JP2021156999A - 隠蔽性フィルム - Google Patents

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陽 宮下
Akira Miyashita
陽 宮下
敬太 川浪
Keita Kawanami
敬太 川浪
伸明 佐々木
Nobuaki Sasaki
伸明 佐々木
啓生 岡田
Hiroo Okada
啓生 岡田
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Abstract

【課題】隠蔽性を確保することができると共に、その表面を極めて平滑にすることができる、新たな隠蔽性フィルムを提供する。【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面側に表面層を有する隠蔽性フィルムであって、当該基材フィルムは、黒色顔料を含有する黒色顔料含有層と、該黒色顔料含有層の前記表面層側に緩衝層とを備え、該緩衝層は、粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有することを特徴とする隠蔽性フィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、隠蔽性フィルムに関する。
従来用いられていたガラスミラーに代わり、基材フィルム表面にアルミニウムや銀などの金属薄膜層を形成したフィルムミラーは、その軽量性や加工容易性、安全性などから、ウォールミラーや姿見のような大面積から、液晶表示装置のような小面積まで広く用いられている。
例えば、このフィルムミラーを液晶表示装置に組み込み、バックライトからの光源を液晶素子に効率良く到達させるための反射体として用いる場合には、正反射成分を高め効率よく光を利用するために表面が平滑であることが重要となる。また、不必要な個所からの外光侵入を防ぐためや、バックライトからの光源が液晶表示装置の外部に漏れないようにするために隠蔽性が重要となる。
このような反射体として、例えば特許文献1において、表面を高平滑処理してなる基材フィルムの表面に、金属蒸着層を積層してなる反射体であって、記基材フィルムの全光線透過率が50%以下であり、前記基材フィルムの表面の算術平均荒さRaが50nm以下の反射体が開示されている。
しかしながら、例えばこのフィルムミラーを液晶表示装置内部ではなく、直接その反射面を視認するような用途、例えばショーウィンドウのディスプレイに用いる場合、基材フィルムの表面の凹凸による特異的な反射が美観を損ねる恐れがあり、更なる高平滑化が重要となる。このような用途でも、不必要な外光侵入や光漏れを防止するために隠蔽性は重要となる。
隠蔽性フィルムに関しては、例えばデジタルカメラなどの光学装置におけるシャッターや絞りなどには、遮光性に優れた隠蔽性フィルムが使われている。
また、太陽電池バックシート用材料や、電子機器内部に使用されるシート材料などにも、隠蔽性が要求されるものがある。例えば太陽電池バックシート用材料においては、意匠性の観点から発電素子への配線などが外側から見えないことが好ましい。
このような隠蔽性部材としては、例えば特許文献2において、熱硬化型樹脂又は常温硬化型樹脂中にカーボンブラック及び滑剤を含有する遮光膜を、樹脂フィルムの両面に形成した遮光性部材が開示されている。
また、特許文献3において、カーボンブラック、ポリエチレンワックス等の滑剤、吸油量が250(g/100g)以上のシリカ微粒子及びバインダー樹脂を含有する遮光膜を、樹脂フィルムの両面に形成した遮光性フィルムが開示されている。
しかしながら、上記の隠蔽性フィルム、隠蔽性部材では、表面の平滑性が劣る虞があり、隠蔽性と表面平滑性を両立させることは困難であった。
特開2006−126236号公報 特開平04−009802号公報 国際公開第2006/016555号公報
そこで本発明は、隠蔽性を確保することができると共に、その表面を極めて平滑にすることができる、新たな隠蔽性フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、黒色顔料を含有する黒色顔料含有層と緩衝層を備える基材フィルムの該緩衝層側表面に表面層を有し、該緩衝層は、粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有することを特徴とする隠蔽性フィルムを提案する。
本発明はまた、緩衝層からなるフィルムと、黒色顔料を含有するフィルムとが貼り合わされてなる構成を有する基材フィルムの緩衝層側表面に表面層を有し、
該緩衝層は、粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有することを特徴とする隠蔽性フィルムを提案する。
本発明が提案する隠蔽性フィルムの基材フィルムは、黒色顔料を含有する黒色顔料含有層又は黒色顔料を含有するフィルムを備えているため、隠蔽性を高めることができる。しかも、粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有する緩衝層又は該緩衝層からなるフィルムを備えており、該緩衝層側表面に表面層を形成するから、たとえ黒色顔料含有層又は黒色顔料を含有するフィルムの表面に凹凸が生じたとしても、その凹凸が表面層の表面に影響するのを防ぐことができ、表面層の表面を極めて平滑(超平滑)にすることができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<本隠蔽性フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る隠蔽性フィルム(「本隠蔽性フィルム」)は、基材フィルムの少なくとも片面側例えば視認側に表面層を有する積層フィルムである。
(隠蔽性)
本隠蔽性フィルムは、光学濃度(OD)が2.0以上であるのが好ましい。
本隠蔽性フィルムの光学濃度(OD)が2.0以上であれば、フィルムに入光した光が反対面に漏れることがないため、好ましい。かかる観点から、本隠蔽性フィルムの光学濃度(OD)は3.0以上であるのがより好ましく、中でも4.0以上、その中でも5.0以上であるのがさらに好ましい。
その一方、本隠蔽性フィルムの光学濃度(OD)は、市場原理の観点から、8.0以下であるのが好ましく、中でも7.0以下、その中でも6.0以下であるのがさらに好ましい。
(表面平滑性)
本隠蔽性フィルムの視認側表面、言い換えれば、表面層側表面の算術平均粗さ(Sa)は2.5nm以下であるのが好ましい。
本隠蔽性フィルムの視認側表面の算術平均粗さ(Sa)が2.5nm以下であれば、強い光が当たっても特異的な反射が起きないことから見栄えが良く好ましい。かかる観点から、本隠蔽性フィルムの視認側表面、言い換えれば、表面層表面の算術平均粗さ(Sa)は2.0nm以下であるのがより好ましく、中でも1.5nm以下であるのがさらに好ましい。
本発明における算術平均粗さ(Sa)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
また、本隠蔽性フィルムの視認側表面、言い換えれば、表面層表面の最大山高さ(Sp)は50nm以下であるのが好ましい。
本隠蔽性フィルムの表面の最大山高さ(Sp)が50nm以下であれば、強い光が当たっても特異的な反射が起きないことから見栄えが良く好ましい。かかる観点から、本隠蔽性フィルムの視認側表面、言い換えれば、表面層表面の最大山高さ(Sp)は50nm以下であるのが好ましく、中でも25nm以下、その中でも特に15nm以下であるのがさらに好ましい。
なお、本発明における最大山高さ(Sp)は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本隠蔽性フィルムにおいて、その視認側表面、言い換えれば、表面層表面の算術平均粗さ(Sa)又は最大山高さ(Sp)を前記範囲に調整するには、表面層に粒子を含有させないか、若しくは、少なくとも大きな粒子を含有させないと共に、基材フィルム表面を平滑するのが好ましい。但し、かかる方法に限定するものではない。
<表面硬度>
本隠蔽性フィルムの視認側表面、言い換えれば、表面層表面の鉛筆硬度はF以上であるのが好ましく、H以上であることがより好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。
鉛筆硬度がF以上であれば、工程内での輸送や加工時に本隠蔽性フィルムに摩擦傷が入るのを防ぐための傷付防止層として機能し、優れた表面硬度を有する本隠蔽性フィルムとすることができる。
なお、本発明における鉛筆硬度は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本隠蔽性フィルムの視認側表面の鉛筆硬度を前記のようにするには、表面層を硬化樹脂から形成すればよい。但し、かかる方法に限定するものではない。
<基材フィルム>
基材フィルムは、所望の隠蔽性を有し、且つ、その視認側表面が平滑であるのが好ましい。
前記表面層の表面を超平滑にするためには、たとえ表面層の厚さを大きくしたとしても、基材フィルムの表面を平滑にしなければ、表面層の表面を超平滑にすることが困難であることが分かった。特に硬化樹脂によって表面層を形成する場合には、この傾向が顕著であることが分かった。これは、表面層を形成する硬化樹脂が硬化する際、基材フィルム表面の凹凸に起因して表面層に歪みが生じ、それが表面層の表面の性状に影響するためであると推認することができる。
基材フィルムは、黒色顔料を含有する黒色顔料含有層と緩衝層を備えた構成のものが好ましい。かかる基材フィルムは、後述するように、緩衝層の原料と黒色含有層の原料とをそれぞれ別個の押出機に投入し、共押出によって形成することができる。また、緩衝層からなるフィルムと、黒色顔料を含有するフィルムとが貼り合わされて形成することもできる。
基材フィルムは、無延伸シートであっても延伸シートであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸シートであるのが好ましい。その中でも、反射特性、力学特性のバランス及び平面性に優れる点で、二軸延伸シートであるのが好ましい。
(隠蔽性)
基材フィルムは、本隠蔽性フィルムに所望の隠蔽性を付与するため、その光学濃度(OD)は2.0以上であるのが好ましく、3.0以上であるのがより好ましく、中でも4.0以上、その中でも5.0以上であるのがさらに好ましい。
その一方、本隠蔽性フィルムの光学濃度(OD)は、市場原理の観点から、8.0以下であるのが好ましく、中でも7.0以下、その中でも6.0以下であるのがさらに好ましい。
(表面平滑性)
基材フィルムの表面層側表面の算術平均粗さ(Sa)は、前記表面層の表面の算術平均粗さ(Sa)を前記範囲にするため、8.0nm以下であるのが好ましく、中でも6.0nm以下であるのがさらに好ましい。その一方、フィルムをロールとする際の巻き性の観点から、0.1nm以上であるのが好ましく、中でも1.5nm以上であるのがさらに好ましい。
(シート構成)
基材フィルムは、上述したように、黒色顔料を含有する黒色顔料含有層と緩衝層を備えた構成のものが好ましい。当該黒色顔料含有層及び緩衝層以外の層を備えていてもよい。この際、表面側すなわち視認側の最表面層には、粒子を含有しないか、或いは、比較的小さな粒子を比較的少量含有する緩衝層を設け、該最表面層の裏面側すなわち視認側とは反対側に位置する層には、黒色顔料を十分に含有する黒色顔料含有層を設けるようにするのが好ましい。但し、これに限定するものではない。
以下、基材フィルムの好ましい構成例として、黒色顔料を含有する黒色顔料含有層と、該黒色顔料含有層の前記表面層側に積層され、実質的に粒子を含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有する緩衝層とを備える構成について説明する。
(黒色顔料含有層)
黒色顔料含有層は、黒色顔料を含有する層であるのが好ましい。
黒色顔料含有層は、ポリエステルを主成分樹脂とするポリエステル層であるのが好ましい。
黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、グラファイト、フラーレン及びカーボンファイバーなどの炭素系化合物や、チタンブラック、マグネタイト系ブラック、銅・鉄・マンガン系ブラック及びチタンブラック等の酸化物系無機粒子を挙げることができる。これらは1種を単独で用いることができ、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。但し、これらに限定するものではない。
中でも、低濃度で優れた隠蔽性が得られる観点から、カーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックを含有する場合、その平均一次粒径は、5〜100nmであることが好ましく、中でも10nm以上或いは50nm以下であることがより好ましく、その中でも15nm以上或いは40nm以下であることが更に好ましい。
平均一次粒径が前記上限値以下であると、黒色顔料含有層におけるカーボンブラックの分散性が向上し、基材フィルムの表面平滑性が向上する。一方、カーボンブラックは、微細な一次粒子が凝集して凝集体として存在することがあるが、この凝集体をポリエステル中に存在させて二軸延伸を施すと、フィルムにかかる延伸応力がこの凝集体にも作用して、分散する現象が見られる。平均一次粒径が前記下限値以上であると、この一次粒子間の凝集力が強くなりすぎず、フィルムを延伸する際の延伸応力で凝集体が分散しやすくなり、カーボンブラックの凝集体が大きくなることを防止する。
なお、本発明における平均一次粒径は、単体であるいは黒色顔料含有層中に存在するカーボンブラックの粒子を、電子顕微鏡で観察して測定した粒子径であり、粒子が凝集体として存在している場合には、これを構成する一次粒子の粒子径を指す。
黒色顔料含有層における黒色顔料の含有量は、黒色顔料含有層に所望の隠蔽性を付与することができるなどの観点から、1.0質量%以上であるのが好ましく、その中でも1.5質量%以上、その中でも2.0質量%以上であるのがさらに好ましい。その一方、フィルム延伸時に破断等が生じないようにすることができるなどの観点から、10.0質量%以下であるのが好ましく、その中でも9.0質量%以下、その中でも8.0質量%以下であるのがさらに好ましい。
(緩衝層)
緩衝層は、基材フィルム表面を平滑にする観点から、粒子(黒色顔料を含む)を実質的に含有しないか、又は、粒子(黒色顔料を含む)を含有するとしても、比較的小さな粒子を含有するのが好ましい。
この際、「実施的に含有しない」とは「意図して含有させない」という意味であり、不可避的に含まれる場合は許容する意味である。
緩衝層は、ポリエステルを主成分樹脂とするポリエステル層であるのが好ましい。
緩衝層が粒子(黒色顔料を含む)を含む場合、当該粒子(緩衝層が含有する粒子を「粒子A」と称する)の平均粒径は、基材フィルム表面を平滑にする観点からすれば小さい方が好ましいから、平均粒径0.5μm以下であるのが好ましく、中でも0.3μm以下、その中でも0.1μm以下であるのがさらに好ましい。
また、基材フィルムのハンドリング性を高める観点からすると、平均粒径0.01μm以上であるのが好ましく、中でも0.02μm以上、その中でも0.03μm以上であるのがさらに好ましい。
なお、粒子Aの平均粒径は、粉体の場合には、遠心沈降式粒度分布測定装置(例えば、株式会社島津製作所社製、SA−CP3型)を用いて粉体を測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(D50)を平均粒径とすることができる。
他方、フィルム又は層中の粒子Aの平均粒径については、少なくとも任意の10個以上の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)観察して粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。
後述する他の粒子や、前述したカーボンブラックの平均一次粒径についても同様である。
緩衝層が粒子Aを含む場合、当該粒子Aの含有量は、基材フィルム表面を平滑にする観点から、0.5質量%以下であるのが好ましい。
粒子Aは、例えば無機粒子であっても、有機粒子であっても、架橋高分子粒子であってもよい。
無機粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト及び硫化モリブデンなどを挙げることができる。
なお、上記シリカ粒子は、二酸化ケイ素(SiO)の他にも、例えば含水二酸化ケイ素などを含んでいてもよい。
有機粒子としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。
中でも、メタクリル酸メチル又はスチレン又は両方を共重合成分とする樹脂からなる粒子は、特にポリエステルフィルムとの相性が良いため、好ましい。
架橋高分子粒子としては、例えばジビニルベンゼン、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸のビニル系モノマーの単独または共重合体が挙げられる。その他ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、熱硬化性尿素樹脂及び熱硬化性フェノール樹脂などの架橋性高分子粒子を用いてもよい。
以上の中でも、より微粒化できる観点から、粒子Aとしては、アルミナ粒子が好ましい。
前述のように、基材フィルムを構成する黒色顔料含有層以外の層が黒色顔料、例えばカーボンブラックを含有してもよい。しかし、その場合は、黒色顔料含有層以外の層が含有する黒色顔料の量は所定範囲以下であるのが好ましい。
かかる観点から、前記黒色顔料含有層中のカーボンブラックの含有量と、前記基材フィルム中のカーボンブラックの含有量との比(黒色顔料含有層中のカーボンブラックの含有量/基材フィルム中のカーボンブラックの含有量)は0.9〜1.0であるのが好ましく、中でも0.95〜1.0であるのがさらに好ましい。
(主成分樹脂)
基材フィルムを構成する各層は、上述したように、ポリエステルを主成分樹脂とするポリエステル層であるのが好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂成分のうち最も含有割合の多い樹脂の意味である。
(ポリエステル)
上記のポリエステルとしては、例えば芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、他方の脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
また、上記ポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。かかる共重合ポリエステルのジカルボン酸成分として、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができ、他方のグリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができる。効果的にマット感を付与するという観点から、含有される第三成分がイソフタル酸であることが好ましい。
共重合ポリエステルは、含有される第三成分は30モル%以下であるのが好ましく、中でも5モル%以上或いは30モル%以下、その中でも25モル%以下、その中でも特に7モル%以上或いは22モル%以下であるのがさらに好ましい。この範囲にあることにより、製膜安定性を維持しつつ、効果的にマット感を付与することができる。
代表的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができる。
(他の層)
基材フィルムは、黒色顔料含有層と緩衝層のみからなる構成であっても、さらに他の層を備えた構成であってもよい。例えば、表面層側から、緩衝層/黒色顔料含有層/緩衝層、緩衝層/黒色顔料含有層/層Cなどの構成であってもよい。層Cは任意の組成から形成することができる。
基材フィルムのカールを防ぐためには、緩衝層/黒色顔料含有層/緩衝層の構成であるのが好ましい。
また、黒色顔料含有層と緩衝層との間に別の層を介在させることも可能である。但し、その場合、黒色顔料含有層と同じ樹脂を主成分樹脂とし、且つ、黒色顔料の粒径及び含有量に関して、黒色顔料含有層と緩衝層との間に設定することが好ましい。
(厚さ)
基材フィルムの厚さは、フィルムのコシやハンドリング性を維持する観点から、10μm以上であるのが好ましく、中でも15μm以上、その中でも20μm以上であるのがさらに好ましい。その一方、経済合理性の観点から、150μm以下であるのが好ましく、中でも130μm以下、その中でも110μm以下であるのがさらに好ましい。
基材フィルムにおいて、前記黒色顔料含有層に対する前記緩衝層の厚み比(緩衝層の厚み/黒色顔料含有層の厚み)は、基材フィルム表面を平滑にする観点から、0.03以上であるのが好ましく、中でも0.05以上、その中でも0.08以上であるのがさらに好ましい。その一方、基材フィルム厚さを薄くしながら遮蔽性を発現させるため、0.30以下であるのが好ましく、中でも0.25以下、その中でも0.15以下であるのがさらに好ましい。
緩衝層の厚さは、基材フィルム表面を平滑にする観点から、1μm以上であるのが好ましく、中でも2μm以上、その中でも3μm以上であるのがさらに好ましい。その一方、基材フィルム厚さを薄くするため、30μm以下であるのが好ましく、中でも20μm以下、その中でも10μm以下であるのがさらに好ましい。
黒色顔料含有層の厚さは、遮蔽性の観点から、5μm以上であるのが好ましく、中でも10μm以上、その中でも15μm以上であるのがさらに好ましい。その一方、基材フィルム厚さを薄くするため、100μm以下であるのが好ましく、中でも70μm以下、その中でも50μm以下であるのがさらに好ましい。
<表面層>
表面層は、硬化樹脂層、すなわち、硬化物からなる層、例えば、硬化性組成物から形成される層であるのが好ましく、前述のように、その表面が超平滑であるのが好ましい。
好ましくは、表面層は、硬化樹脂中に粒子を実質的に含有しないか、又は、粒子を含有するとしても、比較的小さな粒子(表面層が含有する粒子を「粒子B」と称する)を含有するのが好ましい。
表面層の厚さは、3.0μm以下が好ましく、2.5μm以下がより好ましく、2.0μm以下がさらに好ましい。厚みがこの範囲であれば、フィルムがカールしたり、硬化速度が遅くなったりするなどの不具合を生じ難い。また、0.5μm以上が好ましく、0.7μ以上がより好ましく、1.0μm以上がさらに好ましい。厚みがこの範囲であれば、表面の平滑化が図れる、鉛筆硬度が高くなるなど、好ましい。
(硬化樹脂)
表面層を構成する硬化樹脂は、架橋構造を有する樹脂であるのが好ましい。光学用途を考慮すると、硬化樹脂は透明樹脂であるのが好ましい。
(硬化性組成物)
表面層は、硬化性樹脂、すなわち硬化させることができる性能を有する樹脂、例えば硬化性単量体、必要に応じて、光重合開始剤、溶剤、架橋剤、粒子及びその他の成分を含有する硬化性組成物を硬化させて形成することができる。
中でも、硬化性組成物としては、4官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物が好ましい。
[硬化性単量体]
前記硬化性単量体は、硬化させることができる化合物であればよい。中でも、優れた表面硬度と繰り返し折り曲げ性を両立させる観点から、架橋性単量体、アクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類からなる群より選択される2種類以上からなる混合物を含有するものが好ましい。
その中でも、ハンドリグ性、工業的な入手の容易さ、コストの観点から、架橋性単量体及び(メタ)アクリル酸エステル類の中から選択される少なくとも2種類以上からなる共混合物であるか、又は、メタクリル酸エステル類及びビニル系単量体の中から選択される少なくとも2種類以上からなる混合物であるのが好ましい。
上記のように、2種類の単量体(a/b)を用いる場合、配合比率(a/b)は、質量比で90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、80/20〜40/60の範囲、その中でも、70/30〜40/60の範囲がよい。
[架橋性単量体]
上記架橋性単量体は、一分子中に2つ以上の重合性官能基を有する単量体のことを指す。
当該架橋性単量体としては、例えばアクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、1−アクリロキシ−3−ブテン、1−メタクリロキシ−3−ブテン、1,2−ジアクリロキシ−エタン、1,2−ジメタクリロキシ−エタン、1,2−ジアクリロキシ−プロパン、1,3−ジアクリロキシ−プロパン、1,4−ジアクリロキシ−ブタン、1,3−ジメタクリロキシ−プロパン、1,2−ジメタクリロキシ−プロパン、1,4−ジメタクリロキシ−ブタン、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1.9−ノナンジオールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1.9−ノナンジオールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−ペンタジエン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを挙げることができる。これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
[アクリル酸エステル類]
上記アクリル酸エステル類としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ペンタデシル及びアクリル酸ドデシルなどのアクリル酸非環状アルキルエステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸環状アルキルエステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸ナフチルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−メトキシエチル及びアクリル酸グリシジルなどの官能基含有アクリル酸非環状アルキルエステル等を例示することができる。
[メタクリル酸エステル類]
上記メタクリル酸エステル類としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル及びメタクリル酸ドデシルなどのメタクリル酸非環状アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸環状アルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジルなどの官能基含有メタクリル酸非環状アルキルエステル等を例示することができる。これらは単独でも2種類以上を併用してもよい。
中でも、フィルム表面硬度の観点から、4官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるのが好ましい。
[光重合開始剤]
上記硬化性組成物を光硬化させる場合には、光重合開始剤を配合するのが好ましい。
当該光重合開始剤は、特に制限するものではなく、例えばケトン系光重合開始剤、アミン系光重合開始剤等を挙げることができる。具体的には、例えばベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ジ(メトキシカルボニル)−4,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジ(メトキシカルボニル)−3,3’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどを挙げることができる。これらの光重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
また、光硬化開始剤とともに、必要に応じて、増感剤を併用してもよい。増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の脂肪族アミン及び芳香族アミン等を例示することができる。
光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物100質量部に対して1〜10質量部の範囲であることが好ましい。
光重合開始剤の含有量が1質量部以上であることで、所望する重合開始効果が得られ、また、光重合開始剤の含有量が10質量部以下であることで、黄変を抑制することができる。光硬化開始剤および増感剤は、硬化性組成物の固形分基準として20質量%以下の割合で使用することが好ましい。
[溶剤]
前記の溶剤として、例えばメチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール及びアセトン等のケトン系溶媒;ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール及びオクタノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシブチル、酢酸アミル、酢酸プロピル、乳酸エチル、乳酸メチル及び乳酸ブチル等のエステル系溶媒;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ヘキサン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、オクタン及びデカン等の炭化水素系溶媒等の有機溶媒を例示することができる。これらの有機溶媒は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
[架橋剤]
耐薬品性向上又は弾性率向上の観点からは、架橋剤を配合することができる。ここでいう架橋剤とは、前記の架橋性単量体以外のものを意味する。
当該架橋剤としては、例えばオキサゾリン化合物、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、メラミン化合物及びカルボジイミド化合物等を挙げることができる。中でも密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物またはイソシアネート化合物の少なくとも1種を使用することがより好ましい。
架橋剤に用いる上記オキサゾリン化合物とは、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作成することができる。
当該付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとして、例えば2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン及び2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。中でも2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
上記の他のモノマーは、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば制限なく、例えばアルキル(メタ)アクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基及びシクロヘキシル基)等の(メタ)アクリル酸エステル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基及びシクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の含ハロゲンα,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
密着性向上の観点から、オキサゾリン化合物のオキサゾリン基量は、0.5〜10mmol/gであるのが好ましく、中でも1mmol/g以上或いは9mmol/g以下、その中でも3mmol/g以上或いは8mmol/g以下、その中でも4mmol/g以上或いは6mmol/g以下であるのがさらに好ましい。
架橋剤に用いる上記イソシアネート化合物とは、例えばイソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物のことである。
当該イソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)及びイソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等を例示することができる。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物、カルボジイミド変性体等の重合体や誘導体も挙げられる。これらは単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線照射による黄変対策として、脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートが好適である。
ブロックイソシアネートの状態で使用する場合、そのブロック剤としては、例えば重亜硫酸塩類、フェノール、クレゾール及びエチルフェノールなどのフェノール系化合物、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ベンジルアルコール、メタノール及びエタノールなどのアルコール系化合物、イソブタノイル酢酸メチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及びアセチルアセトンなどの活性メチレン系化合物、ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン系化合物、ε‐カプロラクタム及びδ‐バレロラクタムなどのラクタム系化合物、ジフェニルアニリン、アニリン及びエチレンイミンなどのアミン系化合物、アセトアニリド、酢酸アミドの酸アミド化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物を挙げることができ、これらは単独でも2種以上の併用であってもよい。
イソシアネート系化合物は単体で用いてもよいし、各種ポリマーとの混合物や結合物として用いてもよい。イソシアネート系化合物の分散性や架橋性向上の点において、ポリエステルやウレタン樹脂との混合物や結合物を使用することが好ましい。
架橋剤に用いる上記エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えばエピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン及びビスフェノールA等の水酸基やアミノ基との縮合物を挙げることができ、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物及びグリシジルアミン化合物等を挙げることができる。
上記ポリエポキシ化合物としては、例えばソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル及びトリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル及びポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン及び1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等を挙げることができる。密着性向上の観点から、ポリエーテル系のエポキシ化合物が好ましい。また、エポキシ基の量としては、2官能より、3官能以上の多官能であるポリエポキシ化合物が好ましい。
架橋剤に用いる上記メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えばアルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。
エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール及びイソブタノール等が好適に用いられる。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したタイプ、メラミン化合物の反応性向上のために触媒を併用することもできる。
架橋剤の含有量は、良好な塗膜強度が得られる観点から、硬化性単量体100質量部に対して10質量部以上であるのが好ましく、中でも20質量部以上、その中でも25質量部以上であるのがさらに好ましい。他方、膜同士の良好な密着性が得られる観点からは、70質量部以下であるのが好ましく、中でも60質量部以下、その中でも40質量部以下の範囲であるのがさらに好ましい。
[カルボジイミド化合物]
架橋剤に用いる上記カルボジイミド化合物とは、カルボジイミド構造を有する化合物のことであり、分子内にカルボジイミド構造を1つ以上有する化合物である。より良好な密着性等のために、分子内に2つ以上有するポリカルボジイミド系化合物がより好ましい。
このカルボジイミド化合物は、従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。当該ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどを挙げることができる。
カルボジイミド化合物に含有されるカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド当量(カルボジイミド基1molを与えるためのカルボジイミド化合物の重さ[g])で、100〜1000であるのが好ましく、中でも250以上或いは800以下、その中でも300以上或いは700以下であるのがさらに好ましい。上記範囲で使用することで、塗膜の耐久性が向上する。
[その他の成分]
前記ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、必要に応じて、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加することは適宜可能である。
また、架橋成分を含有する場合、必要に応じて、架橋成分と同時に架橋を促進するための成分、例えば架橋触媒などを併用するようにしてもよい。
(粒子B)
表面層は、表面を平滑にする観点から、粒子を実質的に含有しないことが好ましいが、フィルムの滑り性を向上させるためや硬度を高めるために粒子を含有するとしても、比較的小さな粒子(表面層が含有する粒子を「粒子B」と称する)を含有するのが好ましい。
表面層が粒子Bを含む場合、当該粒子Bの粒径は、フィルム表面を平滑にする観点からすれば小さい方が好ましいから、平均粒径0.3μm以下であるのが好ましく、中でも0.2μm以下、その中でも0.1μm以下であるのがさらに好ましい。
また、フィルムの滑り性を向上させるためや硬度を高める観点からすると、平均粒径0.01μm以上であるのが好ましく、中でも0.02μm以上、その中でも0.03μm以上であるのがさらに好ましい。
表面層が粒子Bを含む場合、当該粒子Bの含有量は、フィルム表面を平滑にする観点から、30質量%以下であるのが好ましく、その中でも20質量%以下、その中でも10質量%以下であるのがさらに好ましい。その一方、フィルムのフィルムの滑り性を向上させるためや硬度を高める観点からは、0.1質量%以上であるのが好ましく、その中でも3質量%以上、その中でも5質量%以上であるのがさらに好ましい。
粒子Bは、例えば無機粒子であっても、有機粒子であっても、架橋高分子粒子であってもよい。
無機粒子、有機粒子、架橋高分子粒子のそれぞれについては、粒子Aと同様である。
<積層構成>
本隠蔽性フィルムは、基材フィルムと表面層とを備えていれば、他の層を備えることは適宜可能である。例えば、後述するように、表面層の反対側、すなわち基材フィルムの裏面側に、硬化樹脂層、易接着剤層、帯電防止層、易滑層、水蒸気等の気体バリア層、基材含有物の析出防止層、紫外線吸収層、傷つき防止層、防汚層、抗菌層、反射防止層、光沢層、マット層、インク受容層、着色層、印刷層等の各種機能を備えた層を備えていてもよい。
<<本隠蔽性フィルムの製造方法>>
以下、本隠蔽性フィルムの製造方法の一例について説明する。但し、本隠蔽性フィルムの製造方法が、次に説明する方法に限定されるものではない。
本隠蔽性フィルムの製造方法の一例として、基材フィルムを作製し、該基材フィルム上に前記硬化性組成物をコートして表面層を形成する方法を挙げることができる。
但し、本隠蔽性フィルムの製造方法をこの製造方法に限定するものではない。
<基材フィルムの作製>
先ず、公知の手法により、緩衝層及び黒色顔料含有層の原料をそれぞれ調製し、3台の溶融押出装置に供給し、ポリエステル組成物の融点以上である温度に加熱してそれぞれ溶融混練し、次いで、該溶融したポリエステル組成物をそれぞれ、マルチマニホールドまたはフィードブロックを経てそれぞれダイへ導き、次に、各ダイから緩衝層/黒色顔料含有層/緩衝層の2種3層に押出し、押出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の積層状態の未配向基材フィルムを得る。この場合、基材フィルムの平面性を向上させるため、基材フィルムと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
基材フィルムの他の製造方法として、本発明はまた、緩衝層及び黒色顔料含有層の原料をそれぞれ調製し、それぞれ別の溶融押出装置に供給し、ポリエステル組成物の融点以上である温度に加熱してそれぞれ溶融混練し、次いで、該溶融したポリエステル組成物をそれぞれ、マルチマニホールドまたはフィードブロックを経てそれぞれダイへ導き、それぞれ別に押出した溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、緩衝層からなるフィルムAと、黒色顔料を含有するフィルムBをそれぞれ作製する。
そして、当該フィルムAと当該フィルムBを貼り合わせるようにして基材フィルムを作製することもできる。
貼り合わせる方法としては、接着剤等の密着性を向上させる材料を介して、又は直接ラミネートする方法を用いることができる。
<延伸>
次に、延伸方法について説明する。
得られた未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。
延伸温度は、通常70〜150℃、好ましくは80〜140℃であり、一段目ではフィルム流れ方向(縦方向)に延伸し、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。
次に、一段目の延伸方向と直交する方向(横方向)に、通常70〜170℃で、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍で延伸する。
そして、引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る方法を挙げることができる。
上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
前記熱処理工程後は、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
<表面層の形成>
得られた基材フィルム上に硬化性組成物を塗工する方法としては、例えば、バーコーター塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷及びディップコートなどの塗工方法を挙げることができる。
また、ガラスやポリエステルフィルム上で表面層を成型した後、成型した表面層を基材フィルムに転写させる方法も有効である。
以上のように硬化性組成物を基材フィルムに塗工した後、該硬化性組成物を硬化(架橋)させる方法としては、熱硬化や、紫外線硬化、電子線硬化等の活性エネルギー線硬化の方法を単独又は組み合わせて用いることができる。中でも、短時間かつ比較的容易に硬化達成可能なことから、活性エネルギー線硬化、特に紫外線硬化による方法を用いることが好ましい。
紫外線により硬化させる場合、光源としてキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプを有する紫外線照射装置が使用され、必要に応じて光量、光源の配置などが調整される。
また、高圧水銀灯を使用する場合、80〜240W/cmの光量を有したランプ1灯に対して搬送速度5〜60m/分で硬化させるのが好ましく、露光量は、50〜2000mJ/cmで硬化させるのが好ましい。
一方、電子線により硬化させる場合、100〜500eVのエネルギーを有する電子線加速装置の使用が好ましい。
<<語句の説明>>
本発明において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下の実施例により更に本発明について説明する。但し、実施例はいかなる方法でも本発明を限定することを意図するものではない。
<実施例1>
(緩衝層形成組成物の調製)
ポリエチレンテレフタレート(PET)100質量部、平均粒径0.05μmの球状アルミナ粒子0.3質量部を混合して緩衝層形成組成物を調製した。
(黒色顔料含有層形成組成物の調製)
ポリエチレンテレフタレート(PET)100質量部、平均一次粒径20nmのカーボンブラック粒子2質量部を混合して黒色顔料含有層形成組成物を調製した。
(硬化性組成物の調製)
硬化性単量体(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)100質量部、光重合開始剤(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)5質量部、溶剤(メチルエチルケトン)300質量部を混合して硬化性組成物を調製した。
(隠蔽性フィルムの作製)
緩衝層形成組成物及び黒色顔料含有層形成組成物を溶融押出機に各々供給し、2種3層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に共押出して、20℃のキャスティングドラム上に冷却固化させて、緩衝層/黒色顔料含有層/緩衝層の無配向シートを得た。
次いで、機械方向(縦方向)に80℃で3.3倍延伸した後、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、予熱工程を経て機械方向と垂直方向(横方向)に115℃で4.3倍延伸した。二軸延伸をした後は、234℃で3秒間の熱処理を行い、厚さ50μm(B層/A層/B層=4.0μm/42.0μm/4.0μm)の基材フィルムを得た。
次いで、基材フィルムの表面に硬化性組成物を、金属製バーコーターを用いて塗布し、90℃で1分間乾燥後、紫外線照射装置(高圧水銀灯、光量160W/cm)を用いて200mJ/cmの露光量で露光し、厚さ1.5μmの表面層を形成し、隠蔽性フィルムを得た。
<実施例2>
実施例1において緩衝層形成組成物及び黒色顔料含有層形成組成物を、それぞれ単層に押出して、20℃のキャスティングドラム上に冷却固化させて無配向シートを得た。
次いで、機械方向(縦方向)に80℃で3.3倍延伸した後、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、予熱工程を経て機械方向と垂直方向(横方向)に115℃で4.3倍延伸した。二軸延伸をした後は、234℃で3秒間の熱処理を行い、それぞれ厚さ25μmの緩衝層からなるフィルムと、黒色顔料を含有するフィルムを得た。
これを、ドライラミネート用接着剤を用いて貼り合わせることにより基材フィルムを得た以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<実施例3>
実施例1において表面層の厚さを3.0μmに変更した以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<比較例1>
実施例1において表面層を形成しなかった以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<比較例2>
実施例1において黒色顔料含有層形成組成物のカーボンブラック濃度を1.5質量部に変更し、厚さ50μmの黒色顔料を含有するフィルムとし、表面層を形成しなかった以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<比較例3>
比較例2において、厚さ1.5μm表面層を形成した以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<比較例4>
比較例1において黒色顔料含有層形成組成物のカーボンブラック濃度を0.5質量部に変更した以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<比較例5>
実施例1において緩衝層形成組成物に平均粒径0.7μmの炭酸カルシウム粒子を0.15質量部含有するように変更した以外、実施例1と同様にして隠蔽性フィルム(サンプル)を得た。
<評価>
実施例及び比較例で示した各物性値の測定方法及び評価の評価方法について説明する。
(1)粒子の平均粒径
株式会社島津製作所社製の遠心沈降式粒度分布測定装置、SA−CP3型を用いて沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。
(2)算術平均粗さ(Sa)及び最大山高さ(Sp)
ポリエステルフィルムのポリエステル層(B)側の表面を、株式会社菱化システム製、非接触表面・層断面形状計測システムVertScan(登録商標)R550GMLを使用して、CCDカメラ:SONY HR−50 1/3’、対物レンズ:20倍、鏡筒:1X Body、ズームレンズ:No Relay、波長フィルター:530 white、測定モード:Waveにて、640μm×480μmの領域を測定し、4次の多項式補正による出力を用いて、算術平均粗さ(Sa)及び最大山高さ(Sp)を算出した。10点測定し、平均値をフィルム表面の算術平均粗さ(Sa)及び最大山高さ(Sp)とした。
(4)光学濃度OD
ポータブル白黒透過濃度計(伊原電子工業株式会社製、「Ihac−T5」)を使用し、透過濃度を測定した。測定は5点行い、その平均値をOD値とした。この値が大きい程光線透過率が低いことを示す。
(5)鉛筆硬度
測定する表面に対して、JIS K5600−5−4に準じて荷重750gで鉛筆硬度を測定した。
Figure 2021156999
(考察)
実施例1〜3はいずれも平滑性と遮光性に優れ、鉛筆硬度も満足するものだった。
中でも、緩衝層からなるフィルムAと、黒色顔料を含むフィルムとを貼り合わせた実施例2は平滑性に特に優れるものだった。
また、実施例1の表面層厚みを大きくした実施例3は、平滑性と鉛筆硬度により優れていた。
表面層を有さない比較例1、2はいずれも平滑性に劣り、また鉛筆硬度も低いものだった。
比較例4も表面層を有さないが、黒色顔料の量が少ないため、平滑性は優れていた。一方、黒色顔料が少ないため、遮蔽性に劣る結果となった。
緩衝層を有さない比較例2、大きいサイズの粒子を含む比較例5は平滑性に劣るものだった。

Claims (11)

  1. 黒色顔料を含有する黒色顔料含有層と緩衝層を備える基材フィルムの該緩衝層側表面に表面層を有し、
    該緩衝層は、粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有することを特徴とする隠蔽性フィルム。
  2. 前記黒色顔料含有層は、前記黒色顔料としてのカーボンブラックを含有し、黒色顔料含有層中のカーボンブラックの含有割合が1.0〜10.0質量%である請求項1に記載の隠蔽性フィルム。
  3. 前記黒色顔料含有層中のカーボンブラックの含有量と、前記基材フィルム中のカーボンブラックの含有量との比(黒色顔料含有層中のカーボンブラックの含有量/基材フィルム中のカーボンブラックの含有量)が0.9〜1.0である請求項2に記載の隠蔽性フィルム。
  4. 前記緩衝層と前記黒色顔料含有層の厚み比(緩衝層の厚み/黒色顔料含有層の厚み)が0.03〜0.30の範囲である請求項1〜3のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
  5. 緩衝層からなるフィルムと、黒色顔料を含有するフィルムとが貼り合わされてなる構成を有する基材フィルムの緩衝層側表面に表面層を有し、
    該緩衝層は、粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.5μm以下の粒子を0.5質量%以下の割合で含有することを特徴とする隠蔽性フィルム。
  6. 前記基材フィルムの光学濃度(OD)が2.0以上である請求項1〜5のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
  7. 前記表面層側表面の算術平均粗さ(Sa)が2.5nm以下である請求項1〜6のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
  8. 前記表面層側表面の鉛筆硬度がF以上である請求項1〜7のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
  9. 前記表面層は、4官能以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる層である請求項1〜8のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
  10. 前記表面層は、該層中に粒子を実質的に含有しないか、又は、平均粒径が0.01μm〜0.3μmの粒子を0.1〜30質量%の範囲で含有する請求項1〜9のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
  11. 前記表面層側表面の最大山高さ(Sp)が50nm以下である請求項1〜10のいずれかに記載の隠蔽性フィルム。
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