JP2021147577A - 共重合体及びその用途 - Google Patents

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英樹 和佐
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太 藤村
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Norimasa Kigoshi
宣正 木越
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真実 中島
春佳 齋藤
Haruka Saito
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Abstract

【課題】耐熱性および透明性に優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化を抑制することができる共重合体を提供する。
【解決手段】本発明の共重合体は、(A)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン由来の構造単位と、(B)下記一般式(b1)で表わされる環状オレフィン由来の構造単位と、を含む。
Figure 2021147577

【選択図】なし

Description

本発明は、共重合体およびその用途に関する。
一般にポリオレフィンは、機械的特性などに優れているため、各種成形体用など種々の分野に用いられているが、近年ポリオレフィンに対する物性の要求が多様化しており、様々な性状のポリオレフィンが望まれている。α−オレフィンと特定の環状オレフィンの共重合体は光学特性、機械特性、熱特性に優れ、例えば、フィルム、光学レンズ、光学ファイバーの材料として需要がある。
特許文献1〜4には、α−オレフィンと、環状オレフィンとからなる共重合体が記載されている。特許文献4には、環状オレフィンとして、所定の構造を有する化合物が例示されている。
特開2004−331965号公報 特開2004−331966号公報 特開2010−241932号公報 特開2008−239960号公報
しかしながら、特許文献1〜4に記載の従来の技術においては、得られる共重合体を含む硬化物は、耐熱性、透明性および経時的な屈折率の変化に改善の余地があった。
なお、特許文献4には、α−オレフィンと、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン(以下、TCUとも記載する)とを共重合させた具体的な実施例は開示されていない。
本発明者らは、モノマー成分を検討し、α−オレフィンと、所定の構造を有する環状オレフィンとを共重合させて得られる共重合体であれば、耐熱性および透明性に優れ、かつ経時的な屈折率の変化が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下に示すことができる。
[1] (A)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン由来の構造単位と、(B)下記一般式(b1)
Figure 2021147577
(一般式(b1)中、mは0または1以上の整数であり、p、qは各々独立して1以上の整数であり、R〜R16は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R13〜 R16は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR13とR14とで、またはR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
で表わされる環状オレフィン由来の構造単位と、
を含む共重合体。
[2] 構造単位(A)と、構造単位(B)との合計量を100モル%とした場合において、構造単位(A)50〜99モル%と、構造単位(B)1〜50モル%と、
を含む、[1]に記載の共重合体。
[3] 構造単位(A)を構成する前記α-オレフィンがエチレンであり、構造単位(B)を構成する前記環状オレフィンがトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エンである、[1]または[2]に記載の共重合体。
[4]さらに、(D)下記一般式(d1)で表される環状オレフィン由来の構造単位、下記一般式(d2)で表される環状オレフィン由来の構造単位、および下記一般式(d3)で表される環状オレフィン由来の構造単位、下記一般式(d4)で表される環状オレフィン由来の構造単位、および下記一般式(d5)で表される環状オレフィン由来の構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位を含む、[1]に記載の共重合体。
Figure 2021147577
(一般式(d1)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
Figure 2021147577

(一般式(d2)中、xおよびdはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、yおよびzはそれぞれ独立に0、1または2であり、R81〜R102は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R91〜R100のうち一つは結合手であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2021147577
(一般式(d3)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
Figure 2021147577
(一般式(d4)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18〜R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
Figure 2021147577
(一般式(d5)中、qは1、2または3であり、R32〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
[5] 構造単位(A)と、構造単位(B)と、構造単位(D)との合計量を100モル%とした場合において、構造単位(A)40〜80モル%と、構造単位(B)1〜50モル%と、構造単位(D)1〜50モル%と、を含む、請求項4に記載の共重合体。
[6] 構造単位(A)を構成する前記α-オレフィンがエチレンであり、構造単位(B)を構成する前記環状オレフィンがトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エンであり、構造単位(C)を構成する前記環状オレフィンが、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンである、[4]または[5]に記載の共重合体。
[7] [1]〜[6]のいずれかに記載の共重合体を含む成形体。
[8] [1]〜[6]のいずれかに記載の共重合体を含むレンズ。
[9] [8]に記載のレンズを含む光学部品。
本発明の共重合体によれば、耐熱性および透明性に優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化を抑制することができる。
本発明の共重合体を実施形態に基づき説明する。
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本実施形態の共重合体は、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン(a)由来の構造単位(A)と、下記一般式(1)で表わされる環状オレフィン(b)由来の構造単位(B)と、を含む。
以下、共重合体の構成モノマーについて説明する。
[α−オレフィン(a)]
本実施形態において、構造単位(A)を構成するα−オレフィン(a)は、炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状であり、好ましい炭素原子数は2〜20である。
α−オレフィン(a)としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、および1−エイコセンが挙げられ、少なくとも1種用いることができる。
[環状オレフィン(b)]
本実施形態において、構造単位(B)を構成する環状オレフィン(b)は、一般式(b1)で表わされる。
Figure 2021147577
一般式(b1)中、mは0または1以上の整数であり、p、qは各々独立して1以上の整数であり、R〜R16は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
mは好ましくは0または1または2であり、p、qは好ましくは各々独立して1または2である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。
より具体的には、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、上記炭素原子数1〜20のアルキル基に1個または複数のハロゲン原子が置換した基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
さらに上記一般式(b1)において、R13とR14とが、R15とR16とが、R13とR15とが、R14とR16とが、R13とR16とが、またはR14とR15とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、これらが結合している炭素原子とともに単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
Figure 2021147577
13〜R16は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR13とR14とで、またはR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。
なお、上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(b1)においてそれぞれR13(R14)またはR15(R16)が結合している炭素原子を表す。
また、R13とR14とで、またはR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
環状オレフィン(b)としては、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン(TCU)、次式で表わされる化合物等を挙げることができる。
Figure 2021147577
本実施形態に係るα−オレフィン・環状オレフィン共重合体中のα−オレフィン(a)に由来する構成単位(A)と、環状オレフィン(b)に由来する構成単位(B)との合計量を100とした場合、
α−オレフィン(a)に由来する構成単位(A)を50〜99モル%、好ましくは50〜80モル%、より好ましくは50〜65モル%、
環状オレフィン(b)に由来する構成単位(B)を1〜50モル%、好ましくは20〜50モル%、より好ましくは35〜50モル%、
とすることができる。
本実施形態において、環状オレフィン(b)に由来する構成単位(B)の含有量は、例えば、H−NMRまたは13C−NMRによって測定することができる。
α−オレフィン(a)由来の構成単位(A)と、環状オレフィン(b)由来の構成単位(B)とのモル比が上記範囲内にあると、耐熱性および透明性により優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化がより抑制された樹脂を好適に得ることができる。
[その他のモノマー]
本実施形態の共重合体は、必要に応じて、構造単位(A)、構造単位(B)とともに、さらに他の環状オレフィン(d)由来の構造単位(D)を含むことができる。
構造単位(D)を構成する環状オレフィン(d)は、下記一般式(d1)で表される化合物、下記一般式(d2)で表される化合物、および下記一般式(d3)で表される化合物、下記一般式(d4)で表される化合物、および下記一般式(d5)で表される化合物から選択される少なくとも1種である。
他の環状オレフィン(d)由来の構造単位(D)を含むことにより、透明性に優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化がより抑制され、耐熱性に優れるとともに、複屈折量が小さい樹脂を得ることができる。言い換えれば、これらの特性のバランスに優れる。
まず、一般式(d1)で表される環状オレフィンについて説明する。
Figure 2021147577
式(d1)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1である。なおwが1の場合には、wを用いて表される環は6員環となり、wが0の場合には、この環は5員環となる。
61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基である。
ここで、ハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。
また炭化水素基としては、通常、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基が挙げられる。
より具体的には、アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
ハロゲン化アルキル基としては、上記炭素原子数1〜20のアルキル基に1個または複数のハロゲン原子が置換した基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル、ナフチルなどが挙げられる。
さらに上記一般式(d1)において、R75とR76とが、R77とR78とが、R75とR77とが、R76とR78とが、R75とR78とが、またはR76とR77とがそれぞれ結合して(互いに共同して)、単環または多環の基を形成していてもよく、しかもこのようにして形成された単環または多環が二重結合を有していてもよい。ここで形成される単環または多環としては、具体的に以下のようなものが挙げられる。
Figure 2021147577
なお、上記例示において、1または2の番号を付した炭素原子は、上記一般式(d1)においてそれぞれR75(R76)またはR77(R78)が結合している炭素原子を表す。
また、R75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。このようなアルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリデン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例としては、エチリデン、プロピリデン、イソプロピリデンなどが挙げられる。
次に、一般式(d2)で表される環状オレフィンについて説明する。
Figure 2021147577
式(d2)中、xおよびdはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、yおよびzはそれぞれ独立に0、1または2である。
また、R81〜R102は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基である。
xおよびdはそれぞれ独立に0または1以上の整数、好ましくは0以上2以下の整数、より好ましくは0または1である。
91〜R100のうち一つは結合手であり、R100が結合手であることが好ましい。
x、yおよびzがすべて0であることが好ましい。
ハロゲン原子としては、上記式(d1)中のハロゲン原子と同じものを例示できる。
また脂肪族炭化水素基としては、アルキル基などが挙げられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アミル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、オクタデシルなどが挙げられる。
シクロアルキル基としては、シクロヘキシルなどが挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、アリール(aryl)基、アラルキル(aralkyl)基などが挙げられ、具体的には、フェニル、トリル、ナフチル、ベンジル、フェニルエチルなどが挙げられる。
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロホキシなどが挙げられる。
ここで、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接または炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよい。すなわち、上記二個の炭素原子がアルキレン基を介して結合している場合には、R89とR93とが、または、R90とR91とが互いに共同して、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)またはプロピレン基(−CH2CH2CH2−)の内のいずれかのアルキレン基を形成している。
さらに、y=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよい。また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
具体的には、y=z=0のとき、R95とR92とにより形成される以下のような芳香族環が挙げられる。
Figure 2021147577
ここで、lは上記一般式(d2)におけるdと同じである。
次に、一般式(d3)で表される環状オレフィンついて説明する。
Figure 2021147577
式(d3)中、R100とR101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基であり、またfは1≦f≦18である。
炭素原子数1〜5の炭化水素基としては好ましくはアルキル基、ハロゲン化アルキル基またはシクロアルキル基を挙げることができる。これらの具体例は上記式(d1)のR61〜R78の具体例から明らかであろう。
上記のような一般式(d1)、(d2)または(d3)で表される環状オレフィンとしては、具体的には、
ビシクロ-2-ヘプテン誘導体(ビシクロヘプト-2-エン誘導体)、トリシクロ-3-デセン誘導体、トリシクロ-3-ウンデセン誘導体、テトラシクロ-3-ドデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロペンタデカジエン誘導体、ペンタシクロ-3-ペンタデセン誘導体、ペンタシクロ-4-ヘキサデセン誘導体、ペンタシクロ-3-ヘキサデセン誘導体、ヘキサシクロ-4-ヘプタデセン誘導体、ヘプタシクロ-5-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-4-エイコセン誘導体、ヘプタシクロ-5-ヘンエイコセン誘導体、オクタシクロ-5-ドコセン誘導体、ノナシクロ-5-ペンタコセン誘導体、ノナシクロ-6-ヘキサコセン誘導体、シクロペンタジエン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-テトラヒドロフルオレン誘導体、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10a-ヘキサヒドロアントラセン誘導体、炭素数3〜20のシクロアルキレン誘導体などが挙げられる。
次に、一般式(d4)で表される環状オレフィンついて説明する。
Figure 2021147577
上記式(d4)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3である。mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。qは1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
18〜R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
18〜R31はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
次に、一般式(d5)で表される環状オレフィンついて説明する。
Figure 2021147577
上記式(d5)中、qは1、2または3であり、1または2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
32〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基である。
32〜R39はそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、また上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。
また、炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
これらの中でも、本実施形態に係る芳香環を有する環状オレフィンとしては、芳香環を1つ有しているものが好ましく、例えば、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネンおよびメチルフェニルノルボルネンから選択される少なくとも一種が好ましい。
また、本実施形態に係る芳香環を有する環状オレフィンとしては、例えば、下記式(d4')で示される化合物、下記式(d5')で示される化合物等も挙げられる。これらの芳香環を有する環状オレフィンは、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2021147577
Figure 2021147577
上記式(d4')および式(d5')において、mおよびnは0、1または2であり、R15〜R36はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、R25とR26、R26とR27、R27とR28、R33とR34、R34とR35、R35とR36は互いに結合して単環を形成していてもよく、該単環が二重結合を有していてもよい。
また、上記式式(d4')および式(d5')において、mは0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましく、0であることがより好ましい。R15〜R36は水素原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
また、炭素原子数1〜20の炭化水素基としては、それぞれ独立に、例えば炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数3〜15のシクロアルキル基、および芳香族炭化水素基等が挙げられる。より具体的には、アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基およびオクタデシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基等が挙げられ、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基等のアリール基またはアラルキル基等が挙げられる。これらの炭化水素基はフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい。
これらの中でも、本実施形態に係る芳香環を有する環状オレフィンとしては、芳香環を1つ有しているものが好ましく、例えば、ベンゾノルボルナジエン、インデンノルボルネンおよびメチルフェニルノルボルネンから選択される少なくとも一種が好ましい。
その他の環状オレフィン(d)に由来する構成単位(D)を含む場合、α−オレフィン(a)に由来する構成単位(A)と、環状オレフィン(b)に由来する構成単位(B)と、その他の環状オレフィン(d)に由来する構成単位(D)との合計量を100モル%とした場合において、
α−オレフィン(a)に由来する構成単位(A)を40〜80モル%、好ましくは45〜70モル%、より好ましくは50〜65モル%、
環状オレフィン(b)に由来する構成単位(B)を1〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜35モル%、
環状オレフィン(d)に由来する構成単位(D)を1〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜35モル%、
とすることができる。
本実施形態において、環状オレフィン(b)に由来する構成単位(B)および環状オレフィン(d)に由来する構成単位(D)の含有量は、例えば、H−NMRまたは13C−NMRによって測定することができる。
α−オレフィン由来の構成単位(A)と、環状オレフィン由来の構成単位(B)および(D)とのモル比が上記範囲内にあると、透明性に優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化が抑制され、耐熱性により優れるとともに、複屈折量が小さい樹脂を得ることができる。言い換えれば、これらの特性のバランスに優れた樹脂を提供することができる。
上記数値範囲内で構造単位(D)を多く含むと複屈折率量が小さい樹脂を得ることができ、構造単位(B)を多く含むと熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化がより抑制された樹脂を好適に得ることができる。
すなわち、複屈折率量の低減と経時的な屈折率変化の抑制の観点からは、構成単位(B)と構成単位(D)の含有量比(B:D)は、1:9〜9:1、好ましくは1:4〜4:1とすることができる。
<α−オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法>
本実施形態において、α−オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法では、オレフィン重合用触媒(C)の存在下に、α−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)と、必要に応じて他の環状オレフィン(d)とを共重合することにより共重合体を得ることができる。
[(C)オレフィン重合用触媒]
本実施形態において、(C)オレフィン重合用触媒は、(C1)下記一般式(c1)で表される遷移金属化合物と、(C2)化合物とからなる。
(C2)化合物は、(C2−1)有機金属化合物、(C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(C2−3)遷移金属化合物(C1)と反応してイオン対を形成する化合物、から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
((C1)遷移金属化合物)
本実施形態で用いられるオレフィン重合用触媒を構成する(C1)遷移金属化合物は、下記一般式(c1)で表される化合物である。
Figure 2021147577
上記一般式(c1)において、N...Mは、一般的にはNがMに配位していることを示すが、本実施形態においては配位していてもしていなくてもよい。
一般式(c1)中、Mは周期表第4〜5族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などである。Mとして好ましくは周期表第4族の金属原子であり、具体的にはチタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子であり、より好ましくはチタン原子である。
〜Rは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、およびスズ含有基から選ばれ互いに同一でも異なっていてもよく、これらのうちの2個以上が互いに結合して環を形成していてもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。 前記炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ベンジル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;トリル、iso−プロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどのアルキル置換アリール基などが挙げられる。
上記炭化水素基は、水素原子がハロゲンで置換されていてもよく、たとえば、モノトリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記炭化水素基は、他の炭化水素基で置換されていてもよく、例えば、ベンジル、クミルなどのアリール置換アルキル基などが挙げられる。
さらに、上記炭化水素基は、ヘテロ環式化合物残基;アルコシキ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ヒドロキシ基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などの酸素含有基;アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったものなどの窒素含有基;ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基などのホウ素含有基;メルカプト基、チオエステル基、ジチオエステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチアン酸エステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などのイオウ含有基;ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などのリン含有基、ケイ素含有基;ゲルマニウム含有基;またはスズ含有基を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、特に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基またはアルコキシ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基が1〜5個置換した置換アリール基などが好ましい。
前記ヘテロ環式化合物残基としては、ヘテロ原子を1〜5個含む環状の基が挙げられ、ヘテロ原子としては酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子およびホウ素原子などが挙げられる。環としては例えば4〜7員環の単環および多環、好ましくは5〜6員環の単環および多環が挙げられる。具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物の残基、フラン、ピランなどの含酸素化合物の残基、チオフェンなどの含イオウ化合物の残基など、およびこれらの残基に、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記酸素含有基としては、酸素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;エーテル基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;カルボキシル基;カルボナート基;ヒドロキシ基;ペルオキシ基;カルボン酸無水物基などが挙げられる。これらのうち、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、エステル基などが遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお酸素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記窒素含有基としては、窒素原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、エチルメチルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノ、ジフェニルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどのイミノ基;アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドなどのアミド基;アセトイミド、ベンズイミドなどのイミド基;ヒドラジノ基;ヒドラゾノ基;ニトロ基;ニトロソ基;シアノ基;イソシアノ基;シアン酸エステル基;アミジノ基;ジアゾ基;アミノ基がアンモニウム塩となったものなどが挙げられる。これらのうち、アミノ基、イミノ基、アミド基、イミド基、ニトロ基、シアノ基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、窒素含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記ホウ素含有基としては、ホウ素原子を1〜5個の含有する基が挙げられ、具体的には、(Et)B−、(iPr)B−、(iBu)B−、(nC11B−、C14B−(9−ボラビシクロノニル基)などのアルキル置換ホウ素;(CB−などのアリール置換ホウ素;BCl−などのハロゲン化ホウ素;(Et)BCl−、(iBu)BCl−などのアルキル置換ハロゲン化ホウ素等の基が挙げられる。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を示す。
前記イオウ含有基としては、イオウ原子を1〜5個含有する基が挙げられ、具体的には、メルカプト基;アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのチオエステル基;ジチオエステル基;メチルチオ、エチルチオなどのアルキルチオ基;フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオなどのアリールチオ基;チオアシル基;チオエーテル基;チオシアン酸エステル基;イソチアン酸エステル基;スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルなどのスルホンエステル基;フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのスルホンアミド基;チオカルボキシル基;ジチオカルボキシル基;スルホ基;スルホニル基;スルフィニル基;スルフェニル基;スルフォネート基;スルフィネート基などが挙げられる。これらのうち、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、スルホンアミド基が遷移金属化合物の合成が容易な点で好ましい。なお、イオウ含有基が炭素原子を含む場合は、炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20の範囲にあることが望ましい。
前記リン含有基としては、リン原子を1〜5の含有する基が挙げられ、具体的には、ホスフィノ基;ホスホリル基;ホスホチオイル基;ホスホノ基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、シリル基;シロキシ基、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシロキシなどの炭化水素置換シロキシ基などが挙げられる。これらのうち、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルなどの炭化水素置換シリル基が好ましい。トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルが遷移金属化合物の合成が容易な点で特に好ましい。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換したものが挙げられる。
またRの好ましい態様は芳香性(aromaticity)を示す基であり、さらに好ましくは下記一般式(c1−1)で表わされるアリール基である。
Figure 2021147577
一般式(c1−1)において、R1A〜R1Eは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基から選ばれ、互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成していてもよい。
1A〜R1Eのハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、上記R1〜R5に例示したものと同様のものが挙げられる。
これらのうちR1A〜R1Eとして好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;
またはこれらの水素原子が他のアリール基で置換されたベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチル基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンチル、ノルボニル、テトラシククロドデシル等の炭素原子数3〜50、好ましくは3〜30の環状炭化水素;
フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;
メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキシ基;
フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシなどのアリーロキシ基;ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などのアシル基;
アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル、p−クロロフェノキシカルボニルなどのエステル基;
ニトロ、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミド、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノ、アセトイミド、ベンズイミド、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノなどの窒素含有基;
メチルチオ、エチルチオ、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナルチルチオ、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニル、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニル、スルホンアミド、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドなどのイオウ含有基などが挙げられる。
1A〜R1Eは、これらの2個以上の基、好ましくは隣接する基が互いに結合して脂肪環、芳香環または、窒素原子などのヘテロ原子を含む炭化水素環を形成していてもよく、これらの環はさらに上記で列挙した置換基を有していてもよい。
一般式(c1)中、Rは、水素原子、1級または2級炭素のみからなる炭素原子数1〜4の炭化水素基、炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、アリール置換アルキル基、単環性または二環性の脂環族炭化水素基および芳香族炭化水素基から選ばれる。
前記1級または2級炭素のみからなる炭素原子数4以下の炭化水素基とは、Rの炭素原子の中でフェノキシ環に直結する炭素が1級または2級炭素である炭素原子数4以下炭化水素基のことであり、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、sec−ブチルなどの炭素原子数が1〜4、好ましくは1〜3の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピルである。
前記炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基とは、Rの炭素原子の中でフェノキシ環に直結する炭素が環構造に含まれていない炭素原子数5以上の炭化水素基のことであり、具体的には、n−ペンチル、iso−ペンチル、sec−ペンチル、tert−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられ、より好ましくはネオペンチルである。
前記アリール置換アルキル基としては、ベンジル、クミル、1−ジフェニルエチル、トリフェニルメチルなどが挙げられる。
前記単環性の脂環族炭化水素基として、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の単環性の脂環骨格を有する炭化水素基が挙げられ、より好ましくは、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチルシクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、3,5−ジメチルシクロヘキシル、4−tert−ブチルシクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデシルである。
前記二環性の脂環族炭化水素基として、具体的には、ビシクロ[1.1.0]ブチル、ビシクロ[2.1.0]ペンチル、ノルボルニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、スピロ[2.2]ペンチル、スピロ[2.3]ヘキシルなどの炭素原子数が5〜30、好ましくは5〜20の二環性の脂環骨格を有する炭化水素基などが挙げられる。
前記芳香族炭化水素基として具体的には、フェニル、ナフチル、ビフェニリル、トリフェニリル、フルオレニル、アントラニル、フェナントリルなどの炭素原子数6〜30のものが挙げられ、より好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル、アントラニルである。
前記1級または2級炭素のみからなる炭素原子数4以下の炭化水素基、前記炭素原子数5以上の脂肪族炭化水素基、前記アリール置換アルキル基、前記単環性または二環性の脂環族炭化水素基、前記芳香族炭化水素基は、その基内に存在する水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、具体的には、トリフルオロメチル、ジトリフルオロメチル、モノフルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ビストリフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
さらにRとして特に好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチルなどの芳香族炭化水素基、およびこれらの水素原子が置換された3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ビストリフルオロメチルフェニルなどである。
一般式(c1)中、nは、Mの価数を満たす数であり、具体的には0〜5、好ましくは1〜4、より好ましくは2である。
一般式(c1)中、Xは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、前記nが2以上の場合は、Xで示される複数の基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。 前記炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは炭素原子数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30のシクロアルキル基;ビニル、プロペニル、シクロヘキセニルなどのアルケニル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基;フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、ナフチル、メチルナフチル、アントリル、フェナントリルなどのアリール基などが挙げられる。またこれらの炭化水素基には、ハロゲン化炭化水素、具体的には炭素原子数1〜30の炭化水素基の少なくとも一つの水素がハロゲン置換した基も含まれる。
これらのうち、炭素原子数1〜20のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどのアルキル基;シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどのシクロアルキル基;ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリールアルキル基が好ましい。
前記酸素含有基としては、オキシ基;ペルオキシ基;ヒドロキシ基;ヒドロペルオキシ基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどのアルコシキ基;フェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナフトキシなどのアリーロキシ基;フェニルメトキシ、フェニルエトキシなどのアリールアルコキシ基;アセトキシ基;カルボニル基;アセチルアセトナト基(acac);オキソ基などが挙げられる。
前記イオウ含有基としては、メチルスルフォネート、トリフルオロメタンスルフォネート、フェニルスルフォネート、ベンジルスルフォネート、p−トルエンスルフォネート、トリメチルベンゼンスルフォネート、トリイソブチルベンゼンスルフォネート、p−クロルベンゼンスルフォネート、ペンタフルオロベンゼンスルフォネートなどのスルフォネート基;メチルスルフィネート、フェニルスルフィネート、ベンジルスルフィネート、p−トルエンスルフィネート、トリメチルベンゼンスルフィネート、ペンタフルオロベンゼンスルフィネートなどのスルフィネート基;アルキルチオ基;アリールチオ基;硫酸基;スルフィド基;ポリスルフィド基;チオラート基などが挙げられる。
前記窒素含有基としては、アミノ基;メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ジシクロヘキシルアミノなどのアルキルアミノ基;フェニルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノ、ジナフチルアミノ、メチルフェニルアミノなどのアリールアミノ基またはアルキルアリールアミノ基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(tmeda)、N,N,N',N'−テトラフェニルプロピレンジアミン(tppda)などのアルキルまたはアリールアミン基が挙げられる。
前記ホウ素含有基としては、BR4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記アルミニウム含有基としては、AlR(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基、ハロゲン原子等を示す)が挙げられる。
前記リン含有基としては、トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン基;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィンなどのトリアリールホスフィン基;メチルホスファイト、エチルホスファイト、フェニルホスファイトなどのホスファイト基(ホスフィド基);ホスホン酸基;ホスフィン酸基などが挙げられる。
前記ハロゲン含有基としては、PF、BFなどのフッ素含有基、ClO、SbClなどの塩素含有基、IOなどのヨウ素含有基が挙げられる。
前記ヘテロ環式化合物残基として具体的には、ピロール、ピリジン、ピリミジン、キノリン、トリアジンなどの含窒素化合物、フラン、ピランなどの含酸素化合物、チオフェンなどの含硫黄化合物などの残基、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基がさらに置換した基などが挙げられる。
前記ケイ素含有基として具体的には、フェニルシリル、ジフェニルシリル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリプロピルシリル、トリシクロヘキシルシリル、トリフェニルシリル、メチルジフェニルシリル、トリトリルシリル、トリナフチルシリルなどの炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテルなどの炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチルなどのケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニルなどのケイ素置換アリール基などが挙げられる。
前記ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、前記ケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムおよびスズに置換した基が挙げられる。
nが2以上の場合は、Xで示される複数の原子または基は互いに同一でも異なっていてもよく、またXで示される複数の基は互いに結合して環を形成してもよい。
Xと遷移金属原子Mとの結合様式は特に制限されないが、例えば共有結合、配位結合、イオン結合、水素結合等が挙げられる。
一般式(c1)中、mは、1〜4の整数を示し、好ましくは2である。
mが2以上の場合にはR同士、R同士、R同士、R同士、R同士、R同士は互いに同一でも異なっていてもよい。さらに、mが2以上の場合には、一つの配位子に属するR〜Rのいずれかと、別の配位子に属するR〜Rのいずれかとが連結されていてもよい。また、R1が前記一般式(c1−1)で表される構造の場合は、一つの配位子に属するR1A〜R1Eのいずれかと、別の配位子に属するR〜R(RはR1A〜R1Eを含む)のいずれかとが連結されていてもよい。すなわちその場合には、二つの配位子が連結(架橋)されることになる。
以下に、上記一般式(c1)で表される遷移金属化合物(A)の具体的な例を示すが、本実施形態で用いられる遷移金属化合物(A)はこれらに限定されるものではない。例示中のチタン原子は、ジルコニウム原子、ハフニウム原子、バナジウム原子、ニオブ原子、タンタル原子などの周期表第4〜5族の遷移金属元素に置き換えてもよい。Xの塩素原子は、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ハロゲン含有基、ヘテロ環式化合物残基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基などに置き換えてもよい。mは2を1,3,4に置き換えてもよく、それに応じて、nの数を変化したものに置き換えてもよい。
Figure 2021147577
Figure 2021147577
((C2−1)有機金属化合物)
本実施形態で必要に応じて用いられる(C2−1)有機金属化合物は特開2004−331965号公報に記載の(C2−1)有機金属化合物と同様のものが用いられる。
上記公報に記載の(C2−1)有機金属化合物のなかでは、有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
上記の(C2−1)有機金属化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
((C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物)
本実施形態で必要に応じて用いられる(C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。具体的には特開2004−331965号公報に(C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物の具体例として挙げられている化合物を本実施形態でも同様に挙げることができる。
上記の(C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
((C2−3)遷移金属化合物(C1)と反応してイオン対を形成する化合物)
本実施形態で必要に応じて用いられる、(C2−3)遷移金属化合物(C1)と反応してイオン対を形成する化合物(以下、「イオン化イオン性化合物」という。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP−5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も挙げることができる。具体的には特開2004−331965号公報に(C2−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物として挙げられている化合物を本実施形態でも同様に挙げることができる。
上記の(C2−3)イオン化イオン性化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合せて用いられる。
これらのうち、下記一般式(c2−3)で表される化合物が好ましく用いられる。
Figure 2021147577
一般式(c2−3)中、R22としては、H+、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。
23〜R26は、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
本実施形態にかかる遷移金属化合物は触媒、助触媒成分としてメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(C2−2)を用いると、オレフィン化合物に対してより良好な活性でより高い共重合性を示す。また助触媒成分としてトリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどのイオン化イオン性化合物(C2−3)を用いると良好な活性で分子量の高いオレフィン重合体が得られる。
また、本実施形態にかかるオレフィン重合用触媒(C)は、上記遷移金属化合物(C1)、(C2)(C2−1)有機金属化合物、(C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(C2−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、とともに、必要に応じて後述する担体(E)を用いることもできる。
((E)担体)
本実施形態で必要に応じて用いられる(E)担体は、無機または有機の化合物であって、顆粒状ないしは微粒子状の固体である。
このうち無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物が好ましい。
有機化合物担体としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体を挙げることができる。具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)重合体、およびそれらの変成体を例示することができる。
本実施形態にかかるオレフィン重合用触媒(C)は、上記遷移金属化合物(C1)、(C2)(C2−1)有機金属化合物、(C2−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および(C2−3)イオン化イオン性化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物、必要に応じて担体(E)と共に、必要に応じて後述する特定の有機化合物成分(F)を含むこともできる。
((F)有機化合物成分)
本実施形態において必要に応じて用いられる(F)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられる。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(C1)および成分(C2)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2)成分(C1)を担体(E)に担持した触媒成分、および成分(C2)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(3)成分(C2)を担体(E)に担持した触媒成分、および成分(C1)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(4)成分(C1)を担体(E)に担持した触媒成分、成分(C2)を担体(E)に担持した触媒成分を任意の順序で重合器に添加する方法。
(5)成分(C1)と成分(C2)を担体(E)に担持した触媒成分を重合器に添加する方法。
上記(1)〜(5)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
また、上記の成分(E)に成分(C1)および成分(C2)が担持された固体触媒成分は、オレフィンが予備重合されていてもよく、予備重合された固体触媒成分上に、さらに、触媒成分が担持されていてもよい。
共重合反応に際しては、α−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)との合計量を100モル%とした場合において、
α−オレフィン(a)を50〜99モル%、好ましくは50〜80モル%、より好ましくは50〜65モル%、
環状オレフィン(b)を1〜50モル%、好ましくは20〜50モル%、より好ましくは35〜50モル%、
となる量で反応させる。
これにより、α−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)との反応性に優れ、耐熱性および透明性により優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化がより抑制された樹脂を好適に得ることができる。
その他の環状オレフィン(d)を含む場合、α−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)と、環状オレフィン(d)との合計量を100モル%とした場合において、
α−オレフィン(a)を40〜80モル%、好ましくは45〜70モル%、より好ましくは50〜65モル%、
環状オレフィン(b)を1〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜35モル%、
その他の環状オレフィン(d)を1〜50モル%、好ましくは5〜40モル%、より好ましくは10〜35モル%、
となる量で反応させる。
これにより、α−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)と、環状オレフィン(d)との反応性に優れ、透明性により優れ、かつ熱に晒される環境下における経時的な屈折率の変化がさらに抑制され、耐熱性により優れるとともに、複屈折が小さいた樹脂を好適に得ることができる。言い換えれば、これらの特性のバランスにより優れた樹脂を得ることができる。
本実施形態では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。
以下、本実施形態におけるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体の製造方法の条件等について詳細に記載する。
(重合溶媒)
液相重合法において用いられる溶媒は、重合反応中に反応に供されない不活性溶媒が用いられ、特に不活性炭化水素溶媒が用いられる。不活性炭化水素として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物などを挙げることができる。また、反応に用いるオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
(触媒の濃度)
上記のオレフィン重合用触媒を用いて、α−オレフィンと環状オレフィンの共重合を行うに際して、成分(C1)は、重合容積1リットル当たり通常10-12〜10-2モル、好ましくは10-10〜10-3モルになるような量で用いられる。
成分(C2−1)は、成分(C2−1)と、成分(C1)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C2−1)/M〕が、通常0.01〜100,000、好ましくは0.05〜50,000となるような量で用いられる。成分(C2−2)は、成分(C2−2)中のアルミニウム原子と、成分(C1)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C2−2)/M〕が、通常10〜500,000、好ましくは20〜100,000となるような量で用いられる。成分(C2−3)は、成分(C2−3)と、成分(C1)中の遷移金属原子(M)とのモル比〔(C2−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
成分(F)は、成分(C2)が成分(C2−1)の場合には、モル比〔(F)/(C2−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で、成分(C2)が成分(C2−2)の場合には、モル比〔(F)/(C2−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で、成分(C2)が成分(C2−3)の場合には、モル比〔(F)/(C2−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で必要に応じて用いられる。
(重合温度・重合圧力)
また、本実施形態におけるα−オレフィンと環状オレフィンの共重合の重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常常圧〜9.8MPa(100kg/cm2)(ゲージ圧)、好ましくは常圧〜4.9MPa(50kg/cm2)(ゲージ圧)の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
(分子量の調節)
得られるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体の分子量は、重合系内に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。さらに、使用する成分(C2)の違いにより調節することもできる。
(α−オレフィン・環状オレフィン共重合体の分子量)
本実施形態により得られるα−オレフィン・環状オレフィン共重合体のGPCにより求めた重量平均分子量(Mw)は、1,000≦Mw≦5,000,000、好ましくは、3,000≦Mw≦3,000,000、より好ましくは5,000≦Mw≦2,000,000、さらに好ましくは5,000≦Mw≦1,000,000の範囲にある。
α−オレフィン・環状オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)が上記範囲内にあると、成形体とした場合に強度に優れ、成形加工性に優れる傾向がある。
本明細書中におけるMwは、後述するGPC測定条件で測定を行った場合の値である。
本実施形態に係るα−オレフィン・環状オレフィン共重合体の共重合タイプは特に限定されないが、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体等を挙げることができる。本実施形態においては、本発明の効果の観点から、ランダム共重合体であることが好ましい。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体において、環状オレフィン系共重合体からなる65mm×35mm×厚み3mmtの射出成形体を作製したとき、ASTM D542に準じて測定される上記射出成形シートの波長589nmにおける屈折率(nd)は好ましくは1.530以上、好ましくは1.535以上、より好ましくは1.540以上である。上記屈折率(nd)の上限は特に限定されないが、例えば、1.580以下である。
屈折率が上記範囲内であると、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体を用いて得られる成形体の光学特性を良好に保ちつつ、厚みをより薄くすることができる。
また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体において、得られる成形体の透明性をより向上させる観点から、環状オレフィン系共重合体からなる厚さ3mmの射出成形体を作製したとき、JIS K7136に準拠して測定される上記射出成形体のヘイズが好ましくは5%未満である。
また、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体において、得られる成形体の複屈折をより適した範囲に調整する観点から、環状オレフィン系共重合体からなる厚さ3mmの射出成形体を作製したとき、上記射出成形体の複屈折は、好ましくは0.1nm以上200nm以下、より好ましくは0.1nm以上100nm以下である。本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体が構成単位(A)、(B)および(D)からなる場合には、上記射出成形体の複屈折をより低減することができ、0.1nm以上50nm以下、好ましくは0.1nm以上20nm以下とすることができる。
本実施形態において、上記射出成形体の複屈折は、複屈折測定装置(フォトニックラティス社製、WPA200)を用いて、射出成形体中央の直径25mmの複屈折量を測定する。複屈折量は波長523nm、543nmおよび575nmの3波長で測定した位相差の平均値である。
本実施形態のα−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)と、環状オレフィン(d)とからなる共重合体は複屈折量がより少なく、複屈折量をより好ましくは0.1nm以上8nm以下とすることができる。
示差走査熱量計(DSC)で測定される、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、得られる成形体の透明性、ヘイズ、複屈折および屈折率等を良好に保ちつつ、耐熱性をより向上させる観点から、好ましくは95℃以上180℃以下であり、より好ましくは100℃以上170℃以下である。
本実施形態のα−オレフィン(a)と、環状オレフィン(b)と、環状オレフィン(d)とからなる共重合体は耐熱性により優れるため、ガラス転移温度(Tg)を好ましくは140℃以上160℃以下とすることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体の極限粘度[η](135℃デカリン中)は、例えば0.05〜5.0dl/gであり、好ましくは0.2〜4.0dl/gであり、さらに好ましくは0.3〜2.0dl/g、特に好ましくは0.4〜1.0dl/gである。
[環状オレフィン系共重合体組成物]
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体を含み、必要に応じて、環状オレフィン系共重合体以外のその他の成分を含んでもよい。なお、本実施形態において、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物が環状オレフィン系共重合体のみしか含まない場合も環状オレフィン系共重合体組成物と呼ぶ。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、さらに親水性安定剤を含んでいてもよい。親水性安定剤を含むと、高温高湿条件下における光学性能の劣化が抑制でき、より好ましい。
親水性安定剤は、脂肪酸と多価アルコールとの脂肪酸エステルが好ましい。脂肪酸とエーテル基を1つ以上有する多価アルコールとの脂肪酸エステルがより好ましい。
脂肪酸エステルとしては、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等を挙げることができる。
脂肪酸とエーテル基を1つ以上有する多価アルコールとの脂肪酸エステルは、脂肪酸と、エーテル基を1つ以上有する多価アルコールとのエステルである。なお、多価アルコールのエーテル基は、エステル基中のエーテル基を含まない。
エーテル基を1つ以上有する多価アルコールとしては、モノグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ソルビタン等を挙げることができる。
本実施形態において、脂肪酸エステルは、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、トリグリセリン脂肪酸エステルを含むことが好ましい。ジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンに含まれる4つのヒドロキシ基の少なくとも1つが脂肪酸とエステル化したものである。
脂肪酸としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸等のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸等のジ不飽和脂肪酸;リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、エイコサトリエン酸等のトリ不飽和脂肪酸;ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸等のテトラ不飽和脂肪酸;などを挙げることができる。
ジグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノカプリレート、ジグリセリンジカプリレート、ジグリセリンモノカプレート、ジグリセリンジカプレート、ジグリセリンモノラウレート、ジグリセリンジラウレート、ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンジミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンジパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンジステアレート、ジグリセリンモノベヘネート、ジグリセリンジベヘネート等のジグリセリン飽和脂肪酸エステル;ジグリセリンモノオレート、ジグリセリンジオレート、等のジグリセリン不飽和脂肪酸エステル;等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態において、ジグリセリン脂肪酸エステルは、ジグリセリンと、上記から選択される炭素数12〜18の飽和または不飽和脂肪酸とのエステルであることが好ましい。
なお、本実施形態の効果の観点から、ジグリセリン不飽和脂肪酸エステルを主成分として含むことが好ましく、そのうちでもジグリセリンモノオレートを主成分として含むことがより好ましい。ジグリセリン骨格が親水性を有し、脂肪酸が樹脂との相溶性を改善するため、透明性が維持されるとともに、耐湿熱性に優れる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物は、少なくとも1種のジグリセリン脂肪酸エステルを含むことができる。少なくとも1種のジグリセリン脂肪酸エステルの好ましい態様としては、モノエステル単独、またはモノエステルとジエステルとの組合せを挙げることができる。
トリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸と、トリグリセリンとのエステルである。
本実施形態に係るトリグリセリン脂肪酸エステルは、トリグリセリンに含まれる5つのヒドロキシ基の少なくとも1つが脂肪酸とエステル化したものである。
トリグリセリン脂肪酸エステルとしては、トリグリセリンモノカプリレート、トリグリセリンジカプリレート、トリグリセリントリカプリレート、トリグリセリンモノカプレート、トリグリセリンジカプレート、トリグリセリントリカプレート、トリグリセリンモノラウレート、トリグリセリンジラウレート、トリグリセリントリラウレート、トリグリセリンモノミリステート、トリグリセリンジミリステート、トリグリセリントリミリステート、トリグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンジパルミテート、トリグリセリントリパルミレート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンジステアレート、トリグリセリントリステアレート、トリグリセリンモノベヘネート、トリグリセリンジベヘネート、トリグリセリントリベヘネート等のトリグリセリン飽和脂肪酸エステル;トリグリセリンモノオレート、トリグリセリンジオレート、トリグリセリントリオレート等のトリグリセリン不飽和脂肪酸エステル;等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係るトリグリセリン脂肪酸エステルは、トリグリセリンと炭素数8以上24以下の飽和または不飽和脂肪酸とのエステルを含むことが好ましく、トリグリセリンと炭素数12以上18以下の飽和または不飽和脂肪酸とのエステルを含むことがより好ましい。
本実施形態に係るトリグリセリン脂肪酸エステルとしては、モノエステル単独、モノエステルとジエステルとの混合物またはモノエステルとジエステルとトリエステルとの混合物等を挙げることができる。
このようなトリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、特開2006−232714号公報、特開2002−275308号公報、特開平10−165152号公報等に記載の化合物を用いることができる。
本実施形態に係る親水性安定剤の市販品としては、例えば、リケマールDO−100(理研ビタミン社製)、エキセパールPE−MS(花王社製)などが挙げられる。
本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体組成物において、親水性安定剤の含有量の下限は、環状オレフィン系共重合体100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、0.4質量部以上であることがより好ましい。親水性安定剤の含有量の上限は環状オレフィン系共重合体100質量部に対して、3.0質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましく、1.2質量部以下であることがさらに好ましい。
本実施形態の共重合体組成物は、全体を100質量%としたとき、耐熱性、透明性、複屈折、屈折率の性能バランスをより向上させる観点から、共重合体を好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは70質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下含むことができる。
[成形体]
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体または環状オレフィン系共重合体組成物を含む成形体である。
本実施形態に係る成形体は、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体を含むため、耐熱性、透明性、ヘイズ、複屈折、耐薬品性および低吸湿性等のバランスに優れるとともに、さらに高い屈折率を有しつつ、熱に晒される環境下において屈折率の変化が小さい。そのため、光学レンズの用途に好適である。
成形体は、例えば、眼鏡レンズ、fθレンズ、ピックアップレンズ、撮像用レンズ、センサー用レンズ、プリズム、導光板、車載カメラレンズ等の光学レンズとして好適に用いることができ、高い屈折率を有しつつ、従来の樹脂材料よりも低いアッベ数を示すため、撮像用レンズとして特に好適に用いることができる。
撮像用レンズのユニットは、アッベ数及び屈折率の異なる複数のレンズで構成されており、一般的に、アッベ数が大きいレンズと、アッベ数が小さいレンズを複数枚組み合わせている。本実施形態に係る成形体は、高アッベ数と低アッベ数の中間領域に該当するレンズとして好適に用いることができ、レンズユニットの設計の自由度を向上しうる。
また、本実施形態に係る成形体中の環状オレフィン系共重合体の含有量は、耐熱性、透明性、ヘイズ、複屈折、アッベ数および屈折率の性能バランスをより向上させる観点から、当該成形体の全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは70質量%以上100質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上100質量%以下であり、特に好ましくは90質量%以上100質量%以下である。
本実施形態に係る成形体は、環状オレフィン系共重合体を含む樹脂組成物を所定の形状に成形することにより得ることができる。環状オレフィン系共重合体を含む樹脂組成物を成形して成形体を得る方法としては特に限定されるものではなく、公知の方法を用いることができる。その用途および形状にもよるが、例えば、押出成形、射出成形、圧縮成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、パウダースラッシュ成形、カレンダー成形、発泡成形等が適用可能である。これらの中でも、成形性、生産性の観点から射出成形法が好ましい。また、成形条件は使用目的、または成形方法により適宜選択されるが、例えば射出成形における樹脂温度は、通常150℃〜400℃、好ましくは200℃〜350℃、より好ましくは230℃〜330℃の範囲で適宜選択される。
本実施形態に係る成形体は、レンズ形状、球状、棒状、板状、円柱状、筒状、チューブ状、繊維状、フィルムまたはシート形状等の種々の形態で使用することができる。
本実施形態に係る成形体または環状オレフィン系共重合体組成物には、必要に応じて、本実施形態に係る成形体の良好な物性を損なわない範囲内で任意成分として公知の添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、フェノール系安定剤、高級脂肪酸金属塩、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、塩酸吸収剤、金属不活性化剤、帯電防止剤、防曇剤、滑剤、スリップ剤、核剤、可塑剤、難燃剤、リン系安定剤等を本発明の目的を損なわない程度に配合することができ、その配合割合は適宜量である。
本実施形態に係る光学レンズは、上記光学レンズとは異なる光学レンズと組み合わせて光学レンズ系としてもよい。
すなわち、本実施形態に係る光学レンズ系は、本実施形態に係る環状オレフィン系共重合体を含む成形体により構成された第1の光学レンズと、上記第1の光学レンズとは異なる第2の光学レンズと、備える。
上記第2の光学レンズとしては特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも一種の樹脂により構成された光学レンズを用いることができる。
本実施形態の成形体は、環状オレフィン系共重合体または環状オレフィン系共重合体組成物を含み、耐熱性、透明性、耐薬品性および低吸湿性等のバランスに優れることから各種容器などにも使用できる。容器としては、例えば、食品容器、医療容器、洗剤容器、飲料容器や調味料容器等を挙げることができる。
本実施形態のα−オレフィン(A)と、環状オレフィン(B)と、環状オレフィン(D)とからなる共重合体は耐熱性により優れるため、耐熱性、透明性が必要とされる食品容器、医療容器に好適に用いることができる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の様々な構成を採用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例においては以下の方法により物性を測定した。
[環状オレフィン系共重合体を構成する各構成単位の含有量の測定方法]
エチレン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン(TCU)、およびテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(TD)の含有量は、日本電子社製「ECA500型」核磁気共鳴装置を用い、下記条件で測定することにより行った。
溶媒:重テトラクロロエタン
サンプル濃度:50〜100g/l−solvent
パルス繰り返し時間:5.5秒
積算回数:6000〜16000回
測定温度:120℃
上記のような条件で測定した13C−NMRスペクトルにより、エチレン、TCUおよびTDの組成をそれぞれ定量した。
[ガラス転移温度Tg(℃)]
島津サイエンス社製、DSC−6220を用いてN(窒素)雰囲気下で環状オレフィン系共重合体のガラス転移温度Tgを測定した。環状オレフィン系共重合体を常温から10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した後に5分間保持し、次いで10℃/分の降温速度で−20℃まで降温した後に5分間保持した。そして10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する際の吸熱曲線から環状オレフィン系共重合体のガラス転移点(Tg)を求めた。
[極限粘度[η]]
移動粘度計(離合社製、タイプVNR053U型)を用い、環状オレフィン系共重合体の0.25〜0.30gを25mlのデカリンに溶解させたものを試料とした。ASTM J1601に準じ135℃にて環状オレフィン系共重合体の比粘度を測定し、これと濃度との比を濃度0に外挿して環状オレフィン系共重合体の極限粘度[η]を求めた。
[内部ヘイズ]
実施例および比較例で得られた成形体の内部ヘイズを、ベンジルアルコールを使用し、JIS K−7136に基づいて測定した。次いで、以下の基準で内部ヘイズをそれぞれ評価した。
〇:5%未満
×:5%以上
[複屈折量測定方法]
複屈折測定装置(フォトニックラティス社製、WPA200)を用いて、実施例および比較例で得られた成形体中央の直径25mmの複屈折量を測定した。複屈折量は波長523nm、543nmおよび575nmの3波長で測定した位相差の平均値とした。
[耐熱試験前後の屈折率]
屈折率計(島津サイエンス社製 KPR200)を用いて、ASTM D542に準じて、実施例および比較例で得られた成形体の波長589nmにおける屈折率(nD)をそれぞれ測定した。これを耐熱試験前の屈折率(nD)とした。
これらの成形体を、表1に記載の温度に設定された恒温槽内に168時間放置した後、上記と同様にして屈折率(nD)をそれぞれ測定した。これを耐熱試験後の屈折率(nD)とした。なお、加熱試験温度を一定に固定すると、共重合体のTgによって試験条件が過度な高温となる(または低温になる)。さらに、共重合体のTgは使用目的に応じて適宜設定すれば良いものであるから、加熱温度条件は各実施例で異なる条件とした。
以下の式にて耐熱試験前後の屈折率の変化を確認した。
式:ΔnD=耐熱試験後の屈折率−耐熱試験前の屈折率
実施例、比較例においては以下の原材料を用いた。
・遷移金属化合物(1)
以下の式で表される遷移金属化合物(1)は、特開2004−331965号公報に記載の方法にしたがって合成した。式中、Buはブチル基を表す。
Figure 2021147577
・錯体1:[2,4-di-tert-butyl-6-(inden-2-yl)-phenoxy]titanium dichloride
WO2006/022355号等に記載の方法にしたがって合成した。
[実施例1]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を100Nl/hrの流量で30分間流通させた後、トルエン、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン(447mmol、以下、TCUとも呼ぶ。)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を50℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、流通ガスを窒素からエチレンに切り替え、エチレンを50Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、メチルアルミノキサン(MMAO)(3mmol)、遷移金属化合物(1)を0.01mmolをガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
30分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、TCUの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液を別に用意した容積2Lのビーカーに移液し、さらに濃塩酸5mlと攪拌子を加え、強攪拌下で2時間接触させ脱灰操作を行った。この重合溶液に対して体積で約4倍のアセトンを入れたビーカーに脱灰後の重合溶液を攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を80℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・TCU共重合体1.55gが得られた。
以上により、環状オレフィン系共重合体(P−1)を得た。評価結果を表1に示す。
射出成形機(ファナック社製 ROBOSHOT α−S30iA)を用いて、シリンダー温度275℃、金型温度125℃の条件で、環状オレフィン系樹脂を射出成形し、65mm×35mm×厚み3mmtの成形体を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例2〜4]
エチレンおよびTCUの量を表1のように変えた以外は、実施例1と同様に環状オレフィン系共重合体(P−2〜P−4)を合成し、成形体を調製した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を100Nl/hrの流量で30分間流通させた後、トルエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(12mmol、以下、TDとも呼ぶ。)、トリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エン (550mmol、以下、TCUとも呼ぶ。)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を50℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、流通ガスを窒素からエチレンに切り替え、エチレンを50Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、MMAO(3.0mmol)、遷移金属化合物(1)(0.01mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
30分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、TCUの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液を別に用意した容積2Lのビーカーに移液し、さらに濃塩酸5mlと攪拌子を加え、強攪拌下で2時間接触させ脱灰操作を行った。この重合溶液に対して体積で約4倍のアセトンを入れたビーカーに脱灰後の重合溶液を攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・TD・TCU共重合体1.22gが得られた。
以上により、環状オレフィン系共重合体(P−5)を得た。評価結果を表1に示す。
実施例1と同様にして環状オレフィン系樹脂を射出成形し、65mm×35mm×厚み3mmtの成形体を作製した。評価結果を表1に示す。
[実施例6〜12]
エチレン、TCUおよびTDの量を表1のように変えた以外は、実施例5と同様に環状オレフィン系共重合体(P−6〜P−10)を合成し、成形体を調製した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
攪拌装置を備えた容積500mlのガラス製反応容器に不活性ガスとして窒素を100Nl/hrの流量で30分間流通させた後、トルエン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(13mmol、以下、TDとも呼ぶ。)を加えた。次いで回転数600rpmで重合溶媒を攪拌しながら溶媒温度を50℃に昇温した。溶媒温度が所定の温度に達した後、流通ガスを窒素からエチレンに切り替え、エチレンを50Nl/hrの供給速度で反応容器に流通させ、10分経過した後に、MMAO(0.9mmol)、遷移金属化合物(1)(0.003mmol)をガラス製反応容器に添加し、重合を開始させた。
10分間経過した後、イソブチルアルコールを5ml添加して重合を停止させ、エチレン、TDの共重合体を含む重合溶液を得た。その後、重合溶液を別に用意した容積2Lのビーカーに移液し、さらに濃塩酸5mlと攪拌子を加え、強攪拌下で2時間接触させ脱灰操作を行った。この重合溶液に対して体積で約4倍のアセトンを入れたビーカーに脱灰後の重合溶液を攪拌下加えて共重合体を析出させ、さらに析出した共重合体を濾過により濾液と分離した。得られた溶媒を含む重合体を130℃で10時間減圧乾燥を行ったところ、白色パウダー状のエチレン・TD共重合体1.19gが得られた。
以上により、環状オレフィン系共重合体(P−11)を得た。
実施例1と同様に環状オレフィン系樹脂を射出成形し、65mm×35mm×厚み3mmtの成形体を作製した。
[比較例2]
エチレンおよびTDの量を表1のように変えた以外は、比較例1と同様に環状オレフィン系共重合体(P−12)を合成し、成形体を調製した。評価結果を表1に示す。
Figure 2021147577
実施例1〜12のように、エチレンとTCUとの共重合体を含む成形体は、比較例1および2のエチレンとTDとの共重合体を含む成形体に比べ、耐熱試験後の屈折率の変化が少なく、熱に晒される環境下において経時的な屈折率の変化が抑制されていることが確認された。さらに、実施例1〜12で得られた共重合体を含む成形体は耐熱性および透明性に優れていた。
また、実施例5〜12のように、エチレンとTCUとTDとの共重合を含む成形体は、比較例1および2の成形体に比べ、より耐熱性に優れるとともに複屈折量が小さいことが確認された。

Claims (9)

  1. (A)炭素原子数2〜30の直鎖状または分岐状のα-オレフィン由来の構造単位と、
    (B)下記一般式(b1)
    Figure 2021147577
    (一般式(b1)中、mは0または1以上の整数であり、p、qは各々独立して1以上の整数であり、R〜R16は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R13〜 R16は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR13とR14とで、またはR15とR16とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
    で表わされる環状オレフィン由来の構造単位と、
    を含む共重合体。
  2. 構造単位(A)と、構造単位(B)との合計量を100モル%とした場合において、
    構造単位(A)50〜99モル%と、
    構造単位(B)1〜50モル%と、
    を含む、請求項1に記載の共重合体。
  3. 構造単位(A)を構成する前記α-オレフィンがエチレンであり、構造単位(B)を構成する前記環状オレフィンがトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エンである、請求項1または2に記載の共重合体。
  4. さらに、(D)下記一般式(d1)で表される環状オレフィン由来の構造単位、下記一般式(d2)で表される環状オレフィン由来の構造単位、および下記一般式(d3)で表される環状オレフィン由来の構造単位、下記一般式(d4)で表される環状オレフィン由来の構造単位、および下記一般式(d5)で表される環状オレフィン由来の構造単位から選択される少なくとも1種の構造単位を含む、請求項1に記載の共重合体。
    Figure 2021147577
    (一般式(d1)中、uは0または1であり、vは0または正の整数であり、wは0または1であり、R61〜R78ならびにRa1およびRb1は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R75〜R78は、互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよく、またR75とR76とで、またはR77とR78とでアルキリデン基を形成していてもよい。)
    Figure 2021147577
    (一般式(d2)中、xおよびdはそれぞれ独立に0または1以上の整数であり、yおよびzはそれぞれ独立に0、1または2であり、R81〜R102は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基若しくは炭素原子数3〜15のシクロアルキル基である脂肪族炭化水素基、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基またはアルコキシ基であり、R91〜R100のうち一つは結合手であり、R89およびR90が結合している炭素原子と、R93が結合している炭素原子またはR91が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していてもよく、またy=z=0のとき、R95とR92またはR95とR99とは互いに結合して単環または多環の芳香族環を形成していてもよく、また上記単環または上記多環が二重結合を有していてもよく、上記単環または上記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2021147577
    (一般式(d3)中、R100、R101は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1〜5の炭化水素基を示し、fは1≦f≦18である。)
    Figure 2021147577
    (一般式(d4)中、nおよびmはそれぞれ独立に0、1または2であり、qは1、2または3であり、R18〜R31はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、またq=1のときR28とR29、R29とR30、R30とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR28とR28、R28とR29、R29とR30、R30とR31、R31とR31は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
    Figure 2021147577
    (一般式(d5)中、qは1、2または3であり、R32〜R39はそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子を除くハロゲン原子、またはフッ素原子を除くハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜20の炭化水素基であり、またq=1のときR36とR37、R37とR38、R38とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、またq=2または3のときR36とR36、R36とR37、R37とR38、R38とR39、R39とR39は互いに結合して単環または多環を形成していてもよく、前記単環または前記多環が二重結合を有していてもよく、また前記単環または前記多環が芳香族環であってもよい。)
  5. 構造単位(A)と、構造単位(B)と、構造単位(D)との合計量を100モル%とした場合において、
    構造単位(A)40〜80モル%と、
    構造単位(B)1〜50モル%と、
    構造単位(D)1〜50モル%と、
    を含む、請求項4に記載の共重合体。
  6. 構造単位(A)を構成する前記α-オレフィンがエチレンであり、構造単位(B)を構成する前記環状オレフィンがトリシクロ[6.2.1.02,7]ウンデカ−4−エンであり、構造単位(C)を構成する前記環状オレフィンが、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセンである、請求項4または5に記載の共重合体。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の共重合体を含む成形体。
  8. 請求項1〜6のいずれかに記載の共重合体を含むレンズ。
  9. 請求項8に記載のレンズを含む光学部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023171221A1 (ja) * 2022-03-11 2023-09-14 三井化学株式会社 環状オレフィン系共重合体、環状オレフィン系共重合体組成物、成形体及び光学部品

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