JP2021159914A - 粉末用造粒剤、並びにこれを用いた造粒物およびその製造方法 - Google Patents

粉末用造粒剤、並びにこれを用いた造粒物およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低粘度であり、粉末と均一に混合可能であり、さらに、得られる造粒物の粒硬度が高い粉末用造粒剤、並びに、該粉末造粒剤を用いた造粒物、およびその製造方法を提供すること。【解決手段】繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有するバインダー成分により、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末を造粒してなる、造粒物。【選択図】なし

Description

本発明は、粉末用造粒剤、並びにこれを用いた造粒物およびその製造方法に関する。
水溶性高分子は、種々の粉末を造粒する際のバインダーや、医薬品の製剤時の結合剤として広く使用されている。
特許文献1には、製鉄業のみならず、広く金属材料製造業全般において適用することができる、粉末金属原料用造粒剤およびそれを用いた粉末金属原料の湿式造粒法を提供することを目的として、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸塩、グアーガム、タマリンドガムおよびデンプンから選ばれる1種以上のバインダー成分を含有することを特徴とする粉末金属原料用造粒剤が記載されている。
特許文献2には、鉄鉱石等の焼結原料を造粒して、焼結機における通気性の改善、生産性の向上に有効な擬似粒子化性に優れた造粒粒子を得る方法を提供することを目的として、鉄鉱石等の焼結原料に生石灰を配合し、散水を行って一次造粒を行った後、さらに粘度が5〜100mPa・sの液状バインダーを添加して二次造粒を行って、含水率6〜9質量%の造粒物を得ることを特徴とする焼結原料の造粒方法が記載され、前記液状バインダーが、ベントナイト、グアーガム、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、でんぷん、リグニン、および水ガラスよりなる群から選ばれる1種または2種以上を含むことが好ましい旨が記載されている。
特許文献3には、(R)−(−)−3’−(2−アミノ−1−ヒドロキシエチル)−4’−フロロメタンスルホンアニリド塩酸塩の安定化固形製剤に関し、糖アルコールおよびデンプン類を賦形剤とすることにより、安定性に優れた固形製剤が得られることが記載されている。
特開2000−178662号公報 特開2007−113086号公報 国際公開第00/10557号
特許文献1および2には、水溶性高分子の溶液をバインダーとして、製鉄所のダストや鉄鉱石を造粒する技術が記載されているが、得られた造粒物の強度は十分ではなかった。
また、特許文献3には、水溶性高分子を賦形剤として医薬品を製剤する技術が開示されているが、製剤の強度については検討されていない。
本発明は、低粘度であり、粉末と均一に混合可能であり、さらに、得られる造粒物の粒硬度が高い粉末用造粒剤、並びに、該粉末造粒剤を用いた造粒物、およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含む粉末用造粒剤が、粉末を造粒する際のバインダーとして有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の<1>〜<14>に関する。
<1> 繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有するバインダー成分により、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末を造粒してなる、造粒物。
<2> 前記繊維状セルロースが、繊維幅が1,000nmを超えるパルプ繊維を含有する、<1>に記載の造粒物。
<3> 前記繊維状セルロース中の前記微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上100質量%以下である、<1>または<2>に記載の造粒物。
<4> 前記微細繊維状セルロースが、アニオン性基を有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の造粒物。
<5> 前記粉末100質量部に対する前記繊維状セルロースおよび水溶性高分子の合計固形分量が0.001質量部以上10質量部以下である、<1>〜<4>のいずれかに記載の造粒物。
<6> 水溶性高分子と、繊維状セルロースとの配合比率(水溶性高分子/繊維状セルロース)が1/10以上1000/1以下である、<1>〜<5>のいずれかに記載の造粒物。
<7> 水溶性高分子が、23℃における1質量%水溶液の粘度が1,000mPa・s以上である高粘度水溶性高分子と、23℃における1質量%水溶液の粘度が100mPa・s以下である低粘度水溶性高分子とを含有する、<1>〜<6>のいずれかに記載の造粒物。
<8> 前記高粘度水溶性高分子と、前記低粘度水溶性高分子との配合比率(高粘度水溶性高分子/低粘度水溶性高分子、質量比)が、1/1以上20/1以下である、<7>に記載の造粒物。
<9> 前記高粘度水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロース、酸化デンプン、ポリアクリルアミド、グアーガム、およびポリアクリル酸よりなる群から選択される、<7>または<8>に記載の造粒物。
<10> 前記低粘度水溶性高分子が、ポリアクリル酸塩およびアルギン酸塩よりなる群から選択される、<7>〜<9>のいずれかに記載の造粒物。
<11> 前記粉末の粒度が12メッシュ以上である、<1>〜<10>のいずれかに記載の造粒物。
<12> 繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含む、粉末用造粒剤。
<13> 水溶性高分子が、23℃における1質量%水溶液の粘度が1,000mPa・s以上である高粘度水溶性高分子と、23℃における1質量%水溶液の粘度が100mPa・s以下である低粘度水溶性高分子とを含有する、<12>に記載の粉末用造粒剤。
<14> 無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末に、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有する水系分散液を混合して造粒する工程を有する、造粒物の製造方法。
本発明によれば、低粘度であり、粉末と均一に混合可能であり、さらに、得られる造粒物の粒硬度が高い粉末用造粒剤、並びに、該粉末造粒剤を用いた造粒物、およびその製造方法を提供することができる。
図1は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。 図2は、カルボキシ基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
[造粒物およびその製造方法]
本発明の造粒物は、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有するバインダー成分により、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末を造粒してなる。なお、本発明の造粒物は、繊維状セルロースおよび水溶性高分子がバインダー成分として機能し、粉末を結合することで造粒されている。以下の説明において、繊維状セルロースおよび水溶性高分子を含む結合剤成分(造粒剤)を、「バインダー成分」または「バインダー」ともいう。また、造粒の際に使用する繊維状セルロースおよび水溶性高分子を含有する水系分散液を、「バインダー溶液」ともいう。なお、バインダー溶液は、繊維状セルロースおよび水溶性高分子が溶解していることを意味するものではなく、繊維状セルロースおよび水溶性高分子の少なくとも1つが分散状態であるものを含むものである。
本発明によれば、造粒物の粒硬度が高い造粒物およびその製造方法を提供することができる。また、本発明の造粒物は高い粒硬度を有するとともに、水中での崩壊性を有し、食品、化粧品、医薬品、肥料、土壌改良剤、融雪剤等の各種の用途に好適に使用可能である。
上述した効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。従来、水溶性高分子の溶液は、種々の粉末を造粒する際のバインダーや、医薬品の製剤時の結合剤として広く使用されてきたが、得られる造粒物の硬度に改善の余地があった。一方、微細繊維状セルロースは、それ自体が、造粒物に適度な粒硬度を付与するとともに、過度な造粒剤の粘度上昇を伴わないため、造粒剤が粉末に均一に混合されるため、より粒硬度に優れる造粒物が得られたと考えられる。また、微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースは、親水性であることから、造粒物は水中での崩壊性を有するものと考えられる。さらに、繊維状セルロースは、生分解性であることから、肥料、土壌改良剤、融雪剤等に使用した場合でも、バインダーによる環境負荷の低減が期待される。また、繊維状セルロースは天然由来成分であることから、食品、医薬品、化粧品への展開が期待される。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
<繊維状セルロース>
本発明の繊維状セルロースは、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロース(以下、単に「微細繊維状セルロース」または「CNF」ともいう)を含有する。また、繊維状セルロースは、前記微細繊維状セルロースに加えて、繊維幅が1,000nmを超える繊維状セルロース(以下、「パルプ繊維」ともいう)を含有していてもよい。
〔微細繊維状セルロース〕
微細繊維状セルロースは、繊維幅が1,000nm以下である繊維状セルロースである。なお、繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば電子顕微鏡観察などにより測定することが可能である。
繊維状セルロース中の微細繊維状セルロースの含有量は、バインダー溶液の粘度、および経済性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%であり、100質量%であってもよく、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
微細繊維状セルロースとして、後述するイオン性基を含有する微細繊維状セルロースと、未変性微細繊維状セルロースとを併用してもよい。
微細繊維状セルロースの繊維幅は、1,000nm以下である。微細繊維状セルロースの繊維幅は、たとえば2nm以上1,000nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上10nm以下であることがとくに好ましい。微細繊維状セルロースの繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細繊維状セルロースによる強度や剛性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば1,000nm以下である。微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、2nm以上1,000nm以下であることが好ましく、2nm以上100nm以下であることがより好ましく、2nm以上50nm以下であることがさらに好ましく、2nm以上10nm以下であることがとくに好ましい。微細繊維状セルロースの平均繊維幅を2nm以上とすることにより、セルロース分子として水に溶解することを抑制し、微細繊維状セルロースによる強度や剛性の向上という効果をより発現しやすくすることができる。なお、微細繊維状セルロースは、たとえば単繊維状のセルロースである。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、たとえば電子顕微鏡を用いて以下のようにして測定される。まず、濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。次いで、観察対象となる繊維の幅に応じて1,000倍、5,000倍、10,000倍あるいは50,000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。ただし、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
微細繊維状セルロースの繊維長は、とくに限定されないが、たとえば0.1μm以上1,000μm以下であることが好ましく、0.1μm以上800μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上600μm以下であることがさらに好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制できる。また、微細繊維状セルロースのスラリー粘度を適切な範囲とすることも可能となる。なお、微細繊維状セルロースの繊維長は、たとえばTEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
微細繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造を有することは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合は、たとえば30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。これにより、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
微細繊維状セルロースの軸比(繊維長/繊維幅)は、とくに限定されないが、たとえば20以上10,000以下であることが好ましく、50以上1,000以下であることがより好ましい。軸比を上記下限値以上とすることにより、溶媒分散体を作製した際に十分な増粘性が得られやすい。軸比を上記上限値以下とすることにより、たとえば微細繊維状セルロースを水分散液として扱う際に、希釈等のハンドリングがしやすくなる点で好ましい。
本実施形態における微細繊維状セルロースは、たとえばイオン性基および非イオン性基のうちの少なくとも1種を有する。分散媒中における繊維の分散性を向上させ、解繊処理における解繊効率を高める観点からは、微細繊維状セルロースがイオン性基を有することがより好ましい。イオン性基としては、たとえばアニオン性基およびカチオン性基のいずれか一方または双方を含むことができる。また、非イオン性基としては、たとえばアルキル基およびアシル基などを含むことができる。本実施形態においては、イオン性基としてアニオン性基を有することがとくに好ましい。また、イオン性基は、エステル結合またはエーテル結合を介して繊維状セルロースに導入される基であることが好ましく、エステル結合を介して繊維状セルロースに導入される基であることがより好ましい。この場合、エステル結合は、繊維状セルロースとイオン性置換基となる化合物の脱水縮合で形成されることが好ましい。
なお、微細繊維状セルロースには、イオン性基を導入する処理が行われていなくてもよい。
イオン性基としてのアニオン性基としては、たとえばリンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基(単にリンオキソ酸基ということもある)、カルボキシ基またはカルボキシ基に由来する置換基(単にカルボキシ基ということもある)、スルホン基またはスルホン基に由来する置換基(単にスルホン基ということもある)、ザンテート基、ホスホン基、ホスフィン基、カルボキシアルキル基(カルボキシメチル基を含む)等を挙げることができる。スルホン基またはスルホン基に由来する置換基が、エステル結合を介して導入されている場合、同置換基を、硫黄オキソ酸基または硫黄オキソ酸基に由来する置換基(単に硫黄オキソ酸基ということもある)ということもある。中でも、アニオン性基は、リンオキソ酸基、リンオキソ酸基に由来する置換基、カルボキシ基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、硫黄オキソ酸基および硫黄オキソ酸基に由来する置換基よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、リンオキソ酸基、リンオキソ酸基に由来する置換基、カルボキシ基、硫黄オキソ酸基および硫黄オキソ酸基に由来する置換基よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく、リンオキソ酸基であることがとくに好ましい。イオン性置換基としてのカチオン性基としては、たとえばアンモニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基等を挙げることができる。中でもカチオン性基はアンモニウム基であることが好ましい。
リンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基は、たとえば下記式(1)で表される置換基である。各繊維状セルロースには、下記式(1)で表される置換基が複数導入されていてもよい。この場合、複数導入される下記式(1)で表される置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2021159914
式(1)中、a、bおよびnは自然数であり、mは任意の数である(ただし、a=b×mである)。n個あるαおよびα’のうち少なくとも1つはOであり、残りはRまたはORである。なお、各αおよびα’の全てがOであっても構わない。n個あるαは全て同じでも、それぞれ異なっていてもよい。βb+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。
Rは、各々、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、不飽和−環状炭化水素基、芳香族基、またはこれらの誘導基である。なお、式(1)におけるαは、セルロース分子鎖に由来する基であってもよい。また、式(1)においては、nは1であることが好ましい。
飽和−直鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、またはn−ブチル基等が挙げられるが、とくに限定されない。飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロピル基、またはt−ブチル基等が挙げられるが、とくに限定されない。飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンチル基、またはシクロヘキシル基等が挙げられるが、とくに限定されない。不飽和−直鎖状炭化水素基としては、ビニル基、またはアリル基等が挙げられるが、とくに限定されない。不飽和−分岐鎖状炭化水素基としては、i−プロペニル基、または3−ブテニル基等が挙げられるが、とくに限定されない。不飽和−環状炭化水素基としては、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられるが、とくに限定されない。芳香族基としては、フェニル基、またはナフチル基等が挙げられるが、とくに限定されない。
また、Rにおける誘導基としては、上記各種炭化水素基の主鎖または側鎖に対し、カルボキシ基、カルボキシレート基(−COO)、ヒドロキシ基、およびアミノ基などの官能基から選択される少なくとも1種類が付加または置換した状態の官能基が挙げられるが、とくに限定されない。また、Rの主鎖を構成する炭素原子数はとくに限定されないが、20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。Rの主鎖を構成する炭素原子数を上記範囲とすることにより、リンオキソ酸基の分子量を適切な範囲とすることができ、繊維原料への浸透を容易にし、微細繊維状セルロースの収率を高めることもできる。なお、式(1)中にRが複数個存在する場合や繊維状セルロースに上記式(1)で表される複数種の置換基が導入される場合には、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
βb+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、有機オニウムイオンを挙げることができる。有機オニウムイオンとしては、たとえば、有機アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオンを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族アンモニウムイオンや芳香族アンモニウムイオンを挙げることができ、有機ホスホニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族ホスホニウムイオンや芳香族ホスホニウムイオンを挙げることができる。無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、もしくはマグネシウム等の2価金属のイオン、水素イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。なお、式(1)中にβb+が複数個存在する場合や繊維状セルロースに上記式(1)で表される複数種の置換基が導入される場合には、複数存在するβb+はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βb+を含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、またはカリウムのイオンが好ましいが、とくに限定されない。
リンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基としては、より具体的には、リン酸基(−PO)、リン酸基の塩、亜リン酸基(ホスホン酸基)(−PO)、亜リン酸基(ホスホン酸基)の塩が挙げられる。また、リンオキソ酸基またはリンオキソ酸基に由来する置換基は、リン酸基が縮合した基(たとえば、ピロリン酸基)、ホスホン酸が縮合した基(たとえば、ポリホスホン酸基)、リン酸エステル基(たとえば、モノメチルリン酸基、ポリオキシエチレンアルキルリン酸基)、アルキルホスホン酸基(たとえば、メチルホスホン酸基)などであってもよい。
また、スルホン基(スルホン基またはスルホン基に由来する置換基)は、たとえば下記式(2)で表される置換基である。各繊維状セルロースには、下記式(2)で表される置換基が複数種導入されていてもよい。この場合、複数導入される下記式(2)で表される置換基はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2021159914
上記構造式中、bおよびnは自然数であり、pは0または1であり、mは任意の数である(ただし、1=b×mである)。なお、nが2以上である場合、複数あるpは同一の数であってもよく、異なる数であってもよい。上記構造式中、βb+は有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。有機物からなる1価以上の陽イオンとしては、有機オニウムイオンを挙げることができる。有機オニウムイオンとしては、たとえば、有機アンモニウムイオンや有機ホスホニウムイオンを挙げることができる。有機アンモニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族アンモニウムイオンや芳香族アンモニウムイオンを挙げることができ、有機ホスホニウムイオンとしては、たとえば、脂肪族ホスホニウムイオンや芳香族ホスホニウムイオンを挙げることができる。無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、ナトリウム、カリウム、もしくはリチウム等のアルカリ金属のイオンや、カルシウム、もしくはマグネシウム等の2価金属のイオン、水素イオン、アンモニウムイオン等が挙げられる。なお、繊維状セルロースに上記式(2)で表される複数種の置換基が導入される場合には、複数存在するβb+はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンとしては、βb+を含む繊維原料を加熱した際に黄変しにくく、また工業的に利用し易いナトリウム、またはカリウムのイオンが好ましいが、とくに限定されない。
微細繊維状セルロースに対するイオン性基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、微細繊維状セルロースに対するイオン性基の導入量は、たとえば繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.50mmol/g以下であることがさらに好ましく、3.00mmol/g以下であることがよりさらに好ましい。イオン性基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易とすることができ、微細繊維状セルロースの安定性を高めることが可能となる。また、イオン性基の導入量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの増粘剤などの種々用途において良好な特性を発揮することができる。
ここで、単位mmol/gにおける分母は、イオン性基の対イオンが水素イオン(H)であるときの微細繊維状セルロースの質量を示す。
繊維状セルロースに対するイオン性基の導入量は、たとえば中和滴定法により測定することができる。中和滴定法による測定では、得られた繊維状セルロースを含有するスラリーに、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを加えながらpHの変化を求めることにより、導入量を測定する。
図1は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロースに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
図1は、リンオキソ酸基を有する繊維状セルロース含有スラリーに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。繊維状セルロースに対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図1の上側部に示すような滴定曲線を得る。図1の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図1の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図1において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。たとえば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
なお、上述のリンオキソ酸基導入量(mmol/g)は、分母が酸型の繊維状セルロースの質量を示すことから、酸型の繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(酸型)と呼ぶ)を示している。一方で、リンオキソ酸基の対イオンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母を当該陽イオンCが対イオンであるときの繊維状セルロースの質量に変換することで、陽イオンCが対イオンである繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基量(以降、リンオキソ酸基量(C型))を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W−1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の強酸性基量と弱酸性基量を足した値)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
図2は、カルボキシ基を有する繊維状セルロースに対するNaOH滴下量とpHの関係を示すグラフである。
繊維状セルロースに対するカルボキシ基の導入量は、たとえば次のように測定される。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図2に示すような滴定曲線を得る。なお、必要に応じて、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
図2に示されるように、この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が一つ観測される。この増分の極大点を第1終点と呼ぶ。ここで、図2における滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼ぶ。第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中のカルボキシ基量と等しくなる。そして、滴定曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象の微細繊維状セルロース含有スラリー中の固形分(g)で除すことで、カルボキシ基の導入量(mmol/g)を算出した。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、カルボキシ基の対イオンが水素イオン(H)であるときの繊維状セルロースの質量1gあたりの置換基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。
なお、上述のカルボキシ基導入量(mmol/g)は、分母が酸型の繊維状セルロースの質量であることから、酸型の繊維状セルロースが有するカルボキシ基量(以降、カルボキシ基量(酸型)と呼ぶ)を示している。一方で、カルボキシ基の対イオンが電荷当量となるように任意の陽イオンCに置換されている場合は、分母を当該陽イオンCが対イオンであるときの繊維状セルロースの質量に変換することで、陽イオンCが対イオンである繊維状セルロースが有するカルボキシ基量(以降、カルボキシ基量(C型))(mmol/g)を求めることができる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
カルボキシ基量(C型)=カルボキシ基量(酸型)/{1+(W−1)×(カルボキシ基量(酸型))/1000}
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
なお、滴定法によるリンオキソ酸基量やカルボキシ基量等の置換基量の測定においては、水酸化ナトリウム水溶液1滴の滴下量が多すぎる場合や、滴定間隔が短すぎる場合、本来より低い置換基量となるなど正確な値が得られないことがある。適切な滴下量、滴定間隔としては、たとえば、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を5〜30秒に10〜50μLずつ滴定するなどが望ましい。また、繊維状セルロース含有スラリーに溶解した二酸化炭素の影響を排除するため、たとえば、滴定開始の15分前から滴定終了まで、窒素ガスなどの不活性ガスをスラリーに吹き込みながら測定するなどが望ましい。
また、繊維状セルロースに対するスルホン基の導入量は、得られた繊維状セルロースを過塩素酸と濃硝酸を用いて湿式灰化した後に、適当な倍率で希釈してICP発光分析により硫黄量を測定する。
この硫黄量を、供試した繊維状セルロースの絶乾質量で除した値をスルホン基量(単位:mmol/g)とする。
上述の方法によるイオン性基量の測定は、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースに適用され、繊維幅が1,000nmを超えるパルプ繊維のイオン性基の量を測定する場合には、パルプ繊維を微細化してから測定する。
〔微細繊維状セルロースの製造方法〕
(セルロースを含む繊維原料)
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料から製造される。
セルロースを含む繊維原料としては、とくに限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、とくに限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、とくに限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。なお、軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースを用いると粘度が高くなる傾向がある。
セルロースを含む繊維原料としては、たとえばホヤ類に含まれるセルロースや、酢酸菌が生成するバクテリアセルロースを利用することもできる。
また、セルロースを含む繊維原料に代えて、キチン、キトサンなどの直鎖型の含窒素多糖高分子が形成する繊維を用いることもできる。
上述のようなイオン性置換基を導入した繊維状セルロースを得るためには、上述したセルロースを含む繊維原料にイオン性置換基を導入するイオン性置換基導入工程、洗浄工程、アルカリ処理工程(中和工程)、解繊処理工程をこの順で有することが好ましく、洗浄工程の代わりに、または洗浄工程に加えて、酸処理工程を有していてもよい。イオン性置換基導入工程としては、リンオキソ酸基導入工程、カルボキシ基導入工程、スルホン酸基導入工程、ザンテート基導入工程、ホスホン基またはホスフィン基導入工程、およびスルホン基導入工程、カチオン基導入工程が例示される。以下、それぞれについて説明する。
(イオン性基導入工程)
−リンオキソ酸基導入工程−
リンオキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リンオキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リンオキソ酸基導入繊維が得られることとなる。
本実施形態に係るリン酸基導入工程では、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を、尿素およびその誘導体から選択される少なくとも1種(以下、「化合物B」ともいう)の存在下で行ってもよい。一方で、化合物Bが存在しない状態において、セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応を行ってもよい。
化合物Aを化合物Bとの共存下で繊維原料に作用させる方法の一例としては、乾燥状態または湿潤状態またはスラリー状の繊維原料に対して、化合物Aと化合物Bを混合する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料を用いることが好ましく、とくに乾燥状態の繊維原料を用いることが好ましい。繊維原料の形態は、とくに限定されないが、たとえば綿状や薄いシート状であることが好ましい。化合物Aおよび化合物Bは、それぞれ粉末状または溶媒に溶解させた溶液状または融点以上まで加熱して溶融させた状態で繊維原料に添加する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、溶媒に溶解させた溶液状、とくに水溶液の状態で添加することが好ましい。また、化合物Aと化合物Bは繊維原料に対して同時に添加してもよく、別々に添加してもよく、混合物として添加してもよい。化合物Aと化合物Bの添加方法としては、とくに限定されないが、化合物Aと化合物Bが溶液状の場合は、繊維原料を溶液内に浸漬し吸液させたのちに取り出してもよいし、繊維原料に溶液を滴下してもよい。また、必要量の化合物Aと化合物Bを繊維原料に添加してもよいし、過剰量の化合物Aと化合物Bをそれぞれ繊維原料に添加した後に、圧搾や濾過によって余剰の化合物Aと化合物Bを除去してもよい。
本実施態様で使用する化合物Aとしては、リン原子を有し、セルロースとエステル結合を形成可能な化合物であればよく、リン酸もしくはその塩、亜リン酸もしくはその塩、脱水縮合リン酸もしくはその塩、無水リン酸(五酸化二リン)などが挙げられるが、とくに限定されない。リン酸としては、種々の純度のものを使用することができ、たとえば100%リン酸(正リン酸)や85%リン酸を使用することができる。亜リン酸としては、たとえば99%亜リン酸(ホスホン酸)が挙げられる。脱水縮合リン酸は、リン酸が脱水反応により2分子以上縮合したものであり、たとえばピロリン酸、ポリリン酸等を挙げることができる。リン酸塩、亜リン酸塩、脱水縮合リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸または脱水縮合リン酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは種々の中和度とすることができる。
これらのうち、リン酸基の導入の効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、またはリン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、またはリン酸二水素アンモニウムがより好ましい。
繊維原料に対する化合物Aの添加量は、とくに限定されないが、たとえば化合物Aの添加量をリン原子量に換算した場合において、繊維原料(絶乾質量)に対するリン原子の添加量が0.5質量%以上100質量%以下となることが好ましく、1質量%以上50質量%以下となることがより好ましく、2質量%以上30質量%以下となることがさらに好ましい。繊維原料に対するリン原子の添加量を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。一方で、繊維原料に対するリン原子の添加量を上記上限値以下とすることにより、収率向上の効果とコストのバランスをとることができる。
本実施態様で使用する化合物Bは、上述の通り、尿素およびその誘導体から選択される少なくとも1種である。化合物Bとしては、たとえば尿素、ビウレット、1−フェニル尿素、1−ベンジル尿素、1−メチル尿素、および1−エチル尿素などが挙げられる。
反応の均一性を向上させる観点から、化合物Bは水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性をさらに向上させる観点からは、化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。
繊維原料(絶乾質量)に対する化合物Bの添加量は、とくに限定されないが、たとえば1質量%以上500質量%以下であることが好ましく、10質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以上350質量%以下であることがさらに好ましい。
セルロースを含む繊維原料と化合物Aの反応においては、化合物Bの他に、たとえばアミド類またはアミン類を反応系に含んでもよい。アミド類としては、たとえばホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。アミン類としては、たとえばメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、とくにトリエチルアミンは良好な反応触媒として働くことが知られている。
リンオキソ酸基導入工程においては、繊維原料に化合物A等を添加または混合した後、当該繊維原料に対して加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度としては、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、リンオキソ酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。加熱処理温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱処理には、種々の熱媒体を有する機器を利用することができ、たとえば撹拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、バンド型乾燥装置、ろ過乾燥装置、振動流動乾燥装置、気流乾燥装置、熱風乾燥装置、減圧乾燥装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波乾燥装置を用いることができる。
本実施形態に係る加熱処理においては、たとえば薄いシート状の繊維原料に化合物Aを含浸等の方法により添加した後、加熱する方法や、ニーダー等で繊維原料と化合物Aを混練または撹拌しながら加熱する方法を採用することができる。これにより、繊維原料における化合物Aの濃度ムラを抑制して、繊維原料に含まれるセルロース繊維表面へより均一にリン酸基を導入することが可能となる。これは、乾燥に伴い水分子が繊維原料表面に移動する際、溶存する化合物Aが表面張力によって水分子に引き付けられ、同様に繊維原料表面に移動してしまう(すなわち、化合物Aの濃度ムラを生じてしまう)ことを抑制できることに起因するものと考えられる。
また、加熱処理に用いる加熱装置は、たとえばスラリーが保持する水分および化合物Aと繊維原料中のセルロース等が含む水酸基等との脱水縮合(リン酸エステル化)反応に伴って生じる水分を常に装置系外に排出できる装置であることが好ましい。このような加熱装置としては、たとえば送風方式のオーブン等の熱風乾燥装置が挙げられる。装置系内の水分を常に排出することにより、リン酸エステル化の逆反応であるリン酸エステル結合の加水分解反応を抑制できることに加えて、繊維中の糖鎖の酸加水分解を抑制することもできる。このため、軸比の高い微細繊維状セルロースを得ることが可能となる。
加熱処理の時間は、たとえば繊維原料から実質的に水分が除かれてから1秒以上300分以下であることが好ましく、1秒以上1000秒以下であることがより好ましく、10秒以上800秒以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、加熱温度と加熱時間を適切な範囲とすることにより、リンオキソ酸基の導入量を好ましい範囲内とすることができる。
リンオキソ酸基導入工程は、少なくとも1回行えばよいが、2回以上繰り返して行うこともできる。2回以上のリンオキソ酸基導入工程を行うことにより、繊維原料に対して多くのリンオキソ酸基を導入することができる。本実施形態においては、好ましい態様の一例として、リンオキソ酸基導入工程を2回行う場合が挙げられる。
繊維原料に対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、1.00mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、繊維原料に対するリンオキソ酸基の導入量は、たとえば微細繊維状セルロース1g(質量)あたり5.20mmol/g以下であることが好ましく、3.65mmol/g以下であることがより好ましく、3.00mmol/g以下であることがさらに好ましい。リンオキソ酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にし、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
−カルボキシ基導入工程−
カルボキシ基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、オゾン酸化やフェントン法による酸化、TEMPO酸化処理などの酸化処理やカルボン酸由来の基を有する化合物もしくはその誘導体、またはカルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物もしくはその誘導体によって処理することにより行われる。
カルボン酸由来の基を有する化合物としては、とくに限定されないが、たとえばマレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸等のトリカルボン酸化合物が挙げられる。また、カルボン酸由来の基を有する化合物の誘導体としては、とくに限定されないが、たとえばカルボキシ基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシ基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシ基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては、とくに限定されないが、たとえばマレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。
カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物としては、とくに限定されないが、たとえば無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。また、カルボン酸由来の基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては、とくに限定されないが、たとえばジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等のカルボキシ基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が、アルキル基、フェニル基等の置換基により置換されたものが挙げられる。
カルボキシ基導入工程において、TEMPO酸化処理を行う場合には、たとえばその処理をpHが6以上8以下の条件で行うことが好ましい。このような処理は、中性TEMPO酸化処理ともいう。中性TEMPO酸化処理は、たとえばリン酸ナトリウム緩衝液(pH=6.8)に、繊維原料としてパルプと、触媒としてTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)等のニトロキシラジカル、犠牲試薬として次亜塩素酸ナトリウムを添加することで行うことができる。さらに亜塩素酸ナトリウムを共存させることによって、酸化の過程で発生するアルデヒドを、効率的にカルボキシ基まで酸化することができる。
また、TEMPO酸化処理は、その処理をpHが10以上11以下の条件で行ってもよい。このような処理は、アルカリTEMPO酸化処理ともいう。アルカリTEMPO酸化処理は、たとえば繊維原料としてのパルプに対し、触媒としてTEMPO等のニトロキシラジカルと、共触媒として臭化ナトリウムと、酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを添加することにより行うことができる。
繊維原料に対するカルボキシ基の導入量は、置換基の種類によっても変わるが、たとえばTEMPO酸化によりカルボキシ基を導入する場合、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.10mmol/g以上であることが好ましく、0.20mmol/g以上であることがより好ましく、0.50mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.90mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、3.65mmol/g以下であることが好ましく、3.00mmol/g以下であることがより好ましく、2.5mmol/g以下であることがさらに好ましく、2.20mmol/g以下であることがよりさらに好ましく、2.00mmol/g以下であることがとくに好ましい。その他、置換基がカルボキシメチル基である場合、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり5.8mmol/g以下であってもよい。
−スルホン基導入工程−
イオン性置換基導入工程としては、スルホン基導入工程を含んでもよい。スルホン基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と硫黄オキソ酸が反応することで、スルホン基を有するセルロース繊維(スルホン基導入繊維)を得ることができる。
スルホン基導入工程では、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Aに代えて、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、スルホン基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物C」ともいう)を用いる。化合物Cとしては、硫黄原子を有し、セルロースとエステル結合を形成可能な化合物であればよく、硫酸もしくはその塩、亜硫酸もしくはその塩、硫酸アミドなどが挙げられるがとくに限定されない。硫酸としては、種々の純度のものを使用することができ、たとえば96%硫酸(濃硫酸)を使用することができる。亜硫酸としては、5%亜硫酸水が挙げられる。硫酸塩または亜硫酸塩としては、硫酸塩または亜硫酸塩のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられ、これらは種々の中和度とすることができる。硫酸アミドとしては、スルファミン酸などを使用することができる。スルホン基導入工程では、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることが好ましい。
スルホン基導入工程においては、セルロース原料に硫黄オキソ酸、並びに、尿素および/または尿素誘導体を含む水溶液を混合した後、当該セルロース原料に対して加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度としては、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、スルホン基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。加熱処理温度は、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。また、加熱処理温度は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
加熱処理工程では、実質的に水分がなくなるまで加熱をすることが好ましい。このため、加熱処理時間は、セルロース原料に含まれる水分量や、硫黄オキソ酸、並びに、尿素および/または尿素誘導体を含む水溶液の添加量によって、変動するが、たとえば、10秒以上10000秒以下とすることが好ましい。加熱処理には、種々の熱媒体を有する機器を利用することができ、たとえば熱風乾燥装置、撹拌乾燥装置、回転乾燥装置、円盤乾燥装置、ロール型加熱装置、プレート型加熱装置、流動層乾燥装置、バンド型乾燥装置、ろ過乾燥装置、振動流動乾燥装置、気流乾燥装置、減圧乾燥装置、赤外線加熱装置、遠赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置、高周波乾燥装置を用いることができる。
セルロース原料に対するスルホン基の導入量は、0.05mmol/g以上であることが好ましく、0.10mmol/g以上であることがより好ましく、0.20mmol/g以上であることがさらに好ましく、0.40mmol/g以上であることが一層好ましく、0.50mmol/g以上であることがとくに好ましい。また、セルロース原料に対するスルホン基の導入量は、5.00mmol/g以下であることが好ましく、3.00mmol/g以下であることがより好ましい。スルホン基の導入量を上記範囲内とすることにより、微細化処理工程におけるセルロース繊維の微細化を容易にし、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。
−塩素系酸化剤による酸化工程(第二のカルボキシ基導入工程)−
イオン性置換基導入工程としては、塩素系酸化剤による酸化工程を含んでもよい。塩素系酸化剤による酸化工程では、塩素系酸化剤を湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にカルボキシ基が導入される。
塩素系酸化剤としては、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩、亜塩素酸、亜塩素酸塩、塩素酸、塩素酸塩、過塩素酸、過塩素酸塩、二酸化塩素などが挙げられる。置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点から、塩素系酸化剤は、次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナトリウム、二酸化塩素であることが好ましい。塩素系酸化剤を添加する際には、試薬(固形状もしくは液状)としてそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。
塩素系酸化剤による酸化工程における塩素系酸化剤の溶液中濃度は、たとえば有効塩素濃度に換算して、1質量%以上1,000質量%以下であることが好ましく、5質量%以上500質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上100質量%以下であることがさらに好ましい。塩素系酸化剤の繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、10質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、100質量部以上5,000質量部以下であることがさらに好ましい。
塩素系酸化剤による酸化工程における塩素系酸化剤との反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、10分間以上500分間以下であることがより好ましく、20分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。反応時のpHは、5以上15以下であることが好ましく、7以上14以下であることがより好ましく、9以上13以下であることがさらに好ましい。また、反応開始時、反応中のpHは塩酸や水酸化ナトリウムを適宜添加しながら一定(たとえば、pH11)を保つことが好ましい。また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
−ザンテート基導入工程(キサントゲン酸エステル化工程)−
イオン性置換基導入工程としては、たとえばザンテート基導入工程(以下、ザンテート化工程ともいう。)を含んでもよい。ザンテート化工程では、二硫化炭素とアルカリ化合物を、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にザンテート基が導入される。具体的には、二硫化炭素を後述の手法でアルカリセルロース化した繊維原料に対して加え、反応を行う。
<<アルカリセルロース化>>
繊維原料へのイオン性置換基導入に際しては、繊維原料が含むセルロースにアルカリ溶液を作用させ、セルロースをアルカリセルロース化することが好ましい。この処理により、セルロースの水酸基の一部がイオン解離し、求核性(反応性)を高めることができる。アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、とくに限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを用いることが好ましい。アルカリセルロース化は、イオン性置換基の導入と同時に行ってもよいし、その前段として行ってもよいし、両方のタイミングで行ってもよい。
アルカリセルロース化を始める際の溶液温度は、0℃以上50℃以下であることが好ましく、5℃以上40℃以下であることがより好ましく、10℃以上30℃以下であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液中のアルカリ濃度としては、モル濃度として0.01mol/L以上4mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/L以上3mol/L以下であることがより好ましく、1mol/L以上2.5mol/L以下であることがさらに好ましい。とくに、アルカリセルロース化における処理温度が10℃未満である場合は、アルカリ濃度は1mol/L以上2mol/L以下であることが好ましい。
アルカリセルロース化の処理時間は、1分間以上であることが好ましく、10分間以上であることがより好ましく、30分間以上であることがさらに好ましい。また、アルカリ処理の時間は、6時間以下であることが好ましく、5時間以下であることがより好ましく、4時間以下であることがさらに好ましい。
アルカリ溶液の種類、処理温度、濃度、浸漬時間を上述のように調整することで、セルロースの結晶領域へのアルカリ溶液浸透を抑制でき、セルロースI型の結晶構造が維持されやすくなり、微細繊維状セルロースの収率を高めることができる。
イオン性置換基導入とアルカリセルロース化を同時に行わない場合、アルカリセルロース化はイオン性置換基導入の前段で行われるのが好ましい。この場合、アルカリセルロース化処理で得られたアルカリセルロースは、遠心分離や、濾別などの一般的な脱液方法により、固液分離し、水分を除去しておくことが好ましい。これにより、次いで行われるイオン性置換基導入工程での、反応効率が向上する。固液分離後のセルロース繊維濃度は、5%以上50%以下であることが好ましく、10%以上40%以下であることがより好ましく、15%以上35%以下であることがさらに好ましい。
−ホスホン基またはホスフィン基導入工程(ホスホアルキル化工程)−
イオン性置換基導入工程としては、ホスホン基またはホスフィン基導入工程(ホスホアルキル化工程)を含んでもよい。ホスホアルキル化工程では、必須成分として、反応性基とホスホ基またはホスフィン基とを有する化合物(化合物E)、任意成分としてアルカリ化合物、前述した尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にホスホン基またはホスフィン基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、たとえばビニルホスホン酸、フェニルビニルホスホン酸、フェニルビニルホスフィン酸等が挙げられる。置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点から化合物Eはビニルホスホン酸であることが好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましく、添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eを添加する際には、試薬(固形状もしくは液状)としてそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述の通りである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、10分間以上500分間以下であることがより好ましく、20分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
−スルホン基導入工程(スルホアルキル化工程)(第二のスルホン基導入工程)−
イオン性置換基導入工程としては、スルホン基導入工程(スルホアルキル化工程)を含んでもよい。スルホアルキル化では、必須成分として、反応性基とスルホン基とを有する化合物(化合物E)と、任意成分としてアルカリ化合物、前述した尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にスルホン基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、2−クロロエタンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸ナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。中でも、置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点から化合物Eはビニルスルホン酸ナトリウムであることが好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましく、添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eを添加する際には、試薬(固形状もしくは液状)としてそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述の通りである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、10分間以上500分間以下であることがより好ましく、15分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
−カルボキシアルキル化工程(第三のカルボキシ基導入工程)−
イオン性置換基導入工程としては、カルボキシアルキル化工程を含んでもよい。必須成分として、反応性基とカルボキシ基とを有する化合物(化合物E)、任意成分としてアルカリ化合物、前述した尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にカルボキシ基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
化合物Eとしては、置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点からモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ナトリウム、2−クロロプロピオン酸、3−クロロプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸ナトリウム、3−クロロプロピオン酸ナトリウムが好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましく、添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eを添加する際には、試薬(固形状もしくは液状)としてそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述の通りである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、3分間以上500分間以下であることがより好ましく、5分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
<カチオン性基導入工程(カチオン化工程)>
必須成分として、反応性基とカチオン性基とを有する化合物(化合物E)、任意成分としてアルカリ化合物、前述した尿素およびその誘導体から選択される化合物Bを、湿潤あるいは乾燥状態の、水酸基を有する繊維原料に加えて反応を行うことで、繊維原料にカチオン基が導入される。
反応性基としては、ハロゲン化アルキル基、ビニル基、エポキシ基(グリシジル基)などが挙げられる。
カチオン性基としては、アンモニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基等を挙げることができる。中でもカチオン性基はアンモニウム基であることが好ましい。
化合物Eとしては、置換基の導入効率、ひいては解繊効率、コスト、取り扱いやすさの点からグリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が好ましい。
さらに任意成分として、上述した<リンオキソ酸基導入工程>における化合物Bを同様に用いることも好ましい。添加量も前述のようにすることが好ましい。
化合物Eを添加する際には、試薬(固形状もしくは液状)としてそのまま繊維原料に加えてもよいし、適当な溶媒に溶かして加えてもよい。繊維原料は事前にアルカリセルロース化するか、反応と同時にアルカリセルロース化されることが好ましい。アルカリセルロース化の方法は、前述の通りである。
反応時の温度は、たとえば50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。
化合物Eの繊維原料100質量部に対する添加量は、1質量部以上100,000質量部以下であることが好ましく、2質量部以上10,000質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上1,000質量部以下であることがさらに好ましい。
反応時間は、反応温度に応じて変わり得るが、たとえば1分間以上1,000分間以下であることが好ましく、5分間以上500分間以下であることがより好ましく、10分間以上400分間以下であることがさらに好ましい。また、反応後は濾過等により、余剰の反応試薬、副生物等を水洗・除去してもよい。
(洗浄工程)
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてイオン性基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりイオン性基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、とくに限定されない。
(アルカリ処理工程)
微細繊維状セルロースを製造する場合、イオン性基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、繊維原料に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、とくに限定されないが、たとえばアルカリ溶液中に、イオン性基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、とくに限定されず、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。本実施形態においては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムをアルカリ化合物として用いることが好ましい。また、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水または有機溶媒のいずれであってもよい。中でも、アルカリ溶液に含まれる溶媒は、水、またはアルコールに例示される極性有機溶媒などを含む極性溶媒であることが好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒であることがより好ましい。アルカリ溶液としては、汎用性が高いことから、たとえば水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上80℃以下であることが好ましく、10℃以上60℃以下であることがより好ましい。アルカリ処理工程におけるイオン性基導入繊維のアルカリ溶液への浸漬時間は、とくに限定されないが、たとえば5分以上30分以下であることが好ましく、10分以上20分以下であることがより好ましい。アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は、とくに限定されないが、たとえばイオン性基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100,000質量%以下であることが好ましく、1,000質量%以上25,000質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の使用量を減らすために、イオン性基導入工程の後であってアルカリ処理工程の前に、イオン性基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄してもよい。アルカリ処理工程の後であって解繊処理工程の前には、取り扱い性を向上させる観点から、アルカリ処理を行ったイオン性基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
(酸処理工程)
微細繊維状セルロースを製造する場合、イオン性基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、繊維原料に対して酸処理を行ってもよい。たとえば、イオン性基導入工程、酸処理工程、アルカリ処理工程および解繊処理工程をこの順で行ってもよい。
酸処理の方法としては、とくに限定されないが、たとえば酸を含有する酸性液中に繊維原料を浸漬する方法が挙げられる。使用する酸性液の濃度は、とくに限定されないが、たとえば10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。また、使用する酸性液のpHは、とくに限定されないが、たとえば0以上4以下であることが好ましく、1以上3以下であることがより好ましい。酸性液に含まれる酸としては、たとえば無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、たとえば硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、たとえばギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。これらの中でも、塩酸または硫酸を用いることがとくに好ましい。
酸処理における酸溶液の温度は、とくに限定されないが、たとえば5℃以上100℃以下が好ましく、20℃以上90℃以下がより好ましい。酸処理における酸溶液への浸漬時間は、とくに限定されないが、たとえば5分以上120分以下が好ましく、10分以上60分以下がより好ましい。酸処理における酸溶液の使用量は、とくに限定されないが、たとえば繊維原料の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100,000質量%以下であることが好ましく、1,000質量%以上10,000質量%以下であることがより好ましい。
(解繊処理工程)
イオン性基導入繊維を解繊処理工程で解繊処理することにより、微細繊維状セルロースが得られる。
解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、とくに限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
解繊処理工程においては、たとえばイオン性基導入繊維を、分散媒により希釈してスラリー状にすることが好ましい。分散媒としては、水、および極性有機溶媒などの有機溶媒から選択される1種または2種以上を使用することができる。極性有機溶媒としては、とくに限定されないが、たとえばアルコール類、多価アルコール類、ケトン類、エーテル類、エステル類、非プロトン極性溶媒等が好ましい。アルコール類としては、たとえばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類としては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、たとえばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。エステル類としては、たとえば酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。非プロトン性極性溶媒としてはジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
解繊処理時の微細繊維状セルロースの固形分濃度は適宜設定できる。
また、リンオキソ酸基導入繊維を分散媒に分散させて得たスラリー中には、たとえば水素結合性のある尿素などのリンオキソ酸基導入繊維以外の固形分が含まれていてもよい。
〔パルプ繊維〕
本発明において、繊維状セルロースは、上述した微細繊維状セルロースに加えて、繊維幅が1,000nmを超えるパルプ繊維を含有していてもよい。
パルプ繊維は、たとえばイオン性基および非イオン性基のうちの少なくとも1種を有していてもよい。分散媒中におけるパルプ繊維の分散性を向上させる観点からは、パルプ繊維がイオン性基を有することがより好ましい。イオン性基としては、たとえばアニオン性基およびカチオン性基のいずれか一方または双方を含むことができる。また、非イオン性基としては、たとえばアルキル基およびアシル基などを含むことができる。本実施形態においては、イオン性基としてアニオン性基を有することがとくに好ましい。
パルプ繊維にアニオン性基を導入する方法は、微細繊維状セルロースの製造方法における、イオン性基導入工程を実施することで得られ、解繊処理工程を有しない以外は、同様の方法により製造することができる。
パルプ繊維の繊維幅および平均繊維幅は、良好な造粒性を得る観点から、好ましくは3μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは25μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは35μm以下である。
パルプ繊維の繊維幅および平均繊維幅は、実施例に記載の方法により測定される。
繊維状セルロース中のパルプ繊維の含有量は、バインダー溶液の粘度、および経済性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは85質量%以下であり、0質量%であってもよく、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上である。
<水溶性高分子>
本発明の造粒物は、水溶性高分子を含有する。なお、本発明において、水溶性高分子とは、上述した繊維状セルロースを除く水溶性高分子である。
水溶性高分子とは、0〜100℃の任意の液温の水100gに対して、1g以上の溶解性を有する高分子化合物を意味する。また、高分子化合物とは、重量平均分子量が1,000以上の化合物を意味し、5,000以上であることが好ましい。
水溶性高分子としてはとくに限定されないが、多糖類およびその誘導体、水溶性タンパク質、水溶性合成高分子が例示される。
多糖類およびその誘導体としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体;アラビアガム,トララントガム,カラヤガム等の樹脂多糖類、タマリンドガム、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム等の種子多糖類;アルギン酸塩、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カラギーナン、ファーセルラン、寒天等の海藻多糖類;ハイメトキシペクチン、ローメトキシペクチン等の植物多糖類;生デンプン、デキストリンブリティッシュガム、酸化デンプンおよびエーテル化またはエステル化デンプン等のデンプン類;キサンタンガム、プルラン、グルカン等の微生物生産多糖類;キチン、キトサン等のアミノ多糖類;コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖類が例示される。
水溶性タンパク質としては、カゼイン、ゼラチン、アルブミン等が例示される。
水溶性合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコールが例示される。
これらの中でも、好ましくは、デンプン類、セルロース誘導体、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、並びにポリエチレングリコールよりなる群から選択される少なくとも1つ、より好ましくはデンプン類、セルロース誘導体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリアクリルアミド、ポアリアクリル酸およびその塩である。
水溶性高分子は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
水溶性高分子として、1質量%水溶液の23℃における粘度が1,000mPa・s以上である水溶性高分子(以下、1質量%水溶液の23℃における粘度が1,000mPa・s以上である水溶性高分子を、「高粘度水溶性高分子」ともいう)を使用する場合には、バインダー溶液の粘度を低下させる観点から、1質量%水溶液の23℃における粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子(以下、1質量%水溶液の23℃における粘度が100mPa・s以下である水溶性高分子を、「低粘度水溶性高分子」ともいう)を併用することが好ましい。
高粘度水溶性高分子の1質量%水溶液の23℃における粘度は、1,000mPa・s以上であり、造粒物の粒硬度を向上させる観点から、好ましくは1,300mPa・s以上、より好ましくは1,700mPa・s以上、さらに好ましくは2,000mPa・s以上であり、そして、取扱い性の観点から、好ましくは100,000mPa・s以下、より好ましくは60,000mPa・s以下、さらに好ましくは10,000mPa・s以下である。
また、低粘度水溶性高分子の1質量%水溶液の23℃における粘度は、100mPa・s以下であり、好ましくは70mPa・s以下、より好ましくは40mPa・s以下、さらに好ましくは20mPa・s以下である。下限はとくに限定されないが、入手容易性の観点から、好ましくは0.01mPa・s以上である。
上記の粘度は、固形分濃度を1質量%に調整した水溶液を1,500rpmで5分間、ディスパーサーにて撹拌した後、測定前に23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した後、B型粘度計を用いて23℃、回転数3rpmの条件で測定する。より具体的には、たとえばB型粘度計であるBLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVTを用いることができる。測定条件は、たとえば液温23℃にて、粘度計の回転数は3rpmにて測定を行い、測定開始から3分のときの粘度値を当該分散液の粘度とする。なお、上記水溶液は、水溶性高分子が完全に溶解していてもよく、分散状態であってもよい。
高粘度水溶性高分子としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酸化デンプン、ポリアクリルアミド、グアーガム、ポリアクリル酸が例示され、これらの中でも、造粒物の粒硬度の観点から、カルボキシメチルセルロース、酸化デンプン、ポリアクリルアミドが好ましく、カルボキシメチルセルロースがより好ましい。
また、低粘度水溶性高分子としては、ポリアクリル酸塩、アルギン酸塩が例示され、これらの中でも、バインダー溶液の粘度低減の観点、および造粒物の粒硬度の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムがより好ましい。
ここで、ポリアクリル酸塩としては、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム等のポリアクリル酸のアルカリ金属塩が例示され、ポリアクリル酸ナトリウムが好ましい。
また、アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸アンモニウムが例示され、アルギン酸ナトリウムが好ましい。
高粘度水溶性高分子と、低粘度水溶性高分子とを併用する場合、高粘度水溶性高分子と低粘度水溶性高分子との配合比(高粘度水溶性高分子/低粘度水溶性高分子、質量比)は、バインダー溶液の粘度低減の観点および造粒物の粒硬度の観点から、好ましくは1/2以上、より好ましくは1/1以上、さらに好ましくは1.5/1以上であり、そして、好ましくは20/1以下、より好ましくは10/1以下、さらに好ましくは5/1以下である。
<バインダー成分およびそのバインダー溶液>
本発明において、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される粉末のバインダー成分(造粒剤)として、繊維状セルロースおよび水溶性高分子を使用して、粉末を造粒するものである。
粉末100質量部に対する繊維状セルロースおよび水溶性高分子の合計固形分量は、造粒性および造粒物の粒硬度の観点から、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、そして、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは1質量部以下である。
水溶性高分子と繊維状セルロースとの配合比率(水溶性高分子/繊維状セルロース)は、バインダー溶液の粘度および造粒物の粒硬度の観点から、好ましくは1/10以上、より好ましくは1/3以上、さらに好ましくは1/1以上であり、そして、好ましくは1,000/1以下、より好ましくは100/1以下、さらに好ましくは10/1以下、より好ましくは5/1以下である。
バインダー成分は、液体の状態で付与することが好ましく、水系分散液の状態で付与することがより好ましい。バインダー成分を含有するバインダー溶液は、バインダー成分である繊維状セルロースおよび水溶性高分子の少なくとも一部が溶解していることが好ましく、一部は分散状態であってもよい。
バインダー溶液の使用時の粘度は、均一に粉末と混合する観点、および製造時の取扱い性の観点から、好ましくは0.1mPa・s以上、より好ましくは1mPa・s以上、さらに好ましくは5mPa・s以上であり、そして、好ましくは4,000mPa以下、より好ましくは2,000mPa・s以下、さらに好ましくは1,500mPa・s以下、よりさらに好ましくは1,000mPa・s以下、とくに好ましくは950mPa・s以下である。
なお、使用時のバインダー溶液の濃度は、乾燥を容易にする観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上、よりさらに好ましくは0.2質量%以上であり、均一に付与する観点、および取扱い性の観点から、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下である。
バインダー溶液の溶媒としては、水を主成分とするものであることが好ましく、水に加えて有機溶媒を含有していてもよい。前記有機溶媒としては、解繊工程において挙げた極性有機溶媒が例示される。水系分散液の溶媒中の水の含有量は、50質量%以上であり、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、100質量%であってもよい。
<粉末>
本発明の造粒物は、上述したバインダー成分により、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末を造粒してなる。
〔無機粉末〕
本発明において使用される無機粉末としては、とくに限定されず、造粒物の使用目的に応じて、適宜選択すればよい。
造粒物を肥料用に使用する場合、無機粉末としては、窒素、リン酸、カリウム、石灰、ケイ酸、マグネシウム、マンガン、酸化ホウ素(B)よりなる群から選択される少なくとも1つを主成分とする無機粉末であることが好ましい。
また、造粒物を植物の栄養成分に使用する場合、酸化硫黄(SO)、鉄、銅、亜鉛、モリブデンなどが例示される。
その他、無機粉末としては、ドロマイト(主成分は炭酸マグネシウムと炭酸カルシウム)、硫黄が例示される。
窒素を主成分とする無機粉末としては、硫酸アンモニウム((NHSO)、塩化アンモニウム(NHCl)、硝酸アンモニウム、(NHNO)硝酸ナトリウム(NaNO)、石灰窒素(CaCN、CaO)が例示される。ここで、石灰窒素は、たとえば、石炭から得られるコークスと生石灰とを原料としており、硝酸ナトリウムは、たとえばチリ硝石を原料としている。
リン酸を主成分とする無機粉末としては、過リン酸石灰(Ca(HPO・HOとCaSOとの混合物)、重過リン酸石灰(Ca(HPO・HO)、熔成リン肥、焼成リン肥(CaNa(PO)、リン酸アンモニウムが例示される。ここで、過リン酸石灰は、リン鉱石を硫酸と反応させ生成するリン酸一カルシウムと、硫酸カルシウム(石膏)との混合物であり、重過リン酸石灰は、リン鉱石とリン酸とを反応させ、リン酸一カルシウムを製造する。また、リン酸アンモニウムはリン鉱石と硫酸とを反応させて得られたリン酸とアンモニウムとを反応させて得られる。熔成リン肥は、リン鉱石と蛇紋岩を電気炉で加熱溶解して得られ、リン鉱石中のフッ素アパタイトを加熱により分解し、フッ素を除去することで、有機リン酸肥料としたものである。さらに、焼成リン肥は、リン鉱石を炭酸ナトリウム、リン酸と溶融しない程度の高温で焼成し、アパタイト構造を破壊し、フッ素を除去し、リン酸肥料とするものである。
カリウムを主成分とする無機粉末としては、塩化カリウム(KCl)、硫酸カリウム(KSO)、ケイ酸カリウム等が例示される。塩化カリウムは、鉱石(シルビナイト、カーナリタイトなど)を選鉱または再結晶などを行って得る方法、天然かん水を濃縮、分別結晶などを行って得る方法、などによって得られる。また、硫酸カリウムは、塩化カリウムに硫酸を反応させることによって得られる。ケイ酸カリウムは、フライアッシュ、水酸化カリウムおよび水酸化マグネシウムを混合、造粒し、さらに焼成することによって得られる。
石灰を主成分とする無機粉末は、カルシウム分を主成分とする無機粉末であり、たとえば、生石灰、消石灰、炭酸石灰、石灰窒素などが例示される。
また、ケイ酸を主成分とする無機粉末は、鉱さいが挙げられ、具体的には、製銑鉱さい、普通鋼鉱さい、ステンレス鉱さい、シリコマンガン鉱さい等が例示される。
マグネシウムを主成分とする無機粉末としては、ドロマイト(苦土石灰)、キーゼライト等が例示される。また、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム等を使用してもよい。
マンガンを主成分とする無機粉末としては、硫酸マンガン、炭酸マンガン等が例示される。また、マンガン鉱さいを使用してもよい。
ホウ素を主成分とする無機粉末としては、ホウ砂が例示される。
なお、無機粉末は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、造粒物が肥料用である場合、造粒物は、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)の三要素のうち、2以上を含む複合肥料であってもよく、マンガン、ホウ素の両方を含む微量要素複合肥料であってもよい。
造粒物が肥料用である場合、上述した無機粉末に加え、さらに、尿素等の有機粉末を含有していてもよいが、造粒性の観点から、無機粉末と有機粉末の合計に対する無機粉末の量が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上であり、そして、100質量%であってもよい。
造粒物を土壌改良剤用に使用する場合、無機粉末としては、パーライト、バーミキュライト、ゼオライト、ベントナイト、珪藻土焼成物等が例示される。
また、造粒物を融雪剤用に使用する場合には、無機粉末としては、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、カーボンブラック等が例示される。
なお、造粒物を融雪剤用に使用する場合、上記の無機粉末に加えて、さらに、尿素や、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム等の酢酸金属塩を使用してもよい。
造粒物を錠剤等の食品、化粧品、医薬品の用途に使用する場合には、無機粉末としては、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム(リン酸水素カルシウムおよびその二水和物、CaHPO・2HO)、第三リン酸カルシウム(リン酸カルシウム、Ca(PO)、硫酸カルシウム、カオリン等が例示される。
〔有機粉末〕
有機粉末としては、食品、化粧品、医薬品、肥料に使用される有機粉末の中から、適宜選択すればよい。
たとえば、医薬品の賦形剤として使用される有機粉末としては、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート類、デキストリン、ブドウ糖添加物、果糖、ラクチトール、無水乳糖、乳糖、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、マンニトール、ソルビトール、デンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、アルファー化デンプン、変性アルファー化デンプン、タピオカデンプン、コムギデンプン、精製白糖、圧縮糖が例示される。
無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、用途に応じて、粒径(粒度)の異なる粉末を混合して使用してもよい。
粉末としては、粒硬度等の観点から、無機粉末が好ましく、水不溶性または水難溶性の無機粉末であることがより好ましい。なお、水不溶性とは、25℃の水100gに対する溶解性が0.1g以下であることを意味し、水難溶性であるとは、25℃の水100gに対する溶解性が0.1g超0.5g以下であることを意味する。
粉末の粒度はとくに限定されないが、12メッシュ以上であることが好ましい。ここで、粒度とは、50質量%以上の粒子が通過したふるいの最大メッシュを意味する。無機粉末の粒度は、より好ましくは16メッシュ以上、さらに好ましくは30メッシュ以上、よりさらに好ましくは50メッシュ以上、とくに好ましくは83メッシュ以上である。また、好ましくは500メッシュ以下、より好ましくは330メッシュ以下、さらに好ましくは200メッシュ以下、よりさらに好ましくは149メッシュ以下である。
なお、メッシュと目開きとの関係は、JIS Z 8801−1:2006に準拠して求められ、12メッシュは目開き1.40mm、16メッシュは目開き1mm、30メッシュは目開き550μm、50メッシュは目開き300μm、83メッシュは目開き180μmに相当する。また、500メッシュは目開き25μm、330メッシュは目開き45μm、200メッシュは目開き75μm、149メッシュは目開き100μmに相当する。
<造粒物の特性>
本発明の造粒物は、微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有するバインダー成分により、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末を造粒してなる。
なお、本発明において、造粒物は、繊維状セルロース、水溶性高分子、および粉末に加え、他の成分を含有していてもよい。
造粒物の粒硬度は、造粒物の用途によって異なる、用途に応じて適宜選択すればよい。
造粒物を肥料用に使用する場合には、保存および機械散布に耐えうる観点から、好ましくは450g以上、より好ましくは500g以上、さらに好ましくは550g以上、よりさらに好ましくは700g以上、よりさらに好ましくは800g以上、よりさらに好ましくは900g以上であり、そして、適度な水への崩壊性を付与する観点から、好ましくは5,000g以下、より好ましくは3,000g以下、さらに好ましくは2,000g以下、よりさらに好ましくは1,500g以下、よりさらに好ましくは1,200g以下である。
また、造粒物を医薬用途に使用する場合には、保存性、口腔内での崩壊を抑制する観点、および適度な水への崩壊性を付与する観点から、好ましくは1,000g以上、より好ましくは3,000g以上、さらに好ましくは5,000g以上であり、そして、好ましくは30,000g以下、より好ましくは20,000g以下、さらに好ましくは16,000g以下である。
造粒物の粒硬度は、実施例に記載の方法により測定される。
造粒物の平均粒径はとくに限定されず、用途により適宜選択すればよいが、造粒が容易である観点から、好ましくは1mm以上であり、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは8mm以下、さらに好ましくは6mm以下、よりさらに好ましくは4mm以下である。
平均粒径は、ふるい分け法により測定され、JIS Z 8801:2006に準拠した基準ふるいを使用したロータップ式自動ふるい器を使用し、目開きの小さなものから順に重ね合わせて、それぞれのふるい上に残った試料を秤量し、累積50%となる粒径を平均粒径とする。
なお、本発明により得られた造粒物に対して、ふるい分けを行うことで、微粒子や粗大粒子を除去してもよい。
本発明において、造粒物は種々の用途に適用でき、たとえば、肥料、土壌改良剤、融雪剤、防滑剤、舗装材、食品、医薬品、化粧品等の種々の用途に適用できる。
これらの中でも、造粒物の粒硬度および造粒物が水中での崩壊性を有する観点から、本発明の造粒物は、肥料用、土壌改良用および融雪剤用として好適に使用される。
[造粒物の製造方法]
本発明の造粒物の製造方法(造粒方法)はとくに限定されないが、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末に、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有する水系分散液を混合して造粒する工程を有することが好ましい。
たとえば、撹拌造粒、転動造粒、押出造粒等の造粒方法から適宜選択すればよい。これらの中でも、使用時に水中での崩壊性を有する造粒物とする観点、および製造コストの観点から、転動造粒が好ましい。
本発明の造粒物の製造方法は、粉末に、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと水溶性高分子とを含有する水系分散液(バインダー溶液)を混合して造粒する工程を有するものであることが好ましく、粉末を、繊維状セルロースおよび水溶性高分子を含有するバインダー溶液を用いて転動造粒する工程を有することがより好ましい。
ここで、使用する粉末およびバインダー成分については上述した通りであり、好ましい態様も同様である。
粉末に付与するバインダー溶液の量は、粉末に均一にバインダー溶液を付与して、造粒を均一に進行させる観点、および短時間での造粒を可能とする観点から、粉末100質量部に対して、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは7質量部以上であり、そして、好ましくは100質量部以下、より好ましくは60質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下である。
従って、粉末に付与するバインダー溶液の量が所望の範囲となるように、バインダー溶液の濃度を適宜調整して、粉末に付与することが好ましい。
造粒物は、粉末を、繊維状セルロースおよび水溶性高分子をバインダー成分として使用して造粒することにより得られ、繊維状セルロースおよび水溶性高分子を水分散液(バインダー溶液)として、粉末に付与することが好ましい。造粒方法としては転動造粒、流動層造粒、撹拌造粒、圧縮造粒、押出造粒、破砕造粒等の方法が使用可能であり、中でも転動造粒が好ましい。肥料用造粒物などは、一般に球状のものが、不規則形状や鋭い角をもったものよりも好まれる観点から、転動造粒法がとくに好適である。
転動造粒法としては、公知の方法から適宜選択すればよく、ロッシェ法、ドラム法などが利用できる。また、転動造粒器としては、セメントミキサー、ドラムミキサー、パン型造粒器などが使用される。
バインダー溶液の付与方法はとくに限定されず、予め粉末とバインダー溶液をミキサーやニーダーによって混練してから造粒器に入れてもよいが、バインダー溶液を粉末全体に均一に付与して、造粒を均一に進行させる観点から、噴霧付与など、小さな液滴で付与することが好ましい。
造粒時間はとくに限定されないが、所望の粒硬度を有する造粒物を得る観点、短時間で造粒物を製造し、製造効率を向上させる観点から、好ましくは1分以上、より好ましくは2分以上、さらに好ましくは4分以上であり、そして、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下、さらに好ましくは10分以下である。
また、造粒物から余分な水分を除去する観点から、造粒中に加熱してもよく、また、造粒中に気体を送気してもよい。
本発明において、転動造粒により得られた造粒物に対して、適宜ふるい分け等の分級を行ってもよい。これにより、微小な粒子や粗大な粒子を除去して、所望の粒径を有する造粒物が得られる。
[粉末用造粒剤]
本発明の粉末用造粒剤(単に「造粒剤」ともいう)は、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有する。
上記繊維状セルロース、微細繊維状セルロースおよび水溶性高分子としては、上述した繊維状セルロース、微細繊維状セルロースおよび水溶性が例示され、好ましい範囲も同様である。
また、上述したように、水溶性高分子として、23℃における1質量%水溶液の粘度が1,000mPa・s以上である高粘度水溶性高分子を使用する場合には、23℃における1質量%水溶液の粘度が100mPa・s以下である低粘度水溶性高分子を併用することが好ましい。高粘度水溶性高分子および低粘度水溶性高分子の好ましい態様および併用に関する好ましい態様は、上述した通りである。
また、粉末用造粒剤中の繊維状セルロースと水溶性高分子との好ましい配合比率に関しても、上述した通りである。
なお、粉末用造粒剤は、粉末状、ウェットパウダー状、液状等のいずれの性状であってもよく、使用に際にしては、水に溶解または分散させたスラリー状に調製して、バインダー溶液とした後、使用することが好ましい。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[製造例1]
[リン酸基導入パルプ繊維(リン酸化パルプ)の作製]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700mL)を使用した。この原料パルプに対してリンオキソ酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を添加して、リン酸二水素アンモニウム45質量部、尿素120質量部、水150質量部となるように調整し、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で250秒加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸基導入パルプ繊維(リン酸化パルプ)を得た。
次いで、得られたリン酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、100g(絶乾質量)のリン酸化パルプ1に対して10Lのイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
次いで、洗浄後のリン酸化パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のリン酸化パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のリン酸化パルプスラリーを得た。次いで、当該リン酸化パルプスラリーを脱水して、中和処理が施されたリン酸化パルプを得た。
次いで、中和処理後のリン酸化パルプに対して上記洗浄処理を行い、イオン交換水を添加して固形分濃度が2質量%のリン酸化パルプ分散液(分散液(1))を得た。
リン酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った結果、1,230cm−1付近にリン酸基に基づく吸収が観察され、パルプにリン酸基が付加されていることが確認された。リン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。また、後述する測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gであった。なお、総解離酸量は、2.45mmol/gであった。後述する測定方法で測定される繊維幅は30μm程度であった。
[製造例2]
[リン酸基導入微細繊維状セルロース(リン酸化CNF)の作製]
上記製造例1にて得られたリン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理し、リン酸基導入微細繊維状セルロース(リン酸化CNF)分散液(分散液(2))を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、後述する測定方法で測定されるリン酸基量(第1解離酸量)は、1.45mmol/gであった。後述する測定方法で測定される繊維幅は3〜5nmであった。
[製造例3]
[亜リン酸基導入微細繊維状セルロース(亜リン酸化CNF)の作製]
リン酸二水素アンモニウムの代わりに亜リン酸(ホスホン酸)33質量部を用いた以外は、[製造例1]と同様に操作を行い、亜リン酸基が導入されたパルプ繊維(亜リン酸化パルプ)を得た。
得られた亜リン酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1,210cm−1付近に亜リン酸基の互変異性体であるホスホン酸基のP=Oに基づく吸収が観察され、パルプに亜リン酸基(ホスホン酸基)が付加されていることが確認された。また、得られたリン酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られた亜リン酸化パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、亜リン酸基導入微細繊維状セルロース(亜リン酸化CNF)分散液(分散液(3))を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、後述する測定方法で測定される(亜)リン酸基量(第1解離酸量)は1.51mmol/gだった。なお、総解離酸量は、1.54mmol/gであった。後述する測定方法で測定される繊維幅は3〜5nmであった。
[製造例4]
[カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(TEMPO酸化CNF)の作製]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(未乾燥)を使用した。この原料パルプに対してアルカリTEMPO酸化処理を次のようにして行った。まず、上記原料パルプ100質量部(絶乾質量)と、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)1.6質量部と、臭化ナトリウム10質量部を、水10,000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1.0gのパルプに対して3.8mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上10.5以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。上記TEMPO酸化処理により、パルプ繊維にカルボキシ基が導入された。
次いで、得られたTEMPO酸化パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、TEMPO酸化後のパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5,000質量部のイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたTEMPO酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたTEMPO酸化パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(TEMPO酸化CNF)分散液(分散液(4))を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.30mmol/gであった。後述する測定方法で測定される繊維幅は3〜5nmであった。
[製造例5]
[未変性パルプ繊維の作製]
針葉樹クラフトパルプを離解して、未変性パルプ繊維を得た。未変性パルプ繊維にイオン交換水を加え、濃度が2質量%となるように希釈し、分散液(5)とした。後述する測定方法で測定される繊維幅は30μm程度であった。
[製造例6]
[未変性微細繊維状セルロース(未変性CNF)の作製]
上記[製造例5]で得られた未変性パルプ繊維にイオン交換水を加え、濃度が2質量%となるように希釈した後、リファイナー処理に供してCSFが50mL以下になるまで叩解(プレ解繊)した。
プレ叩解した未変性パルプ繊維に対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、未変性微細繊維状セルロース(未変性CNF)分散液(分散液(6))を得た。後述する方法で繊維幅を測定したところ、1000nm以下の微細繊維状セルロースが観察された。
[製造例7]
[カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(次亜塩素酸酸化CNF)の作製]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を抄き上げたシート(固形分濃度90質量%)を、ハンドミキサー(大阪ケミカル株式会社製、ラボミルサーPLUS)を用い、回転数20000rpmで15秒処理して綿状のフラッフィングパルプ(固形分濃度90質量%)にした。次いで、次亜塩素酸ナトリウム・5水和物をイオン交換水に加え、次亜塩素酸ナトリウムの固形分濃度を22質量%とした水溶液を準備した。綿状のフラッフィングパルプ100質量部に、22質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を9000質量部加え、温浴で30℃に調整しながら2時間反応させ、カルボキシ基導入パルプを得た。反応中は1N水酸化ナトリウム水溶液を適宜加え、pHを11に維持した。
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたカルボキシ基導入パルプについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、0.70mmol/gだった。また、得られたカルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたカルボキシ基導入パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(次亜塩素酸酸化CNF)分散液(分散液(7))を得た。X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
[製造例8]
[カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(マレイン酸エステル化CNF)の作製]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)を抄き上げたシート(固形分濃度90質量%)を、ハンドミキサー(大阪ケミカル株式会社製、ラボミルサーPLUS)を用い、回転数20000rpmで15秒処理して綿状のフラッフィングパルプ(固形分濃度90質量%)にした。オートクレーブに、綿状のフラッフィングパルプ100質量部と無水マレイン酸50質量部とを充填し、150℃で2時間処理して、カルボキシ基導入パルプを得た。
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたカルボキシ基導入パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1580および1720cm−1付近にカルボキシ基に基づく吸収が観察され、マレイン酸エステル化されていることを確認した。得られたカルボキシ基導入パルプについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.22mmol/gだった。また、カルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたカルボキシ基導入パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(マレイン酸エステル化CNF)分散液(分散液(8))を得た。X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
[製造例9]
[カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(カルボキシエチル化CNF)の作製]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121−2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700mL)を使用した。この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、12N NaOH水溶液を250質量部と、2−クロロプロピオン酸163質量部、イオン交換水140質量部からなる薬液(合計553質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で10分加熱し、パルプ中のセルロースにカルボキシエチル基(カルボキシ基)を導入し、カルボキシ基導入パルプを得た。
次いで、得られたカルボキシ基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカルボキシ基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
次いで、洗浄後のカルボキシ基導入パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のカルボキシ基導入パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加することにより、pHが12以上13以下のカルボキシ基導入パルプスラリーを得た。次いで、当該カルボキシ基導入パルプスラリーを脱水および洗浄をして、中和処理が施されたカルボキシ基導入パルプを得た。
得られたカルボキシ基導入パルプについて、後述する測定方法で測定されるカルボキシ基量は、1.41mmol/gだった。また、カルボキシ基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたカルボキシ基導入パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、カルボキシ基導入微細繊維状セルロース(カルボキシエチル化CNF)分散液(分散液(9))を得た。X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
[製造例10]
[硫酸基導入微細繊維状セルロース(硫酸化CNF)の作製]
リン酸二水素アンモニウムの代わりにアミド硫酸38質量部を用いた以外は、[製造例2]と同様に操作を行い、硫酸化パルプを得た。ただし、熱風乾燥機での加熱時間は、20分間とした。
得られた硫酸化パルプに対しFT−IRを用いて赤外線吸収スペクトルの測定を行った。その結果、1220−1260cm−1付近に硫酸基に基づく吸収が観察され、パルプに硫酸基が付加されていることが確認された。また、得られた硫酸化パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られた硫酸化パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、硫酸基導入微細繊維状セルロース(硫酸化CNF)分散液(分散液(10))を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、後述する測定方法で測定される硫酸基量は、1.47mmol/gであった。後述する測定方法で測定される繊維幅は3〜5nmであった。
[製造例11]
[スルホエチル基導入微細繊維状セルロース(スルホエチル化CNF)の作製]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121−2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700mL)を使用した。この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、2N NaOH水溶液を180質量部と25質量%濃度のビニルスルホン酸ナトリウム水溶液780質量部からなる薬液(合計960質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で16分加熱し、パルプ中のセルロースにスルホエチル基(スルホン基)を導入し、スルホエチル基導入パルプ(スルホン基導入パルプ)を得た。
次いで、得られたスルホエチル基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたスルホエチル基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
得られたスルホエチル基導入パルプについて、後述する測定方法で測定されるスルホエチル基量(スルホン基量)は、1.48mmol/gだった。また、スルホエチル基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
得られたスルホエチル基導入パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、スルホエチル基導入微細繊維状セルロース(スルホエチル化CNF)分散液(分散液(11))を得た。X線回折により、得られた微細繊維状セルロースがセルロースI型結晶を維持していることが確認された。また、微細繊維状セルロースの繊維幅を透過型電子顕微鏡を用いて測定したところ、3〜5nmであった。
[製造例12]
[カチオン基導入微細繊維状セルロース(カチオン化CNF)の作製]
原料パルプとして、王子製紙株式会社製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/mシート状、離解してJIS P 8121−2:2012に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700mL)を使用した。
この原料パルプ100質量部(絶乾質量)に、1N NaOH水溶液を180質量部とカチオン化剤(カチオマスターG、四日市合成株式会社製、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、純分73.1質量%、含水率20.2質量%)325質量部からなる薬液(合計505質量部)を加え、薬液含浸パルプを得た。次いで、得られた薬液含浸パルプを165℃の熱風乾燥機で12分加熱し、パルプ中のセルロースにカチオン基を導入し、カチオン基導入パルプを得た。
次いで、得られたカチオン基導入パルプに対して洗浄処理を行った。洗浄処理は、得られたカチオン基導入パルプにイオン交換水を注いで得たパルプ分散液を、パルプが均一に分散するよう撹拌した後、濾過脱水する操作を繰り返すことにより洗浄を行った。ろ液の電気伝導度が100μS/cm以下となった時点で、洗浄終点とした。
次いで、洗浄後のカチオン基導入パルプに対して中和処理を次のようにして行った。まず、洗浄後のカチオン基導入パルプを10Lのイオン交換水で希釈した後、撹拌しながら1Nの塩酸を少しずつ添加することにより、pHが1以上2以下のカチオン基導入パルプスラリーを得た。次いで、当該カチオン基導入パルプスラリーを脱水および洗浄をして、中和処理が施されたカチオン基導入パルプを得た。
得られたカチオン基導入パルプについて、微量窒素分析を行い、下記式でカチオン基量を計算したところ、1.45mmol/gだった。また、カチオン基導入パルプを供試して、X線回折装置にて分析を行ったところ、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークが確認され、セルロースI型結晶を有していることが確認された。
(カチオン基量)[mmol/g]=(窒素量)/14×1000/(供試したカチオン基導入パルプ量)
得られたカチオン基導入パルプに対し[製造例2]と同様に微細化処理を行い、カチオン基導入微細繊維状セルロース(カチオン化CNF)分散液(分散液(12))を得た。
[繊維幅の測定]
イオン性基導入パルプおよび未変性パルプ繊維の繊維幅は、カヤーニ繊維長測定器(カヤーニオートメーション株式会社製、FS−200形)を用いて測定した。
微細繊維状セルロースの繊維幅を下記の方法で測定した。微細繊維状セルロース分散液の上澄み液を、微細繊維状セルロースの濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。これを乾燥した後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEOL−2000EX)により観察した。
[リンオキソ酸基量の測定]
微細繊維状セルロースのリンオキソ酸基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショニング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ(図1)。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値をリン酸基量(mmol/g)とした。
リンオキソ酸化パルプについては、リンオキソ酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製し、このスラリーを、湿式微粒化装置(株式会社スギノマシン製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理して得られた分散液に対して、上述した方法と同様にアルカリを用いた滴定を行った。
[カルボキシ基量の測定]
微細繊維状セルロースおよびカルボキシ基導入パルプ繊維のカルボキシ基量は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を30秒に1回、50μLずつ加えた以外は[リンオキソ酸基量の測定]と同様に測定した。カルボキシ基量(mmol/g)は、計測結果のうち図2に示す第1領域に相当する領域において必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して算出した。
[スルホン基量および硫酸基量の測定]
スルホン基量および硫酸基量は、試料の湿式灰化とICP発光分析を用いて測定した。具体的には、製造例10または製造例11で得た繊維状セルロース含有スラリーを絶乾させた後に秤量し、過塩素酸を加え、炭化させ、さらに濃硝酸を加えて炭素を二酸化炭素に酸化し、無機物のみからなる試料液を得た。この試料液を適当な倍率で希釈し、ICP発光分析にてスルホン酸イオンまたは硫酸イオン濃度を測定した。試料液中に含まれていた硫黄原子の量を秤量した繊維状セルロースの質量で除して、スルホン基量または硫酸基量とした。
[微量窒素分析]
微細繊維状セルロースのカチオン基量は、対象となる微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液を、真空乾燥機にて、40℃24時間乾燥し、絶乾状態とした後に、三菱化学アナリック株式会社製の微量全窒素分析装置TN−110を用いて測定した。なお、イオン性窒素は、カチオン化パルプの中和処理、洗浄処理の過程で除かれていた。微細繊維状セルロース単位質量あたりのカチオン基の導入量(mmol/g)は、微量窒素分析で得られた微細繊維状セルロース単位質量あたりの窒素含有量(g/g)を窒素の原子量で除することで算出した。
[実施例1]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(2)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(1)を作製した。
原料無機粉末として、王子木材緑化株式会社製の石灰粉末(以下、単に「石灰粉末」ともいう。)を使用した。石灰粉末100質量部に対して、バインダー溶液(1)を10質量部添加し、セメントミキサーで2分間回転して造粒した。造粒物を熱風乾燥機で100℃30分間乾燥した。得られた造粒物を篩い分けし、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例2]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(2)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(2)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(2)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例3]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(2)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(3)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(3)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例4]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(2)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(4)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(4)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例5]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(2)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(5)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(5)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例6]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(3)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(6)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(6)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例7]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(3)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(7)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(7)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例8]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(3)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(8)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(8)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例9]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(3)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(9)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(9)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例10]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(3)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(10)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(10)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例11]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(4)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(11)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(11)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例12]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(4)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(12)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(12)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例13]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(4)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(13)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(13)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例14]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(4)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(14)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(14)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例15]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(4)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(15)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(15)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例16]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(6)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(16)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(16)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例17]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(6)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(17)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(17)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例18]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(6)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(18)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(18)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例19]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(6)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(19)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(19)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例20]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(6)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(20)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(20)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例21]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.32質量%となるように、分散液(1)を、固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.08質量%となるように分散液(2)を、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるようにカルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液を混合し、イオン交換水を適宜加えて、バインダー溶液(21)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(21)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例22]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.32質量%となるように、分散液(5)を、固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.08質量%となるように分散液(6)を、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるようにカルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液を混合し、イオン交換水を適宜加えて、バインダー溶液(22)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(22)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例23]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(2)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(1)を作製した。
原料有機粉末として、関東化学株式会社製のD−ソルビトール粉末(以下、単に「ソルビトール粉末」ともいう。)を使用した。ソルビトール粉末100質量部に対して、バインダー溶液(1)を10質量部添加し、セメントミキサーで2分間回転して造粒した。造粒物を熱風乾燥機で100℃30分間乾燥した。得られた造粒物を篩い分けし、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例24]
バインダー溶液(1)をバインダー溶液(2)に変更した以外は[実施例23]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例25]
バインダー溶液(1)をバインダー溶液(3)に変更した以外は[実施例23]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例26]
バインダー溶液(1)をバインダー溶液(4)に変更した以外は[実施例23]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例27]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%、固形分としてのポリアクリル酸ナトリウム(SPA)が0.1質量%となるように、分散液(2)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(アロン A−20UN、東亞合成株式会社製)、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(23)を作製した。
バインダー溶液(1)をバインダー溶液(23)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例28]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.33質量%、固形分としてのポリアクリル酸ナトリウム(SPA)が0.17質量%となるように、分散液(2)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、ポリアクリル酸ナトリウム水溶液(アロン A−20UN、東亞合成株式会社製)、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(24)を作製した。
バインダー溶液(1)をバインダー溶液(24)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例101]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(7)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(101)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(101)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例102]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(7)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(102)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(102)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例103]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(7)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(103)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(103)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例104]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(7)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(104)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(104)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例105]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(7)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(105)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(105)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例106]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(8)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(106)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(106)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例107]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(8)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(107)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(107)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例108]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(8)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(108)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(108)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例109]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(8)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(109)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(109)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例110]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(8)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(110)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(110)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例111]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(9)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(111)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(111)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例112]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(9)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(112)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(112)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例113]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(9)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(113)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(113)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例114]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(9)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(114)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(114)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例115]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(9)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(115)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(115)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例116]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(10)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(116)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(116)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例117]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(10)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(117)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(117)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例118]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(10)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(118)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(118)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例119]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(10)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(119)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(119)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例120]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(10)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(120)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(120)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例121]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(11)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(121)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(121)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例122]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(11)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(122)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(122)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例123]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(11)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(123)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(123)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例124]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(11)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(124)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(124)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例125]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(11)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(125)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(125)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例126]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(12)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(126)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(126)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例127]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリビニルアルコール(PVA)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(12)、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)、イオン交換水を混合し、バインダー溶液(127)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(127)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例128]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、分散液(12)、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(128)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(128)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例129]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.1質量%、固形分としてのポリアクリルアミド(PAM)の含有量が0.2質量%となるように、分散液(12)、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(129)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(129)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[実施例130]
固形分としての繊維状セルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の含有量が0.4質量%となるように、分散液(12)、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、およびイオン交換水を混合し、バインダー溶液(130)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(130)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[比較例1]
固形分としてのカルボキシメチルセルロースの含有量が0.4質量%となるように、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)をイオン交換水で調整し、バインダー溶液(25)を作製した。
バインダー溶液(1)をバインダー溶液(25)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[比較例2]
固形分としてのポリビニルアルコールの含有量が0.4質量%となるように、ポリビニルアルコール溶液(PVA−117、株式会社クラレ製)をイオン交換水で調整し、バインダー溶液(26)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(26)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[比較例3]
固形分としてのデンプンの含有量が0.4質量%となるように、デンプン(馬鈴薯澱粉 網走、オホーツク網走農業協同組合製)をイオン交換水で調整し、バインダー溶液(27)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(27)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[比較例4]
固形分としてのポリアクリルアミドの含有量が0.2質量%となるように、ポリアクリルアミド(王子フロックA−30791VR、王子エンジニアリング株式会社製)をイオン交換水で調整し、バインダー溶液(28)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(28)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[比較例5]
固形分としてのカルボキシメチルセルロースの含有量が0.4質量%、固形分としてのポリアクリル酸ナトリウムの含有量が0.1質量%となるように、カルボキシメチルセルロース(テルポリマーH、株式会社テルナイト製)の水溶液、アロン A−20UN、およびイオン交換水を調整し、バインダー溶液(29)を作製した。バインダー溶液(1)を前記バインダー溶液(29)に変更した以外は[実施例1]と同様にして、粒径1〜4mmの造粒物を得た。
[石灰粉末の粒度の測定]
JIS Z8801−1:2006に準拠したメッシュを用いて篩い分けしたところ、50質量%以上の粒子が通過した篩の最大メッシュは100メッシュであった。
[D−ソルビトール粉末の粒度の測定]
JIS Z8801−1:2006に準拠したメッシュを用いて篩い分けしたところ、50質量%以上の粒子が通過した篩の最大メッシュは30メッシュであった。
[バインダー溶液の粘度の測定]
各バインダー液の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて測定した。測定条件は、回転速度3rpmとし、測定開始から3分後の粘度値を当該分散液の粘度とした。また、測定対象の分散液は測定前に23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した。測定時の分散液の液温は23℃であった。
[粒硬度の測定]
粒径1〜4mmの造粒物10粒の硬度を木屋式硬度計にて測定し、その平均値を粒硬度とした。測定結果から、以下の基準に基づいて、粒硬度を評価した。
A:60g以上
B:40g以上60g未満
C:20g以上40g未満
D:20g未満
[水中崩壊性の評価]
3mm以上の造粒物を選択し、造粒物20粒を目開き2000μmのふるい上に並べて、適当な大きさの容器中に置き、造粒物が水に十分浸るまで水を注いだ。1夜静置後、ふるいを取り出してふるい上に残存する未崩壊粒を数え、崩壊率が8割以上となった場合を崩壊性ありとした。
Figure 2021159914
Figure 2021159914
Figure 2021159914
[結果]
実施例に示すように、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロースおよび水溶性高分子を含有するバインダー成分を用いて、無機粒子(石灰)および有機粉末(ソルビトール)を造立した実施例1〜130では、いずれも、水中での崩壊性を有し、かつ、粒硬度に優れた造粒物が得られた。
また、高粘度水溶性高分子および低粘度水溶性高分子を併用することにより、粒硬度を低下させることなく、バインダー溶液の低粘度化を達成することができた。
比較例1〜5に示すように、微細繊維状セルロースを含む繊維状セルロースを含有しない場合には、いずれも十分な粒硬度を得ることができなかった。
本発明により、粒硬度と水中での崩壊性に優れた造粒物を提供でき、肥料、土壌改良剤、融雪剤、防滑剤、舗装材、食品、医薬品、化粧品等の種々の用途に適用が期待される。

Claims (14)

  1. 繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有するバインダー成分により、無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末とを造粒してなる、造粒物。
  2. 前記繊維状セルロースが、繊維幅が1,000nmを超えるパルプ繊維を含有する、請求項1に記載の造粒物。
  3. 前記繊維状セルロース中の前記微細繊維状セルロースの含有量が5質量%以上100質量%以下である、請求項1または2に記載の造粒物。
  4. 前記微細繊維状セルロースが、アニオン性基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の造粒物。
  5. 前記粉末100質量部に対する前記繊維状セルロースおよび水溶性高分子の合計固形分量が0.001質量部以上10質量部以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の造粒物。
  6. 前記水溶性高分子と、前記繊維状セルロースとの配合比率(水溶性高分子/繊維状セルロース)が1/10以上1000/1以下である、請求項1〜5のいずれかに記載の造粒物。
  7. 前記水溶性高分子が、23℃における1質量%水溶液の粘度が1,000mPa・s以上である高粘度水溶性高分子と、23℃における1質量%水溶液の粘度が100mPa・s以下である低粘度水溶性高分子とを含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の造粒物。
  8. 前記高粘度水溶性高分子と、前記低粘度水溶性高分子との配合比率(高粘度水溶性高分子/低粘度水溶性高分子、質量比)が、1/1以上20/1以下である、請求項7に記載の造粒物。
  9. 前記高粘度水溶性高分子が、カルボキシメチルセルロース、酸化デンプン、ポリアクリルアミド、グアーガム、およびポリアクリル酸よりなる群から選択される、請求項7または8に記載の造粒物。
  10. 前記低粘度水溶性高分子が、ポリアクリル酸塩およびアルギン酸塩よりなる群から選択される、請求項7〜9のいずれかに記載の造粒物。
  11. 前記粉末の粒度が12メッシュ以上である、請求項1〜10のいずれかに記載の造粒物。
  12. 繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含む、粉末用造粒剤。
  13. 水溶性高分子が、25℃における1質量%水溶液の粘度が1,000mPa・s以上である高粘度水溶性高分子と、25℃における1質量%水溶液の粘度が100mPa・s以下である低粘度水溶性高分子とを含有する、請求項12に記載の粉末用造粒剤。
  14. 無機粉末および有機粉末よりなる群から選択される少なくとも1つの粉末に、繊維幅が1,000nm以下の微細繊維状セルロースを含有する繊維状セルロースと、水溶性高分子とを含有する水系分散液を混合して造粒する工程を有する、造粒物の製造方法。
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