JP2021154510A - 印刷方法及び印刷装置 - Google Patents

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勝 大西
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勝 大西
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Abstract

【課題】環境温度の変化や時間の経過があっても、媒体と着色インク層との安定的な接着を保つことができる印刷方法を提供する。【解決手段】媒体50と着色インク層との間にプライマーインクの層を形成する印刷方法であって、エネルギー線の照射により定着する第1のプライマーインクをインクジェット方式により媒体50上に印刷して第1プライマーインク層を形成する第1プライマーインク層形成ステップと、エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により印刷して着色インク層を積層形成する着色インク層形成ステップと、を実行し、第1のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が媒体の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットプリンタによる印刷媒体への着色インクの印刷に際し、着色インクの下地として媒体上にプライマーインクを印刷する印刷方法及び印刷装置に関する。
紫外線を照射して、モノマーやオリゴマーを重合し、樹脂を硬化させるUV硬化インクは、現在のインクジェットプリンタの分野では最も一般的なインクの一つになっている。UV硬化インクは、従来のソルベントインク、水性インク、ラテックスインクなどでは滲みのために印刷できなかった、無処理PETフィルム、アクリル板、金属板などの印刷媒体に幅広く印刷できるという特長がある。
UV硬化インクとしては、大きく分けてラジカル重合タイプとカチオン重合タイプのものが主に用いられている。特に、コストやインクの種類の多さの観点から、カチオン重合タイプのインクがインクジェットプリンタ用インクの主流となっている。
UV硬化インクを媒体に印刷するに際しては、媒体の種類や表面状態などにより、媒体へのインクの接着性が良くない場合がある。そのような場合に、接着性を改善し印刷可能な媒体の対象を拡げる方法の一つとして、媒体上に接着剤の役割をするUV硬化型のプライマーインクを印刷し、その上にUV硬化インクを印刷するという方法が挙げられる。
特開2004−330550号公報
従来のUV硬化型のプライマーインクは、硬化後はそのほとんどが有機樹脂からなっているため、印刷媒体に用いられる、金属、ガラス、石、セメント及びセラミックなどの無機物に比べて熱膨張率が10〜100倍程度大きい。特にラジカル重合タイプでは硬化時に収縮する性質を持っており、収縮時の歪を持ったまま固着されることが多いため、熱膨張率の低い媒体、例えば、無機物や硬く厚い板状の媒体などにプリントすると、環境温度の変化や経時変化により、プライマーインクの層に上塗りされる着色インクに、剥離やひび割れを生じさせるおそれがある。
そこで本発明は、上記の課題を解決可能な印刷方法及び印刷装置を提供することを目的とする。
本発明の印刷方法は、媒体と着色インク層との間にプライマーインクの層を形成する印刷方法であって、エネルギー線の照射により定着する第1のプライマーインクをインクジェット方式により媒体上に印刷して第1プライマーインク層を形成する第1プライマーインク層形成ステップと、エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により印刷して着色インク層を積層形成する着色インク層形成ステップと、を実行し、第1のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が媒体の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有することを特徴とする。
このように、定着後の熱膨張率が、媒体の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、熱膨張率の低い無機体質顔料を第1のプライマーインクが含有することで、含有しない場合より第1のプライマーインクの熱膨張率が低くなる。これにより、媒体の熱膨張率と当該媒体上に形成され定着した第1プライマーインク層の熱膨張率との差が小さくなるため、環境温度の変化や経時変化に起因する第1プライマーインク層のひび割れや媒体からの剥離が生じにくくなり、媒体と第1プライマーインク層との熱膨張率の違いにより生じる接着力の低下を緩和することができる。
また、第1のプライマーインクが無機体質顔料を含むことで、定着した第1プライマーインク層は多孔質な層となり、かつ、表面に体質顔料の粒子が露出することで非常に細かい凹凸面が形成される。そのため、第1プライマーインク層上に印刷される着色インクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第1プライマーインク層と着色インク層との接着力が増す。これにより、第1プライマーインク層と着色インク層との熱膨張率の違いにより生じる接着力の低下を緩和することができる。
そのため、これらの相乗効果により媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
第1プライマーインク層形成ステップと着色インク層形成ステップとの間に、エネルギー線の照射により定着する第2のプライマーインクをインクジェット方式により第1プライマーインク層の上に印刷して第2プライマーインク層を形成する第2プライマーインク層形成ステップを実行してもよい。
第1プライマーインク層は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第1プライマーインク層上に印刷される第2プライマーインクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との接着力が増す。これにより、第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との熱膨張率の違いにより生じ得る接着力の低下を緩和することができる。一方、着色インク層との関係では、第2プライマーインク層は無機体質顔料を含まないため、着色インク層との熱膨張率の差が小さく、熱膨張率の差が大きい場合における接着力低下の問題が生じにくい。
したがって、全体として媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
第2のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が第1プライマーインク層の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有してもよい。
このように、定着後の熱膨張率が、第1プライマーインク層の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、熱膨張率の低い無機体質顔料を第2のプライマーインクが含有することで、形成され定着した第2プライマーインク層の熱膨張率と第1プライマーインク層の熱膨張率との差が小さくなるため、環境温度の変化や経時変化により第2プライマーインク層のひび割れや媒体からの剥離が生じにくくなり、第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との接着の安定性が高まる。
また、第1プライマーインク層は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第1プライマーインク層上に印刷される第2プライマーインクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、これにより第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との接着の安定性が更に高まる。
一方、着色インク層との関係では、第2プライマーインク層は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第2プライマーインク層上に印刷される着色インクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第2プライマーインク層と着色インク層との接着力が増す。これにより、第2プライマーインク層と着色インク層との熱膨張率の違いにより生じ得る接着力の低下を緩和することができる。
したがって、全体として媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
プライマーインク層は3層以上形成してもよい。すなわち例えば、含有する無機体質顔料の体積比率がそれぞれ異なる、エネルギー線の照射により定着する複数のプライマーインクを用い、複数のプライマーインクのそれぞれを、無機体質顔料の体積比率が高い順にインクジェット方式で順次印刷し媒体上に積層することで、複数のプライマーインク層を形成するプライマーインク層形成ステップと、エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により複数のプライマーインク層上に印刷して着色インク層を形成する着色インク層形成ステップと、を実行し、複数のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が媒体の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含む印刷方法を採用してもよい。
印刷媒体とインク層との間に、両者の熱膨張率の間の熱膨張率をもつ1層又は2層のプライマーインク層を形成するだけでも、上記のように熱膨張率の差による接着性の低下を緩和することができるが、プライマーインク層の数を増やすことで、媒体及び各層間での熱膨張率の差を小さくすることができるため、プライマーインクに無機体質顔料を含有させることにより得られる効果が接着力の向上に、より効果的に反映される。
プライマーインクは、溶媒を含み、エネルギー線の照射により発熱し溶媒が瞬間的に蒸発して定着するインクであってもよい。
このようなインクでは、インクの主成分である溶媒を蒸発させることから、吐出ヘッドから吐出されたインクのうち媒体上に残る割合が小さいため、形成される層の厚みが、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクで形成された層と比べて数分の一に低減されるという特徴がある。そのため、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクにおいて生じる硬化時の収縮等によるカールやコッキングが生じにくいことから、厚みが薄いフィルム材料などの媒体に対しても本発明のプライマーインク層を形成し、媒体と着色インク層との接着力の向上を図ることができる。
また、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクでは、媒体への着弾の直後にエネルギー線を照射するため、インクのドットが広がる前にインクが硬化して個々のドットが凸状になって、プライマーインク層に上塗りして形成される画像の平滑性や透明度が低下するという問題が生じるが、溶媒を蒸発させて定着させるインクでは、表面に大きな凹凸は生じず、平滑かつ透明な画像を形成することができる。
着色インクは、溶媒を含み、エネルギー線の照射により発熱して溶媒が蒸発し定着するインクであってもよい。
着色インクに、このようなインクを採用することで、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクを採用した場合と比べ、着色インク層の厚みが数分の一に低減するため、着色インク層が媒体から一層剥離し難くなる。
本発明の印刷装置は、媒体と着色インク層との間にプライマーインクの層を形成する印刷装置であって、エネルギー線を発生するエネルギー線発生部と、エネルギー線の照射により定着する第1のプライマーインクをインクジェット方式により吐出する第1プライマーインク吐出ヘッドと、エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により吐出する着色インク吐出ヘッドと、第1プライマーインク吐出ヘッドに第1のプライマーインクを吐出させて、媒体上に第1プライマーインク層を形成し、着色インク吐出ヘッドに着色インクを吐出させて、着色インク層を積層形成する制御を行う制御部と、を備え、第1のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が媒体の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有することを特徴とする。
このように、定着後の熱膨張率が、媒体の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、熱膨張率の低い無機体質顔料を第1のプライマーインクが含有することで、含有しない場合より第1のプライマーインクの熱膨張率が低くなる。これにより、媒体の熱膨張率と当該媒体上に形成され定着した第1プライマーインク層の熱膨張率との差が小さくなるため、環境温度の変化や経時変化に起因する第1プライマーインク層のひび割れや媒体からの剥離が生じにくくなり、媒体と第1プライマーインク層との熱膨張率の違いにより生じる接着力の低下を緩和することができる。
また、第1のプライマーインクが無機体質顔料を含むことで、定着した第1プライマーインク層は多孔質な層となり、かつ、表面に体質顔料の粒子が露出することで非常に細かい凹凸面が形成される。そのため、第1プライマーインク層上に印刷される着色インクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第1プライマーインク層と着色インク層との接着力が増す。これにより、第1プライマーインク層と着色インク層との熱膨張率の違いにより生じる接着力の低下を緩和することができる。
そのため、これらの相乗効果により媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
エネルギー線の照射により定着する第2のプライマーインクをインクジェット方式により吐出する第2プライマーインク吐出ヘッドを更に備え、制御部は、第1プライマーインク層の形成後、着色インク層の形成前に、第2プライマーインク吐出ヘッドに第2のプライマーインクを吐出させて、第1プライマーインク層の上に第2プライマーインク層を形成する制御を行ってもよい。
第1プライマーインク層は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第1プライマーインク層上に印刷される第2プライマーインクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との接着力が増す。これにより、第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との熱膨張率の違いにより生じ得る接着力の低下を緩和することができる。一方、着色インク層との関係では、第2プライマーインク層は無機体質顔料を含まないため、着色インク層との熱膨張率の差が小さく、熱膨張率の差が大きい場合における接着力低下の問題が生じにくい。
したがって、全体として媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
第2のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が第1プライマーインク層の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有してもよい。
このように、定着後の熱膨張率が、第1プライマーインク層の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、熱膨張率の低い無機体質顔料を第2のプライマーインクが含有することで、形成され定着した第2プライマーインク層の熱膨張率と第1プライマーインク層の熱膨張率との差が小さくなるため、環境温度の変化や経時変化により第2プライマーインク層のひび割れや媒体からの剥離が生じにくくなり、第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との接着の安定性が高まる。
また、第1プライマーインク層は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第1プライマーインク層上に印刷される第2プライマーインクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、これにより第1プライマーインク層と第2プライマーインク層との接着の安定性が更に高まる。
一方、着色インク層との関係では、第2プライマーインク層は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第2プライマーインク層上に印刷される着色インクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第2プライマーインク層と着色インク層との接着力が増す。これにより、第2プライマーインク層と着色インク層との熱膨張率の違いにより生じ得る接着力の低下を緩和することができる。
したがって、全体として媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
プライマーインク層は3層以上形成してもよい。すなわち例えば、含有する無機体質顔料の体積比率がそれぞれ異なる、エネルギー線の照射により定着する複数のプライマーインクをそれぞれインクジェット方式により吐出する複数のプライマーインク吐出ヘッドと、エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により吐出する着色インク吐出ヘッドと、複数のプライマーインク吐出ヘッドに、複数のプライマーインクのそれぞれを、無機体質顔料の体積比率が高い順にインクジェット方式で順次吐出させて、媒体上に、媒体から積層方向に離れた層ほど無機体質顔料の体積比率が低い複数のプライマーインク層を積層形成し、着色インク吐出ヘッドに着色インクを吐出させて、複数のプライマーインク層上に着色インク層を形成する制御を行う制御部と、を備える印刷装置を構成してもよい。
印刷媒体とインク層との間に、両者の熱膨張率の間の熱膨張率をもつ1層又は2層のプライマーインク層を形成するだけでも、熱膨張率の差による接着性の低下を上記のとおり緩和することができるが、プライマーインク層の数を増やすことで、媒体及び各層間での熱膨張率の差を小さくすることができるため、プライマーインクに無機体質顔料を含有させることにより得られる効果が接着力の向上に、より効果的に反映される。
プライマーインクは、溶媒を含み、エネルギー線の照射により発熱し溶媒が瞬間的に蒸発して定着するインクであってもよい。
このようなインクでは、インクの主成分である溶媒を蒸発させるという性質上、吐出ヘッドから吐出されたインクのうち媒体上に残る割合が小さいため、形成される層の厚みが、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクで形成された層と比べて数分の一に低減されるという特徴がある。そのため、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクにおいて生じる硬化時の収縮等によるカールやコッキングが生じにくいことから、厚みが薄いフィルム材料などの媒体に対しても本発明のプライマーインク層を形成し、媒体と着色インク層との接着力の向上を図ることができる。
また、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクでは、媒体への着弾の直後にエネルギー線を照射するため、インクのドットが広がる前にインクが硬化して個々のドットが凸状になって、プライマーインク層に上塗りして形成される画像の平滑性や透明度が低下するという問題が生じるが、溶媒を蒸発させて定着させるインクでは、表面に大きな凹凸は生じず、平滑かつ透明な画像を形成することができる。
着色インクは、溶媒を含み、エネルギー線の照射により発熱して溶媒が蒸発し定着するインクであってもよい。
着色インクに、このようなインクを採用することで、エネルギー線の照射により硬化定着させるインクを採用した場合と比べ、着色インク層の厚みが数分の一に低減するため、着色インク層が媒体から一層剥離し難くなる。
本発明の印刷方法及び印刷装置によれば、媒体と着色インク層との間に無機体質顔料を含有するプライマーインク層を形成して、媒体と着色インク層との間の熱膨張率の差を緩和することができ、これにより、環境温度の変化や時間の経過があっても、媒体と着色インク層との安定的な接着を保つことができる。
本発明の印刷装置10の構成の一例を示す図である。 本発明の印刷方法の処理フローを示す図である。 第1の印刷方法を説明する図である。 第2の印刷方法を説明する図である。 第3の印刷方法を説明する図である。 第4の印刷方法を説明する図である。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷装置10について説明をする図である。なお、以下において説明をする点を除き、印刷装置10は、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の特徴を有してよい。例えば、印刷装置10は、以下において説明をする構成に加え、公知のインクジェットプリンタと同一又は同様の構成を更に有してよい。また、印刷の走査方式はマルチパスのシリアル方式でもシングルパスのライン方式でも構わないが、以下ではシリアル方式を例にとって説明する。
印刷装置10は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行うインクジェットプリンタである。媒体50の材質や形状については、採用するインクと比べ熱膨張率が小さく、インクジェット方式で印刷可能なものであれば特段の制限はない。材質に関しては、具体的には例えば、金属やガラス等の無機物をはじめとして、ABS、PET、ポリカーボネート又はポリアミドなどの板、アクリル板、フィルムなどのプラスチック、更には布、木材、皮、セラミック、ガラス、金属又は紙などが挙げられる。また、形状に関しては、平面的なものは勿論のこと、立体物であってもよい。
印刷装置10では、所定のエネルギー線の照射により着弾先に定着するものを採用するインクを採用することができる。以下、エネルギー線が紫外線である場合を例にとって説明する。
印刷装置10は、ヘッド部12、プラテン14、ガイドレール16、主走査駆動部18、副走査駆動部20、及び制御部30を備える。
ヘッド部12は、媒体50へインクを吐出する部分である。ヘッド部12は、複数のインクジェットヘッド及び紫外線光源106を有する。複数のインクジェットヘッドは、着色インク吐出ヘッド102とプライマーインク吐出ヘッド104をそれぞれ少なくとも1個含む。各インクジェットヘッドは、ピエゾ方式でもサーマルジェット方式でもよい。
ヘッド部12は、着色インク吐出ヘッド102、プライマーインク吐出ヘッド104及び紫外線光源106を、例えば図中に示すように、印刷装置10において予め設定された副走査方向(図中のX方向)における位置を揃えて、副走査方向と直交する主走査方向(図中のY方向)へ並ぶように保持する。
着色インク吐出ヘッド102とプライマーインク吐出ヘッド104はそれぞれ、副走査方向における位置を互いにずらして複数のノズルが並ぶノズル列を有しており、各ノズルから当該インク吐出ヘッドに貯蔵されたインクを吐出する。
着色インク吐出ヘッド102は、印刷に使用する色のインクである着色インクを貯蔵し、制御部30による制御に基づき吐出するインクジェットヘッドである。着色インク吐出ヘッド102は、図中では4個、すなわち着色インクが4色の場合を例示しているが、印刷に採用するカラーモードなどに応じて必要な個数を設けてよく、また、特定の色に限定されない。例えば、CMYKカラーを採用する場合には、シアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、及びブラック(K)色の4色を吐出する4個の着色インク吐出ヘッド102が必要となるが、白色やクリア色など、その他の色を更に使用する場合はその色数分の着色インク吐出ヘッド102を追加すればよい。
着色インクは、紫外線の照射により定着するインクであり、例えば、UV硬化インク、SUV(ソルベントUV)インク又はUV瞬間乾燥インクが挙げられる。
このうち、UV瞬間乾燥インクは、溶媒を含み、紫外線の照射により発熱して、溶媒が瞬間的に蒸発し定着する。このようにインクの主成分である溶媒を蒸発させるという性質上、吐出ヘッドから吐出されたインクのうち着弾先に残る割合が小さいため、形成される層の厚みが、UV硬化インクなどにより形成された層と比べて数分の一に低減されるという特徴がある。そのため、着色インクにより形成された着色インク層が、媒体50から(直接的にはプライマーインク層から)一層剥離し難くなる。
プライマーインク吐出ヘッド104は、紫外線の照射により定着するインクに無機体質顔料が所定量添加されたプライマーインクを貯蔵し、制御部30による制御に基づき貯蔵されたインクを吐出するインクジェットヘッドである。
プライマーインクは、媒体50上に印刷され、着色インク層の下地となるプライマーインク層を形成するためのインク組成物である。プライマーインク層は、媒体50に対する着色インクの密着性が低い場合に両者の密着性を確保するために形成されるものであることから、プライマーインク層は媒体50に強く密着する必要がある。この機能を実現するため、プライマーインクは媒体50との密着性を高める密着性付与成分を含有する。
密着性付与成分としては、例えば、媒体50に対する密着性を付与するアクリレートモノマーであって、当該アクリレートモノマーを含まない場合に比べて、媒体50に対する密着性が向上するものが挙げられる。
例えば、媒体50が金属であれば、金属に対する密着性付与成分とは、当該成分を含まない場合に比べて密着性が向上するものである。以下に、密着性付与成分を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
金属に対する密着性付与成分としては、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンアクリレートがより好ましい。ガラスに対する密着性付与成分としては、例えば、エポキシアクリレートモノマーが挙げられる。市販されている商品としては株式会社ミマキエンジニアリング製のPR−100(商品名)、PR−200(商品名)などが挙げられる。
プライマーインク層を形成することで、当該プライマーインク層の上に形成する着色インク層を媒体50に高い密着力で密着させることができる。これにより、着色インク層が媒体50から剥がれにくい印刷物を製造することができる。
プライマーインク層は1層のみ形成してもよいし、求める効果に応じ、組成が異なる2層以上を形成してもよい。
プライマーインク吐出ヘッド104は、媒体50と着色インク層との間にプライマーインク層を形成する層数個設けられる。すなわち、1層形成するのであれば1個、2層形成するのであれば2個設ける。
すなわち、1層形成する場合には、第1プライマーインク吐出ヘッド104aを設ける。第1プライマーインク吐出ヘッド104aには、定着後の熱膨張率が媒体50の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有する第1のプライマーインクが貯蔵される。
2層形成する場合には、第1プライマーインク吐出ヘッド104aと第2プライマーインク吐出ヘッド104bを設ける。
第1プライマーインク吐出ヘッド104aには、媒体50上に形成する第1プライマーインク層の形成に用いる第1のプライマーインクが貯蔵される。第1のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が、媒体50の熱膨張率と第2のプライマーインクにより形成される第2プライマーインク層の熱膨張率との間になる体積比率で無機体質顔料を含有する。
第2プライマーインク吐出ヘッド104bには、第1プライマーインク層上に形成する第2プライマーインク層の形成に用いる第2のプライマーインクが貯蔵される。第2のプライマーインクは、本発明における媒体50と着色インク層との接着力の向上について、ユーザが予め選択したいずれかの本発明の印刷方法に応じ、無機体質顔料を含有しないインク、又は定着後の熱膨張率が、第1プライマーインク層の熱膨張率と着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で無機体質顔料を含有するインクのいずれかが貯蔵される。
3層以上形成する場合には、含有する無機体質顔料の体積比率が互いに異なるプライマーインクがそれぞれ貯蔵される層数個のプライマーインク吐出ヘッドを設ける。
各プライマーインクは、紫外線の照射により定着するインクであり、例えば、UV硬化インク、SUV(ソルベントUV)インク、UV瞬間乾燥インクなどが挙げられる。
このうち、UV瞬間乾燥インクは、溶媒を含み、紫外線の照射により発熱して、溶媒が瞬間的に蒸発し定着するインクである。このようにインクの主成分である溶媒を蒸発させるという性質上、吐出ヘッドから吐出されたインクのうち着弾先に残る割合が小さいため、形成される層の厚みが、UV硬化インクなどにより形成された層と比べて数分の一に低減されるという特徴がある。そのため、UV硬化インクにおいて生じる硬化時の収縮等によるカールやコッキングが生じにくいことから、厚みが薄いフィルム材料などの媒体に対しても本発明のプライマーインク層を形成し、媒体と着色インク層との接着力の向上を図ることができる。
また、UV硬化インクでは、媒体への着弾の直後に紫外線を照射するため、インクのドットが広がる前にインクが硬化して個々のドットが凸状になって、プライマーインク層に上塗りして形成される画像の平滑性や透明度が低下するという問題が生じるが、UV瞬間乾燥インクでは溶媒を蒸発させてインクを定着させるため、表面に大きな凹凸は生じず、平滑かつ透明な画像を形成することができる。
各プライマーインクはクリア色でもよいし、用途に応じて特定色に着色してもよい。
各プライマーインクに含ませる無機体質顔料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、リン酸亜鉛、リン酸カリウム、リン酸アルミニウム、酸化亜鉛、ダイヤモンド、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、ホワイトカーボン、石膏、アリミナホワイト(酸化アルミニウム)、カオリン(粘土)、赤色顔料(べんがら赤など)、黄色顔料(カドミウム、黄鉛、黄土、カドミウム黄など)、緑色顔料(エメラルド緑、酸化クロム緑など)、青色顔料(紺青、コバルト青など)、紫色顔料(マンガン、バイオレット、マース・バイオレットなど)、黒色顔料(カーボンブラック、黒鉛、鉄黒など)、メタリック(SUS粉、チタン合金、クロムモリブデン鋼粉、プラチナ粉、アルミニウム合金粉など)、又はセラミック顔料などを用いることができる。
また、無機体質顔料として、酸化シリコンやフッ化マグネシウムなどの無機物の中空や多孔の微粒子を用いてもよい。中空や多孔の微粒子を用いることで、インクの状態での沈殿や凝集を抑制することができる。
なお、各プライマーインクには、インクの強度、柔軟性又は耐熱性を増すために、熱可塑性や熱硬化の樹脂、例えば、ウレタン、ポリエステル、エポキシ、ナイロン又は接着性(変性)のバインダー樹脂などを加えてもよい。
紫外線光源106は、エネルギー線たる紫外線の発生部であり、着色インク吐出ヘッド102及びプライマーインク吐出ヘッド104が吐出するインクに対して紫外線を照射するUVLEDなどの光源である。紫外線光源106は、着色インク吐出ヘッド102及びプライマーインク吐出ヘッド104とX方向の位置を揃えて、着色インク吐出ヘッド102及びプライマーインク吐出ヘッド104の並びに対してY方向の一方側及び他方側に配設される。両側に配設してもよい。また、これにより、紫外線光源106は、各回の主走査動作時に、媒体50又は各プライマーインク層に付着したインクに対し、紫外線を照射する。
プラテン14は、ヘッド部12と対向する位置において媒体50を支持する台状部材である。また、ガイドレール16は、主走査方向へ延伸するレール状部材であり、主走査方向へのヘッド部12の移動をガイドする。
主走査駆動部18は、ヘッド部12に主走査動作(スキャン動作)を行わせる駆動部である。この場合、主走査動作とは、例えば、主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。また、ヘッド部12に主走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドに主走査動作を行わせることである。また、本例においては、ヘッド部12に主走査動作を行わせることにより、印刷装置10は、シリアル方式での印刷の動作を実行する。また、本例の主走査動作時において、ヘッド部12は、ガイドレール16に沿って、主走査方向へ移動する。また、主走査動作に関し、主走査方向へのヘッド部12の移動とは、媒体50に対する相対的な移動のことである。そのため、印刷装置10の変形例においては、ヘッド部12の位置を固定して、例えばプラテン14を移動させることで、媒体50の側を移動させてもよい。
副走査駆動部20は、ヘッド部12に副走査動作を行わせる駆動部である。この場合、副走査動作とは、例えば、副走査方向へ媒体50に対して相対的に移動する動作のことである。また、ヘッド部12に副走査動作を行わせるとは、例えば、ヘッド部12におけるインクジェットヘッドに副走査動作を行わせることである。また、本例において、副走査駆動部20は、例えば図示を省略したベルト部材等を用いて、副走査方向と平行な搬送方向へ媒体50を搬送することで、ヘッド部12に副走査動作を行わせる。また、この場合において、副走査駆動部20は、各回の主走査動作の合間に、印刷のパス数等に応じて制御部30により設定されるフィード量だけ、媒体50を搬送する。媒体50の搬送は、ベルト部材に限らず、例えばローラ等を用いて行ってもよい。また、媒体50の位置を固定して、ヘッド部12の側を移動させることで、副走査動作を行ってもよい。
制御部30は、例えば印刷装置10のCPUであり、予め設定されたプログラムに従って、印刷装置10の各部の動作を制御する。具体的には、印刷装置10は、例えば、ヘッド部12による主走査動作の制御時に、形成すべきプライマー層及び印刷すべき画像(着色インク層)に応じて、着色インク吐出ヘッド102及びプライマーインク吐出ヘッド104におけるそれぞれのノズルにインクを吐出させる。また、制御部30は、印刷の条件に応じて、副走査動作時のフィード量を設定する。
より具体的には、制御部30は予めユーザが決定した、以下に示す本発明のいずれかの印刷方法に応じて、インクの吐出制御を行う。制御による処理フローを図2に示す。なお、以下の説明では、注釈が無いものについては、各プライマーインクがUV瞬間乾燥インクで、着色インクがUV硬化インクであるものとする。
<第1の印刷方法>
制御部30は、図3(a)に示すように、第1プライマーインク吐出ヘッド104aと紫外線光源106を移動させながら、無機体質顔料を含む第1のプライマーインクを吐出させるとともに、吐出され媒体50上に着弾したUV瞬間乾燥インクに紫外線を照射して溶媒を瞬間乾燥させ、媒体50上に定着させる。これにより、図3(b)に示すように媒体50上に第1プライマーインク層P1が形成される(第1プライマーインク層形成ステップS1)。続いて制御部30は、図3(c)に示すように、着色インク吐出ヘッド102と紫外線光源106を移動させながら、着色インクを吐出させるとともに、吐出され第1プライマーインク層P1上に着弾した着色インクに紫外線を照射して硬化させ、第1プライマーインク層P1上に定着させる。これにより、図3(d)に示すように第1プライマーインク層P1上に着色インク層Cが形成される(着色インク層形成ステップS3)。
この印刷方法においては、第1のプライマーインクに、媒体50への定着後の熱膨張率が媒体50の熱膨張率と着色インク層Cの熱膨張率との間になる体積比率で、熱膨張率の低い無機体質顔料が含まれていることで、含まれない場合より第1のプライマーインクの熱膨張率が低くなる。これにより、媒体50の熱膨張率と媒体50上に形成され定着した第1プライマーインク層P1の熱膨張率との差が小さくなるため、環境温度の変化や経時変化に起因する第1プライマーインク層P1のひび割れや媒体からの剥離が生じにくくなり、媒体50と第1プライマーインク層P1との熱膨張率の違いにより生じる接着力の低下を緩和することができる。
また、第1のプライマーインクが無機体質顔料を含むことで、定着した第1プライマーインク層P1は多孔質な層となり、かつ、表面に体質顔料の粒子が露出することで非常に細かい凹凸面が形成される。そのため、第1プライマーインク層P1上に印刷される着色インクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第1プライマーインク層P1と着色インク層Cとの接着力が増す。これにより、第1プライマーインク層P1と着色インク層Cとの熱膨張率の違いにより生じる接着力の低下を緩和することができる。
更に、UV瞬間乾燥インクでは、インクの主成分である溶媒を蒸発させることから、吐出ヘッドから吐出されたインクのうち媒体上に残る割合が小さいため、形成される層の厚みが、UV硬化インクで形成された層と比べて数分の一に低減される。そのため、UV硬化インクにおいて生じる硬化時の収縮等によるカールやコッキングが生じにくいことから、厚みが薄いフィルム材料などの媒体に対しても本発明のプライマーインク層を形成し、媒体と着色インク層との接着力の向上を図ることができる。
また、UV瞬間乾燥インクでは、溶媒を蒸発させてインクを定着させるため、表面に大きな凹凸は生じず、平滑かつ透明な画像を形成することができる。
以上の相乗効果により、媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
<第2の印刷方法>
制御部30は、図4(a)に示すように、第1プライマーインク吐出ヘッド104aと紫外線光源106を移動させながら、第1のプライマーインクを吐出させるとともに、吐出され媒体50上に着弾したUV瞬間乾燥インクに紫外線を照射して溶媒を瞬間乾燥させ、媒体50上に定着させる。これにより、図4(b)に示すように媒体50上に第1プライマーインク層P1が形成される(第1プライマーインク層形成ステップS1)。続いて制御部30は、図4(c)に示すように第2プライマーインク吐出ヘッド104bと紫外線光源106を移動させながら、第2のプライマーインクを吐出させるとともに、吐出され第1プライマーインク層P1上に着弾したUV瞬間乾燥インクに紫外線を照射して溶媒を瞬間乾燥させ、第1プライマーインク層P1上に定着させる。これにより、図4(d)に示すように第1プライマーインク層P1上に第2プライマーインク層P2が形成される(第2プライマーインク層形成ステップS2)。なお、この方法における第2のプライマーインクは無機体質顔料を含まない。続いて制御部30は、図4(e)に示すように、着色インク吐出ヘッド102と紫外線光源106を移動させながら、着色インクを吐出させるとともに、吐出され第2プライマーインク層P2上に着弾した着色インクに紫外線を照射して硬化させ、第2プライマーインク層P2上に定着させる。これにより、図4(f)に示すように第2プライマーインク層P2上に着色インク層Cが形成される(着色インク層形成ステップS3)。
第1プライマーインク層P1は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第1プライマーインク層P1上に印刷される第2プライマーインクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第1プライマーインク層P1と第2プライマーインク層P2との接着力が増す。これにより、第1プライマーインク層P1と第2プライマーインク層P2との熱膨張率の違いにより生じ得る接着力の低下を緩和することができる。一方、着色インク層Cとの関係では、第2プライマーインク層P2は無機体質顔料を含まないため、着色インク層Cとの熱膨張率の差が小さく、熱膨張率の差が大きい場合における接着力低下の問題が生じにくい。
UV瞬間乾燥インクの採用によるメリットは、第1の印刷方法での採用によるメリットと同様である。
したがって、全体として媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
<第3の印刷方法>
第3の印刷方法は、第2の印刷方法において、第2のプライマーインクに、第1プライマーインク層P1への定着後の熱膨張率が、第1プライマーインク層P1の熱膨張率と着色インク層Cの熱膨張率との間になる体積比率で無機体質顔料を含む場合の方法である。すなわち制御部30は、第2の印刷方法と同様に第1プライマーインク層P1を形成(図5(a),(b)参照)した上で、図5(c)に示すように無機体質顔料を含む第2のプライマーインクを吐出させて、図5(d)に示すように第2プライマーインク層P2を形成し、その上に着色インク層Cを形成する制御を行う。
このように、第1プライマーインク層P1への定着後の熱膨張率が、第1プライマーインク層P1の熱膨張率と着色インク層Cの熱膨張率との間になる体積比率で、熱膨張率の低い無機体質顔料を第2のプライマーインクが含有することで、形成され定着した第2プライマーインク層P2の熱膨張率と第1プライマーインク層P1の熱膨張率との差が小さくなるため、環境温度の変化や経時変化により第2プライマーインク層P2のひび割れや媒体からの剥離が生じにくくなり、第1プライマーインク層P1と第2プライマーインク層P2との接着の安定性を高めることができる。
また、第1プライマーインク層P1は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第1プライマーインク層P1上に印刷される第2プライマーインクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、これにより第1プライマーインク層P1と第2プライマーインク層P2との接着の安定性が更に高まる。
一方、着色インク層Cとの関係では、第2プライマーインク層P2は多孔質な層であり、かつ、表面に非常に細かい凹凸面が形成されているため、第2プライマーインク層P2上に印刷される着色インクが多孔質の隙間や凹凸面の凹部に浸透し、第2プライマーインク層P2と着色インク層Cとの接着力が増す。これにより、第2プライマーインク層と着色インク層Cとの熱膨張率の違いにより生じ得る接着力の低下を緩和することができる。
以上より、全体として媒体と着色インク層との接着の安定性を高めることができる。
<第4の印刷方法>
第4の印刷方法は、第1、第2又は第3の印刷方法のいずれかにおいて、着色インクにUV瞬間乾燥インクを採用する方法である。ここでは、第3の印刷方法において採用する場合を例にとって説明する。制御部30は、第3の印刷方法と同様に第1プライマーインク層P1及び第2プライマーインク層P2(図6(a)から(d)参照)し、その上に図6(e)に示すように、UV瞬間乾燥型の着色インクが貯蔵された着色インク吐出ヘッド102と紫外線光源106を移動させながら、着色インクを吐出させるとともに、吐出され第2プライマーインク層P2上に着弾した着色インクに紫外線を照射して溶媒を瞬間乾燥させ、第2プライマーインク層P2上に定着させる。これにより、図6(f)に示すように第2プライマーインク層P2上に着色インク層Cが形成される。
着色インクに、このようなUV瞬間乾燥インクを採用することで、UV硬化インクを採用した場合と比べ、着色インク層の厚みが数分の一に低減するため、着色インク層が媒体から一層剥離し難くなる。
<第5の印刷方法>
プライマーインク層は3層以上形成してもよい。この場合、制御部30は例えば、含有する無機体質顔料の体積比率がそれぞれ異なる、紫外線の照射により定着する複数のプライマーインクをそれぞれ吐出する複数のプライマーインク吐出ヘッド104に、複数のプライマーインクのそれぞれを、無機体質顔料の体積比率が高い順にインクジェット方式で順次吐出させて、媒体50上に、媒体50から積層方向に離れた層ほど、定着後の無機体質顔料の体積比率が低い複数のプライマーインク層を積層形成し、その上に着色インク層を形成する制御を行う。
印刷媒体とインク層との間に、両者の熱膨張率の間の熱膨張率をもつ1層又は2層のプライマーインク層を形成するだけでも、熱膨張率の差による接着性の低下を上記のとおり緩和することができるが、プライマーインク層の数を増やすことで、媒体及び各層間での熱膨張率の差を小さくすることができるため、プライマーインクに無機体質顔料を含有させることにより得られる効果が接着力の向上に、より効果的に反映される。
なお、各印刷方法の最後に、各プライマーインク層の残留溶剤の除去や、媒体、各プライマーインク層及び着色インク層相互の接着性向上の目的で、アフターヒーターにより加熱乾燥し、完全定着化を図ってもよい。この工程は、印刷装置内ではなく、印刷後にオーブン等で別に加熱乾燥してもよい。急速な乾燥を必要しない場合は自然乾燥させてもよい。
以上説明した本発明の印刷方法及び印刷装置によれば、媒体と着色インク層との間に無機体質顔料を含有するプライマーインク層を形成して、媒体と着色インク層との間の熱膨張率の差を緩和することができ、これにより、環境温度の変化や時間の経過があっても、媒体と着色インク層との安定的な接着を保つことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。すなわち、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更や改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
また、本発明はサイングラフィクスプリンタ、テキスタイルプリンタ、産業用プリンタ、2.5D及び3Dプリンタ、各種溶液の塗布機など、様々な機器に広く適用でき、特定の用途に制限されるものではない。
10…印刷装置、12…ヘッド部、14…プラテン、16…ガイドレール、18…主走査駆動部、20…副走査駆動部、30…制御部、50…媒体、102…着色インク吐出ヘッド、104…プライマーインク吐出ヘッド、106…紫外線光源、C…着色インク層、P1…第1プライマーインク層、P2…第2プライマーインク層

Claims (14)

  1. 媒体と着色インク層との間にプライマーインクの層を形成する印刷方法であって、
    エネルギー線の照射により定着する第1の前記プライマーインクをインクジェット方式により媒体上に印刷して第1プライマーインク層を形成する第1プライマーインク層形成ステップと、
    エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により印刷して前記着色インク層を積層形成する着色インク層形成ステップと、
    を実行し、
    前記第1の前記プライマーインクは、定着後の熱膨張率が前記媒体の熱膨張率と前記着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有する
    ことを特徴とする印刷方法。
  2. 前記第1プライマーインク層形成ステップと前記着色インク層形成ステップとの間に、エネルギー線の照射により定着する第2の前記プライマーインクをインクジェット方式により前記第1プライマーインク層の上に印刷して第2プライマーインク層を形成する第2プライマーインク層形成ステップを実行することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  3. 前記第2の前記プライマーインクは、定着後の熱膨張率が前記第1プライマーインク層の熱膨張率と前記着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有する
    ことを特徴とする請求項2に記載の印刷方法。
  4. 含有する無機体質顔料の体積比率がそれぞれ異なる、エネルギー線の照射により定着する複数のプライマーインクを用い、
    前記複数のプライマーインクのそれぞれを、前記無機体質顔料の体積比率が高い順にインクジェット方式で順次印刷し媒体上に積層することで、複数のプライマーインク層を形成するプライマーインク層形成ステップと、
    エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により前記複数のプライマーインク層上に印刷して着色インク層を形成する着色インク層形成ステップと、
    を実行し、
    前記複数のプライマーインクは、定着後の熱膨張率が前記媒体の熱膨張率と前記着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含む
    ことを特徴とする印刷方法。
  5. 前記プライマーインクは、溶媒を含み、エネルギー線の照射により発熱して前記溶媒が瞬間的に蒸発し定着するインクであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の印刷方法。
  6. 前記着色インクは、溶媒を含み、エネルギー線の照射により発熱して前記溶媒が瞬間的に蒸発し定着するインクであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の印刷方法。
  7. 前記エネルギー線は紫外線であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の印刷方法。
  8. 媒体と着色インク層との間にプライマーインクの層を形成する印刷装置であって、
    エネルギー線を発生するエネルギー線発生部と、
    前記エネルギー線の照射により定着する第1の前記プライマーインクをインクジェット方式により吐出する第1プライマーインク吐出ヘッドと、
    前記エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により吐出する着色インク吐出ヘッドと、
    前記第1プライマーインク吐出ヘッドに前記第1の前記プライマーインクを吐出させて、媒体上に第1プライマーインク層を形成し、前記着色インク吐出ヘッドに前記着色インクを吐出させて、着色インク層を積層形成する制御を行う制御部と、
    を備え、
    前記第1の前記プライマーインクは、定着後の熱膨張率が前記媒体の熱膨張率と前記着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有する
    ことを特徴とする印刷装置。
  9. 前記エネルギー線の照射により定着する第2の前記プライマーインクをインクジェット方式により吐出する第2プライマーインク吐出ヘッドを更に備え、
    前記制御部は、前記第1プライマーインク層の形成後、前記着色インク層の形成前に、前記第2プライマーインク吐出ヘッドに前記第2の前記プライマーインクを吐出させて、前記第1プライマーインク層の上に第2プライマーインク層を形成する制御を行う
    ことを特徴とする請求項8に記載の印刷装置。
  10. 前記第2の前記プライマーインクは、定着後の熱膨張率が前記第1プライマーインク層の熱膨張率と前記着色インク層の熱膨張率との間になる体積比率で、無機体質顔料を含有する
    ことを特徴とする請求項9に記載の印刷装置。
  11. 含有する無機体質顔料の体積比率がそれぞれ異なる、エネルギー線の照射により定着する複数のプライマーインクをそれぞれインクジェット方式により吐出する複数のプライマーインク吐出ヘッドと、
    前記エネルギー線の照射により定着する着色インクをインクジェット方式により吐出する着色インク吐出ヘッドと、
    前記複数のプライマーインク吐出ヘッドに、前記複数のプライマーインクのそれぞれを、前記無機体質顔料の体積比率が高い順にインクジェット方式で順次吐出させて、媒体上に、媒体から積層方向に離れた層ほど無機体質顔料の体積比率が低い複数のプライマーインク層を積層形成し前記着色インク吐出ヘッドに前記着色インクを吐出させて、前記複数のプライマーインク層上に着色インク層を形成する制御を行う制御部と、
    を備える印刷装置。
  12. 前記プライマーインクは、溶媒を含み、前記エネルギー線の照射により発熱して前記溶媒が瞬間的に蒸発し定着するインクであることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載の印刷装置。
  13. 前記着色インクは、溶媒を含み、前記エネルギー線の照射により発熱して前記溶媒が瞬間的に蒸発し定着するインクであることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の印刷装置。
  14. 前記エネルギー線は紫外線であることを特徴とする請求項8から13のいずれか1項に記載の印刷装置。
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