JP2021158315A - 共役ポリマー、有機半導体層形成用溶液、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ - Google Patents

共役ポリマー、有機半導体層形成用溶液、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ Download PDF

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Abstract

【課題】 高いキャリア移動度及び高溶解性を持つ新規な共役ポリマー、これを用いた有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタを提供する。【解決手段】 下記一般式(1)で示される共役ポリマー。【化1】(ここで、A、C、及びEは、それぞれ独立して、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、チアゾール環、チエノチオフェン環、2−エテニルチオフェン環またはベンゼン環からなる群の1種の2価の連結基を示し、Bが一般式(B−1)〜(B−10)からなる群の1種で示される構造を示し、Dは少なくとも一つの硫黄原子、酸素原子、セレン原子、または窒素原子を環構成原子に含む縮合2環〜縮合7環の2価の連結基を示す。bは1〜3を示し、a、c、d、eはそれぞれ0〜3であり、a、c、d、eの少なくとも一つが1以上である。nは2以上の整数を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、有機半導体材料等の電子材料への展開が可能な新規な共役ポリマー、これを用いた有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタに関するものであり、特に移動度及び溶解性に優れることから様々なデバイス作製プロセスに適用可能な新規な共役ポリマー、これを用いた有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタに関するものである。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されている。この有機半導体デバイスは、有機半導体層、基板、絶縁層、電極等の数種類の材料から構成され、中でも電荷のキャリア移動を担う有機半導体層は該デバイスの中心的な役割を有している。そして、有機半導体デバイス性能は、この有機半導体層を構成する有機半導体材料のキャリア移動度により左右されることから、高キャリア移動度を与える有機半導体材料の出現が所望されている。
有機半導体層を作製する方法としては、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法、有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法等の方法が一般的に知られている。このうち、塗布法は高温高真空条件を用いることなく印刷技術を用いても実施することができる。従って、デバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることが期待でき、経済的に好ましいプロセスである。
このような塗布法に使用される有機半導体材料は、高いキャリア移動度、及びデバイス作製のプロセス上の観点から、0.1cm/V・sec以上のキャリア移動度、及び室温での溶解度が0.1重量%以上を持つことが好ましい。
ここで、一般的に高分子半導体は低分子半導体と比べて、製膜性に優れていることが知られているが、低分子半導体と比べて薄膜の結晶性を高めることが難しいことから、低分子半導体と比べキャリア移動度が低い課題が存在する。薄膜の結晶性及び分子の配向性を高める方法として熱アニールが有効であるが、プラスチック基板の耐熱性を考慮して、140℃以下の温度でアニールすることが好ましい。
現在、高分子材料としては、ポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェニル−2−)チエノ[3,2−b]チオフェン)(例えば、非特許文献1及び非特許文献2参照)、ポリ(2,7−ビス(3−アルキルチオフェニル−2−)ナフトジチオフェン)(例えば、非特許文献3参照)等が提案されている。
しかし、非特許文献2に記載されたポリ(2,5−ビス(3−アルキルチオフェニル−2−)チエノ[3,2−b]チオフェン)のアニール温度は150℃であり、非特許文献3に記載されたポリ(2,7−ビス(3−アルキルチオフェニル−2−)ナフトジチオフェン)のアニール温度も150℃であり、より温和な温度でのアニールが求められていた。
ネイチャー マテリアルズ,2006年,5巻,328〜333頁 ジャーナル オブ アプライド フィジックス,2009年,105巻,024516−1〜024516−5頁 ジャーナル オブ アメリカン ケミカル ソサエティー,2011年,133巻,6852〜6860頁
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高キャリア移動度で高溶解性、温和な温度でのアニールが可能な新規な塗布型の有機半導体材料を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討の結果、新規な共役ポリマーが高キャリア移動度を与えると共に、高溶解性、温和な温度でのアニールが可能な有機半導体材料となることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、下記一般式(1)で示される共役ポリマーである。
Figure 2021158315
(ここで、A、C、及びEは、それぞれ独立して、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、チアゾール環、チエノチオフェン環、2−エテニルチオフェン環またはベンゼン環からなる群の1種の2価の連結基を示し、Bが下記一般式(B−1)〜(B−10)からなる群の1種で示される構造を示し、Dは少なくとも一つの硫黄原子、酸素原子、セレン原子、または窒素原子を環構成原子に含む縮合2環〜縮合7環の2価の連結基を示す。bは1〜3を示し、a、c、d、eはそれぞれ0〜3であり、a、c、d、eの少なくとも一つが1以上である。nは2以上の整数を示す。)
Figure 2021158315
(ここで、Rはハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、または炭素数4〜30のアリール基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、またはHC=CHからなる群の1種を示し、YはCHまたは窒素原子のいずれかを示す。*は他の構造との結合部位を示す。)
本発明によれば、高いキャリア移動度を与えると共に高溶解性で示し、かつ、例えば140℃以下の温度で熱アニールすることも可能な共役ポリマーを提供することができる。該共役ポリマーにより、プラスチック基板上に塗布で優れた半導体特性を発現する有機薄膜トランジスタを提供することが可能となり、その効果は極めて高いものである。
;有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す図である。
以下に本発明の一態様である共役ポリマーについて詳細に説明する。
本発明の共役ポリマーは上記一般式(1)で示される。
一般式(1)のA、C、及びEは、それぞれ独立して、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、チアゾール環、チエノチオフェン環、2−エテニルチオフェン環またはベンゼン環からなる群の1種の2価の連結基を示す。高移動度及び高溶解性のため、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、チアゾール環からなる群の1種が好ましく、チオフェン環がさらに好ましい。
一般式(1)のA、C、及びEとしては例えば下記一般式(A−1)〜(A〜9)からなる群の1種に示すものを挙げることができる。
Figure 2021158315
(ここで、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、または炭素数4〜30のアリール基を示す。*は他の構造との結合部位を示す。)
該A、C、及びEは、高移動度を示す共役ポリマーとなることから(A−1)〜(A−4)からなる群の1種が好ましく、(A−1)〜(A−3)からなる群の1種がさらに好ましい。
該A、C、及びEにおけるR、Rはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、または炭素数4〜30のアリール基を示し、高移動度及び高溶解性の観点から炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
、Rにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群の1種を示し、安定であることからフッ素原子、塩素原子が好ましい。
、Rにおける炭素数1〜30のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル黄、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソバレリル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、3−エチルデシル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルウンデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−デシルヘキサデシル基、3−ヘキシルデシル基、3−オクチルデシル基、3−オクチルドデシル基、3−デシルテトラデシル基、3−デシルヘキサデシル基、4−ヘキシルデシル基、4−オクチルデシル基、4−オクチルドデシル基、4−デシルテトラデシル基、4−デシルヘキサデシル基、4−シクロヘキシルブチル基、8−シクロヘキシルオクチル基等の分岐アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、3−デシルシクロペンチル基、4−デシルシクロヘキシル基等の環状アルキル基が挙げられる。そして、その中でも特に高移動度及び高溶解性を示す共役ポリマーとなることから、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等の炭素数6〜24の直鎖アルキル基、及び2−エチルヘキシル基、3−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、3−エチルデシル、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、3−ヘキシルデシル基、3−オクチルデシル基、3−オクチルドデシル基、3−デシルテトラデシル基、4−ヘキシルデシル基、4−オクチルデシル基、4−オクチルドデシル基、4−デシルテトラデシル基、4−デシルヘキサデシル基等の炭素数8〜26の分岐アルキル基からなる群の1種が好ましく、炭素数10〜22の直鎖アルキル基又は炭素数10〜24の分岐アルキル基からなる群の1種がさらに好ましい。
なお、該炭素数1〜30のアルキル基は、少なくとも一つ以上の水素原子をフッ素原子に置換することができる。また、該炭素数1〜30のアルキル基は、一つ乃至三つの炭素原子を酸素原子に置換することができる。
、Rにおける炭素数1〜30のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基、ヘンイコシルオキシ基、ドコシルオキシ基等の直鎖アルコキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、イソバレロキシ基、イソヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、3−エチルヘプチルオキシ基、2−エチルオクチルオキシ基、3−エチルデシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、2−オクチルデシルオキシ基、2−オクチルドデシルオキシ基、2−デシルテトラデシルオキシ基、2−デシルヘキサデシルオキシ基、3−ヘキシルデシルオキシ基、3−オクチルデシルオキシ基、3−オクチルドデシルオキシ基、3−デシルテトラデシルオキシ基、3−デシルヘキサデシルオキシ基、4−ヘキシルデシルオキシ基、4−オクチルデシルオキシ基、4−オクチルドデシルオキシ基、4−デシルテトラデシルオキシ基、4−デシルヘキサデシルオキシ基、4−シクロヘキシルブチルオキシ基、8−シクロヘキシルオクチルオキシ基等の分岐アルコキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、3−デシルシクロペンチルオキシ基、4−デシルシクロヘキシルオキシ基等の環状アルコキシ基が挙げられる。そして、その中でも特に高移動度及び高溶解性を示す共役ポリマーとなることから、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ウンデシルオキシ基、ドデシルオキシ基、トリデシルオキシ基、テトラデシルオキシ基、ペンタデシルオキシ基、ヘキサデシルオキシ基、ヘプタデシルオキシ基、オクタデシルオキシ基、ノナデシルオキシ基、イコシルオキシ基、ヘンイコシルオキシ基、ドコシルオキシ基等の炭素数8〜24の直鎖アルキルオキシ基、及び2−エチルヘキシルオキシ基、3−エチルヘプチルオキシ基、2−エチルオクチルオキシ基、3−エチルデシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、2−オクチルデシルオキシ基、2−オクチルドデシルオキシ基、2−デシルドデシルオキシ基、2−デシルテトラデシルオキシ基、3−ヘキシルデシルオキシ基、3−オクチルデシルオキシ基、3−オクチルドデシルオキシ基、3−デシルテトラデシルオキシ基、4−ヘキシルデシルオキシ基、4−オクチルデシルオキシ基、4−オクチルドデシルオキシ基、4−デシルテトラデシルオキシ基、4−デシルヘキサデシルオキシ基等の炭素数8〜26の分岐アルコキシ基からなる群の1種が好ましく、炭素数10〜22の直鎖アルコキシ基又は炭素数10〜24の分岐アルコキシ基からなる群の1種がさらに好ましい。
なお、該炭素数1〜30のアルコキシ基は、少なくとも一つ以上の水素原子をフッ素原子に置換することができる。また、該炭素数1〜30のアルコキシ基は、一つ乃至三つの炭素原子を酸素原子に置換することができる。
、Rにおける炭素数1〜30のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ペンタデカノイル基、ヘキサデカノイル基、ヘプタデカノイル基、オクタデカノイル基、ノナデカノイル基、イコシロイル基、ヘンイコシロイル基、ドコシロイル基等の直鎖アシル基、イソブチリル基、2−エチルヘキサノイル基、3−エチルヘプタノイル基、3−エチルデカノイル基、2−ヘキシルデカノイル基、2−オクチルデカノイル基、2−オクチルドデカノイル基、2−デシルテトラデカノイル基、2−デシルヘキサデカノイル基、3−ヘキシルデカノイル基、3−オクチルデカノイル基、3−オクチルドデカノイル基、3−デシルテトラデカノイル基、3−デシルヘキサデカノイル基、4−ヘキシルデカノイル基、4−オクチルデカノイル基、4−オクチルドデカノイル基、4−デシルテトラデカノイル基、4−デシルヘキサデカノイル基、4−シクロヘキシルブチリル基、8−シクロヘキシルオクタノイル基等の分岐アルキル基等が挙げられる。
該炭素数1〜30のアシル基は、少なくとも一つ以上の水素原子をフッ素原子に置換することができる。また、該炭素数1〜30のアシル基は、一つ乃至三つの炭素原子を酸素原子に置換することができる。
、Rにおける炭素数2〜30のアルケニル基としては、例えば、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、2−メチルプロペニル基、ペンテニル基、2−メチルブテニル基、ヘキセニル基、2−メチルペンテニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、2−エチルヘキセニル基、ノネル基、2−エチルヘプテニル基、デセニル基、ドデセニル基、シクロペンテニル−1−基、シクロヘキセニル−1−基、シクロヘプテニル−1−基からなる群の1種が挙げられる。
該炭素数2〜30のアルケニル基は、少なくとも一つ以上の水素原子をフッ素原子に置換することができる。
、Rにおける炭素数2〜30のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ドデシニル基、トリメチルシリルエチニル基、トリエチルシリルエチニル基、tert−ブチルジメチルシリルエチニル基からなる群の1種が挙げられる。
該炭素数2〜30のアルキニル基は、少なくとも一つ以上の水素原子をフッ素原子に置換することができる。
、Rにおけるにおける炭素数4〜30のアリール基は、炭素数4〜30のヘテロアリール基を含む。該炭素数4〜30のアリール基としては、例えば、フェニル基;p−トリル基、p−(ヘキシル)フェニル基、p−(オクチル)フェニル基、p−(デシル)フェニル基、p−(2−エチルヘキシル)フェニル基等のアルキル置換フェニル基;2−フリル基、2−チエニル基;5−フルオロ−2−フリル基、5−メチル−2−フリル基、5−エチル−2−フリル基、5−(プロピル)−2−フリル基、5−(ブチル)−2−フリル基、5−(ペンチル)−2−フリル基、5−(ヘキシル)−2−フリル基、5−(オクチル)−2−フリル基、5−(2−エチルヘキシル)−2−フリル基、5−フルオロ−2−チエニル基、5−メチル−2−チエニル基、5−エチル−2−チエニル基、5−(プロピル)−2−チエニル基、5−(ブチル)−2−チエニル基、5−(ペンチル)−2−チエニル基、5−(ヘキシル)−2−チエニル基、5−(オクチル)−2−チエニル基、5−(2−エチルヘキシル)−2−チエニル基、5−(2−ヘキシルウンデシル)−2−チエニル基、5−(2−オクチルドデシル)−2−チエニル基等のアルキル置換ヘテロアリール基からなる群の1種を挙げることができる。
該炭素数4〜30のアリール基は、少なくとも一つ以上の水素原子をフッ素原子に置換することができる。
一般式(1)におけるBは、下記一般式(B−1)〜(B−10)からなる群の1種で示される構造を示す。
Figure 2021158315
(ここで、Rはハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、または炭素数4〜30のアリール基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、またはHC=CHからなる群の1種を示し、YはCHまたは窒素原子のいずれかを示す。*は他の構造との結合部位を示す。)
該Bは、高移動度及び高溶解性を示す共役ポリマーとなることから(B−1)〜(B−7)からなる群の少なくとも1種が好ましく、(B−1)〜(B−4)からなる群の少なくとも1種がさらに好ましい。
該BにおけるRはハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、または炭素数4〜30のアリール基を示し、高移動度及び高溶解性の観点から炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
該Rのハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子からなる群の1種を示し、反応性が高いことから臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、臭素原子がより好ましい。
Rの炭素数1〜30のアルキル基の具体例は、例えば、上述の一般式(A−1)〜(A〜9)のR及びRにおける炭素数1〜30のアルキルの具体例を挙げることができる。そして、その中でも特に高移動度及び高溶解性を示す共役ポリマーとなることから、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等の炭素数9〜24の直鎖アルキル基、及び2−エチルヘプチル基、3−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、3−エチルデシル、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、3−ヘキシルデシル基、3−オクチルデシル基、3−オクチルドデシル基、3−デシルドデシル基、3−デシルテトラデシル基、4−ヘキシルデシル基、4−オクチルデシル基、4−オクチルドデシル基、4−デシルドデシル基、4−デシルテトラデシル基、4−デシルヘキサデシル基等の炭素数9〜26の分岐アルキル基からなる群の1種が好ましく、炭素数10〜22の直鎖アルキル基又は炭素数10〜24の分岐アルキル基からなる群の1種がさらに好ましい。
Rの炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数4〜30のアリール基の具体例は、例えば、上述の一般式(A−1)〜(A〜9)のR及びRにおける1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数4〜30のアリール基からなる群の1種を具体例として挙げることができる。
Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、またはHC=CHからなる群の1種を示し、高移動度を示す共役ポリマーとなることから酸素原子、硫黄原子、セレン原子からなる群の1種が好ましく、硫黄原子がさらに好ましい。
YはCHまたは窒素原子のいずれかを示し、高移動度を示す共役ポリマーとなることからCHが好ましい。
一般式(1)のDは、少なくとも一つの硫黄原子、酸素原子、セレン原子、または窒素原子を環構成原子に含む縮合2環〜縮合7環の2価の連結基を示す。該縮合2環〜縮合7環を構成する全ての環は、4〜8員環である。該4〜8員環である環の具体例としてはシクロブテン環、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、チアゾール環、オキサゾール環、ピロール環、イミダゾール環、ベンゼン環、ピリジン環、シクロオクタテトラエン環からなる群の少なくとも1種を挙げることができ、高移動度のため、4〜6員環が好ましく、シクロブテン環、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、ベンゼン環からなる群の少なくとも1種がさらに好ましい。
該Dとしては、例えば下記一般式(D−1)〜(D〜65)に示すものを挙げることができる。
Figure 2021158315
Figure 2021158315
(ここで、R、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、または炭素数4〜30のアリール基を示す。*は他の構造との結合部位を示す。)
該Dは、高移動度及び高溶解性を示す共役ポリマーとなることから(D−1)〜(D−14)及び(D−52)〜(D−65)からなる群の少なくとも1種が好ましく、(D−52)〜(D−65)からなる群の少なくとも1種がさらに好ましい。
該DにおけるR、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、または炭素数4〜30のアリール基を示し、高移動度及び高溶解性の観点から炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。
、Rの炭素数1〜30のアルキル基の具体例は、例えば、上述の一般式(A−1)〜(A〜9)のR及びRにおける炭素数1〜30のアルキルの具体例を挙げることができる。そして、その中でも特に高移動度及び高溶解性を示す共役ポリマーとなることから、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等の炭素数6〜24の直鎖アルキル基、及び2−エチルヘキシル基、3−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、3−エチルデシル、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、3−ヘキシルデシル基、3−オクチルデシル基、3−オクチルドデシル基、3−デシルドデシル基、3−デシルテトラデシル基、4−ヘキシルデシル基、4−オクチルデシル基、4−オクチルドデシル基、4−デシルドデシル基、4−デシルテトラデシル基、4−デシルヘキサデシル基等の炭素数8〜26の分岐アルキル基からなる群の1種が好ましく、炭素数8〜22の直鎖アルキル基又は炭素数10〜24の分岐アルキル基からなる群の1種がさらに好ましい。
、Rの炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数4〜30のアリール基の具体例は、例えば、上述の一般式(A−1)〜(A〜9)のR及びRにおける炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数4〜30のアリール基からなる群の1種を具体例として挙げることができる。
一般式(1)のa、c、d、eはそれぞれ0〜3を示し、a、c、d、eの少なくとも一つが1以上である。
該a、c、d、eは、高移動度であることから、それぞれ0〜2が好ましい。a及びcが1の場合、d及びeは、0が好ましい。c、d及びeが1の場合、aは0であることが好ましい。
一般式(1)のbは1〜3を示し、より高移動度であることから、1が好ましい。
一般式(1)で示される共役ポリマーは、繰り返し単位であるnが2以上を有する化合物である。該nは2以上の整数であれば特に限定されないが、高移動度のため4以上が好ましく、高溶解性のため、300以下が好ましく、200以下がさらに好ましい。
該共役ポリマーの分子量は、よりキャリア移動度の大きい有機薄膜トランジスタを得るのに好適であるため、2,000〜1,000,000であることが好ましく、4,000〜300,000がさらに好ましく、10,000〜150,000が特に好ましい。なお、本発明において、ポリマーの分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をいうものであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定する。
本発明の一般式(1)で示される共役ポリマーの具体的例示としては、以下のものを挙げることができる。
Figure 2021158315
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Figure 2021158315
Figure 2021158315
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本発明の一般式(1)で示される共役ポリマーを製造する方法としては、該共役ポリマーを製造することが可能であれば如何なる製造方法を用いることも可能である。
該共役ポリマーの製造方法としては、下記一般式(2)及び(3)で示される化合物を用い、クロスカップリング反応させる方法を挙げることができる。
−(B)b−Z (2)
−(C)c−(D)d−(E)e−(A)a−Z (3)
(ここで、A、B、C、D、E、a、b、c、d、及びeは、上記一般式(1)におけるA、B、C、D、E、a、b、c、d、及びeと同意義を示す。Z〜Zは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニロキシ、メタンスルホニロキシ、トリアルキルスズ、トリアリールスズ、ジアルコキシホウ素、ジヒドロキシホウ素、ハロゲン化亜鉛、ジメチルフルオロケイ素、ジフルオロメチルケイ素、トリエトキシケイ素、トリメトキシケイ素、またはハロゲン化マグネシウムを示す。但し、Z〜Zの内、二つはハロゲン、トリフルオロメタンスルホニロキシ、メタンスルホニロキシからなる群から選ばれ、残りの二つは、トリアルキルスズ、トリアリールスズ、ジアルコキシホウ素、ジヒドロキシホウ素、ハロゲン化亜鉛、ジメチルフルオロケイ素、ジフルオロメチルケイ素、トリエトキシケイ素、トリメトキシケイ素、ハロゲン化マグネシウムからなる群から1つ選ばれる。)
該クロスカップリング反応は、アリール−アリールカップリング反応であり、高収率であることから、スティルカップリング反応、鈴木カップリング反応、根岸カップリング反応、熊田カップリング反応、檜山カップリング反応からなる群の少なくとも1種が好ましく、スティルカップリング反応、鈴木カップリング反応の少なくともいずれかがさらに好ましい。
一般式(2)及び(3)におけるZ〜Zは、それぞれ独立して、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニロキシ、メタンスルホニロキシ、トリアルキルスズ、トリアリールスズ、ジアルコキシホウ素、ジヒドロキシホウ素、ハロゲン化亜鉛、ジメチルフルオロケイ素、ジフルオロメチルケイ素、トリエトキシケイ素、トリメトキシケイ素、またはハロゲン化マグネシウムからなる群の少なくとも1種を示す。
該ハロゲン原子は、臭素原子、ヨウ素原子、塩素原子、フッ素原子からなる群の1種を示し、高反応性のため、臭素原子又はヨウ素原子の少なくともいずれかが好ましい。
該トリアルキルスズのアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基を示し、例えば、トリメチルスズ、トリエチルスズ、トリプロピルスズ、トリブチルスズ、トリヘキシルスズ、トリシクロヘキシルスズからなる群の少なくとも1種を挙げることができ、入手性の良さからトリメチルスズ又はトリブチルスズの少なくともいずれかが好ましい。
該トリアリールスズのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基を示し、例えば、トリフェニルスズ、トリ(o−トリル)スズ、トリ(m−トリル)スズ、トリ(p−トリル)スズ、トリナフチルスズからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
該ジアルコキシホウ素のアルコキシ基は、炭素数1〜10のアルコキシ基を示し、例えば、ジメトキシホウ素、ジエトキシホウ素、ジプロピロキシホウ素、ジイソプロピロキシホウ素、ジブトキシホウ素、ジヘキシロキシホウ素からなる群の少なくとも1種を示す。なお、二つのアルコキシ基は結合し環を形成することができ、例えば、4,4,5,5−テトラメチルジオキソボロラニル基等を挙げることができる。該ジアルコキシホウ素として、反応性の高さから、4,4,5,5−テトラメチルジオキソボロラニル基、1,3,2−ジオキサボリナニル基が好ましい。
該ハロゲン化亜鉛は、例えば、ClZn、BrZn,IZnからなる群の1種を挙げることができる。
該ハロゲン化マグネシウムは、例えば、ClMg、BrMg、IMgからなる群の1種を挙げることができる。
該Z〜Zの内、二つはハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニロキシ、メタンスルホニロキシからなる群から選ばれ、残りの二つは、トリアルキルスズ、トリアリールスズ、ジアルコキシホウ素、ジヒドロキシホウ素、ハロゲン化亜鉛、ジメチルフルオロケイ素、ジフルオロメチルケイ素、トリエトキシケイ素、トリメトキシケイ素、またはハロゲン化マグネシウムからなる群から選ばれる。例えば、高い反応性のため、Z及びZが、トリアルキルスズ、トリアリールスズ、ジアルコキシホウ素、ジヒドロキシホウ素、ハロゲン化亜鉛、ジメチルフルオロケイ素、ジフルオロメチルケイ素、トリエトキシケイ素、トリメトキシケイ素、ハロゲン化マグネシウムからなる群から選ばれ、Z及びZが、ハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニロキシ、メタンスルホニロキシからなる群から選ばれることが好ましい。
一般式(1)の共役ポリマーを製造する方法であるスティルカップリング反応、鈴木カップリング反応、根岸カップリング反応、熊田カップリング反応、檜山カップリング反応には0価パラジウム化合物又は2価パラジウム化合物の少なくともいずれかの触媒が用いられる。0価パラジウム化合物としては、例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス{トリ(tert−ブチル)ホスフィン}パラジウムからなる群の少なくとも1種を挙げることができ、2価パラジウム化合物としては、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}パラジウムジクロライド、{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}パラジウムジクロライド、{1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン}パラジウムジクロライド(以後、Pd(dppf)Clと略す)、酢酸パラジウムからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。さらに該パラジウム化合物に、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスフィン、トリ(tert−ブチル)ホスホニウムテトラフルオロボレートからなる群の少なくとも1種のホスフィンを添加することもできる。
また、ニッケル化合物を触媒とすることもできる。該ニッケル化合物として、ビス(1,5−シクロオクタジエニル)ニッケル、{1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン}ニッケルジクロライド、{1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン}ニッケルジクロライドからなる群の少なくとも1種を挙げることができる。
上記パラジム化合物及びニッケル化合物に、銅化合物を添加しても良い。該銅化合物としては、例えば、ヨウ化銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅; 塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅等を挙げることができ、その中でも1価銅が好ましく、ヨウ化銅(I)がさらに好ましい。
該アリール−アリールカップリング反応では、反応促進のため、塩基を添加しても良い。該塩基としては、例えば、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキサイド等の無機塩基; トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N ’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジンからなる群の少なくとも1種の有機塩基を好適なものとして挙げることができる。
該アリール−アリールカップリング反応では、反応促進のため、フッ化物を添加しても良い。該フッ化物としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオライド、フッ化カリウム、フッ化ナトリム、フッ化セシウム、フッ化リチウム等を好適なものとして挙げることができる。
一般式(2)及び(3)で示される化合物を用い、クロスカップリング反応させる際には、好ましくは溶媒中で実施する。該溶媒に特に限定はなく、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、テトラヒドロフラン(以後、THFと略す)、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド(以後、DMFと略す)、N−メチルピロリドン(以後、NMPと略す)、トリエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジイソプロピルアミンからなる群の少なくとも1種を挙げることができ、又、これら溶媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良く、例えばトルエン/水、トルエン/エタノール/水のような2乃至3成分系でも使用することができる。
パラジウム触媒、ニッケル触媒の使用量は、一般式(2)の化合物に対し、0.1〜20モル%の範囲であり、0.5〜10モル%の範囲が好ましい。
ホスフィンの使用量は、上記パラジウム化合物に対し、0.9〜8.0当量であり、1.0〜3.0当量が好ましい。
銅化合物の使用量は、一般式(2)の化合物に対し、0.5〜30モル%の範囲であり、1〜20モル%の範囲が好ましい。
塩基の使用量は、一般式(2)の化合物に対し、0.8〜2.5当量であり、1.2〜2.2当量が好ましい。
一般式(3)の化合物の使用量は一般式(2)の化合物に対し、0.8〜1.3当量であり、0.9〜1.2当量が好ましく、1.0〜1.1当量がさらに好ましい。
反応の際の温度は10〜160℃であり、特に好ましくは30〜140℃が好ましく、40〜120℃がさらに好ましい。反応時間は1〜72時間であり、2〜48時間が好ましい。
さらに、製造した一般式(1)の共役ポリマーは、ソックスレー抽出、再沈殿等の既存の方法により精製することができる。
一般式(2)の化合物の内、例えば、Bが上記一般式(B−1)のRがアルキル基、Xが硫黄原子で、かつYがCHであり、bが1、Z及びZがトリアルキルスズである場合は、下記A1〜G1の工程を経る方法により製造することができる。
(A1工程);パラジウム触媒の存在下、1−ブロモ−3−フルオロ−2−ヨードベンゼンから誘導された1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−亜鉛クロライドと、2−ブロモ−1−フルオロ−3−ヨードベンゼンから2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルを製造する工程。
(B1工程);A1工程により得られた2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルをブチルリチウムでジリチオ化し、ハロゲン化剤と反応させることによる1−フルオロ−5−ハロビフェニレンを製造する工程。
(C1工程);B1工程により得られた1−フルオロ−5−ハロビフェニレンを硫化ナトリウム及びハロアセトアルデヒドジアルキルアセタールとの反応で、1,5−ビス(2,2−ジアルコキシエチルチオ)ビフェニレンを製造する工程。
(D1工程);C1工程により得られた1,5−ビス(2,2−ジアルコキシエチルチオ)ビフェニレンをポリリン酸で処理し、無置換ジチエノビフェニレン誘導体を製造する工程。
(E1工程);D1工程により得られた無置換ジチエノビフェニレン誘導体をN−ブロモスクシンイミド(以後、NBSと略す。)等のハロゲン化剤と反応させることによる、4,9−ジハロジチエノビフェニレン誘導体を製造する工程。
(F1工程);E1工程により得られた4,9−ジハロジチエノビフェニレン誘導体をパラジウム触媒の存在下、アルキル亜鉛クロライドと反応させることによる、4,9−ジアルキルジチエノビフェニレン誘導体を製造する工程。
(G1工程);F1工程により得られた4,9−ジアルキルジチエノビフェニレン誘導体をブチルリチウムと反応させた後、トリアルキルスズクロライドで処理し、2,7−ビス(トリアルキルスズ)−4,9−ジアルキルジチエノビフェニレン誘導体を製造する工程。
A1〜G1の各工程の詳細を以下に示す。
A1工程は、パラジウム触媒の存在下、1−ブロモ−3−フルオロ−2−ヨードベンゼンから誘導された1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−亜鉛クロライドと、2−ブロモ−1−フルオロ−3−ヨードベンゼンのクロスカップリングから2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルを製造する工程である。
1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−亜鉛クロライドは、例えば、エチルマグネシウムクロライド、イソプロピルマグネシウムブロマイド等の有機金属試薬を用い、1−ブロモ−3−フルオロ−2−ヨードベンゼンのヨウ素をマグネシウムハライドに交換後(1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−マグネシウムハライドの調製)、塩化亜鉛と金属交換することで調製することができる。また、該有機金属試薬の代わりにマグネシウム金属を用いることも可能である。
1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−マグネシウムハライドを調製する条件としては、例えば、THF又はジエチルエーテル等の溶媒中、−80℃〜20℃の温度範囲内で実施することができる。該マグネシウム塩(1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−マグネシウムハライド)の溶液に塩化亜鉛を反応させることで1−ブロモ−3−フルオロフェニル−2−亜鉛クロライドを調製することができる。塩化亜鉛はそのままの状態でもよいし、THFまたはジエチルエーテル溶液であってもかまわない。該マグネシウム塩と塩化亜鉛との反応の温度としては、−80℃〜30℃の範囲内で実施できる。
A1工程におけるパラジウム触媒としては、例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を挙げることができ、反応温度としては、20℃〜80℃の範囲を挙げることができる。
B1工程は、A1工程により得られた2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルを2当量以上のブチルリチウムでジリチオ化し、発生したベンザインが分子内環化した後、ハロゲン化剤と反応させることによる1−フルオロ−5−ハロビフェニレンを製造する。
該ジリチオ化の条件としては、例えば、2〜3当量のブチルリチウム又はtert−ブチルリチウムを用い、THF又はジエチルエーテル等の溶媒中、−80℃〜20℃の温度範囲で実施することができる。
ハロゲン化剤は2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルに対し1〜3当量使用し、分子内環化反応は−80℃〜30℃の温度範囲で実施することができる。ハロゲン化剤は、例えば、ヘキサクロロエタン、四塩化炭素、N−クロロスクシンイミド、1,2−ジブロモテトラクロロエタン、ブロモトリクロロメタン、テトラブロモメタン、NBS、ヨウ素、1−クロロ−2−ヨードエタン、N−ヨードスクシンイミド、N−フルオルベンゼンスルホンイミド等を挙げることができる。
C1工程は、B1工程により得られた1−フルオロ−5−ハロビフェニレンを硫化ナトリウムと反応させ、さらにハロアセトアルデヒドジアルキルアセタールと反応させることで1,5−ビス(2,2−ジアルコキシエチルチオ)ビフェニレンを製造する。該反応は、例えば、ジメチルスルホキサイド、DMF、NMP等の溶媒中、40〜200℃の温度範囲で実施する。ハロアセトアルデヒドジアルキルアセタールは、例えば、ブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール、クロロアセトアルデヒドジメチルアセタール、クロロアセトアルデヒドジエチルアセタール等を挙げることができる。
D1工程は、C1工程により得られた1,5−ビス(2,2−ジアルコキシエチルチオ)ビフェニレンをポリリン酸で処理する工程である。
ポリリン酸で環化する条件としては、例えば、1〜5倍重量のポリリン酸を用い、クロロベンゼン、トルエン、またはキシレン等の溶媒中、100℃〜150℃の温度範囲で実施することができる。
E1工程は、D1工程で得られた無置換ジチエノビフェニレン誘導体を、NBS等のハロゲン化剤を用いて4位及び9位に選択的にハロゲンを導入して4,9−ジハロジチエノビフェニレン誘導体を合成する反応である。ハロゲン化剤としては、例えば、NBS、N−ブロモフタルイミド、1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン、ジブロモイソシアヌル酸、臭素等を挙げることができる。DMF、THF、クロロホルム、ジクロロメタン等の溶媒中、0℃から50℃の範囲で実施することが好ましい。
F1工程は、E1工程で得られた4,9−ジハロジチエノビフェニレン誘導体を、パラジウム触媒の存在下、アルキル亜鉛クロライドと反応させることによる、4,9−ジアルキルジチエノビフェニレン誘導体を製造する工程であり、パラジウム触媒としては例えば、Pd(dppf)Cl、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等を挙げることができる。アルキル亜鉛クロライドは、対応するグリニャー試薬とTHF中、塩化亜鉛との反応で調製することができる。反応温度は、−10℃〜60℃の温度範囲内で実施することができる。なお、アルキル亜鉛化合物の代わりにアルキルホウ素化合物を用いることも可能である。
G1工程は、F1工程で得られた4,9−ジアルキルジチエノビフェニレン誘導体をブチルリチウムと反応させた後、トリアルキルスズクロライドで処理し、2,7−ビス(トリアルキルスズ)−4,9−ジアルキルジチエノビフェニレンを製造する工程である。
ブチルリチウムと反応させ4,9−ジアルキルジチエノビフェニレン誘導体のジリチウム塩を調製する条件としては、例えば、2〜5当量のブチルリチウムを用い、THF又はジエチルエーテル等の溶媒中、−80℃〜40℃の温度範囲で実施することができる。該ジリチウム塩とトリアルキルスズクロライドの反応は、−80℃〜40℃の範囲で実施することができる。
ブチルリチウムの代わりに、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ブチルリチウム/テトラメチルエチレンジアミン、ブチルリチウム/2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン等を用いることができ、トリアルキルスズクロライドとしては、トリメチルスズクロライド、トリエチルスズクロライド、トリプロピルスズクロライド、トリブチルスズクロライド、トリヘキシルスズクロライド、トリシクロヘキシルスズクロライド、トリフェニルスズクロライド等を用いることができる。
そして、反応工程数が少ないことから好ましい具体的な(B−1−a)の製造方法を以下の反応スキームに示す。
Figure 2021158315
さらに、製造した一般式(2)の化合物は、再結晶、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等に供することにより精製することができ、その際の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、メタノール、エタノール等を挙げることができる。カラムクロマトグラフィーの分離剤としては、例えば、シリカゲル、活性アルミナ、フロリジルを挙げることができる。
製造した一般式(2)の化合物は、活性炭、ゼオライト等に供することにより溶液中で脱色精製することができ、その際の溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることができる。
一般式(2)の化合物の純度は、液体クロマトグラフィーにより分析することが可能である。
上記一般式(3)で示される化合物は、既知の製造方法により合成することができる。または、市販されているものをそのまま用いることができる。
以下に本発明の一態様である有機半導体層形成用溶液について詳細に説明する。
本発明の共役ポリマーは、適当な溶媒に溶解させることで該共役ポリマーを含有する有機半導体層形成用溶液とすることができる。該溶媒としては、一般式(1)で示される共役ポリマーを溶解することが可能な溶媒であれば如何なる溶媒を使用してもよく、有機半導体層を形成する際、溶媒の乾燥速度を好適なものとすることができることから、常圧での沸点が100℃以上である有機溶媒が好ましい。
本発明で用いることが可能な溶媒として、特に制限はなく、例えば、トルエン、メシチレン、o−キシレン、イソプロピルベンゼン、ペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン、インダン等の芳香族炭化水素類;アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、1,2−メチレンジオキシベンゼン、1,2−エチレンジオキシベンゼン等の芳香族エーテル類;クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン等の芳香族ハロゲン化合物;チオフェン、3−クロロチオフェン、2−クロロチオフェン、3−メチルチオフェン、2−メチルチオフェン、ベンゾチオフェン、2−メチルベンゾチオフェン、2,3−ジヒドロベンゾチオフェン、フラン、3−メチルフラン、2−メチルフラン、2,5−ジメチルフラン、ベンゾフラン、2−メチルベンゾフラン、2,3−ジヒドロベンゾフラン、チアゾール、オキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ピリジン等のヘテロ芳香族類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、デカリン等の飽和炭化水素類;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコール類;フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、テレフタル酸ジメチル、酢酸フェニル、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、テトラヒドロフルフリルアセテート、テトラヒドロフルフリルプロピオネート、γ−ブチロラクトン等のエステル類;THF、2−メトキシメチルテトラヒドロフラン等の環状エーテルからなる群の少なくとも1種などを挙げられることができ、その中でも適度な乾燥速度を持つことから、好ましくはトルエン、o−キシレン、メシチレン、1,2,4−トリメチルベンゼン、テトラリン、インダン、オクタン、ノナン、デカン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソール、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、1,2−メチレンジオキシベンゼン、1,2−エチレンジオキシベンゼン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、3−メチルチオフェン、ベンゾチアゾールであり、さらに好ましくは、トルエン、o−キシレン、メシチレン、テトラリン、インダン、オクタン、ノナン、デカン、アニソール、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール、2,6−ジメチルアニソールからなる群の少なくとも1種である。
なお、本発明で用いる溶媒は、1種類の溶媒を単独で使用、または沸点、極性、溶解度パラメーターなど性質の異なる溶媒を2種類以上混合して使用することが可能である。
一般式(1)で示される共役ポリマーを溶媒に混合溶解する際の温度としては、溶解を促進させる目的のため、0〜80℃の温度範囲で行うことが好ましく、10〜60℃の温度範囲で行うことが更に好ましい。
また、一般式(1)で示される共役ポリマーを有機溶媒に溶解混合する時間は、均一溶液を得るため、1分〜1時間で溶解することが好ましい。
本発明では本発明の有機半導体層形成用溶液における一般式(1)で示される共役ポリマーの濃度が0.1〜10.0重量%の範囲であると、取り扱い容易になり、有機半導体層を形成する際の効率により優れるものとなる。また、有機半導体層形成用溶液の粘度が0.3〜20mPa・sの範囲であると、より好適な塗工性を発現するものとなる。
なお該溶液は、該共役ポリマー自体が適度の凝集性を有することから比較的に低温で調製することが可能、且つ耐酸化性があることから、塗布法による有機薄膜の製造に好適に適用できる。即ち、雰囲気から空気を除く必要がないことから塗布工程を簡略化することができる。さらに該溶液は、例えば、ポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(4−メチルスチレン)、ポリ(1−ビニルナフタレン)、ポリ(2−ビニルナフタレン)、ポリ(スチレン−ブロック−ブタジエン−ブロック−スチレン)、ポリ(スチレン−ブロック−イソプレン−ブロック−スチレン)、ポリ(ビニルトルエン)、ポリ(スチレン−コ−2,4−ジメチルスチレン)、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(スチレン−コ−α−メチルスチレン)、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、ポリ(エチレン−コ−ノルボルネン)、ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリカルバゾール、ポリトリアリールアミン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジメチルトリアリールアミン)、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメタクリル酸メチル、ポリ(スチレン−コ−メタクリル酸メチル)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸n−プロピル、ポリメタクリル酸イソプロピル、ポリメタクリル酸n−ブチル、ポリメタクリル酸フェニル、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸n−プロピル等が挙げることができ、好ましくはポリスチレン、ポリ(α−メチルスチレン)、ポリ(エチレン−コ−ノルボルネン)、ポリメタクリル酸メチルからなる群の少なくとも1種のポリマーをバインダーとして存在させることもできる。これらのポリマーバインダーの濃度は、適度な溶液の粘度のため、0.001〜10.0重量%であることが好ましい。
該ポリマーバインダーのガラス転移温度(Tg)は、電子デバイス製造時のプロセス温度への対応により好適であることから105℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、130℃以上であることが特に好ましい。
また、該ポリマーの分子量は、よりキャリア移動度の大きい有機薄膜トランジスタを得るのに好適であるため、5,000〜1,000,000であることが好ましく、10,000〜500,000がさらに好ましく、20,000〜100,000が特に好ましい。なお、本発明において、ポリマーの分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をいうものである。
該ポリマーは、一般的なポリマーバインダーとしての効果を有し、得られる有機半導体層の成膜性を向上させるものであり、絶縁性ポリマー及び半導体性ポリマーも用いることができる。
該半導体性ポリマーとしては、例えば、ポリトリアリールアミン、ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン−コ−ジメチルトリアリールアミン)等を挙げることができる。
本発明でポリマーバインダーとして用いることが可能なポリマーの具体的な例としては、上記で挙げたポリマー以外に、例えば、極性環状ポリオレフィン類、ポリスルホン類、アクリロニトリル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−スチレン共重合体類等を挙げることができる。
該極性環状ポリオレフィン類はより具体的には下記一般式(4)で示されるポリマーがさらに好ましい。
Figure 2021158315
(ここで、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基からなる群の1種を示し、Xは、ハロゲン原子、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基からなる群の1種を示す。pは20〜5,000の整数を示し、q及びrはそれぞれ独立して0〜2の整数を示す。実線と点線からなる結合は、単結合又は2重結合を示す。)
一般式(4)におけるR〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示し、高耐熱性のため、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基からなる群の少なくとも1種が好ましい。
〜Rにおける炭素数1〜20のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。炭素数6〜20のアリール基は、例えば、フェニル基、p−トリル基、p−(ヘキシル)フェニル基、p−(オクチル)フェニル基、p−(2−エチルヘキシル)フェニル基等が挙げられる。炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基は、例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基は、例えば、フェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリールオキシ基は、例えば、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキルアミノ基は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基等が挙げられる。そして、その中でも高耐熱性のため、置換基Rはメチル基、エチル基、n−プロピル基であることが好ましく、置換基R及びRは水素原子であることが好ましい。
一般式(4)におけるXは、ハロゲン原子、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、又は炭素数1〜20のアルキルアミノ基を示す。
置換基Xにおける炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基は、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基等が挙げられ、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基は、例えば、フェノキシカルボニル基、4−メチルフェノキシカルボニル基、2,4−ジメチルフェニキシカルボニル基、4−エチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。炭素数1〜20のアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。炭素数6〜20のアリールオキシ基は、例えば、フェノキシ基、4−メチルフェノキシ等が挙げられる。炭素数1〜20のアルキルアミノ基は、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基等が挙げられる。高溶解性及び高耐熱性のため、炭素数2〜20のアルキルオキシカルボニル基であることが好ましい。
pは20〜5,000の整数を示し、よりキャリア移動度の大きい有機薄膜トランジスタを得るのに好適であるため、好ましくは40〜2,000である。qは0〜2の整数を示し、好ましくは1である。rは0〜2の整数を示し、好ましくは0または1である。さらに好ましくは0である。
実線と点線からなる結合は単結合又は2重結合を示し、熱的安定性のため、好ましくは単結合である。
本発明でポリマーバインダーとして用いられるポリスルホン類はポリスルホン構造を有していれば特に制限がなく、より具体的には下記ポリスルホン1〜5で示されるポリスルホン類からなる群の少なくとも1種が挙げられる。
Figure 2021158315
(ここで、置換基R〜R11は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基を示し、sは10〜20,000の整数を示す。)
置換基R〜R11における炭素数1〜20のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘプチル基、3−エチルデシル基、2−ヘキシルデシル基等の直鎖又は分岐アルキル基が挙げられる。
sは10〜20,000の整数を示し、好ましくは10〜10,000の整数である。
本発明でポリマーバインダーとして用いられるアクリロニトリル−スチレン共重合体は、アクリロニトリルとスチレンの任意の比率の共重合体であり、良好な電気特性を示し、バイアスストレスをかけた時の閾値電圧の変化がより小さいものになるなど信頼性が向上することから、アクリロニトリルとスチレン重量比で10:90〜50:50の比率であることが好ましく、20:80〜40:60であることがさらに好ましい。
本発明でポリマーバインダーとして用いられるメチルメタクリレート−スチレン共重合体は、メチルメタクリレートとスチレンの任意の比率の共重合体であり、良好な電気特性を示し、バイアスストレスをかけた時の閾値電圧の変化がより小さいものになるなど信頼性が向上することから、メチルメタクリレートとスチレンのモル比で1:99〜90:10であることが好ましく、1:99〜70:30であることがさらに好ましい。
本発明でポリマーバインダーとして用いられるポリマーは、表面処理剤により表面エネルギーを調整したものを用いることができる。表面処理剤としては、シランカップリング剤を用いることができ、その具体例としては、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、フェニルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。なお、本発明で用いるポリマーバインダーは、1種類のポリマーを単独で使用、または2種類以上のポリマーの混合物として使用することが可能である。更に、異なる分子量のポリマーを混合して使用することも可能である。
本発明の一般式(1)の共役ポリマーは、上記で示したポリマーバインダーとブロック共重合体を形成していても良い。
本発明の有機半導体層形成用溶液を用いて有機半導体層を形成する際の塗布方法としては、有機半導体層を形成可能な方法であれば特に制限はなく、例えば、スピンコート、ドロップキャスト、ディップコート、キャストコート等の簡易塗工法;ディスペンサー、インクジェット、スリットコート、ブレードコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等の印刷法を挙げることができ、中でも容易に効率よく有機半導体層とすることが可能となることから、スピンコート、ドロップキャスト、インクジェットであることが好ましい。
以下に本発明の一態様である有機半導体層について詳細に説明する。
本発明の有機半導体層形成用溶液を塗布後、溶媒を乾燥除去することにより、該有機半導体層形成用溶液を用いてなる有機半導体層を形成することが可能である。
塗布した有機半導体層から溶媒を乾燥除去する際、乾燥する条件に特に制限はなく、例えば、常圧下、又は減圧下で溶媒の乾燥除去を行うことが可能である。
塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去する温度に特に制限はないが効率よく塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去することができ、有機半導体層を形成することが可能であるため、10〜150℃の温度範囲で行うことが好ましい。
塗布した有機半導体層から有機溶媒を乾燥除去する際、除去する有機溶媒の気化速度を調節することで、一般式(1)で示される共役ポリマーの配向性の成長を促すことが可能になる。
本発明の有機半導体層形成用溶液により形成される有機半導体層の膜厚に制限はなく、良好なキャリア移動が得られることから、1nm〜1μmの範囲であることが好ましく、10nm〜300nmの範囲であることが更に好ましい。
また、得られる有機半導体層は、有機半導体層を形成後、40〜200℃でアニール処理を行ってもよい。
以下に本発明の一態様である有機薄膜トランジスタについて詳細に説明する。
本発明の有機半導体層形成用溶液より形成される有機半導体層は、該有機半導体層を含んでなる有機半導体デバイス、特に該有機半導体層を含んでなる有機薄膜トランジスタとして使用することが可能である。
有機薄膜トランジスタは、基板上に、ソース電極及びドレイン電極を付設した有機半導体層とゲート電極とを絶縁層を介し積層することにより得ることができ、該有機半導体層に本発明の有機半導体層形成用溶液により形成した有機半導体層を用いることにより、優れた半導体・電気特性を発現する有機薄膜トランジスタとすることが可能である。
図1に一般的な有機薄膜トランジスタの断面形状による構造を示す。ここで、(A)は、ボトムゲート−トップコンタクト型、(B)は、ボトムゲート−ボトムコンタクト型、(C)は、トップゲート−トップコンタクト型、(D)は、トップゲート−ボトムコンタクト型の有機薄膜トランジスタであり、1は有機半導体層、2は基板、3はゲート電極、4はゲート絶縁層、5はソース電極、6はドレイン電極を示し、本発明の有機半導体層形成用溶液より形成される有機半導体層は、いずれの有機薄膜トランジスタにも適用することが可能である。
本発明に係る基板としては特に制限はなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、フッ素化環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリ(ジイソプロピルマレエート)、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、セルローストリアセテート等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、ハイドープシリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板等を挙げることができる。なお、ハイドープシリコンを基板に用いた場合、その基板はゲート電極を兼ねることができる。
本発明に係るゲート電極としては特に制限はなく、例えば、アルミニウム、金、銀、銅、ハイドープシリコン、スズ酸化物、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、クロム、チタン、タンタル、グラフェン、カーボンナノチューブ等の無機材料;ドープされた導電性高分子(例えばPEDOT−PSS)等の有機材料を挙げることができる。
また、上記の無機材料は、金属のナノ粒子インクとしても差し支えなく使用することができる。この場合の溶媒は、適度の分散性のため、水、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等の極性溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素溶媒;トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、オクチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、テトラリン、インダン、アニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,2−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,4−ジメチルアニソール等の炭素数7〜14の芳香族炭化水素溶媒であることが好ましい。該ナノ粒子インクを塗布後、導電性向上のため、80℃〜200℃の温度範囲でアニール処理することが好ましい。
本発明に係るゲート絶縁層としては特に制限はなく、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウム、チタン酸ビスマス等の無機材料;ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリイミド、ポリアミド酸ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマレート)、ポリ(ジエチルフマレート)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリけい皮酸エチル、ポリけい皮酸メチル、ポリクロトン酸エチル、ポリエーテルスルホン、ポリプロピレン−コ−1−ブテン、ポリイソブチレン、ポリプロピレン、ポリシクロペンタン、ポリシクロヘキサン、ポリシクロヘキサン−エチレン共重合体、ポリフッ素化シクロペンタン、ポリフッ素化シクロヘキサン、ポリフッ素化シクロヘキサン−エチレン共重合体、BCB樹脂(商品名:サイクロテン、ダウ・ケミカル社製)、Cytop(商標)、Teflon(商標)、パリレンC等のパリレン(商標)類のポリマー絶縁材料を挙げることができ、製法が簡便であることから、塗布法が適用できるポリマー絶縁材料(ポリマーゲート絶縁層)であることが好ましい。
該ポリマーゲート絶縁層は、光架橋した後使用することもできる。
該ポリマー材料を溶解させるに用いる溶媒としては特に制限がなく、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン等の炭素数6〜14の脂肪族炭化水素溶媒;THF、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−エチルヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセトフェノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノールアセテート、3−メトキシブチルアセテート、テトラヒドロフルフリルアセテート、テトラヒドロフルフリルプロピオネート等のエステル系溶媒;DMF、NMP等のアミド系溶媒;ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,4−ブタンジオールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサンジオールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコール系溶媒;パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、2−(ペンタフルオロエチル)ヘキサン、3−(ペンタフルオロエチル)ヘプタン等のフッ素化溶媒等が挙げられる。
該ポリマー絶縁材料の濃度は、例えば、20〜40℃の温度において0.1〜10.0重量%である。当該濃度において得られる絶縁層の膜厚に制限はなく、耐絶縁性の観点から、好ましくは100nm〜1μm、さらに好ましくは150nm〜900nmである。
そして、これらのゲート絶縁層の表面は、例えば、オクタデシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、デシルトリメトキシシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン、β−フェネチルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン等のシラン類;オクタデシルホスホン酸、デシルホスホン酸、オクチルホスホン酸等のホスホン酸類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用することができる。一般的にゲート絶縁層の表面処理を行うことにより、有機半導体材料の結晶粒径の増大及び分子配向の向上のため、キャリア移動度、電流オン・オフ比の向上、及び閾値電圧の低下という好ましい結果が得られる。
本発明の有機薄膜トランジスタのソース電極及びドレイン電極の材料としては特に制限がなく、ゲート電極と同様の材料を用いることができ、ゲート電極の材料と同じであっても異なっていてもよく、異種材料を積層してもよい。また、キャリアの注入効率を上げるために、これらの電極材料に表面処理を実施することもできる。表面処理に用いる表明処理剤としては、例えば、ベンゼンチオール、ペンタフルオロベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール、4−メトキシベンゼンチオール等を挙げることができる。
本発明の有機薄膜トランジスタは、速い動作性のため、キャリア移動度が、0.10cm/V・sec以上であることが好ましい。また、高いスイッチ特性のため、電流オン・オフ比が、1.0×10以上であることが好ましい。
本発明の共役ポリマーは、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ(RFIDタグ)、圧力センサー、バイオセンサー等の有機薄膜トランジスタの有機半導体層用途;有機薄膜太陽電池の有機半導体層用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;フォトニック結晶材料;撮像素子用の半導体材料等の電子材料に利用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
生成物の同定にはH NMRスペクトル、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)、及び液体クロマトグラフィー−マススペクトル(LCMS)分析を用いた。
H NMRスペクトル分析>
装置;日本電子製、(商品名)Delta V5(400MHz)
測定温度;23℃(温度指定がない場合)
<ガスクロマトグラフィー−マススペクトル分析>
装置;島津製作所製、(商品名)QP−2010 Ultra
カラム;アジレント社製、(商品名)DB−1,30m。
MSイオン化;電子衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)
<直接導入マススペクトル分析>
装置;島津製作所製、(商品名)QP−2010 Ultra
MSイオン化;電子衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)
<液体クロマトグラフィー−マススペクトル(LCMS)分析>
装置;ブルカー・ダルトニクス、(商品名)microTOF focus
MSイオン化;大気圧化学イオン化(APCI)法
LC条件;下記液体クロマトグラフィー分析の項目にて記載の条件
反応の進行の確認等は薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)分析を用いた。ビフェニレン誘導体の純度測定についても液体クロマトグラフィー分析を用いた実施した。
<薄層クロマトグラフィー分析>
メルク社の薄層クロマトグラフィー用PLCシリカゲル60F254 0.5mmを使用し、展開溶媒として、ヘキサン又は/及びトルエン、酢酸エチル及びトルエンを用いた。
<ガスクロマトグラフィー分析>
装置;島津製作所製、(商品名)GC2014
カラム;RESTEK社製、(商品名)Rxi−1HT、30m
<液体クロマトグラフィー分析>
装置;東ソー製(コントローラー;PX−8020、ポンプ;CCPM−II、デガッサー;SD−8022)
カラム;東ソー製、(商品名)ODS−100V、5μm、4.6mm×250mm
カラム温度;33℃
溶離液;ジクロロメタン:アセトニトリル=2:8(容積比)
流速;1.0ml/分
検出器;UV(東ソー製、(商品名)UV−8020、波長;254nm)。
<高温GPC分析>
装置;東ソー製 HLC−8321GPC/HT
カラム;東ソー製 TSKゲルGMHHR−H(20)HT、7.8mm×300mm、3本
カラム温度;140℃
溶離液;1,2,4−トリクロロベンゼン
流速;1.0ml/分
検出器;RI
共役ポリマーの融点測定はDSC(示差走査熱量計)を用いた。
<DSC測定>
装置;エスアイアイナノテクノロジー社製、型式;DSC6220
昇降温速度;10℃/min
走査範囲;−10℃〜300℃
合成例1 (2−ブロモ−1−フルオロ−3−ヨードベンゼンの合成)
窒素雰囲気下、500mlシュレンク反応容器に、ジイソプロピルアミン5.76g(56.9mmol)及びTHF(脱水グレード)115.0mlを添加した。この溶液を−50℃に冷却し、ブチルリチウム(東京化成工業、1.6M)のヘキサン溶液34.0ml(54.4mmol)を滴下し、LDAを調製した。この混合物を−78℃に冷却し、1−フルオロ−3−ヨードベンゼン(東京化成工業)11.5g(51.8mmol)を添加し、−78℃で2時間保持した。ここへ、−78℃下、テトラブロモメタン(東京化成工業)18.9g(57.1mmol)をTHF(脱水グレード)60.0mlに溶解した溶液を滴下し、室温まで徐々に昇温した。得られた反応混合物に水及びトルエンを添加し、分相した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒:ヘキサン)。メタノール(富士フィルム和光純薬)3.0gを加え、50℃に昇温して再結晶することで2−ブロモ−1−フルオロ−3−ヨードベンゼンの白色固体7.48gを得た(収率48%)。
MS m/z: 302(M+2、75%)、300(M、78%)、175(M+2−I、38%)、173(M−I、39%)、94(M−BrI、100%)。
H NMR(CDCl):δ=7.68〜7.64(m,1H),7.12〜7.08(m,1H),7.05〜7.00(m,1H)。
合成例2 (2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルの合成)(A1工程)
窒素雰囲気下、200mlシュレンク反応容器に、1−ブロモ−3−フルオロ−2−ヨードベンゼン(富士フィルム和光純薬)4.89g(16.3mmol)及びTHF(脱水グレード)50.0mlを添加した。この溶液を0℃に冷却し、エチルマグネシウムクロライド(シグマ−アルドリッチ、2.0M)のTHF溶液8.4ml(19.8mmol)を滴下した。この混合物を0℃で20分間熟成し、2−ブロモ−6−フルオロフェニルマグネシウムクロライドを調製した。
一方、窒素雰囲気下、別の300mlシュレンク反応容器に、塩化亜鉛(富士フィルム和光純薬)3.28g(24.1mmol)及びTHF(脱水グレード)30mlを添加し、0℃に冷却した。この得られた白色微スラリー溶液中に、先に調製した2−ブロモ−6−フルオロフェニルマグネシウムクロライド溶液をテフロン(登録商標)キャヌラーを用いて滴下し、さらにTHF(脱水グレード)2mlを用いて200mlシュレンク反応容器及びテフロン(登録商標)キャヌラーを洗浄しながら投入した。得られた混合物を室温まで徐々に昇温しながら攪拌した。生成した2−ブロモ−6−フルオロフェニル亜鉛クロライドのスラリー液に、合成例1で合成した2−ブロモ−1−フルオロ−3−ヨードベンゼン3.51g(11.7mmol)及び触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業)1.40g(1.2mmol、2−ブロモ−1−フルオロ−3−ヨードベンゼンに対し10モル%)を添加した。60℃で3時間反応を実施した後、容器を水冷し1M塩酸を添加することで反応を停止させた。トルエンを添加し、有機相を分相し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(溶媒:ヘキサン)。2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニルの無色固体2.98gを得た(収率73%)。
H NMR(CDCl):δ=7.50(d,J=8.2Hz,1H),7.42〜7.36(m,1H),7.33〜7.26(m,1H),7.23〜7.18(m,1H),7.17〜7.12(m,1H),7.05〜6.96(d,J=7.3Hz,1H)。
合成例3 (1−フルオロ−5−クロロビフェニレンの合成)(B1工程)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に、合成例2で合成した2,2’−ジブロモ−3,6’−ジフルオロビフェニル2.94g(8.44mmol)及びTHF(脱水グレード)50mlを添加した。この混合物を−78℃に冷却し、ブチルリチウム(東京化成工業、1.6M)のヘキサン溶液13.2ml(21.1mmol)を滴下した。この混合物を−35℃まで昇温後、再度−78℃に冷却し、ヘキサクロロエタン(東京化成工業)2.98g(12.6mmol)を投入した。得られた混合物を室温まで徐々に昇温しながら攪拌した。反応混合物に水を添加後、トルエンで抽出した。有機相を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(溶媒;ヘキサン)。1−フルオロ−5−クロロビフェニレンの淡黄色固体1.27gを得た(収率73%)。
MS m/z: 204(M、100%)。
H NMR(CDCl):δ=6.81(m,1H),6.76〜6.67(m,2H),6.62〜6.58(m,2H),6.53(t,J=8.6Hz.1H)。
合成例4 (1,5−ビス(2,2−ジメトキシエチルチオ)ビフェニレンの合成)(C1工程)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に、合成例3で合成した1−フルオロ−5−クロロビフェニレン502mg(2.45mmol)、硫化ナトリウム・9水和物(富士フィルム和光純薬)2.83g(11.8mmol)、及びNMP(富士フィルム和光純薬)50mlを添加した。混合物を120℃で、5時間攪拌した。得られた混合物にブロモアセトアルデヒドジメチルアセタール(東京化成工業)3.88g(22.9mmol)を添加し、100℃で、1時間攪拌した。さらに硫化ナトリウム・9水和物2.75g(11.5mmol)を添加し、混合物を120℃、5時間攪拌した。得られた反応混合物を氷冷し、水及びトルエンを添加した。分相後、トルエンで抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を減圧濃縮し、得られた残渣をクーゲルロールで減圧濃縮した(120Pa,97℃)。得られた残渣1.77gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;トルエン/酢酸エチル=20/0〜20/1)、1,5−ビス(2,2−ジメトキシエチルチオ)ビフェニレンの黄色粘性液体892mgを得た(収率92%)。
H NMR(CDCl):δ=6.74〜6.67(m,4H),6.54(dd,J=5.5Hz,1.4Hz,2H),4.53(t,J=5.9Hz,2H),3.38(s,12H),3.10(d,J=5.9,Hz,4H)。
合成例5 (無置換ジチエノビフェニレン誘導体の合成)(D1工程)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に、ポリリン酸(富士フィルム和光純薬)1.02g、及びクロロベンゼン(シグマ−アルドリッチ、脱水グレード)10mlを添加した。混合物を130℃で緩やかに還流させた後、合成例4で合成した1,5−ビス(2,2−ジメトキシエチルチオ)ビフェニレン302mg(0.769mmol)及びクロロベンゼン(シグマ−アルドリッチ、脱水グレード)5mlからなる溶液を2時間かけて滴下した。得られた混合物を130℃で6時間攪拌後、氷冷し、水及びトルエンを添加した。分相後、有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した(溶媒;ヘキサン/トルエン=10/0〜10/2)、無置換ジチエノビフェニレン誘導体の黄橙色固体112mgを得た(収率55%)。
MS m/z: 264(M)。
H NMR(CDCl):δ=7.19(d,J=6.5Hz,2H),7.18(d,J=5.5Hz,2H),7.03(d,J=5.5Hz,2H),6.72(d,J=7.5Hz,2H)。
合成例6 (4,9−ジブロモジチエノビフェニレン誘導体の合成)(E1工程)
窒素雰囲気下、50mlシュレンク反応容器に、合成例5で合成した無置換ジチエノビフェニレン誘導体48.6mg(0.183mmol)、THF(脱水グレード)6ml、及びDMF(脱水グレード)3mlを添加した。混合物を氷冷し、NBS(富士フィルム和光純薬)99.6mg(0.559mmol)を添加し、混合物を室温で3日間攪拌した。得られた懸濁反応混合物を濾過し、得られた固体をアセトン及びヘキサンで洗浄した。真空乾燥し、4,9−ジブロモジチエノビフェニレン誘導体の橙色固体53.2mgを得た(収率69%)。
H NMR(重ベンゼン、78℃):δ=7.00(d,J=5.6Hz,2H),6.63(d,J=5.6Hz,2H),6.55(s,2H)。
合成例7 (4,9−ジヘプタデシルジチエノビフェニレン誘導体の合成)(F1工程)
窒素雰囲気下、50mlシュレンク反応容器に、マグネシウム(削り状、富士フィルム和光純薬)193mg(7.94mmol)、ヨウ素3mg、及びTHF(脱水グレード)15mlを添加した。ホットプレートで緩やかに温めながら1−ブロモヘプタデカン(東京化成工業)2.58g(8.08mmol)を10分間かけて滴下した。室温で2時間攪拌することでマグネシウムは消失し、ヘプタデシルマグネシウムブロマイドのTHF溶液(濃度0.45mmol/ml)を調製した。
窒素雰囲気下、50mlシュレンク反応容器に、塩化亜鉛(富士フィルム和光純薬)93.0m8g(0.682mmol)及びTHF(脱水グレード)5mlを添加し、0℃に冷却した。この得られた白色微スラリー溶液中に、先に調製したヘプタデシルマグネシウムブロマイドのTHF溶液1.0ml(0.45mmol)を滴下し、0℃で10分間及び室温で1時間攪拌した。得られた混合物へ合成例6で合成した4,9−ジブロモジチエノビフェニレン誘導体53.0mg(0.125mmol)及びPd(dppf)Cl(シグマ−アルドリッチ)3.4mg(0.00464mmol)を添加し、室温で3日間攪拌した。氷冷後、水を添加し反応をクエンチした。1M塩酸を添加しトルエンで抽出した。有機相を水で洗浄し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン/トルエン=5/0〜5/1)及び再結晶(ヘキサン)で精製し、4,9−ジヘプタデシルジチエノビフェニレン誘導体の橙色固体58mgを得た(収率62%)。
H NMR(CDCl):δ=7.14(m,4H),6.57(s,2H),2.73(t,J=7.8Hz,4H),1.64(m,4H),1.42〜1.22(m,56H),0.88(t,J=7.1Hz,6H)。
合成例8 (2,7−ビス(トリメチルスズ)−4,9−ジヘプタデシルジチエノビフェニレン誘導体、B−1−aの合成))(G1工程)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に、合成例7で合成した4,9−ジヘプタデシルジチエノビフェニレン誘導体82.5mg(0.111mmol)及びTHF(脱水グレード)7mlを添加した。ここへ、−78℃下、ブチルリチウム(東京化成工業、1.6M)のヘキサン溶液0.30ml(0.48mmol)を投入し、−78℃で15分間攪拌後、25℃で15分間撹拌した。再度−78℃に冷却し、ここへトリメチルスズクロライド(東京化成工業)96.3mg(0.483mmol)を添加した。得られた混合物を室温まで昇温後、水及びトルエンを添加し、分相した。有機相を食塩水及び水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣を、アセトン/ヘキサンから再結晶し、2,7−ビス(トリメチルスズ)−4,9−ジヘプタデシルジチエノビフェニレン誘導体(B−1−a)の橙色固体61mgを得た(収率51%)。
H NMR(CDCl):δ=7.16(s,2H),6.51(s,2H),2.76(t,J=7.7Hz,4H),1.65(m,4H),1.45〜1.20(m,56H),0.88(t,J=7.1Hz,6H),0.41(s,18H)。
合成例9 (3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ジヘキサデシルピロロ[3,4−c]ピロロ−1,4−ジオンの合成)
ケミストリィー オブ マテリアルズ,2013年,25巻,782〜789頁に記載の方法に従い、以下の様に合成した。
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に、3,6−ビス(チオフェン−2−イル)−2H,5H−ピロロ[3,4−c]ピロロ−1,4−ジオン1.40g(4.67mmol)、炭酸カリウム2.65g(19.2mmol)、及びDMF(脱水グレード)22mlを添加した。ここの混合物を130℃で1時間攪拌した。1−ブロモヘキサン(東京化成工業)4.65g(15.2mmol)を添加し、さらに130℃で16時間攪拌した。反応混合物を室温に冷却後、水100ml中に添加し攪拌した。得られた懸濁物を濾過し、水及びメタノールで洗浄した。残渣を真空乾燥し、2,5−ジヘキサデシル−3,6−ビス(チオフェン−2−イル)−ピロロ[3,4−c]ピロロ−1,4−ジオンの黒色固体3.13gを得た(収率89%)
窒素雰囲気下、200mlシュレンク反応容器に、2,5−ジヘキサデシル−3,6−ビス(チオフェン−2−イル)−ピロロ[3,4−c]ピロロ−1,4−ジオン3.13g(4.17mmol)及びクロロホルム(脱水グレード)48mlを添加した。混合物を60℃に加熱し、NBS(富士フィルム和光純薬)1.53g(8.59mmol)を添加し、60℃で30分間攪拌した。得られた反応混合物を氷冷したメタノール145ml中へ添加し、生成した懸濁物を濾過し、メタノール48mlで2回洗浄した。得られた粗生成物をクロロホルムから3回再結晶し、3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ジヘキサデシルピロロ[3,4−c]ピロロ−1,4−ジオンの赤黒色固体0.80gを得た(収率21%)。
H NMR(CDCl):δ=8.64(d,J=4.1Hz,2H),7.23(d,J=4.1Hz,2H),3.99(t,J=7.8Hz,4H),1.73(m,4H),1.46〜1.22(m,52H),0.90(t,J=7.0Hz,6H)。
実施例1 (共役ポリマー、化合物1の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に、合成例8で合成した(B−1−a)55.1mg(0.0516mmol)、合成例9で合成した3,6−ビス(5−ブロモチオフェン−2−イル)−2,5−ジヘキサデシルピロロ[3,4−c]ピロロ−1,4−ジオン46.7mg(0.0514mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(東京化成工業)1.28mg(0.00140mmol)、トリ−o−トリルホスフィン(東京化成工業)1.70mg(0.00558mmol)及びクロロベンゼン(脱水グレード)8mlを添加した。この混合物を120℃に加熱し、45時間攪拌した。得られた反応混合物を90℃に冷却し、50mlのメタノールと2mlの塩酸の混合溶液中へ投入した。生成したスラリー液を円筒濾紙へ濾過し、水、メタノールで洗浄した。円筒濾紙中の固体をソックスレーでメタノール、アセトン、ヘキサン、及びクロロホルムで洗浄した。さらにクロロベンゼンで抽出し、得られた抽出溶液をメタノールへ投入し、析出した固体を濾過乾燥し、共役ポリマー(化合物1)の濃緑色固体40mgを得た。
高温GPCよりMw=31,000、Mn=14,000、PDI=2.2であった。
実施例2 (有機半導体層形成用溶液の作製)
窒素雰囲気下、10mlサンプル管に、実施例1で合成した共役ポリマー(化合物1)の1.0mg及びクロロベンゼン(脱水グレード)332mgを添加し、50℃に加熱溶解後、室温下(25℃)に放冷し、有機半導体層形成用溶液を調製した。25℃で10時間後も溶液状態を維持しており(化合物1の濃度は0.30重量%)、ドロップキャスト、スピンコート及びインクジェットによる製膜に適した化合物であることを確認した。
実施例3 (有機半導体層及び有機薄膜トランジスタの作製)
実施例2で得られた有機半導体層形成用溶液を用い、トップゲート−ボトムコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。各構成部材の材質及び成膜方法を表1に示した。共役ポリマー(化合物1)の薄膜の膜厚は52nmであった。
Figure 2021158315
該トランジスタ素子の伝達特性の評価を行った結果、正孔のキャリア移動度は0.16cm/V・sec、電流オン・オフ比は1.4×10であった。
さらにこの有機薄膜トランジスタを100℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定した。正孔のキャリア移動度は0.27cm/V・sec、電流オン・オフ比は2.0×10であり、100℃での熱アニールで性能の向上が見られた。
比較例1
(有機半導体層形成用溶液の作製)
窒素雰囲気下、10mlサンプル管に、ポリ{2,5−ビス(3−テトラデシルチオフェン−2−イル)チエノ[3,2−b]チオフェン}(シグマ−アルドリッチ)を用い、実施例2と同様の方法により、有機半導体層形成用溶液を調製した。25℃で10時間後も溶液状態を維持しており(0.30重量%)、ドロップキャスト及びインクジェットによる製膜に適した化合物であることを確認した。
(有機半導体層及び有機薄膜トランジスタの作製)
該有機半導体層形成用溶液を用い、実施例3と同様の方法により、膜厚53nmのポリ{2,5−ビス(3−テトラデシルチエニル−2−)チエノ[3,2−b]チオフェン}の薄膜を作製し、ボトムゲート−トップコンタクト型のp型有機薄膜トランジスタを作製した。
該トランジスタ素子の伝達特性の評価を行った結果、正孔のキャリア移動度は0.03cm/V・sec、電流オン・オフ比は3.0×10であった。
さらにこの有機薄膜トランジスタを100℃で15分間アニール処理した後の電気物性を測定した。その結果、キャリア移動度は0.02cm/V・sec、電流オン・オフ比は2.9×10で、向上はみられなかった。
本発明の共役ポリマーは、高いキャリア移動度を与えると共に溶解性に優れ、140℃以下の温和な温度で熱アニールすることができることからプラスチック基板を有する有機薄膜トランジスタに代表される有機薄膜半導体デバイス材料としての適用が期待できる。
(A):ボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(B):ボトムゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(C):トップゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタ
(D):トップゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタ
1:有機半導体層
2:基板
3:ゲート電極
4:ゲート絶縁層
5:ソース電極
6:ドレイン電極

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で示される共役ポリマー。
    Figure 2021158315
    (ここで、A、C、及びEは、それぞれ独立して、チオフェン環、フラン環、セレノフェン環、チアゾール環、チエノチオフェン環、2−エテニルチオフェン環またはベンゼン環からなる群の1種の2価の連結基を示し、Bが下記一般式(B−1)〜(B−10)からなる群の1種で示される構造を示し、Dは少なくとも一つの硫黄原子、酸素原子、セレン原子、または窒素原子を環構成原子に含む縮合2環〜縮合7環の2価の連結基を示す。bは1〜3を示し、a、c、d、eはそれぞれ0〜3であり、a、c、d、eの少なくとも一つが1以上である。nは2以上の整数を示す。)
    Figure 2021158315
    (ここで、Rはハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数1〜30のアシル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、または炭素数4〜30のアリール基を示す。Xは酸素原子、硫黄原子、セレン原子、またはHC=CHからなる群の1種を示し、YはCHまたは窒素原子のいずれかを示す。*は他の構造との結合部位を示す。)
  2. Bが一般式(B−1)〜(B−7)からなる群の少なくとも1種で示される構造である請求項1に記載の共役ポリマー。
  3. 請求項1乃至2いずれか一項に記載の共役ポリマーを含有する有機半導体層形成用溶液。
  4. 請求項1乃至2いずれか一項に記載の共役ポリマーを含有する有機半導体層。
  5. 請求項4に記載の有機半導体層を備えた有機薄膜トランジスタ。
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