JP2021151662A - 鋳造方法 - Google Patents

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Yasuaki Matsumoto
安哲 松本
元晶 五百藏
Motoaki Iokura
元晶 五百藏
正人 氏橋
Masato Ujihashi
正人 氏橋
伸郎 川内
Nobuo Kawauchi
伸郎 川内
優 高野
Masaru Takano
優 高野
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Abstract

【課題】円弧状の鋳物周面に対して突出方向の異なる複数の突起形成体が設けられた突起配置部を有する鋳物を簡単且つ高精度に作製する。【解決手段】鋳造方法の突起形成体固定工程では、突起配置部28に対応する配置で複数の突起形成体26を可撓性シート50の一方の面52側に固定する。木型固定工程では、シリンダスリーブ16の外周面24に対応する木型周面48に可撓性シート50の他方の面54側を固定する。埋没工程では木型周面48を鋳型32に埋没させる。鋳型作製工程では、突起配置部28に対応して配置された突起形成体26の露出部分40のみが露出するキャビティ内周面38を形成する。鋳物鋳造工程では、キャビティ内周面38を含んで形成されるキャビティに溶湯を供給し、露出部分40を溶湯の熱で溶融させ一体化するように鋳造を行う。【選択図】図4

Description

本発明は、円弧状の鋳物周面に対して、互いに異なる突出方向に突出する複数の突起形成体が設けられた突起配置部を有する鋳物を、鋳型を用いて作製する鋳造方法に関する。
例えば、特許文献1の多気筒内燃機関用シリンダブロックは、シリンダスリーブ集合体と、該シリンダスリーブ集合体を鋳ぐるむブロック本体とを有する。シリンダスリーブ集合体は、円弧状の周面に対して突出方向が異なる複数の突起が設けられた突起配置部を有する。このようにシリンダスリーブ集合体に突起配置部を設けることで、複数の突起に対してブロック本体からの抱き力が生じること等から、シリンダスリーブ集合体とブロック本体との密着性(剥離強度)を向上させることができる。
特許第2816920号公報
上記のような突起配置部を有する鋳物を単純に鋳造により作製する場合、突起配置部の凹凸形状を反転させた反転形状を有する鋳型が必要となる。そこで、例えば、突起配置部に対応する形状の転写部が設けられた木型を用いて反転形状が形成された鋳型を造形することが考えられる。
しかしながら、鋳物の複数の突起に対応して、木型の転写部に設けられる複数の転写用突起は、木型の円弧状の周面から互いに異なる複数の方向に向かって突出する。このため、例えば、鋳型造形用の原型に造形材を込めて形成した原型内の鋳型に木型の複数の転写用突起を埋め込んで反転形状を形成しても、該鋳型から木型を取り外す際に、鋳型が変形したり、破壊されたりしてしまう懸念がある。この場合、反転形状が高精度に形成された鋳型を得ることは困難となる。
これを回避するべく、例えば、複数の転写用突起の突出方向ごとに独立した複数の木型を用いて鋳型を造形することも考えられる。しかしながら、木型の個数が増大すると、鋳型の製造工程が煩雑となったり、鋳型に反転形状を高精度に形成できなくなったりする懸念がある。これらの理由から、上記のような突起配置部を有する鋳物を鋳造により作製することは困難であった。
そこで、本発明は、円弧状の鋳物周面に対して突出方向の異なる複数の突起形成体が設けられた突起配置部を有する鋳物を簡単且つ高精度に作製することが可能な鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、円弧状の鋳物周面に対して、互いに異なる突出方向に突出する複数の突起形成体が設けられた突起配置部を有する鋳物を、鋳型を用いて作製する鋳造方法であって、前記突起配置部に対応する配置で前記複数の突起形成体を可撓性シートの一方の面側に固定する突起形成体固定工程と、前記鋳物周面に対応する木型周面を有する木型の該木型周面に前記可撓性シートの他方の面側を固定する木型固定工程と、前記可撓性シートを介して前記複数の突起形成体が固定された前記木型周面を前記鋳型に埋没させる埋没工程と、前記鋳型から前記木型と前記可撓性シートとを取り外して、前記鋳物周面に対応する形状であり且つ前記複数の突起形成体の一部のみが露出するキャビティ内周面が形成された前記鋳型を得る鋳型作製工程と、前記鋳型の前記キャビティ内周面を含んで形成されるキャビティに溶湯を供給して鋳造を行うことで、前記複数の突起形成体が前記鋳物周面に一体化された前記鋳物を得る鋳物鋳造工程と、を有する。
この鋳造方法では、複数の突起形成体を突起配置部に対応する配置で固定した可撓性シートを木型の木型周面に固定する。この木型周面を鋳型に埋没させた後、可撓性シート及び木型を鋳型から取り外す。これによって、鋳型に鋳物周面に対応する形状のキャビティ内周面を形成する。このキャビティ内周面では、突起配置部に対応して配置された複数の突起形成体の一部のみが露出する。このようなキャビティ内周面を含んで形成されるキャビティに溶湯を供給し、一部露出した突起形成体を高温の溶湯により溶融して溶湯と一体化した状態で凝固させることにより、鋳物周面に複数の突起形成体が一体化された鋳物を得ることができる。
従って、この鋳造方法によれば、例えば、突起配置部の反転形状が形成された鋳型等を不要とできる。このため、円弧状の鋳物周面に対して突出方向の異なる複数の突起形成体が設けられた突起配置部を有する鋳物であっても容易且つ高精度に作製することができる。
本発明の実施形態に係るシリンダブロック製造方法により得られるシリンダブロックの概略分解斜視図である。 シリンダブロックのシリンダボアの軸方向に沿った概略断面図である。 シリンダスリーブに一体化された突起形成体を説明する要部拡大図である。 シリンダスリーブ集合体を鋳造する鋳型の概略斜視図である。 鋳型にキャビティ内周面を形成する鋳型造形用型の概略斜視図である。 吸引装置の概略全体構成図である。 吸引装置の吸引ヘッドの概略断面図である。 吸引面を説明する要部拡大図である。 突起形成体吸引孔の大径部を説明する要部断面図である。 突起形成体固定工程で、複数の突起形成体を突起配置部に対応する配置とする工程を説明する図である。 突起形成体固定工程で、図10の配置とした複数の突起形成体を可撓性シートの一方の面側に固定する工程を説明する図である。 木型固定工程で、可撓性シート及び複数の突起形成体を木型周面に対して位置決めする工程を説明する図である。 木型固定工程で、吸引面から可撓性シート及び複数の突起形成体を落下させて木型周面に可撓性シートの他方の面側を固定する工程を説明する図である。 他方の面が木型に固定された可撓性シートの一方の面側に固定材層を設ける工程を説明する図である。 埋没工程を説明する図である。 鋳型作製工程を説明する図である。 キャビティ内周面から露出する突起形成体の露出部分を説明する図である。
本発明に係る鋳造方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
図1に示すように、シリンダブロック10を構成するブロック本体12には、シリンダボア14が形成される。本実施形態に係る鋳造方法では、シリンダボア14内に配設されるシリンダスリーブ16(シリンダスリーブ集合体18)を鋳物として作製する。しかしながら、本発明に係る鋳造方法を適用して作製可能な鋳物は、シリンダスリーブ16(シリンダスリーブ集合体18)に限定されるものではない。
シリンダブロック10は、例えば、4個のシリンダボア14が一列に形成された直列4気筒内燃機関用である。また、シリンダブロック10は、何れも不図示ながら燃焼室の上部を画成する別体のシリンダヘッドが、図1のガスケット20を介して上面に結合されるクローズドデッキ型として構成されている。
シリンダブロック10は、ブロック本体12によってシリンダスリーブ集合体18(鋳物)を鋳ぐるむことで形成されている。ブロック本体12の材料としては、シリンダブロック10の軽量化等の観点から、アルミニウム合金等を用いることが好ましい。ブロック本体12には、上面に開口する4個のシリンダボア14がその径方向に互いに連続して設けられている。また、ブロック本体12には、4個のシリンダボア14を囲むようにウォータージャケット22が環状溝として設けられている。
シリンダボア14の内部には、4個のシリンダスリーブ16同士が一体に設けられたシリンダスリーブ集合体18が配設されている。すなわち、本実施形態では、シリンダブロック10は、いわゆるサイアミーズ型として構成されている。なお、シリンダブロック10は、サイアミーズ型に限定されるものではなく、複数個の単管のシリンダスリーブ(不図示)を備えていてもよい。また、シリンダブロック10のシリンダボア14及びシリンダスリーブ16の個数は4個以外の複数であってもよいし1個であってもよい。
シリンダスリーブ集合体18の各シリンダスリーブ16の内周面には、不図示のピストンが摺動する。このため、シリンダスリーブ集合体18の材料としては、ピストンとの摺動に耐え得る機械的強度、耐摩耗性、耐熱性等を確保するべく、鋳鉄等を用いることが好ましい。
シリンダスリーブ集合体18は、各シリンダスリーブ16の外周面24(円弧状の鋳物周面)に対して突出方向が異なる複数の突起形成体26が設けられた突起配置部28を有する。本実施形態では、シリンダスリーブ16(シリンダスリーブ集合体18)の外周面24の略全体が突起配置部28となっている。
しかしながら、特にこれには限定されず、突起配置部28は、シリンダスリーブ16の外周面24に対して部分的に設けられていてもよい。シリンダスリーブ集合体18では、隣接するシリンダスリーブ16同士の間に谷部30が形成される。突起配置部28は、少なくとも谷部30に配置されていることが好ましい。
また、本実施形態では、複数の突起形成体26は、各シリンダスリーブ16の外周面24に対して径方向に突出するとともに、各シリンダスリーブ16の外周面24に対して略均等のピッチで配置されている。さらに、本実施形態では、図2及び図3に示すように、複数の突起形成体26のそれぞれは、スチール等の金属から形成された略球状である。
また、シリンダスリーブ16の外周面24から突出する各突起形成体26は、その突出方向の基端側が溶着によりシリンダスリーブ16の外周面24に一体化されている。図3に示すように、各突起形成体26の外周面24からの突出高さL1は、突起形成体26の直径Dの半分以上(L1≧0.5×D)となる範囲に設定されることが好ましい。
図2に示す通り、シリンダスリーブ集合体18がブロック本体12で鋳ぐるまれることで、シリンダスリーブ集合体18の複数の突起形成体26はブロック本体12に埋入されている。ブロック本体12の内部において、複数の突起形成体26がウォータージャケット22に干渉すること等を回避可能となるように、複数の突起形成体26の突出高さL1が設定されている。また、複数の突起形成体26の突出高さL1は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
シリンダスリーブ集合体18は、図4に示す鋳型32を用いた鋳造によって得ることができる。鋳型32は、不図示の中子とともに、シリンダスリーブ集合体18を一体に鋳造可能なキャビティを形成する。また、鋳型32は、上記のようにしてシリンダスリーブ16の外周面24に一体化される前の複数の突起形成体26を含んで構成される。さらに、鋳型32は、例えば、溶融鋳鉄等の高温の溶湯を用いた鋳造に耐え得る砂型であることが好ましい。
本実施形態では、鋳型32は、互いに略同形状に形成された第1型34及び第2型36を組み合わせることで形成されている。第1型34及び第2型36の各々のキャビティ形成面は、略半円の円弧状のキャビティ内周面38を有する。このキャビティ内周面38は、円筒状のシリンダスリーブ16を軸方向視で略半分とした略半円の円弧状の外周面24に対応する形状である。上記の通り、4個のシリンダスリーブ16を一体化したシリンダスリーブ集合体18の外形状に合わせて、第1型34及び第2型36の各々には、略半円の円弧状のキャビティ内周面38がその径方向に4個連なって配置されている。
キャビティ内周面38では、図1の突起配置部28に対応して配置された複数の突起形成体26の一部のみが露出する。以下では、キャビティ内周面38から露出する各突起形成体26の一部を露出部分40ともいう。本実施形態では、キャビティ内周面38は、固定材層42から形成される。また、図17に示す露出部分40のキャビティ内周面38(固定材層42)からの突出高さL2は、図3に示す突起形成体26の直径Dから突起形成体26の突出高さL1を減じた高さに対応する。
固定材層42の材料としては、例えば、一般的な塗型材と同様の材料が挙げられる。なお、キャビティ内周面38を固定材層42から形成することで、鋳型32を用いた鋳造の際に、複数の突起形成体26の配置や露出部分40の突出高さL2を維持することを容易にしたり、シリンダスリーブ16の外周面24に鋳型32を構成する鋳物砂が焼付くこと等を抑制したりすることができる。
鋳型32のキャビティ内周面38は、図5に示す鋳型造形用型44を用いて形成することができる。鋳型造形用型44は、木型46と、可撓性シート50と、上記のようにして鋳型32を構成する前における複数の突起形成体26及び固定材層42とを有する。木型46は、例えば、円筒状のシリンダスリーブ16を軸方向視で略半分とした半円に対応する半円柱状である。木型46は、シリンダスリーブ16の外周面24に対応する木型周面48を有する。
可撓性シート50は、例えば繊維や樹脂等からシート状に形成されて可撓性を有する。可撓性シート50の一方の面52は、木型46の木型周面48に固定されている。可撓性シート50の一方の面52と木型周面48とは、例えば、不図示の接着剤や、粘着剤等の付着材56aによって着脱自在に固定されることが好ましい。
可撓性シート50の他方の面54には、複数の突起形成体26が突起配置部28に対応する配置で固定されている。また、可撓性シート50の他方の面54には、複数の突起形成体26同士の間を満たすように固定材層42が設けられている。可撓性シート50の他方の面54と複数の突起形成体26とは、例えば、接着剤や粘着剤等の付着材56aによって着脱自在に固定されてもよいし、固定材層42を介して着脱自在に固定されてもよい。
本実施形態では、固定材層42の厚さは、突起形成体26の直径Dよりも僅かに小さく設定されている。すなわち、鋳型造形用型44では、可撓性シート50の一方の面52から突出する各突起形成体26の大部分が固定材層42に埋もれている状態である。しかしながら、固定材層42の厚さは、特に限定されるものではない。
鋳型造形用型44は、例えば、図6に示す吸引装置58を用いて作製することができる。吸引装置58は、吸引ヘッド60と、吸引回路62とを有する。図7に示すように、吸引ヘッド60は、吸引ヘッド本体64と、複数の突起形成体吸引孔66及び複数のシート吸引孔68が設けられた吸引面70(図8)と、複数の突起形成体吸引孔66に連通する真空室72と、複数のシート吸引孔68に連通するシート吸引路74(図6)とを有する。なお、図6には平面視の吸引ヘッド60における真空室72とシート吸引路74との配置を破線で示している。図7では、シート吸引路74の一部の図示を省略している。
吸引ヘッド60は、不図示の駆動機構等によって移動可能である。例えば、図12に示すように、木型周面48を上方に向けて木型46を配置した作業台76に対して、駆動機構によって吸引ヘッド60を移動させる。これによって、吸引ヘッド本体64の下端側の吸引面70を、木型周面48に対して上下方向に間隔をおいて臨ませることができる。このようにして木型周面48と対向させた吸引面70のうち、木型周面48の周方向の略中央部に臨む部分には、木型周面48の形状に沿った円弧面部78(図7)が設けられている。また、木型周面48の周方向の一端部に臨む部分には、水平方向に沿った第1平面部80(図7)が設けられ、木型周面48の周方向の他端部に臨む部分には、水平方向に沿った第2平面部82(図7)が設けられる。以下では、第1平面部80及び第2平面部82を総称して平面部80、82ともいう。
図8に示すように、吸引面70に対して、複数の突起形成体吸引孔66は、図1の突起配置部28に対応する配置で設けられている。また、吸引面70に対して、複数のシート吸引孔68は、複数の突起形成体吸引孔66同士の間に、各突起形成体吸引孔66とは独立して設けられている。複数の突起形成体吸引孔66を介して複数の突起形成体26(図11)を吸引面70に吸引することが可能である。また、複数のシート吸引孔68を介して可撓性シート50(図12)を吸引面70に吸引することが可能である。
図7に示すように、各突起形成体吸引孔66は、吸引ヘッド本体64を上下方向に沿って延在し、その下端側が吸引面70に開口するとともに、上端側が真空室72に連通する。図9に示すように、突起形成体吸引孔66の下端側には、突起形成体26の直径Dよりも大径の大径部84が設けられている。突起形成体吸引孔66の大径部84よりも上方には、突起形成体26の直径Dよりも小径の小径部86が設けられている。
大径部84は、第1テーパ状部88と、該第1テーパ状部88よりも上方に配置された第2テーパ状部90とを有する。第1テーパ状部88及び第2テーパ状部90のそれぞれは、下方から上方に向かって縮径するテーパ状である。また、第1テーパ状部88のテーパ角は、第2テーパ状部90のテーパ角よりも小さくなっている。
後述するように図6の吸引回路62の作用下に真空室72が負圧になると、図7及び図9の突起形成体吸引孔66の下端側から上端側に向かって吸引力が発生する。これによって、図9に示すように、突起形成体吸引孔66に吸引された突起形成体26は、該突起形成体26の下端側の一部が吸引面70から下方に突出した状態で大径部84に収容される。
図7に示すように、各シート吸引孔68は、吸引ヘッド本体64を上下方向に沿って延在し、その下端側が吸引面70に開口するとともに、上端側がシート吸引路74(図6〜図8)に連通する。後述するように図6の吸引回路62の作用下にシート吸引路74が負圧になると、図7のシート吸引孔68の下端側から上端側に向かって吸引力が発生する。
真空室72は、中央部真空室92と、第1端部真空室94と、第2端部真空室96とを有する。中央部真空室92は、吸引面70の円弧面部78に設けられた突起形成体吸引孔66(突起形成体吸引孔66a)と連通する。第1端部真空室94は、吸引面70の第1平面部80に設けられた突起形成体吸引孔66(突起形成体吸引孔66b)と連通する。第2端部真空室96は、吸引面70の第2平面部82に設けられた突起形成体吸引孔66(突起形成体吸引孔66c)と連通する。
中央部真空室92は、第1端部真空室94及び第2端部真空室96と略気密に区切られている。本実施形態では、第1端部真空室94と第2端部真空室96とは、略気密に区切られていることとするが、これらは互いに連通していてもよい。
図6及び図7に示すように、シート吸引路74は、吸引ヘッド本体64の内部に真空室72とは独立して設けられている。また、シート吸引路74は、中央部シート吸引路98と、第1端部シート吸引路100と、第2端部シート吸引路102とを有する。中央部シート吸引路98は、図7の吸引面70の円弧面部78に設けられたシート吸引孔68(シート吸引孔68a)と連通する。第1端部シート吸引路100は、図7の吸引面70の第1平面部80に設けられたシート吸引孔68(シート吸引孔68b)と連通する。第2端部シート吸引路102は、図7の吸引面70の第2平面部82に設けられたシート吸引孔68(シート吸引孔68c)と連通する。
中央部シート吸引路98は、第1端部シート吸引路100及び第2端部シート吸引路102と略気密に区切られている。本実施形態では、第1端部シート吸引路100と第2端部シート吸引路102とが、略気密に区切られていることとするが、これらは互いに連通していてもよい。
図6に示すように、吸引回路62は、中央部給排系統104と、端部給排系統106とを有する。中央部給排系統104は、第1中央部流路108と、第2中央部流路110と、中央部合流路112と、中央部吸引機構114と、中央部エアブロー機構116とから構成される。第1中央部流路108は、一端側が中央部真空室92に接続されるとともに、他端側が中央部合流路112に接続される。また、第1中央部流路108には、その一端側から他端側に向かって、大気開放バルブ118aと、流路開閉バルブ120aとがこの順に介装されている。
第2中央部流路110は、一端側が中央部シート吸引路98に接続されるとともに、他端側が中央部合流路112に接続される。また、第2中央部流路110には、その一端側から他端側に向かって、大気開放バルブ118bと、流路開閉バルブ120bとがこの順に介装されている。
中央部合流路112の一端側には、上記の通り第1中央部流路108及び第2中央部流路110の他端側が接続されている。中央部合流路112の他端側には、切り替えバルブ122aを介して中央部吸引機構114及び中央部エアブロー機構116が選択的に接続可能となっている。
中央部給排系統104により中央部真空室92を負圧にすることで、図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66aに吸引力を生じさせることができる。また、中央部給排系統104により中央部真空室92の負圧を解除することで、図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66aによる吸引を停止することができる。さらに、中央部給排系統104により中央部真空室92に圧縮エアを供給することで、図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66aに圧縮エアを供給することが可能となっている。
また、中央部給排系統104により中央部シート吸引路98を負圧にすることで、図7の円弧面部78のシート吸引孔68aに吸引力を生じさせることができる。また、中央部給排系統104により中央部シート吸引路98の負圧を解除することで、図7の円弧面部78のシート吸引孔68aによる吸引を停止することができる。さらに、中央部給排系統104により中央部シート吸引路98に圧縮エアを供給することで、図7の円弧面部78のシート吸引孔68aに圧縮エアを供給することが可能となっている。
具体的には、中央部給排系統104により図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66aに吸引力を生じさせる場合、切り替えバルブ122aにより中央部吸引機構114と中央部合流路112とを連通させる。また、第1中央部流路108の流路開閉バルブ120aを開状態とする。さらに、第1中央部流路108の大気開放バルブ118aをそれぞれ閉状態とする。これらによって、中央部吸引機構114の作用下に中央部真空室92を負圧とする。
中央部給排系統104により図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66aによる吸引を停止する場合、第1中央部流路108の流路開閉バルブ120aを閉状態とし、大気開放バルブ118aを開状態とする。これによって、中央部真空室92の負圧を解除する。
中央部給排系統104により図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66aに圧縮エアを供給する場合、切り替えバルブ122aにより中央部エアブロー機構116と中央部合流路112とを連通させる。また、第1中央部流路108の流路開閉バルブ120aを開状態とする。さらに、第1中央部流路108の大気開放バルブ118aを閉状態とする。これらによって、中央部エアブロー機構116の作用下に中央部真空室92に圧縮エアを供給する。
中央部給排系統104によって図7の円弧面部78のシート吸引孔68aに吸引力を生じさせる場合、切り替えバルブ122aにより中央部吸引機構114と中央部合流路112とを連通させる。また、第2中央部流路110の流路開閉バルブ120bを開状態とする。さらに、第2中央部流路110の大気開放バルブ118bをそれぞれ閉状態とする。これらによって、中央部吸引機構114の作用下に中央部シート吸引路98を負圧とする。
中央部給排系統104によって図7の円弧面部78のシート吸引孔68aによる吸引を停止する場合、第2中央部流路110の流路開閉バルブ120bを閉状態とし、大気開放バルブ118bを開状態とする。これによって、中央部シート吸引路98の負圧を解除する。
中央部給排系統104によって図7の円弧面部78のシート吸引孔68aに圧縮エアを供給する場合、切り替えバルブ122aにより中央部エアブロー機構116と中央部合流路112とを連通させる。また、第2中央部流路110の流路開閉バルブ120bを開状態とする。さらに、第2中央部流路110の大気開放バルブ118bを閉状態とする。これらによって、中央部エアブロー機構116の作用下に中央部シート吸引路98に圧縮エアを供給する。
端部給排系統106は、第1端部流路124と、第2端部流路126と、端部合流路128と、端部吸引機構130と、端部エアブロー機構132とから構成される。第1端部流路124の一端側は2つに分岐し、その一方が第1端部真空室94に接続され、他方が第2端部真空室96に接続されている。第1端部流路124の他端側は、端部合流路128に接続されている。第1端部流路124には、その一端側から他端側に向かって大気開放バルブ118c、流路開閉バルブ120cがこの順に介装されている。
第2端部流路126の一端側は2つに分岐し、その一方が第1端部シート吸引路100に接続され、他方が第2端部シート吸引路102に接続されている。第2端部流路126の他端側は、端部合流路128に接続されている。第2端部流路126には、その一端側から他端側に向かって大気開放バルブ118d、流路開閉バルブ120dがこの順に介装されている。
端部合流路128の一端側には、上記の通り第1端部流路124及び第2端部流路126の他端側が接続されている。端部合流路128の他端側には、切り替えバルブ122bを介して端部吸引機構130及び端部エアブロー機構132が選択的に接続可能となっている。
端部給排系統106により第1端部真空室94及び第2端部真空室96を負圧にすることで、図7の平面部80、82の突起形成体吸引孔66b、66cに吸引力を生じさせることができる。また、端部給排系統106により第1端部真空室94及び第2端部真空室96の負圧を解除することで、図7の平面部80、82の突起形成体吸引孔66b、66cによる吸引を停止することができる。さらに、端部給排系統106により第1端部真空室94及び第2端部真空室96に圧縮エアを供給することで、図7の平面部80、82の突起形成体吸引孔66b、66cに圧縮エアを供給することが可能となっている。
また、端部給排系統106により第1端部シート吸引路100及び第2端部シート吸引路102を負圧にすることで、図7の平面部80、82のシート吸引孔68b、68cに吸引力を生じさせることができる。また、端部給排系統106により第1端部シート吸引路100及び第2端部シート吸引路102の負圧を解除することで、図7の平面部80、82のシート吸引孔68b、68cによる吸引を停止することができる。さらに、端部給排系統106により第1端部シート吸引路100及び第2端部シート吸引路102に圧縮エアを供給することで、図7の平面部80、82のシート吸引孔68b、68cに圧縮エアを供給することが可能となっている。
端部給排系統106においても、中央部給排系統104と同様にして、切り替えバルブ122b、流路開閉バルブ120c、120d及び大気開放バルブ118c、118dを操作することで、図7の平面部80、82の突起形成体吸引孔66b、66c及びシート吸引孔68b、68cのそれぞれに関する吸引のオンオフや、圧縮エア供給のオンオフを切り替えることができる。
以下、図10〜図17を合わせて参照しつつ、本実施形態に係る鋳造方法について、吸引装置58と、鋳型造形用型44と、鋳型32とを用いてシリンダスリーブ集合体18(鋳物)を作製する場合を例に挙げて説明する。
この鋳造方法では、図1の突起配置部28に対応する配置で複数の突起形成体26を可撓性シート50の一方の面52側に固定する突起形成体固定工程を行う。具体的には、突起形成体固定工程では、不図示の作業台に複数の突起形成体26をセットする。そして、吸引装置58の吸引ヘッド60を駆動機構により移動させることで、作業台上の複数の突起形成体26に対して、その上方から吸引面70を接近させる。
この状態で、複数の突起形成体吸引孔66に吸引力を発生させることにより、図10に示すように、吸引面70に複数の突起形成体26を吸引する。図8に示すように、吸引面70には、複数の突起形成体吸引孔66が図1の突起配置部28に対応して配置されている。このため、突起形成体吸引孔66に吸引された複数の突起形成体26も、突起配置部28に対応する配置となる。また、図9に示すように、突起形成体吸引孔66に吸引された突起形成体26は、その一部を吸引面70から下方に突出させた状態で大径部84に収容される。
吸引装置58では、円弧面部78及び平面部80、82を含む吸引面70の全体に設けられた複数の突起形成体吸引孔66(図7)に吸引力を発生さる。このため、図6の流路開閉バルブ120a、120cを開状態とする。切り替えバルブ122aを中央部吸引機構114側に設定し、切り替えバルブ122bを端部吸引機構130側に設定する。大気開放バルブ118a、118cを閉状態とする。
突起形成体固定工程では、次に、図10に示すように、可撓性シート50を一方の面52が上を向くように不図示の作業台にセットする。この可撓性シート50の一方の面52には、複数の突起形成体26を一方の面52に固定することが可能な付着材56aが設けられる。次に、吸引ヘッド60を駆動機構により移動させて、可撓性シート50の一方の面52に上方から吸引面70を接近させる。また、複数のシート吸引孔68に吸引力を発生させる。これによって、図11に示すように、吸引面70に可撓性シート50が吸引される。その結果、可撓性シート50の一方の面52に付着材56aを介して複数の突起形成体26が固定される。
上記の通り、突起形成体26に吸引された突起形成体26の一部が吸引面70から突出していることで、該突出した部分を介して可撓性シート50の一方の面52に突起形成体26を良好に固定することが可能となる。また、可撓性シート50の一方の面52に設けられた付着材56aが吸引面70に接触することを抑制できる。
吸引装置58では、円弧面部78及び平面部80、82を含む吸引面70の全体に設けられた複数のシート吸引孔68(図7)に吸引力を発生させる。このため、図6の流路開閉バルブ120b、120dを開状態とする。切り替えバルブ122aを中央部吸引機構114側に設定し、切り替えバルブ122bを端部吸引機構130側に設定する。さらに、大気開放バルブ118b、118dを閉状態とする。
次に、図12及び図13の木型46の木型周面48に可撓性シート50の他方の面54側を固定する木型固定工程を行う。木型固定工程では、図12に示すように、木型周面48を上方に向けて木型46を作業台76にセットする。木型周面48には、可撓性シート50の他方の面54を固定することが可能な付着材56bが設けられる。本実施形態の木型固定工程では、シリンダスリーブ集合体18の形状に合わせて、木型46の軸方向に交差する方向に並べられた4個の木型46に対して可撓性シート50を順に固定する。
具体的には、木型固定工程では、先ず、図12に示すように、吸引ヘッド60を駆動機構により移動させる。これにより、木型周面48の上方に吸引面70を配置する。次に、図7の円弧面部78の突起形成体吸引孔66a及びシート吸引孔68aによる吸引力を発生させたまま、平面部80、82の突起形成体吸引孔66b、66c及びシート吸引孔68b、68cによる吸引を停止する。すなわち、図6の吸引装置58では、流路開閉バルブ120a、120bを開状態で維持するとともに、大気開放バルブ118a、118bを閉状態で維持する。また、流路開閉バルブ120c、120dを閉状態とし、且つ大気開放バルブ118c、118dを開状態とする。
これによって、図12に示すように、吸引面70の円弧面部78のみによって可撓性シート50が吸引され、可撓性シート50の平面部80、82に吸引されていた部分は自重によって垂下する。換言すると、可撓性シート50のうち、木型周面48の周方向の両端に固定される部分は、該周方向の中央に固定される部分よりも先に吸引装置58による吸引が停止されて、複数の突起形成体26とともに吸引面70から離間する。
このようにして可撓性シート50を吸引面70から垂下させた部分を、隣接する木型46同士の谷部47に臨ませることで、木型周面48に対する可撓性シート50の位置決めを高精度に行うことができる。
次に、図13に示すように、円弧面部78の突起形成体吸引孔66a及びシート吸引孔68aによる吸引も停止する。すなわち、図6の吸引装置58では、流路開閉バルブ120a、120bを閉状態とし、且つ大気開放バルブ118a、118bを開状態とする。これによって、図12及び図13に示すように、一方の面52に複数の突起形成体26が固定された可撓性シート50を吸引面70から離間させることができる。吸引面70から離間した可撓性シート50は、その他方の面54側から木型周面48に落下する。その結果、付着材56bを介して木型周面48に可撓性シート50の他方の面54を固定することができる。
なお、図6の吸引装置58では、吸引面70から複数の突起形成体26及び可撓性シート50を離間させる際、必要に応じて、突起形成体吸引孔66及びシート吸引孔68に圧縮エアを供給してもよい。これによって、吸引面70から複数の突起形成体26及び可撓性シート50を離間させ易くすることができる。また、吸引装置58では、例えば、そのメンテナンス時等において、突起形成体吸引孔66及びシート吸引孔68を清掃する際にこれらに圧縮エアを供給してもよい。
上記の突起形成体固定工程及び木型固定工程を繰り返し行って、作業台76に並べられた4個の木型46のそれぞれに対して可撓性シート50を固定する。次に、図14に示すように、木型46に固定された可撓性シート50の一方の面52に固定材層42を設けることで、シリンダスリーブ集合体18の形状に合わせて並べられた4個の鋳型造形用型44を作製する。
上記のようにして得られた鋳型造形用型44と、不図示の原型とを用いて鋳型32の第1型34及び第2型36をそれぞれ造形する。第1型34を造形する場合、先ず、原型の内部に、上記の4個の鋳型造形用型44を配置する。この原型に、図15に示すように、鋳物砂を込めて第1型34を作製する。これによって、鋳型造形用型44の木型周面48を第1型34に埋没させる埋没工程を行う。
次に、原型内の第1型34から木型46と可撓性シート50とを取り外した後に、原型から第1型34を取り出す。又は、原型から第1型34を取り出した後に、該第1型34から木型46と可撓性シート50とを取り外す。これによって、図16に示すように、キャビティ内周面38が形成された第1型34を得る鋳型作製工程を行う。キャビティ内周面38は、図1のシリンダスリーブ16の外周面24(鋳物周面)に対応する形状であり、且つ図1の突起配置部28に対応して配置された複数の突起形成体26の一部(露出部分40)のみが露出する。
本実施形態では、上記のように鋳型造形用型44における可撓性シート50の一方の面52に固定材層42を設けたため、キャビティ内周面38は、固定材層42と、該固定材層42から露出する複数の突起形成体26の一部(露出部分40)とから構成される。
鋳型作製工程では、必要に応じて、キャビティ内周面38から露出する各突起形成体26の露出部分40の突出高さL2(図17)を調整してもよい。すなわち、鋳型32から木型46と可撓性シート50とを取り外した後、キャビティ内周面38を形成する固定材層42の一部を除去する。これによって、図17に示すように、突起形成体26の直径Dの半分未満となる範囲で固定材層42から複数の突起形成体26を露出させることができる。
第2型36も、第1型34と同様にして造形することができる。これらの第2型36及び第1型34を、互いのキャビティ内周面38が対向するように組み合わせることで図4の鋳型32が作製される。
次に、上記のようにして得た鋳型32のキャビティ内周面38を含んで形成されるキャビティに溶湯を供給して鋳造を行う。これによって、複数の突起形成体26がシリンダスリーブ16の外周面24に一体化されたシリンダスリーブ集合体18を得る鋳物鋳造工程を行う。なお、シリンダスリーブ集合体18は固定材層42が付着した状態で鋳型32から取り出されるため、例えば、ショットブラスト処理等によってシリンダスリーブ集合体18から固定材層42を除去する。
鋳物鋳造工程において、鋳型32のキャビティに、鋳鉄等の溶湯を充填すると、該溶湯の熱により各突起形成体26の露出部分40が溶融して溶湯と一体化する。この状態で溶湯を凝固させることで、シリンダスリーブ16の外周面24に複数の突起形成体26が溶着により一体化されたシリンダスリーブ集合体18を得ることができる。
鋳物鋳造工程では、鋳型32のキャビティに溶湯を充填した際、該溶湯の熱により各突起形成体26が半溶融した状態となるように、突起形成体26の寸法や材料等を設定することが好ましい。これによって、シリンダスリーブ16の外周面24と複数の突起形成体26との接合強度を高めることができる。
上記のようにして、本実施形態に係る鋳造方法を終えた後、この鋳造方法によって作製されたシリンダスリーブ集合体18をブロック本体12で鋳ぐるむ鋳ぐるみ工程を行うことで、図1のシリンダブロック10を得ることができる。鋳ぐるみ工程では、例えば、シリンダブロック10を鋳造するための不図示の鋳型のキャビティに、シリンダスリーブ集合体18を配置する。
そして、シリンダスリーブ集合体18の外周側に、アルミニウム合金等の溶湯を供給し、凝固させることでシリンダブロック10が得られる。このシリンダブロック10では、図2に示すように、シリンダスリーブ集合体18の突起配置部28に設けられた複数の突起形成体26がブロック本体12に埋入されている。
以上から、本実施形態に係る鋳造方法によれば、例えば、図1の突起配置部28の反転形状が形成された不図示の鋳型等を不要とできる。このため、円弧状のシリンダスリーブ16の外周面24(鋳物周面)に対して突出方向の異なる複数の突起形成体26が設けられた突起配置部28を有するシリンダスリーブ集合体18(鋳物)であっても容易且つ高精度に作製することができる。
上記の実施形態に係る鋳造方法の突起形成体固定工程は、突起配置部28に対応する配置で複数の突起形成体吸引孔66が設けられた吸引面70を有する吸引装置58を用いて行い、複数の突起形成体吸引孔66を介して吸引面70に複数の突起形成体26を吸引することで、複数の突起形成体26を突起配置部28に対応する配置とすることとした。この場合、突起形成体26を容易且つ高精度に突起配置部28に対応する配置とすることができる。
上記の実施形態に係る鋳造方法では、吸引面70には、複数の突起形成体吸引孔66とは別にシート吸引孔68が設けられ、突起形成体固定工程では、複数の突起形成体26を吸引した状態の吸引面70に、シート吸引孔68を介して可撓性シート50を吸引することで、可撓性シート50の一方の面52に設けられた付着材56aを介して複数の突起形成体26を固定することとした。この場合、突起配置部28に対応する配置とした複数の突起形成体26を可撓性シート50の一方の面52に容易且つ高精度に固定することができる。
なお、突起配置部28に対応する配置で複数の突起形成体26を可撓性シート50の一方の面52側に固定する方法は、上記のように突起形成体26を吸引した状態の吸引面70に可撓性シート50を吸引する方法に限定されるものではない。例えば、上記のようにして吸引面70に複数の突起形成体26を吸引した状態の吸引ヘッド60を、作業台76に載置した可撓性シート50の一方の面52に接近させる。そして、複数の突起形成体26を可撓性シート50に接触させた状態で、突起形成体吸引孔66による吸引を停止する。これによって、複数の突起形成体26を、付着材56aを介して可撓性シート50の一方の面52に固定することができる。
また、突起形成体固定工程では、例えば、可撓性シート50の一方の面52に付着材56aを設けることに代えて、固定材層42を設けておいてもよい。この場合、突起形成体吸引孔66に吸引された突起形成体26が吸引面70から突出する部分を大きくしておく。そして、吸引ヘッド60を、作業台76に載置した可撓性シート50の一方の面52に接近させることで、該一方の面52に設けた固定材層42に複数の突起形成体26を埋めむようにして固定してもよい。この場合、木型固定工程の後であって埋没工程の前に、可撓性シート50の一方の面52に固定材層42を設ける工程を省略することができる。
上記の実施形態に係る鋳造方法の木型固定工程では、木型周面48の上方で、吸引装置58による複数の突起形成体26及び可撓性シート50の吸引を停止することで、複数の突起形成体26が固定された可撓性シート50を吸引面70から離間させて木型周面48上に配置することとした。この場合、可撓性シート50の他方の面54を木型周面48に容易に固定することが可能となる。
上記の実施形態に係る鋳造方法の木型固定工程では、木型46の軸方向に交差する方向に並べられた複数の木型46に対して順に可撓性シート50を固定し、可撓性シート50の木型周面48の周方向の両端に固定される部分は、該周方向の中央に固定される部分よりも先に吸引装置58による吸引が停止されて、複数の突起形成体26とともに吸引面70から離間した状態で、木型周面48に対する位置決めが行われることとした。
この場合、可撓性シート50の他方の面54を木型周面48に高精度且つ効率的に固定することが可能となる。なお、可撓性シート50の木型周面48の周方向の両端に固定される部分と、該周方向の中央に固定される部分との吸引を略同時に停止して、可撓性シート50の他方の面54を木型周面48上に配置してもよい。
上記の実施形態に係る鋳造方法の突起形成体固定工程では、球状の複数の突起形成体26を可撓性シート50の一方の面52に固定することとした。この場合、突起形成体吸引孔66を介して吸引面70に容易に突起形成体26を吸引して、一層効率的且つ高精度に複数の突起形成体26を図1の突起配置部28に対応する配置とすることができる。
また、各突起形成体26の外周面24からの突出高さL1を突起形成体26の直径Dの半分以上(L1≧0.5×D)となる範囲に設定することで、ブロック本体12による抱き力を大きくして、シリンダスリーブ集合体18とブロック本体12との密着力(剥離強度)も高めることが可能となる。ひいては、シリンダブロック10の耐久性の向上や長寿命化を図ることが可能となる。
なお、突起形成体26の形状は、特に球状に限定されるものではない。突起形成体26が球状であるか否かに関わらず、突起形成体26を、その突出端側を基端側よりも突出方向の直交断面が大きいアンダーカット形状とすることが好ましい。この場合、突起形成体26によるアンカー効果等が発揮されることから、シリンダスリーブ集合体18とブロック本体12との密着性を一層良好に向上させることができる。
上記の実施形態に係る鋳造方法では、複数の突起形成体吸引孔66は、上下方向に延在し、その下端側に突起形成体26の直径Dよりも大径の大径部84が設けられ、該大径部84よりも上方に突起形成体26の直径Dよりも小径の小径部86が設けられ、大径部84は、第1テーパ状部88と、第1テーパ状部88よりも上方に配置された第2テーパ状部90とを有し、第1テーパ状部88及び第2テーパ状部90のそれぞれは、下方から上方に向かって縮径し、第1テーパ状部88のテーパ角は、第2テーパ状部90のテーパ角よりも小さく、突起形成体固定工程では、突起形成体吸引孔66を介して突起形成体26を吸引することで、突起形成体26の一部を吸引面70から下方に突出させた状態で突起形成体26を大径部84に収容することとした。
この場合、突起形成体吸引孔66の中心に対して突起形成体26を容易に吸引することが可能になるため、突起形成体26を一層高精度に図1の突起配置部28に対応する配置とすることができる。また、木型固定工程において、可撓性シート50の一部を吸引面70から垂下させる際に、突起形成体吸引孔66の壁部が突起形成体26に干渉することを抑制できるため、突起形成体26が可撓性シート50から剥離することを回避できる。
上記の実施形態に係る鋳造方法の埋没工程では、可撓性シート50の一方の面52に複数の突起形成体26とともに固定材層42が設けられた木型周面48を鋳型32に埋没させ、鋳型作製工程では、鋳型32から木型46と可撓性シート50とを取り外した後、キャビティ内周面38を形成する固定材層42の一部を除去して、突起形成体26の直径Dの半分未満となる範囲で固定材層42から複数の突起形成体26を露出させることとした。
この場合、複数の突起形成体26を所定の配置で良好に維持することが可能となるとともに、キャビティ内周面38から露出する突起形成体26の露出部分40の突出高さL2を高精度に設定することが可能となる。ひいては、最終的に得られるシリンダスリーブ集合体18における各突起形成体26の突出高さL1を高精度に設定することが可能となる。
上記の実施形態に係る鋳造方法の鋳物鋳造工程では、シリンダブロック10を構成するブロック本体12に形成されたシリンダボア14内に配設されるシリンダスリーブ16を鋳物として鋳造することとした。
また、上記の実施形態に係る鋳造方法では、シリンダブロック10は、複数のシリンダボア14及び複数のシリンダスリーブ16を有し、鋳物鋳造工程では、複数のシリンダスリーブ16を一体に鋳造すること、換言すると、シリンダスリーブ集合体18を鋳造することとした。
円弧状の周面に対して突起配置部28が設けられた鋳物を得るための一般的な方法としては遠心鋳造が挙げられる。しかしながら、シリンダスリーブ集合体18は、単純な円筒形状ではないため、遠心鋳造により作製することが困難である。このようなシリンダスリーブ集合体18の周面に突起配置部28を設けるべく、切削等の機械加工を行うと、シリンダスリーブ集合体18の製造工程の煩雑化や、製造効率の低下が生じる懸念がある。
しかしながら、本実施形態に係る鋳型造形用型44を用いて造形した鋳型32を用いる鋳造方法によれば、上記の通り、容易且つ高精度に突起配置部28が設けられたシリンダスリーブ集合体18を得ることが可能となる。
シリンダスリーブ集合体18では、例えば、並べて配置された4個の単管状のシリンダスリーブ(不図示)よりも、隣接するシリンダスリーブ16の軸同士の距離を短くすることができる。すなわち、シリンダボア14の軸同士の距離を短くすることができるため、シリンダブロック10を大型化することなくシリンダボア14の内径を大きくすることが可能となる。ひいては、シリンダブロック10を備える内燃機関を大型化することなく、排気量を向上させることが可能となる。
また、シリンダスリーブ集合体18の外周面(シリンダスリーブ16の外周面24)に突起配置部28を設けることで、上記の通り、シリンダスリーブ集合体18とブロック本体12との密着性(剥離強度)を高めることができる。このため、シリンダブロック10の特に高温になり易い燃焼室側であっても、シリンダスリーブ集合体18とブロック本体12とを良好に密着させた状態を維持することができる。これによって、シリンダブロック10の耐久性を向上させることや、長寿命化を図ることが可能となる。
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
10…シリンダブロック 12…ブロック本体
14…シリンダボア 16…シリンダスリーブ
18…シリンダスリーブ集合体 24…外周面
26…突起形成体 28…突起配置部
32…鋳型 38…キャビティ内周面
42…固定材層 46…木型
48…木型周面 50…可撓性シート
52…一方の面 54…他方の面
56a…付着材 58…吸引装置
66、66a、66b、66c…突起形成体吸引孔
68、68a、68b、68c…シート吸引孔
70…吸引面 84…大径部
86…小径部 88…第1テーパ状部
90…第2テーパ状部

Claims (10)

  1. 円弧状の鋳物周面に対して、互いに異なる突出方向に突出する複数の突起形成体が設けられた突起配置部を有する鋳物を、鋳型を用いて作製する鋳造方法であって、
    前記突起配置部に対応する配置で前記複数の突起形成体を可撓性シートの一方の面側に固定する突起形成体固定工程と、
    前記鋳物周面に対応する木型周面を有する木型の該木型周面に前記可撓性シートの他方の面側を固定する木型固定工程と、
    前記可撓性シートを介して前記複数の突起形成体が固定された前記木型周面を前記鋳型に埋没させる埋没工程と、
    前記鋳型から前記木型と前記可撓性シートとを取り外して、前記鋳物周面に対応する形状であり且つ前記複数の突起形成体の一部のみが露出するキャビティ内周面が形成された前記鋳型を得る鋳型作製工程と、
    前記鋳型の前記キャビティ内周面を含んで形成されるキャビティに溶湯を供給して鋳造を行うことで、前記複数の突起形成体が前記鋳物周面に一体化された前記鋳物を得る鋳物鋳造工程と、
    を有する鋳造方法。
  2. 請求項1記載の鋳造方法において、
    前記突起形成体固定工程は、前記突起配置部に対応する配置で複数の突起形成体吸引孔が設けられた吸引面を有する吸引装置を用いて行い、前記複数の突起形成体吸引孔を介して前記吸引面に前記複数の突起形成体を吸引することで、該複数の突起形成体を前記突起配置部に対応する配置とする、鋳造方法。
  3. 請求項2記載の鋳造方法において、
    前記吸引面には、前記複数の突起形成体吸引孔とは別にシート吸引孔が設けられ、前記突起形成体固定工程では、前記複数の突起形成体を吸引した状態の前記吸引面に、前記シート吸引孔を介して前記可撓性シートを吸引することで、該可撓性シートの前記一方の面に設けられた付着材を介して前記複数の突起形成体を固定する、鋳造方法。
  4. 請求項3記載の鋳造方法において、
    前記木型固定工程では、前記木型周面の上方で、前記吸引装置による前記複数の突起形成体及び前記可撓性シートの吸引を停止することで、前記複数の突起形成体が固定された前記可撓性シートを前記吸引面から離間させて前記木型周面上に配置する、鋳造方法。
  5. 請求項4記載の鋳造方法において、
    前記木型固定工程では、
    前記木型の軸方向に交差する方向に並べられた複数の前記木型に対して順に前記可撓性シートを固定し、
    前記可撓性シートの前記木型周面の周方向の両端に固定される部分は、該周方向の中央に固定される部分よりも先に前記吸引装置による吸引が停止されて、前記複数の突起形成体とともに前記吸引面から離間した状態で、前記木型周面に対する位置決めが行われる、鋳造方法。
  6. 請求項2〜5の何れか1項に記載の鋳造方法において、
    前記突起形成体固定工程では、球状の前記複数の突起形成体を前記可撓性シートの前記一方の面に固定する、鋳造方法。
  7. 請求項6記載の鋳造方法において、
    前記複数の突起形成体吸引孔は、上下方向に延在し、該突起形成体吸引孔の下端側には、前記突起形成体の直径よりも大径の大径部が設けられ、該大径部よりも上方に前記突起形成体の直径よりも小径の小径部が設けられ、
    前記大径部は、第1テーパ状部と、該第1テーパ状部よりも上方に配置された第2テーパ状部とを有し、
    前記第1テーパ状部及び前記第2テーパ状部のそれぞれは、下方から上方に向かって縮径し、
    前記第1テーパ状部のテーパ角は、前記第2テーパ状部のテーパ角よりも小さく、
    前記突起形成体固定工程では、前記突起形成体吸引孔を介して前記突起形成体を吸引することで、前記突起形成体の一部を前記吸引面から下方に突出させた状態で前記突起形成体を前記大径部に収容する、鋳造方法。
  8. 請求項6又は7記載の鋳造方法において、
    前記埋没工程では、前記可撓性シートの前記一方の面に前記複数の突起形成体とともに固定材層が設けられた前記木型周面を前記鋳型に埋没させ、
    前記鋳型作製工程では、前記鋳型から前記木型と前記可撓性シートとを取り外した後、前記キャビティ内周面を形成する前記固定材層の一部を除去して、前記突起形成体の直径の半分未満となる範囲で前記固定材層から前記複数の突起形成体を露出させる、鋳造方法。
  9. 請求項1〜8の何れか1項に記載の鋳造方法において、
    前記鋳物鋳造工程では、シリンダブロックを構成するブロック本体に形成されたシリンダボア内に配設されるシリンダスリーブを前記鋳物として鋳造する、鋳造方法。
  10. 請求項9記載の鋳造方法において、
    前記シリンダブロックは、複数の前記シリンダボア及び複数の前記シリンダスリーブを有し、
    前記鋳物鋳造工程では、複数の前記シリンダスリーブを一体に鋳造する、鋳造方法。
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