JP2021153849A - 治療デバイス - Google Patents

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悠 大沢
賢志 澤田
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【課題】低侵襲で脳脊髄液および脳組織へ酸素および/または薬剤を送達できる治療デバイスを提供する。【解決手段】治療デバイス10は、鼻腔101に挿入可能な長尺なシャフト部20と、シャフト部20の遠位部に配置されて拡張可能な遠位バルーン40と、を有し、シャフト部20は、遠位バルーン40へ拡張用の流体を流通可能な第1の拡張ルーメン23と、遠位バルーン40よりも近位側に形成される少なくとも1つの供給口24Aで開口し、当該供給口24Aから外部へ酸素を含む酸素供給媒体を供給可能な供給ルーメン24と、遠位バルーン40よりも近位側に形成される第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bで開口し、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bから内部へ酸素供給媒体を取り入れ可能な排出ルーメン25と、を有し、鼻腔101の上皮組織104から篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に酸素を送達可能である。【選択図】図4

Description

本発明は、酸素や薬剤を脳脊髄液および脳組織へ送達する治療デバイスに関する。
脳梗塞の治療方法として、t−PA静注療法や血栓回収療法が確立されている(例えば、特許文献1を参照)。t−PA静注療法は、血栓を溶解させるt−PA(アルテプラーゼ)を静注して、脳梗塞の原因となった血栓を溶解させて閉塞部を開通させる方法である。血栓回収療法は、ステント状や螺旋状のデバイスを経血管的に閉塞部へ到達させ、デバイスによって血栓を物理的に除去して閉塞部を開通させる方法である。
特表2018−534105号公報
t−PA静注療法は、出血リスクを増加させる。また、血栓回収療法は、閉塞部へデバイスをアクセスできない場合には実施できない。このため、t−PA静注療法および血栓回収療法の普及率は、全体の10%程度と高くない。したがって、t−PA静注療法や血栓回収療法とは異なる脳梗塞の治療法や治療デバイスが望まれる。
また、脳梗塞や脳梗塞以外の疾患(例えば、パーキンソン病、アルツハイマー、脳腫瘍等)の治療において、脳脊髄液および脳組織内に低侵襲でかつ効果的に薬剤を送達できる治療法が望まれる。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、低侵襲でかつ効果的に脳脊髄液および脳組織へ酸素および/または薬剤を送達できる治療デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る治療デバイスは、近位部および遠位部を有して前記遠位部を鼻腔に挿入可能な長尺なシャフト部と、前記シャフト部の遠位部に配置されて拡張可能な遠位バルーンと、を有し、前記シャフト部は、前記遠位バルーンへ拡張用の流体を流通可能な第1の拡張ルーメンと、前記遠位バルーンよりも近位側に形成される少なくとも1つの供給口で開口し、当該供給口から外部へ酸素および/または薬剤を含む供給媒体を供給可能な供給ルーメンと、前記遠位バルーンよりも近位側に形成される少なくとも1つの排出口で開口し、当該排出口から内部へ前記供給媒体を取り入れ可能な排出ルーメンと、を有し、鼻腔の上皮組織から篩板を介して脳脊髄液および脳組織内に酸素および/または薬剤を送達可能であることを特徴とする。
上記のように構成した治療デバイスは、外鼻孔から挿入して遠位バルーンにより後鼻孔を塞ぎ、供給口から鼻腔内へ供給媒体を供給し、排出口から鼻腔内の供給媒体を排出可能である。このため、治療デバイスは、鼻腔内に供給媒体を溜めて、供給媒体に含まれる酸素および/または薬剤を、鼻腔の上皮組織から篩板を介して低侵襲で脳内に送達できる。
前記供給媒体は、酸素を含む酸素供給媒体であってもよい。これにより、治療デバイスは、鼻腔内に酸素供給媒体を溜めて、酸素供給媒体に含まれる酸素を、鼻腔の上皮組織から篩板を介して脳内に送達できる。このため、治療デバイスは、鼻腔からアプローチして低侵襲で脳梗塞の治療が可能である。
前記排出口は、少なくとも1つ設けられ、2つ以上設けられてもよい。これにより、鼻腔の組織が接触することで塞がりやすい排出口の全てが塞がれることを抑制できる。
前記治療デバイスは、前記シャフト部の前記遠位バルーンよりも近位側に配置可能である中間バルーンを有し、前記シャフト部は、前記中間バルーンへ拡張用の流体を流通可能な第2の拡張ルーメンを有してもよい。これにより、遠位バルーンおよび中間バルーンを拡張させて鼻腔内で固定することで、供給口および排出口の位置を望ましい位置に維持できる。このため、治療デバイスは、鼻腔内への供給媒体の供給および排出を安定させて、脳脊髄液および脳組織内への酸素および/または薬剤の送達を効果的に行うことができる。
前記排出口の少なくとも1つは、前記シャフト部の前記中間バルーンよりも前記遠位バルーンに近くてもよい。これにより、患者が仰臥位の状態で遠位バルーンを底として鼻腔内に溜められた供給媒体を、鼻腔内にできるだけ残さないように、排出口から排出できる。
前記排出口の少なくとも1つは、前記シャフト部の前記遠位バルーンよりも前記中間バルーンに近くてもよい。これにより、患者が仰臥位の状態で遠位バルーンを底として鼻腔内に溜められた供給媒体を、中間バルーンに近い排出口から排出することで、一定の深さで維持しやすい。
前記中間バルーンは、前記シャフト部の周方向の一部に配置されてもよい。これにより、中間バルーンを、シャフト部に対して必要な方向のみで拡張させることができる。このため、中間バルーンおよびシャフト部を、望ましい位置に配置することができる。また、中間バルーンが、鼻腔を完全に塞ぐことを抑制できるため、鼻腔から外鼻孔を介して外部への通路が確保される。このため、状況に応じて、治療デバイスを鼻腔内に配置した状態で、確保された通路から他のデバイスを鼻腔内に挿入したり、鼻腔内から供給媒体を排出したりすることができる。したがって、治療デバイスは、操作性および安全性を向上できる。
前記供給口の少なくとも1つは、周方向において前記シャフト部の前記中間バルーンが配置される側の反対側で開口してもよい。これにより、供給口が篩板の近くの上皮組織に近い位置となるように、供給口の反対側の中間バルーンによって、シャフト部を鼻腔内の望ましい位置に固定できる。
前記シャフト部は、前記遠位バルーンが配置される第1のシャフト部と、前記中間バルーンが配置される第2のシャフト部と、を有し、前記第2のシャフト部は、前記第1のシャフト部の軸方向に沿って移動可能であってもよい。これにより、治療デバイスは、遠位バルーンと近位バルーンの間の距離を、患者の個体差に応じた最適な距離に調節できる。
前記治療デバイスは、前記シャフト部の前記中間バルーンよりも近位側に配置可能である近位バルーンを有し、前記シャフト部は、前記近位バルーンへ拡張用の流体を流通可能な第3の拡張ルーメンを有してもよい。これにより、近位バルーンを例えば外鼻孔の近傍で拡張させて固定することで、鼻腔内のシャフト部の位置を安定させることができる。このため、中間バルーン、供給口、排出口および遠位バルーンを、望ましい位置に維持しやすい。
前記近位バルーンは、前記シャフト部の周方向の一部に配置されてもよい。これにより、近位バルーンを、シャフト部に対して必要な方向のみで拡張させることができる。このため、近位バルーンおよびシャフト部を、望ましい位置に配置することができる。また、近位バルーンが、鼻腔を完全に塞ぐことを抑制できるため、鼻腔から外鼻孔を介して外部への通路が確保される。このため、状況に応じて、治療デバイスを鼻腔内に配置した状態で、確保された通路から他のデバイスを鼻腔内に挿入したり、鼻腔内から供給媒体を排出したりすることができる。したがって、治療デバイスは、操作性および安全性を向上できる。
実施形態に係る治療デバイスを示す平面図である。 図1(A)のA−A線に沿う断面図である。 鼻腔内に治療デバイスの遠位部を挿入した状態を示す概略図である。 治療デバイスにより酸素供給媒体を鼻腔内に供給した状態を示す概略図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本明細書において、デバイスの鼻腔に挿入する側を「遠位側」、操作する側を「近位側」と称することとする。
本実施形態に係る治療デバイス10は、図4に示すように、脳梗塞の治療のために、外鼻孔100から鼻腔101内に挿入されて、嗅神経の通る多数の小孔103が形成された篩板102を介して、脳脊髄液および脳組織が存在する106内に酸素を送達するデバイスである。本実施形態では、治療デバイス10により脳脊髄液および脳組織106内に酸素を送達する場合を説明する。治療デバイス10は、送達する物質(本実施形態では酸素)を多く含む酸素供給媒体(供給媒体)を、鼻腔101内の篩板102を覆う上皮組織104に接触させることで、上皮組織104および篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に酸素を送達する。
治療デバイス10は、図1、2に示すように、長尺であって遠位部と近位部を有するシャフト部20と、シャフト部20の近位部に配置されるハブ30と、シャフト部20の遠位部に配置される遠位バルーン40と、遠位バルーン40の近位側に配置される中間バルーン50と、中間バルーン50の近位側に配置される近位バルーン60とを有している。
シャフト部20は、第1のシャフト部21と、第2のシャフト部22とを有している。第1のシャフト部21は、長尺な管状体であり、第1の拡張ルーメン23と、供給ルーメン24と、排出ルーメン25とを有している。
第1の拡張ルーメン23は、遠位バルーン40へ拡張用の流体を流通させるためのルーメンである。第1の拡張ルーメン23は、第1のシャフト部21の遠位部に位置する遠位バルーン40の内部に設けられる第1の流通口23Aで開口している。
供給ルーメン24は、酸素供給媒体を供給するためのルーメンである。供給ルーメン24は、遠位バルーン40と中間バルーン50の間に設けられる1つの供給口24Aで開口している。供給口24Aは、第1のシャフト部21の周方向の一方側に配置される中間バルーン50と反対側に設けられることが好ましいが、これに限定されない。なお、供給口24Aは、2つ以上であってもよい。また、供給口24Aの位置は、特に限定されない。
排出ルーメン25は、遠位バルーン40と中間バルーン50の間に設けられる第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bで開口している。第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bは、軸方向Xの異なる位置に設けられる。第1の排出口25Aは、遠位バルーン40の近傍に位置し、かつ第2の排出口25Bよりも遠位側に位置している。第1の排出口25Aは、近位バルーン50よりも遠位バルーン50に近い。第2の排出口25Bは、中間バルーン50の近傍に位置し、かつ第1の排出口25Aよりも近位側に位置している。第2の排出口25Bは、遠位バルーン50よりも近位バルーン50に近い。第2の排出口25Bは、シャフト部20の軸方向Xにおいて、供給口24Aよりも遠位側に位置するが、同じ位置であってもよく、近位側に位置してもよい。なお、排出口は、1つであっても、2つ以上であってもよい。第1の拡張ルーメン23、供給ルーメン24および排出ルーメン25の流路断面積(軸方向Xと直交する断面における断面積)は、同程度であっても異なってもよく、適宜設定されることが好ましい。例えば、排出ルーメン25の流路断面積を、第1の拡張ルーメン23や供給ルーメン24の流路断面積よりも大きく設定することで、酸素供給媒体の排出の確実性を向上させて、安全性を向上できる。また、供給ルーメン24の流路断面積を、第1の拡張ルーメン23や排出ルーメン25の流路断面積よりも大きく設定することで、酸素供給の効率を向上できる。
第2のシャフト部22は、長尺な管状体であり、第1のシャフト部21が摺動可能に貫通する摺動ルーメン27と、第2の拡張ルーメン28とを有している。第2のシャフト部22の遠位端は、遠位バルーン40よりも近位側に位置する。第2の拡張ルーメン28は、中間バルーン50および近位バルーン60へ拡張用の流体を流通させるためのルーメンである。第2の拡張ルーメン28は、第2のシャフト部22に配置される中間バルーン50の内部に設けられる第2の流通口28Aで開口している。さらに、第2の拡張ルーメン28は、第2のシャフト部22に配置される近位バルーン60の内部に設けられる第3の流通口28Bで開口している。
ハブ30は、第1のハブ31と、第2のハブ32とを有している。第1のハブ31は、第1のシャフト部21の近位部に固定されている。第1のハブ31は、第1の拡張ルーメン23に連通する第1のポート33と、供給ルーメン24に連通する第2のポート34と、排出ルーメン25に連通する第3のポート35と、第1の指示部39Aとを有している。
第1のポート33は、インデフレータ、シリンジまたはポンプ等を接続されて、拡張ルーメン23および第1の流通口23Aを介して、遠位バルーン40へ拡張用の流体を供給できるとともに、遠位バルーン40から拡張用の流体を排出できる。第2のポート34は、シリンジやポンプ等を接続されて、これらから、酸素を供給するための酸素供給媒体を供給される。第3のポート35は、シリンジやポンプ等を接続されて、これらからへ酸素供給媒体を排出する。
第1の指示部39Aは、隣接する部位に対して視覚や触覚等によって識別可能な部位である。第1の指示部39Aは、例えば、隣接する部位と異なる色で形成されている。第1の指示部39Aは、周方向において、供給口24Aが設けられる側に配置される。第1の指示部39Aは、第1のシャフト部21が鼻腔101内で適切な方向を向いていることを体外から把握するために使用される。なお、第1の指示部39Aは、第1のハブ31ではなく、第1のシャフト部21に配置されてもよい。また、第1の指示部39Aは、酸素供給媒体の供給方向や排出方向を識別可能であればよく、指で感じられる凹凸やLED等の光源などでもよい。
第2のハブ32は、摺動ルーメン27に連通する第4のポート36と、固定機構37と、第2の拡張ルーメン28に連通する第5のポート38と、第2の指示部39Bとを有している。
第4のポート36は、第1のシャフト部21が摺動可能に挿通されている。第4のポート36は、内周面に、雌ネジ36Aと、雌ネジ36Aの遠位側で内径が減少する縮径部36Bとを有している。固定機構37は、第4のポート36に連結されて、第1のシャフト部21を第4のポート36に摺動不能に固定できる機構である。固定機構37は、第4のポート36に近位側から入り込むとともに、第1のシャフト部21を囲むように環状に形成されている。固定機構37は、第4のポート36の雌ネジ36Aに螺合する雄ネジ37Aと、雄ネジ37Aの遠位側に配置されて縮径部36Bに入り込むテーパ部37Bとを有している。固定機構37の雄ネジ37Aが第4のポート36の雌ネジ36Aに螺合しているため、固定機構37が回転すると、雄ネジ37Aは、第4のポート36に対して軸方向Xへ移動する。したがって、固定機構37を回転させて遠位方向へ移動させると、テーパ部37Bは、縮径部36Bに入り込み、縮径部36Bの内周面に押されて縮径する。これにより、テーパ部37Bの内周面が第1のシャフト部21の外周面に強く接触し、第2のハブ32が第1のシャフト部21に摺動不能に固定される。また、固定機構37を逆方向に回転させると、固定機構37が近位方向へ移動し、テーパ部37Bが元の形状に戻る。これにより、第2のハブ32は、第1のシャフト部21に対して摺動可能となる。
第5のポート38は、インデフレータ、シリンジまたはポンプ等を接続されて、第2の拡張ルーメン28および第2の流通口28Aを介して、中間バルーン50へ拡張用の流体を供給できるとともに、中間バルーン50から拡張用の流体を排出できる。さらに、第5のポート38は、第2の拡張ルーメン28および第3の流通口28Bを介して、近位バルーン60へ拡張用の流体を供給できるとともに、近位バルーン60から拡張用の流体を排出できる。
第2の指示部39Bは、隣接する部位に対して視覚や触覚等によって識別可能な部位である。第2の指示部39Bは、例えば、隣接する部位と異なる色で形成されている。第2の指示部39Bは、周方向において、後述する中間バルーン50および近位バルーン60が設けられる側の反対側に配置される。第2の指示部39Bは、第2のシャフト部22が鼻腔101内で適切な方向を向いていることを体外から把握するために使用される。なお、第2の指示部39Bは、第2のハブ32ではなく、第2のシャフト部22に配置されてもよい。また、第2の指示部39Bは、中間バルーン50や近位バルーン60の拡張方向を識別可能であればよく、指で感じられる凹凸やLED等の光源などでもよい。
酸素供給媒体は、例えば、酸素濃度を高めた生理食塩液、人工髄液または水等の液体であるが、酸素を含む高粘度のゲル状の媒体や、酸素を含む気体、酸素を水よりも多く溶解可能なフルオロカーボン類、ペルオキシド(peroxide)を混合させた媒体もしくは溶媒、であってもよい。酸素供給媒体が気体以外である場合、酸素供給媒体の酸素濃度は、例えば100〜200mmHg、好ましくは200〜500mmHg、より好ましくは500〜760mmHgである。酸素供給媒体が気体である場合、酸素供給媒体の酸素濃度は、例えば20〜50%、好ましくは50〜70%、より好ましくは70〜100%である。
第1のシャフト部21および第2のシャフト部22の構成材料は、ある程度の可撓性を有することが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム、エンジニアリングプラスチック(ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニエンスルファイド(PPS)、ホリサルホン(PSU)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、など)等である。または、シャフト部20および第2のシャフト部22の構成材料は、金属であってもよい。
遠位バルーン40は、シャフト部20の遠位部に配置されて、後鼻腔101を閉鎖するためのバルーンである。遠位バルーン40は、略管状であり、第1のシャフト部21の遠位部を囲んでいる。遠位バルーン40の遠位端と近位端は、第1のシャフト部21の外周面に固定される。遠位バルーン40の内部は、第1のシャフト部21に形成されて拡張用の流体をシリンジやポンプ流通させる第1の流通口23Aと連通している。遠位バルーン40は、第1の流通口23Aから流入する拡張用の流体により拡張できる。
中間バルーン50は、遠位バルーン40よりも近位側で、シャフト部20を鼻腔101の所定の位置に固定するためのバルーンである。本実施形態において、中間バルーン50は、拡張することで上鼻甲介107に接触して、シャフト部20の位置を固定する。なお、中間バルーン50が接触する部位は、上鼻甲介107に限定されず、例えば、中鼻甲介、下鼻甲介、鼻中隔等であってもよい。中間バルーン50は、第2のシャフト部22の遠位部の外周面に、周方向において部分的に配置されている。中間バルーン50は、周方向において、第2のハブ32の第2の指示部39Bが設けられる側の反対側に配置される。中間バルーン50は、遠位バルーン40、供給口24A、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bよりも近位側に配置される。中間バルーン50の縁部は、第2のシャフト部22の外周面に固定される。中間バルーン50の内部は、第2のシャフト部22に形成されて拡張用の流体を流通させる第2の流通口28Aと連通している。中間バルーン50は、第2の流通口28Aから流入する拡張用の流体により拡張できる。
近位バルーン60は、中間バルーン50よりも近位側で、シャフト部20を鼻腔101の所定の位置に固定するためのバルーンである。本実施形態において、近位バルーン60は、拡張することで外鼻孔100に接触して、シャフト部20の位置を固定する。近位バルーン60は、中間バルーン50よりも近位側に位置する第2のシャフト部22の外周面に、周方向において部分的に配置されている。近位バルーン60は、周方向において、第2のハブ32の第2の指示部39Bが設けられる側の反対側、すなわち中間バルーン50と同じ側に配置される。近位バルーン60の縁部は、第2のシャフト部22の外周面に固定される。近位バルーン60の内部は、第2のシャフト部22に形成されて拡張用の流体を流通させる第3の流通口28Bと連通している。近位バルーン60は、第3の流通口28Bから流入する拡張用の流体により拡張できる。
遠位バルーン40、中間バルーン50および近位バルーン60の構成材料は、特に限定されないが、ある程度の柔軟性を有することが好ましく、例えば、シリコーンゴム、ラテックスゴム等である。
次に、実施形態に係る治療デバイス10を用いて、脳梗塞を治療する方法を説明する。
まず、術者は、遠位バルーン40、中間バルーン50および近位バルーン60を収縮させて、固定機構37による固定が解除された状態の治療デバイス10を準備する。次に、術者は、図3に示すように、シャフト部20の近位部またはハブ30を把持して、脳梗塞を発症した患者の一方の外鼻孔100から鼻腔101内に、治療デバイス10の遠位部を挿入する。なお、患者の姿勢は、仰臥位であることが好ましい。
次に、術者は、必要に応じて内視鏡を確認しつつ、遠位バルーン40を、鼻腔101の奥の狭くなる領域である後鼻孔108の近傍へ挿入する。シャフト部20は、ある程度の剛性を備えているため、鼻腔101の上側の上皮組織104に沿って撓んだ状態となる。次に、術者は、第1のシャフト部21の位置を維持しつつ、第2のシャフト部22を軸方向Xへ移動させて、中間バルーン50を上鼻甲介107と篩板102に近い上皮組織104との間に配置するとともに、近位バルーン60を、外鼻孔100の内側に配置する。
次に、術者は、第1の指示部39Aおよび第2の指示部39Bを患者の上方(頭頂部方向)、または患者の前方へ向ける。次に、術者は、固定機構37を回転させて、第2のシャフト部22を第1のシャフト部21に対して適切な位置で固定する。これにより、供給口24Aは、鼻腔101の上側の上皮組織104へ向き、中間バルーン50は上鼻甲介107へ向き、近位バルーン60は外鼻孔100の後方側へ向く。
次に、術者は、第1のポート33に、拡張用の流体を供給するインデフレータ、シリンジまたはポンプ等を接続し、拡張用の流体を第1のポート33へ供給する。これにより、図4に示すように、第1の拡張ルーメン23および第1の流通口23Aから、遠位バルーン40の内部に拡張用の流体が流入し、遠位バルーン40が拡張する。このため、遠位バルーン40は、後鼻孔108の内部で拡張して後鼻孔108に密着し、咽頭側への通路を塞ぐ。
次に、第5のポート38に、拡張用の流体を供給するインデフレータ、シリンジまたはポンプ等を接続し、拡張用の流体を第5のポート38へ供給する。これにより、第2の拡張ルーメン28および第2の流通口28Aから、中間バルーン50の内部に拡張用の流体が流入し、中間バルーン50が拡張する。さらに、第2の拡張ルーメン28および第3の流通口28Bから、近位バルーン60の内部に拡張用の流体が流入し、近位バルーン60が拡張する。このため、上鼻甲介107へ向いている中間バルーン50は、上鼻甲介107に接触し、第2のシャフト部22を、鼻腔101の上側の上皮組織104へ押し付けて固定する。シャフト部20は、中間バルーン50が設けられる位置の近傍で大きく曲がった状態で維持される。また、外鼻孔100の後方側へ向いている近位バルーン60は、外鼻孔100の後方側に接触し、第2のシャフト部22を、外鼻孔100の前方側に押し付けて固定する。なお、中間バルーン50は、第2のシャフト部22の周方向の一部に設けられるため、鼻腔101を完全には塞がず、鼻腔101に通路が確保される。また、近位バルーン60は、第2のシャフト部22の周方向の一部に設けられるため、外鼻孔100を完全には塞がず、外鼻孔100に通路が確保される。このため、状況に応じて、治療デバイス10を鼻腔101内に配置した状態で、確保された通路から他のデバイスを鼻腔101内に挿入したり、鼻腔101内から酸素供給媒体を排出したりすることができる。
次に、術者は、第2のポート34に、酸素供給媒体を供給するシリンジやポンプ等を接続し、第3のポート35に、酸素供給媒体を吸引するポンプやシリンジ等を接続する。続いて、術者は、第2のポート34に接続されたシリンジやポンプ等により、供給ルーメン24および供給口24Aを介して、鼻腔101内に酸素供給媒体を供給する。鼻腔101は、後鼻孔108で遠位バルーン40によって閉鎖されている。このため、酸素供給媒体は、咽頭側へ流れず、鼻腔101内に溜まる。酸素供給媒体は、篩板102を覆う嗅上皮105を含む上皮組織104に接触するまで溜められる。これにより、酸素供給媒体に含まれる酸素は、嗅上皮105を含む上皮組織104、篩板102の多数の小孔103を通って、脳脊髄液および脳組織106内へ到達する。これにより、脳梗塞により低下した脳脊髄液および脳組織106内の酸素濃度を高めることができる。酸素供給媒体の浸透圧が高ければ、浸透圧によって、酸素を含む酸素供給媒体を、上皮組織104および篩板102を通って脳脊髄液および脳組織106内へ移動させることもできる。
術者は、必要に応じて、第3のポート35に接続されたシリンジやポンプ等により、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bから、排出ルーメン25を介して、鼻腔101内の酸素供給媒体を排出できる。これにより、鼻腔101内の酸素供給媒体を入れ替えて、酸素濃度を高く維持することができる。
本実施形態では、治療デバイス10に、複数の排出口(第1の排出口25Aおよび第2の排出口25B)が設けられる。排出口が上皮組織104に接触すると、排出口の吸引力によって上皮組織104が排出口を塞いでしまう可能性がある。これに対し、排出口が複数設けられる治療デバイス10は、酸素供給媒体を排出可能な状態を維持しやすい。また、第1の排出口25Aは、中間バルーン50よりも遠位バルーン40の近くに配置される。このため、手技が終わった後に、鼻腔101内に溜まった酸素供給媒体を、できるだけ鼻腔101内に残らないように排出できる。また、変形例として、遠位バルーン40よりも中間バルーン50の近くに第2の排出口25Bが配置され、第2の排出口25Bが、第1の排出口25Aと独立して酸素供給媒体を排出できてもよい。この場合、第2の排出口25Bは、酸素供給媒体が、第2の排出口25Bのある高さまで到達することで、酸素供給媒体を排出可能となる。そして、第2の排出口25Bにより排出可能な酸素供給媒体を全て排出することで、酸素供給媒体の深さを、第2の排出口25Bのある高さを超えないように維持しやすく、管理しやすい。
供給口24Aは、中間バルーン50の反対側に配置されており、鼻腔101の上側の上皮組織104へ向いている。したがって、供給口24Aから供給される酸素供給媒体は、篩板102を覆う上皮組織104の近くへ供給される。このため、篩板102を覆う上皮組織104に接触する酸素供給媒体の酸素濃度を高く維持できる。
術者は、所定時間が経過した後、第2のポート34、供給ルーメン24および供給口24Aからの酸素供給媒体の供給を停止させる。酸素供給媒体を供給する時間は、特に限定されず、例えば血栓がなくなるまでとすることができる。次に、術者は、第3のポート35、排出ルーメン25、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bから、鼻腔101内の酸素供給媒体を排出する。このとき、第1の排出口25Aは、遠位バルーン40の近傍に配置されているため、鼻腔101内に溜まった酸素供給媒体を、できるだけ鼻腔101内に残らないように排出できる。なお、鼻腔101内に溜まった酸素供給媒体を、吸引機能を有する他のデバイスを外鼻孔100から挿入して吸引したり、患者の頭の向きを変える等によって、鼻腔101内から排出してもよい。
次に、術者は、第5のポート38および第2の拡張ルーメン28により、中間バルーン50および近位バルーン60の内部の流体を排出して、中間バルーン50および近位バルーン60を収縮させる。続いて、術者は、第1のポート33および第1の拡張ルーメン23により、遠位バルーン40の内部の流体を排出して、遠位バルーン40を収縮させる。この後、術者は、治療デバイス10を外鼻孔100から引き抜き、手技を完了する。
なお、治療デバイス10を用いた治療方法は、上述の方法に限定されない。例えば、術者は、治療デバイス10を鼻腔101内に挿入し、遠位バルーン40、中間バルーン50および近位バルーン60を拡張させて、鼻腔101内に固定する。次に、術者は、供給口24Aから鼻腔101内に、生理食塩液、人工髄液または水等の液体である酸素供給媒体を供給した後、酸素供給媒体の供給を停止する。次に、供給口24A、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bの少なくとも1つを介して、酸素を含む気体を供給し続ける。酸素を含む気体は、供給口24A、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bから鼻腔101の酸素供給媒体内に供給され、酸素供給媒体に溶け込む。酸素を含む気体は、例えば、バブル状となって酸素供給媒体内に供給されることで、酸素供給媒体に効果的に溶け込むことができる。鼻腔101は、中間バルーン50および近位バルーン60によって、外部への通路を確保されているため、外鼻孔100から対外へ抜けることができる。このため、鼻腔101内に溜めた酸素供給媒体に対して酸素を含む気体を供給するのみで、酸素供給媒体の酸素濃度を適切に維持できる。すなわち、液体である酸素供給媒体に含まれる酸素濃度を維持するために、酸素供給媒体を入れ替えるのではなく、気体として酸素を供給すればよいため、操作が容易となる。術者は、所定時間が経過した後、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bから、鼻腔101内の酸素供給媒体を排出する。この後、術者は、近位バルーン60、中間バルーン50および遠位バルーン40を収縮させ、治療デバイス10を外鼻孔100から引き抜き、手技を完了する。
以上のように、実施形態に係る治療デバイス10は、近位部および遠位部を有して遠位部を鼻腔101に挿入可能な長尺なシャフト部20と、シャフト部20の遠位部に配置されて拡張可能な遠位バルーン40と、を有し、シャフト部20は、遠位バルーン40へ拡張用の流体を流通可能な第1の拡張ルーメン23と、遠位バルーン40よりも近位側に形成される少なくとも1つの供給口24Aで開口し、当該供給口24Aから外部へ酸素を含む酸素供給媒体を供給可能な供給ルーメン24と、遠位バルーン40よりも近位側に形成される少なくとも1つの排出口(第1の排出口25Aおよび第2の排出口25B)で開口し、当該排出口から内部へ酸素供給媒体を取り入れ可能な排出ルーメン25と、を有し、鼻腔101の上皮組織104から篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に酸素を送達可能である。
上記のように構成した治療デバイス10は、外鼻孔100から挿入して遠位バルーン40により後鼻孔108を塞ぎ、供給口24Aから鼻腔101内へ酸素供給媒体を供給し、排出口(第1の排出口25Aおよび第2の排出口25B)から鼻腔101内の酸素供給媒体を排出可能である。このため、治療デバイス10は、鼻腔101内に酸素供給媒体を溜めて、酸素供給媒体に含まれる酸素を、鼻腔101の上皮組織104から篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に送達できる。このため、治療デバイス10は、鼻腔101からアプローチして低侵襲で脳梗塞の治療が可能である。
また、排出口(第1の排出口25Aおよび第2の排出口25B)は、少なくとも2つ設けられる。これにより、鼻腔101の組織が接触することで塞がりやすい排出口の全てが塞がれることを抑制できる。
また、治療デバイス10は、シャフト部20の遠位バルーン40よりも近位側に配置可能である中間バルーン50を有し、シャフト部20は、中間バルーン50へ拡張用の流体を流通可能な第2の拡張ルーメン28を有する。これにより、遠位バルーン40および中間バルーン50を拡張させて鼻腔101内で固定することで、供給口24A、第1の排出口25Aおよび第2の排出口25Bを望ましい位置に維持できる。このため、治療デバイス10は、鼻腔101内への酸素供給媒体の供給および排出を安定させて、脳脊髄液および脳組織106内への酸素の送達を効果的に行うことができる。
また、排出口の少なくとも1つである第1の排出口25Aは、シャフト部20の中間バルーン50よりも遠位バルーン40に近い。これにより、患者が仰臥位の状態で遠位バルーン40を底として鼻腔101内に溜められた酸素供給媒体を、鼻腔101内にできるだけ残さないように、第1の排出口25Aから排出できる。
また、排出口の少なくとも1つである第2の排出口25Bは、シャフト部20の遠位バルーン40よりも中間バルーン50に近い。これにより、患者が寝た状態で遠位バルーン40を底として鼻腔101内に溜められた酸素供給媒体を、第2の排出口25Bから排出することで、一定の深さで維持するように管理しやすい。
また、中間バルーン50は、周方向においてシャフト部20の一部に配置される。これにより、中間バルーン50を、シャフト部20に対して必要な方向のみで拡張させることができる。このため、中間バルーン50およびシャフト部20を、望ましい位置に配置することができる。また、中間バルーン50が、鼻腔101を完全に塞ぐことを抑制できるため、鼻腔101から外鼻孔100を介して外部への通路が確保される。このため、状況に応じて、治療デバイス10を鼻腔101内に配置した状態で、確保された通路から他のデバイスを鼻腔101内に挿入したり、鼻腔101内から酸素供給媒体を排出したりすることができる。したがって、治療デバイス10は、操作性および安全性を向上できる。
また、供給口24Aの少なくとも1つは、周方向においてシャフト部20の中間バルーン50が配置される側の反対側で開口する。これにより、供給口24Aが篩板102の近くの上皮組織104に近い位置となるように、供給口24Aの反対側の中間バルーン50によって、シャフト部20を鼻腔101内の望ましい位置に固定できる。例えば、中間バルーン50を上鼻甲介107に接触させ、シャフト部20を篩板102の近くの上皮組織104に接触させて固定できる。これにより、シャフト部20の供給口24Aから供給される酸素供給媒体を、篩板102を覆う上皮組織104に効果的に接触させることができる。このため、治療デバイス10は、上皮組織104および篩板102を介する脳脊髄液および脳組織106内への酸素の送達を効果的に行うことができる。なお、中間バルーン50およびシャフト部20が接触する鼻腔101の位置は、特に限定されない。また、中間バルーン50が、篩板102を覆う上皮組織104側に配置されないことで、中間バルーン50が上皮組織104に密着して、上皮組織104および篩板102を介する脳脊髄液および脳組織106内への酸素の送達が妨げられることを抑制できる。
また、シャフト部20は、遠位バルーン40が配置される第1のシャフト部21と、中間バルーン50が配置される第2のシャフト部22と、を有し、第2のシャフト部22は、第1のシャフト部21の軸方向Xに沿って移動可能である。これにより、治療デバイス10は、遠位バルーン40と近位バルーン60の間の距離を、患者の個体差に応じた最適な距離に調節できる。また、シャフト部20の遠位部に位置する第1のシャフト部21からなる部位は、第1のシャフト部21および第2のシャフト部22が重なる部位よりも柔軟である。このため、シャフト部20の遠位部の延在する方向を調節することが容易となる。
シャフト部20の中間バルーン50よりも近位側に配置可能である近位バルーン60を有し、シャフト部20は、中間バルーン50へ拡張用の流体を流通可能な第2の拡張ルーメン28を有する。これにより、近位バルーン60を例えば外鼻孔100の近傍で拡張させて固定することで、鼻腔101内のシャフト部20の位置を安定させることができる。このため、中間バルーン50、供給口24A、排出口および遠位バルーン40を、望ましい位置に維持しやすい。
また、近位バルーン60は、シャフト部20の周方向の一部に配置される。これにより、近位バルーン60を、シャフト部20に対して必要な方向のみで拡張させることができる。このため、近位バルーン60およびシャフト部20を、望ましい位置に配置することができる。また、近位バルーン60が、鼻腔101を完全に塞ぐことを抑制できるため、鼻腔101から外鼻孔100を介して外部への通路が確保される。このため、状況に応じて、治療デバイス10を鼻腔101内に配置した状態で、確保された通路から他のデバイスを鼻腔101内に挿入したり、鼻腔101内から酸素供給媒体を排出したりすることができる。したがって、治療デバイス10は、操作性および安全性を向上できる。
また、本発明は、脳梗塞の治療方法をも提供する。本実施形態における脳梗塞の治療方法は、鼻腔101の咽頭に近い部位をバルーンにより閉鎖するステップと、鼻腔101内に酸素を含む酸素供給媒体を供給し、篩板102を覆う上皮組織104の少なくとも一部と接触するまで酸素供給媒体を鼻腔101内に溜めることで、酸素供給媒体に含まれる酸素を上皮組織104から篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に送達するステップと、を有する。上記のように構成した脳梗塞治療方法は、鼻腔101からアプローチして低侵襲で脳梗塞の治療を行うことができる。また、鼻腔101の咽頭に近い部位をバルーンにより閉鎖するため、酸素供給媒体が咽頭側へ流れることを抑制し、身体への影響を低減できる。
また、酸素を上皮組織104から篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に送達するステップにおいて、酸素供給媒体を鼻腔101へ供給するとともに、鼻腔101から酸素供給媒体を排出してもよい。これにより、鼻腔101内の酸素供給媒体を入れ替えて酸素供給媒体の酸素濃度を適切に維持し、脳脊髄液および脳組織106内に送達できる酸素量の低下を抑制できる。
また、酸素を上皮組織104から篩板102を介して脳脊髄液および脳組織106内に送達するステップにおいて、鼻腔101内の液体である酸素供給媒体へ酸素を含む気体を供給してもよい。これにより、鼻腔101内の酸素供給媒体の酸素濃度を適切に維持し、脳脊髄液および脳組織106内に送達できる酸素量の低下を抑制できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、治療デバイスは、供給口24Aが1つ設けられて、排出口が設けられなくてもよい。この場合、供給口24Aから液体である酸素供給媒体を鼻腔101に供給した後、その供給口24Aを利用して、酸素を含む気体を鼻腔101内の酸素供給媒体へ供給することができる。酸素を含む気体は、例えば、バブル状となって酸素供給媒体内に放出されることで、酸素供給媒体に効果的に溶け込むことができる。そして、供給口24Aを利用して、酸素供給媒体を鼻腔101内から排出することができる。
脳脊髄液および脳組織106内の酸素濃度を計測するための酸素濃度測定センサ70(図1を参照)が、治療デバイス10の鼻腔101に挿入する部位のいずれかに配置されてもよい。酸素濃度測定センサ70は、鼻腔101内に溜まった酸素供給媒体の酸素濃度を計測するために用いられてもよい。酸素濃度測定センサ70は、限定されないが、例えば反射型のパルスオキシオメータである。酸素濃度測定センサ70が設けられることで、酸素濃度測定センサ70により、脳脊髄液および脳組織106内の酸素濃度を計測できる。このため、術者は、脳脊髄液および脳組織106内の酸素濃度を適切に維持して、脳脊髄液および脳組織106内の酸素濃度の過度な増加や減少を抑制できる。
また、酸素供給媒体を供給する供給口24Aの少なくとも1つは、中間バルーン50よりも近位側に設けられてもよい。また、酸素供給媒体を排出する排出口の少なくとも1つは、中間バルーン50よりも近位側に設けられてもよい。
また、鼻腔101内において中間バルーン50が配置される方向は、上鼻甲介107へ向く方向ではなく、鼻腔101の上側の上皮組織104へ向く方向であってもよい。また、中間バルーン50は、周方向の一部に設けられるのではなく、シャフト部20を囲むように全周的に設けられてもよい。
また、近位バルーン60が配置される方向は、外鼻孔100の後方側ではなく、前方側であってもよい。また、近位バルーン60は、周方向の一部に設けられるのではなく、シャフト部20を囲むように全周的に設けられてもよい。また、治療デバイス10は、中間バルーン50および/または近位バルーン60を備えなくてもよい。
また、シャフト部20は、軸方向Xへ相対的に移動可能な第1のシャフト部21および第2のシャフト部22に分かれずに、1つのシャフトによって形成されてもよい。また、シャフト部20は、軸方向Xへ相対的に移動可能な3つのシャフトにより形成されて、遠位バルーン40、中間バルーン50および近位バルーン60の各々の軸方向Xの位置を調節可能であってもよい。また、中間バルーン50および近位バルーン60は、異なるルーメンに連通して、独立して拡張可能であってもよい。
また、第1のシャフト部21の外周面と第2のシャフト部22の内周面の隙間、すなわち第2のシャフト部22の摺動ルーメン27を、酸素供給媒体を供給する供給ルーメンとしてもよく、または酸素供給媒体を排出する排出ルーメンとしてもよい。
また、治療デバイス10は、酸素ではなく、薬剤を脳脊髄液および脳組織106内へ送達するものであってもよい。薬剤は、脳梗塞のための薬剤であっても、脳梗塞以外の疾患のための薬剤であってもよい。薬剤は、例えば、化合物、ペプチド、抗体、タンパク質、細胞であり得る。薬剤は、例えば、血栓溶解薬、脳の活性酸素を抑えるエダラボン、炎症を抑える抗炎症薬、パーキンソン病・アルツハイマーの原因物質に対する抗体、抗菌薬、脳腫瘍に対する抗がん剤等である。治療デバイス10は、酸素および上述した薬剤からなる群から選択される少なくとも1つを送達するものであってもよい。
10 治療デバイス
20 シャフト部
21 第1のシャフト部
22 第2のシャフト部
23 第1の拡張ルーメン
23A 第1の流通口
24 供給ルーメン
24A 供給口
25 排出ルーメン
25A 第1の排出口
25B 第2の排出口
27 摺動ルーメン
28 第2の拡張ルーメン
28A 第2の流通口
28B 第3の流通口
30 ハブ
31 第1のハブ
32 第2のハブ
33 第1のポート
34 第2のポート
35 第3のポート
36 第4のポート
38 第5のポート
40 遠位バルーン
50 中間バルーン
60 近位バルーン
100 外鼻孔
101 鼻腔
102 篩板
103 小孔
104 上皮組織
105 嗅上皮
106 脳脊髄液および脳組織
107 上鼻甲介
108 後鼻孔

Claims (11)

  1. 近位部および遠位部を有して前記遠位部を鼻腔に挿入可能な長尺なシャフト部と、
    前記シャフト部の遠位部に配置されて拡張可能な遠位バルーンと、を有し、
    前記シャフト部は、
    前記遠位バルーンへ拡張用の流体を流通可能な第1の拡張ルーメンと、
    前記遠位バルーンよりも近位側に形成される少なくとも1つの供給口で開口し、当該供給口から外部へ酸素および/または薬剤を含む供給媒体を供給可能な供給ルーメンと、
    前記遠位バルーンよりも近位側に形成される少なくとも1つの排出口で開口し、当該排出口から内部へ前記供給媒体を取り入れ可能な排出ルーメンと、を有し、
    鼻腔の上皮組織から篩板を介して脳脊髄液および脳組織内に酸素および/または薬剤を送達可能であることを特徴とする治療デバイス。
  2. 前記供給媒体は、酸素を含む酸素供給媒体であることを特徴とする請求項1に記載の治療デバイス。
  3. 前記排出口は、少なくとも2つ設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の治療デバイス。
  4. 前記シャフト部の前記遠位バルーンよりも近位側に配置可能である中間バルーンを有し、
    前記シャフト部は、前記中間バルーンへ拡張用の流体を流通可能な第2の拡張ルーメンを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の治療デバイス。
  5. 前記排出口の少なくとも1つは、前記シャフト部の前記中間バルーンよりも前記遠位バルーンに近いことを特徴とする請求項4に記載の治療デバイス。
  6. 前記排出口の少なくとも1つは、前記シャフト部の前記遠位バルーンよりも前記中間バルーンに近いことを特徴とする請求項4または5に記載の治療デバイス。
  7. 前記中間バルーンは、前記シャフト部の周方向の一部に配置されることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の治療デバイス。
  8. 前記供給口の少なくとも1つは、周方向において前記シャフト部の前記中間バルーンが配置される側の反対側で開口することを特徴とする請求項7に記載の治療デバイス。
  9. 前記シャフト部は、前記遠位バルーンが配置される第1のシャフト部と、前記中間バルーンが配置される第2のシャフト部と、を有し、
    前記第2のシャフト部は、前記第1のシャフト部の軸方向に沿って移動可能であることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の治療デバイス。
  10. 前記シャフト部の前記中間バルーンよりも近位側に配置可能である近位バルーンを有し、
    前記シャフト部は、前記近位バルーンへ拡張用の流体を流通可能な拡張ルーメンを有することを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の治療デバイス。
  11. 前記近位バルーンは、前記シャフト部の周方向の一部に配置されることを特徴とする請求項10に記載の治療デバイス。
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