JP2021149724A - 緊急時対応支援装置、方法及びプログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】到達する可能性のあるEAL候補を予め把握して、対策の準備に早期に取り掛かり対策を迅速におしすすめることができる緊急時対応支援技術を提供する。【解決手段】緊急時対応支援装置は、EAL区分35を登録し、イベントツリー20を登録し、イベントツリー20のシーケンス26の終状態25にEAL区分35を関連付け、各々の分岐27における分岐確率Qを登録し、起因事象の開始後における分岐27の確定結果Rを取得し、確定結果Rが示された分岐27αよりも下流側の分岐確率Qに基づいてEAL区分35の到達確率Pを計算する。【選択図】図6

Description

本発明の実施形態は、原子力プラントにおける緊急時対応を支援する技術に関する。
原子力プラントで事故等の異常事態が発生した場合、当該プラント設備の監視/制御を行う中央制御室と、原子力プラントのサイト内に設置され事故対策の立案や意思決定を行う緊急時対策所と、後方支援を行う電力会社本店等のオフサイトと、の間で相互に、プラント情報を共有しながら対策にあたる。この場合の緊急時対策所の重要な役割の一つに、事前に定めた緊急時活動レベル(EAL)のいずれの分類に、発生した異常事態が該当するかについて、関係機関に通報することが挙げられる。
緊急時活動レベル(EAL:Emergency Action Level)とは、原子力プラントにおいて異常事態が発生した際、緊急性を判断する基準を言う。そして判断される緊急事態は、施設の情報、放射線量等に基づき「警戒事態(AL:Alert)」、「施設敷地緊急事態(SE:Site area Emergency)」及び「全面緊急事態(GE:General Emergency)」の三種類に大きく分類される。さらにEALには、発生した異常事態が、これら三種類の緊急事態のいずれの分類に合致するかの判断基準が示されている。
緊急時対策所の担当者(例えば、原子力防災管理者/支援スタッフ、以下「人間系」という)は、原子力プラントに異常事態の発生後、AL,SE,GEのいずれの緊急事態に到達したか否かの判断に迫られる。そのような場合に、人間系によるEALの到達判断を総合的に支援するため、必要な情報を提供するプラント監視支援システムが公知である。
特開2017−27328号公報
原子力プラントに異常事態が発生した場合、対策の準備に可能な限り早期に取り掛かり対策を迅速におしすすめることが要望される。よってこの場合、EALの到達判断が実際に下されるよりも前に、到達する可能性のあるEAL候補が予め把握されていることが望ましい。しかし、上述した公知のプラント監視支援システムでは、人間系がEALの到達判断を下すのに必要な情報が、収集されたプラントデータに基づいて提供されるに過ぎず、そのような要望に応えることが困難であった。
一方において原子力プラントには、事故シーケンスを網羅的に展開し体系的な分析及び定量化を可能とする確率論的リスク評価(PRA: Probabilistic Risk Assessment)が導入されている。そして、炉心損傷頻度(CDF:Core Damage Frequency)の評価を対象としたPRAは、レベル1PRAと呼ばれている。
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、原子力プラントに対する確率論的リスク評価の手法からアプローチし、到達する可能性のあるEAL候補を予め把握して、対策の準備に早期に取り掛かり対策を迅速におしすすめることができる緊急時対応支援技術を提供することを目的とする。
実施形態に係る緊急時対応支援装置において、緊急時活動レベルの判断基準を示すEAL区分を登録する第1登録部と、起因事象に起因した事態の進展を防止する一連の処置事項における成功/失敗の分岐を展開したイベントツリーを登録する第2登録部と、前記イベントツリーの前記分岐により展開された各々のシーケンスの終状態に前記EAL区分を関連付ける関連付け部と、各々の前記分岐における前記成功又は前記失敗の分岐確率を登録する第3登録部と、前記起因事象の開始後における前記分岐の前記成功/失敗の確定結果を取得する取得部と、前記確定結果が示された前記分岐よりも下流側に展開される前記シーケンスに沿う前記分岐確率に基づいて前記EAL区分の到達確率を計算する計算部と、を備える。
本発明の実施形態により、原子力プラントに対する確率論的リスク評価の手法からアプローチし、到達する可能性のあるEAL候補を予め把握して、対策の準備に早期に取り掛かり対策を迅速におしすすめることができる緊急時対応支援技術を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る緊急時対応支援装置のブロック図。 緊急時活動レベルの判断基準となるEAL区分を示すマトリックス表。 (A)確率論的リスク評価用のPRAイベントツリーを示す図、(B)シーケンスの終状態にEAL区分を関連付けたイベントツリーを示す図。 画像生成部により生成され表示される画像。 起因事象が開始した直後に表示される施設敷地緊急事態(SE)のイベントツリー及びテーブルの画像。 起因事象により事態が進展していく過程で表示される施設敷地緊急事態(SE)のイベントツリー及びテーブルの画像。 実施形態に係る緊急時対応支援方法及び緊急時対応支援プログラムのフローチャート。
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る緊急時対応支援装置10のブロック図である。図2は緊急時活動レベルの判断基準となるEAL区分35を示すマトリックス表である。図3(A)は確率論的リスク評価用のPRAイベントツリー20xを示す図である。図3(B)はシーケンス26の終状態25にEAL区分35を関連付けたイベントツリー20を示す図である。
図1に示すように緊急時対応支援装置10は、緊急時活動レベルの判断基準を示すEAL区分35(図2)を登録する第1登録部11と、起因事象に起因した事態の進展を防止する一連の処置事項24(24x,24a,24b…)(図3)における成功/失敗の分岐27(27x,27a,27b…)を展開したイベントツリー20を登録する第2登録部12と、イベントツリー20の分岐27により展開された各々のシーケンス26の終状態25にEAL区分35を関連付ける関連付け部15と、各々の分岐27における成功又は失敗の分岐確率Qを登録する第3登録部13と、起因事象の開始後における分岐27の成功/失敗の確定結果Rを取得する取得部16と、確定結果Rが示された分岐27α(図6)よりも下流側に展開されるシーケンス26β(図6)に沿う分岐確率Q(図3(B))に基づいてEAL区分35の到達確率Pを計算する計算部18と、を備えている。
図4は画像生成部19(図1)で生成され表示される画像29である。このように画像生成部19は、EAL区分35が終状態25に関連付けられたイベントツリー20(201,202…)の画像29を、起因事象の種類毎に生成し表示させる。また画像生成部19で生成した画像29は、通信ネットワーク31(図1)を介して、他の地域に配置された表示端末32(32a,32b)に表示させることができる。
なお図4において、EAL区分35を施設敷地緊急事態(SE)及び全面緊急事態(GE)に区別して、それぞれ別々のイベントツリー20(20x1,20y1,20x2,20y2…)を表示させている。なお表示形態は、このようなものに限定されることはなく、施設敷地緊急事態(SE)及び全面緊急事態(GE)を区別せずに、起因事象の種類別に一覧表示させてもよい。
また画像29に表示させるイベントツリー20(201,202,…)は、異常事態の発生時に、可能性のある1つ以上の起因事象を対象として、人間系による入力部(図示略)の操作で選択されるようにしてもよい。さらに、画像29に表示させたイベントツリー20(201,202,…)のいずれかを削除したり、別の起因事象のイベントツリー20を新たに表示させたりすることができる。
緊急時活動レベル(EAL)とは、原子力プラントにおいて異常事態が発生した際、緊急性を判断する基準を言う。図2に示すように判断される緊急事態は、施設の情報、放射線量等に基づき「警戒事態(AL:Alert)」、「施設敷地緊急事態(SE:Site area Emergency)」及び「全面緊急事態(GE:General Emergency)」の3つに区分されている。
さらに緊急時活動レベル(EAL)は、緊急事態がいずれのEAL区分35に該当するかの判断基準が項目分けして定義されている。なお以降において、特定のEAL区分35を指す場合は、図2のマトリックスの行を特定する項目番号と列を特定する記号を用いて、例えば、SE27,GE42のように示す。
警戒事態(AL)では、プラントの安全レベルが低下した場合、あるいは、その可能性があるような事象が発生した場合を判定基準とし、この場合、PAZ(予防的防護措置を準備する区域)内の災害時要援護者の避難の準備が開始される。
施設敷地緊急事態(SE)では、公衆を防護するために必要とされるプラントの機能が喪失した場合、あるいは、その可能性があるような事象が発生した場合を判定基準とし、この場合、PAZ内の災害時要援護者の避難が実施され、PAZ内住民の避難準備が実施される。
全面緊急事態(GE)では、炉心損傷若しくは燃料の溶融が発生した場合、あるいは、その可能性があるような事象が発生し、さらに格納容器の健全性を喪失する可能性がある事象が発生した場合を判定基準とし、この場合、PAZ内住民の避難が実施され、UPZ(緊急時防護措置を準備する区域)の屋内退避が実施される。
図1に戻って説明を続ける。
第1登録部11に登録されるEAL区分35は、図2に示される緊急時活動レベルのうち、少なくとも施設敷地緊急事態(SE)及び全面緊急事態(GE)に区分けされたものである。
第2登録部12に登録されるイベントツリー20は、確率論的リスク評価(PRA)に基づき、図3(A)に示すように、起因事象に起因した事態の進展を防止する一連の処置事項24(24a,24b…)がヘディングされている。さらにイベントツリー20は、各々の処置事項24(24a,24b…)において、成功/失敗の分岐27(27a、27b…)を持つシーケンス26が展開されている。
図3(A)に示す確率論的リスク評価モデルのPRAイベントツリー20xは、レベル1PRAで炉心損傷頻度(CDF)を評価するために構築したものであって、「給水喪失」を起因事象としたものである。そして、炉心損傷への進展を防止する複数の対策が、処置事項24(24a,24b…)として時系列にヘディングされている。そしてシーケンス26は、それぞれの処置事項24(24a,24b…)における対策の成功/失敗で分岐27して、終状態25まで展開されている。
ここで終状態25における「OK」は、起因事象から炉心損傷に至る事故の進展を防止することに成功したことを示し、「NG」は、その進展の防止が失敗したことを示している。なお、起因事象として「給水喪失」を例示しているが、確率論的リスク評価(PRA:Probabilistic Risk Assessment)に基づいて複数のその他の起因事象が定義される。
関連付け部15(図1)は、PRAイベントツリー20x(図3(A))の分岐27により展開された各々のシーケンス26の終状態25にEAL区分35を関連付ける。これにより、それぞれのEAL区分35の到達確率Pを、他の目的(例えば、レベル1PRAでCDF評価)のために構築したイベントツリー20xをベースに評価することができる。つまり、イベントツリー20xの終状態25を炉心損傷評価の「OK」「NG」からSEまたはGEの到達確率Pに変更して、緊急時活動レベル(EAL)を評価できる。
図3(B)は、図3(A)に示すPRAイベントツリー20xに新設の処置事項24xを追加し、終状態25にEAL区分35を関連付けて変換したイベントツリー20である。EAL区分35を終状態25に関連付けするに際し、例えば緩和機能の喪失など処置事項24に対応するSE、GEは直接関連付けられる。
一方において、障壁喪失のように条件の組合せで成立するEALについては、図3(B)に示すように新設の処置事項24xを追加する等して、条件を整理した上で終状態25に関連付けられる。つまり、EAL区分35を直接関連付けることが不能な終状態25が存在する場合は、関連付け可能となるよう新規の処置事項24xがイベントツリー20に追加され、シーケンス26が再展開される。
第3登録部13(図1)は、各々の分岐27(27x,27a,27b…)における成功又は失敗の分岐確率Qを登録する。図3(B)においては、失敗の分岐確率Q(Qx,Qa,Qb…)が示されている。この場合、成功の分岐確率は、1−Qで示される。
この分岐確率Qは、各々の処置事項24(24x,24a,24b…)に対するフォールトツリー解析やこれまで蓄積された事例解析から得ることができる。フォールトツリー解析とは、処置事項24を「失敗」に導く原因事象を導き出してAND、ORの論理記号で結んで樹木状に展開し、末端に位置する原因事象の発生確率から頂点の処置事項24における失敗の分岐確率Qを演算するものである。
取得部16(図1)は、起因事象の開始後における分岐27の成功/失敗の確定結果Rを取得する。プラントに異常事態が発生した場合、その推移に従ってイベントツリー20の一連の処置事項24(24x,24a,24b…)も進捗していく。これら処置事項24(24x,24a,24b…)における成功/失敗の確定結果Rは、人間系の判断もしくはプラントのプロセス信号に基づいて外部から入力される。
計算部18(図1)は、確定結果Rが示された分岐27α(図6参照)よりも下流側に展開されるシーケンス26βに沿う分岐確率Qに基づいてEAL区分35の到達確率Pを計算する。ここで図3(B)に基づいて、到達確率Pの計算方法について説明する。シーケンス26の分岐27(27x,27a,27b…)の各々に対し、失敗の分岐確率Q(Qx,Qa,Qb,…)が関連付けされている。この場合、GE23、GE42、GE22の到達確率PはそれぞれPGE23=Qx・(1−Qa)・Qd、PGE42=Qx・Qa・(1−Qb)、PGE22=Qx・Qa・Qbのように表される。
図5は、主蒸気逃し安全弁開固着の起因事象が開始された直後に表示される施設敷地緊急事態(SE)のイベントツリー20a(20)及びテーブル21a(21)の画像である。この場合、起因事象が開始した直後であることから、いずれの処置事項24においても、確定結果Rは示されていない。この場合、計算部18は、始端から展開されるシーケンス26に沿う分岐確率Qに基づいてEAL区分35の到達確率Pを計算する。なお記載を省略するが、全面緊急事態(GE)のイベントツリー20及びテーブル21についても、施設敷地緊急事態(SE)と同様の説明があてはまる。
イベントツリー20の終状態25には、対応するシーケンス26の到達頻度36が付記されている。この到達頻度36は、始端から終端までシーケンス26に沿って計算された分岐確率Qに、起因事象の発生頻度を乗算して求められる。なお、この到達頻度36は、到達確率Pとは異なり、事態の進展とは無関係に常に固定値を示している。
そしてイベントツリー20には、現在進行中の処置事項24の位置37が黒丸で強調表示されている。さらに、今後進展する可能性のある方向38が矢印で強調表示され、その方向38への分岐確率Qが表示されている。図5の例において、「水位計測」が「失敗」に進む分岐確率Q=2.0E−7で、「水位計測」が「成功」に進む確率(1−Q)=1−2.0E−7である。
テーブル21は、対応するイベントツリー20に付随して画像29(図4)に表示され、到達確率Pに基づいて順位付けされたEAL区分35が掲載されている。各々の終状態25に関連付けされたEAL区分35のうち同一のものについて到達確率Pを足し合わせ、到達確率Pの大きいEAL区分35から順番に掲載される。
図5の例において、到達する可能性のあるEAL区分35(図2)は、SE22(原子炉注水機能の喪失のおそれ)、SE23(残留熱除去機能の喪失)、SE42(2つの障壁の喪失又は喪失可能性)であり、施設敷地緊急事態(SE)への到達確率PはSE22、SE23、SE42の順で大きい。
図6は、主蒸気逃し安全弁開固着を起因事象として事態が進展していく過程で表示される施設敷地緊急事態(SE)のイベントツリー20b(20)及びテーブル21b(21)の画像である。図6では、起因事象により事態が進展している過程において、一連の処置事項24のうち「水位計測」が「成功」、「給復水系注水」が「失敗」という確定結果Rが取得された状態を表している。これにより、黒丸で強調表示される現在進行中の処置事項24は「高圧注水」の位置37となる。
そして、この確定結果Rが示された確定分岐27αの下流側直近の次回分岐27βから上流側に展開されるシーケンス26αが強調して表示(図示は実線で表示)されている。なお次回分岐27βから下流側のシーケンス26βが、強調して表示されるようにしても良い。さらに、次回分岐27βに対応する成功/失敗の分岐確率Pも(0.95,0.05のように)表示されている。
さらに、次回分岐27βから下流側に展開されるシーケンス26βに沿う分岐27及びその終状態25に、EAL区分35が強調して表示されている。このように強調されたEAL区分35は、これから到達する可能性が示唆される。
図6の例において、「高圧注水」が「失敗」に進む確率=0.05で、「高圧注水」が「成功」に進む確率=0.95である。到達する可能性のあるEAL区分35(図2)は、SE22(原子炉注水機能の喪失のおそれ)、SE23(残留熱除去機能の喪失)である。起因事象(主蒸気逃し安全弁開固着)が開始し、「水位計測」に「成功」して「給復水系注水」に失敗した後、施設敷地緊急事態(SE)への到達確率Pは、SE23、SE22の順で大きい。
図6の例では、起因事象が開始した直後を示した図5の例に比べて、到達する可能性のあるEAL区分35が3種から2種に絞り込まれている。このような知見に基づいて、リスクを予測して、到達する可能性のあるEALの候補を絞り込んで、判断の速度を高めて、できる限り早く対策の準備に着手することができる。
図7のフローチャートに基づいて、実施形態に係る緊急時対応支援方法及び緊急時対応支援プログラムを説明する。まず、EAL区分35及びイベントツリー20を登録し(S11,S12)、イベントツリー20のシーケンス26の終状態25にEAL区分35を関連付ける(S13)。さらに、各々の分岐27における成功又は失敗の分岐確率Qを登録する(S14)。
そして異常事態の発生後(S15 Yes)、到達可能性のある1つ以上の起因事象のイベントツリー20(201,202,…)を選択して画像29に表示させる(S16)。次に始端から終端まで展開されるシーケンス26に沿う分岐確率Qに基づいてEAL区分35の到達確率Pを計算する(S17)。さらに計算した到達確率Pに基づき順位付けされたEAL区分35が掲載されたテーブル21を、対応するイベントツリー20と共に表示させる(S18)。
一連の処置事項24の進捗に伴って、分岐27の成功/失敗の確定結果Rが取得される(S19 Yes)。すると、確定結果Rが示された分岐27αよりも下流側に展開されるシーケンス26に沿う分岐確率Qに基づいてEAL区分35の到達確率Pを再計算する(S17)。さらに再計算した到達確率Pに基づき順位付けされたEAL区分35が掲載されたテーブル21を、対応するイベントツリー20と共に再表示させる(S18)。
そして、イベントツリー20を展開する分岐27の確定結果Rが取得されていき、シーケンス26が終状態25に到達したところで終了する(S19 No,S20 Yes,END)。
以上述べた少なくともひとつの実施形態の緊急時対応支援装置によれば、原子力プラントに対する確率論的リスク評価の手法からアプローチし、到達する可能性のあるEAL候補を予め把握して、対策の準備に早期に取り掛かり対策を迅速におしすすめることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以上説明した緊急時対応支援装置は、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスやキーボードなどの入力装置と、通信I/Fとを、備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
また緊急時対応支援装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、CD−R、メモリカード、DVD、フロッピーディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されて提供するようにしてもよい。
また、本実施形態に係る緊急時対応支援装置で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしてもよい。また、緊急時対応支援装置は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワーク又は専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
10…緊急時対応支援装置、11…第1登録部、12…第2登録部、13…第3登録部、15…関連付け部、16…取得部、18…計算部、19…画像生成部、20(20a,20b)…イベントツリー、21(21a,21b)…テーブル、24…処置事項、25…終状態、26…シーケンス、27…分岐、27α…確定分岐、27β…次回分岐、29…画像、31…通信ネットワーク、32…表示端末、35…EAL区分、36…到達頻度、P…到達確率、Q…分岐確率、R…確定結果。

Claims (10)

  1. 緊急時活動レベルの判断基準を示すEAL区分を登録する第1登録部と、
    起因事象に起因した事態の進展を防止する一連の処置事項における成功/失敗の分岐を展開したイベントツリーを登録する第2登録部と、
    前記イベントツリーの前記分岐により展開された各々のシーケンスの終状態に、前記EAL区分を関連付ける関連付け部と、
    各々の前記分岐における前記成功又は前記失敗の分岐確率を登録する第3登録部と、
    前記起因事象の開始後における前記分岐の前記成功/失敗の確定結果を取得する取得部と、
    前記確定結果が示された前記分岐よりも下流側に展開される前記シーケンスに沿う前記分岐確率に基づいて、前記EAL区分の到達確率を計算する計算部と、を備える緊急時対応支援装置。
  2. 請求項1に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記EAL区分が前記終状態に関連付けられた前記イベントツリーの画像を、前記起因事象の種類毎に生成し表示させる画像生成部を備える緊急時対応支援装置。
  3. 請求項2に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記EAL区分を施設敷地緊急事態(SE)及び全面緊急事態(GE)に区別して、それぞれ別々の前記イベントツリーを表示させる緊急時対応支援装置。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記到達確率に基づき順位付けされた前記EAL区分を掲載したテーブルを、対応する前記イベントツリーと共に表示させる緊急時対応支援装置。
  5. 請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記確定結果が示された前記分岐の下流側直近の前記分岐から上流側及び下流側の少なくとも一方に展開される前記シーケンスを、強調して表示させる緊急時対応支援装置。
  6. 請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記確定結果が示された前記分岐の下流側直近の前記分岐から下流側に展開される前記シーケンスに沿う前記分岐及びその終状態の少なくとも一方に、前記EAL区分を強調して表示させる緊急時対応支援装置。
  7. 請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記シーケンスの終状態に関連付けた前記EAL区分の到達頻度を表示させる緊急時対応支援装置。
  8. 請求項2から請求項7のいずれか1項に記載の緊急時対応支援装置において、
    前記確定結果が示された前記分岐の下流側直近の前記分岐に対応する前記成功/失敗の前記分岐確率を表示させる緊急時対応支援装置。
  9. 第1登録部に、緊急時活動レベルの判断基準を示すEAL区分を登録するステップと、
    第2登録部に、起因事象に起因した事態の進展を防止する一連の処置事項における成功/失敗の分岐を展開したイベントツリーを登録するステップと、
    前記イベントツリーの前記分岐により展開された各々のシーケンスの終状態に、前記EAL区分を関連付けるステップと、
    第3登録部に、各々の前記分岐における前記成功又は前記失敗の分岐確率を登録するステップと、
    前記起因事象の開始後における前記分岐の前記成功/失敗の確定結果を取得するステップと、
    計算部が、前記確定結果が示された前記分岐よりも下流側に展開される前記シーケンスに沿う前記分岐確率に基づいて、前記EAL区分の到達確率を計算するステップと、を含む緊急時対応支援方法。
  10. コンピュータに、
    緊急時活動レベルの判断基準を示すEAL区分を登録するステップ、
    起因事象に起因した事態の進展を防止する一連の処置事項における成功/失敗の分岐を展開したイベントツリーを登録するステップ、
    前記イベントツリーの前記分岐により展開された各々のシーケンスの終状態に、前記EAL区分を関連付けるステップ、
    各々の前記分岐における前記成功又は前記失敗の分岐確率を登録するステップ、
    前記起因事象の開始後における前記分岐の前記成功/失敗の確定結果を取得するステップ、
    前記確定結果が示された前記分岐よりも下流側に展開される前記シーケンスに沿う前記分岐確率に基づいて、前記EAL区分の到達確率を計算するステップ、を実行させる緊急時対応支援プログラム。
JP2020050535A 2020-03-23 2020-03-23 緊急時対応支援装置、方法及びプログラム Active JP7399767B2 (ja)

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