JP2021152498A - フレキシブルセンサ及び測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
コイル体は、弾性を有しており、先端部の曲率は基端部の曲率よりも大きくなるように形成されている。これにより、測定対象の背後に挿入したコイル体の先端を測定対象の背面から前面に向けやすくすることができ、その結果、測定対象を取り囲みやすくしている。
このような場合、コイル体の先端部には弾性力に抗した応力がかかり続けることになり、その応力が原因で、応力がかかっていない状態におけるコイル体の先端部の形状が変わってしまう(癖がついてしまう)という問題を発明者は見出した。
最初に、測定装置について説明する。
図1に示すように、測定装置100は、測定対象に流れる電流を検出するフレキシブルセンサ10と、フレキシブルセンサ10から出力される検出信号を積分する積分回路30と、積分回路30から出力される信号に基づき測定対象についての物理量を測定する測定部40と、を備えている。
測定対象としては、交流電流が流れる電源ライン、基板上に実装された電子部品の端子などが挙げられる。測定対象についての物理量としては、測定対象に流れる交流電流の値、交流電力の値、測定対象の周囲に生じる交流磁界の値などが挙げられる。
フレキシブルセンサ10は、測定対象を取り囲んだ状態で、この測定対象に流れる交流電流を検出する。フレキシブルセンサ10は、先端部が所定の曲率を有するように湾曲されて形成され、測定対象に流れる交流電流を検出する検出体1と、検出体1の基端部13が取り付けられると共に、挿入された検出体1の先端部11を保持する本体部2と、を備えている。
ロゴスキーコイルは、絶縁性を有する中空の可撓性部材に導電線が螺旋状に巻回されている。可撓性部材は、例えば、塩化ビニル又はポリエチレンなどの合成樹脂により構成されている。巻回された導電線は、検出体1の先端1aの近傍で折り返され、中空の可撓性部材の内部を通過して検出体1の基端1bまで延びている。
ロゴスキーコイルは、先端部11が本体部2に挿入された状態(図4に示す状態)で、環状になるように両端部同士が互いに対向するように近接する。すなわち、検出体1は、基端部13の端面と先端部11の端面とが僅かな間隔をあけて互いに対向し、基端部13の軸線と先端部11の軸線とが一致するように本体部2に保持される。これにより、ロゴスキーコイルを形成する検出体1の先端1aと基端1bの間の隙間を小さくすることができ、検出体1に近接する他の導体から発生する磁束によるノイズの影響を小さくすることができる。
検出体1の先端部11には、フレキシブルセンサ10が開いた状態(応力がかかっていない状態)において、検出体1の基端1bを有する基端部13の曲率よりも曲率の大きな部位が形成されている。先端部11は、検出体1の先端1aを含む所定長さの部位である。検出体1は、基端1bから先端1aに向かうにつれて曲率が大きくなるように形成されている。すなわち、検出体1の先端部11は、弧状に曲げられており、検出体1の先端部11を挿通路70に挿入した際に検出体1が円環を形成するよう、その円環の一部に沿うように曲げられている。
また、検出体1の基端部13は、作業者の指で本体部2を測定対象に向かって押し出した際に、その力が検出体1の中途部12に伝わりやすくするために、直線状に形成されている。さらに、検出体1の中途部12は、検出体1が測定対象の隣接部材のエッジに引っ掛かりにくくなるように、検出体1の基端部13の曲率よりも大きく、かつ、先端部11の曲率よりも小さな曲率で形成されている。
このように、検出体1は、基端部13から先端部11に近づくほど、検出体1の曲率が段階的に又は連続して大きくなる。これにより、作業者の力が本体部2から検出体1に伝わりやすくなるとともに、検出体1が測定対象又はその隣接部材に引っ掛かりにくくなる。
図5〜図7に示すように、第1の筐体5は、本体部2の外側を形成する筐体である。第1の筐体5は、底部51と側壁部52を有し、上面が開口された箱状に形成されている。第1の筐体5は、長手方向の一端の一部が検出体1によって取り囲まれた測定対象に向けて突出する突出部5aを有している。突出部5aは、本体部2に検出体1の先端部11が保持された状態での検出体1の曲率半径の円弧と略同心の円弧状に形成される 。突出部5aは、検出体1が閉じられた状態のときに検出体1が取り囲む測定対象の大きさを制限する。これにより、フレキシブルセンサ10が測定可能な範囲よりも大きな電流が流れる太さの測定対象を、検出体1が取り囲めないように制限することができる。また、突出部5aが設けられることで、ロゴスキーコイルを形成する検出体1の先端1aと基端1bの間の隙間の近くに測定対象が位置できないように制限することができる。
すなわち、突条部57は、検出体1の先端部11に応力がかかっていない状態の先端部11と同じ形に曲げられて形成されており、検出体1の先端部11を孔55から挿通路70に挿入した際に検出体1が曲がる向きに曲げられて形成されている。また、突条部57は、弧状に曲げられており、検出体1の先端部11を孔55から挿通路70に挿入した際に検出体1が円環を形成するよう、その円環の一部に沿うように曲げられている。
すなわち、アーチ部66は、検出体1の先端部11に応力がかかっていない状態の先端部11と同じ形に曲げられて形成されており、検出体1を孔55から挿通路70に挿入した際に検出体1が曲がる向きに曲げられて形成されている。また、アーチ部66は、弧状に曲げられており、検出体1の先端部11を孔55から挿通路70に挿入した際に検出体1が円環を形成するよう、その円環の一部に沿うように曲げられている。
底部61には、載置部69が設けられている。載置部69は、第2の筐体6内に設けられる整合回路20を載置する台として機能する。
図1に示すように、積分回路30は、測定対象に流れる電流により、検出体1の導電線に誘起される電圧を示す検出信号を、測定対象に流れる電流の振幅に比例した信号に変換する。積分回路30は、変換した信号を測定部40に検出信号として出力する。
図1に示すように、測定部40は、積分回路30からの検出信号に基づいて、測定対象に関する物理量を測定する。例えば、測定部40は、積分回路30から検出信号を受信すると、その検出信号に基づいて測定対象に流れる交流電流を測定する。測定部40は、他の物理量として、受信した検出信号に基づいて交流電力又は磁界の強さなどを測定するものであってもよい。測定部40は、測定した物理量についての波形を画面に表示する。測定部40は、例えば、オシロスコープ、電力計、又は電流計などによって構成される。
次に、フレキシブルセンサ10の使用形態について説明する。
図3に示すように、検出体1の先端部11が挿通路70に挿入されていない状態では、フレキシブルセンサ10は開いた状態である。この状態から、作業者が先端部11を孔55の位置に合わせて、先端部11を指で挿通路70に挿入すると、図4に示す状態になる。
図4に示すように、作業者によって検出体1の先端部11が挿通路70に奥まで挿入されることで、検出体1の先端部11が保持部58に保持される。これにより、フレキシブルセンサ10が閉じた状態となり、測定対象が検出体1によって取り囲まれる。
本体部2の挿通路70から検出体1の先端部11が外されると、弾性を有する検出体1は、図3に示すような元の形状に戻る。
次に、測定装置による測定対象の測定に際して、基板に実装された電子部品の端子(足)を測定対象とし、その電子部品の端子を検出体1で取り囲む手順について説明する。図11は、検出体1の先端1aを電子部品90の端子91の背後から手前に送り出す手順を説明するための図である。
図11に示す例では、電子部品90として、集積回路(Integrated Circuit : IC)又はDC/DCコンバータなどの電子部品が用いられる。電子部品90の端子91と端子92との間隔は、数mm(ミリメートル)程度である。検出体1の太さ(直径)は、端子91と端子92との隙間に入るように、例えば、1mm以上、かつ、2mm以下に形成されている。
このとき、検出体1の先端部11は、フレキシブルセンサ10が閉じた状態の曲率(基準曲率)以上の曲率で形成されているので、検出体1の先端部11を端子91の背後に挿入したときには、検出体1の先端1aを端子91の背後を覆うように移動させることができる。このため、端子91のエッジに検出体1が引っ掛かって検出体1に傷が付つくのを抑制することができる。
なお、検出体1の先端部11の曲率半径は、電子部品90の端子91と端子92との間隔よりも小さくすることが好ましい。特に、先端部11の曲率半径を2mm以上、かつ、4mm以下に形成することで、電子部品90に設けられた端子92のエッジが検出体1に引っ掛かって検出体1に傷が付くのを抑制することができる。
また、挿通路70は、弧状に曲げられているので、検出体1の先端部11をスムーズに挿通路70に挿通することができる。
また、挿通路70は、検出体1の先端部11を挿通路70に挿通した際に検出体1が円環を形成するよう、その円環の一部に沿うように曲げられており、検出体1に円環を形成させることができるので、検出体1に円環を形成させていないときに比べ、径の太い測定対象まで測定することができる。
また、検出体1は、先端部11と基端部13の軸線が一致し、互いの端面が対向するように本体部2に保持されるので、磁束の漏れを減らしてフレキシブルセンサ10の検出精度を高めることができる。
また、検出体1の先端部11を挿通路70に挿入するだけの簡単な操作で先端部11と基端部13とが互いに対向するように本体部2に保持させることができる。
ここで、案内部56は、孔55の外側に向かって広がるように傾斜する傾斜面として形成することで、検出体1の先端部11の第1の筐体5への引っ掛かりを防ぎ、先端部11を孔55にスムーズに案内することができる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更することができる。
例えば、図12に示すように、第1の筐体5の表面に筒状部材56aを設け、この筒状部材56aを孔55への案内部としてもよい。筒状部材56aの内面側に形成された空間は孔55に連通しているので、検出体1の先端部11を筒状部材56aに挿入することで先端部11を孔55に導くことができる。このような構成を採用した場合、筒状部材56aは第1の筐体5の表面から突出しているため、作業者は容易に検出体1の先端部11の挿入先を見つけることができる。
また、本体部2は、第1の筐体5と第2の筐体6の二つの部材で構成したが、両筐体を一体に形成して一つの部材で構成してもよい。
また、検出体1の各端面は、一つの平面状に形成する場合に限らず、曲面や屈曲面を有していてもよい。
また、挿通路70の全体が保持部58を兼ねて形成されていてもよい。
また、挿通路70の一端から他端まで同じ曲率になるよう、曲げて形成してもよい。挿通路70の全体を同じ曲率にすることにより、検出体1の先端部11を挿通路70に挿通した状態だけでなく、検出体1の先端部11を挿通路70に差し込んだり、挿通路70から引き抜いたりした際に検出体1の先端部11を強制的に変形させずに済むので、応力がかかっていない状態の検出体1の先端部11の形状が変わってしまうことをさらに防止することができる。
11 先端部
13 基端部
2 本体部
5 第1の筐体
55 孔
56 案内部
57 突条部
58 保持部
6 第2の筐体
65 孔
66 アーチ部
67 仕切壁
10 フレキシブルセンサ
20 整合回路
30 積分回路
40 測定部
70 挿通路
90 電子部品
91,92 端子
100 測定装置
Claims (8)
- 測定対象を取り囲んだ状態で前記測定対象についての物理量を検出するフレキシブルセンサであって、
弾性を有する先端部が曲げられて形成され、前記測定対象についての物理量を検出する検出体と、
前記検出体の基端部が取り付けられると共に、前記検出体の前記先端部を挿通する挿通路を有する本体部と、を備え、
前記挿通路は、前記検出体の前記先端部に応力がかかっていない状態の前記先端部と同じ形に曲げられて形成されていることを特徴とするフレキシブルセンサ。 - 前記挿通路は、前記検出体を前記挿通路に挿通した際に前記検出体が曲がる向きに曲げられて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルセンサ。
- 前記挿通路は、弧状に曲げられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルセンサ。
- 前記挿通路は、前記検出体の前記先端部を前記挿通路に挿通した際に前記検出体が円環を形成するよう、前記円環の一部に沿うように曲げられていることを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載のフレキシブルセンサ。
- 前記本体部は、前記検出体の前記先端部を前記挿通路に案内する案内部を有することを特徴とする請求項1から4までのいずれか一項に記載のフレキシブルセンサ。
- 前記案内部は、前記挿通路に向かって開口面が狭まるように形成されていることを特徴とする請求項5に記載のフレキシブルセンサ。
- 前記本体部は、前記挿通路における前記案内部とは反対側の端部に、挿通された前記検出体の先端部を保持する保持部を有することを特徴とする請求項5又は6に記載のフレキシブルセンサ。
- 請求項1から7までのいずれか一項に記載のフレキシブルセンサと、
前記フレキシブルセンサによって検出される検出信号に基づいて、前記測定対象についての物理量を測定する測定部と、
を備えることを特徴とする測定装置。
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