以下、実施形態を図面に基づいて説明する。なお、同一の機能や構成には、同一または類似の符号を付して、その説明を適宜省略する。
[実施形態]
(1)無線通信システムの全体概略構成
図1は、実施形態に係る無線通信システム10の全体概略構成図である。無線通信システム10は、Long Term Evolution(LTE)及び5G New Radio(NR)に従った無線通信システムである。なお、LTEは4Gと呼ばれてもよいし、NRは、5Gと呼ばれてもよい。LTE及びNRは、無線アクセス技術(RAT)と解釈されてもよく、実施形態では、LTEは、第1無線アクセス技術と呼ばれ、NRは、第2無線アクセス技術と呼ばれてもよい。NRは、5G以降の無線アクセス技術(例えば、beyond 5G、evolved 5G、6Gなど)も含まれると考えてもよい。
無線通信システム10は、Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network 31(以下、E-UTRAN31)、Next Generation-Radio Access Network 32(以下、NG RAN32)、及びコアネットワーク33を含む。無線通信システム10は、端末20を含む。
E-UTRAN31は、LTEに従った基地局であるeNB100を含む。eNB100は、1以上のセルC11を有する。E-UTRAN31は、2以上のeNB100を含んでもよい。
NG RAN32は、5G(NR)に従った基地局であるgNB200を含む。gNB200は、1以上のセルC21を有する。NG RAN32は、2以上のgNB200を含んでもよい。
「セル」という用語は、eNB100又はgNB200が有する機能、すなわち、端末20と通信を行う機能の意味で用いられてもよい。「セル」という用語は、eNB100又はgNB200のカバレッジエリアの意味で用いられてもよい。各セルは、各セルで使用する周波数によって区別されてもよい。E-UTRAN31及びNG RAN32(eNB100又はgNB200でもよい)は、単に無線アクセスネットワークと呼ばれてもよく、アクセスネットワークと呼ばれてもよい。
eNB100、gNB200及び端末20は、複数のコンポーネントキャリア(CC)を用いるキャリアアグリゲーション(CA)に対応していてもよく、複数のeNB100と端末20との間においてコンポーネントキャリアを同時送信するデュアルコネクティビティ(DC)に対応してもよく、複数のgNB200と端末20との間においてコンポーネントキャリアを同時送信するデュアルコネクティビティ(DC)に対応してもよく、eNB100及びgNB200と端末20との間においてコンポーネントキャリアを同時送信するデュアルコネクティビティ(DC)に対応してもよい。
eNB100、gNB200及び端末20は、無線ベアラを介して無線通信を実行する。無線ベアラは、Signaling Radio Bearer(SRB)及びData Radio Bearer(DRB)を含んでもよい。
端末20は、特に限定されるものではないが、「移動局(Mobile Station:MS)」、「ユーザ端末(User Equipment:UE)」と呼ばれてもよい。
コアネットワーク33は、LTEに従ったEPC(Evolved Packet Core)及び5G(NR)に従った5G Coreを含む。EPCは、LTEに従ったネットワークノード(例えば、MME; Mobility Management Entity)を含んでもよい。5G Coreは、5G(NR)に従ったネットワークノード(例えば、AMF(Access and Mobility Management Function))を含んでもよい。MME及びAMFは、C-plane(control plane)に関する処理を実行するネットワークノードである。ノードは、ファンクションと称されてもよい。
ここで、eNB100とMMEとの間のインタフェース及びgNB200とMMEとの間のインタフェースはS1インタフェースと称されてもよい。gNB200とAMFとの間のインタフェースは、NGインタフェース又はN2インタフェースと称されてもよい。eNB100とeNB100との間のインタフェース及びeNB100とgNB200との間のインタフェースは、X2インタフェースと称されてもよい。gNB200とgNB200との間のインタフェースは、Xnインタフェースと称されてもよい。MMEとAMFとの間のインタフェースは、N26インタフェースと称されてもよい。
実施形態では、eNB100は、C-RAN(Centralized Radio Access Network)によって規定されているフロントホール(FH)インタフェースを採用してもよい。gNB200は、O-RAN(Open Radio Access Network)によって規定されているフロントホール(FH)インタフェースを採用してもよい。
(2)C-RANのフロントホールの構成
図2は、C-RANのフロントホール(FH)インタフェースを採用するeNB100の内部構成例を示す。図2に示すように、eNB100は、BBU110(Base Band Unit)及びRRH120(Remote Radio Head)を含む。BBU110とRRH120とは、3GPPで規定されているレイヤ内において機能的に分離(Function split)されている。
BBU110は、第1インタフェースに準拠する信号の通信を実行する。例えば、第1インタフェースは、CPRI(Common Public Radio Interface)である。CPRIに準拠する信号は、時間領域のOFDM信号である。実施形態では、BBU110は、第1親局として機能し、以下においては、第1親局110と呼称することもある。BBU110は、主として、Packet Data Convergence Protocolレイヤ(PDCP)、無線リンク制御レイヤ(RLC)及び媒体アクセス制御レイヤ(MAC)をホストする論理ノードである。RRH120は、物理レイヤ(PHY)の一部をホストしてもよい。ここで、BBU110は、RRH120に対してE-UTRAN31に近い側に設けられる。以下において、E-UTRAN31に近い側をRAN側と称することがある。
RRH120は、第1インタフェース(以下、CPRI)に準拠する信号の通信を実行する。実施形態では、RRH120は、第1子局として機能し、以下においては、第1子局120と呼称することもある。RRH120は、主として、RRH120は、RF処理とをホストする論理ノードである。ここで、RRH120は、BBU110に対してE-UTRAN31から離れた側に設けられる。以下において、E-UTRAN31から離れた側を無線(air)側と称することがある。
さらに、eNB100は、Radio Resource Control(RRC)及びその他の制御機能をホストする論理ノードを含む。
なお、フロントホール(FH)は、無線基地局(基地局装置)のベースバンド処理部と無線装置間の回線と解釈されてもよく、光ファイバなどが用いられる。
(3)O-RANのフロントホールの構成
図3は、O-RANのフロントホール(FH)インタフェースを採用するgNB200の内部構成例を示す。図3に示すように、gNB200は、O-DU210(O-RAN Distributed Unit)及びO-RU220(O-RAN Radio Unit)を含む。O-DU210とO-RU220とは、3GPPで規定されている物理(PHY)レイヤ内において機能的に分離(Function split)されている。
O-DU210は、第2インタフェースに準拠する信号の通信を実行する。例えば、第2インタフェースは、eCPRI(evolved Common Public Radio Interface)である。eCPRIに準拠する信号は、周波数領域のOFDM信号である。実施形態では、O-DU210は、第2親局として機能し、以下においては、第2親局210と呼称することもある。O-DU210は、O-RAN分散ユニットと呼ばれてもよい。O-DU210は、主として、下位層の機能(lower layer functional)に基づいた無線リンク制御レイヤ(RLC)、媒体アクセス制御レイヤ(MAC)及びPHY-Highレイヤをホストする論理ノードである。ここで、O-DU210は、O-RU220に対してNG RAN32に近い側に設けられる。以下において、NG RAN32に近い側をRAN側と称することがある。
O-RU220は、第2インタフェース(以下、eCPRI)に準拠する信号の通信を実行する。O-RU220は、O-RAN無線ユニットと呼ばれてもよい。O-RU220は、主として、低層の機能分割に基づいたPHY-LowレイヤとRF処理とをホストする論理ノードである。ここで、O-RU220は、O-DU210に対してNG RAN32から離れた側に設けられる。以下において、NG RAN32から離れた側を無線(air)側と称することがある。
PHY-Highレイヤは、Forward Error Correction(FEC)エンコード/デコード、スクランブル、変調/復調など、フロントホールインタフェースのO-DU210側でのPHY処理の部分である。
PHY-Lowレイヤは、Fast Fourier Transform(FFT)/iFFT、デジタルビームフォーミング、Physical Random Access Channel(PRACH)抽出及びフィルタリングなど、フロントホールインタフェースのO-RU220側でのPHY処理の部分である。
O-CUは、O-RAN Control Unitの略であり、Packet Data Convergence Protocol(PDCP)、Radio Resource Control(RRC)、Service Data Adaptation Protocol(SDAP)、及びその他の制御機能をホストする論理ノードである。
なお、フロントホール(FH)は、無線基地局(基地局装置)のベースバンド処理部と無線装置間の回線と解釈されてもよく、光ファイバなどが用いられる。
ここで、O-DU210とO-RU220と間のFHでは、以下に示す信号の通信が行われる。具体的には、O-DU210とO-RU220と間のFHでは、複数のプレーン(例えば、U/C/M/S-plane)における信号の通信が行われる。
U-Planeは、ユーザデータを転送するためのプロトコルであり、C-Planeは、制御信号を転送するためのプロトコルである。M-Planeは、保守監視信号を扱うマネージメントプレーンであり、S-Planeは、装置間の同期(Synchronization)を実現するためのプロトコルである。
具体的には、U-Plane信号は、O-RU220が無線区間に送信する(DL)、無線区間より受信する(UL)信号を含み、digital IQ signalでやり取りされる。なお、いわゆるU-Plane(User Datagram Protocol (UDP)及びTransmission Control Protocol (TCP)など)に加え、3GPPで定義されているC-Plane(RRC, Non-Access Stratum (NAS)など)も、FH観点では全てU-Planeとなることに留意する必要がある。
C-Plane信号は、U-Plane信号の送受信に関する各種制御のために必要な信号(対応するU-Planeの無線リソースマッピング及びビームフォーミングに関わる情報を通知するための信号)を含む。なお、3GPPで定義されているC-Plane(RRC, NASなど)とは、完全に別の信号を指すことに留意する必要がある。
M-Plane信号は、O-DU210/O-RU220の管理のために必要な信号を含む。例えば、O-RU220からO-RU220の各種ハードウェア(HW)能力を通知したり、O-DU210からO-RU220へ各種設定値を通知したりするための信号である。
S-Plane信号は、O-DU210/O-RU220間の同期制御のために必要な信号である。
(4)適用シーン
図4は、実施形態に係る適用シーンについて説明するための図である。適用シーンは、第1親局110(例えば、BBU)及び第2親局210(例えば、O-DU)の双方が第1子局120(例えば、RRH)を介して信号の通信を行うケースを想定する。図4に示すように、第1親局110と第1子局120との間の通信を中継し、第2親局210と第1子局120との間の通信を中継する中間装置300が設けられる。中間装置300は、通信装置の一例である。
中間装置300は、第1親局110とCPRIに準拠する信号の通信を実行する。中間装置300は、第2親局210とeCPRIに準拠する信号の通信を実行する。中間装置300は、第1子局120とCPRIに準拠する信号の通信を実行する。
ここで、中間装置300は、CPRIに準拠する信号(以下、CPRI信号)とeCPRIに準拠する信号(以下、eCPRI信号)との間の変換処理を実行する。具体的には、中間装置300は、第2親局210から受信するeCPRI信号をCPRI信号に変換し、第1子局120から受信するCPRI信号をeCPRI信号に変換する。変換処理は、周波数領域の信号であるeCPRI信号を時間領域の信号であるCPRI信号に変換するIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)を含んでもよい。変換処理は、時間領域の信号であるCPRI信号を周波数領域の信号であるeCPRI信号に変換するFFT(Fast Fourier Transform)を含んでもよい。変換処理は、eCPRI信号の信号フォーマットをCPRIの信号フォーマットに変換する処理を含んでもよく、CPRI信号の信号フォーマットをeCPRIの信号フォーマットに変換する処理を含んでもよい。
さらに、中間装置300は、第1親局110から受信するCPRI信号と第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)とを合成する合成処理を実行してもよい。中間装置300は、第1子局120から受信するCPRI信号を第1親局110宛のCPRI信号と第2親局210宛のCPRI信号(変換処理後のeCPRI信号)とに分離する分離処理を実行してもよい。合成処理及び分離処理は、マルチプレクサ301によって実行される。マルチプレクサ301は、デマルチプレクサ301と呼称されてもよい。
このような背景下において、第2親局210(例えば、O-DU)は、中間装置300及び第1子局120をO-RU220と扱ってもよい。
(5)無線通信システムの機能ブロック構成
次に、無線通信システム10の機能ブロック構成について説明する。具体的には、第1親局110、第2親局210、中間装置300の機能ブロック構成について説明する。
(5.1)第1親局110
図5は、第1親局110の機能ブロック構成図である。図5に示すように、第1親局110は、通信部111及び制御部113を備える。
通信部111は、CPRIに準拠するCPRI信号の通信を実行する。通信部111は、CPRI信号を中間装置300に送信し、CPRI信号を中間装置から受信する。
制御部113は、第1親局110を制御する。制御部113は、第1子局120の無線送信タイミングが所定タイミングとなるように、第1親局110からCPRI信号を送信するタイミングを調整する。
(5.2)第2親局210
図6は、第2親局210の機能ブロック構成図である。図6に示すように、第2親局210は、通信部121及び制御部213を備える。
通信部121は、eCPRIに準拠するeCPRI信号の通信を実行する。通信部121は、eCPRI信号を中間装置300に送信し、eCPRI信号を中間装置から受信する。
制御部213は、第2親局210を制御する。制御部213は、第1子局120の無線送信タイミングが所定タイミングとなるように、第2親局210からeCPRI信号を送信するタイミングを調整する。例えば、制御部213は、FHとしてO-RANが採用される場合に、後述するTransmission window(DL)内においてeCPRI信号を送信する。
(5.3)中間装置300
図7は、中間装置300の機能ブロック構成図である。上述したように、中間装置300は、通信装置の一例である。図7に示すように、中間装置300は、第1通信部310、第2通信部320、第3通信部330及び制御部340を備える。
第1通信部310は、CPRIに準拠するCPRI信号の通信を第1親局110と実行する。
第2通信部320は、eCPRIに準拠するeCPRI信号の通信を第2親局210と実行する。
第3通信部330は、CPRIに準拠するCPRI信号の通信を第1子局120と実行する。
制御部340は、CPRIに準拠するCPRI信号とeCPRIに準拠するeCPRI信号との間の変換処理を実行する。具体的には、制御部340は、第2親局210から受信するeCPRI信号をCPRI信号に変換し、第1子局120から受信するCPRI信号をeCPRI信号に変換する。上述したように、変換処理は、IFFTを含んでもよく、FFTを含んでもよい。変換処理は、フォーマットを変換する処理を含んでもよい。制御部340は、合成処理を実行してもよく、分離処理を実行してもよい。
実施形態では、制御部340は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、第2親局から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)を第1子局120に送信するタイミングを調整する調整処理(以下、DL調整処理)を実行する。制御部340は、第1子局から受信するCPRI信号(変換処理後のeCPRI信号)を第2親局210に送信するタイミングを調整する調整処理(以下、UL調整処理)を実行する。制御部340は、DL調整処理及びUL調整処理の少なくともいずれか1つを実行すればよい。
(6)遅延時間
次に、第1親局110と第1子局120との間の遅延時間について説明する。第2親局210に関する遅延時間については後述するが、中間装置300と第1子局120との伝送遅延時間及び第1子局120の処理遅延時間は共通である。
図8に示すように、DLの遅延時間は、第1親局110と中間装置300との間の伝送遅延時間T1と、中間装置300の処理遅延時間TE1と、中間装置300と第1子局120との間の伝送遅延時間T2と、第1子局120の処理遅延時間TE2と、を含む。
ULの遅延時間は、第1子局120の処理遅延時間TE3と、中間装置300と第1子局120との間の伝送遅延時間T3と、中間装置300の処理遅延時間TE4と、第1親局110と中間装置300との間の伝送遅延時間T4と、を含む。
図8において、Toff_Aは、中間装置300が第1親局110から受信したDL信号のHFNが中間装置300から第1親局110に送信されるUL信号に反映されるまでの時間である。Toff_Bは、第1子局120が中間装置300から送信したDL信号のHFNが第1子局120から中間装置300に送信されるUL信号に反映されるまでの時間である。
ここで、CPRIでは、CPRIを終端するノード間で遅延時間を測定することは可能であるが、CPRIを終端するノードを超えて遅延時間を測定することができない。従って、第1親局110は、T2、TE2、TE3、T3、Toff_Bなどを測定することができない。このような背景下において、各ノードは以下の動作を実行する。
第1に、中間装置300は、第1子局120に対して、遅延時間の報告を要求する。第1子局120は、中間装置300に対して、TE2、TE3及びToff_Bを報告する。TE2及びTE3は同じ値であると見做すことが可能であるため、TE2及びTE3のいずれか一方のみが報告されてもよい。
第2に、中間装置300は、中間装置300から第1子局120に送信したDL信号のHFNが第1子局120から中間装置300に送信されるUL信号に反映されるまでの時間Tを測定する。Tは、T=T2+Toff_B+T3の関係を有する。
第3に、中間装置300は、T2(T3)を算出する。ここで、中間装置300と第1子局120との間においてDLの伝送経路及びULの伝送経路は同一であるため、T2及びT3は同じ値であると見做すことが可能である。従って、中間装置300は、T2(T3)=(T-Toff_B)/2の式によってT2(T3)を算出することが可能である。
第4に、第1親局110は、中間装置300に対して、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間の報告を要求する。中間装置300は、第1親局110に対して、TE2、TE3及びToff_Bを報告する。
第5に、中間装置300は、Toff_Aを設定する。Toff_Aは、Toff_A=TE1+T2+Toff_B+T3+TE4の式によって表される。
第6に、第1親局110は、第1親局110から中間装置300に送信したDL信号のHFNが中間装置300から第1親局110に送信されるUL信号に反映されるまでの時間T’を測定する。T’は、T’=T1+Toff_A+T4の関係を有する。
第7に、第1親局110は、第1親局110と第1子局120との間の伝送遅延時間を算出する。なお、伝送遅延時間については、中間装置300の処理遅延時間を含むものと考える。第1親局110と中間装置300との間においてDLの伝送経路及びULの伝送経路は同一であるため、T1及びT4は同じ値であると見做すことが可能である。従って、伝送遅延時間は、T1+TE1+T2(T3+TE4+T4)である。Toff_Bが中間装置300から報告されているため、第1親局110は、T1+TE1+T2(T3+TE4+T4)=(T’-Toff_B)/2の式によって、T1+TE1+T2(T3+TE3+T4)を算出することが可能である。
第8に、第1親局110は、T1+TE1+T2+TE2(TE3+T3+TE4+T4)を算出する。TE3(TE4)は中間装置300から報告されているため既知である。
なお、上述した例では、中間装置300がToff_Aを第1親局110に報告しないケースについて説明したが、中間装置300は、第1親局110に対して、TE1+T2+TE2及びToff_A(TE3+T3+TE4及びToff_Aと同義)を報告してもよい。このようなケースでは、第1親局110は、T1(T4)=(T’-Toff_A)/2の式によってT1(T4)を算出することが可能である。このような構成によって、第1親局110は、T1+TE1+T2+TE2(TE3+T3+TE4+T4)を算出してもよい。
(7)調整処理
(7.1)DL調整処理
最初に、O-RANにおけるDLの遅延プロファイルについて説明する。以下において、“max”は最大値を意味しており、“min”は最小値を意味している。また、O-RUアンテナでの無線送信が実行される時刻tを“0”で表している。
図9に示すように、O-RANにおけるDLでは、O-DU210のTransmission window(DL)及びO-RU220のReception window(DL)は以下のように定められる。
O-DU210のTransmission window(DL)は、パラメータ(T1a_min_up、T1a_max_up)によって定義することができる。Transmission window(DL)は、T1a_max_upとT1a_min_upとの差異によって表すことができる。パラメータ(T1a_min_up、T1a_max_up)は、O-DUポート(R1)での出力から無線送信までの測定結果と解釈されてもよい。パラメータ(T1a_min_up、T1a_max_up)は、遅延測定メッセージによって測定されてもよい(Measured Transport Method)。
一方で、O-RU220のReception window(DL)は、パラメータ(T2a_min_up、T2a_max_up)によって定義することができる。Reception window(DL)は、T2a_max_upとT2a_min_upとの差異によって表すことができる。パラメータ(T2a_min_up、T2a_max_up)は、O-RUポート(R2)での受信から無線送信まで測定結果と解釈されてもよい。T2a_min_up及びT2a_max_upは、O-RU遅延プロファイルの一例である。
ここで、上述したFH遅延パラメータとして、T1a_max_upとT2a_max_upとの差異を示すパラメータ(T12_min)が予め定義されてもよい。上述したFH遅延パラメータとして、T1a_min_upとT2a_min_upとの差異を示すパラメータ(T12_max)が予め定義されてもよい。FH遅延パラメータは、中間装置300によって管理される。T12_min及びT12_maxは、O-RANのユースケース毎に定められてもよい。
なお、T12_minは、O-DU110とO-RU120との間の最小遅延時間(最小距離)を定義し、T12_maxは、O-DU110とO-RU120との間の最大遅延時間(最大距離)を定義していると考えてもよい。
このような前提下において、Transmission window(DL)を定義するT1a_min_upは、O-DU210よりもair側に存在するO-RU220について、T2a_min_up+T12_max以上の値であるという条件を満たせばよい。Transmission window(DL)を定義するT1a_max_upは、O-DU210よりもair側に存在するO-RU220について、T2a_max_up+T12_min以下の値であるという条件を満たせばよい。中間装置300は、これらの条件(ウインドウ条件)を満たすようにウインドウパラメータを決定する。或いは、O-DU210は、ウインドウ条件を満たすようにTransmission window(DL)を設定する。
このように、Transmission window(DL)は、O-RU遅延プロファイル(T2a_min_up、T2a_max_up)及びFH遅延パラメータ(T12_min、T12_max)によって定めることができる。ウインドウパラメータは、T1a_min_up及びT1a_max_upを含んでもよい。
実施形態では、中間装置300及び第1子局120がO-RU220として機能するケースが想定されているが、第1子局120は上述したReception window(DL)をサポートしていない。従って、中間装置300から第1子局120にCPRI信号(変換処理後のeCPRI信号)を送信するタイミングを調整する必要がある。
さらに、第2親局210と第1子局120との間において中間装置300が配置される位置が可変であり、上述したO-RU220のReception window(DL)をそのまま中間装置300に適用することができない。例えば、中間装置300が第2親局210の近くに配置されるケースにおいて、上述したO-RU220のReception window(DL)を用いると、eCPRI信号が第2親局210から送信されてからeCPRI信号に相当するCPRI信号が第1子局120から送信されるまでの時間がT1a_max_up内に収まらない。
従って、実施形態に係る中間装置300は、以下に示すDLタイミング調整を実行する。
第1に、中間装置300は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、第2親局210から送信されるeCPRI信号について、変換処理後のCPRI信号を第1子局120に送信するタイミングを調整する。具体的には、中間装置300は、時刻t=0よりも遅延時間だけ早いタイミングで変換処理後のCPRI信号を送信する。このような構成によれば、第1子局120の無線送信タイミングが所定タイミング(すなわち、時刻t=0)となるように、第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)を第1子局120から送信することができる。
図10に示すように、遅延時間は、中間装置300と第1子局120との間の伝送遅延時間(上述したT2)を少なくとも含む。遅延時間は、第1子局120の処理遅延時間(上述したTE2)をさらに含んでもよい。遅延時間は、中間装置300の処理遅延時間(上述したTE1)の少なくとも一部(図10では、TE_NR2)をさらに含んでもよい。例えば、遅延時間は、TE2+T2+TE_NR2であってもよい。
なお、図10では、第1子局120の処理遅延時間(TE2)が図9で示したT2a_min_upと同じであるケースが例示されているが、第1子局120の処理遅延時間(TE2)は図9で示したT2a_min_upよりも長くてもよい。第1子局120の処理遅延時間(TE3)は図9で示したT2a_max_upよりも短くてもよい。
ここで、TE1に含まれるTE_NR1は、上述したIFFTに必要な時間を含んでもよい。TE1に含まれるTE_NR2は、上述した合成処理に必要な時間を含んでもよい。図8で説明したように、TE2及びT2は中間装置300によって特定可能であり、TE_NR1及びTE_NR2は中間装置300にとって既知である。
第2に、中間装置300は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、第2親局210から受信するeCPRI信号の受信ウインドウ(図10では、Reception window(DL)’)を設定する。具体的には、中間装置300は、図9に示したReception window(DL)のサイズを変更する。中間装置300は、図9に示したReception window(DL)-T2(すなわち、{(T2a_max_up-T2a_min_up)-T2})をReception window(DL)’として設定してもよい。これに伴って、T2a_min_upとしてT2a_min_up’が中間装置300に設定されてもよく、T12_maxとしてT12_max’が中間装置300に設定されてもよい。
このようなケースにおいて、DL調整処理を実行する調整部303(例えば、遅延バッファなど)は、IFFT処理部302とマルチプレクサ301との間に設けられてもよい。IFFT処理部302及び調整部303は、上述した制御部340の一部であってもよい。
(7.2)UL調整処理
最初に、O-RANにおけるULの遅延プロファイルについて説明する。以下において、“max”は最大値を意味しており、“min”は最小値を意味している。また、O-RUアンテナでの受信が実行される時刻tを“0”で表している。
図11に示すように、O-RANにおけるULでは、O-RU220のTransmission window(UL)及びO-DU210のReception window(UL)は以下のように定められる。
O-RU220のTransmission window(UL)は、パラメータ(Ta3_min、Ta3_max)によって定義することができる。すなわち、Transmission window(UL)は、Ta3_maxとTa3_minとの差異によって表すことができる。パラメータ(Ta3_min、Ta3_max)は、O-RUアンテナでの受信からO-RUポート(R3)での出力までの測定結果と解釈されてもよい。Ta3_min及びTa3_maxは、O-RU遅延プロファイルの一例である。
一方で、O-DU210のReception window(UL)は、パラメータ(Ta4_min、Ta4_max)によって定義することができる。すなわち、Reception window(UL)は、Ta4_maxとTa4_minとの差異によって表すことができる。パラメータ(Ta4_min、Ta4_max)は、O-RUアンテナでの受信からO-DUポート(R4)での受信までの測定結果と解釈されてもよい。パラメータ(Ta4_min、Ta4_max)は、遅延測定メッセージによって測定されてもよい(Measured Transport Method)。
ここで、上述したFH遅延パラメータとして、Ta4_minとTa3_minとの差異を示すパラメータ(T34_min)が予め定義されてもよい。上述したFH遅延パラメータとして、Ta4_maxとTa3_maxとの差異を示すパラメータ(T34_max)が予め定義されてもよい。FH遅延パラメータは、中間装置300によって管理される。T34_min及びT34_maxは、O-RANのユースケース毎に定められてもよい。
なお、T34_minは、O-DU110とO-RU120との間の最小遅延時間(最小距離)を定義し、T34_maxは、O-DU110とO-RU120との間の最大遅延時間(最大距離)を定義していると考えてもよい。
このような前提下において、Reception window(UL)を定義するTa4_minは、O-DU210よりもair側に存在するO-RU220について、Ta3_min+T34_min以下の値であるという条件を満たせばよい。Reception window(UL)を定義するTa4_maxは、O-DU210よりもair側に存在するO-RU220について、Ta3_max+T34_max以上の値であるという条件を満たせばよい。中間装置300は、これらの条件(ウインドウ条件)を満たすようにウインドウパラメータを決定する。或いは、O-DU210は、ウインドウ条件を満たすようにReception window(UL)を設定する。
このように、Reception window(UL)は、O-RU遅延プロファイル(Ta3_min、Ta3_max)及びFH遅延パラメータ(T34_min、T34_max)によって定めることができる。ウインドウパラメータは、Ta4_min及びTa4_maxを含んでもよい。
実施形態では、中間装置300及び第1子局120がO-RU220として機能するケースが想定されているが、第1子局120は上述したTransmission window(UL)をサポートしていない。従って、中間装置300から第2親局210にeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)を送信するタイミングを調整する必要がある。
従って、実施形態に係る中間装置300は、以下に示すULタイミング調整を実行する。
第1に、中間装置300は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、第1子局120から送信されるCPRI信号について、変換処理後のeCPRI信号を第2親局210に送信するタイミングを調整する。具体的には、中間装置300は、時刻t=0よりも遅延時間だけ遅いタイミングで変換処理後のCPRI信号を送信する。
図12に示すように、遅延時間は、中間装置300と第1子局120との間の伝送遅延時間(上述したT3)を少なくとも含む。遅延時間は、第1子局120の処理遅延時間(上述したTE3)を含まなくてもよい。遅延時間は、中間装置300の処理遅延時間(上述したTE4)を含まなくてもよい。例えば、遅延時間は、T3であってもよい。中間装置300の処理遅延時間(上述したTE4)は、Ta3_max-Ta3_min以下の値であるという条件を満たせばよい。
なお、図12では、第1子局120の処理遅延時間(TE3)がTa3_minと同じであるケースが例示されているが、第1子局120の処理遅延時間(TE3)はTa3_minよりも長くてもよい。第1子局120の処理遅延時間(TE3)はTa3_maxよりも短くてもよい。
ここで、TE4に含まれるTE_NR3は、上述した分離処理に必要な時間を含んでもよい。TE4に含まれるTE_NR4は、上述したFFTに必要な時間を含んでもよい。図8で説明したように、T3は中間装置300によって特定可能であり、TE_NR3及びTE_NR4は中間装置300にとって既知である。
第2に、中間装置300は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、第2親局210に送信するeCPRI信号の送信ウインドウ(図10では、Transmission window(UL)’)を設定する。具体的には、中間装置300は、図9に示したTransmission window(UL)を時間軸方向にシフトする。中間装置300は、Transmission window(UL)+T3をTransmission window(UL)’として設定してもよい。
このようなケースにおいて、UL調整処理を実行する調整部306(例えば、遅延バッファなど)は、FFT処理部305よりも第2親局210側に設けられてもよい。FFT処理部305及び調整部306は、上述した制御部340の一部であってもよい。
なお、UL調整処理では、DL調整処理と異なり、第2親局210と第2子局220との間で使われるReception window(UL)を変更せずに中間装置300によってタイミング調整を行うという考え方に基づいて、第2親局210と第2子局220との間で使われるReception window(UL)を変更せずに用いることができる。
(8)作用及び効果
実施形態では、中間装置300というコンセプトを新たに導入することによって、既存の第1子局120を利用してNRのカバレッジエリアを早期に拡大することができる。
実施形態では、中間装置300は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、DL調整処理及びUL調整処理の少なくともいずれか1つを実行する。このような構成によれば、第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)を適切なタイミングで第1子局120に送信することができ、或いは、第1子局120から受信するCPRI信号(変換処理後のeCPRI信号)を適切なタイミングで第2親局210に送信することができる。
[変更例1]
以下において、実施形態の変更例1について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
実施形態では、第1子局120から第2親局210への信号の送信タイミング及び第2親局210から第1子局120への信号の送信タイミングについて説明した。これに対して、変更例1では、第1親局110から第1子局120への信号の送信タイミングについて説明する。
上述したように、第1子局120の無線送信タイミングが所定タイミングとなるように、第1親局110からCPRI信号を送信するタイミングを調整する必要がある。しかしながら、図8で説明したように、CPRIでは、CPRIを終端するノード間で遅延時間を測定することは可能であるが、CPRIを終端するノードを超えて遅延時間を測定することができない。従って、各ノードは図13に示す動作を実行する。
図13に示すように、ステップS10において、中間装置300は、第1子局120に対して、遅延時間の報告を要求する。
ステップS11において、第1子局120は、中間装置300に対して、TE2、TE3及びToff_Bを報告する。TE2及びTE3は同じ値であると見做すことが可能であるため、TE2及びTE3のいずれか一方のみが報告されもよい。
ステップS12において、中間装置300は、中間装置300から第1子局120に送信したDL信号のHFNが第1子局120から中間装置300に送信されるUL信号に反映されるまでの時間Tを測定する。Tは、T=T2+Toff_B+T3の関係を有する。
ステップS13において、中間装置300は、T2(T3)を算出する。ここで、中間装置300と第1子局120との間においてDLの伝送経路及びULの伝送経路は同一であるため、T2及びT3は同じ値であると見做すことが可能である。従って、中間装置300は、T2(T3)=(T-Toff_B)/2の式によってT2(T3)を算出することが可能である。
ステップS14において、第1親局110は、中間装置300に対して、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間の報告を要求する。
ステップS15において、中間装置300は、第1親局110に対して、TE2、TE3及びToff_Bを報告する報告処理を実行する。ステップS11と同様に、TE2及びTE3は同じ値であると見做すことが可能であるため、TE2及びTE3のいずれか一方のみが報告されもよい。ここで、TE2(TE3)及びToff_Bは、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間を特定するための情報要素の一例である。詳細には、TE2(TE3)は、第1子局120の処理遅延時間を特定するための情報要素の一例である。Toff_Bは、中間装置300と第1子局120との間の伝送遅延時間を特定するための情報要素の一例である。
ステップS16において、中間装置300は、Toff_Aを設定する。Toff_Aは、Toff_A=TE1+T2+Toff_B+T3+TE4の式によって表される。
ステップS17において、第1親局110は、第1親局110から中間装置300に送信したDL信号のHFNが中間装置300から第1親局110に送信されるUL信号に反映されるまでの時間T’を測定する。T’は、T’=T1+Toff_A+T4の関係を有する。
ステップS18において、第1親局110は、第1親局110と第1子局120との間の伝送遅延時間を算出する。なお、伝送遅延時間については、中間装置300の処理遅延時間を含むものと考える。第1親局110と中間装置300との間においてDLの伝送経路及びULの伝送経路は同一であるため、T1及びT4は同じ値であると見做すことが可能である。従って、伝送遅延時間は、T1+TE1+T2(T3+TE4+T4)である。Toff_Bが中間装置300から報告されているため、第1親局110は、T1+TE1+T2(T3+TE4+T4)=(T’-Toff_B)/2の式によって、T1+TE1+T2(T3+TE3+T4)を算出することが可能である。続いて、第1親局110は、T1+TE1+T2+TE2(TE3+T3+TE4+T4)を算出する。TE3(TE4)は中間装置300から報告されているため既知である。
ステップS19において、第1親局110は、第1親局110と第1子局120との間の遅延時間に基づいて、所定タイミングよりも遅延時間だけ早いタイミングでCPRI信号を送信する。遅延時間は、T1+TE1+T2+TE2(TE3+T3+TE4+T4)である。
図13では、中間装置300がToff_Aを第1親局110に報告しないケースについて説明したが、中間装置300は、第1親局110に対して、TE1+T2+TE2及びToff_A(TE3+T3+TE4及びToff_Aと同義)を報告してもよい。このようなケースでは、第1親局110は、T1(T4)=(T’-Toff_A)/2の式によってT1(T4)を算出することが可能である。このような構成によって、第1親局110は、所定タイミングよりも遅延時間(ここでは、T1+TE1+T2+TE2(TE3+T3+TE4+T4))だけ早いタイミングでCPRI信号を送信してもよい。なお、中間装置300及び第1子局120を第1子局と見做した場合に、TE1、T2及びTE2(TE3+T3+TE4)は、第1子局の処理遅延時間であると考えてもよい。TE1+T2+TE2(TE3+T3+TE4)は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間を特定するための情報要素の一例であると考えてもよい。
(作用及び効果)
変更例1では、中間装置300は、中間装置300と第1子局120との間の遅延時間を特定するための情報要素を第1親局110に報告する報告処理を実行する。このような構成によれば、第1親局110は、第1子局120の無線送信タイミングが所定タイミングとなるように、第1親局110からCPRI信号を適切なタイミングで送信することができる。
[変更例2]
以下において、実施形態の変更例2について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
変更例2では、第1親局110から受信する信号及び第2親局210から受信する信号の合成処理及び第1子局から受信する信号の分離処理のバリエーションについて説明する。
第1に、第1親局110宛のCPRI信号及び第2親局宛のeCPRI信号を中間装置300が別々に扱わないケースについて説明する。
図14の上段(DL)に示すように、中間装置300の処理部381は、第1親局110から受信するCPRI信号のフォーマット変換を実行し、CPRIに準拠するCPRI信号をマルチプレクサ301に入力する。一方で、中間装置300の処理部382は、第2親局210から受信するeCPRI信号のIFFT及びフォーマット変換を実行し、CPRIに準拠するCPRI信号をマルチプレクサ301に入力する。マルチプレクサ301は、処理部381から入力されたCPRI信号及び処理部382から入力されたCPRI信号を合成し、合成されたCPRI信号を出力する。
一方で、図14の下段(UL)に示すように、中間装置300のデマルチプレクサ301は、第1子局120から受信するCPRI信号を処理部383に入力し、第1子局120から受信するCPRI信号を処理部384に入力する。デマルチプレクサ301は、第1子局120から受信するCPRI信号を2系統に分岐する機能を有しているに過ぎず、処理部383及び処理部384に入力されるCPRI信号は、第1子局120から受信するCPRI信号そのものであってもよい。処理部383は、デマルチプレクサ301から入力されるCPRI信号のフォーマット変換を実行し、CPRIに準拠するCPRI信号を出力する。処理部384は、デマルチプレクサ301から入力されるCPRI信号のFFT及びフォーマット変換を実行し、eCPRIに準拠するeCPRI信号を出力する。
このようなケースにおいて、第1親局110は、中間装置300から出力されるCPRI信号のうち、第1親局110宛のCPRI信号を抽出し、抽出されたCPRI信号を処理する。同様に、第1親局110は、中間装置300から出力されるeCPRI信号のうち、第1親局110宛のeCPRI信号を抽出し、抽出されたeCPRI信号を処理する。
なお、マルチプレクサ(デマルチプレクサ)301、処理部381、処理部382、処理部383及び処理部384は、上述した制御部340の一部であってもよい。
第2に、第1親局110宛のCPRI信号及び第2親局宛のeCPRI信号を中間装置300が別々に扱うケースについて説明する。
図15の上段(DL)に示すように、中間装置300の処理部391は、処理部381と同様に、第1親局110から受信するCPRI信号のフォーマット変換を実行し、CPRIに準拠するCPRI信号をマルチプレクサ301に入力する。一方で、中間装置300の処理部392は、処理部382と同様に、第2親局210から受信するeCPRI信号のIFFT及びフォーマット変換を実行し、CPRIに準拠するCPRI信号をマルチプレクサ301に入力する。マルチプレクサ301は、処理部391から入力されたCPRI信号及び処理部392から入力されたCPRI信号を合成し、合成されたCPRI信号を出力する。
一方で、図15の下段(UL)に示すように、中間装置300のデマルチプレクサ301は、第1子局120から受信するCPRI信号を処理部393に入力し、第1子局120から受信するCPRI信号を抽出&処理部394に入力する。デマルチプレクサ301は、第1子局120から受信するCPRI信号を2系統に分岐する機能を有しているに過ぎず、処理部393及び処理部394に入力されるCPRI信号は、第1子局120から受信するCPRI信号そのものであってもよい。処理部393は、デマルチプレクサ301から入力されるCPRI信号の中から、第1親局110に対応する第1帯域(例えば、LTE帯域)のCPRI信号を抽出し、抽出されたCPRIのフォーマット変換を実行し、CPRIに準拠するCPRI信号を出力する。処理部394は、デマルチプレクサ301から入力されるCPRI信号の中から、第2親局210に対応する第2帯域(例えば、NR帯域)のCPRI信号を抽出し、抽出されたCPRIのFFT及びフォーマット変換を実行し、eCPRIに準拠するeCPRI信号を出力する。
なお、マルチプレクサ(デマルチプレクサ)301、処理部391、処理部392、処理部393及び処理部394は、上述した制御部340の一部であってもよい。
ここで、図15に示す構成においては、第1親局110に対応する第1帯域(例えば、LTE帯域)及び第2親局210に対応する第2帯域(例えば、NR帯域)が異なることが前提であってもよい。第1帯域及び第2帯域の少なくとも一部が重複する場合には、図14に示す構成が採用されてもよい。
(作用及び効果)
変更例2では、中間装置300は、第1親局110から受信するCPRI信号及び第2親局210から受信するeCPRI信号をCPRIに準拠するCPRI信号で第1子局120に送信する。このような構成によれば、eCPRIに準拠していない第1子局120を利用して、NRのカバレッジエリアを拡大することができる。
[変更例3]
以下において、実施形態の変更例3について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
変更例3では、第1親局110と第2親局210との間で帯域を共有するDSS(Dynamic Spectrum Sharing)が適用されるケースについて説明する。DSSでは、RB(Resource Block)が共有されてもよい。合成処理及び分離処理については、図14に示す構成が用いられてもよい。
例えば、DSSにおいては、図16に示すように、周波数及び時間によって定義される単位(例えば、サブフレーム)において、第1親局110が使用するRB(以下、RB(LTE))及び第2親局210が使用するRB(以下、RB(NR))が重ならないようにRBが割り当てられる。例えば、第2親局210は、RB(LTE)を示す情報を第1親局110から受信し、RB(LTE)以外のRBを用いてリソース割当を実行する。従って、中間装置300は、第1親局110から受信するCPRI信号及び第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)の合成処理において、これらの信号の干渉を抑制するために、これらの信号の同期を取る必要がある。
このような背景下において、第1親局110は、CPRI信号に含まれるフィールドにサブフレーム番号情報(以下、SFN情報)を追加し、SFN情報が追加されたCPRI信号を送信する。SFN情報が追加されるフィールドは、第1親局110に対応する基地局フレーム番号(BFN; Node B Frame Number)が格納されるフィールドであってもよい。
一方で、第2親局210は、SFNを特定するための情報要素を含むeCPRI信号を送信する。情報要素は、Start Symbol IDなどのC-plane情報を含んでもよい。Start Symbol IDは、スロットに含まれる最初のシンボルの番号を識別するパラメータである。情報要素は、delay management parameterを含んでもよい。delay management parameterは、上述したT12_min、T12_max、T34_min、T34_max、T2a_max_up、T2a_min_up、T3a_min、T3a_maxなどのパラメータである。
中間装置300は、第1親局110から受信するCPRI信号に含まれるフィールド(例えば、BFNフィールド)に追加されたSNF情報に基づいて、第1親局110に対応するSFNを特定する。中間装置は、第2親局210から受信するeCPRI信号に含まれる情報要素(例えば、Start Symbol ID及びdelay management parameter)に基づいて、第2親局210に対応するSFNを特定する。中間装置300は、第1親局110に対応するSFN及び第2親局210に対応するSFNに基づいて、第1親局110から受信するCPRI信号と第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)との同期を取る同期処理を実行する。
例えば、図17に示すように、ステップS30において、第1親局110及び第2親局210は、基準時刻情報を受信する。特に限定されるものではないが、基準時刻情報は、GPS(Global Positioning System)を利用する時刻情報であってもよく、PTP(Precision Time Protocol)を利用する時刻情報であってもよい。
ステップS31において、第1親局110は、CPRI信号に含まれるフィールド(例えば、BFNフィールド)にSFN情報を追加し、SFN情報が追加されたCPRI信号を送信する。
ステップS32において、第2親局210は、SFNを特定するための情報要素(例えば、Start Symbol ID及びdelay management parameter)を含むeCPRI信号を送信する。
ステップS33において、中間装置300は、第1親局110に対応するSFN及び第2親局210に対応するSFNに基づいて、第1親局110から受信するCPRI信号と第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)との同期を取る同期処理を実行する。中間装置300は、第1親局110から受信するCPRI信号と第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)とを合成する合成処理を実行する。
ステップS34において、中間装置300は、合成処理後のCPRI信号を第1子局120に送信する。
(作用及び効果)
変更例3では、中間装置300は、CPRI信号に含まれるフィールドに含まれるSFN情報に基づいて第1親局110のSFNを特定し、eCPRI信号に含まれる情報要素に基づいて第2親局のSFNを特定する。中間装置300は、特定されたSFNに基づいて、第1親局110から受信するCPRI信号と第2親局210から受信するeCPRI信号(変換処理後のCPRI信号)との同期を取る同期処理を実行する。このような構成によれば、DSSを適切に運用することができる。
[変更例4]
以下において、実施形態の変更例4について説明する。以下においては、実施形態に対する相違点について主として説明する。
実施形態では、中間装置300が、第1親局110及び第2親局210の双方に対応する動作モードを有する。これに対して、変更例4では、中間装置300が、第1親局110に対応する制御を実行する第1運用モードと、第1親局110及び第2親局210の双方に対応する第2運用モードと、第2親局210に対応する制御を実行する第3運用モードと、を有する。
第1運用モードは、中間装置300が第1親局110に接続されているが、中間装置300が第2親局210に接続されていないケースに適用される運用モードであってもよい。第1運用モードは、LTE単独運用モードと呼称されてもよい。このようなケースにおいて、中間装置300は、第1親局110から受信するCPRI信号を第1子局120に中継すればよい。例えば、中間装置300は、光信号中継装置として機能する。但し、中間装置300は、上述した変更例1で説明した機能を有していてもよい。
第2運用モードは、中間装置300が第1親局110及び第2親局210の双方に接続されるケースに適用される運用モードである。第2運用モードは、LTE/NR運用モードと呼称されてもよい。このようなケースにおいて、中継装置300は、実施形態及び変更例1〜変更例3で説明した機能の中から選択された1以上の機能を有していてもよい。
第3運用モードは、中間装置300が第1親局110及び第2親局210の双方に接続されるケースに適用される運用モードであってもよい。第3運用モードは、中間装置300が第2親局210に接続されているが、中間装置300が第1親局110に接続されていないケースに適用される運用モードであってもよい。第3運用モードは、NR単独運用モードと呼称されてもよい。このようなケースにおいて、中間装置300は、実施形態で説明した調整処理(DL調整処理及びUL調整処理)を実行する機能を有していればよい。なお、中間装置300が当初から第3運用モードで用いられる場合には、
例えば、第1運用モードは、第2親局210を中間装置300に接続する前段階、すなわち、NRのカバレッジエリアの拡大を目的として中間装置300を導入する段階で適用される運用モードであってもよい。第2運用モードは、NRのカバレッジエリアの拡大を目的として第2親局210を中間装置300に接続した段階で適用される運用モードであってもよい。第3運用モードは、第1子局120がLTEの子局としての役割を終えた段階で適用される運用モードであってもよい。
なお、中間装置300を導入する当初から第3運用モードが適用されてもよい、このようなケースにおいて、中間装置300は、上述した第1通信部310を有していなくてもよい。
[その他の実施形態]
上述した開示では、実施形態及び1〜変更例4を別々に記載したが、実施形態、変更例1〜変更例4で説明した機能の中から選択された1以上の機能が提供されればよい。このような機能は方法として提供されてもよい。
以上、実施例に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。
上述した実施形態の説明に用いたブロック構成図(図5〜7)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的または論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的または論理的に分離した2つ以上の装置を直接的または間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置または上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。例えば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。何れも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
さらに、第1親局110、第2親局210及び中間装置300(当該装置)は、本開示の無線通信方法の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図18は、当該装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図13に示すように、当該装置は、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006及びバス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。当該装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つまたは複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
当該装置の各機能ブロック(図5,6参照)は、当該コンピュータ装置の何れかのハードウェア要素、または当該ハードウェア要素の組み合わせによって実現される。
また、当該装置における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態において説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。さらに、上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいし、2つ以上のプロセッサ1001により同時または逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されてもよい。
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Read Only Memory(ROM)、Erasable Programmable ROM(EPROM)、Electrically Erasable Programmable ROM(EEPROM)、Random Access Memory(RAM)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本開示の一実施形態に係る方法を実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、Compact Disc ROM(CD-ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記録媒体は、例えば、メモリ1002及びストレージ1003の少なくとも一方を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
通信装置1004は、例えば周波数分割複信(Frequency Division Duplex:FDD)及び時分割複信(Time Division Duplex:TDD)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及びメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
さらに、当該装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(Digital Signal Processor: DSP)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Programmable Logic Device(PLD)、Field Programmable Gate Array(FPGA)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部または全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
また、情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、Downlink Control Information(DCI)、Uplink Control Information(UCI)、上位レイヤシグナリング(例えば、RRCシグナリング、Medium Access Control(MAC)シグナリング、報知情報(Master Information Block(MIB)、System Information Block(SIB))、その他の信号またはこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本開示において説明した各態様/実施形態は、Long Term Evolution(LTE)、LTE-Advanced(LTE-A)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4th generation mobile communication system(4G)、5th generation mobile communication system(5G)、Future Radio Access(FRA)、New Radio(NR)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、Ultra Mobile Broadband(UMB)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、Ultra-WideBand(UWB)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせなど)適用されてもよい。
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本開示において基地局によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局を有する1つまたは複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局及び基地局以外の他のネットワークノード(例えば、MMEまたはS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)の少なくとも1つによって行われ得ることは明らかである。上記において基地局以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
情報、信号(情報等)は、上位レイヤ(または下位レイヤ)から下位レイヤ(または上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
入出力された情報は、特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報は削除されてもよい。入力された情報は他の装置へ送信されてもよい。
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(Digital Subscriber Line:DSL)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術の何れかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、またはこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一のまたは類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(Component Carrier:CC)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるため、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
本開示においては、「基地局(Base Station:BS)」、「無線基地局」、「固定局(fixed station)」、「NodeB」、「eNodeB(eNB)」、「gNodeB(gNB)」、「アクセスポイント(access point)」、「送信ポイント(transmission point)」、「受信ポイント(reception point)、「送受信ポイント(transmission/reception point)」、「セル」、「セクタ」、「セルグループ」、「キャリア」、「コンポーネントキャリア」などの用語は、互換的に使用され得る。基地局は、マクロセル、スモールセル、フェムトセル、ピコセルなどの用語で呼ばれる場合もある。
基地局は、1つまたは複数(例えば、3つ)のセル(セクタとも呼ばれる)を収容することができる。基地局が複数のセルを収容する場合、基地局のカバレッジエリア全体は複数のより小さいエリアに区分でき、各々のより小さいエリアは、基地局サブシステム(例えば、屋内用の小型基地局(Remote Radio Head:RRH)によって通信サービスを提供することもできる。
「セル」または「セクタ」という用語は、このカバレッジにおいて通信サービスを行う基地局、及び基地局サブシステムの少なくとも一方のカバレッジエリアの一部または全体を指す。
本開示においては、「移動局(Mobile Station:MS)」、「ユーザ端末(user terminal)」、「ユーザ装置(User Equipment:UE)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、またはいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
基地局及び移動局の少なくとも一方は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、移動体に搭載されたデバイス、移動体自体などであってもよい。当該移動体は、乗り物(例えば、車、飛行機など)であってもよいし、無人で動く移動体(例えば、ドローン、自動運転車など)であってもよいし、ロボット(有人型または無人型)であってもよい。なお、基地局及び移動局の少なくとも一方は、必ずしも通信動作時に移動しない装置も含む。例えば、基地局及び移動局の少なくとも一方は、センサなどのInternet of Things(IoT)機器であってもよい。
また、本開示における基地局は、移動局(ユーザ端末、以下同)として読み替えてもよい。例えば、基地局及び移動局間の通信を、複数の移動局間の通信(例えば、Device-to-Device(D2D)、Vehicle-to-Everything(V2X)などと呼ばれてもよい)に置き換えた構成について、本開示の各態様/実施形態を適用してもよい。この場合、基地局が有する機能を移動局が有する構成としてもよい。また、「上り」及び「下り」などの文言は、端末間通信に対応する文言(例えば、「サイド(side)」)で読み替えられてもよい。例えば、上りチャネル、下りチャネルなどは、サイドチャネルで読み替えられてもよい。
同様に、本開示における移動局は、基地局として読み替えてもよい。この場合、移動局が有する機能を基地局が有する構成としてもよい。
無線フレームは時間領域において1つまたは複数のフレームによって構成されてもよい。時間領域において1つまたは複数の各フレームはサブフレームと呼ばれてもよい。
サブフレームはさらに時間領域において1つまたは複数のスロットによって構成されてもよい。サブフレームは、ニューメロロジー(numerology)に依存しない固定の時間長(例えば、1ms)であってもよい。
ニューメロロジーは、ある信号またはチャネルの送信及び受信の少なくとも一方に適用される通信パラメータであってもよい。ニューメロロジーは、例えば、サブキャリア間隔(SubCarrier Spacing:SCS)、帯域幅、シンボル長、サイクリックプレフィックス長、送信時間間隔(Transmission Time Interval:TTI)、TTIあたりのシンボル数、無線フレーム構成、送受信機が周波数領域において行う特定のフィルタリング処理、送受信機が時間領域において行う特定のウィンドウイング処理などの少なくとも1つを示してもよい。
スロットは、時間領域において1つまたは複数のシンボル(Orthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM))シンボル、Single Carrier Frequency Division Multiple Access(SC-FDMA)シンボルなど)で構成されてもよい。スロットは、ニューメロロジーに基づく時間単位であってもよい。
スロットは、複数のミニスロットを含んでもよい。各ミニスロットは、時間領域において1つまたは複数のシンボルによって構成されてもよい。また、ミニスロットは、サブスロットと呼ばれてもよい。ミニスロットは、スロットよりも少ない数のシンボルによって構成されてもよい。ミニスロットより大きい時間単位で送信されるPDSCH(またはPUSCH)は、PDSCH(またはPUSCH)マッピングタイプAと呼ばれてもよい。ミニスロットを用いて送信されるPDSCH(またはPUSCH)は、PDSCH(またはPUSCH)マッピングタイプBと呼ばれてもよい。
無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、何れも信号を伝送する際の時間単位を表す。無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルは、それぞれに対応する別の呼称が用いられてもよい。
例えば、1サブフレームは送信時間間隔(TTI)と呼ばれてもよいし、複数の連続したサブフレームがTTIと呼ばれてよいし、1スロットまたは1ミニスロットがTTIと呼ばれてもよい。つまり、サブフレーム及びTTIの少なくとも一方は、既存のLTEにおけるサブフレーム(1ms)であってもよいし、1msより短い期間(例えば、1−13シンボル)であってもよいし、1msより長い期間であってもよい。なお、TTIを表す単位は、サブフレームではなくスロット、ミニスロットなどと呼ばれてもよい。
ここで、TTIは、例えば、無線通信におけるスケジューリングの最小時間単位のことをいう。例えば、LTEシステムでは、基地局が各ユーザ端末に対して、無線リソース(各ユーザ端末において使用することが可能な周波数帯域幅、送信電力など)を、TTI単位で割り当てるスケジューリングを行う。なお、TTIの定義はこれに限られない。
TTIは、チャネル符号化されたデータパケット(トランスポートブロック)、コードブロック、コードワードなどの送信時間単位であってもよいし、スケジューリング、リンクアダプテーションなどの処理単位となってもよい。なお、TTIが与えられたとき、実際にトランスポートブロック、コードブロック、コードワードなどがマッピングされる時間区間(例えば、シンボル数)は、当該TTIよりも短くてもよい。
なお、1スロットまたは1ミニスロットがTTIと呼ばれる場合、1以上のTTI(すなわち、1以上のスロットまたは1以上のミニスロット)が、スケジューリングの最小時間単位となってもよい。また、当該スケジューリングの最小時間単位を構成するスロット数(ミニスロット数)は制御されてもよい。
1msの時間長を有するTTIは、通常TTI(LTE Rel.8-12におけるTTI)、ノーマルTTI、ロングTTI、通常サブフレーム、ノーマルサブフレーム、ロングサブフレーム、スロットなどと呼ばれてもよい。通常TTIより短いTTIは、短縮TTI、ショートTTI、部分TTI(partialまたはfractional TTI)、短縮サブフレーム、ショートサブフレーム、ミニスロット、サブスロット、スロットなどと呼ばれてもよい。
なお、ロングTTI(例えば、通常TTI、サブフレームなど)は、1msを超える時間長を有するTTIで読み替えてもよいし、ショートTTI(例えば、短縮TTIなど)は、ロングTTIのTTI長未満かつ1ms以上のTTI長を有するTTIで読み替えてもよい。
リソースブロック(RB)は、時間領域及び周波数領域のリソース割当単位であり、周波数領域において、1つまたは複数個の連続した副搬送波(subcarrier)を含んでもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに関わらず同じであってもよく、例えば12であってもよい。RBに含まれるサブキャリアの数は、ニューメロロジーに基づいて決定されてもよい。
また、RBの時間領域は、1つまたは複数個のシンボルを含んでもよく、1スロット、1ミニスロット、1サブフレーム、または1TTIの長さであってもよい。1TTI、1サブフレームなどは、それぞれ1つまたは複数のリソースブロックで構成されてもよい。
なお、1つまたは複数のRBは、物理リソースブロック(Physical RB:PRB)、サブキャリアグループ(Sub-Carrier Group:SCG)、リソースエレメントグループ(Resource Element Group:REG)、PRBペア、RBペアなどと呼ばれてもよい。
また、リソースブロックは、1つまたは複数のリソースエレメント(Resource Element:RE)によって構成されてもよい。例えば、1REは、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域であってもよい。
帯域幅部分(Bandwidth Part:BWP)(部分帯域幅などと呼ばれてもよい)は、あるキャリアにおいて、あるニューメロロジー用の連続する共通RB(common resource blocks)のサブセットのことを表してもよい。ここで、共通RBは、当該キャリアの共通参照ポイントを基準としたRBのインデックスによって特定されてもよい。PRBは、あるBWPで定義され、当該BWP内で番号付けされてもよい。
BWPには、UL用のBWP(UL BWP)と、DL用のBWP(DL BWP)とが含まれてもよい。UEに対して、1キャリア内に1つまたは複数のBWPが設定されてもよい。
設定されたBWPの少なくとも1つがアクティブであってもよく、UEは、アクティブなBWPの外で所定の信号/チャネルを送受信することを想定しなくてもよい。なお、本開示における「セル」、「キャリア」などは、「BWP」で読み替えられてもよい。
上述した無線フレーム、サブフレーム、スロット、ミニスロット及びシンボルなどの構造は例示に過ぎない。例えば、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームまたは無線フレームあたりのスロットの数、スロット内に含まれるミニスロットの数、スロットまたはミニスロットに含まれるシンボル及びRBの数、RBに含まれるサブキャリアの数、並びにTTI内のシンボル数、シンボル長、サイクリックプレフィックス(Cyclic Prefix:CP)長などの構成は、様々に変更することができる。
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、またはこれらのあらゆる変形は、2またはそれ以上の要素間の直接的または間接的なあらゆる接続または結合を意味し、互いに「接続」または「結合」された2つの要素間に1またはそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合または接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1またはそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」または「結合」されると考えることができる。
参照信号は、Reference Signal(RS)と略称することもでき、適用される標準によってパイロット(Pilot)と呼ばれてもよい。
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
本開示において使用する「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量または順序を全般的に限定しない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本開示において使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、または何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示において、例えば、英語でのa, an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
本開示で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。