JP2021155648A - エネルギー線硬化型インクジェットインク組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー線硬化型白色インクジェットインク組成物は、白色顔料を含むことからインク表面での光反射が起こるためエネルギー線照射への反応性が低く、塗膜硬化性が低下する。本発明の目的は25℃での粘度が15mPa・s以下の低粘度白色インクジェットインク組成物において、硬化性を向上し、さらに、積算光量を小さくした場合、または印刷時の吐出量を増やした場合でも硬化性に優れた印刷物を得ることができる白色インクジェットインク組成物を提供する。【解決手段】エネルギー線硬化型白色インクジェットインク組成物が、重合性化合物として、単官能モノマーと、アクリル当量が150より大きい第一の多官能モノマーと、アクリル当量が150以下の第二の多官能モノマーと、さらに(メタ)アクリル化アミン化合物とを有する。【選択図】 なし

Description

本発明は、インク組成物に関し、詳細にはエネルギー線の照射により硬化するエネルギー線硬化型インクジェットインク組成物に関する。
インクジェット記録方式は、インクヘッドノズルから液状のインクを吐出し、被記録媒体に記録する方式である。インクジェット記録方式で用いられるインクの一つに、エネルギー線硬化型インクジェットインクが挙げられる。この方式では、インクが吐出された後、エネルギー線(例えば紫外線等)の照射によりインク中の重合性化合物が架橋することで、エネルギー線硬化型インクジェットインクは、硬化し、インク層を形成する。エネルギー線硬化型インクジェットインクは、大別すると、有機溶剤や水を含む溶剤系と、有機溶剤や水等を実質的に含まない無溶剤系がある。
エネルギー線硬化型インクジェットインクは、通常、インクヘッドノズルから吐出できる粘度に調整する必要がある。さらに、高精細な印刷物を得るために、吐出するインクの液滴サイズを小さくし、安定して吐出できるように、より低い粘度とすることが要求される。
低い粘度を有するエネルギー線硬化型インクジェットインクを得るための一例として、特許文献1には、重合性化合物は、300以下のアクリル当量を有し、且つ一分子中にエチレン性二重結合を1個有する単官能モノマーと、150以下のアクリル当量を有し、且つ一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する多官能モノマーとのみからなり、前記光重合開始剤は、α-アミノアルキルフェノン系化合物及びチオキサントン系化合物を含有するエネルギー線硬化型インク組成物が記載されている。
また、特許文献2には、重合性化合物として、単官能モノマーと、アクリル当量が150より大きく、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第一の多官能モノマーと、アクリル当量150以下、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーとを有するエネルギー線硬化型インク組成物が記載されている。
特開2009−275175号公報 特開2018−065911号公報
無溶剤系のエネルギー線硬化型インク組成物において、特に白色顔料を含んだインク組成物について、印刷時のインク吐出量が増え、膜厚が厚くなった場合、または硬化時の照射光量が小さくなった場合に硬化性が不足し、塗膜にタック性が生じることから、硬化性のさらなる向上が求められている。
白色顔料を含んだエネルギー線硬化型インクジェットインク組成物は、インク表面での光反射が起こるため、エネルギー線照射への反応性が低く、硬化性が低下すると考えられる。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、低い粘度の白色インクジェットインク組成物において、硬化性が良好で、さらに、印刷時の吐出量を増やした場合、または照射光量が小さな場合でも、硬化性に優れた印刷物を得ることができるインクジェットインク組成物を提供する。
本発明者らは鋭意検討を行ったところ、重合性化合物として、アクリル当量が150より大きく、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第一の多官能モノマー、及びアクリル当量が150以下であり、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーとを特定量含み、さらに(メタ)アクリル化アミン化合物を含むことで、上述の目的を達成し得ることの知見を得た。すなわち、本発明は、以下の好適な態様を提供するものである。
[1]重合性化合物と白色顔料と光重合開始剤とを含む白色インクジェットインク組成物であって、前記重合性化合物は、単官能モノマーと、アクリル当量が150より大きく、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上する第一の多官能モノマーと、アクリル当量150以下、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーと、さらに(メタ)アクリル化アミン化合物を含み、前記第一の多官能モノマーの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して1〜20質量%であり、前記第二の多官能モノマーの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して15〜30質量%である、インクジェットインク組成物。
[2]前記(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して0.1〜15質量%である、[1]に記載のインクジェットインク組成物。
[3]前記(メタ)アクリル化アミン化合物が、一分子中にエチレン性二重結合を2個有し、かつ一分子中にアミノ基を2個有する(メタ)アクリル化アミン化合物である、[1]〜[2]に記載のインクジェットインク組成物。
[4]前記単官能モノマーの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して50質量%以下である、[1]〜[3]に記載のインクジェットインク組成物。
[5]前記単官能モノマーのガラス転移温度が−90℃以上、30℃以下であり、前記第一の多官能モノマーのガラス転移温度が−25℃以上、190℃以下であり、前記第二の多官能モノマーのガラス転移温度が40℃以上、100℃以下である、[1]〜[4]に記載のインクジェットインク組成物。
[6]前記(メタ)アクリル化アミン化合物のアクリル当量が、150より大きい、[1]〜[5]に記載のインクジェットインク組成物。
[7]前記(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量と、前記第一の多官能モノマー及び前記第二の多官能モノマーの合計量との比が1.0:1.1〜1.0:15.0である、[1]〜[6]に記載のインクジェットインク組成物。
[8]前記インクジェットインク組成物は、25℃の粘度が15mPa・s以下である、[1]〜[7]に記載のインクジェットインク組成物。
本発明によれば、低い粘度のエネルギー線硬化型の白色インクジェットインク組成物において、硬化性が良好で、さらに、印刷時の吐出量を増やした場合、または照射光量が小さな場合でも、硬化性に優れたエネルギー線硬化型のインクジェットインク組成物を提供することができる。
以下、本実施形態について説明する。
本実施形態のエネルギー線硬化型インクジェットインク(以下、インクとも言う)組成物は、重合性化合物である単官能モノマー及び多官能モノマーと、光重合開始剤とを少なくとも含む。その他に、着色剤、添加剤などを含む。
重合性化合物は、エネルギー線(紫外線、電子線等)の照射により重合反応が生じ、硬化する化合物である。重合性化合物のうち、単官能モノマーは、一分子中にエチレン性二重結合を1個有し、多官能モノマーは、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する。本実施形態の重合性化合物は、ラジカル重合反応により硬化するラジカル重合性化合物が好ましい。
また、本実施形態のエネルギー線硬化型インク組成物は、無溶剤系であり、溶剤を実質的に含まない。ここで、溶剤を実質的に含まないとは、希釈溶剤を含有させる必要はないが、例えば、工業製品使用時にインクに希釈溶剤が不可避的に混入する場合等があり、インク全質量において含有される溶剤の含有量が3質量%以下であることを意味する。溶剤とは、例えば、アルコール、エーテル、ケトン、芳香族、キシレン等の公知の各種の溶剤を意味する。エネルギー線硬化型インク組成物が無溶剤であることにより、インク層中に揮発性の溶剤の残留がなく、揮発性有機化合物排出を抑制する観点から好ましい。
本実施形態のエネルギー線硬化型インク組成物は、インク組成物を調整する際に、不可避的に混入する場合を除き、水を意図的に添加しないため、水を実質的に含まない。水とは、例えば、脱イオン水、蒸留水、超純水、水道水等を意味する。
<1.重合性化合物>
<1−1.単官能モノマー>
単官能モノマーとしては、具体的には、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ−ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート2-(2-エトキシエトキシエチルアクリレート)ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレートなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。また、上記モノマーは、リンやフッ素などの官能基で置換されていてもよい。
これらの中でも、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシエチルアクリレート)、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、は低粘度であるため、より好ましい。さらに、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートを併用すると、特に好ましい。ヒドロキシル基等官能基を含有する2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートを併用することで、低粘度を保ちつつ、非記録媒体(基材)との密着性を付与できる。
前述したように、単官能モノマーは、2種類以上を併用することができ、1種類は25℃の粘度が10mPa・s以下の単官能モノマーを用い、他の1種類は25℃の粘度が80mPa・s以上の単官能モノマーを用いることができる。これにより、エネルギー線硬化型インクを低粘度とすることができ、且つ、非記録媒体との密着性を向上することができる。
25℃の粘度が10mPa・s以下の単官能モノマーは、具体的には、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、2-(2-エトキシエトキシエチルアクリレート)、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。25℃の粘度が80mPa・s以上の単官能モノマーは、具体的には、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、エトキシ化ノニルフェニルアクリレートが挙げられる。25℃の粘度が80mPa・s以上の単官能モノマーを用いる場合でも、25℃の粘度が10mPa・s以下の単官能モノマーを併用することにより、インクの粘度を低く保ちつつ、インクの非記録媒体への密着性を向上することができる。
さらに、単官能モノマーは、官能基を有する事が好ましく、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基などが挙げられる。これらの官能基を有する事により、非記録媒体との密着性を向上することができる。これらの中でも、ヒドロキシル基が特に好ましく、より密着性を向上することができる。
また、単官能モノマーのガラス転移温度Tgは、−90℃以上30℃以下であることが好ましい。これにより塗膜に適度な硬さ(塗膜強度)や延伸性を付与できる。
<1−2.多官能モノマー>
多官能モノマーは、アクリル当量が150より大きく、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第一の多官能モノマーと、アクリル当量が150以下、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーを含む。本実施形態で用いる重合性化合物の多官能モノマーは、第一の多官能モノマーと第二の多官能モノマーとの2種類で構成される。
多官能モノマーとして、第一の多官能モノマーと第二の多官能モノマーを用いることにより、塗膜の延伸性と硬度を両立することができる。また、前記多官能モノマーを用いることで、塗膜の硬化性が向上する。
アクリル当量は、以下により算出される。
(アクリル当量)=(モノマーの分子量/モノマーの官能基数)
アクリル当量により、同一分子量であれば、アクリル当量が低いモノマー類ほど、一分子中にアクリル基を多く有している。また、同一のアクリル基数を有するモノマー類でも、低分子量であるほど、アクリル当量は高くなる。従って、アクリル当量が低いモノマー類ほど、分子内に架橋点を多く有し、反応性が高く、アクリル当量が高いモノマー類ほど、反応性が低く、また高分子量となるため増粘しやすい傾向がある。上記観点から、重合性化合物の多官能モノマーとして、第一の多官能モノマーと第二の多官能モノマーを特定量含むことで、低粘度と高反応性とが両立したインク組成物が得られ、塗膜強度が向上する。
<1−2−1.第一の多官能モノマー>
一分子中にエチレン性二重結合を2個有する第一の多官能モノマーとしては、具体的には、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレートなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。
一分子中にエチレン性二重結合を3個以上有する第一の多官能モノマーとしては、具体的には、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクレートなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。
上記多官能モノマーの中でも、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレートが好ましい。これらの多官能モノマーを用いることで、インクを低粘度に保ち、且つ、塗膜の硬度及び硬化性を高くする事ができる。
また、第一の多官能モノマーのガラス転移温度Tgは、−25℃以上190℃以下であることが好ましく、0℃以上190℃以下がより好ましい。これにより塗膜の硬度及び硬化性を高くすることができる。
<1−2−2.第二の多官能モノマー>
一分子中にエチレン性二重結合を2個有する第二の多官能モノマーとしては、具体的には、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、シキロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。
一分子中にエチレン性二重結合を3個以上有する多官能モノマーとしては、具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、及びこれらのエチレンオキサイド変性、プロピレンオキサイド変性、カプロラクトン変性体などが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。
上記多官能モノマーの中でも、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、が好ましい。これらの多官能モノマーを用いることで、インクを低粘度に保ち、塗膜の硬化性を向上する事ができる。
また、第二の多官能モノマーのガラス転移温度Tgは、40℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上80℃以下がより好ましい。これにより塗膜の硬度及び硬化性を高くすることができる。
上記第一の多官能モノマーと第二の多官能モノマーの中でも、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートと1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートの組合せが好ましい。これにより、インクの粘度を低粘度、且つ、塗膜の硬度及び硬化性を高くすることができる。
<1−2−3.(メタ)アクリル化アミン化合物>
本発明のインク組成物が(メタ)アクリル化アミン化合物を含有することにより、インク組成物の硬化性が向上し、塗膜のタック性や基材との密着性が向上する。また、印刷時のインク組成物の吐出量を増やした場合、または硬化時の照射光量が小さな場合でも、十分な硬化性を付与することができる。
(メタ)アクリル化アミン化合物は、アミノ基及び(メタ)アクリロイル基をそれぞれ1個以上有する化合物である。上記(メタ)アクリロイル基が前記単官能モノマー、または前記多官能モノマーと共に重合する。(メタ)アクリル化アミン化合物としては、多官能(メタ)アクリレートとアミン化合物とを反応させて得られる(メタ)アクリル化アミン化合物が好ましい。また、一分子中に2個のエチレン性二重結合を有し、かつ一分子中に2個のアミノ基を有する(メタ)アクリル化アミン化合物を含有することがより好ましい。
2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチル−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−エチル−2−ブチルプロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレートが好ましい。
3官能の(メタ)アクリレートの具体例として、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート等を挙げることができる。
4官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
5官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
6官能の(メタ)アクリレートの具体例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、アミン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ベンジルアミン、フェネチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、n−ペンチルアミン、イソペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミン、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール等の単官能アミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、メンタンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシルノメタン、イソフォロンジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、エタノールジアミン、及びスピロアセタール系ジアミン等の多官能アミン化合物を挙げることができる。また、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、及びポリアリルアミン等の高分子量タイプの多官能アミン化合物も挙げられる。
(メタ)アクリル化アミン化合物の市販品としては、例えばサートマー社製「CN371」(商品名)、サイテック社製「EBECRYL 7100」、「EBECRYL81」(商品名)、Qualipoly Chemical Corporation社製「GC1100Z」、「GC1000W」(商品名)等が挙げられる。(メタ)アクリル化アミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、2官能(メタ)アクリレートとアミン化合物とを反応させて得られる、一分子中に2個のエチレン性二重結合を有し、かつ一分子中に2個のアミノ基を有する(メタ)アクリル化アミン化合物が好ましく、例えば、1,6−ヘキサンジ(メタ)アクリレートとアミン化合物とを反応させて得られる化合物が好適に使用される。
市販品としてはCN371(サートマー社製)、EBECRYL 7100(ダイセルオルネクス社製)、GC1100Z(Qualipoly Chemical Corporation社製)等が挙げられる。(メタ)アクリル化アミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル化アミン化合物のガラス転移温度Tgは、硬化性及び密着性の観点から−50℃以上、0℃以下であることが好ましく、−30℃以上、0℃以下がさらに好ましい。
(メタ)アクリル化アミン化合物のアクリル当量は、硬化性及び密着性の観点から150より大きいことが好ましく、吐出性の観点から200以上、700以下がより好ましい。
<1−3.各重合性化合物の含有量について>
インク組成物中の重合性化合物の含有量は、インク組成物全体に対して、70質量%以上、90質量%以下が好ましく、78質量%以上、88質量%以下がより好ましい。上記重合性化合物の含有量の範囲であれば、低粘度を維持しつつ、高い硬化性及び密着性を有するインクを得ることができる。
また、単官能モノマーの含有量は、インク組成物全体に対して、50質量%以下、30質量%以上が好ましく、49質量%以下、35質量%以上がより好ましい。単官能モノマーの含有量が50質量%以下であれば、高反応性の多官能モノマーをその分含有させることができ、低粘度を実現しつつ、硬化性及び密着性を向上することができる。
第一の多官能モノマーの含有量は、インク組成物全体に対して、1質量%以上、20質量%以下が好ましく、3質量%以上、20質量%以下がより好ましく、11質量%以上、18質量%以下がさらに好ましい。第一の多官能モノマーを前述の含有量とする事により、優れた硬化性及び塗膜強度を付与できる。
第二の多官能モノマーの含有量は、インク組成物全体に対して、15質量%以上、30質量%以下が好ましく、17質量%以上、28質量%以下がより好ましい。第二の多官能モノマーを前述の含有量とする事により、塗膜の硬化速度が向上し、優れた硬化性及び塗膜強度を付与できる。
また、重合性化合物中の多官能モノマーの割合は、重合性化合物全体に対して、30%以上、62%以下が好ましく、40%以上、60%以下がより好ましい。
重合性化合物中の第一の多官能モノマーの割合は、重合性化合物全体に対して、1%以上、25%以下が好ましい。さらに、重合性化合物中の第二の多官能モノマーの割合は、20%以上、40%以下が好ましい。
重合性化合物中の単官能モノマーと多官能モノマーとの割合は、単官能モノマーの含有量と多官能モノマーの含有量との質量比(単官能モノマー/多官能モノマー)で0.70〜3.00が好ましく、0.80〜2.50がより好ましい。
多官能モノマー中のアクリル当量が150より大きい第一の多官能モノマーとアクリル当量が150以下の第二の多官能モノマーとの割合は、第一の多官能モノマーの含有量と第二の多官能モノマーの含有量との質量比(第二の多官能モノマー/第一の多官能モノマー)で0.10〜20.00が好ましく、1.00〜19.00がより好ましい。
(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量は、インク組成物全体に対して0.1〜15質量%、好ましくは2〜12質量%である。(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量がインク組成物全体に対して0.1質量%未満であると、インク組成物の硬化性が不足し、15質量%を超えると、インク粘度を低くすることが出来なくなる。
(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量と、前記第一の多官能モノマー及び前記第二の多官能モノマーの合計量との比が1.0:1.1〜1.0:15.0であることが好ましく、1.0:1.5〜1:13.0であることがより好ましく、1.0:2.8〜1.0:13.0であることがより好ましい。上記範囲であると、インク組成物の硬化性が向上する。
以上のように、重合性化合物として、単官能モノマー、アクリル当量が150より大きい第一の多官能モノマー、アクリル当量が150以下の第二の多官能モノマー、(メタ)アクリル化アミン化合物を含むことで、溶剤を実質的に含まないエネルギー線硬化型のインクジェットインクにおいて、低粘度であり、且つ、硬化性に優れたエネルギー線硬化型のインクジェットインクを提供することができる。また、上記により優れた密着性及び塗膜強度を塗膜に付与できる。
<2.光重合開始剤>
光重合開始剤としてアルキルフェノン系化合物、チオキサントン系化合物のうち少なくとも一つを含有する。これにより、エネルギー照射によりインク組成物の重合を開始させることができる。
アルキルフェノン系化合物としては、α−アミノアルキルフェノン系又はベンジルメチルケタール系が挙げられ、具体的には、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メトキシチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−2−オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なアルキルフェノン系化合物としては、チバ社製のIrgacure 369、Irgacure 907、Irgacure 651などが挙げられる。
チオキサントン系化合物としては、具体的には、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン,2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なチオキサントン系化合物としては、日本化薬社製のKAYACURE DETX−S、ダブルボンドケミカル社製のChivacure ITXなどが挙げられる。
インク組成物中の光重合開始剤の含有量は、組成物全体に対して、8質量%以上、15質量%以下が好ましく、10質量%以上、13質量以下%がより好ましい。
インク組成物は、上記以外に、アシルホスフィンオキサイド系化合物、アリールアルキルケトン、オキシムケトン、アシルホスフィンオキサイド、アシルホスホナート、チオ安息香酸S−フェニル、チタノセン、芳香族ケトン、ベンジル、キノン誘導体、ケトクマリン類などの従来公知の光重合開始剤をさらに含有してもよい。
これらの光重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン1,2−オクタンジオン−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
市場で入手可能なアシルホスフィンオキサイド系化合物としては、BASF社製のIRGACURE TPO、IGM Resins社製のOmnirad TPOなどが挙げられる。
<3.着色剤>
着色材として、従来公知の各種染料を使用してもよいが、耐候性の観点より、無機顔料、有機顔料のいずれかまたは両方を使用することが好ましい。
無機顔料としては、具体的には、酸化チタン、亜鉛華、酸化亜鉛、トリポン、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、クロムバーミリオン、モリブデートオレンジ、黄鉛、クロムイエロー、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ピリジアン、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、群青、ウルトラマリンブルー、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、マイカなどが挙げられる。
有機顔料としては、具体的には、アゾ系、アゾメチン系、ポリアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、インジゴ系、チオインジゴ系、キノフタロン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系の有機顔料などが挙げられる。さらに、架橋したアクリル樹脂の中空粒子なども有機顔料として用いてもよい。
ホワイト色を有する顔料としては、具体的には、ピグメントホワイト6,18,21が例示でき、塩基性炭酸鉛(2PbCO3Pb(OH)2、いわゆる、シルバーホワイト)、酸化亜鉛(ZnO、いわゆる、ジンクホワイト)、酸化チタン(TiO2、いわゆる、チタンホワイト)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3、いわゆる、チタンストロンチウムホワイト)などが挙げられる。これらの中でも、酸化チタンは、他の白色顔料と比べて比重が小さく、屈折率が大きく化学的、物理的にも安定であるため、顔料としての隠蔽力や着色力が大きく、さらに、酸やアルカリ、その他の環境に対する耐久性にも優れている。したがって、白色顔料としては酸化チタンを利用することがより好ましい。
インク組成物中の着色材の含有量は、インク組成物全体に対して、1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましく、1〜9質量%がさらに好ましい。
着色材として顔料が用いられる場合、顔料の分散性を向上させるため、顔料誘導体や顔料分散剤をさらに使用してもよい。
顔料誘導体としては、具体的には、ジアルキルアミノアルキル基を有する顔料誘導体、ジアルキルアミノアルキルスルホン酸アミド基を有する顔料誘導体などが挙げられる。
顔料分散剤としては、具体的には、イオン性または非イオン性の界面活性剤や、アニオン性、カチオン性またはノニオン性の高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、分散安定性の点から、カチオン性基またはアニオン性基を含む高分子化合物が好ましい。市場で入手可能な顔料分散剤としては、ルーブリゾール社製のSOLSPERSE、ビックケミー社製のDISPERBYK、エフカアディティブズ社製のEFKAなどが挙げられる。
インク組成物中の顔料誘導体及び顔料分散剤の含有量はそれぞれ、インク組成物全体に対して、0.05〜5質量%が好ましい。
<4.添加剤>
<4−1.表面調整剤>
表面調整剤として、ポリジメチルシロキサン構造を有するシリコーン系化合物を含有できる。上記重合性化合物とともに、表面調整剤として上記シリコーン系化合物を使用すればインクの表面張力などの液物性をインクジェット記録方式に適した範囲に調整することができる。
上記シリコーン系化合物としては、具体的には、ビックケミー社製のBYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−UV3570、デグサ社製のTego−Rad2100、Tego−Rad2200N、Tego−Rad2250、Tego−Rad2300、Tego−Rad2500、Tego−Rad2600、Tego−Rad2700、共栄社化学社製のUCR−L72、UCR−L93が好ましい。これらは、分子内にエチレン性二重結合を有するポリジメチルシロキサン構造を含んでいるため、さらに密着性を向上できる。
インク組成物中の上記シリコーン系化合物の含有量は、インク組成物全体に対して、0.005質量%以上、1質量%以下が好ましい。
<4−2.ゲル化防止剤>
ゲル化防止剤として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル基を有するヒンダードアミン系化合物をさらに含有することが好ましい。高反応性の重合性化合物及び光重合開始剤とともに、上記ヒンダードアミン系化合物をゲル化防止剤として使用すれば、インクの反応性を低下させることなく、保存安定性に優れたインクを得ることができる。上記ゲル化防止剤としては、具体的には、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニ−4−イル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシ、デカン二酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルなどが挙げられる。これらは単独でまたは複数混合して使用してもよい。市場で入手可能なゲル化防止剤としては、チバ社製のIRGASTAB UV−10、TINUVIN 123、エボニックデグサジャパン社製, HYDROXY−TEMPOなどが挙げられる。
インク組成物中の上記ゲル化防止剤の含有量は、インク組成物全体に対して、0.1質量%以上、4質量%以下が好ましい。ゲル化防止剤の含有量が0.1質量%未満では、保存時に発生するラジカルを十分に捕捉することができず、保存安定性が低下する傾向がある。一方、ゲル化防止剤の含有量が4質量%より多い場合、ラジカルを捕捉する効果が飽和するとともに、エネルギー線照射時の重合反応が阻害される傾向がある。
ゲル化防止剤として、他のヒンダードアミン系化合物や、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ハイドロキノンモノアルキルエーテルなどをさらに含有してもよい。このようなゲル化防止剤としては、具体的には、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、チバ社製のTINUVIN 111 FDL、TINUVIN 144、TINUVIN 292、TINUVIN XP40、TINUVIN XP60、TINUVIN 400などが挙げられる。
<4−3.その他添加剤>
本実施の形態のインク組成物には、さらに必要により、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、電荷付与剤、殺菌剤、防腐剤、防臭剤、電荷調整剤、湿潤剤、皮はり防止剤、香料などの公知の一般的な添加剤を、任意成分として配合してもよい。
<4−4.インクの粘度>
本実施の形態によれば、単官能モノマーと、アクリル当量が150より大きく、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第一の多官能モノマーと、アクリル当量が150以下且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーとを特定量含み、さらに(メタ)アクリル化アミン化合物から重合性化合物が構成されるため、25℃において、15mPa・s以下の低粘度のインク組成物を調製することができる。インク組成物の粘度は、吐出性の観点から、25℃の粘度が15mPa・s以下が好ましく、6〜14mPa・sがより好ましく、8〜13mPa・sがさらに好ましい。
<5.調整方法について>
インクの調製方法としては、従来から公知の調製方法を使用できるが、着色材として顔料を用いる場合、以下の調製方法が好ましい。
まず、着色材と、重合性化合物の一部と、必要により顔料分散剤とをプレミックスした混合液を調製し、この混合液を分散機により分散させて、一次分散体を調製する。分散機としては、具体的には、ディスパ;ボールミル、遠心ミル、遊星ボールミルなどの容器駆動媒体ミル;サンドミルなどの高速回転ミル;撹拌槽型ミルなどの媒体撹拌ミルなどが挙げられる。
次に、一次分散体に、残りの重合性化合物と、光重合開始剤と、表面調整剤と、必要によりゲル化防止剤などの他の添加剤とを添加し、撹拌機を用いて均一に混合する。撹拌機としては、具体的には、スリーワンモーター、マグネチックスターラー、ディスパ、ホモジナイザーなどが挙げられる。また、ラインミキサーなどの混合機を用いて、インク組成物を混合してもよい。さらに、インク組成物中の粒子をより微細化する目的でビーズミルや高圧噴射ミルなどの分散機を用いて、インク組成物を混合してもよい。
着色材として顔料を使用する場合、インク組成物中の顔料粒子の分散平均粒子径は20〜250nmが好ましく、50〜230nmがより好ましい。
また、本実施の形態のインク組成物は、希釈溶剤で希釈する必要がなく、加温しなくても、低粘度であり、さらに着色材が顔料である場合の顔料分散性も良好で、保存時や使用時の粘度上昇、または顔料の沈降などの支障をきたさない良好な分散安定性を有している。このため、インクジェット記録方式において、インクを加温することなく、室温で安定な吐出が得られる。
<6.その他について>
インクジェット記録方式としては、特に限定されるものではないが、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えてインクに照射する放射圧を利用した音響インクジェット記録方式、インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット記録方式などが挙げられる。なお、上記インクジェット記録方式には、フォトインクと呼ばれる低濃度のインクを微小体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式、無色透明のインクを用いる方式などが含まれる。
本実施の形態において、照射手段としては、水銀灯やメタルハライドランプ、LEDランプなどの紫外線照射手段が挙げられる。本実施の形態のインク組成物であれば、紫外線の積算光量として、200mJ/cm2以下の低エネルギーを利用することもできる。
エネルギー線は、記録媒体上にインク組成物を吐出した後、1〜1,000ms経過するまでの間にインク組成物に照射するのが好ましい。経過時間が1ms未満の場合、ヘッドと光源との距離が近くなり、ヘッドにエネルギー線が直接照射されて不測の事態を招く虞がある。一方、経過時間が1,000msを超えると、本発明のインク組成物に加えシアン色、マゼンタ色、イエロー色等の他色を利用する場合に、インク滲みが生じ、画質が劣化する傾向がある。
以下、実施例に基づき、さらに具体的に説明するが、本実施形態はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下で「部」とあるのは「質量部」を意味する。
各実施例及び比較例で用いたインク組成物の成分を以下の表1に示す。
Figure 2021155648
[インク組成物の調製]
実施例1〜13、比較例1〜8を表2〜3に示されるインク組成物の配合量の通り、調整された。尚、表2〜3の表示は、表1の記載と対応する。
100ccのプラスチック製ビンに、着色材、顔料分散剤、及び単官能モノマーを表2に示す配合量で計り取り、これにジルコニアビーズ100部を加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機社製)により2時間分散して、一次分散体を得た。次に、得られた一次分散体に、表2に示す配合量で残りの成分を加え、マグネチックスターラーにより混合物を30分撹拌した。撹拌後、グラスフィルター(桐山製作所製)を用いて、混合物を吸引ろ過し、インク組成物を調製した。
Figure 2021155648
Figure 2021155648
[評価]
以上のようにして調製した実施例及び比較例の各インク組成物について、粘度を測定した。さらに、実施例及び比較例の各インク組成物を用いて、被記録媒体に記録した塗膜(印字膜)について、密着性、塗膜強度及び硬化性を評価した。表2に示される各実施例及び比較例の評価結果を表4〜5に示す。また、各項目について以下に示す方法で評価した。
〔粘度〕
R100型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃、コーンの回転数20rpmの条件下で、粘度を測定した。
〇:15mPa・s以下
×:16mPa・s以上
〔密着性〕
ポリ塩化ビニル(PVC)からなる各フィルムの被記録媒体上に、インク組成物を印刷して、厚さ2μmの印字膜を形成した。この印字膜に、照射手段としてメタルハライドランプを用い、トータル照射光量が200mJ/cm2となるように、紫外線を照射して硬化させた。
このように硬化させた印字膜を、JIS−K−5400に準じて、セロテープ(登録商標)による剥離状態を確認する碁盤目試験(1mm角,100個)を実施した。100個中の剥離数を調べ、下記の基準で評価した。
〇:碁盤目試験にて剥離数が10個以下
×:碁盤目試験にて剥離数が21個以上
〔塗膜強度〕
アクリル板の被記録媒体上に、インク組成物を印刷して、厚さ2μmの印字膜を形成した。この印字膜に、照射手段としてメタルハライドランプを用い、トータル照射光量が200mJ/cm2となるように紫外線を照射して、硬化させた。
このように硬化させた印字膜の鉛筆硬度を測定し、下記の基準で評価した。なお、日本工業規格(JIS)K5400に規定された鉛筆硬度の測定方法に基づき、新東科学社製の表面性試験機“HEIDON−14DR”を用いて測定した。
〇:鉛筆硬度4H以上
×:鉛筆硬度4H未満
〔硬化性〕
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなるフィルムの被記録媒体上に、インク組成物を印刷して、厚さ2μm、20μmの条件となるよう印字膜をそれぞれ形成した。この印字膜に、照射手段としてメタルハライドランプを用い、トータル照射光量が200mJ/cm2、100mJ/cm2の条件でそれぞれ紫外線を照射して、硬化させた。印字膜の形成条件を以下に示す。
硬化性1:厚さ2μm、トータル照射光量200mJ/cm2
硬化性2:厚さ2μm、トータル照射光量100mJ/cm2
硬化性3:厚さ20μm、トータル照射光量200mJ/cm2
このように硬化させた印字膜を指及び爪で触り、指及び爪へのインク付着の有無を目視で調べ、下記の基準で評価した。
〇:指及び爪にインクが付着せず、爪で擦っても印字膜表面に傷がつかない
×:指にインクが付着する
Figure 2021155648
Figure 2021155648
上記表4に示すように、重合性化合物として、単官能モノマーと、150より大きいアクリル当量を有し、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第一の多官能モノマーと、150以下のアクリル当量を有し、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーとを特定量含有し、さらに(メタ)アクリル化アミン化合物を含有する本発明のインク組成物は、25℃で15mPa・s以下の粘度を有する。
表2及び表4の実施例1〜13で示されるように、本発明により、低粘度であり、且つ、積算光量を小さくした場合、または吐出量を増やした場合でも、硬化性に優れたエネルギー線硬化型の白色インクジェットインク組成物を得ることができる。また、本発明のインク組成物は低粘度であることから、吐出安定性に優れ、高精細な印刷物を提供する事ができる。
一方、表3及び表5の比較例1〜7では、粘度及び密着性、塗膜強度、硬化性の何れかで劣る結果となった。(メタ)アクリル化アミン化合物を15質量%より多く含む比較例8は、低粘度を達成することができなかった。

Claims (8)

  1. 重合性化合物と白色顔料と光重合開始剤とを含む白色インクジェットインク組成物であって、
    前記重合性化合物は、
    単官能モノマーと、
    アクリル当量が150より大きく、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第一の多官能モノマーと、
    アクリル当量150以下、且つ、一分子中にエチレン性二重結合を2個以上有する第二の多官能モノマーと、
    さらに(メタ)アクリル化アミン化合物を含み、
    前記第一の多官能モノマーの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して1〜20質量%であり、
    前記第二の多官能モノマーの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して15〜30質量%である、インクジェットインク組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して0.1〜15質量%である、請求項1に記載のインクジェットインク組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル化アミン化合物が、一分子中にエチレン性二重結合を2個有し、かつ一分子中にアミノ基を2個有する(メタ)アクリル化アミン化合物である、請求項1〜2に記載のインクジェットインク組成物。
  4. 前記単官能モノマーの含有量が、前記インクジェットインク組成物全体に対して50質量%以下である、請求項1〜3に記載のインクジェットインク組成物。
  5. 前記単官能モノマーのガラス転移温度が−90℃以上、30℃以下であり、
    前記第一の多官能モノマーのガラス転移温度が−25℃以上、190℃以下であり、
    前記第二の多官能モノマーのガラス転移温度が40℃以上、100℃以下である、請求項1〜4に記載のインクジェットインク組成物。
  6. 前記(メタ)アクリル化アミン化合物のアクリル当量が、150より大きい、請求項1〜5に記載のインクジェットインク組成物。
  7. 前記(メタ)アクリル化アミン化合物の含有量と、前記第一の多官能モノマー及び前記第二の多官能モノマーの合計量との比が1.0:1.1〜1.0:15.0である、請求項1〜6に記載のインクジェットインク組成物。
  8. 前記インクジェットインク組成物は、25℃の粘度が15mPa・s以下である、請求項1〜7に記載のインクジェットインク組成物。
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