
[作用]
次に、本実施形態に係る射出成形機管理システムSYSの作用について説明する。
本実施形態では、射出成形機1は、バックアップデータ(例えば、制御データ)を管理装置2に送信する。また、管理装置2は、射出成形機1から送信されるバックアップデータを受信する。そして、管理装置2は、射出成形機1から受信済みのバックアップデータを射出成形機1に送信する場合がある。換言すれば、射出成形機1は、自機が管理装置2に送信済みのバックアップデータを管理装置2から受信する場合がある。
また、本実施形態では、一の射出成形機1は、バックアップデータ(例えば、制御データ)を他の射出成形機1に送信する。また、他の射出成形機1は、一の射出成形機1から送信されるバックアップデータを受信する。そして、他の射出成形機1は、一の射出成形機1から受信済みのバックアップデータを一の射出成形機1に送信する場合がある。換言すれば、一の射出成形機1は、自機が他の射出成形機1に送信済みのバックアップデータを他の射出成形機1から受信する場合がある。
例えば、射出成形機1が停止(電源OFF)されると、次回の起動(電源ON)時に、射出成形機1の停止直前の制御に関するデータが不揮発性の記憶媒体に記憶されておらず、利用することができない可能性がある。具体的には、上述の如く、射出成形機1に突然の停電が発生し、停電直前に変更された制御パラメータのデータが射出成形機1の不揮発性の記憶媒体に残ってないような状況である。この場合、停電復帰後の起動時に、その制御パラメータを利用することができず、射出成形機1を適切に制御できない可能性がある。
これに対して、本実施形態では、射出成形機管理システムSYSにおいて、射出成形機1から管理装置2に送信されたデータが管理装置2に記憶され、必要に応じて、管理装置2から射出成形機1にその受信済みのデータを送信(送り返す)ことができる。そのため、射出成形機1は、例えば、停電直前に変更された制御パラメータを不揮発性の記憶媒体に保存できていない状況であっても、管理装置2から送り返される制御パラメータのデータを利用することができる。よって、射出成形機管理システムSYSは、射出成形機1を適切に制御することができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
尚、上述の如く、外部の管理装置2やマスタ機によって射出成形機1の制御が集中的に管理される場合、制御データや稼働状況データ等は、メモリ装置やレジスタ等に記憶され、不揮発性のデータ記憶部7005には保存されなくてもよい。この場合、射出成形機1の正常停止(通常の電源OFF)時にも、制御データや稼働状況データ等のバックアップ対象のデータは、射出成形機1に残らない。そのため、管理装置2やマスタ機は、正常停止か異常停止かに依らず、起動(電源ON)時に、毎回、射出成形機1の停止直前のバックアップデータをフィードバック(送信)してよい。
また、本実施形態では、射出成形機1は、管理装置2から受信されるバックアップデータ(制御データ)に基づき、自機の制御を行う場合があってよい。
また、本実施形態では、一の射出成形機1は、他の射出成形機1から受信されるバックアップデータ(制御データ)に基づき、自機の制御を行う場合があってよい。
これにより、射出成形機1は、例えば、停電直前に変更された制御パラメータを不揮発性の記憶媒体に保存できていない状況において、管理装置2から受信される制御パラメータを用いて、自機の制御を適切に行うことができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
また、本実施形態では、管理装置2は、射出成形機1の信頼性の相対的な低下をトリガにして、射出成形機1の信頼性が相対的に低下する直前のバックアップデータ(直前バックアップデータ)を射出成形機1に送信してよい。
また、本実施形態では、他の射出成形機1は、一の射出成形機1の信頼性の相対的な低下をトリガにして、一の射出成形機1の信頼性が相対的に低下する直前のバックアップデータ(直前バックアップデータ)を一の射出成形機1に送信してよい。
これにより、管理装置2は、例えば、電源電圧が低下した場合等の射出成形機1が本来機能を果たすことが可能な信頼性が相対的に低下した状況で、その信頼性が低下する直前のデータをバックアップすることができる。そのため、射出成形機1は、信頼性の低下によって、信頼性の低下直前のデータを不揮発性の記憶媒体に適切に保存できないような状況になったとしても、自機の正常復旧後に、管理装置2でバックアップされたデータを利用することができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
尚、射出成形機1の信頼性の相対的な低下には、射出成形機1の電源電圧の相対的な低下に代えて、或いは、加えて、他の異常状態が含まれてよい。他の異常状態には、例えば、制御装置700の所定の異常状態(例えば、不揮発性の記憶媒体への書き込みができない状態、内部や接続機器との通信障害が発生している状態等)が含まれてよい。また、他の異常状態には、例えば、射出成形機1の工場を含む地域での地震の発生、射出成形機1の工場の火災の発生等が含まれてよい。
また、本実施形態では、射出成形機1は、自機の信頼性に関するデータを定期的に管理装置2に送信する。そして、管理装置2は、射出成形機1から受信される、信頼性に関するデータに基づき、射出成形機1の信頼性の相対的な低下の有無を判断してよい。
また、本実施形態では、一の射出成形機1は、自機の信頼性に関するデータを定期的に他の射出成形機1に送信する。そして、他の射出成形機1は、一の射出成形機1から受信される、信頼性に関するデータに基づき、一の射出成形機1の信頼性の相対的な低下の有無を判断してよい。
これにより、管理装置2は、射出成形機1の信頼性の相対的に低下の有無を判断し、射出成形機1の信頼性が相対的に低下する直前のバックアップデータを適切に保持することができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
また、本実施形態では、射出成形機1から管理装置2に送信される、信頼性に関するデータは、射出成形機1に電力を供給する電源からの電圧に関するデータを含んでよい。
また、本実施形態では、一の射出成形機1から他の射出成形機1に送信される、信頼性に関するデータは、一の射出成形機1に電力を供給する電源からの電圧に関するデータを含んでよい。
これにより、管理装置2は、電源電圧に関するデータを用いて、電源電圧の低下の相対的な低下を判断することで、射出成形機1の信頼性の相対的な低下の有無を判断することができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
尚、射出成形機1は、電源電圧に関するデータ(例えば、電源電圧検出値)に代えて、或いは、加えて、自機の信頼性に関する他のデータ(例えば、制御装置700の異常の有無等に関するデータ)を管理装置2に送信してもよい。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様であってよい。また、管理装置2や他の射出成形機1は、(一の)射出成形機1から提供されるデータと異なるデータに基づき、射出成形機1の信頼性の相対的な低下を判断してもよい。例えば、管理装置2は、射出成形機管理システムSYSの外部から受信される地震の発生に関する情報を含むデータに基づき、射出成形機1の信頼性の相対的な低下に相当する、工場を含む地域の地震の発生を判断してよい。
また、本実施形態では、射出成形機1は、信頼性が相対的に低下した状態から復旧した場合、自機に記憶されているデータの内容と、管理装置2から受信されるデータの内容とが異なっている場合、管理装置2から受信されるデータを用いて、自機の制御を行ってよい。
また、本実施形態では、一の射出成形機1は、信頼性が相対的に低下した状態から復旧した場合、自機に記憶されているデータの内容と、他の射出成形機1から受信されるデータの内容とが異なっている場合、他の射出成形機1から受信されるデータを用いて、自機の制御を行ってよい。
これにより、射出成形機1は、例えば、停電直前に変更された制御パラメータを不揮発性の記憶媒体に保存できていない状況で、具体的に、管理装置2から受信される制御パラメータを用いて、自機の制御を適切に行うことができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
また、本実施形態では、射出成形機1は、バックアップデータを定期的に管理装置2に送信してよい。
また、本実施形態では、一の射出成形機1は、バックアップデータを定期的に他の射出成形機1に送信してよい。
これにより、管理装置2は、バックアップデータを繰り返し受信し、最新のバックアップデータを適宜更新させることができる。そのため、管理装置2は、例えば、射出成形機1に突然停電等が発生したような状況であっても、その発生直前のバックアップデータを適切に保持し、停電からの復旧後に射出成形機1にフィードバックすることができる。また、一の射出成形機1から他の射出成形機1にバックアップデータが送信される態様のバックアップ機能の場合についても同様の作用・効果を奏する。
尚、射出成形機1は、バックアップデータを管理装置2に定期的に送信する代わりに、自機の信頼性の低下の兆候が発生した場合等に限定して、バックアップデータを管理装置2に送信する態様であってもよい。
[変形、変更]
以上、実施形態等について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形や変更が可能である。
例えば、上述の実施形態では、射出成形機1に関するデータのバックアップ機能について説明したが、任意の機械(例えば、他の産業機械)や装置(例えば、家電製品)に関するデータを対象として、同様のバックアップ機能が適用されてもよい。他の産業機械には、例えば、工作機械や生産ロボット等、工場に定置される定置型の機械が含まれる。