JP2021146366A - 金属部品接合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 バリ/突起物の存在が、接合前の重ね合わせにおいて空隙を発生させるため、面で一様な接合達成するには、バリ/突起物を除去する工程を要する。【解決手段】 金属部材接合方法において、第1金属部材にろう材層を形成する工程と、前記第1金属部材のろう材層を形成した面に突起構造物が発生するように抜き加工を行う工程と、ろう材層を挟むように、第1金属部材と第2金属部材とを重ねわせる工程と、第1の電極と第2の電極で、第1金属部材の突起構造物が第2金属材と当接するように第1荷重を印可した状態で通電させ、突起構造物を溶融させる工程と、第1荷重よりも大きな第2荷重を印可した状態で加熱し、ろう材を溶融させる工程と、第2荷重を印可した状態で固着させる工程と、を有する金属部材接合方法とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属接合に関するものである。
複数の金属板を重ねた状態で金属同士を接合することにより、部品等を製造することが知られている。例えば特許文献1には、プレス加工によって抜き加工を行った金属部材1とねじ加工を行った金属部材2とを、切削加工や砥粒加工でバリなどを除去し、加圧用治具で挟んで真空炉に投入し拡散ろう接を行うことが開示されている。図5は、拡散ろう接で接合部品を作成するプロセスを示す図である。
特開平8―177862号公報
従来技術における金属接合では、バリ/突起物の存在が、接合前の重ね合わせにおいて空隙を発生させるため、面で一様な接合達成するには、バリ/突起物を除去する工程を要するという問題点がある。
本発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、バリ/突起物の除去なしに、面で一様な接合を提供することを目的とする。
金属部材接合方法において、第1金属部材にろう材層を形成する工程と、前記第1金属部材のろう材層を形成した面に突起構造物が発生するように抜き加工を行う工程と、ろう材層を挟むように、第1金属部材と第2金属部材とを重ねわせる工程と、第1の電極と第2の電極で、第1金属部材の突起構造物が第2金属材と当接するように第1荷重を印可した状態で通電させ、突起構造物を溶融させる工程と、第1荷重よりも大きな第2荷重を印可した状態で加熱し、ろう材を溶融させる工程と、第2荷重を印可した状態で固着させる工程と、を有する金属部材接合方法とする。
さらに第1荷重が、第2荷重よりも小さい金属部材接合方法とする。
さらにろう材がNiめっきである金属部材接合方法とする。
さらに第1金属部材と第2金属部材が同じ金属である金属部材接合方法とする。
さらに突起構造物が部材の厚さの15%以下である金属部材接合方法とする。
本発明よれば、バリ/突起物を溶融させ、ろう材層に固溶させることにより、ろう材層のみで接合する場合よりも強固な接合が可能になり、かつ、バリ/突起物の除去なしに、面で一様な金属接合を提供することができる。
本発明における金属接合プロセスの縦断面図である。 燃料噴射オリフィスプレートの製造方法を示す図である。 接合工程で用いられる接合装置の構成を説明するための図である。 燃料噴霧オリフィスプレートの構成を説明するための図である。 従来技術による金属接合部材の作製プロセスである。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本実施の形態では、図示しない内燃機関のシリンダ内に、渦状に燃料を噴霧するために用いられる燃料噴霧オリフィスプレート100を例とし、その製造方法および構成に関する説明を行う。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
〔燃料噴霧オリフィスプレートの製造方法〕
図2は、接合部材またはオリフィスプレートの一例としての燃料噴霧オリフィスプレート100の製造方法を示す図である。本実施の形態では、シート10と、シート10の片面にメッキによって形成されたろう材30と、ろう材が形成されていないシート20とを用いて、燃料噴霧オリフィスプレート100の製造を行っている。
ここで、本実施の形態では、シート10が第1の被接合部材または第1シートの一例であり、シート20が第2の被接合部材または第2シートの一例である。また、シート10およびシート20の両者が、被接合部材の一例である。
〔準備工程220〕
準備工程220は、第1シート取得工程と、第2シート取得工程とを含んで構成される。第1シート取得工程では、導電性を有する金属の板材であるシート10に、メッキにて片面にろう材30が形成されたシートロール材を取得する。また、第2シート取得工程では、導電性を有する金属の板材であって、ろう材が形成されていないシート20のロール材であるシートロール材を取得する。
ここでシート10およびシート20としては、導電性を有する各種金属等を採用することが可能であるが、腐食が生じ難く、加工し易く、世の中に広く普及されていて廉価であるもの、といった観点から、ステンレス鋼を採用することが好ましい。
また、ろう材30としては、シート10とシート20とをろう接した場合に濡れ性がよく、ろう接による接合後の強度を高く確保できるものを用いるとよい。ここで、ろう接の対象となる被接合部材として、本実施の形態のようにステンレス鋼を採用する場合には、ろう材30としてNi−P(ニッケルリン)を用いることが望ましく、特に、リンを10wt.%以上含む所謂高リンタイプのNi−Pを用いることが望ましい。一般に、ろう材30としてNi−Pを用いる場合、粉末状あるいは薄状に形成されたろう材を、被接合部材間に挟み込むことが多い。しかしながら、本実施の形態では、ろう材30がNi−Pであることから、ステンレス鋼からなるシート10に、所謂無電解ニッケルメッキ法を用いて、Ni−Pからなるろう材30を付着させている。
また、本実施の形態の場合、シート10の厚さは、例えば0.15〜2(mm)程度の範囲より選択することができ、シート20の厚さは、例えば0.1〜0.5(mm)程度の範囲より選択することができる。一方、ろう材30の厚さは、例えば1〜2(μm)の範囲より選択することができる。
〔抜き工程230〕
抜き工程230では、シート10とシート20とに各種の孔を形成する。片面にろう材30が形成されたシート10には金型231を用いて加工を施し、シート20には金型235を用いて加工を施している。この例では、抜き工程230で、シート10にスワール溝を含む各種の孔を形成しており、シート20には各種の孔を形成している。
当該工程で形成する各種孔は、板厚の10%程度のバリをろう材を形成した面側に生じさせるように加工を行う。
〔重ね工程240〕
重ね工程240では、抜き工程230にてそれぞれに各種の孔が形成されたシート10とシート20とが重ね合わされる。ここで、本実施の形態では、シート10とシート20とを重ね合わせる際、シート10の片面に設けられたろう材30を、シート20の一方の面に接触させるようにしている。換言すれば、重ね工程240では、シート10とシート20とによって、ろう材30を挟み込むようにしている。
〔接合工程250〕
〔接合装置〕
図3は、接合工程で用いられる溶接装置250aの構成を説明するための図である。本実施の形態の溶接装置250aは、第1の電極251aと第2の電極251bとを有する電極を備えている。なお、図2に示したように、第1の電極251aは、重ね合わされたシート10およびシート20のうち、シート10に対峙して配置される。これに対し、第2の電極251bは、シート20に対峙して配置される。
また、溶接装置250aは、第1の電極251aおよび第2の電極251bに接合のための電圧を印加する電源装置252と、第1の電極251aおよび第2の電極251bを図中上下方向に移動させることでシート10およびシート20の積層体に接触して加圧を行う加圧機構253と、これら電源装置252および加圧機構253の動作を制御する制御装置254とを備えている。
〔接合工程250プロセス1〕
図1(a)は、接合工程250プロセス1を示す図である。接合工程250プロセス1では、重ね工程240にてシート10とシート20とを重ね合わせてなる積層体が、第1の電極251aと第2の電極251bとによって上下から挟み込まれ、シート10とシート20とが、バリ/突起物12を介して接するような、第1印可圧力255aを印可した状態で、第一印可電圧256aを制御し3000Aを保つように通電を行い、バリ/突起物構造に対して選択的に電流を流すことで、バリ/突起物構造を溶融させる。
〔接合工程250プロセス2〕
図1(b)は、接合工程250プロセス2を示す図である。接合工程プロセス2では圧力の印可を第2印可圧力255bに変化させ、ろう材30の溶融温度880℃に保つように第2印可電圧256bを制御し、5秒間通電することで、プロセス1で溶融したバリ/突起物12は、ろう材層30を含む合金として溶融し、ろう材層30の方向に固溶層31を得ることができる。
〔接合工程250プロセス3〕
図1(c)、(d)は、接合工程250プロセス3を示す図である。接合工程250プロセス3では、プロセス2で発生した固溶層31を固着させるため、第2印可圧力255bを印可した状態でエアーブロー257による空冷と装置内の冷却水258を5秒間作用させることで、前述の固溶層31を固着層50へ変化させた後、圧力の印可をやめ電極251aおよび251bとシート10及び20を非接触の状態にして、接合状態102を得る。
〔噴霧孔形成工程260〕
噴霧孔形成工程260では、接合工程250で接合されたシート10およびシート20のうち、シート10に設けられたスワール溝を介して露出するシート20に、金型261を用いて複数の噴霧孔を形成する。
〔打ち抜き工程270および取り出し工程280〕
打ち抜き工程270では、シート10およびシート20を接合してなる帯状体に対し、金型271を用いて外形を打ち抜くプレス加工を施すことで、燃料噴霧オリフィスプレート100を作製する。なお、燃料噴霧オリフィスプレート100が打ち抜かれた帯状体(切断屑)は、再度ロール状に巻き取られ、その後廃棄される。
取り出し工程280では、以上のようにして製造された燃料噴霧オリフィスプレート100が取り出される。
〔燃料噴霧オリフィスプレート100の構造〕
図4(a)、(b)は、上述した製造方法により製造された燃料噴霧オリフィスプレート100の構成を説明するための図である。図4(a)は上面から燃料噴霧オリフィスプレート100を眺めた上面図、図4(b)は、図4(a)に示す上面図の断面BBを示した図である。なお、図4(a)、(b)には、上述した打ち抜き工程270における打ち抜きによって燃料噴霧オリフィスプレート100に形成される切断面101も、併せて示している。
燃料噴霧オリフィスプレート100は、円板状を呈しており、表面且つ中央部には、シート10に形成されたスワール溝11が設けられている。そして、溝の一例としてのスワール溝11における4枚羽根の外周端側には、シート20の表裏面すなわち厚さ方向に貫通する4つの噴霧孔21が設けられている。燃料噴霧オリフィスプレート100の直径はφ10〜φ20mm程度である。そして、切断面101により形成される燃料噴霧オリフィスプレート100の外周面は、円筒形状を呈するようになっている。さらに、4つの噴霧孔21は同一の直径(例えば1mm程度)に設定されている。そして、噴射孔の一例としての噴霧孔21の内周面は、円筒形状を呈するようになっている。
図4(b)に示すように、シート10とシート20との間には、ろう材30とバリ/突起物12が溶解した後に固化することで得られた接合部50が存在し、この接合部50によって、シート10とシート20とが固着接合されている。スワール溝11は、シート10にて形状が打ち抜かれ、シート20によって底面が形成され、これらによって凹み容積が決定されている。
なお、この燃料噴霧オリフィスプレート100は、表面側すなわちスワール溝11が設けられている側に燃料噴霧装置が対向し、裏面側に内燃機関のシリンダが対向した状態で使用される。
なお、本実施の形態では、ガソリンや軽油等の燃料を噴霧する燃料噴霧オリフィスプレート100を例として説明を行ったが、噴霧するのは燃料に限られるものではなく、各種流体の噴霧に用いることもできる。
また、本実施の形態では、燃料噴霧オリフィスプレート100を例として説明を行ったが、これに限られるものではない。すなわち、上述した構成および手法は、2つの被接合部材をろう材にて接合してなる各種接合部材および各種接合部材の製造方法に適用することができる。そして、このような接合部材としては、例えば複数の金属板を厚さ方向に重ねて接合することで構成される熱交換器や冷却プレート等を挙げることができる。
10…シート、11…スワール溝、12…バリ/突起物、20…シート、21…噴霧孔、30…ろう材、31…固溶層、50…固着層、60…金属製マイクロスラスト板、61…上側部品、62…下側部品、63…貫通孔、64…ねじ付き貫通孔、100…燃料噴霧オリフィスプレート、101…切断面、102…接合状態、220…準備工程、230…抜き工程、231、235、261、271…金型、240…重ね工程、250…接合工程、250a…溶接装置、251a…第1電極、251b…第2電極、252…電源装置、253…加圧機構、254…制御装置、255a…第1印可圧力、255b…第2印可圧力、256a…第1印可電圧、256b…第2印可電圧、257…エアーブロー、258…冷却水、260…噴霧孔形成工程、270…打ち抜き工程、280…取り出し工程

Claims (5)

  1. 金属部材接合方法において、
    第1金属部材にろう材層を形成する工程と、
    前記第1金属部材の前記ろう材層を形成した面に突起構造物が発生するように抜き加工を行う工程と、
    ろう材層を挟むように、前記第1金属部材と第2金属部材とを重ねわせる工程と、
    第1の電極と第2の電極で、前記第1金属部材の前記突起構造物が前記第2金属材と当接するように第1荷重を印可した状態で通電させ、前記突起構造物を溶融させる工程と、
    前記第1荷重よりも大きな第2荷重を印可した状態で加熱し、前記ろう材層を溶融させる工程と、
    前記第2荷重を印可した状態で固着させる工程と、
    を有することを特徴とする金属部材接合方法。
  2. 前記第1荷重が、前記第2荷重よりも小さいことを特徴とする請求項1記載の金属部材接合方法。
  3. 前記ろう材層がNiめっきであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属部材接合方法。
  4. 前記第1金属部材と前記第2金属部材が同じ金属であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の金属部材接合方法。
  5. 前記突起構造物が部材の厚さの15%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに金属部材接合方法とする。



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