JP2021148031A - 渦流ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】自吸式の渦流ポンプにおいて、自吸時間を短縮することを目的とする。【解決手段】インペラ7と、前記インペラ7を回転自在に収容し、前記インペラ7の回転によって吸い込まれた液体を吐出する吐出口5が形成されたポンプケーシング3とを備え、前記ポンプケーシング3は、前記インペラ7が収容される渦室11であって、前記吐出口5よりも下方に設置された渦室11と、前記渦室11から前記吐出口5まで液体を案内するとともに、液体内の気泡25を取り除くための気液分離室14とを備え、前記気液分離室14を形成し、前記吐出口5と連接する天井面23は、前記吐出口5を頂点とする傾斜を備えている構成にしたことにより、気液分離室14内の液体の流れを吐出口5方向に誘導することで、高効率に液体中に含まれる気泡25を吐出口5から排出させることができる渦流ポンプ1が得られる。【選択図】図2

Description

本発明は、気液分離室の形状、自吸式の渦流ポンプに関するものである。
自吸式の渦流ポンプ101においては、外周部に複数の羽根102を有するインペラ103がポンプケーシング104内に回転自在に収容されている。ポンプケーシング104には、液体を吸い込む吸込口105及び液体を吐出す吐出口106が形成されており、ポンプケーシング104内を液体で充満させた状態でモータ107によりインペラ103を回転駆動させることにより、吸込口105から吸い込んだ液体を吐出口106から吐出している。ポンプケーシング104内に液体を充満させた状態になるまでは、正常な吸い込みが行われないため、渦流ポンプの起動からこの状態になるまでの時間(自吸時間)を短縮化することが望まれている(特許文献1参照)。
特開2014−190292号公報
このような従来の自吸式の渦流ポンプにおいては、従来の自吸式の渦流ポンプは気液分離室内で水などの液体と空気などの気体を分離することで、配管内の空気を排出し、井戸などの深い位置にある水を吸い上げている。自吸式の渦流ポンプの性能を向上させるためには、気体分離室内での液体の流れを制御し、この液体をくみ上げるまでの要する自吸時間を短縮することが課題である。
図5に示すように、従来の渦流ポンプ101において、気液分離室流入口112から気液分離室108に流入した液体の流れは、直接気液分離室108上部の天井面113に垂直に衝突する。そのため、気液分離室108内に流れ込んだ液体の流れに乱れが生じる。その結果、液体に含まれる気体(気泡)を吐出口106より排出する効率が低く、自吸時間が長くなる。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、気液分離室内における液体の流れを制御することで、円滑に気体を気液分離室外に排出し、自吸時間を短縮する渦流ポンプを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明は、インペラと、前記インペラを回転自在に収容し、前記インペラの回転によって吸い込まれた液体を吐出する吐出口が形成されたポンプケーシングとを備え、前記ポンプケーシングは、前記インペラが収容される渦室であって、前記吐出口よりも下方に設置された渦室と、前記渦室から前記吐出口まで液体を案内するとともに、液体内の気泡を取り除くための気液分離室とを備え、前記気液分離室を形成し、前記吐出口と連接する天井面は、前記吐出口を頂点とする傾斜を備えていることにより、所期の目的を達成するものである。
本発明によれば、前記天井面の傾斜を備える構成にしたことにより、気液分離室に導入された気体を含む液体は、沿って吐出口方向に誘導され、気体をより速やかに吐出口から排出されるので、自吸時間を短縮するという効果を得ることができる。
同渦流ポンプの分解斜視図 本発明の実施の形態1の渦流ポンプを示す側判断面の概略図 本発明の実施の形態2の渦流ポンプを示す側判断面の概略図 本発明の実施の形態3の渦流ポンプを示す側判断面の概略図 従来の渦流ポンプを示す概略図
本発明の一態様に係る渦流ポンプは、インペラと、インペラを回転自在に収容し、インペラの回転によって吸い込まれた液体を吐出する吐出口が形成されたポンプケーシングと、を備え、ポンプケーシングは、インペラが収容される渦室であって、吐出口よりも下方に設置された渦室と、渦室から吐出口まで液体を案内するとともに、液体内の気泡を取り除くための気液分離室と、を備え、気液分離室を形成し、吐出口と連接する天井面は、吐出口を頂点とする傾斜を備えている。
この構成によれば、気液分離室の天井面が備える傾斜により、気液分離室に誘導された、気泡を含む液体が吐出口のある上部に送られるので、気液分離室に誘導された気泡が自身の浮力を受け傾斜に沿いながら吐出口へ向かい、気液分離室より排出され、それにより、ポンプの自吸時間を短縮するという効果を奏する。
また、前記天井面に備えた傾斜角は、当該天井面の周縁部から前記吐出口に向け、連続的に変化するという構成にしてもよい。これにより、吐出流路を流れる流れは、曲面に沿いながら滑らかに流れるので、自吸時間を短縮する効果をさらに高めることができる。
また、前記天井面に備えた傾斜は、当該天井面の周縁部から前記吐出口に向け、連続的に上方に向かう構成にしてもよい。これにより、吐出流路を流れる流れは、異なる各々の傾斜に沿って、角度を変えながら流れることで、自吸時間を短縮する効果をさらに高めることができる。
また、前記気液分離室における前記渦室側の領域には、当該領域を前記インペラの回転方向の上流側流路と下流側流路(吐出流路)に分ける壁部を設ける構成にしてもよい。これにより、渦室において加圧された液体は、下流側流路へ突入し、気液分離室を経て上流側流路から再度渦室へ戻るという作用を有することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、渦流ポンプ1はモータ2とポンプケーシング3備えている。ポンプケーシング3は吸込口4および吐出口5を備えており、それぞれに図示しない配管が取り付けられる。モータ2は回転軸6を備えている。回転軸6の一端の突出部分にインペラ7が固定される。インペラ7はポンプケーシング3に内包されるように配置される。
インペラ7が固定されている回転軸6の一端とは反対側において、回転軸6の他端の突出部分に冷却ファン8を備えている。ファンカバー9は、モータ2に固定され、冷却ファン8を覆う。
モータ2頂部に端子カバー10を備えている。端子カバー10はモータ2に固定されている。
また、渦室11は開放されており、インペラ7が渦室11内に収容されると、インペラ7の一方の主面が露出した状態となる。このため、図1に示すように、ポンプケーシング3には、インペラ7を覆うようにカバー12が取り付けられている。
ポンプケーシング3の内部には、インペラ7を回転自在に収納する渦室11と、吸込口4から吸い込まれた液体を渦室11まで案内する吸込流路13と、渦室11から吐出口5まで液体を案内する気液分離室14とが形成されている。
渦室11は、ポンプケーシング3における下部に形成されており、これにより吸込口4、吐出口5及び注入口16よりも下方に配置されている。渦室11には、インペラ7の外周部に対応する部分に円弧状に形成された渦室流路15が形成されている。渦室流路15は、吸込み側を一端側、吐出側を他端側とし、インペラ7の外周を略一周して形成される。
吸込流路13は、ポンプケーシング3の内部で上下方向に延在する流路であり、その上端部が吸込口4に連通し、下端部が渦室流路15の一端部に連通している。
図2に示すように、インペラ7は、回転することにより、液体にエネルギーを与えるための羽根17を有する回転体である。また、インペラ7の回転軸6は、図示しないモータ2が連結されている。インペラ7は、モータ2を駆動源として回転するようになっている。インペラ7が回転することによって、当該インペラ7の複数の羽根17で渦室11内の液体を気液分離室14に吐出する。
また、図2に示すように、気液分離室14は、渦室11の上方に配置されており、上底が下底よりも広い略台形状の断面形状を有している。気液分離室14の下部は、渦室流路15の他端部に連通している。この気液分離室14の下部領域には、当該領域に直面するインペラ7の回転方向(図2における矢印Y1参照)の上流側・下流側で、この領域を2つに分ける壁部18が設けられている。この壁部18は、気液分離室14内に2つの流路を形成している。本実施の形態では、吸込流路13に近い側が回転方向の下流側となり、吸込流路13に対して遠い側が回転方向の上流側となる。壁部18は、板状の壁体であり、気液分離室14内において、上下方向に沿うように配置されている。このため、2つの流路も上下方向に沿う経路を形成している。渦室11と気液分離室14は、壁部18の下流側の気液分離室流入口19と、壁部18の上流側の渦室戻り口20によって連通している。
また、気液分離室14は気液分離室流入口19側の面として第一側面21および、第二側面22によって構成されている。
また、気液分離室14の上部は、自吸時に必要な呼び水が注がれる注入口16および吐出口5に連接する面として天井面23を備えている。注入口16には、着脱自在の栓24が取り付けられるようになっている。そして、注入口16は、気液分離室14の天井面23であって吸込口4に近い側の端部に配置されており、吐出口5は、天井面23であって吸込口から遠い側の端部に配置されている。
次に、渦流ポンプ1の動作について図2に基づいて説明する。
まず、作業者は、注入口16から呼び水(液体)を注いで、渦室11および気液分離室14を液体で満たし、注入口16に栓24をする。
次いで、作業者は、モータ2を駆動し、インペラ7を回転させると、吸込流路13を介して吸込口4から配管内空気の吸込みが発生する。
吸込口4から吸い込まれた液体および気体は、吸込流路13を介して渦室11の渦室流路15に流れ込む(矢印Y2)。渦室流路15ではインペラ7の回転と液体の循環により、配管内の気体は液体と混合されて気泡25となる。渦室流路15内の気泡25を含む液体は、インペラ7の回転によって、気液分離室流入口19に案内され、気液分離室14に放出される(矢印Y3)。気液分離室14において液体中に含まれていた気泡25の一部が流れから分離され、分離した気泡25は浮力により吐出口5より排出される。残る液体は気液分離室14内を循環する流れや、渦室戻り口20を通じて渦室11に戻る流れを生じる。この気泡25を排出する作用の連続により配管内の真空度が高まり、配管内の水位を引き上げる(自吸)。
そして、吸込流路13を介して吸込口4から液体が渦室11へと流れ込み、気液分離室14内を液体によって満たされると、吐出口5から液体が吐出され通常運転に切り替わる。渦流ポンプ1の駆動開始から渦流ポンプ1設置位置まで液体を吸い上げる時間が自吸時間である。
次に、本実施の形態における特徴的な部分について図2に基づいて説明する。
本実施の形態の渦流ポンプ1は、気液分離室14の天井面23に吐出口5を頂部とする傾斜を備えている。すなわち、渦流ポンプ1の設置状態において、天井面23は、吐出口5の縁部分が最も鉛直方向上部に位置している。逆に、天井面23では、第二側面22側が最も鉛直方向下方に位置している。
このような構成により、気液分離室流入口19から気液分離室14に流入した液体の流れ(矢印Y3)は、第一側面21と第二側面22に沿いながら気液分離室14内を流れる。そして、気液分離室14の天井面23が水平面に対して傾斜を備えているため、上方に向かう液体の流れ(矢印Y3)は、天井面23に垂直に衝突することなく吐出口5方向への流れを形成する(矢印Y4)。そのため、気液分離室14内の液体の流れが乱れず、流れに含まれる気泡25は吐出口5付近まで流れに沿って運ばれる。その結果、気泡25は吐出口5より排出される(矢印Y5)効率が高まり、自吸時間が短縮される。
本実施の形態の実施例、比較例として、天井面23と水平面の成す角(傾斜角)を変えて自吸時間を測定した結果を示す。下記の例では、吐出口5の位置を変えず、天井面23と第二側面22との接続位置を下方にすることによって、天井面23の傾斜を設けることにした。
傾斜の一例として、吐出口5から天井面23、第二側面22へと至る傾斜における傾斜角を0度(比較例)、2.6度(実施例1)、12.8度(実施例2)として、自吸時間を測定したところ、実施例において自吸時間の短縮が確認された。結果としては、比較例の0度の傾斜角度を備えた渦流ポンプの自吸時間と比べて、実施例1の2.6度の場合では4%の短縮となった。また、実施例2の12.8度の傾斜を備えた渦流ポンプでは、自吸時間は比較例に比べて16%短縮された。
なお、上記のように、吐出口5の位置を変えずに天井面23の傾斜角をさらに大きくすると、気液分離室14自体が小さくなり、自吸作用に負の影響を与えることになる。一方、天井面23と第二側面22との接続点を固定して天井面23の傾斜を大きくすることも可能である。しかし、この場合だと、ポンプケーシング3が上側に突出するように大きくなるので、好ましくない。
また、天井面23に備える傾斜は、第二側面22から吐出口5へ向かう方向に限らず、図2に向かって鉛直方向にも備えてもよい。
(実施の形態2)
本発明の第2の実施の形態について、図3を用いて説明する。図3において、実施の形態1同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図3に示すように、気液分離室14の天井面23に備えた傾斜は、当該天井面23の周縁部から吐出口5に向け、連続的に上方に向かうように構成している。本実施の形態では、気液分離室14の天井面23は、2つの傾斜角を有した壁面で構成されている。すなわち、天井面23は、気液分離室14の第二側面22に近い天井面A26と、吐出口5に近い天井面B27で構成されており、天井面A26に比べて天井面B27の傾斜角が小さくなっている。
このように、本実施の形態では、気液分離室14の天井面A26及び天井面B27は、水平面に対してそれぞれ傾斜を備えている。そのため、気液分離室流入口19から気液分離室14に流入した液体の流れY6は、第一側面21と第二側面22に沿いながら気液分離室14に流入する。そして、液体の流れY6は、液体が流入する角度となす角が小さい天井面A26を経ることで流れの向きを吐出口5の方向へ修正した後に、なす角がより大きい天井面B27に至る。そのため、気液分離室14内の液体の流れが乱れず、液体に含まれる気泡25は吐出口5付近まで流れに沿って運ばれる。その結果、気泡25は吐出口5より排出する効率がさらに高まり、自吸時間を短縮することができる。
なお、本実施の形態では、天井面23を2つの壁面で構成したが、天井面23の周縁部から吐出口5に向け、連続的に上方に向かうような壁面であれば、2つに限定されるものではなく、3つ以上の壁面を組み合わせて構成してもよい。このとき、天井面23と水平面との成す角(傾斜角)は、吐出口5に近づくほど小さくなるようにするとよい。
なお、第1の実施の形態同様、天井面23に備える傾斜は、第二側面22から吐出口5へ向かう方向に限らず、図3に向かって鉛直方向にも備えてもよい。
(実施の形態3)
本発明の第3の実施の形態について、図4を用いて説明する。図4において、実施の形態1同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、気液分離室14の天井面23に備えた傾斜角(天井面23と水平面との成す角)は、当該天井面23の周縁部から吐出口5に向け、連続的に変化するように構成している。すなわち、気液分離室14の天井面C28は、吐出口5と第二側面22を曲面で接続している。この天井面23は、気液分離室14側から見て凹面となるような局面となっている。そして、天井面C28の傾斜は、第二側面22から吐出口5の縁に向けて鉛直方向の高さが高くなるように形成する。
このように、本実施の形態では、気液分離室流入口19から気液分離室14に流入した液体の流れY7は、第一側面21と第二側面22に沿いながら気液分離室14に流入し連接する天井面C28に達する。天井面C28は吐出口5と円滑に接続しているため、気液分離室流入口19から吐出口5までの一連の流れを円滑に形成する(矢印Y7)。そのため、気液分離室14内の液体の流れが乱れず、液体に含まれる気泡25は吐出口5付近まで流れに沿って運ばれる。その結果、気泡25は吐出口5より排出する効率がさらに高まり、従来の渦流ポンプ1と比較して自吸時間をさらに短縮することができる。
なお、第1の実施の形態同様、天井面23に備える傾斜は、第二側面22から吐出口5へ向かう方向に限らず、図4に向かって鉛直方向にも備えてもよい。
以上、本発明に係る渦流ポンプについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
本発明に係る自吸式の渦流ポンプは、従来のポンプと比較して自吸時間を短縮することができるため、渦流ポンプとして有用である。
1 渦流ポンプ
2 モータ
3 ポンプケーシング
4 吸込口
5 吐出口
6 回転軸
7 インペラ
8 冷却ファン
9 ファンカバー
10 端子カバー
11 渦室
12 カバー
13 吸込流路
14 気液分離室
15 渦室流路
16 注入口
17 羽根
18 壁部
19 気液分離室流入口
20 渦室戻り口
21 第一側面
22 第二側面
23 天井面
24 栓
25 気泡
26 天井面A
27 天井面B
28 天井面C
101 渦流ポンプ
102 羽根
103 インペラ
104 ポンプケーシング
105 吸込口
106 吐出口
107 モータ
108 気液分離室

Claims (4)

  1. インペラと、前記インペラを回転自在に収容し、前記インペラの回転によって吸い込まれた液体を吐出する吐出口が形成されたポンプケーシングと、を備え、
    前記ポンプケーシングは、
    前記インペラが収容される渦室であって、前記吐出口よりも下方に設置された渦室と、
    前記渦室から前記吐出口まで液体を案内するとともに、液体内の気泡を取り除くための気液分離室と、を備え、
    前記気液分離室を形成し、前記吐出口と連接する天井面は、前記吐出口を頂点とする傾斜を備えている渦流ポンプ。
  2. 前記気液分離室における前記渦室側の領域には、当該領域を前記インペラの回転方向の上流側流路と下流側流路に分ける壁部が設けられた請求項1記載の渦流ポンプ。
  3. 前記天井面に備えた傾斜は、当該天井面の周縁部から前記吐出口に向け、連続的に上方に向かうように設けた請求項1または2記載の渦流ポンプ。
  4. 前記天井面に備えた傾斜角は、当該天井面の周縁部から前記吐出口に向け、連続的に変化する請求項3記載の渦流ポンプ。
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