JP2021155760A - 樹脂、硬化性組成物、硬化物、硬化物の製造方法、及びマイクロレンズの製造方法 - Google Patents

樹脂、硬化性組成物、硬化物、硬化物の製造方法、及びマイクロレンズの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上で硬化を行う場合に、基板の種類によらず良好に硬化し、高温環境下で使用する場合に寸法変化が生じたり、光線透過率が低下したりしにくい硬化物を形成できる、熱硬化性の樹脂と、当該樹脂を含む硬化性組成物と、前述の樹脂を硬化させてなる硬化物と、前述の樹脂を用いる硬化物の製造方法と、前述の樹脂を用いるマイクロレンズの製造方法と、を提供すること。【解決手段】ブロックイソシアネート基を有する特定の構造の構造単位と、水酸基を有する特定の構造の構造単位と、2以上のベンゼン環を含む炭化水素基を有する特定の構造の構造単位と、を組み合わせて含む樹脂を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の構造の構造単位を含む樹脂と、当該樹脂を含む硬化性組成物と、前述の樹脂を硬化させてなる硬化物と、前述の樹脂を用いる硬化物の製造方法と、前述の樹脂を用いるマイクロレンズの製造方法と、に関する。
従来から、硬化性の樹脂材料が種々の用途において使用されている。硬化性の樹脂における部分構造や、硬化性の樹脂とともに使用される添加剤の種類を選択することにより、硬化性の樹脂を用いて種々の特性を示す硬化物が形成される。
例えば、画像表示素子や光学素子における、平坦化膜やマイクロレンズの形成に用いられる硬化物においては、良好な透明性や耐溶剤性を有し、高屈折率であることが望まれる場合がある。
平坦化膜やマイクロレンズの形成に用いられる硬化性の樹脂としては、例えば、エポキシ基を含む構造単位と、ビフェニリル基を含む構造単位とを含む共重合体が知られている(特許文献1を参照。)。
国際公開第2015/122109号
しかしながら、特許文献1に記載されるようなエポキシ基を有する樹脂を用いて硬化膜を形成する場合、基板の種類によっては十分に硬化した硬化膜を形成しにくかったり、硬化膜を高温環境下で使用する場合に、膜厚の寸法が変動したり、透過膜の光線透過率が低下したりする場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、基板上で硬化を行う場合に、基板の種類によらず良好に硬化し、高温環境下で使用する場合に寸法変化が生じたり、光線透過率が低下したりしにくい硬化物を形成できる、熱硬化性の樹脂と、当該樹脂を含む硬化性組成物と、前述の樹脂を硬化させてなる硬化物と、前述の樹脂を用いる硬化物の製造方法と、前述の樹脂を用いるマイクロレンズの製造方法と、を提供することを目的とする。
本発明者らは、ブロックイソシアネート基を有する特定の構造の構造単位と、水酸基を有する特定の構造の構造単位と、2以上のベンゼン環を含む炭化水素基を有する特定の構造の構造単位と、を組み合わせて含む樹脂を用いることにより上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様は、下記式(a1)で表される構造単位、下記式(a2)で表される構造単位、及び下記式(a3)で表される構造単位、を含む樹脂である。
Figure 2021155760
(式(a1)、(a2)、及び(a3)中、Rは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは、単結合、又は炭素原子数1以上5以下のアルキレン基であり、Rは、ブロックイソシアネート基であり、Rは、2価の炭化水素基であり、Rは、単結合、又は2価の連結基であり、Rは、2以上のベンゼン環を含む有機基である。)
本発明の第2の態様は、第1の態様にかかる樹脂と、溶剤とを含む硬化性組成物である。
本発明の第3の態様は、第1の態様にかかる樹脂を硬化させてなる硬化物である。
本発明の第4の態様は、
第1の態様にかかる樹脂を、所定の形状に成形する成形工程と、
成形された前記樹脂を加熱により硬化させる硬化工程と、
を含む硬化物の製造方法である。
本発明の第5の態様は、
第1の態様にかかる樹脂を含む組成物を基材上に塗布して得られる樹脂層を加熱により架橋させてレンズ材料層を形成するレンズ材料層形成工程と、
レンズ材料層上にレジストパターンを形成したのち、加熱によりレジストパターンをリフローさせてレンズパターンを形成するレンズパターン形成工程と、
レンズパターンをマスクとしてレンズ材料層及び前記レンズパターンをドライエッチングして、レンズパターンの形状をレンズ材料層に転写する形状転写工程と、
を含む、マイクロレンズの製造方法である。
本発明によれば、硬化性が良好であり、屈折率の高い硬化物を形成可能な硬化性の樹脂と、当該樹脂を含む硬化性組成物と、前述の樹脂を硬化させてなる硬化物と、前述の樹脂を用いる硬化物の製造方法と、前述の樹脂を用いるマイクロレンズの製造方法とを提供することができる。
≪樹脂≫
樹脂は、下記式(a1)で表される構造単位、下記式(a2)で表される構造単位、及び下記式(a3)で表される構造単位、を含む。
Figure 2021155760
(式(a1)、(a2)、及び(a3)中、Rは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは、単結合、又は炭素原子数1以上5以下のアルキレン基であり、Rは、ブロックイソシアネート基であり、Rは、2価の炭化水素基であり、Rは、単結合、又は2価の連結基であり、Rは、2以上のベンゼン環を含む炭化水素基である。)
以下、式(a1)で表される構造単位について「構造単位A1」とも記し、式(a2)で表される構造単位について「構造単位A2」とも記し、式(a3)で表される構造単位について「構造単位A3」とも記す。
上記式(a1)で表される構造単位A1は、Rとしてブロックイソシアネート基を有する。ブロックイソシアネート基とは、イソシアネート基が、熱解離性の保護基によりブロックされた基を意味する。
このため、構造単位A1を有する上記の樹脂を加熱した場合、ブロックイソシアネート基中の保護基が脱離し、活性なイソシアネート基が生成する。
加熱により生成するイソシアネート基は、活性水素を有する官能基と容易に反応する。ここで、上記式(a2)で表される構造単位A2は、活性水素基を有する官能基である水酸基を有する。このため、上記の樹脂を加熱すると、構造単位A1において活性なイソシアネート基が生成する。このイソシアネート基(−NCO)と、構造単位A2中の水酸基とが反応することで、ウレタン結合(−NH−CO−O−)による架橋が進行し、硬化物が形成される。
さらに、上記式(a3)で表される構造単位は、Rとして、2以上のベンゼン環を含む炭化水素基を有する。ここで、2以上のベンゼン環を含む炭化水素基は、硬化物の高屈折率化に寄与する。
従って、上記の樹脂を加熱する場合、樹脂の硬化が良好に進行し、その結果屈折率の高い硬化物が形成される。
以下、樹脂に含まれる必須又は任意の構造単位、樹脂の製造方法等について説明する。
<構造単位A1>
樹脂は、前述の通り、ブロックイソシアネート基を有する構造単位A1を含む。樹脂は、2種以上の構造単位A1を組み合わせて含んでいてもよい。
構造単位A1は、前述の式(a1)で表される構造単位である。式(a1)において、Rは水素原子、又はメチル基である。
式(a1)中、Rは、単結合、又は炭素原子数1以上5以下のアルキレン基である。アルキレン基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状であるのが好ましい。Rとしてのアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、及びペンタン−1,5−ジイル基等が挙げられる。
これらの基の中では、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、及びペンタン−1,5−ジイル基が好ましく、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、及びプロパン−1,3−ジイル基がより好ましく、エタン−1,2−ジイル基が特に好ましい。
式(a1)中、Rは、ブロックイソシアネート基である。前述の通り、ブロックイソシアネート基とは、イソシアネート基が、熱解離性の保護基によりブロックされた基を意味する。
かかる熱解離性の保護基は、イソシアネート基と、保護基を与えるブロック剤とを反応させることにより形成される。
かかるブロック剤としては、例えば、アルコール系化合物、フェノール系化合物、アルコール系化合物及びフェノール系化合物以外の水酸基含有化合物、活性メチレン系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、オキシム系化合物、カルバミン酸系化合物、尿素系化合物、酸アミド系(ラクタム系)化合物、酸イミド系化合物、トリアゾール系化合物、ピラゾール系化合物、ピロール系化合物、メルカプタン系化合物、及び重亜硫酸塩等が挙げられる。
アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、1−オクタノール、2−オクタノール、シクロヘキシルアルコール、エチレングリコール、ベンジルアルコール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,2−トリクロロエタノール、2−(ヒドロキシメチル)フラン、2−メトキシエタノール、メトキシプロパノール、2−2−エトキシエタノール、n−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−(4−エトキシブトキシ)エタノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、N,N−ジブチル−2−ヒドロキシアセトアミド、N−モルホリンエタノール、2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、3−オキサゾリジンエタノール、2−ヒドロキシメチルピリジン、フルフリルアルコール、12−ヒドロキシステアリン酸、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げられる。
フェノール系化合物としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、3−n−プロピルフェノール、4−n−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−n−ブチルフェノール、3−n−ブチルフェノール、4−n−ブチルフェノール、2−sec−ブチルフェノール、3−sec−ブチルフェノール、4−sec−ブチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−n−ヘキシルフェノール、3−n−ヘキシルフェノール、4−n−ヘキシルフェノール、2−(2−エチルヘキシル)フェノール、3−(2−エチルヘキシル)フェノール、4−(2−エチルヘキシル)フェノール、2−n−オクチルフェノール、3−n−オクチルフェノール、4−n−オクチルフェノール、2−n−ノニルフェノール、3−n−ノニルフェノール、4−n−ノニルフェノール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3−ジn−プロピルフェノール、2,4−ジn−プロピルフェノール、2,5−ジn−プロピルフェノール、2,6−ジn−プロピルフェノール、3,4−ジn−プロピルフェノール、3,5−ジn−プロピルフェノール、2,3−ジイソプロピルフェノール、2,4−ジイソプロピルフェノール、2,5−ジイソプロピルフェノール、2,6−ジイソプロピルフェノール、3,4−ジイソプロピルフェノール、3,5−ジイソプロピルフェノール、3−イソプロピル−2−メチルフェノール、4−イソプロピル−2−メチルフェノール、5−イソプロピル−2−メチルフェノール、6−イソプロピル−2−メチルフェノール、2−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、6−イソプロピル−3−メチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチルフェノール、3−イソプロピル−4−メチルフェノール、5−イソプロピル−4−メチルフェノール、6−イソプロピル−4−メチルフェノール、2,3−ジn−ブチルフェノール、2,4−ジn−ブチルフェノール、2,5−ジn−ブチルフェノール、2,6−ジn−ブチルフェノール、3,4−ジn−ブチルフェノール、3,5−ジn−ブチルフェノール、2,3−ジsec−ブチルフェノール、2,4−ジsec−ブチルフェノール、2,5−ジsec−ブチルフェノール、2,6−ジsec−ブチルフェノール、3,4−ジsec−ブチルフェノール、3,5−ジsec−ブチルフェノール、2,3−ジtert−ブチルフェノール、2,4−ジtert−ブチルフェノール、2,5−ジtert−ブチルフェノール、2,6−ジtert−ブチルフェノール、3,4ジtert−ブチルフェノール、3,5−ジtert−ブチルフェノール、2,3−ジn−オクチルフェノール、2,4−ジn−オクチルフェノール、2,5−ジn−オクチルフェノール、2,6−ジn−オクチルフェノール、3,4−ジn−オクチルフェノール、3,5−ジn−オクチルフェノール、2,3−ジ2−エチルヘキシルフェノール、2,4−ジ2−エチルヘキシルフェノール、2,5−ジ2−エチルヘキシルフェノール、2,6−ジ2−エチルヘキシルフェノール、3,4−ジ2−エチルヘキシルフェノール、3,5−ジ2−エチルヘキシルフェノール、2,3−ジn−ノニルフェノール、2,4−ジn−ノニルフェノール、2,5−ジn−ノニルフェノール、2,6−ジn−ノニルフェノール、3,4−ジn−ノニルフェノール、3,5−ジn−ノニルフェノール、2−ニトロフェノール、3−ニトロフェノール、4−ニトロフェノール、2−ブロモフェノール、3−ブロモフェノール、4−ブロモフェノール2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、スチレン化フェノール(α−メチルベンジル基によるフェノールのモノ、ジ、又はトリ置換体)、サリチル酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸メチル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸2−エチルヘキシル、4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェノール、4−[(ジメチルアミノ)メチル]ノニルフェノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン、及び2−クロロ−3−ピリジノール等が挙げられる。
アルコール系化合物及びフェノール系化合物以外の水酸基含有化合物としては、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミド、及びトリフェニルシラノールが挙げられる。
活性メチレン系化合物としては、例えば、メルドラム酸、マロン酸ジアルキル(例えば、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジn−ブチル、マロン酸ジtert−ブチル、マロン酸ジ2−エチルヘキシル、マロン酸メチルn−ブチル、マロン酸エチルn−ブチル、マロン酸メチルsec−ブチル、マロン酸エチルsec−ブチル、マロン酸メチルtert−ブチル、マロン酸エチルtert−ブチル、メチルマロン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、マロン酸ジフェニル、マロン酸ベンジルメチル、マロン酸エチルフェニル、マロン酸tert−ブチルフェニル、及びイソプロピリデンマロネート等)、アセト酢酸アルキル(例えば、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸n−プロピル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸n−ブチル、アセト酢酸tert−ブチル、アセト酢酸ベンジル、及びアセト酢酸フェニル等)、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセチルアセトン、及びシアノ酢酸エチル等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、ジブチルアミン、ジフェニルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、カルバゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)アミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンアミン、2,2,5−トリメチルヘキサメチレンアミン、N−イソプロピルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ビス(3,5,5−トリメチルシクロヘキシル)アミン、ピペリジン、2,6−ジメチルピペリジン、tert−ブチルメチルアミン、tert−ブチルエチルアミン、tert−ブチルn−プロピルアミン、tert−ブチルn−ブチルアミン、tert−ブチルベンジルアミン、tert−ブチルフェニルアミン、2,2,6−トリメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、(ジメチルアミノ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン、6−メチル−2−ピペリジン、及び6−アミノカプロン酸等が挙げられる。
イミン系化合物としては、例えば、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、及びグアニジン等が挙げられる。
オキシム系化合物としては、例えば、ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、2,2,6,6−テトラメチルシクロヘキサノンオキシム、ジイソプロピルケトンオキシム、メチルtert−ブチルケトンオキシム、ジイソブチルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシム、メチルイソプロピルケトンオキシム、メチル2,4−ジメチルペンチルケトンオキシム、メチル3−エチルへプチルケトンオキシム、メチルイソアミルケトンオキシム、n−アミルケトンオキシム、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオンモノオキシム、4,4’−ジメトキシベンゾフェノンオキシム、及び2−ヘプタノンオキシム等が挙げられる。
カルバミン酸系化合物としては、例えば、N−フェニルカルバミン酸フェニル等が挙げられる。
尿素系化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、及びエチレン尿素等が挙げられる。
酸アミド系(ラクタム系)化合物としては、例えば、アセトアニリド、N−メチルアセトアミド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、ピロリドン、2,5−ピペラジンジオン、及びラウロラクタム等が挙げられる。
酸イミド系化合物としては、例えば、コハク酸イミド、マレイン酸イミド、及びフタルイミド等が挙げられる。
トリアゾール系化合物としては、例えば、1,2,4−トリアゾール、及びベンゾトリアゾール等が挙げられる。
ピラゾール系化合物としては、例えば、ピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール、3,5−ジイソプロピルピラゾール、3,5−ジフェニルピラゾール、3,5−ジtert−ブチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、及び3−メチル−5−フェニルピラゾール等が挙げられる。
ピロール系化合物としては、ピロール、2−メチルピロール、3−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール等が挙げられる。
メルカプタン系化合物としては、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、チオフェノール、及びピリジン−2−チオール等が挙げられる。
重亜硫酸塩としては、例えば、重亜硫酸ソーダ等が挙げられる。
以上説明した式(a1)で表される構造単位A1の中では、樹脂の調製が容易であることや、硬化性が良好であること等から、下記式(a1−1)、式(a1−2)、又は式(a1−3)で表される構造単位が好ましい。
Figure 2021155760
(式(a1−1)、式(a1−2)及び式(a1−3)中、R、及びRは、前記式(a1)と同様であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1以上12以下の有機基であり、Rは、それぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1以上6以下の有機基であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1以上6以下の有機基であり、aは、0以上3以下の整数である。)
式(a1−1)中、Rとしての有機基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上12以下のアルコキシアルキル基、フェニル基、炭素原子数7以上12以下のフェニルアルキル基、炭素原子数2以上12以下のアシル基等が挙げられる。これらの基の中では、アルキル基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がさらに好ましく、メチル基、又はエチル基が特に好ましい。
アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
式(a1−1)中、二つのRa7は、同一であっても異なっていてもよい。
式(a1−2)中、Ra8は、ピラゾリル基上の置換基であって、それぞれ独立にハロゲン原子又は炭素原子数1以上6以下の有機基である。
a8の好適な例としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数3以上6以下のシクロアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上6以下の脂肪族アシル基等が挙げられる。
a8としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、及び炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基が好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上3以下のアルキル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
式(a1−2)中、aは0以上3以下の整数であり、0以上2以下の整数が好ましい。
式(a1−3)中、Ra9としての有機基としては、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、炭素原子数3以上12以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上12以下のアルコキシアルキル基、フェニル基、炭素原子数7以上12以下のフェニルアルキル基等が挙げられる。
式(a1−3)中、二つのRa9は、同一であっても異なっていてもよい。
構造単位A1は、下記式(a−I)で表される(メタ)アクリル酸エステルを、他の構造単位を与える単量体と共重合させることにより、樹脂中に組み入れられる。
式(a−I)で表される(メタ)アクリル酸エステルの中では、下記式(a−I−1)、式(a−I−2)、又は式(a−I−3)で表される(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、下記式(a−I−1a)、式(a−I−2a)、又は式(a−I−3a)で表される(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
構造単位A1は、樹脂中に、ブロック状に存在していてもよく、ランダムに存在していてもよい。加熱によって構造単位A1中で生じるイソシアネート基と、水酸基とが良好に反応しやすい点から、構造単位A1は、樹脂中にランダムに存在するのが好ましい。
Figure 2021155760
構造単位A1を与える(メタ)アクリル酸エステルの好適な具体例としては、下記の化合物が挙げられる。
Figure 2021155760
これらの中では、樹脂の製造が容易である点や、硬化性が良好である樹脂を得やすい点等から、下記の(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。
Figure 2021155760
樹脂における構造単位A1の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。樹脂中の構造単位A1の含有量は、硬化性の点から、樹脂の全構造単位に対して、15モル%以上が好ましく、15モル%以上45モル%以下がより好ましい。良好な硬化性と、硬化物の高い屈折率との両立の点からは、樹脂中の構造単位A1の含有量は、樹脂の全構造単位に対して、20モル%以上40モル%以下が好ましく、25モル%以上35モル%以下がより好ましい。
<構造単位A2>
構造単位A2は、前述の式(a2)で表される構造単位である。式(a2)において、Rは水素原子、又はメチル基である。
式(a2)中、Rは2価の炭化水素基である。Rとしての炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、脂肪族部分と芳香族部分とを有する炭化水素基であってもよい。樹脂の硬化性の点からは、Rは2価の脂肪族炭化水素基であるのが好ましい。Rが2価の脂肪族炭化水素基である場合、脂肪族炭化水基の構造は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらを組み合わせた構造であってもよく、直鎖状が好ましい。
としての炭化水素基の炭素原子数は特に限定されない。炭化水素基が脂肪族炭化水素基である場合、炭素原子数は1以上20以下が好ましく、2以上10以下がより好ましく、2以上6以下が特に好ましい。炭化水素基が、芳香族基であるか、脂肪族部分と芳香族部分とを有する炭化水素基である場合、炭素原子数は6以上20以下が好ましく、6以上12以下がより好ましい。
2価の脂肪族炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、エタン−1.1−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、オクタデカン−1,18−ジイル基、ノナデカン−1,19−ジイル基、及びイコサン−1,20−ジイル基が挙げられる。
これらの中では、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基、トリデカン−1,13−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基、ペンタデカン−1,15−ジイル基、ヘキサデカン−1,16−ジイル基、ヘプタデカン−1,17−ジイル基、オクタデカン−1,18−ジイル基、ノナデカン−1,19−ジイル基、及びイコサン−1,20−ジイル基が好ましく、メチレン基、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、及びデカン−1,10−ジイル基がより好ましく、エタン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、及びヘキサン−1,6−ジイル基がより好ましい。
2価の芳香族炭化水素基の具体例としては、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、及びナフタレン−2,7−ジイル基等が挙げられ、p−フェニレン基、m−フェニレン基が好ましく、p−フェニレン基がより好ましい。
構造単位A2は、下記式(a−II)で表される(メタ)アクリル酸エステルを、他の構造単位を与える単量体と共重合させることにより、樹脂中に組み入れられる。
構造単位A2は、樹脂中に、ブロック状に存在していてもよく、ランダムに存在していてもよい。加熱によって構造単位A1中で生じるイソシアネート基と、水酸基とが良好に反応しやすい点から、構造単位A2は、樹脂中にランダムに存在するのが好ましい。
Figure 2021155760
(式(a−II)中、R及びRは、式(a2)と同様である。)
構造単位A2を与える(メタ)アクリル酸エステルの好適な具体例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシフェニルアクリレート、4−ヒドロキシフェニルメタクリレート、3−ヒドロキシフェニルアクリレート、及び3−ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられる。
これらの中では、2−ヒドロキシエチルアクリレート、及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートが好ましい。
樹脂における構造単位A2の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。
樹脂における構造単位A2の量は、樹脂の全構造単位に対して、15モル%以上が好ましく、15モル%以上45モル%以下がより好ましい。良好な硬化性と、硬化物の高い屈折率との両立の点からは、樹脂中の構造単位A1の含有量は、樹脂の全構造単位に対して、20モル%以上40モル%以下が好ましく、25モル%以上35モル%以下がより好ましい。
また、樹脂中、構造単位A1のモル数と、構造単位A2のモル数とは、構造単位A1のモル数/構造単位A2のモル数として、80/100以上100/80以下が好ましく、90/100以上100/90以下がより好ましく、95/100以上100/95以下が特に好ましい。樹脂中、構造単位A1のモル数と、構造単位A2のモル数とは、等モルであるのが最も好ましい。
<構造単位A3>
構造単位A3は、前述の式(a3)で表される構造単位である。式(a3)において、Rは水素原子、又はメチル基である。
式(a3)中、Rは、2以上のベンゼン環を含む有機基である。2以上のベンゼン環を含む有機基を、Rとして有する構造単位A3を含むことにより、屈折率の高い硬化物を形成できる。
に含まれる2以上のベンゼン環は、互いに縮合してもよく、単結合、又は連結基により結合されていてもよい。
の炭素原子数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。R6の炭素原子数は、10以上50以下が好ましく、10以上30以下がより好ましい。
としての、2以上のベンゼン環を含む有機基としては、下記の多環式化合物、又は下記の多環式化合物に置換基が導入された化合物から、1つの水素原子を除いた基が挙げられる。下記式中Xは、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−CO−NH−、−CO−NH−CO−、−NH−CO−NH−、−CO−O−、−CO−O−CO−、−O−CO−O−、−SO、−NH−、−S−S−、−CH−、−CH(CH)−、又は−C(CH−である。
Figure 2021155760
上記の多環式化合物に導入されうる置換基としては、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数3以上6以下のシクロアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上6以下の脂肪族アシル基、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
上記の多環式化合物に置換基が導入される場合、置換基の数は特に限定されないが、4以下が好ましく、1又は2が好ましい。
以上説明したRとしては、下記式で表される基が好ましい。
下記式中、R10、R11、及びR13は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数3以上6以下のシクロアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上6以下の脂肪族アシル基、ニトロ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であり、R12は、水素原子又は炭素原子数1以上6以下のアルキル基であり、b及びcは、それぞれ独立に0以上4以下の整数であり、dは、0以上7以下の整数である。
Figure 2021155760
これらの基の中では、高屈折率化の効果が良好であることと、樹脂中への導入が容易であることとから、下記式で表される基が好ましく、下記式において2つのbがともに0であるビフェニリル基がより好ましい。
Figure 2021155760
以上説明した基Rは、Rを介して、樹脂の主鎖に結合する。Rは、単結合又は2価の連結基である。
2価の連結基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。2価の連結基の好適な例としては、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基、−O−、−S−、−CO−、−SO−、−CO−NH−、−CO−NH−CO−、−NH−CO−NH−、−CO−O−、−CO−O−CO−、−O−CO−O−、−SO、−NH−、及び−S−S−からなる群より選択される2価基と、前述の群から選択される2以上の2価基を組み合わせた基とが挙げられる。
の中でも、単結合、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基、及び−CO−O−が好ましく、単結合、及び−CO−O−がより好ましく、−CO−O−*(*は、式(a3)中、Rと結合する結合手の末端を表す。)が特に好ましい。なお、Rがアルキレン基である場合、アルキレン基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
以上より、構造単位A3としては、下記式(a3−1)で表される構造単位が好ましい。式(a3−1)中、R、R10、及びbは、それぞれ前述の通りである。
Figure 2021155760
構造単位A3は、下記式(a−III)で表される不飽和化合物を、他の構造単位を与える単量体と共重合させることにより、樹脂中に組み入れられる。
構造単位A3は、樹脂中に、ブロック状に存在していてもよく、ランダムに存在していてもよい。構造単位A1と、構造単位A2とを、樹脂中に、均一に分布させやすいことから、構造単位A3は、樹脂中にランダムに存在するのが好ましい。
式(a−III)で表される不飽和化合物としては、下記式(a−III−1)で表される(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、下記式(a−III−1a)で表される(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。式(a−III)、式(a−III−1)、及び式(a−III−1a)において、R、R、R、R10、及びbはそれぞれ前述の通りである。
Figure 2021155760
構造単位A3を与える不飽和化合物の好適な具体例としては、アクリル酸(1,1’−ビフェニル−4−イル)エステル、メタクリル酸(1,1’−ビフェニル−4−イル)エステル、アクリル酸(1,1’−ビフェニル−3−イル)エステル、メタクリル酸(1,1’−ビフェニル−3−イル)エステル、4−ビニル−1,1’−ビフェニル、及び3−ビニル−1,1’−ビフェニルが挙げられる。
これらの中では、アクリル酸(1,1’−ビフェニル−4−イル)エステル、及びメタクリル酸(1,1’−ビフェニル−4−イル)エステルが好ましい。
樹脂における構造単位A3の量は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。樹脂中の構造単位A3の量は、良好な硬化性と、硬化物の高屈折率とを両立しやすい点から、樹脂の全構造単位中30モル%以上50モル%以下が好ましく、35モル%以上50モル%以下がより好ましく、40モル%以上50モル%以下が特に好ましい。
<その他の構造単位>
樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲において、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3以外にその他構造単位を含んでいてもよい。
その他の構造単位としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位が挙げられる。構成単位を含むものを用いることができる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、又はメタクリル酸である。(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(a−4−1)で表されるものであって、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。
Figure 2021155760
上記式(a−IV)中、Ra1は、水素原子又はメチル基である。Ra11は、構造単位A1中のブロックイソシアネート基から生成したイソシアネート基と反応しうる、活性水素を含む基を有さない有機基である。
活性水素を含む基としては、例えば、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
a11の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、アルキルチオ基、アリールチオ基、シアノ基、シリル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、ニトロソ基、アシル基、アシルオキシ基、アルコキシアルキル基、アルキルチオアルキル基、アリールオキシアルキル基、アリールチオアルキル基、N,N−ジ置換アミノ基(−NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
a11としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよい。また、これらの基がアルキレン部分を含む場合、アルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状のものである場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上15以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。
a11が、脂環式基、又は脂環式基を含む基である場合、好適な脂環式基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等単環の脂環式基や、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
その他の構造単位を与える、上記の(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体としては、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらのモノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1−メチル−2,2−ジメチルプロピルビニルエーテル、2−エチルブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル−2,4−ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル−β−フェニルブチレート、安息香酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4−メトキシ−3−メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2−ブロモ−4−トリフルオロメチルスチレン、4−フルオロ−3−トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
樹脂が、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3以外にその他構造単位を含無場合、樹脂中の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3の総量は、樹脂中の全構造単位に対して80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上が特に好ましい。
硬化物が高屈折率であることと、良好な硬化性とを両立させやすい点から、樹脂は、その他の構造単位を含まず、構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3のみからなるが好ましい。
<樹脂の製造方法>
以上説明した樹脂の製造方法は特に限定されない。一般的には、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3を与える単量体と、必要に応じてその他の構造単位を与える単量体とを、それぞれ所定量混合した後、適当な溶剤中にて、重合開始剤の存在下に、例えば、50℃以上120℃以下の温度範囲において重合を行うことにより、樹脂が得られる。樹脂は、有機溶剤中の溶液として得られることが多いが、溶液として得られた樹脂を、そのまま後述する硬化性組成物に配合したり、そのまま硬化性組成物として使用したりすることができる。
上記の方法により得られる樹脂の重量平均分子量は、30000以上が好ましく、35000以上100000以下がより好ましく、40000以上80000以下が特に好ましい。重量平均分子量は、GPCにより測定される、ポリスチレン換算の分子量である。樹脂の重量平均分子量がある程度大きいことにより、耐溶剤性や、耐熱分解性に優れる硬化物を形成しやすい。
上記のように得られた樹脂の溶液を、ヘキサン、ジエチルエーテル、メタノール、水等の貧溶媒と混合して、樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂を回収して用いてもよい。沈殿した樹脂は、ろ過後に洗浄され、次いで、常圧、又は減圧下に、構造単位A1中のブロックイソシアネート基が分解しない程度の温度で乾燥されるのが好ましい。このようにして、粉末状である個体の樹脂を回収できる。粉末状の樹脂は、そのまま使用されてもよく、後述する硬化性組成物に配合されて使用されてもよい。
≪硬化性組成物≫
硬化性組成物は、前述の樹脂と、溶剤とを含む。溶剤の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。硬化性組成物は、2種以上の溶剤を組み合わせて含んでいてもよい。
樹脂を硬化させる際に溶剤が残存していても、構造単位A1中のブロックイソシアネート基から生成したイソシアネート基と、溶剤とが反応しないことから、溶剤は、イソシアネート基と反応しうる、活性水素を含む基を有さないのが好ましい。
活性水素を含む基としては、例えば、水酸基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
なお、樹脂の硬化が進行しない程度の温度において、例えば、減圧下に、溶剤を除去することもできるため、活性水素を含む基を有する溶剤を必ずしも使用出来ないわけではない。
溶剤の好適な例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類のモノアルキルエーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコール類のモノアルキルエーテルアセテート;トルエン、及びキシレン等の芳香族溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、ピルビン酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、及びγ−ブチロラクトン等のエステル類が挙げられる。
これらの溶剤のなかでは、硬化性組成物を塗布する際の塗膜のレベリング性の点等から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、及び乳酸ブチルが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、2−ヘプタノン、シクロペンタノン、及びシクロヘキサノンがより好ましい。
硬化性組成物における溶剤の使用量は特に限定されず、硬化性組成物の用途に応じて、粘度等を勘案のうえ適宜決定される。
溶剤の使用量は、硬化性組成物における固形分濃度が5質量%以上となるように設定することが好ましく、8質量%以上となるように設定することがより好ましく、10質量%以上となるように設定することがさらに好ましい。また、溶剤の使用量は、硬化性組成物における固形分濃度が50質量%以下となるように設定することが好ましく、45質量%以下となるように設定することがより好ましく、40質量%以下となるように設定することがさらに好ましい。
樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、さらに種々の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、架橋剤、紫外線吸収剤、増感剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、密着助剤、及びフィラー(例えば、酸化ジルコニウム微粒子のような高屈折率化用のフィラー)等が挙げられる。
≪硬化物≫
上記の樹脂を、所望する形状に成形した後に加熱することにより、硬化物が形成される。かかる硬化物は、上記の樹脂に由来する構造単位A3を含むため、屈折率が高い。
硬化物の屈折率は、1.55以上が好ましく、1.56以上がより好ましく、1.58以上がより好ましい。屈折率の上限は特に限定されないが、例えば、1.70以下である。
≪硬化物の製造方法≫
以下、上記の樹脂の硬化物の製造方法について説明する。
硬化物の製造方法は、
上記の樹脂を、所定の形状に成形する成形工程と、
成形された樹脂を加熱により硬化させる硬化工程と、
を含む。
成形工程において、成形後の樹脂の形状や、樹脂の成形方法については特に限定されない。
樹脂を成形する方法としては、例えば、基材上に、溶剤と樹脂とを含む組成物を塗布した後に、塗膜から溶剤を除去する方法、基材上に、溶剤と樹脂とを含む組成物の液を盛った後に、溶剤を除去する方法、及び所定の形状の凹部を有するモールドに、溶剤と樹脂とを含む組成物の液を充填した後に、モールド内の組成物から溶剤を除去する方法等が挙げられる。
組成物を基材上に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、上の樹脂を含む組成物を基材上に、所望の膜厚となるよう塗布して塗布膜を形成できる。
上記の方法により溶剤と樹脂とを含む組成物を成形した後、適宜、加熱処理(プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理)して溶剤を除去することによって、所望の形状に成形された樹脂が得られる。
プレベークの温度は、溶剤の沸点等を考慮して適宜選択される。プレベークは、溶剤が十分に除去される前に、樹脂が硬化すること防ぐために、減圧下に低温で行われてもよい。
プレベークの方法としては、特に限定されず、例えば(i)ホットプレートを用いて80℃以上120℃以下(好ましくは85℃以上100℃以下、より好ましくは85℃以上95℃以下)の温度において60秒以上120秒以下の時間乾燥する方法、(ii)室温において数時間以上数日間以下の範囲内放置する方法、(iii)温風ヒーターや赤外線ヒーター中に数十分以上数時間以下の範囲内の時間、基材を入れて溶剤を除去する方法、のいずれでもよい。
上記のようにして形成された樹脂を加熱(ポストベーク)することにより、樹脂の硬化物が形成される。硬化温度は、樹脂の硬化が良好に進行し、硬化物の熱変性や熱分解が生じない限りにおいて特に限定されない。
硬化温度の上限は、例えば、250℃以下が好ましく、230℃以下が好ましい。硬化温度の下限は、120℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましい。
また、本実施形態の樹脂は低温で硬化させることが可能であり、例えば180℃以下の硬化条件とすることができ、150℃以下の硬化条件とすることができる。
上記方法により、前述の樹脂の硬化物が製造される。
≪マイクロレンズの製造方法≫
以下、上記の樹脂を用いるマイクロレンズの製造方法について説明する。
マイクロレンズの製造方法は、
上記の樹脂を含む組成物を基材上に塗布して得られる樹脂層を加熱により架橋させてレンズ材料層を形成するレンズ材料層形成工程と、
レンズ材料層上にレジストパターンを形成したのち、加熱により前記レジストパターンをリフローさせてレンズパターンを形成するレンズパターン形成工程と、
レンズパターンをマスクとしてレンズ材料層及びレンズパターンをドライエッチングして、レンズパターンの形状を前記レンズ材料層に転写する形状転写工程と、
を含む。
基材としては、フォトダイオード(有機フォトダイオード、無機フォトダイオード等)等を含む画像素子、カラーフィルター層等が設けられたシリコンウェーハ、場合により反射防止膜がさらに形成されたシリコンウェーハ等の基板等が挙げられる。
上記の樹脂を含む組成物は、典型的には、上記の樹脂と溶剤とを含む硬化性組成物である。組成物を基材上に塗布する方法は、特に限定されない。組成物を基材上に塗布する方法の具体例としては、硬化物の製造方法について前述した方法が挙げられる。
形成された塗布膜を、適宜、加熱処理(プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理)して塗膜中の溶剤を除去することによって、樹脂層を形成することができる。
プレベークの具体的な方法についても、硬化物の製造方法について前述した通りである。
レンズ材料層形成工程における硬化温度の上限は、例えば、250℃以下が好ましく、230℃以下が好ましい。硬化温度下限は、120℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましい。
有機フォトダイオードを用いる場合のプロセス構築の観点から、上記レンズ材料層形成工程における加熱温度は、例えば180℃以下の硬化条件とすることができ、150℃以下の硬化条件とすることができる。
形成されるレンズ材料層の膜厚は、好ましくは100nm以上4.0μm以下、より好ましくは400nm以上2.0μm以下の範囲である。
レンズパターン形成工程におけるリフローの加熱条件は、レジストパターン形成に用いられる組成物中の各成分の種類、配合割合、レジストパターンの膜厚等によって異なるが、加熱温度は、例えば、60℃以上150℃以下(好ましくは70℃以上140℃以下)で、加熱時間は、例えば、0.5分以上60分以下(好ましくは1分以上50分以下)程度である。
レジストパターンの膜厚は、好ましくは100nm以上4.0μm以下、より好ましくは400nm以上2.0μm以下の範囲内である。
形状転写工程におけるドライエッチングとしては、特に限定されず、例えば、プラズマ(酸素、アルゴン、CF等)、コロナ放電等によるドライエッチングが挙げられる。
以上の工程を経て、上記の樹脂を用いることにより、屈折率が高く、高温環境下での使用時に寸法変化と透明性の低下とが少ない、マイクロレンズを形成することができる。このため、上記の方法により形成されるマイクロレンズは、種々の用途において好適に用いられる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
下記式のメタクリル酸エステル(M1)35モル%と、下記式のメタクリル酸エステル(M2)35モル%と、下記式のメタクリル酸エステル(M3)30モル%とからなるモノマー混合物100質量部を、フラスコ中でプロピレングリコールモノメチルエーテル100質量部と混合し溶解させた。このフラスコを油浴により内温75℃になるまで加熱し、続いて、フラスコ中に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5質量部のプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液を徐々に滴下した。滴下終了後、温度を維持しながら20時間反応させた。
Figure 2021155760
重合の結果、下記式の構造単位からなる樹脂1を得た。下記式において、括弧の右下の数値は、樹脂中の各構造単位の含有量を意味する。得られた樹脂1の、GPCにより測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量は50000であった。
Figure 2021155760
〔実施例2〜5〕
単量体組成を、下表1に記載の組成に変更することの他は、実施例1と同様にして樹脂を得た。実施例2〜5で得た樹脂について、それぞれ樹脂2〜樹脂5とする。
樹脂2〜樹脂5の重量平均分子量はいずれも、実施例1で得た樹脂1と同様50000であった。
Figure 2021155760
〔実施例6〜10、及び比較例1〕
実施例6〜10では、表2に記載の種類の樹脂99.94質量部と、界面活性剤(PolyFox PF−656(オムノバ社製))0.06質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に、固形分濃度15質量%となるように溶解させて、硬化性組成物を得た。
なお、比較例1では、下記構造の比較樹脂1(重量平均分子量50000)を用いた。下記式において、括弧の右下の数値は、樹脂中の各構造単位の含有量を意味する。
Figure 2021155760
得られた硬化性組成物を、膜厚1μmの硬化膜が形成される膜厚でシリコン基板上に塗布して塗布膜を形成した。形成された塗布膜に対して、90℃90秒のプレベークと、150℃5分のポストベークとを行い、硬化膜を得た。得られた硬化膜の膜厚をT1とする。
次いで、得られた硬化膜を室温にてアセトンに10分間浸漬した後、浸漬後の硬化膜の膜厚を測定した。浸漬後の硬化膜の膜厚をT2とする。
T1及びT2の測定結果に基づいて、下式:
残膜率(%)=T2/T1×100
により残膜率を算出した。算出された残膜率により、以下の基準に従って硬化性を評価した。結果を表2に記す。
(硬化性評価基準)
◎:残膜率が95%以上
○:残膜率が90%以上95%未満
×:残膜率が90%未満
Figure 2021155760
表2によれば、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3を含む樹脂1〜5を用いる実施例6〜10では、90%以上の残膜率を示す程度に、塗布膜を良好に硬化させることができることが分かる。
他方、構造単位A1の代わりに、グリシジルメタクリレートに由来する構造単位を含む比較樹脂1を用いた、比較例1では、形成された硬化膜の残膜率が90%未満であり、実施例ほどには硬化が進行しなかった。
〔実施例11、比較例2、及び比較例3〕
実施例11では、実施例9で用いた樹脂1を含む硬化性組成物を用いた。比較例2では、比較例1で用いた硬化性組成物を用いた。比較例3では、下記構造の比較樹脂2(重量平均分子量50000)100質量部と、熱酸発生剤1質量部とを、固形分濃度15質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得た硬化性組成物を用いた。なお、ここでの熱酸発生剤はKing Industries社製のK−PURE(登録商標)CXC−1821を用いた。
Figure 2021155760
硬化性組成物を、膜厚1μmの硬化膜が形成される膜厚でシリコン基板上、又は塩基性のアミン成分を含むカラーフィルター(CF)上に塗布して塗布膜を形成した。形成された塗布膜に対して、90℃90秒のプレベークと、150℃5分のポストベークとを行い、硬化膜を得た。得られた硬化膜の膜厚をT1とする。
次いで、得られた硬化膜を室温にてアセトンに10分間浸漬した後、浸漬後の硬化膜の膜厚を測定した。浸漬後の硬化膜の膜厚をT2とする。
T1及びT2の測定結果に基づいて、下式:
残膜率(%)=T2/T1×100
により残膜率を算出した。算出された残膜率の値を表3に記す。
Figure 2021155760
表3によれば、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3を含む樹脂1〜を用いる実施例11では、Si基板上であっても、塩基性雰囲気のCF上であっても、同程度の残膜率を示す程度に、塗布膜を良好に硬化させることができることが分かる。
他方、構造単位A1の代わりに、グリシジルメタクリレートに由来する構造単位を含む比較樹脂1を用いた、比較例2では、Si基板上でもCF上でも、形成された硬化膜の残膜率が90%未満であり、実施例ほどに硬化が進行しなかった。
また、グリシジルメタクリレートに由来する構造単位を含む比較樹脂2を用いた比較例3では、熱酸発生剤の使用により、Si基板上では良好に硬化が進行した。しかし、Si基板上での硬化と、塩基性雰囲気のCF上での硬化とで、硬化膜の残膜率に大きな差が生じた。
〔実施例12、及び比較例4〜6〕
実施例12、及び比較例4〜6では、硬化膜の膜厚と、光線透過率とについての熱安定性を評価した。
実施例12では、実施例11と同様に、Si基板上に形成された硬化膜を用いた。比較例4では、比較例2と同様に、Si基板上に形成された硬化膜を用いた。比較例5では、比較例3と同様に、Si基板上に形成された硬化膜を用いた。
比較例6では、下記構造の比較樹脂3(重量平均分子量10000)100質量部を、固形分濃度18質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させて得た硬化性組成物を用いて、実施例11と同様の方法でSi基板上に硬化膜を形成した。形成直後の硬化膜の膜厚T1を測定した。
また、形成直後の硬化膜について、波長400nmの光線の透過率LT1を測定した。
Figure 2021155760
形成された硬化膜を、150℃の恒温槽に入れた後、200時間経過、500時間経過、1000時間経過、2000時間経過の時点で硬化膜を取り出し、それぞれ、膜厚T3と、波長400nmの光線の透過率LT2とを測定した。各時間の測定結果に基づいて、下記式:
膜厚減少率(%)=T3/T1×100
光線透過率減少率(%)=LT2/LT1×100
により、各時間での膜厚減少率と、光線透過率減少率とを求めた。各時間での膜厚減少率と、光線透過率減少率とを表4に記す。
Figure 2021155760
表4によれば、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3を含む樹脂1を用いた実施例12では、硬化膜を150℃で2000時間保持しても、膜厚と光線透過率とが減少しないことが分かる。
他方、構造単位A1の代わりに、グリシジルメタクリレートに由来する構造単位を含む比較樹脂1、比較樹脂2、及び比較樹脂3を用いた、比較例4〜6では、形成された硬化膜では、150℃の保持において、時間の経過とともに、膜厚と光線透過率とが顕著に低下することが分かった。
〔実施例13〜15、及び比較例7〕
単量体組成を、下表5に記載の組成に変更することの他は、実施例1と同様にして樹脂6及び比較樹脂4を得た。なお、表5に記載のM4はスチレンである。
実施例13〜15、及び比較例7では、表5に記載の種類の樹脂99.94質量部と、界面活性剤(PolyFox PF−656(オムノバ社製))0.06質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に、固形分濃度15質量%となるように溶解させて、硬化性組成物を得た。
各硬化性組成物を用いて、実施例6と同様に膜厚1μmの硬化膜を形成し、形成された硬化膜の屈折率を測定した。屈折率の測定結果を表5に記す。
Figure 2021155760
表5によれば、前述の構造単位A1、構造単位A2、及び構造単位A3を含む樹脂1を用いた実施例13〜15では、1.56以上の屈折率を示す硬化膜を形成できることが分かる。
他方、構造単位A3に変えて、ベンゼン環を1つしか含まないスチレンに由来する構造単位を含む比較樹脂4を用いた比較例7では、屈折率1.54程度の硬化膜しか形成できなかった。

Claims (14)

  1. 下記式(a1)で表される構造単位、下記式(a2)で表される構造単位、及び下記式(a3)で表される構造単位、を含む樹脂であって、
    下記式(a3)で表される構造単位が、下記式(a3−1)で表される構造単位である、樹脂。
    Figure 2021155760
    (式(a1)、(a2)、及び(a3)中、Rは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基であり、Rは、単結合、又は炭素原子数1〜5のアルキレン基であり、Rは、ブロックイソシアネート基であり、Rは、2価の炭化水素基であり、Rは、単結合、又は2価の連結基であり、Rは、2以上のベンゼン環を含む有機基である。)
    Figure 2021155760
    (式(a3−1)中、Rは、前記式(a3)と同様であり、R10は、それぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素原子数1〜6の有機基であり、bは、それぞれ0〜4の整数である。)
  2. 前記式(a1)で表される構造単位として、下記式(a1−1)で表される構造単位、下記式(a1−2)で表される構造単位、及び下記式(1−3)で示される構造単位からなる群から選ばれる構造単位の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の樹脂。
    Figure 2021155760
    (式(a1−1)、式(a1−2)及び式(a1−3)中、R、及びRは、前記式(a1)と同様であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1〜12の有機基であり、Rは、それぞれ独立にハロゲン原子、又は炭素原子数1〜6の有機基であり、Rは、それぞれ独立に炭素原子数1〜6の有機基であり、aは、0〜3の整数である。)
  3. 前記Rが、2価の鎖状脂肪族炭化水素基である、請求項1又は2に記載の樹脂。
  4. 前記樹脂の全構造単位中の、前記式(a1)で表される構造単位の割合が15モル%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂。
  5. 前記樹脂の全構造単位中の、前記式(a3)で表される構造単位の割合が30モル%以上50モル%以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂。
  6. 前記式(a1)で表される構造単位のモル数と、前記式(a2)で表される構造単位のモル数との比が、80/100以上100/80以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂。
  7. 重量平均分子量が30000以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂と、溶剤とを含む硬化性組成物。
  9. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂を硬化させてなる硬化物。
  10. 屈折率が1.55以上である、請求項9に記載の硬化物。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂を、所定の形状に成形する成形工程と、
    成形された前記樹脂を加熱により硬化させる硬化工程と、
    を含む硬化物の製造方法。
  12. 前記硬化工程における加熱温度が180℃以下である、請求項11に記載の硬化物の製造方法。
  13. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂を含む組成物を基材上に塗布して得られる樹脂層を加熱により架橋させてレンズ材料層を形成するレンズ材料層形成工程と、
    前記レンズ材料層上にレジストパターンを形成したのち、加熱により前記レジストパターンをリフローさせてレンズパターンを形成するレンズパターン形成工程と、
    前記レンズパターンをマスクとして前記レンズ材料層及び前記レンズパターンをドライエッチングして、前記レンズパターンの形状を前記レンズ材料層に転写する形状転写工程と、
    を含む、マイクロレンズの製造方法。
  14. 前記レンズ材料層形成工程における加熱温度が180℃以下である、請求項13に記載のマイクロレンズの製造方法。

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