本発明に係る気流環境システムは、複数の送風機と、複数の送風機のそれぞれから発生した空気流を合流させる合流部と、合流部から特定の方向に流れる空気流を環境空間に放出する放出口と、特定の方向において放出口と対向するように配置され、特定の方向に沿って流れる空気流が当たる反射部と、複数の送風機の送風動作を制御する制御部とを備える。また、反射部は、環境空間において、当たった空気流を放出口の側へ還流させるように構成される。そして、制御部は、複数の送風機のそれぞれから発生する空気流の風量を制御することにより、放出口から空気流が放出される際の特定の方向を、第一方向と、第一方向とは異なる第二方向との間で切り替える。
こうした構成によれば、複数の送風機のそれぞれから発生する空気流の風量制御によって、放出口から放出される空気流を、第一方向に吹き出す状態と第二方向に吹き出す状態とに自動的に切り替えることができる。これにより、放出口から放出される空気流が反射部において当たる位置が変わるので、これに連動して空気流が環境空間に向かって還流する際の気流方向が変更される。このため、従来の気流環境システムのように利用者が反射部を異なる形状のものに交換する作業なしに、利用者に向けて送風する気流によるドラフト感(不快感)を低減させることができる。
また、本発明に係る気流環境システムでは、環境空間には、放出口から放出された空気流が反射部に向かって流れる第一流路と、反射部によって還流する空気流が流れる第二流路とが形成され、第一方向または第二方向に沿って見た時に、第二流路は、第一流路を囲むように形成されることが好ましい。このようにすることで、第一流路の側に近づく利用者にとっては、第二流路を通じて還流する空気流の層に触れる可能性が高くなる。よって、気流の体感性が向上する。特に、第二流路を通じて還流する空気流の速度は、反射部にて減衰されて、放出口から放出された空気流の速度よりも小さくなり得る。したがって、逆に、放出口から放出された空気流が第二流路を通って反射部に向かい、第一流路を通って放出口の側へ還流する場合に比べて、第一流路の側に近づく利用者に不快感を与える可能性を低減できる。
また、本発明に係る気流環境システムでは、反射部は、環境空間における人を検知する人感センサをさらに備える。また、第一方向は、放出口の鉛直方向上方に向かう方向である。そして、制御部は、人感センサからの人の検知情報に基づいて第二方向を特定し、放出口から放出される空気流が反射部において当たる位置を変更するように制御する。このようにすることで、人感センサにおいて検出された人(利用者)に対して、反射部から放出される空気流の強弱を作り、利用者が長時間空気流を浴びる際の負荷を低減することができる。例えば、日本の夏場において、放出口から放出された空気流を、人感センサが検知した人(利用者)の方向に吹き出す場合には、利用者が居る場所に向けた空気流が強くなり、利用者に涼しく感じさせことができる。反対に、放出口から放出された空気流を、人感センサが検知した人(利用者)の反対方向に吹き出す場合には、利用者が居る場所に向けた空気流が弱くなり、利用者が寒くなりすぎないようにすることができる。
また、本発明に係る気流環境システムでは、第一方向は、放出口の鉛直方向上方に向かう方向であり、制御部は、放出口から空気流が放出される際の第二方向を、周期的に変更するように制御することが好ましい。このようにすることで、利用者が居る場所に向けた空気流に周期的な強弱を作り、利用者が長時間空気流を浴びる際の負荷を低減することができる。
また、本発明に係る気流環境システムでは、放出口と反射部とは、第一方向及び第二方向において、空隙の中空部を介して互いに離間し、放出口から放出される空気流及び反射部によって還流する空気流は、中空部を流れることが好ましい。このようにすることで、第一方向及び第二方向に沿って流れる空気流と放出口の側へ還流する空気流とを互いに隔離する障害物が存在しなくなる。よって環境空間にいる利用者に開放感を与える可能性を高めることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して二度目以降の説明を省略することがある。
(実施の形態1)
まず、図1〜図3を参照して、実施の形態1に係る気流環境システム1の概略について説明する。図1は、実施の形態1に係る気流環境システム1の外観斜視図である。図2は、気流環境システム1を下方から見た外観斜視図である。図3は、気流環境システム1における送風システム7の構成を示すブロック図である。
なお、以下では、図1に示すように送風ユニット2が床面11に設置された状態での、水平面(床面11)に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とするが、この方向は、送風ユニット2の使用方向を限定する趣旨ではない。
気流環境システム1は、例えば、施設内における環境空間10に気流を形成するように構成されたシステムである。なお、本発明における「環境空間」は、施設内の空間に限られず、施設外(屋外)の空間でもよい。
気流環境システム1は、図1及び図2に示すように、送風ユニット2と反射ユニット3とを備えて構成される。送風ユニット2は、環境空間10内の床面11上に設置され、少なくとも特定の方向の一例である第一方向A1(あるいは後述する第二方向C1)に沿って流れる空気流を、環境空間10に放出する。反射ユニット3は、環境空間10内の天井面(図示せず)において、第一方向A1において送風ユニット2と対向する位置に設置され、第一方向A1に沿って流れる空気流が当たる。そして、反射ユニット3は、環境空間10において、当たった空気流を送風ユニット2の側へ還流させるように構成される(図1の還流方向A3参照)。ここでは、本実施の形態の「第一方向A1」は、鉛直方向上向きであることを想定する。したがって、反射ユニット3は、送風ユニット2の真上に配置される。
具体的に、送風ユニット2について説明する。
送風ユニット2は、図1及び図2に示すように、筐体4と、放出口5と、吸気口6と、送風システム7とを備えて構成される。
筐体4は、送風ユニット2の外枠を構成する部材であり、全体として椅子(利用者が着座可能な台座)としても機能するように構成されている。また、筐体4は、送風システム7をその内部に収容または保持するように構成される。また、筐体4は、その中央上面に放出口5が形成され、その外周側面に吸気口6が形成されている。筐体4の材料は、特に限定されないが、筐体4が椅子として機能できる程度の寸法及び耐久性を有することが望ましい。
また、筐体4は、気流環境システム1の動作状態を操作する際に、利用者が入力装置として使用可能な操作パネル4a(図6参照)を備える。操作パネル4aは、後述する制御部12(図6参照)への入力手段として使用される。なお、操作パネル4aは、筐体4に設置された液晶画面であってもよいし、環境空間10内に存在し、無線により制御部12と通信可能なリモコン等であってもよい。
放出口5は、筐体4の中央上面(第一方向A1の側の面)に配置される。放出口5は、送風システム7と連通して構成され、送風システム7から送風される空気流を、少なくとも第一方向A1または後述する第二方向C1に沿って流れる空気流として、環境空間10に放出する。
吸気口6は、筐体4の外周側面(第一方向A1の周方向)に配置され、例えば、上下方向に長尺であるスリット状の複数の孔から構成される。そして、吸気口6は、筐体4の内部空間(図示せず)を介して送風システム7(図4に示す各送風機の吸気口6a)と連通して構成され、送風システム7の送風動作に伴い、筐体4の外部から内部空間に空気を吸い込む。
送風システム7は、上述のように、筐体4の内部に収容または保持されるように構成される。また、送風システム7は、筐体4の内部空間において、放出口5及び吸気口6にそれぞれ連通接続されている。そして、環境空間10の空気は、吸気口6から送風システム7に供給され、放出口5から環境空間10に放出される。
具体的には、送風システム7は、図3に示すように、送風装置7aと機能部7bとを有して構成される。
送風装置7aは、制御部12(図6参照)の制御により、環境空間10内の空気を吸気口6から吸い込み、少なくとも第一方向A1(鉛直上向き)または第二方向C1(鉛直方向に対して傾斜させた方向)に沿って流れる空気流を発生させて、放出口5に送出する機器である。ここで、送風装置7aの材料は、特に限定されないが、後述する機能部7bにより放出口5から環境空間10に放出する空気流に対して付与される付加要素により、耐久性に影響を受けないものが望ましい。送風装置7aの詳細な構成は後述する。
機能部7bは、放出口5から環境空間10に放出する空気流に対して、付加要素を付与する機器である。付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうち少なくとも1つを含む。
付加要素が、香りを含む場合、機能部7bは、筐体4内に収容される。付加要素は、例えば、芳香剤を含む香り提示装置を有する。芳香剤から気化した香りは、送風装置7aから放出口5に流れる気流に混ざり合う。その結果、環境空間10に居る利用者に、良質な香りの空気を提供できる。
付加要素が、空気浄化を含む場合、機能部7bは、例えば、空気清浄装置を有する。空気清浄装置は、筐体4内に収容される。空気清浄装置は、吸気口6から吸い込まれた空気中の花粉等の微粒子を集塵する集塵フィルタ及び脱臭用のフィルタ等を有する。空気清浄装置で浄化された空気は、送風装置7aにて空気流として放出口5から上方に放出され得る。その結果、環境空間10に居る利用者に、浄化された空気を提供できる。
付加要素が、空気浄化を含む場合、機能部7bは、例えば、空間除菌脱臭機を有してもよい。空間除菌脱臭機は、筐体4内に収容される。空間除菌脱臭機は、次亜塩素酸を生成して、送風装置7aで発生した空気流に混入するように構成される。次亜塩素酸を含んだ空気流は、放出口5から上方に放出されて、環境空間10を除菌する。その結果、環境空間10に居る利用者に、浄化された空気を提供できる。
付加要素が、温度変化を含む場合、機能部7bは、例えば、空気調和装置を有する。空気調和装置は、コンプレッサを有し、空気調和装置にて生成された冷気又は暖気が、送風装置7aにて空気流として放出口5から上方に放出される。その結果、環境空間10に居る利用者に、快適な温度の空気を提供できる。
機能部7bが上述した空気清浄装置、空間除菌脱臭機、及び空気調和装置を有する場合、それらの電源のオンまたはオフ、及び各種パラメータの調整等は、例えば、操作パネル4aへの操作にて実行可能である。なお、後述の制御部12(図6参照)が、機能部7bに関する制御を集中的に行なってもよい。機能部7bの稼働は、制御部12の制御下で、送風装置7aの稼働に連動するように制御されてもよい。
このように送風システム7に対して機能部7bが設けられていることで、空気流に対して、付加要素を容易に付与できる。
説明が前後するが、図4及び図5を参照して、送風装置7aの詳細な構成について説明する。図4は、送風システム7から吹き出す気流の方向を第一状態とした場合の模式図である。図5は、送風システム7から吹き出す気流の方向を第二状態とした場合の模式図である。ここで、第一状態は、送風システム7から吹き出す気流の方向を第一方向A1とした状態であり、第二状態は、送風システム7から吹き出す気流の方向を第二方向C1とした状態である。なお、各図中における各吹出気流を示す矢印は、各吹出気流が流れる方向を示し、矢印の太さは、各吹出気流の送風量を簡易的に示している。
図4及び図5に示すように、送風装置7aは、第一送風機7a1、第二送風機7a2、及び第三送風機7a3からなる送風機群と、送風機群のそれぞれに連通接続される個別ダクト20aと、個別ダクト20aを流れる空気流を合流させる合流ダクト20と、を有して構成される。
各送風機(第一送風機7a1、第二送風機7a2、第三送風機7a3)は、例えば、旋回成分に比べて直進的な成分を多く含む空気流(吹出気流)を発生させるシロッコファンである。各送風機は、水平面上において、第一方向A1の周方向に沿って均等な位置に配置されている。そして、各送風機は、側方に位置する吸気口6aから外部からの空気を吸い込み、送風機の鉛直上方に接続された個別ダクト20aに空気流を送出する。ここで、各送風機は、例えば、インバータ制御によりモータの回転速度を調整して、それぞれの送風機から吹き出される気流の風量を変更可能となっている。
個別ダクト20aは、各送風機と合流ダクトとの間を連通接続するダクトである。そして、第一送風機7a1に接続された個別ダクト20aは、第一送風機7a1からの第一吹出気流21a1を合流ダクト20に流通させる。第二送風機7a2に接続された個別ダクト20aは、第二送風機7a2からの第二吹出気流21a2を合流ダクト20に流通させる。また、特に図示していないが、第三送風機7a3に接続された個別ダクト20aは、第三送風機7a3からの第三吹出気流を合流ダクト20に流通させる。
合流ダクト20は、その一端である接続口5aにおいて3つの個別ダクト20aを統合接続し、その他端である接続口5bにおいて放出口5と接続するダクトである。ここで、接続口5bは、そのまま放出口5としてもよい。そして、合流ダクト20は、個別ダクト20aを流通してきた各吹出気流(第一吹出気流21a1、第二吹出気流21a2、第三吹出気流)をその内部の領域Gにおいて衝突させて合流させ、吹出気流22として接続口5bから放出する。なお、合流ダクト20は、請求項の「合流部」に相当する。
次に、図4を参照して、送風システム7から吹き出す気流の方向を第一方向A1とした状態(第一状態)について説明する。
送風装置7aは、上述の通り、3台の送風機(第一送風機7a1、第二送風機7a2、第三送風機7a3)を有している。そして、送風装置7aは、各送風機から同じ送風量で各吹出気流を発生させる。送風装置7aは、例えば、第一送風機7a1からの送風量を「100」、第二送風機7a2からの送風量を「100」、及び第三送風機7a3からの送風量を「100」として送風動作を行う。そして、発生した各吹出気流は、合流ダクト20の領域Gにて衝突して合流する。ここで、各吹出気流が衝突して合流する際、各吹出気流の送風量が同じであるため、衝突して合流した各吹出気流は、偏りなく鉛直上方に向きを変えて押し出され、吹出気流22として放出される。この際、各吹出気流が合流した吹出気流22の風量は「300」となる。つまり、送風装置7aは、各送風機から同じ送風量で各吹出気流を発生させることで、放出口5から放出される吹出気流22を第一方向A1に沿った状態(第一状態)にすることができる。
次に、図5を参照して、送風システム7から吹き出す気流の方向を第二方向C1とした状態(第二状態)について説明する。
送風装置7aは、各送風機からそれぞれ異なる送風量で各吹出気流を発生させる。送風装置7aは、例えば、第一送風機7a1からの送風量を「200」、第二送風機7a2からの送風量を「50」、及び第三送風機7a3からの送風量を「50」として送風動作を行う。そして、発生した各吹出気流は、合流ダクト20の領域Gにて衝突して合流する。ここで、各吹出気流が衝突して合流する際、各吹出気流の送風量が上述のように異なるため、衝突して合流した各吹出気流は、各吹出気流の中で相対的に送風量の多い第一吹出気流21a1の流れが支配的となって、吹出気流22aとして放出される。この際、各吹出気流が合流した吹出気流22aの風量は「300」となる。つまり、送風装置7aは、各送風機からそれぞれ異なる送風量で各吹出気流を発生させることで、放出口5から放出される吹出気流22aを第二方向C1に沿った状態(第二状態)にすることができる。
ここで、送風装置7aは、各送風機からの送風量の組み合わせを調整することで、第二方向C1を所定の範囲の方向に変更することができる。送風装置7aは、例えば、放出口5から吹出気流22aが放出される際の第二方向C1を、周期的に変更するようにすることも可能である。
次に、図1及び図2を参照して、反射ユニット3について説明する。
反射ユニット3は、図1及び図2に示すように、反射部8と人感センサ14とを備えて構成される。
反射部8は、下面が開放された円筒形状を有して構成され、天井面に直接取り付けられる。反射部8の下面(放出口5と対向する面)は、その中央部が窪んだ曲面8a(具体的には湾曲した椀形状)を有している。そして、反射部8は、送風ユニット2の放出口5の真上に位置し、送風ユニット2が反射部8の開口面を床面11に投影した場合の投影領域内に概ね収まるように配置される。
反射部8では、気流環境システム1(送風システム7)の動作時には、反射部8の曲面8aに対して放出口5から放出された空気流(第一方向A1に沿って流れる空気流)が当たる。そして、反射部8は、環境空間10において、その端部において反射部8に当たり反射された空気流(反射方向A2)を放出口5の側へ還流させるように構成される(還流方向A3)。また、反射部8の円周側面には、気流環境システム1に人が近付いたことを検知する人感センサ14が複数個所に取り付けられている。
人感センサ14は、赤外線、超音波あるいは可視光などを利用したセンサであり、後述する制御部12の入力信号として用いられる。
次に、図6を参照して、気流環境システム1における制御部12について説明する。図6は、気流環境システム1における制御部12の構成を示すブロック図である。
制御部12は、送風システム7(送風装置7a、機能部7b)の運転動作を制御する。制御部12は、筐体4の内部に収容されてもよいし、反射部8の内部に収容されてもよい。また、制御部12は、操作パネル4aとの間の通信及び送風システム7との間の通信を無線あるいは有線で行う。具体的には、制御部12は、図6に示すように、入力部12a、処理部12b、出力部12c、記憶部12d、及び計時部12eを有している。
以下では、制御部12が行う制御例を二つ説明する。
(第一制御例)
第一制御例は、第二方向C1を周期的に変更する例である。
入力部12aは、筐体4に設置された操作パネル4aから利用者の操作により、送風システム7の電源のオンまたはオフ、風量設定(各送風機の送風量の設定、周期設定)、及び付加要素設定に関する情報を受け付け、処理部12bに出力する。
処理部12bは、入力部12aから出力された送風システム7の風量設定に関する情報に基づき、送風装置7aに対する送風出力情報(運転動作のオンまたはオフ及び各送風機のモータ回転数に関する情報)を特定し、出力部12cに出力する。
特に、第二方向C1を周期的に変更するためには、各送風機の送風量を周期的に変化させる必要がある。そこで、処理部12bは、計時部12eから出力される時刻情報、記憶部12dから出力される周期的変化に関する情報(風量及び時間間隔)、及び計算用プログラムを用いて、送風装置7aに対する送風出力情報(周期的な各送風機のモータ回転数に関する情報)を特定し、出力部12cに出力する。
ここで、周期的とは、例えば、第一方向A1を中心として円を描くように第二方向C1を連続して変更することを示す。
また、処理部12bは、入力部12aから出力された送風システム7の付加要素設定に関する情報に基づき、機能部7bに対する運転動作情報(運転動作のオンまたはオフ等に関する情報)を特定し、出力部12cに出力する。
なお、処理部12bが実行する計算用プログラムは、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されたものを使用してもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されたものを使用してもよい。
記憶部12dは、送風装置7aの運転動作情報、機能部7bの運転動作情報、及び計算用パラメータを記憶するとともに、処理部12bから出力される現在の送風装置7aの運転動作情報、機能部7bの運転動作情報を受け付けて記憶する。記憶した各情報は、処理部12bからの要求に応じて、記憶部12dから処理部12bに出力される。
出力部12cは、処理部12bから受け付けた送風システム7(送風装置7a、機能部7b)の運転動作に関する情報を送風システム7に出力する。そして、送風システム7は、出力部12cから出力された運転動作に関する情報に応じて動作を実行する。具体的には、送風システム7は、送風装置7aにおける各送風機(第一送風機7a1、第二送風機7a2、第三送風機7a3)の送風動作と、機能部7bの付加動作とを実行する。
(第二制御例)
第二制御例は、人感センサ14にて検出した人(利用者)に対応させて第二方向C1を変更する例である。
入力部12aは、操作パネル4aからの送風システム7の電源のオンまたはオフ、風量設定(各送風機の送風量の設定)、及び付加要素設定に関する情報を受け付けるとともに、人感センサ14からの人の検知情報を受け付け、処理部12bに出力する。
処理部12bは、人感センサ14からの人の検知情報に基づき、気流環境システム1における人(利用者)の居る位置に対応させた第二方向C1に関する情報を特定する。そして、処理部12bは、入力部12aから出力された送風システム7の風量設定に関する情報と第二方向C1に関する情報に基づき、送風装置7aに対する送風出力情報(運転動作のオンまたはオフ及び各送風機のモータ回転数に関する情報)を特定し、出力部12cに出力する。
ここで、第二方向C1に関する情報は、例えば、第一方向A1を基準として利用者の居る方向と同じ側に第二方向C1を傾斜させる情報あるいは第一方向A1を基準として利用者の居る方向と反対側に第二方向C1を傾斜させる情報である。
また、処理部12bは、入力部12aから出力された送風システム7の付加要素設定に関する情報に基づき、機能部7bに対する運転動作情報(運転動作のオンまたはオフ等に関する情報)を特定し、出力部12cに出力する。
なお、処理部12bが実行する計算用プログラムは、第一制御例と同様である。
記憶部12dは、送風装置7aの運転動作情報、機能部7bの運転動作情報、及び計算用パラメータを記憶するとともに、処理部12bから出力される現在の送風装置7aの運転動作情報、機能部7bの運転動作情報を受け付けて記憶する。記憶した各情報は、処理部12bからの要求に応じて、記憶部12dから処理部12bに出力される。
出力部12cは、処理部12bから受け付けた送風システム7(送風装置7a、機能部7b)の運転動作に関する情報を送風システム7に出力する。そして、送風システム7は、出力部12cから出力された運転動作に関する情報に応じて動作を実行する。具体的には、送風システム7は、送風装置7aにおける各送風機(第一送風機7a1、第二送風機7a2、第三送風機7a3)の送風動作と、機能部7bの付加動作とを実行する。
なお、送風システム7は、上述した制御例以外の方法で制御されてもよい。
続いて、図7及び図8を参照しながら、気流環境システム1によって環境空間10内に形成される空気流について詳細に説明する。図7は、送風システム7が第一状態において形成される気流を説明するための断面図である。図8は、送風システム7が第二状態において形成される気流を説明するための断面図である。
まず、第一状態における気流環境システム1の気流について説明する。反射部8は、上述した通り、放出口5と対向する面において、その中央部が窪んだ曲面8aを有している。より詳細には、反射部8は、図7に示すように、曲面8aにおいて、第一領域81と第二領域82とを有している。
第一領域81は、曲面8aの頂点を含む中心領域であり、第一方向A1に沿って流れる空気流が当たる領域である。
第二領域82は、第一領域81の周囲にある。言い換えると、曲面8aを正面から(下側から)見たときに、第二領域82は、ドーナツ状の領域である。第二領域82は、第一領域81に当たった空気流が沿うように流れて放出口5の側へ還流させる領域である。本実施の形態の反射部8では、第二領域82は、第一方向A1と直交する方向(本実施の形態では水平方向)に沿って第一領域81から離れるほど、放出口5の側へ近づくように湾曲している。
反射部8では、気流環境システム1(送風システム7)の動作時には、反射部8の曲面8aの第一領域81に対して放出口5から放出された空気流(第一方向A1に沿って流れる空気流)が当たる。そして、曲面8aの第一領域81に当たった空気流は、曲面8aの第二領域82に沿って反射方向A2へ反射して流れる。さらに、反射方向A2に流れる空気流は、放出口5の側(還流方向A3)へ還流する。
そして、気流環境システム1によって一連の空気流の流れが形成されると、環境空間10には、第一流路P1と第二流路P2とが形成される。第一流路P1は、放出口5から放出された空気流が反射部8に向かって流れる流路であり、第二流路P2は、反射部8に当たった空気流が放出口5の側へ還流する流路である。
すなわち、放出口5から放出された空気流は、第一流路P1を通じて反射部8の第一領域81に向かって流れる。そして、第二流路P2を通じて放出口5の側(鉛直下向き)へ還流する。第一方向A1に沿って(例えば、上方から)見た時に、第二流路P2は、第一流路P1を囲むように形成されることになる。
また、放出口5と反射部8とは、第一方向A1において、空隙の中空部13を介して互いに離間している。そして、放出口5から放出される空気流(往きの空気流)及び放出口5の側へ還流する空気流(帰りの空気流)は、中空部13を流れることになる。言い換えると、放出口5から反射部8までの間には、第一流路P1と第二流路P2とを互いに隔離する障害物(壁等)が存在しない。そのため、環境空間10内に居る人(利用者)に開放感を与える可能性を高めることができる。
次に、第二状態における気流環境システム1の気流について説明する。
第二状態では、第一状態と異なり、第一方向A1を基準として傾斜した第二方向C1に気流が放出される。このため、第二状態では、第二方向C1に沿って流れる空気流は、反射部8の曲面8aにおける第一領域81aに当たる。つまり、放出口5から放出される空気流が反射部8において当たる位置が、反射部8の中央領域から外周領域側に移動する。そして、第二領域82aは、第一領域81aの周囲に形成される。また、第二領域82aは、第一領域81aに当たった空気流が沿うように流れて放出口5の側へ還流させる領域でもある。
反射部8では、気流環境システム1(送風システム7)の動作時には、反射部8の曲面8aの第一領域81aに対して放出口5から放出された空気流(第二方向C1に沿って流れる空気流)が当たる。そして、曲面8aの第一領域81aに当たった空気流は、曲面8aの第二領域82aに沿って反射方向C2(第一反射方向C2a、第二反射方向C2b)へ反射して流れる。さらに、反射方向C2に流れる空気流は、放出口5の側(還流方向C3)へそれぞれ還流する。具体的には、第一反射方向C2aに流れる空気流は、第一還流方向C3aへ還流するとともに、第二反射方向C2bに流れる空気流は、第二還流方向C3bへ還流する。
ここで、第一還流方向C3aへ還流する空気流は、放出口5から放出された空気流(第二方向C1に沿って流れる空気流)と距離的に近い環境空間10を流れるので、放出口5から放出された空気流側に引き寄せられる。このため、第一還流方向C3aへ還流する空気流は、第二流路P2aを通じて放出口5の側に還流する。
一方、第二還流方向C3bへ還流する空気流は、放出口5から放出された空気流(第二方向C1に沿って流れる空気流)と距離的に離れた環境空間10を流れるので、放出口5から放出された空気流側に引き寄せられることなく、第二流路P2bを通じて放出口5の側に還流する。
また、第二反射方向C2bと第一反射方向C2aとでは、第二領域82aにおける流路長が異なる。第二反射方向C2bの流路長が第一反射方向C2aの流路長よりも長い。このため、第二反射方向C2bに流れる空気流は、第一反射方向C2aに流れる空気流よりも、第二領域82aを通過する過程でより減衰される。この結果、第二還流方向C3bへ還流する空気流は、第一還流方向C3aへ還流する空気流よりも還流する空気流の速度が遅くなっている。つまり、放出口5から放出される空気流が反射部8において当たる位置によって、還流する空気流に対して速度の強弱を調整することができる。
図8に示す気流の第二状態における気流環境システム1では、利用者が筐体4の台座に着座した状態において、第一還流方向C3aは、例えば、利用者の頭部に向けて空気流を流す方向となる。つまり、放出口5から放出された空気流が第二流路P2aを通じて放出口5の側へ還流する際に、還流する空気流が利用者の頭部に向けて送風される。これにより、利用者に空気流が直接当たるので、利用者が空気流(冷風または温風)を効果的に感じることができる。
一方、図8に示す気流の第二状態における気流環境システム1では、利用者が筐体4の台座に着座した状態において、第二還流方向C3bは、例えば、利用者の足元に向けて空気流を流す方向となる。つまり、放出口5から放出された空気流が第二流路P2bを通じて放出口5の側へ還流する際に、還流する空気流が利用者の足元に向けて送風される。これにより、利用者に直接当たる空気流の量を減少させることができるので、利用者が空気流によるドラフト感を低減させることができる。
そして、本実施の形態に係る気流環境システム1では、第二方向C1に調整して空気流を放出することにより、気流を感じる領域と、気流によるドラフト感を低減させる領域とに分けることが可能になる。これにより、利用者にとって適した空気流を送風することができ、利用者に不快感を与える可能性を低減できる。
以上、本実施の形態1に係る気流環境システム1によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)気流環境システム1では、送風装置7aを構成する送風機群(第一送風機7a1、第二送風機7a2、第三送風機7a3)のそれぞれから発生する空気流の送風量を制御して、放出口5から空気流が放出される際の第一方向A1(鉛直方向上向き)を、第一方向A1とは異なる第二方向C1(鉛直方向に対して傾斜させた方向)に切り替え可能に構成した。こうした構成によれば、送風機群のそれぞれから発生する空気流の風量制御によって、放出口5から特定の方向に放出される空気流を、第一方向A1に吹き出す状態(第一状態)と第二方向C1に吹き出す状態(第二状態)とに自動的に切り替えることができる。これにより、放出口5から放出される空気流が反射部8において当たる位置が変わるので、これに連動して空気流が環境空間10に向かって還流する際の気流方向が変更される。このため、従来の気流環境システムのように利用者が反射部8を異なる形状のものに交換する作業なしに、利用者に向けて送風する気流によるドラフト感(不快感)を低減させることができる。
(2)気流環境システム1では、環境空間10に、放出口5から放出された空気流が反射部8に向かって流れる第一流路P1と、反射部8によって還流する空気流が流れる第二流路P2とが形成され、第一方向A1または第二方向C1に沿って見た時に、第二流路P2は、第一流路P1を囲むように形成されている。これにより、第一流路P1の側に近づく利用者にとっては、第二流路P2を通じて還流する空気流の層に触れる可能性が高くなる。よって、利用者の気流に対する体感性が向上する。特に、第二流路P2を通じて還流する空気流の速度は、反射部8にて減衰されて、放出口5から放出された空気流の速度よりも小さくなり得る。したがって、逆に、放出口5から放出された空気流が第二流路P2を通って反射部8に向かい、第一流路P1を通って放出口5の側へ還流する場合に比べて、第一流路P1の側に近づく利用者に不快感を与える可能性を低減できる。
(3)気流環境システム1では、第二制御例で示したように、人感センサ14からの人(利用者)の検知情報に基づいて第二方向C1を特定し、放出口5から放出される空気流が反射部8において当たる位置を変更するように制御した。これにより、人感センサ14において検出された人(利用者)に対して、反射部8から放出される空気流の強弱を作り、利用者が長時間空気流を浴びる際の負荷を低減することができる。例えば、日本の夏場において、放出口5から放出された空気流を、人感センサ14が検知した人(利用者)の方向に吹き出す場合には、利用者が居る場所に向けた空気流が強くなり、利用者に涼しく感じさせことができる。反対に、放出口5から放出された空気流を、人感センサ14が検知した人(利用者)の反対方向に吹き出す場合には、利用者が居る場所に向けた空気流が弱くなり、利用者が寒くなりすぎないようにすることができる。
(4)気流環境システム1では、第一還流方向C3aを、還流する空気流を台座に着座する利用者の頭部に向けて流す方向とし、第二還流方向C3bを、還流する空気流を、台座に着座する利用者の足元に向けて流す方向とした。これにより、台座に着座する利用者が第一還流方向C3aに還流させる空気流を不快と感じる場合には、送風システム7によって第二還流方向C3bに還流させる空気流に切り替えるだけで、利用者に直接当たる空気流の量を減少させることができる。このため、利用者が感じる空気流によるドラフト感を確実に低減させることができる。
(5)気流環境システム1では、第一制御例で示したように、放出口5から空気流が放出される際の第二方向C1を、周期的に変更するように制御した。これにより、利用者が居る場所に向けた空気流に周期的な強弱を作り、利用者が長時間空気流を浴びる際の負荷を低減することができる。
(6)気流環境システム1では、放出口5と反射部8とを、第一方向A1及び第二方向C1において、空隙の中空部13を介して互いに離間し、放出口5から放出される空気流によって還流する空気流が中空部13を流れるようにした。これにより、第一方向A1及び第二方向C1に沿って流れる空気流と放出口5の側へ還流する空気流とを互いに隔離する障害物が存在しなくなる。よって環境空間10にいる利用者に開放感を与える可能性を高めることができる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
本実施の形態1に係る気流環境システム1では、送風装置7aを3台の送風機によって構成したが、これに限られない。例えば、2台あるいは4台以上の送風機を用いて構成してもよい。
また、本実施の形態1に係る気流環境システム1では、放出口5から放出された空気流が第二流路P2(第二流路P2b)を通じて放出口5の側へ還流する際に、その空気流の一部が、吸気口6(図1参照)から吸い込まれて、全体として循環し得る構成となっている。そのため、機能部7bにおける付加要素に関する使用量の削減等が期待できる。
また、本実施の形態1に係る気流環境システム1では、放出口5から放出された空気流が第二流路P2を通じて放出口5の側へ還流する際に、その空気流が、エアカーテンとして機能し得るものである。特に、その還流する空気流は、エアカーテンより内側の空間内の空気流に混入しにくい形態で放出され得る。結果として、放出口5から放出された空気流に含まれる機能部7bによる付加要素が、エアカーテンによって閉じ込められることになる。したがって、付加要素が、エアカーテンの外側に漏れ出すことが抑制されることが期待できる。要するに、エアカーテンより内側の空間が付加要素で満たされている状況を持続させやすくなる。