JP2021148814A - フォトクロミック積層体、フォトクロミック硬化性組成物、および該組成物の製造方法 - Google Patents

フォトクロミック積層体、フォトクロミック硬化性組成物、および該組成物の製造方法 Download PDF

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真行 宮崎
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太一 花崎
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Rikihiro Mori
力宏 森
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潤治 竹中
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Abstract

【課題】高いフォトクロミック特性、および耐久性に優れたフォトクロミック積層体を提供することにある。【解決手段】光学基材上に、複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物、およびポリマー成分を含む樹脂組成物からなるフォトクロミック層を有するフォトクロミック積層体であって、該フォトクロミック層の厚みが、10〜200μmであり、該フォトクロミック組成物が、インデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、該フォトクロミック層において、該ポリマー成分100質量部に対して、該クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック積層体である。【選択図】なし

Description

本発明は、複数の重合性単量体を含む重合性組成物、および特定量の、特定の種類の複数のクロメン化合物を含むフォトクロミック化合物を含有する、新規なフォトクロミック硬化性組成物に関する。
光学基材は、その上に機能性を有する層を積層することにより、様々な用途に適用できる。例えば、機能層として、フォトクロミック化合物を含む層を積層した場合には、屋外ではサングラスとして機能し、屋内では透明なレンズとなる、フォトクロミックレンズとして使用できる。
フォトクロミック化合物とは、ある化合物に太陽光あるいは水銀灯の光のような紫外線を含む光を照射することで、吸収スペクトルの異なる2つの異性体を可逆的に取りうる化合物である。一般的に無色の消色状態の化合物に紫外線を照射することで、速やかに色が変わり、有色の発色状態へと異性化(発色反応)する。
これらフォトクロミック化合物は、高性能化が進んでおり、様々な化合物が開発されている(例えば、特許文献1〜9参照)。これらの中でも、インデノナフトピランを骨格として有するクロメン化合物は、優れた物性を示す。また、複数のクロメン化合物を使用して、特定の重合性単量体を使用したフォトクロミック硬化性組成物の開発も行われている(特許文献10参照)。また、溶媒和物のようなクロメン化合物を製造する方法も検討されている(特許文献11参照)。
近年、このようなフォトクロミックレンズは、様々な方法で製造されている。例えば、レンズ表面にフォトクロミック化合物を含侵させる方法がある。また、フォトクロミック硬化性組成物からそのままレンズを製造する方法がある。さらには、光学基材上にフォトクロミック硬化性組成物からなるフォトクロミック層を積層する方法がある。これらの中でも、光学基材上にフォトクロミック層を積層する方法(フォトクロミック積層体を製造する方法)は、様々な光学基材に適用できるため、有益な方法である。
国際公開第WO2005/028465号パンフレット 国際公開第WO2011/010744号パンフレット 国際公開第WO2010/150905号パンフレット 国際公開第WO2011/016582号パンフレット 国際公開第WO2011/025056号パンフレット 国際公開第WO2011/034202号パンフレット 国際公開第WO2012/102409号パンフレット 国際公開第WO2012/121414号パンフレット 国際公開第WO2013/042800号パンフレット 国際公開WO2011/125956号パンフレット 国際公開WO2003/097765号パンフレット
近年、フォトクロミックレンズには、より高性能なものが望まれている。そのため、機能性の高い様々な光学基材にフォトクロミック性を付与したフォトクロミック積層体(光学基材上に、フォトクロミック層を有する積層体)は、その開発が種々行われている。
フォトクロミック積層体は、光学基材の特性を生かすためには、比較的薄膜でなければならない。しかしながら、フォトクロミック層を薄膜化すればするほど、特に、現在望まれているような、高度な耐久性(耐候性)を発揮できなくなる場合があり、改善の余地があることが分かった。
したがって、本発明の目的は、高いフォトクロミック特性、および耐久性に優れたフォトクロミック積層体を提供し、該フォトクロミック積層体の製造に使用する、フォトクロミック硬化性組成物、およびフォトクロミック層形成用組成物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意検討を行った。
通常、耐久性を向上させるためには、劣化原因である光酸化劣化を抑制する紫外線吸収剤の添加が効果的である。しかしながら、紫外線吸収剤は、フォトクロミック化合物の異性化に必要な紫外線に対して吸光度が高いため、フォトクロミック化合物の異性化を阻害してしまう。例えば、紫外線吸収剤を大量に配合したり、配合する紫外線吸収剤の種類によっては、発色濃度が大幅に低下してしまうおそれがある。そのため、耐久性とフォトクロミック特性との両立ができない場合があることが分かった。そこで、本発明者等は。フォトクロミック化合物の濃度が重要になるのではないかと考えた。すなわち、フォトクロミック化合物の濃度が高いほど、紫外線を吸収する分子数が増えるため、耐久性を向上でき、高度なフォトクロミック性との両立が可能なのではないかと考えた。
しかしながら、フォトクロミック化合物の濃度を高くした場合、十分な耐久性を得られる場合があったが、ただ単に高濃度化しただけでは、一転して、近年求められている高性能なフォトクロミック特性を発揮できない場合があることが判明した。フォトクロミック化合物の配合量を増やすことにより、フォトクロミック特性が低下する場合があることは驚きであった。この原因について、本発明者等は以下のように推定している。
重合性単量体の硬化物、または樹脂(いずれもポリマー成分)をマトリックスとしたフォトクロミック層の場合、該マトリックス中でフォトクロミック化合物の濃度が高いが故に、該マトリクス中の自由空間が減少する。この自由空間の減少が、フォトクロミック特性が低下した原因ではないかと推定している。特に、異性化することにより効果を発揮するフォトクロミック化合物では、該自由空間が減少することにより、フォトクロミック化合物の分子運動が阻害される。そのため、フォトクロミック特性が低下する場合があるのではないかと考えている。
そこで、フォトクロミック化合物の種類を選定すること、および、その配合割合が重要になると考えた。しかしながら、単に、配合割合を調節しつつ、フォトクロミック化合物の濃度を増加させただけでは、特に、重合性組成物(これが硬化してマトリックスとなるポリマー成分を形成する)を利用した際、以下の問題が生じる場合があることが分かった。つまり、フォトクロミック層を形成するフォトクロミック硬化性組成物を製造するに際し、該フォトクロミック化合物自体がマトリックスを形成する重合性単量体(重合性組成物)に溶解し難くなったり、溶解しても該フォトクロミック化合物が析出する場合があった。
そのため、さらなる検討を進め、高性能なフォトクロミック化合物、特に、クロメン化合物の選定と、その配合量の検討を様々行った。加えて、高濃度にフォトクロミック化合物を含有したフォトクロミック層を形成するため、以下の検討を行った。具体的には、フォトクロミック硬化性組成物の混合方法、およびその保存方法も検討した。
そして、特定のフォトクロミック化合物(クロメン化合物)の組み合わせで、かつ、重合性組成物に対して高度に該クロメン化合物を混合できる方法を見出した。その結果、高濃度のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。また、マトリックスの樹脂を特定の樹脂から形成することにより、高濃度のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック層を形成できることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一の本発明は、
光学基材上に、
複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物、およびポリマー成分を含む樹脂組成物からなるフォトクロミック層を有するフォトクロミック積層体であって、
該フォトクロミック層の厚みが、10〜200μmであり、
該フォトクロミック組成物が、下記式(1)
Figure 2021148814
で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、
該フォトクロミック層において、該ポリマー成分100質量部に対して、該クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック積層体である。
フォトクロミック層に含まれるフォトクロミック組成物は、6位、および7位の炭素原子が特定の置換基を有するクロメン化合物、または6位、および7位の炭素原子と共に、特定の環基を形成してなる化合物を含む第一クロメン化合物、並びに、6位、および7位の炭素原子が水素原子である第二クロメン化合物を含むことが好ましい。
さらには、前記第一クロメン化合物、および第二クロメン化合物を含む全ての前記クロメン化合物が、
13位の炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員原子数3〜20の環状置換基を形成してなる化合物(以下、単に「環状置換クロメン化合物」とする場合もある。)であるか、
13位の炭素原子が、炭素数1〜12のアルキル基、若しくは炭素数1〜12のアルコキシ基を少なくとも1つ有する化合物であることが好ましい。フォトクロミック層を形成する樹脂組成物において、ポリマー成分に対して、以上のようなフォトクロミック組成物を、上記の配合量で配合させることにより、薄膜のフォトクロミック層であっても、優れた効果を発揮できる。
第二の本発明は、前記フォトクロミック積層体の前記フォトクロミック層上に、さらに、フォトクロミック化合物を含まない層を有する保護フォトクロミック積層体である。フォトクロミック化合物を含まない層を設けることにより、フォトクロミック化合物のブリードアウトを抑制できるだけでなく、保護フォトクロミック積層体自体の耐久性をより一層向上できる。
第三の本発明は、第一の本発明であるフォトクロミック積層体のフォトクロミック層となる樹脂組成物を形成するためのフォトクロミック硬化性組成物であって、
前記樹脂組成物におけるポリマー成分となる、複数のラジカル重合性単量体を含む重合性組成物、および
複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物を含有し、
該フォトクロミック組成物が、前記式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、前記重合性組成物100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック硬化性組成物である。
第四の本発明は、第三の本発明のフォトクロミック硬化性組成物の製造方法であって、前記重合性組成物と前記フォトクロミック組成物とを50〜90℃の温度範囲で混合する方法である。
第五の本発明は、第四の本発明の方法により、フォトクロミック硬化性組成物を製造した後、該フォトクロミック硬化性組成物を30℃未満の温度範囲で保存する、フォトクロミック硬化性組成物の保存方法である。
第六の本発明は、第一の本発明であるフォトクロミック積層体のフォトクロミック層となる樹脂組成物を形成するためのフォトクロミック層形成用組成物であって、
前記樹脂組成物におけるポリマー成分がウレタン系樹脂となるように、
該ウレタン系樹脂を形成するウレタン樹脂組成物、および
複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物を含有し、
該フォトクロミック組成物が、前記式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、
前記ウレタン樹脂組成物におけるウレタン系樹脂100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック層形成用組成物である。
本発明によれば、比較的薄膜のフォトクロミック層であっても、高度なフォトクロミック特性を発揮できる。高い発色濃度を有しつつ、退色速度に優れ、特に、耐候性にも優れたフォトクロミック積層体を得ることができる。
さらには、高濃度にフォトクロミック化合物を含有するフォトクロミック硬化性組成物であったとしても、該フォトクロミック化合物(クロメン化合物)の析出が低減され、容易に優れたフォトクロミック積層体を製造できる。
本発明は、
光学基材上に、
複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物、およびポリマー成分を含む樹脂組成物からなるフォトクロミック層を有するフォトクロミック積層体であって、
該フォトクロミック層の厚みが、10〜200μmであり、
該フォトクロミック組成物が、下記式(1)
Figure 2021148814
で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、
該フォトクロミック層において、該ポリマー成分100質量部に対して、該クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック積層体である。
以下、各構成について、説明する。
<光学基材>
フォトクロミック層をその上に形成する光学基材は、特に制限されるものではなく、ガラス基材、プラスチックレンズ基材が挙げられる。プラスチックレンズ基材としては、特に制限されるものではなく、公知の基材を使用することができる。例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂レンズや、多官能(メタ)アクリル樹脂、アリル樹脂、チオウレタン樹脂、ウレタン樹脂およびチオエポキシ樹脂等の架橋性樹脂レンズ等が挙げられる。また、これらのプラスチックレンズ基材上に、ハードコート層、および/又はプライマーコート層などを積層したプラスチックレンズ基材にも適用可能である。
これらプラスチックレンズ基材上に、フォトクロミック層を形成する場合には、下記に詳述するフォトクロミック硬化性組成物を使用することが好ましい。
本発明において、該光学基材は、公知の前処理を施すことが好ましい。前処理としては、有機溶剤による脱脂処理、塩基性水溶液又は酸性水溶液による化学的処理、研磨剤を用いた研磨処理、大気圧プラズマ及び低圧プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、火炎処理又はUVオゾン処理等を挙げることができる。中でも、光学基材とプライマー層との密着性をより向上させる観点から、有機溶剤による脱脂処理、アルカリ処理、研磨処理、プラズマ処理、コロナ放電処理、又はUVオゾン処理、又はこれらを組み合わせた処理を行った光学基材を使用することができる。
本発明においては、前記光学基材上に公知のプライマー層を形成した光学基材上の該プライマー層上に、フォトクロミック層を形成することが好ましい。
また、本発明において、下記に詳述する、ウレタン系樹脂を含むフォトクロミック層形成用組成物を使用する場合、特に、末端非反応性ウレタンウレア樹脂を含むフォトクロミック層形成用組成物を使用する場合には、以下の光学基材を使用することが好ましい。該フォトクロミック層形成用組成物は、プラスチック同士を強固に接着できる。そのため、20〜1500μm程度の厚みのシート状の光学基材同士を接合するのに適している。そのため、フォトクロミック層形成用組成物を使用する場合には、ポリカーボネート樹脂シート、ポリエステル樹脂シート、ポリアミド樹脂シート、セルロース樹脂シート、アクリル樹脂シート、ウレタン系樹脂シート、ポリオレフィン樹脂シート、偏光シート等のシート状の光学基材を貼り合わせることができる。このようなシート状の光学基材を貼り合わせた場合には、一方のシートが光学基材に該当し、他方のシートは、下記に詳述する、フォトクロミック化合物を含まない層と見なすことができる。また、この場合、一方のシートの表面に、該シートと同材料を射出成型して貼り合わせることにより、光学材料(例えば、眼鏡レンズ)とすることもできる。
<フォトクロミック積層体におけるフォトクロミック層の厚み>
該フォトクロミック層は、光学基材上に形成されるものである。そして、このフォトクロミック層は、複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物、およびポリマー成分を含む樹脂組成物からなる。
本発明において、フォトクロミック層は、その厚みが、10〜200μmである。フォトクロミック層の厚みが200μmを超える場合には、光学基材の特性が発揮されなくなるため、好ましくない。また、フォトクロミック層が厚い場合には、フォトクロミック化合物の配合量が多くなくても十分にフォトクロミック特性を発揮できるため、本発明の効果が顕著ではなくなる。一方、フォトクロミック層の厚みが10μm未満の場合には、フォトクロミック層自体の成型が低下するため、好ましくない。以上の効果を考慮すると、フォトクロミック層の厚みは、20〜100μmであることが好ましく、特に、本発明の効果が顕著に発揮されるには、フォトクロミック層の厚みは30〜80μmであることがより好ましい。
次に、フォトクロミック層を形成する樹脂組成物について説明する
<フォトクロミック層を形成する樹脂組成物>
本発明において、フォトクロミック層を形成する樹脂組成物は、ポリマー成分、およびフォトクロミック組成物を含む。本発明においては、このような樹脂組成物からなるフォトクロミック層を前記光学基材上に形成する。フォトクロミック層を形成する方法は、ポリマー成分を形成する材料によって、その方法が異なる。このことについては、下記に詳述する。
先ず、樹脂組成物に含まれる、フォトクロミック組成物について、説明する。
<フォトクロミック組成物>
本発明で使用するフォトクロミック組成物は、
下記式(1)
Figure 2021148814
で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含むものである。
前記フォトクロミック組成物は、複数種類の前記クロメン化合物を含めば、その他のフォトクロミック化合物を含むことができる。つまり、インデノナフトピラン骨格を有さない、その他のフォトクロミック化合物を含むことができる。ただし、得られるフォトクロミック積層体において、優れた耐候性、フォトクロミック特性、特に、退色速度が速い性能を発揮するためには、フォトクロミック組成物は、含まれる全てのフォトクロミック化合物が以下の要件を満足する化合物であることが最も好ましい。すなわち、本発明で使用するフォトクロミック組成物は、含まれる全てのフォトクロミック化合物が、前記式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格有するクロメン化合物であることが好ましい。
そして、本発明で使用するフォトクロミック組成物は、6位、および7位に特別な置換基を有しているクロメン化合物と、6位、および7位の置換基が水素原子であるクロメン化合物とを含むことが好ましい。具体的には、本発明で使用するフォトクロミック組成物は、
6位、および7位の炭素原子の少なくとも一方に電子供与性の置換基を有するか、または、6位、および7位の炭素原子と共に環員原子数5〜10の置換基を有してもよい環基を形成してなる第一クロメン化合物、並びに
6位、および7位の炭素原子の置換基が水素原子である第二クロメン化合物を含有することが好ましい。
<第一クロメン化合物>
<6位、および7位の炭素原子の少なくとも一方が電子供与性の置換基を有する第一クロメン化合物>
前記第一クロメン化合物において、6位、および7位の炭素原子の少なくとも一方が有する電子供与性の前記置換基は、
炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のハロアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい環員原子数3〜8の複素環基(具体的には、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基が好ましい。)、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜12のアルコキシアルキルチオ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールチオ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールオキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい環員原子数5〜12のヘテロアリール基から選ばれる基である。なお、当然のことであるが、本発明において、環員炭素数とは、環状の基を形成する炭素原子の数を指し、環員原子数とは、環状の基を形成する原子の数を指す。
中でも、得られるフォトクロミック積層体のフォトクロミック特性、および耐久性を考慮すると、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい複素環基(具体的には、モルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基、N−メチルピペラジノ基)、置換基を有してもよいアリールチオ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアリール基であることが好ましい。
なお、前記複素環基、前記アリールチオ基、前記アリールオキシ基、前記アリール基、前記ヘテロアリール基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6アルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、又は炭素数1〜6アルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有する環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
6位、および7位の炭素原子は、その両方が電子供与性の前記置換基を有してもよい。また、一方のみの炭素原子が電子供与性の前記置換基を有してもよい。この場合、他方の炭素原子が有する置換基は、特に制限されるものではない。好適な他方の基を例示すれば、水素原子、置換基を有してもよい環員炭素数3〜8のシクロアルキル基、シアノ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアラルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアラルコキシ基、炭素数1〜6のハロアルキルチオ基、又は置換基を有してもよい環員炭素数3〜8シクロアルキルチオ基である。
前記シクロアルキル基、前記アラルキル基、前記アラルコキシ基、前記シクロアルキルチオ基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6アルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6アルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
<6位、および7位の炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員原子数5〜10の環基を形成してなる第一クロメン化合物>
前記第一クロメン化合物における、6位、および7位の炭素原子と共に形成する環員原子数5〜10の前記環基は、特に制限されるものではないが、以下の環基であることが好ましい。
該環基は、下記式
Figure 2021148814
で示される基であることが好ましい。
式中、*は、6位、または7位の炭素原子である。
また、X、およびYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、又は下記式(4)
Figure 2021148814
で示される基である。
式中、R10は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、または置換基を有してもよい環員原子数5〜12のヘテロアリール基である。
なお、前記シクロアルキル基、前記アリール基、または前記ヘテロアリール基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
、およびRは、環基が有する置換基であり、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8の置換基を有してもよいシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、環員炭素数6〜12のアラルキル基、環員炭素数6〜12のアラルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、または置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールオキシ基である。
なお、前記シクロアルキル基、置換アミノ基、前記複素環基、前記アラルキル基、前記アラルコキシ基、前記アリール基、または前記アリールオキシ基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、または炭素数1〜6アルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
また、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員炭素数3〜20の脂肪族環を形成してもよく、中でも、環員炭素数3〜6の脂肪族環であることが好ましい。前記脂肪族環が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、置換基の数は、1〜6個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
cは、1〜6の整数である。好ましくは、1〜3である。
<第二クロメン化合物>
本発明で使用するフォトクロミック組成物は、前記第一クロメン化合物に加え、以下の第二クロメン化合物を含むことが好ましい。
すなわち、式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格を有し、6位、および7位の炭素原子の置換基が水素原子である第二クロメン化合物を含むことが好ましい。
<フォトクロミック組成物の配合割合>
本発明においては、前記で説明したクロメン化合物を含むフォトクロミック組成物を使用する。該フォトクロミック組成物は、特に制限されるものではないが、優れた効果を発揮するためには、前記の通り、式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格を有する、複数のクロメン化合物のみからなることが好ましい。そして、最も好ましくは、第一クロメン化合物、および第二クロメン化合物のみからなることが好ましい。
本発明においては、下記に詳述する、樹脂組成物におけるポリマー成分100質量部に対して、フォトクロミック組成物における前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下でなければならない。なお、前記クロメン化合物は、複数種類のクロメン化合物を含むが、それらクロメン化合物の合計質量が基準となる。
本発明において、クロメン化合物の合計質量が5質量部未満の場合には、得られるフォトクロミック積層体の耐候性が向上しないため、好ましくない。一方、クロメン化合物の合計質量が20質量部を超える場合には、効果が顕著に発揮されなくなる。加えて、下記に詳述するフォトクロミック硬化性組成物において、重合性組成物との混合が困難となり、安定してフォトクロミック積層体を製造できなくなるおそれがある。得られるフォトクロミック積層体の性能、およびそれ自体の生産性等を考慮すると、前記クロメン化合物の配合量は、重合性組成物100質量部に対して、5〜15質量部であることが好ましく、5〜10質量部であることがより好ましい。
なお、フォトクロミック積層体からフォトクロミック組成物におけるクロメン化合物の合計質量は、以下のようにして求めることができる。具体的には、フォトクロミック積層体から少なくとも一部のフォトクロミック層を取り出す。そして、該フォトクロミック層からフォトクロミック化合物を有機溶媒により抽出する。該抽出物からフォトクロミック化合物を分離することにより、フォトクロミック化合物(クロメン化合物)の量を確認できる。このような操作を行うことにより、ポリマー成分に対するクロメン化合物の配合量を確認できる。また、下記に詳述するが、フォトクロミック層におけるクロメン化合物の配合量は、フォトクロミック硬化組成物、およびフォトクロミック層形成用組成物に含まれるクロメン化合物の配合量がそのままフォトクロミック層における配合量と見なすことができる。
本発明者等は、前記の特許文献に記載されている通り、6位、および7位の炭素原子が有する置換基を検討することにより、高性能なフォトクロミック化合物を開発してきた。そして、例えば、従来技術である特許文献1、4、6、10等には、複数種類のクロメン化合物を含むフォトクロミック硬化性組成物、および該フォトクロミック硬化性組成物からなるフォトクロミック層を積層したフォトクロミック積層体を開示している。
しかしながら、何れの公知文献においても、実施例において、クロメン化合物の配合量が5質量部を超えているものは、具体的に記載されていない。そのため、近年望まれている、より高品質で、より耐久性の高いフォトクロミック積層体を製造することができなかったものと考えられる。特に、比較的薄膜のフォトクロミック層を形成した場合には、その傾向が顕著にあった。本発明は、クロメン化合物の種類を選択し、かつその配合量を特定したからこそ、優れた効果を発揮する。
中でも、フォトクロミック組成物においては、第一クロメン化合物と第二クロメン化合物を含むことが好ましい。第一クロメン化合物は、主に、紫外域の吸光量も高く、フォトクロミック性を示しつつ、高度な対候性を与えるという効果を発揮するものと考えられる。一方、第二クロメン化合物は、主に高濃度下であっても、高度なフォトクロミック性を与えるという効果を発揮するものと考えられる。
第一クロメン化合物と第二クロメン化合物との配合割合は、所望とする色調に合わせるため、適宜好適な配合割合を決定すればよい。中でも、特に、優れた効果を発揮させるためには、両者は、以下の割合となることが好ましい。具体的には、環状置換クロメン化合物の全量を100質量部としたとき、前記第一クロメン化合物が55〜85質量部であり、前記第二クロメン化合物が15〜45質量部であることが好ましい。中でも、より高い対候性を得るという効果をより発揮するためには、前記第一クロメン化合物が60〜80質量部であり、前記第二クロメン化合物が20〜40質量部であることが好ましい。
<好適なクロメン化合物 13位の置換基について>
本発明で使用するフォトクロミック組成物において、含まれる、式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物は、その全てのクロメン化合物が、以下の置換基をさらに有することが好ましい。
具体的には、
全ての前記クロメン化合物が、
13位の炭素原子が、炭素数1〜12のアルキル基、若しくは炭素数1〜12のアルコキシ基を少なくとも1つ有する化合物、または
13位の炭素原子と共に、置換基を有していてもよい環員原子数3〜20の環状置換基を形成してなる化合物(環状置換クロメン化合物)
であることが好ましい。当然のことではあるが、13位の炭素原子が炭素数1〜12のアルキル基、または炭素数1〜12のアルコキシ基を少なくとも1つ有する化合物と、環状置換クロメン化合物とは混合して使用することができる。
13位の置換基の少なくともその1つが、炭素数1〜12のアルキル基である場合、より一層、得られるフォトクロミック積層体の発色濃度を高くできる。本発明のフォトクロミック積層体の耐久性をより発揮するためには、13位の置換基が両方とも、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましい。
一方、13位の炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員原子数3〜20の環状置換基を形成してなるクロメン化合物を使用した場合には、退色速度の速いフォトクロミック積層体を得ることができる。13位の炭素原子が形成する前記環状置換基は、特に制限されるものではなく、
環員炭素数が3〜20である脂肪族環基、
該脂肪族環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環基、
環員原子数が3〜20である複素環基、または
該複素環に芳香族環若しくは芳香族複素環が縮環した縮合多環から選ばれる環基
が挙げられる。なお、上記環基は、置換基を有してもよい。
これらの環状置換基の中でも、フォトクロミック硬化性組成物におけるクロメン化合物の溶解性、得られるフォトクロミック積層体の退色速度、その他のフォトクロミック特性を考慮すると、環員炭素数が3〜20である脂肪族環であることが好ましい。具体的に例示すると、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロウンデカン環、シクロドデカン環、およびスピロジシクロヘキサン環から選ばれる環であることがさらに好ましい。以上の環状置換基は、置換基を有していてもよい。環状置換基が有する置換基は、特に制限されるものではないが、炭素数1〜3のアルキル基、または炭素数5〜7のシクロアルキル基であることが好ましい。また、置換基の数も、制限されるものではないが、1〜10個存在してもよい。
前記環状置換基を具体的に例示すれば、
下記式
Figure 2021148814
から選ばれるいずれかの基であることが好ましい。以上の式において、点線と結合している炭素原子が、前記式(1)で示されるインデノナフトピラン骨格の13位の炭素原子である。これらの環状置換基を選択することにより、特に優れた退色速度の効果を発揮する。
13位の炭素原子が、炭素数1〜12のアルキル基を有する化合物を使用する場合には、発色濃度を必要とする用途で使用することが好ましい。炭素数1〜12のアルコキシ基を有する化合物及び、環状置換クロメン化合物は、退色速度を優先する用途で使用することが好ましい。
中でも、本発明において、フォトクロミック層は、クロメン化合物の合計量をポリマー成分100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下配合している。そのため、フォトクロミック組成物の濃度が高い傾向にあるため、退色速度の速いクロメン化合物を組み合わせることが好ましい。そのため、前記環状置換クロメン化合物から選ばれるクロメン化合物を使用することが最も好ましい。特に、前記第一クロメン化合物、および第二クロメン化合物共に、13位の炭素原子と共に、環員原子数が3〜20である置換基を有していてもよい環状置換基を形成してなるクロメン化合物(環状置換クロメン化合物)から選択されることが好ましい。
次に、特に好適な環状置換クロメン化合物について説明する。
<好適な環状置換クロメン化合物から選ばれる第一クロメン化合物>
本発明で使用する第一クロメン化合物の好適な化合物を例示すると、下記式(2)
Figure 2021148814
で示される化合物が挙げられる。
なお、高い発色濃度を考慮する場合には、前記の通り、Rが環状ではなく、13位の炭素原子が有する置換基の少なくとも1つが、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましい。
以上のような式で示される第一クロメン化合物は、単独の化合物であってもよく、複数種類の化合物を使用してもよい。複数種類の化合物を使用する場合には、第一クロメン化合物は、それらの合計質量が基準となる。
<R
前記式(2)において、Rは、13位の炭素原子と共に環員原子数が3〜20である、置換基を有していてもよい環状置換基であり、好適な置換基等は、前記の記載の通りである。
<R、およびR
第一クロメン化合物は、6位、および7位の炭素原子の少なくとも一方に電子供与性の置換基を有する化合物であることが好ましい。すなわち、R、およびRの少なくとも一方が電子供与性の置換基であることが好ましい。電子供与性の置換基としては、前記の<第一クロメン化合物>で説明した基が挙げられる。この中でも、優れたフォトクロミック特性、耐候性を示すフォトクロミック積層体を製造するためには、Rが前記環状置換基であり、以下のR、およびRの組み合わせが特に好ましい。具体的には、
が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールオキシ基、または置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であり、
が水素原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、置換アミノ基(ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基)、置換基を有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールチオ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールオキシ基、または置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。
なお、前記複素環基、前記アリールチオ基、前記アリールオキシ基、または前記アリール基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
<R、およびRが一緒になって形成する環基>
また、第一のクロメン化合物は、R、およびRは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、炭素原子、または窒素原子が結合し、一緒になって、置換基を有してもよい環員原子数5〜10の環基となってもよい。
該環基は、下記式
Figure 2021148814
で示される基であることが好ましい。
式中、*は、6位、または7位の炭素原子である。
また、X、およびYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、または下記式(4)
Figure 2021148814
で示される基である。好適な基は、前記の<第一クロメン化合物>で説明した基が挙げられる。この中でも、優れたフォトクロミック特性、耐候性を示すフォトクロミック積層体を製造するためには、Rが前記環状置換基であり、前記式(4)において、
cは、1〜3であり、
、およびRは、それぞれ、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数1〜6のアルコキシ基であり、
X、およびYは、それぞれ、硫黄原子、または酸素原子であることが好ましい。6位の炭素原子と結合するのが酸素原子または硫黄原子であり、7位の炭素原子と結合するのが酸素原子またはメチレン基となることが好ましい。
その他の基
<R
aは1または2であり、
は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基)、置換基を有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアラルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアラルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、チオール基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜12のアルコキシアルキルチオ基、炭素数1〜6のハロアルキルチオ基、置換基を有してもよい環員炭素数3〜8のシクロアルキルチオ基、または置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールチオ基である。
なお、前記複素環基、アラルキル基、アラルコキシ基、アリール基、シクロアルキルチオ基、またはアリールチオ基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
以上の基の中でも、特に、好ましくは水素原子である。
<R
bは1〜4であり、
は水素原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアラルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアラルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、チオール基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜12のアルコキシアルキルチオ基、炭素数1〜6のハロアルキルチオ基、炭素数3〜8のシクロアルキルチオ基、または置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールチオ基である。
なお、前記シクロアルキル基、前記複素環基、前記アラルキル基、前記アラルコキシ基、前記アリール基、前記シクロアルキルチオ基、または前記アリールチオ基が有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基であることが好ましい。また、置換基を有する場合には、1〜3個であることが好ましい。当然、置換基を有さない基であってもよい。
以上の基の中でも、好ましいRは 水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、または置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリールチオ基である。
<R、およびR
およびRは、それぞれ独立に、それぞれ、置換を有してもよいアリール基、または置換基を有してもよいヘテロアリール基であり、特に、置換基を有してもよいアリール基が特に好ましい。アリール基、またはヘテロアリール基が有する置換基は、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基、置換アミノ基(ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基)、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有してもよい炭素数6〜12のアリール基、または置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリールチオ基が好適である。
なお、アリール基、およびヘテロアリール基における置換基である、前記複素環基、前記アリール基、または前記アリールチオ基がさらに有する置換基は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、ハロゲン原子、炭素数1〜6のハロアルキル基、または炭素数1〜6のアルキル基若しくは炭素数1〜6のアルコキシ基を置換基として有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基が好ましい。
中でも、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基が有する置換基は、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数1〜15のアルコキシ基、ハロゲン原子、置換アミノ基、置換基を有してもよい複素環基が特に好ましい。この置換基の数は、特に制限されるものではないが、1〜4個であることが好ましい。
そして、<R、およびR>は、アリール基が好ましいが、特に、フェニル基が好ましく、フェニル基のp位に置換基を有することが好ましい。具体的な<R、およびR>を例示すると、フェニル基、炭素数1〜6のアルキル基がp位に置換したp−アルキルフェニル基、炭素数1〜6のアルコキシ基がp位に置換したp−アルコキシフェニル基、または置換基を有してもよい複素環基(特にモルホリノ基、ピペリジノ基、ピロリジニル基、ピペラジノ基)がp位に置換した基(p−前記複素環基置換フェニル基)が挙げられる。
なお、<R、およびR>は、同じ基であっても、異なる基であってもよい。
<好適な第一クロメン化合物の具体例>
本発明において、特に好適に使用できる第一クロメン化合物を具体的に例示すると下記式の化合物が挙げられる。
Figure 2021148814
本発明においては、前記第一クロメン化合物に加え、以下の第二クロメン化合物を併用することが好ましい。次に、第二クロメン化合物について説明する。
<好適な環状置換クロメン化合物から選ばれる第二クロメン化合物>
前記第二クロメン化合物は、6位、および7位の炭素原子の置換基が水素原子である化合物である。
好適な化合物を例示すると、下記式(3)
Figure 2021148814
で示される化合物である。
なお、発色濃度を考慮する場合には、前記の通り、Rが環状ではなく、13位の炭素原子が有する2つの置換基が、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましい。
式中、Hは、水素原子である。6位、7位の炭素原子は水素原子が置換していることを強調するため、Hで示している。
本発明においては、6位、および7位の炭素原子に水素原子が置換している第二クロメン化合物を併用して使用することにより、高濃度化においても高度なフォトクロミック性を示すという効果が特に発揮されるものと考えられる。
以上のような式で示される第二クロメン化合物は、単独の化合物であってもよく、複数種類の化合物を使用してもよい。複数種類の化合物を使用する場合には、第二クロメン化合物は、それらの合計質量が基準となる。
<R
前記式(3)において、Rは、前記式(2)のRと同じ基であり、13位の炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員原子数3〜20の環状置換基であり、好適な置換基等は、前記の記載の通りである。
その他の基
<R
前記式(3)において、Rは、前記式(2)のRと同じ基であり、特に好ましくは 水素原子である。また、aについても、前記式(2)のaと同じである。
<R
前記式(3)において、Rは、前記式(2)のRと同じ基であり、特に好ましくは 水素原子である。また、bについても、前記式(2)のbと同じである。
<R、およびR
前記式(3)において、R、およびRは、式(2)におけるR、およびRと同じ基であり、好適な基も同じである。
<好適な第二クロメン化合物の具体例>
本発明において、特に好適に使用できる第二クロメン化合物を具体的に例示すると下記式の化合物が挙げられる。
Figure 2021148814
なお、当然のことではあるが、13位の炭素原子が環状置換基を有する環状置換クロメン化合物から選ばれる第一クロメン化合物、および第二クロメン化合物を使用した場合も、フォトクロミック組成物の配合割合は、前記の通りであり、特に好適な配合慮も、同様の理由で同じ配合割合であることが好ましい。
以上に説明したクロメン化合物は、公知の化合物を使用できる。
本発明において、フォトクロミック層は、前記の通り、ポリマー成分とフォトクロミック組成物とを含む樹脂組成物から形成される。このポリマー成分は、フォトクロミック層の形成方法の違いによって、異なる成分から製造できる。例えば、フォトクロミック組成物、および複数種類のラジカル重合性単量体を含む重合性組成物を含有するフォトクロミック硬化性組成物からフォトクロミック層を形成できる。また、ウレタン系樹脂を形成する組成物、例えば、末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含むウレタン樹脂組成物、並びに複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物を含有するフォトクロミック層形成用組成物からフォトクロミック層を形成できる。フォトクロミック硬化性組成物を使用する場合には、重合性組成物に含まれるラジカル重合性単量体の全量が、ポリマー成分の量と見なすことができる。一方、フォトクロミック層形成用組成物を使用する場合には、末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物の合計量が、ポリマー成分の量と見なすことができる。
次に、フォトクロミック硬化性組成物を使用して、フォトクロミック層を形成する場合について説明する。
<フォトクロミック硬化性組成物>
<重合性組成物>
本発明において、フォトクロミック硬化性組成物における重合性組成物は、複数のラジカル重合性単量体を含む。該重合性組成物の基準となる配合量は、下記に詳述するラジカル重合性単量体の合計量である。
[ラジカル重合性単量体]
上記のラジカル重合性単量体(以下、A成分ともいう)は、特に制限されるものではなく、公知の化合物を使用することができるが、特にフォトクロミック性と硬度が良好であるという観点から、以下の単量体を使用することが好ましい。具体的には、
(A1)下記式(5)で示される単量体(以下、A1成分ともいう)
Figure 2021148814
(式中、
11及びR12は、それぞれ、水素原子、又はメチル基であり、d及びeはそれぞれ独立に0以上の整数であり、かつ、d+eは2以上の整数である。また、A1成分は、製造上、混合物で得られる場合が多い。そのため、d+eは平均値で2以上であり、好ましくは平均値で2以上50以下の整数である)、および
(A2)前記A1成分以外の重合性単量体(以下、A2成分ともいう)で構成されることが好ましい。
以下、A1成分およびA2成分として使用される各種化合物について詳しく説明する。
(A1成分;上記式(5)で示される単量体)
上記式(5)で示される化合物を具体的に例示すると、以下のとおりである。
ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエチレングリコールジメタクリレート、ペンタプロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールとポリエチレングリコールの混合物よりなるジメタアクリレート(ポリエチレンが2個、ポリプロピレンが2個の繰り返し単位を有する)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(特にd=4、e=0、平均分子量330)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(特にd=9、e=0、平均分子量536)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(特にd=14、e=0、平均分子量736)、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(特にd=0、e=7、平均分子量536)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量258)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特に平均分子量d=4、e=0、308)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特にd=9、e=0、平均分子量508)、ポリエチレングリコールジアクリレート(特にd=14、e=0、平均分子量708)、ポリエチレングリコールメタクリレートアクリレート(特にd=9、e=0、平均分子量522)。
(A2成分;前記A1成分以外の重合性単量体)
A2成分としては、A1成分と重合し得る重合性単量体であれば、特に制限されるものではなく、公知のものを使用することができる。中でも、(メタ)アクリレート基を分子内に2つ以上有する多官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、(メタ)アクリレート基を分子内に2つ有する(A2−1)2官能(メタ)アクリレート(以下、A2−1成分ともいう)及び、(メタ)アクリレート基を分子内に3つ以上有する(A2−2)多官能(メタ)アクリレート(以下、A2−2成分ともいう)を含むことがより好ましい。また、(メタ)アクリレート基を1つ有する(A2−3)単官能(メタ)アクリレート(以下、A2−3成分ともいう)、(A2−1)〜(A2−3)以外の重合性単量体(以下、A2−4成分ともいう。)を含むこともできる。
これらA2成分について詳しく説明する。
((A2−1)2官能(メタ)アクリレート)
本発明において、A2成分に(A2−1)2官能(メタ)アクリレートを含むことが好ましく、中でも、以下に示す2官能(メタ)アクリレートを含むことがより好ましい。具体的には、下記式(6)又は(7)に示す2官能(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有する2官能(メタ)アクリレート、前記に該当しない2官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
((A2−1−1) 下記式(6)で示される2官能(メタ)アクリレート)
Figure 2021148814
(式中、
13およびR14は、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
15およびR16は、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
17は、水素原子またはハロゲン原子であり、
Aは、−O−,−S−,−(SO)−,−CO−,−CH−,−CH=CH−,−C(CH)2−,−C(CH)(C)− の何れかであり、
fおよびgはそれぞれ1以上の整数であり、f+gは平均値で2以上30以下である。)。
なお、上記式(6)で示される2官能(メタ)アクリレートは、通常、分子量の異なる分子の混合物の形で得られる。そのため、hおよびiは平均値で示した。
上記式(6)で示される2官能(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば、以下のビスフェノールAジ(メタ)アクリレートを挙げることができる。
2,2−ビス[4−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=2、平均分子量452)、2,2−ビス[4−(メタクリロイルオキシジエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=4、平均分子量540)、2,2−ビス[4−(メタクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=7、平均分子量672)、2,2−ビス[3,5−ジブロモ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=2、平均分子量768)、2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシジプロポキシ)フェニル)プロパン(f+g=4、平均分子量596)、2,2−ビス[4−(アクリロイルオキシジエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=4、平均分子量512)、2,2−ビス[4−(アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=3、平均分子量466)、2,2−ビス[4−(アクリロイルオキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=7、平均分子量642)、2,2−ビス[4−(メタクリロイルキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=10、平均分子量804)、2,2−ビス[4−(メタクリロイルキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=17、平均分子量1116)、2,2−ビス[4−(メタクリロイルキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=30、平均分子量1684)、2,2−ビス[4−(アクリロイルキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=10、平均分子量776)、2,2−ビス[4−(アクリロイルキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(f+g=20、平均分子量1216)。
((A2−1−2) 下記式(7)で示される2官能(メタ)アクリレート)
Figure 2021148814
(式中、
18およびR19は、それぞれ、水素原子またはメチル基であり、
hは平均値で1〜20の数であり、
B及びB’は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数2〜15の直鎖状または分岐状のアルキレン基であり、Bが複数存在する場合には、複数のBは同一の基であっても、異なる基であってもよい。)。
上記式(7)で示される2官能(メタ)アクリレートは、ポリカーボネートジオールと(メタ)アクリル酸とを反応させることにより製造することができる。
ここで、使用されるポリカーボネートジオールとしては、以下のものを例示することができる。具体的には、トリメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、テトラメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、ペンタメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、ヘキサメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、オクタメチレングリコールのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、ノナメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、トリエチレングリコールとテトラメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、テトラメチレングリコールとヘキサメチレンジグリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、ペンタメチレングリコールとヘキサメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネージオール(平均分子量500〜2000)、テトラメチレングリコールとオクタメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネージオール(平均分子量500〜2000)、ヘキサメチレングリコールとオクタメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)、1−メチルトリメチレングリコールとのホスゲン化で得られるポリカーボネートジオール(平均分子量500〜2000)が挙げられる。
((A2−1−3) ウレタン結合を有する2官能(メタ)アクリレート)
ウレタン結合を有する2官能(メタ)アクリレートとしては、分子内にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と分子内に水酸基を2個以上有するポリオール化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られるものである。ここで、ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンイソシアネート、2,2,4−ヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、イソプロピリデンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートまたはメチルシクロヘキサンジイソシアネートを好適に挙げることができる。
一方、ポリオールとしては、炭素数2〜4のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ヘキサメチレンオキシドの繰り返し単位を有するポリアルキレングルコール、或いはポリカプロラクトンジオール等のポリエステルジオールを挙げることができる。また、ポリカーボネートジオール、ポリブタジエンジオール、又はペンタエリスリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,8−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、トリメチロールプロパン等も例示することができる。
また、これらポリイソシアネート及びポリオールの反応によりウレタンプレポリマーとしたものを、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレートで更に反応させた反応混合物や、前記ジイソシアネートを2−ヒドロキシ(メタ)アクリレートと直接反応させた反応混合物であるウレタン(メタ)アクリレートモノマー等も使用することができる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ウレタン結合を有する2官能(メタ)アクリル重合性化合物は、市販されているものも何ら制限なく使用することができ、例えば、市販品としては、新中村化学工業株式会社製のU−2PPA(分子量482)、UA−122P(分子量1,100)、U−122P(分子量1,100)、及びダイセルユーシービー社製のEB4858(分子量454)を挙げることができる。
((A2−1−4) 前記に該当しない2官能(メタ)アクリレート)
(A2−1−4)前記に該当しない2官能(メタ)アクリレートとしては、置換基を有していてもよいアルキレン基の両末端に(メタ)アクリレート基を有するような化合物が挙げられる。その中でも、炭素数6〜20のアルキレン基を有するものが好ましい。具体的には、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート等が挙げられる。
また、前記に該当しない2官能(メタ)アクリレートとして、硫黄原子を含むような2官能(メタ)アクリレートも挙げることができる。硫黄原子はスルフィド基として分子鎖の一部を成しているものが好ましい。具体的には、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(メタクリロイルオキシエチル)スルフィド、ビス(アクリロイルオキシエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチル)エタン、ビス(2−メタクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、ビス(2−アクリロイルオキシエチルチオエチル)スルフィド、1,2−ビス(メタクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(アクリロイルオキシエチルチオエチルチオ)エタン、1,2−ビス(メタクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィド、1,2−ビス(アクリロイルオキシイソプロピルチオイソプロピル)スルフィドが挙げられる。
以上の各A2−1成分は、個々に説明した各成分における単独成分を使用することもできるし、複数成分を使用することもできる。また、個々に説明した各成分を複数組み合わせて使用することもできる。複数成分、複数組み合わせて使用する場合には、A2−1成分の基準となる質量は、複数種類のものの合計量である。
((A2−2) 多官能(メタ)アクリレート)
A2−2成分としては、下記式(8)で示される多官能(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基を有するポリロタキサン、並びに、前記に該当しない多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
((A2−2−1) 下記式(4)で示される多官能(メタ)アクリレート)
Figure 2021148814
(式中、
20は、水素原子またはメチル基であり、
21は、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基であり、
22は、炭素数1〜10である3〜6価の有機基であり、
iは、平均値で0〜3の数であり、jは3〜6の数である。)
21で示される炭素数1〜2のアルキル基としてはメチル基が好ましい。R22で示される有機基としては、ポリオールから誘導される基、3〜6価の炭化水素基、3〜6価のウレタン結合を含む有機基が挙げられる。
上記式(8)で示される多官能(メタ)アクリレートを具体的に示すと以下の通りである。トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリメタクリレート、トリメチロールプロパントリエチレングリコールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート。
((A2−2−2) ウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレート)
(A2−2−2)ウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレートは、分子内にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物と分子内に水酸基を2個以上有するポリオール化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとを反応させて得られるものであり、分子中に3つ以上の(メタ)アクリレート基を有するウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリレートが好適である。市販品として、新中村化学工業株式会社製のU−4HA(分子量596、官能基数4)、U−6HA(分子量1,019、官能基数6)、U−6LPA(分子量818、官能基数6)、U−15HA(分子量2,300、官能基数15)を挙げることができる。
((A2−2−3)前記に該当しない多官能(メタ)アクリレート)
(A2−2−3)前記に該当しない多官能(メタ)アクリレートとしては、ポリエステル化合物の末端を(メタ)アクリレート基で修飾した化合物が挙げられる。原料となるポリエステル化合物の分子量や(メタ)アクリレート基の修飾量により種々のポリエステル(メタ)アクリレート化合物が市販されているものを使用することができる。具体的には、4官能ポリエステルオリゴマー(分子量2,500〜3,500、ダイセルユーシービー社、EB80等)、6官能ポリエステルオリゴマー(分子量6,000〜8,000、ダイセルユーシービー社、EB450等)、6官能ポリエステルオリゴマー(分子量45,000〜55,000、ダイセルユーシービー社、EB1830等)、4官能ポリエステルオリゴマー(特に分子量10,000の第一工業製薬社、GX8488B等)等を挙げることができる。
以上に例示したA2−2成分を使用することにより、フォトクロミック性を維持しつつ、必要に応じて、重合により架橋密度を向上させることができる。従って、特に、コーティング法で得られるフォトクロミック層とする場合においては、A2−2成分を含むことが好ましい。
以上の各A2−2成分は、個々に説明した各成分における単独成分を使用することもできるし、複数成分を使用することもできる。また、個々に説明した各成分を複数組み合わせて使用することもできる。複数成分、複数組み合わせて使用する場合には、A2−2成分の基準となる質量は、複数種類のものの合計量である。
((A2−3)単官能(メタ)アクリレート)
(A2−3)単官能(メタ)アクリレートとしては、下記式(9)で示される単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
Figure 2021148814
(式中、
23は、水素原子またはメチル基であり、
24は、水素原子、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基、またはグリシジル基であり、
kは、0〜10の整数であり、
lは、0〜20の整数である。
上記式(9)で示される単官能(メタ)アクリレートを具体的に示すと以下の通りである。メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(特に平均分子量293)、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(特に平均分子量468)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(特に平均分子量218)、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、(特に平均分子量454)、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシジルメタクリレート。
((A2−4)(A1)、(A2−1)〜(A2−3)以外の重合性単量体)
本発明で用いられるA2−4成分としては、その他のラジカル重合性単量体であれば特に制限されず、(A2−4−1)ラジカル重合性ポリロタキサン、(A2−4−2)ラジカル重合性シルセスキオキサン化合物、(A2−4−3)アリル系化合物、(A2−4−4)ビニル系化合物が好適に使用される。
(A2−4−1)ラジカル重合性を有するポリロタキサン
ラジカル重合性を有するポリロタキサンは、軸分子と、該軸分子を包接する複数の環状分子と、からなる複合分子構造を有しており、該環状分子に水酸基を有する側鎖が導入されたポリロタキサンにおいて、該側鎖の水酸基を、ラジカル重合性基を有する化合物で1モル%以上100モル%未満変性したポリロタキサンである。
ポリロタキサンは公知の化合物であり鎖状の軸分子(以下、単に軸分子ともいう)と環状分子とから形成されている複合分子構造を有している。即ち、軸分子を複数の環状分子が包接しており、環状分子が有する環の内部を軸分子が貫通している。従って、環状分子は、軸分子上を自由にスライドし得るのであるが、軸分子の両端には、嵩高い末端基が形成されており、環状分子の軸分子からの脱落が防止されている。環状分子には、側鎖を導入できるように、水酸基を有することが好ましい。そして、前記水酸基の少なくとも一部に、ラジカル重合性基を有する化合物との反応は、公知の反応条件を採用することができる。中でも、軸分子の重量平均分子量は、大きすぎるとその他の重合性単量体等との相溶性が悪くなる傾向があり、小さすぎると環状分子の可動性が低下し、フォトクロミック性も低下してしまうため、重量平均分子量は、1,000〜10,0000、の範囲にあることが好ましく、5,000〜80,000の範囲にあることがさらに好ましく、8,000〜50,000の範囲にあることが最も好ましい。
環状分子は、シクロデキストリン環、クラウンエーテル環、ベンゾクラウン環、ジベンゾクラウン環及びジシクロヘキサノクラウン環が好ましく、特にシクロデキストリン環、クラウンエーテル環が好ましく、シクロデキストリン環が最も好ましい。さらにシクロデキストリン環の中でも、α体(環内径0.45〜0.6nm)、β体(環内径0.6〜0.8nm)、γ体(環内径0.8〜0.95nm)があるが、本発明では、特にα−シクロデキストリン環及びβ−シクロデキストリン環が好ましく、α−シクロデキストリン環が最も好ましい。軸分子に全ての環状分子が導入された場合の包接数を1とした場合、環状分子の包接数は、0.001〜0.6の範囲にあることが好ましく、0.002〜0.5の範囲にあることがさらに好ましく、0.003〜0.4の範囲にあることが最も好ましい。
前記環状分子の側鎖に、前記した重合性単量体と重合反応し得るラジカル重合性基が導入することにより、相溶性が高められ、さらには、ポリロタキサンが形成する空隙中にフォトクロミック化合物が分散された状態で均質に保持できると考えられる。その結果、得られるフォトクロミック層は、優れたフォトクロミック性を持続して発現させることができ、しかも、機械的強度が高くなると考えられる。
ラジカル重合性基を有する化合物は、前記した側鎖を利用して導入されるものであり、側鎖の水酸基(OH)と反応する化合物を適宜使用できる。該(メタ)アクリレート基を有する化合物は、一分子中に、側鎖の水酸基(OH)と反応しうる官能基と該ラジカル重合性基の両方の基を有する化合物であれば特に制限はないが、他成分との相溶性を考慮すると、分子内に水酸基(OH)を有さない化合物であることが好ましい。
本発明で用いられるラジカル重合性基を有するポリロタキサンは、側鎖の水酸基(OH)に対する該ラジカル重合性基の変性割合、すなわち、ラジカル重合性基を有する化合物が該側鎖の全水酸基のモル数に対する反応割合は、1モル%以上100モル%未満であることが好適である。変性割合は、(重合性基が導入されたモル数)/(側鎖の全OH基のモル数)×100で算出できる。なお、密着性や得られる硬化体の機械的強度、フォトクロミック性の観点から変性割合は10モル%以上95モル%以下とすることが好ましい。
ラジカル重合性基としては、他の重合性単量体との反応性などを考量すると、(メタ)アクリレート基が好ましい。ラジカル重合性基の数も特に制限されず、1分子中に0〜5000個とすることが好ましい。
以上のような(メタ)アクリレート基を有するポリロタキサンは、国際公開第2018/030257に記載されている。
((A2−4−2)シルセスキオキサンラジカル重合性化合物)
シルセスキオキサンラジカル重合性化合物は、ケージ状、ハシゴ状、ランダムといった種々の分子構造を取るものであり、(メタ)アクリル基等のラジカル重合性基を有している。
このようなシルセスキオキサン重合性化合物の例としては、下記式(10)で示されるものが挙げられる。
Figure 2021148814
式中、mは、重合度であり、3〜100の整数であり、
複数個あるR25は、互いに同一若しくは異なっていてもよく、ラジカル重合性基、ラジカル重合性基を含む有機基、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基であり、少なくとも1つのR25は、ラジカル重合性基、又はラジカル重合性基を含む有機基である。
ここで、R25で示されるラジカル重合性基、又はラジカル重合性基を含む有機基としては、(メタ)アクリル基;(メタ)アクリロイルオキシプロピル基、(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)ジメチルシロキシ基等の(メタ)アクリル基を有する有機基;アリル基;アリルプロピル基、アリルプロピルジメチルシロキシ基等のアリル基を有する有機基;ビニル基;ビニルプロピル基、ビニルジメチルシロキシ基等のビニル基を有する有機基等が挙げられる。
((A2−4−3)アリル系重合性化合物)
アリル基を有するアリル系重合性化合物としては、以下のものを例示することができる。ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量550)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量350)、メトキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1500)、ポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量450)、メトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量750)、ブトキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量1600)、メタクリロイルオキシポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量560)、フェノキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量600)、メタクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量430)、アクリロイルオキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量420)、ビニロキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量560)、スチリロキシポリエチレングリコールアリルエーテル(特に平均分子量650)、メトキシポリエチレンチオグリコールアリルチオエーテル(特に平均分子量730)。
((A2−4−4)ビニル系重合性化合物)
ビニル基を有するビニル系重合性化合物としては、メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、エチルビニルエーテル、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ブタジエン、1,4−ペンタジエン、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン、1,2−ジビニルベンゼン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルプロパンジシロキサン、ジエチレングリコールジビニルエーテル、アジピン酸ジビニル、セバシン酸ジビニル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジビニルスルホキシド、ジビニルペルスルフィド、ジメチルジビニルシラン、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、メチルトリビニルシラン、α−メチルスチレン及びα−メチルスチレンダイマー等を挙げることができる。
(重合性組成物中の各成分の配合割合)
上記したA1成分及びA2成分の配合割合は、得られるフォトクロミック層の発色濃度、及び退色速度といったフォトクロミック性を考慮すると、前記A1成分20〜90質量部、前記A2成分10〜80質量部とすることが好ましい。
また、A2成分は、前記A2−2成分を用いることが好ましく、必要に応じてA2−1成分、A2−3成分、A2−4成分を含むことが好ましい。A2成分の全量を100質量部としたとき、前記A2−1成分0〜80質量部、前記A2−2成分20〜100質量部、前記A2−3成分0〜30質量部、前記A2−4成分0〜20質量部とすることが好ましく、前記A2−1成分15〜70質量部、前記A2−2成分30〜85質量部、前記A2−3成分0〜10質量部、前記A2−4成分0〜10質量部とすることが好ましい。
<フォトクロミック硬化性組成物におけるフォトクロミック組成物の配合量>
なお、フォトクロミック層を形成する場合には、前記ラジカル重合性単量体成分の全量が重合に関与し、ポリマー成分を形成する。そのため、前記ラジカル重合性単量体の合計量がポリマー成分の量と見なすことができる。このことから、フォトクロミック硬化性組成物においては、前記重合性組成物100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下となる必要がある。そして、重合性組成物に対する前記クロメン化合物の好適な合計量は、前記ポリマー成分に対する好適な合計量と同じ理由で、同じ量となる。また、これも当然のことではあるが、フォトクロミック硬化性組成物に含まれるフォトクロミック組成物は、前記フォトクロミック積層体で説明した<フォトクロミック組成物>と同じものである。好ましいフォトクロミック組成物も、当然の同じである。
本発明において、フォトクロミック硬化性組成物は、前記フォトクロミック組成物と前記重合性組成物とを含めばよいが、その他、任意の成分を配合できる。以下にその他の成分について説明する。
(重合開始剤)
重合開始剤には、熱重合開始剤と光重合開始剤とがあり、その具体例は以下のとおりである。
熱重合開始剤としては、
ジアシルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、
パーオキシエステル;t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、
パーカーボネート;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、
アゾ化合物;アゾビスイソブチロニトリル
等が挙げられる。
光重合開始剤としては、
アセトフェノン系化合物;1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、
α−ジカルボニル系化合物;1,2−ジフェニルエタンジオン、メチルフェニルグリコキシレート、
アシルフォスフィンオキシド系化合物;2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2,6−ジクロルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、
が挙げられる。
なお、光重合開始剤を用いる場合には、3級アミン等の公知の重合硬化促進助剤を併用することもできる。
これら重合開始剤は、重合性組成物(ラジカル重合性単量体の合計質量)100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲で用いるのが一般的である。上記光重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組合せて用いることもできる
[その他添加成分]
前記フォトクロミック硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、それ自体公知の各種配合剤、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、帯電防止剤、蛍光染料、染料、顔料、香料等の各種安定剤、添加剤、溶剤、レベリング剤を必要に応じて配合することができる。
中でも、紫外線安定剤を使用するとフォトクロミック化合物の耐久性を向上させることができるために好適である。このような紫外線安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが知られている。特に好適な紫外線安定剤は、以下の通りである。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、旭電化工業株式会社製アデカスタブLA−52、LA−57、LA−62、LA−63、LA−67、LA−77、LA−82、LA−87、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル−フェノール エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のIRGANOX 1010、1035、1075、1098、1135、1141、1222、1330、1425、1520、259、3114、3790、5057、565、254 が挙げられる。
このような紫外線安定剤の使用量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されるものではないが、通常、重合性組成物(ラジカル重合性単量体の合計量)100質量部に対して、0.001〜10質量部、特に0.01〜3質量部の範囲である。特にヒンダードアミン光安定剤を用いる場合、フォトクロミック化合物の種類によって耐久性の向上効果に差がある結果、調整された発色色調の色ズレが生じないようにするため、フォトクロミック化合物1モル当り、0.5〜30モル、より好ましくは1〜20モル、さらに好ましくは2〜15モルの量とするのがよい。
フォトクロミック硬化性組成物の製造方法
本発明においては、前記フォトクロミック組成物と前記重合性組成物と、必要に応じて配合されるその他の成分を混合することにより、製造できる。この際、前記重合性組成物100質量部に対して、前記フォトクロミック化合物に含まれる環状置換クロメン化合物の合計質量が5〜20質量部となる割合で混合すれば、混合条件は特に制限されるものではない。中でも、前記フォトクロミック組成物と前記重合性組成物と混合する場合には、混合時の温度を50〜90℃の温度範囲で混合することが好ましい。
通常であれば、重合性組成物を含むため、比較的低温で混合することが好ましいと考えられる。しかしながら、本発明においては、環状置換クロメン化合物の配合量が多いため、前記温度範囲で混合することにより、均一にフォトクロミック化合物(環状置換クロメン化合物)を、重合性組成物中に分散、溶解することができる。よりフォトクロミック組成物の分散性、溶解性を高めるためには、混合時の温度を55〜80℃にすることが好ましい。
混合方法は、特に制限されるものではなく、公知の混合装置を使用できる。中でも、粉末状のフォトクロミック化合物の分散性の向上や重合性単量体中で解凝集させることができるため、超音波撹拌による混合装置を使用して混合することが好ましい。混合時間は、混合装置の使用、フォトクロミック硬化性組成物の量、フォトクロミック組成物の配合量等に応じて、フォトクロミック組成物が十分に分散、溶解する時間まで混合することが好ましい。通常であれば、混合時間は、15分〜2時間であることが好ましい。更に、混合後、フォトクロミック組成物中から混合時に生じたごみなどの不溶分を濾過により除去することが望ましい。ろ材の目のサイズとしては5μm以下が好ましく、1μm以下がさらに好ましく。0.5μm以下が最も好ましい。
前記方法で混合して得られるフォトクロミック硬化性組成物は、粘度(25℃)を、20〜5000mPa・sに調整することが好ましく、70〜1000cPに調整することがより好ましく、100mPa・sを超え500mPa・s以下に調整することがさらに好ましく、120〜300mPa・sに調整することが特に好ましい。このフォトクロミック硬化組成物は、光学基材上に、スピンコート法により塗膜を形成することができる。光学基材をモールド内に設置し、該モールド内にフォトクロミック硬化性組成物を導入する方法を採用することが好ましい。
フォトクロミック硬化性組成物の保存方法
前記方法で得られるフォトクロミック硬化性組成物は、特に制限されるものではないが、30℃未満で保存しておくことが好ましい。中でも、10℃以下の低い温度で保存することが好ましい。通常であれば、低い温度とすることにより、フォトクロミック化合物の析出が考えられるが、環状置換クロメン化合物が本発明の配合量である場合には、前記温度範囲としておくことが効果的にフォトクロミック化合物の析出を抑制できることが分かった。温度が低すぎる場合、フォトクロミック硬化性組成物自体が凍結してしまうことがあり、より取り扱いやすく且つフォトクロミック化合物の析出を低減するためには、−20℃〜10℃の温度範囲で保存しておくことが好ましい。
また、保存時間は、特に制限されるものではないが、0時間以上720時間以下であることが好ましい。保存時間が0時間とは、フォトクロミック硬化性組成物を混合して製造した後、引き続き、フォトクロミック積層体を製造するために使用した場合を指す。
なお、本発明において、保存とは、重合性組成物、およびフォトクロミック組成物を混合してフォトクロミック硬化性組成物を製造した後、混合を止め、保存容器に保存することを指す。そのため、保存温度とは、保存容器に保存している間(保存容器に入れた後からフォトクロミック硬化性組成物を使用するまでの間)の温度を指す。また、保存時間は、その保存温度に置いておく間の時間を指す。
<フォトクロミック硬化性組成物を用いたフォトクロミック積層体の製造方法>
本発明においては、前記方法で製造し、保存したフォトクロミック硬化性組成物を、光学基材上に塗布して、硬化することにより、フォトクロミック積層体を形成する。光学基材上に、フォトクロミック硬化性組成物を硬化してなるフォトクロミック層を積層することにより、フォトクロミック積層体を製造する。
<フォトクロミック硬化性組成物からなるフォトクロミック層の形成方法>
本発明において、前記フォトクロミック層は、例えば、プライマー層を形成した光学基材上に、スピンコート法により前記フォトクロミック硬化性組成物の塗膜を形成した後、該塗膜を硬化させることにより形成できる。また、プライマー層を形成した光学基材をモールド内に設置し、該モールド内にフォトクロミック硬化性組成物を導入して、該フォトクロミック硬化性組成物を硬化することにより形成できる。なお、前記フォトクロミック硬化性組成物は、そのものを硬化させてフォトクロミック光学基材とすることもできる。ただし、本発明において、前記フォトクロミック硬化性組成物は、フォトクロミック積層体とする場合に優れた効果を発揮する。
<フォトクロミック硬化性組成物を使用した場合の保護フォトクロミック積層体>
前記方法により、フォトクロミック硬化性組成物を使用して得られるフォトクロミック積層体は、そのままフォトクロミック光学材料として使用できる。さらに、公知のハードコート層で被覆して使用することもできる。ハードコート層をフォトクロミック層上に形成することにより、フォトクロミック光学材料の耐擦傷性を向上させることができる。また、さらにハードコート層を形成した光学物品の表面には、SiO、TiO、ZrO等の金属酸化物の薄膜の蒸着や有機高分子体の薄膜の塗布等による反射防止処理、帯電防止処理等の加工及び2次処理を施すことも可能である。
中でも、特にフォトクロミック層を光学基材の表面に形成したフォトクロミック光学物品の場合、フォトクロミック化合物を含まない層を有する保護フォトクロミック積層体とすることが好ましい。本発明のフォトクロミック積層体は、フォトクロミック化合物のフォトクロミック層からのブリードアウトするおそれがある。そのため、フォトクロミック層上に、さらに、フォトクロミック化合物を含まない層を形成することが好ましい。このフォトクロミック化合物を含まない層は、熱硬化性樹脂層、熱可塑性樹脂層等のポリマーからなる層を形成することが好ましい。これらポリマーからなる層は、重合性モノマーを含む硬化性組成物から形成されることが好ましい。具体的には、通常のハードコート層を形成するコーティング剤等を使用し、フォトクロミック化合物を含まない層を形成することができる。また、前記重合性組成物(当然のことながら、フォトクロミック化合物を含まない)を使用して、フォトクロミック化合物を含まない層を形成することもできる。ただし、この場合、フォトクロミック層よりも、フォトクロミック化合物を含まない層の方が高い硬度を有する層となることが好ましい。
フォトクロミック化合物を含まない層を設けることにより、フォトクロミック層からのフォトクロミック化合物のブリードを抑制できるだけではなく、他化合物の外部からフォトクロミック層への浸透を防止することもできる。
以上、フォトクロミック硬化性組成物を使用した場合のフォトクロミック層の形成方法(フォトクロミック積層体)について、説明した。次に、フォトクロミック積層体を製造する別の方法として、以下のフォトクロミック層形成用組成物を使用した場合の例を説明する。
<フォトクロミック層形成用組成物>
フォトクロミック層は、ポリマー成分、および前記フォトクロミック組成物を含む樹脂組成物から形成するものである。そして、下記に説明するフォトクロミック層形成用組成物を使用できる。つまり、前記樹脂組成物におけるポリマー成分がウレタン系樹脂となる場合である。
本発明のフォトクロミック層形成用組成物は、該ウレタン系樹脂を形成するウレタン樹脂組成物、および複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物を含有する。そして、ウレタン樹脂組成物におけるウレタン系樹脂を形成する成分(ウレタン系樹脂の質量と見なすことができる)の合計100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下となる必要がある。
<ウレタン樹脂組成物>
フォトクロミック層形成用組成物に含まれるウレタン樹脂組成物は、特に制限されるものではなく、公知の組成のものが使用できる。例えば、
ポリウレタンプレポリマーと該プレポリマーを硬化できる硬化剤とからなる2液型のウレタン樹脂組成物や、
末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含んでなるウレタン樹脂組成物
等が好適に使用できる。
<2液型のウレタン樹脂組成物>
ポリウレタンプレポリマーと硬化剤とからなる2液型のウレタン樹脂組成物としては、特に制限されるものではなく、公知のものを使用できる。
例えば、ポリウレタンプレポリマーとしてはポリイソシアネートとポリオールとを一定割合で反応させた化合物を用いることができる。すなわち、ポリウレタンプレポリマーは、ポリイソシアネートとポリオールとを反応して得られるイソシアネート基、または活性水素を有する基をその分子の末端に有する化合物である。
硬化剤としては、ポリウレタンプレポリマーと反応しうる官能基を2個以上有する化合物であれば、特に限定されるものではない。すなわち、前記ポリウレタンプレポリマーがイソシアネート基を有する場合には、活性水素を有する基(具体的には、ヒドロキシル基、チオール基、および/またはアミノ基)を2個以上有する化合物を硬化剤として使用できる。一方、前記ポリウレタンプレポリマーが活性水素を有する基を含有するポリウレタンプレポリマーであれば、イソシアネート基、またはイソシアネート基をオキシム化合物で保護したブロックイソシアネート基を2個以上有する化合物を硬化剤として使用できる。オキシム化合物としては、3,5−ジメチルピラゾール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンオキシム、 メチルエチルケトンオキシム、2−ヘプタノンオキシムなどが挙げられる。
以上の場合には、ウレタンプレポリマーと硬化剤とが反応してウレタン樹脂となる。
<末端非反応性ウレタンウレア樹脂、およびポリイソシアネート化合物を使用する場合>
得られるフォトクロミック層形成用組成物の密着性などの観点から以下に詳述する末端非反応性ウレタンウレア樹脂を使用することが好ましい。
<末端非反応性ウレタンウレア樹脂>
末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、分子鎖中にウレア結合(−R−NH−CO−NH−)を有し、分子鎖の末端が、イソシアネート基、およびイソシアネート基と反応しうる基以外の基となっているポリマーである。イソシアネート基と反応しうる基とは、例えば、アミノ基(−NH基、及び−NH(R)基)、水酸基(−OH基)、メルカプト基(−SH基:チオール基)、カルボキシル基〔−C(=O)OH基〕、又は酸クロライド基〔−C(=O)OCl基〕等である。末端の基は、特に制限されるものではないが、機能性を付与する構造としては、ピペリジン構造、ヒンダードフェノール構造、トリアジン構造、およびベンゾトリアゾール構造が挙げられる。中でも、最も優れた効果を発揮するのは、ピペリジン構造であることが好ましい。
末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、以下のように製造することができる。中でも、より接着性が高く、接着性組成物が色素を含む場合に優れた効果を発揮するためには、以下の成分から製造されることが好ましい。すなわち、
(B−1)分子末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー((B−1)成分)と、
(B−2)分子内に2つ以上のアミノ基を有するポリアミン化合物((B−2)成分)と、
(B−3)分子内にイソシアネート基と反応しうる基を1つ有する化合物((B−3)成分)、
との反応生成物であることが好ましい。これら成分から得られる末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、原料である(B−2)成分としてポリアミン化合物を使用することに起因して、分子内にウレア結合が導入される。
(B−1)成分は、(B−1−1)ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリカプロラクトンポリオールなどの少なくとも2つ以上の水酸基を有するポリオールよりなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール化合物と((B−1−1)成分)、
(B−1−2)分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物((B−1−2成分))との反応生成物であることが好ましい。
(B−2)成分、(B−3)成分は、公知の化合物を使用できる。
末端非反応性ウレタンウレア樹脂における(B−1−1)成分、(B−1−2成分)成分、(B−2)成分、および(B−3)成分の含有量の比は、フォトクロミック積層体の接着層の耐熱性、接合力等を考慮すると、以下の配合割合で製造されることが好ましい。
すなわち、(B−1−1)成分に含まれる水酸基の総モル数をn1とし、 (B−1−2)成分に含まれるイソシアネート基の総モル数をn2とし、(B−2)成分に含まれるアミノ基の総モル数をn3とし、(B−3)成分に含まれるイソシアネート基と反応しうる基(具体的にはアミノ基、水酸基、メルカプト基及び/又はカルボキシル基等)の総モル数をn4としたときに、n1:n2:n3:n4=0.4〜0.8/1.0/0.19〜0.59/0.01〜0.2となる量比、特にn1:n2:n3:n4=0.45〜0.75/1.0/0.23〜0.53/0.02〜0.15となる量比とすることが好ましく、n1:n2:n3:n4=0.65〜0.75/1.0/0.23〜0.33/0.02〜0.1となる量比とすることが最も好ましい。ここで、上記n1〜n4は、各成分として用いる化合物の使用モル数と該化合物1分子中に存在する各基の数の積として求めることができる。
上記末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、末端には反応性の基を有さない。つまり、末端非反応性ウレタンウレア樹脂における各成分の含有量は、n2=n1+n3+n4を満足しなければならない。そのため、製造時においても、n2=n1+n3+n4となるような配合割合で製造することが好ましい。ただし、n2よりもn1、n3、及びn4の合計モル数(n1+n3+n4)が大きい場合には、再沈殿等により、未反応の(B−1−1)成分、(B−2)成分、(B−3)成分を除去すればよい。
前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、多分散度(重量平均分子量/数平均分子量の比)が、1.6〜2.4の範囲であることが好ましい。このように狭い範囲の多分散度を有する末端非反応性ウレタンウレア樹脂を含む接着性組成物を使用することにより、得られるフォトクロミック積層体は、優れた接着性、特に高温における優れた接着性を示す。
また、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂の分子量は、特に制限されるものではない。中でも、フォトクロミック積層体自身の接着力、及び耐熱性の観点から、数平均分子量が好ましくは5千〜10万、より好ましくは8千〜5万であり、特に好ましくは1万〜4万であることが推奨される。
なお、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂の数平均分子量、及び重量平均分子量は、ポリエチレンオキシド換算によるゲル・パーミエイション・クロマトグラフ(GPC)を用いて、カラム:Shodex KD−806M(昭和電工株式会社製)を2本直列接続、溶離液:LiBr(10mmol/L)/DMF溶液、流速:1ml/min、検出器:RI検出器、ウレタンウレア樹脂試料溶液:1.0%ジメチルホルムアミド(DMF)溶液の条件にて測定し、日本ウォーターズ株式会社製GPC解析ソフト『Empower Personal GPC Option』を用いて算出した値である。また、多分散度は、重量平均分子量/数平均分子量で算出される値であり、上記方法によって求められた数平均分子量、及び重量平均分子量より算出される値である。
以上のような末端非反応性ウレタンウレア樹脂は、特開2014−113761、特開2012−207198、WO2012/018070、WO2013/099640、WO2017/115874に記載の方法に従い、製造できる。
<分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物>
本発明おいて、フォトクロミック層形成用組成物を使用する場合には、ポリマー成分を形成する材料として、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂に加え、分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物(以下、単に「ポリイソシアネート成分」、又は(B−4)成分とする場合もある。)を使用することが好ましい。この(B−4)成分は、フォトクロミック層を形成する際、ポリマー成分を形成する前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂を架橋しているものと考えられる(架橋したそのものがポリマー成分となる。)。
前記(B−4)成分は、分子中のイソシアネート基の数が2〜3個であることが好ましい。また、前記(B−4)成分の分子量は、特に制限されるものではなく、1000未満であることが好ましい。この理由は、分子量が大きい(B−4)成分を用いると、イソシアネート基間の結合数が増える傾向にあり、たとえ橋架け構造を形成したとしても架橋点間の距離が長くなり、耐熱性があまり向上せず、かつ接着性も十分に向上しないと考えられる。
該ポリイソシアネート成分((B−4)成分)は、2級炭素に結合したイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物((B−4−1)成分)、および分子内の炭素数が4〜40である、前記((B−4−1)成分以外のポリイソシアネート化合物((B−4−2)成分)を含むことが好ましい。(B−4−1)成分としては、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物を使用することが好ましい。(B−4−2)成分としては、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット化合物、およびヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート化合物からなる群より選ばれるポリイソシアネート化合物を使用することが好ましい。
ウレタン樹脂組成物において、(B−4)成分の配合量は、特に制限されるものではないが、末端非反応性ウレタンウレア樹脂100質量部に対して、4.0〜20質量部であることが好ましい。なお、(B−4)成分が複数からなる場合には、その合計量が基準となる。
また、(B−4)成分として、(B−4−1)成分、および(B−4−2)成分の両方を使用する場合には、以下の割合とすることが好ましい。前記(B−4−1)成分を100質量部としたとき、前記(B−4−2)成分を10〜500質量部とすることが好ましい。
これらの最適配合量とは、使用する光学基材(積層する光学基材)に応じて適宜決定すればよい。具体的な配合量等は、特開2014−113761、特開2012−207198、WO2012/018070、WO2013/099640、WO2017/115874を参考にすることができる。
<フォトクロミック層形成用組成物におけるフォトクロミック組成物の配合量>
フォトクロミック層を形成する場合には、例えば、前記ウレタンプレポリマーと前記硬化剤、又は、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂と前記ポリイソシアネート化合物の全量が架橋反応に関与し、ポリマー成分を形成する。そのため、前記ウレタンプレポリマーと前記硬化剤の合計量、又は、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂と前記ポリイソシアネート化合物の合計量がポリマー成分の量と見なすことができる。このことから、フォトクロミック層形成用組成物においては、前記ウレタンプレポリマーと前記硬化剤の合計量(ウレタン系樹脂の質量)100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下となる必要がある。また、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物の合計量100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下となる必要がある。そして、前記ウレタンプレポリマーと前記硬化剤の合計量に対する前記クロメン化合物の好適な合計量は、前記ポリマー成分に対する好適な合計量と同じ理由で、同じ量となる。また、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物の合計量に対する前記クロメン化合物の好適な合計量は、前記ポリマー成分に対する好適な合計量と同じ理由で、同じ量となる。
さらに、これも当然のことではあるが、フォトクロミック層形成用組成物に含まれるフォトクロミック組成物は、前記フォトクロミック積層体で説明した<フォトクロミック組成物>と同じものである。好ましいフォトクロミック組成物も、当然の同じである。
本発明において、フォトクロミック層形成用組成物は、前記フォトクロミック組成物とウレタン樹脂組成物(例えば、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート成分)とを含めばよいが、その他、任意の成分を配合できる。以下にその他の成分について説明する。つまり、フォトクロミック層形成組成物において、ウレタン樹脂組成物は、ウレタン系樹脂を形成する成分、例えば、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート成分とう含めばよいが、光学基材上への積層のし易さ、機能性の付与等を考慮すると、その他の成分を含むことが好ましい。
<その他の成分>
さらに、本発明において、ウレタン樹脂組成物には、製膜性(積層体の生産性向上)のために、有機溶媒、水、界面活性剤、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色防止剤、帯電防止剤、香料、可塑剤等の添加剤を添加することもできる。添加するこれら添加剤としては、公知の化合物が何ら制限なく使用される。
前記ウレタン樹脂組成物は、積層のし易さを考慮すると、有機溶媒を含むことが好ましい。ただし、この有機溶媒は、フォトクロミック層となる際に除去されることが好ましい。具体的な有機溶媒を例示すれば、アルコール、多価アルコール誘導体、ケトン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、アセテート、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、クロロホルム、ジクロロメタン及びこれらの組み合せを挙げることができる。有機溶媒を使用する場合の配合量は、末端非反応性ウレタンウレア樹脂100質量部に対して、5〜900質量部、特に100〜750質量部とすることが好ましく、150〜400質量部とすることが最も好ましい。
その他、界面活性剤を具体的に例示すれば、ノニオン性、アニオン性、カチオン性の何れも使用できる。中でも、ノニオン性界面活性剤を用いるのが好ましい。界面活性剤は、単独でまたは2種以上を混合して使用しても良い。界面活性剤の添加量は、末端非反応性ウレタンウレア樹脂100質量部に対し、0.001〜5質量部の範囲が好ましい。
また、酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン光安定剤、ヒンダードフェノール酸化防止剤、フェノール系ラジカル補足剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を好適に使用できる。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤は、2種以上を混合して使用しても良い。さらにこれらの添加剤の使用に当たっては、界面活性剤と酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤を併用して使用しても良い。これら酸化防止剤、ラジカル補足剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤それぞれの添加量は、末端非反応性ウレタンウレア樹脂100質量部に対し、0.001〜20質量部の範囲が好ましい。
<フォトクロミック層形成用組成物の製造方法>
本発明において、フォトクロミック層形成用組成物は、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂、前記ポリイソシアネート化合物、フォトクロミック組成物、および必要に応じて使用するその他の成分を混合することにより製造できる。各成分を混合する順序は、特に制限されるものではない。
例えば、有機溶媒を使用しない場合、各成分を溶融混練してペレット化することも可能である。また、有機溶媒を使用する場合には、各成分を有機溶媒に溶かすことでフォトクロミック層形成用組成物を得ることができる。
<フォトクロミック層形成用組成物を使用したフォトクロミック積層体の製造方法、保護フォトクロミック積層体の製造方法>
本発明においては、以下の方法でフォトクロミック層を形成し、フォトクロミック積層体を製造することができる。前記フォトクロミック層形成用組成物は、接着性が非常に高いため、光学基材としてプラスチックシートを使用し、2枚のプラスチックシート同士を接着する接着剤として使用し、フォトクロミック積層体を製造することが好ましい。具体的には、フォトクロミック層形成用組成物を接着層とし、該接着層を介して対向する2枚のプラスチックシートを接着することが好ましい。この場合、一方のプラスチックシートを光学基材と見なすことができ、他方のプラスチックシートを、フォトクロミック化合物を含まない層と見なすことができる。
フォトクロミック層形成用組成物からなる接着層を介してプラスチックシートが接合されたフォトクロミック積層体(保護フォトクロミック積層体)は以下のようにして製造できる。例えば、フォトクロミック層形成用組成物を混錬し、均一な状態の接着性シートを一旦作製した後、該接着性シートをプラスチックシート同士の間に配置して、該プラスチックシートの同士を圧接することにより、接着層を介してプラスチックシートが接合されたフォトクロミック積層体(保護フォトクロミック積層体)を製造できる。また、有機溶媒を含むフォトクロミック層形成用組成物を使用した場合には、プラスチックシート上に、一旦、フォトクロミック層形成用組成物を塗布して塗布層を形成し、該塗布層から有機溶媒を除去して接着層(フォトクロミック層)とし、該接着層(フォトクロミック層)上に他のプラスチックシートを配置して圧接することにより、フォトクロミック積層体(保護フォトクロミック積層体)を得ることもできる。また、フォトクロミック層とプラスチックシートとの間に、前記末端非反応性ウレタンウレア樹脂を含む接着層用接着剤(ただし、フォトクロミック化合物は含まない)からなる接着層を設けることもできる。
以上のようなフォトクロミック積層体、および保護フォトクロミック積層体の製造方法は、特開2014−113761、特開2012−207198、WO2012/018070、WO2013/099640、WO2017/115874に記載の方法を参考にすることができる。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。上記の各成分及びフォトクロミック性の評価方法等は、以下のとおりである。
(ラジカル重合性単量体の種類、重合性組成物)
(A−1成分)
ポリエチレングリコールジメタクリレート(平均分子量736) 45質量部
ポリエチレングリコールジメタクリレート(平均分子量536) 13質量部
(A−2−2成分)
トリメチロールプロパントリメタクリレート 25質量部
ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート 16質量部
(A−2−3成分)
グリシジルメタクリレート 1質量部。
(フォトクロミック化合物)
下記に示される構造のフォトクロミック化合物を用いた。
第一クロメン化合物
Figure 2021148814
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第二クロメン化合物
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<フォトクロミック硬化性組成物の使用>
実施例1〜6、比較例1〜3におけるフォトクロミック組成物
表1に示したフォトクロミック組成物の配合割合として、前記重合性組成物と該フォトクロミック組成物とを混合することにより、各実施例、各比較例のフォトクロミック硬化性組成物とした。表1には、ラジカル重合性単量体の合計質量(重合性組成物の合計質量)を100としたときの各フォトクロミック化合物(クロメン化合物)の配合量(質量部)を、()の中の数値で表した。
Figure 2021148814
(その他の成分)
フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フォスフィンオキシド (0.3質量部)、
エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート](1質量部)、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(3質量部)。
(溶解性評価)
前記重合性組成物と表1に示した実施例1のフォトクロミック組成物を用いて、表2の条件で、実施例1のフォトクロミック組成物の溶解性を評価した。
尚、調合には、株式会社日本精機製作所製「ヨウカイくんUSS−1」を用いた。攪拌条件:攪拌ダイヤル8。
超音波照射条件:照射インターバル3秒。
Figure 2021148814
溶解しないとは、「フォトクロミック化合物(クロメン化合物)が溶解せずに、フォトクロミック硬化性組成物中に目視にて確認できたもの」を指す。
表2からも明らかなように、調合温度は50℃以上が好ましいことが分かる。また、溶解時に超音波照射を用いたほうが、溶解までの時間が短くなることが分かる。なお、調合例4のフォトクロミック硬化性組成物は、調合例1と同じ条件で調合することにより、調合例1と同じ結果となった。
(フォトクロミック硬化性組成物の保存安定性評価)
調合例1〜3で得られたフォトクロミック硬化性組成物(実施例1に記載のフォトクロミック組成物、および前記重合組成物を含むフォトクロミック硬化性組成物)を用いて、保存条件の比較を行った。保存条件および、保存結果を表3に示す。なお、調合(混合)して得られたフォトクロミック硬化性組成物は、表3において、ろ過ありとしたものについては、遮光下、25℃で、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)製のフィルターを用いてろ過を行った。該フィルターの、目のサイズは0.5μmであった。
得られたフォトクロミック硬化性組成物を褐色瓶容器内で保存し、0℃、25℃、40℃の恒温槽の内部で保存を行った。保存開始から、1週後、1か月後、2か月後にフォトクロミック化合物の析出の有無を目視で評価した。
Figure 2021148814
表3からも明らかなように、保存温度が低いほど、フォトクロミック化合物の析出が抑制され、フォトクロミック硬化性組成物の保存性が良好であることが分かる。また、保存前にろ過による不溶分の除去を行うことにより、フォトクロミック化合物の析出は抑制され、保存性に優れることが分かる。
(フォトクロミック積層体の作製)
実施例1
表1の実施例1で示したフォトクロミック組成物、および前記重合性組成物を含むフォトクロミック硬化性組成物を、調合例1の条件で調合することにより、フォトクロミック硬化性組成物を得た。得られたフォトクロミック硬化性組成物を使用して、以下の方法によりフォトクロミック積層体を作製した
光学基材として中心厚が2mmで屈折率が1.60のチオウレタン系プラスチックレンズを用意した。なお、このチオウレタン系プラスチックレンズは、事前に10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて、50℃で5分間のアルカリエッチングを行い、その後十分に蒸留水で洗浄を実施した。
その後、上記のチオウレタン系プラスチックレンズの表面に、スピンコーター(1H−DX2、MIKASA製)を用いて、湿気硬化型プライマー(製品名;TR−SC−P、株式会社トクヤマ製)を回転数70rpmで15秒、続いて1000rpmで10秒スピンコートし、次いで、上記で得られたフォトクロミック硬化性組成物2gを、回転数60rpmで40秒、続いて900rpmで10〜20秒かけてスピンコートした。この時、膜厚は、硬化後のフォトクロミック層の厚みが40μmになるようにスピンコートした。
上記したフォトクロミック硬化性組成物が表面に塗布されているチオウレタン系プラスチックレンズを、窒素ガス雰囲気中で出力200mW/cmのメタルハライドランプを用いて、90秒間光を照射し、フォトクロミック硬化性組成物を重合させた。その後さらに110℃で1時間加熱して、フォトクロミック積層体を作製した。
得られたフォトクロミック積層体を下記に示す方法で評価した。
(1)フォトクロミック特性
いずれも大塚電子工業株式会社製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD3000)により測定された値を使用した。
[1] 極大吸収波長: 発色後の極大吸収波長であり、発色時の色調の指標とした。
[2] 23℃発色濃度: 前記極大吸収波長における、23℃で300秒間光照射した後の吸光度{ε(300)}と光未照射時の吸光度ε(0)との差であり、発色濃度の指標とした。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
[3] 23℃退色半減期: 23℃において、300秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(300)−ε(0)}の1/2まで低下するのに要する時間であり、退色速度の指標とした。この時間が短いほど退色速度が速い。
[4] 100時間残存率: 得られたフォトクロミックプラスチックレンズをスガ試験器(株)製キセノンウェザーメーターX25により100時間促進劣化させた。その後、前記発色濃度の評価を試験の前後で行い、試験前の発色濃度(A)及び試験後の発色濃度(A100)を測定し、その比(A100/A)を残存率とし、発色の耐久性の指標とした。残存率が高いほど発色の耐久性が高い。
結果を表4にまとめる。
実施例2〜7、比較例1〜2
実施例1のフォトクロミック積層体の作製と同様の方法で、フォトクロミック組成物の配合量を表1に示す割合に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、フォトクロミック積層体を製造した。また、評価も同様の評価を行った。
Figure 2021148814
表4からも明らかなように本発明のフォトクロミック硬化性組成物を用いたフォトクロミック積層体は、高度なフォトクロミック性(発色濃度が高く、退色速度が早い)を有しつつ、加えて高い対候性を有していることが分かる。
フォトクロミック層形成用樹脂組成物の使用
実施例8
(フォトクロミック層(フォトクロミック接着層)の作製)
以下の方法によりフォトクロミック層を作製した
(フォトクロミック層形成用組成物の末端非反応性ウレタンウレア樹脂の製造)
撹拌翼、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた2Lの4つ口フラスコに数平均分子量800のポリカーボネートジオール252質量部、イソホロンジイソシアネート100質量部、トルエン72質量部を仕込み、窒素雰囲気下、100℃で7時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。ウレタンプレポリマー反応終了後、反応液を0℃付近まで冷却し、イソプロピルアルコール205質量部、ジエチルケトン382質量部に溶解させた後、液温を0℃に保持した。次いで、鎖延長剤であるビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン23質量部とジエチルケトン20質量部の混合溶液を30分以内に滴下し、0℃で1時間反応させた。その後さらに、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−アミノピペリジン5.7質量部を滴下し、0℃で1時間反応させることにより、末端非反応性ウレタンウレア樹脂のジエチルケトン溶液を得た。
得られた末端非反応性ウレタンウレア樹脂の溶液100質量部、表1の実施例5に記載のフォトクロミック組成物、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)の異性体混合物(ポリイソシアネート化合物) 4質量部、さらに、酸化防止剤としてエチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート] 0.4質量部、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 0.06質量部を添加し、室温で攪拌・混合を行い、フォトクロミック層形成用組成物を得た。
(接着層用接着剤 末端非反応性ウレタンウレア樹脂の合成)
撹拌翼、冷却管、温度計、窒素ガス導入管を取り付けた5Lのセパラブルフラスコ(4つ口)を用意し、この容器に数平均分子量1000のポリカーボネートジオール400質量部、イソホロンジイソシアネート175質量部、トルエン120質量部を仕込み、窒素雰囲気下、110℃で7時間反応させ、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを合成した。ウレタンプレポリマー反応終了後、反応液を20℃付近まで冷却し、プロピレングリコール−モノメチルエーテル2500質量部に溶解させた後、液温を20℃に保持した。次いで、鎖延長剤であるイソホロンジアミン60質量部を滴下し、20℃で1時間反応させた。その後さらに、n−ブチルアミン3質量部を滴下し、20℃で1時間反応させることにより、末端非反応性ウレタンウレア樹脂のプロピレングリコール−モノメチルエーテル溶液を得た。
得られた末端非反応性ウレタンウレア樹脂溶液500質量部に、界面活性剤としてDOW CORNING TORAY L−7001 0.2質量部を添加し、室温で攪拌・混合を行い、接着層用接着剤を得た。
(フォトクロミック層の製造)
コーター(テスター産業製)を用いて、前記接着層用接着剤を厚み400μmのポリカーボネートシート(第一、第二光学シート;一方が光学基材で、他方がフォトクロミック化合物を含まない層となる)上に、塗工速度0.5m/minで塗工し、乾燥温度110℃で3分間乾燥させることにより、膜厚5μmの接着樹脂層を有するポリカーボネートシートを得た。
次いで、コーター(テスター産業製)を用いて、前記フォトクロミック層形成用組成物を、厚み50μmのOPPフィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)上に塗工速度0.3m/minで塗工し、乾燥温度100℃で5分間乾燥させた。これにより、フォトクロミック層を形成した。その後、フォトクロミック層(厚み40μm)側を、前記接着樹脂層を有する第一光学シートの接着樹脂層上に配置し、張り合わせた。
更に、上記方法で準備した第一光学シート/接着樹脂層/フォトクロミック層/OPPフィルムがこの順で積層されたものからOPPフィルムを剥離した構造体と、接着樹脂層を有するポリカーボネートシート(第二光学シート)とを、フォトクロミック層とポリカーボネートシート(第二光学シート)上の接着樹脂層とが接合するように、貼り合わせた。次いで、得られた積層体を、40℃、真空下で24時間静置した後、110℃で60分加熱処理し、次いで60℃、100%RHで24時間の加湿処理を行い、最後に40℃、真空下で24時間静置し、フォトクロミック積層体を得た。
得られたフォトクロミック積層体を実施例1と同様の評価を行った。
結果を表5に示す。
比較例3
実施例8で使用したフォトクロミック組成物(表1の実施例5で示したフォトクロミック組成物)を、表1で示した比較例2のフォトクロミック組成物とした以外は、実施例8と同様にし、フォトクロミック積層体を作製し、評価した。結果を表5に示した。
Figure 2021148814
実施例8は、保護フォトクロミック積層体に相当するが、耐久性が高いことが分かる。なお、比較例3は、実施例7よりも耐久性がよい結果となっているが、これは、比較例3が、保護フォトクロミック積層体となっており、フォトクロミック層と酸素等との接触がないため、高い耐久性となっているものと考える。ただし、実施例8と比較例3とを比較して明らかな通り、クロメン化合物の合計質量が5質量部未満のもの(比較例3)と、5質量部以上のもの(実施例8)とでは、実施例8の耐久性がよいことが分かる。

Claims (13)

  1. 光学基材上に、
    複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物、およびポリマー成分を含む樹脂組成物からなるフォトクロミック層を有するフォトクロミック積層体であって、
    該フォトクロミック層の厚みが、10〜200μmであり、
    該フォトクロミック組成物が、下記式(1)
    Figure 2021148814
    で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、
    該フォトクロミック層において、該ポリマー成分100質量部に対して、該クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック積層体。
  2. 前記クロメン化合物が、
    6位、および7位の炭素原子の少なくとも一方に電子供与性の置換基を有するか、または、6位、および7位の炭素原子と共に環員原子数5〜10の置換基を有してもよい環基を形成してなる第一クロメン化合物、並びに
    6位、および7位の炭素原子の置換基が水素原子である第二クロメン化合物
    を含有する、請求項1に記載のフォトクロミック積層体。
  3. 前記第一クロメン化合物における、6位、および7位の炭素原子の少なくとも一方が有する電子供与性の前記置換基が、
    炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜6のハロアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、炭素数1〜6のアルキルチオ基、炭素数1〜12のアルコキシアルキルチオ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールチオ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールオキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、置換基を有してもよい環員原子数5〜12のヘテロアリール基から選ばれる基であり、
    前記第一クロメン化合物における、6位、および7位の炭素原子と共に形成する環員原子数5〜10の前記環基が、
    下記式
    Figure 2021148814
    [式中、
    *は、6位、または7位の炭素原子を指し、
    X、およびYは、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、または下記式(4)
    Figure 2021148814
    (式中、
    10は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6アルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、または置換基を有してもよい環員原子数5〜12のヘテロアリール基である。)で示される基であり、
    、およびRは、環基が有する置換基であり、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロアルキル基、置換基を有してもよい環員炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、置換基を有してもよい環員原子数3〜8の複素環基、シアノ基、ニトロ基、ホルミル基、ヒドロキシカルボニル基、炭素数2〜7のアルキルカルボニル基、炭素数2〜7のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、炭素数6〜12のアラルキル基、炭素数6〜12のアラルコキシ基、置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリール基、または置換基を有してもよい環員炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、
    また、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員炭素数3〜20の脂肪族環を形成してもよく、
    cは、1〜6の整数である。]
    で示される基である、請求項2に記載のフォトクロミック積層体。
  4. 前記クロメン化合物の合計を100質量部としたとき、
    前記第一クロメン化合物が55〜85質量部であり、
    前記第二クロメン化合物が15〜45質量部である、請求項2又は3に記載のフォトクロミック積層体。
  5. 全ての前記クロメン化合物が、
    13位の炭素原子が、炭素数1〜12のアルキル基、若しくは炭素数1〜12のアルコキシ基を少なくとも1つ有する化合物、または
    13位の炭素原子と共に、置換基を有していてもよい環員原子数3〜20の環状置換基を形成してなる化合物
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトクロミック積層体。
  6. 全ての前記クロメン化合物が、
    13位の炭素原子と共に、置換基を有してもよい環員原子数3〜20の環状置換基を形成してなる化合物
    であることを特徴とする請求項5に記載のフォトクロミック積層体。
  7. 前記クロメン化合物における前記環状置換基が、下記式
    Figure 2021148814
    から選ばれるいずれかの基である、請求項5又は6に記載のフォトクロミック積層体。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載のフォトクロミック積層体の前記フォトクロミック層上に、さらに、フォトクロミック化合物を含まない層を有する保護フォトクロミック積層体。
  9. 請求項1に記載のフォトクロミック積層体のフォトクロミック層となる樹脂組成物を形成するためのフォトクロミック硬化性組成物であって、
    前記樹脂組成物におけるポリマー成分となる、複数のラジカル重合性単量体を含む重合性組成物、および
    複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物を含有し、
    該フォトクロミック組成物が、下記式(1)
    Figure 2021148814
    で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、
    前記重合性組成物100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック硬化性組成物。
  10. 前記重合性組成物と前記フォトクロミック組成物とを50〜90℃の温度範囲で混合することを特徴とする、請求項9に記載のフォトクロミック硬化性組成物の製造方法。
  11. 請求項10に記載の方法によりフォトクロミック硬化性組成物を製造した後、該フォトクロミック硬化性組成物を30℃未満の温度で保存する、フォトクロミック硬化性組成物の保存方法。
  12. 請求項1に記載のフォトクロミック積層体のフォトクロミック層となる樹脂組成物を形成するためのフォトクロミック層形成用組成物であって、
    前記樹脂組成物におけるポリマー成分がウレタン系樹脂となるように、
    該ウレタン系樹脂を形成するウレタン樹脂組成物、および
    複数のフォトクロミック化合物を含むフォトクロミック組成物を含有し、
    該フォトクロミック組成物が、下記式(1)
    Figure 2021148814
    で示されるインデノナフトピラン骨格を有するクロメン化合物を複数含み、
    前記ウレタン樹脂組成物におけるウレタン系樹脂100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、フォトクロミック層形成用組成物。
  13. 前記ウレタン樹脂組成物が、
    前記ポリマー成分となるウレタン系樹脂を形成する成分として、末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および分子内に少なくとも2つのイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を含んでなり、
    前記ウレタン樹脂組成物における末端非反応性ウレタンウレア樹脂、および前記ポリイソシアネート化合物の合計100質量部に対して、前記クロメン化合物の合計質量が5質量部以上20質量部以下である、請求項12に記載のフォトクロミック層形成用組成物。
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