以下、本発明の洗濯機の一実施形態である全自動洗濯機1について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る、全自動洗濯機1の側面断面図である。
全自動洗濯機1は、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上面が開放された有底の方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12とを含む。筐体10の外底面には、脚13が設けられる。上面板12には、洗濯物を投入するための投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。
筐体10内には、上面が開口するほぼ円筒状の外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開放されたほぼ円筒状の洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22の側壁には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。
洗濯脱水槽22の底部には、回転翼30が配置される。また、洗濯脱水槽22の底部には、回転翼30と洗濯脱水槽22の底壁との間に、揚水翼40が配置される。洗濯脱水槽22の底壁には、揚水翼40の形状に対応してほぼ円形に凹む凹部24が形成され、この凹部24に揚水翼40が収容される。凹部24の入口には、回転翼30と揚水翼40の間を仕切る仕切板50が配置される。回転翼30、揚水翼40および仕切板50の詳細な構成は、追って説明される。
洗濯脱水槽22の底壁には、凹部24の位置に、複数の通水口22bが形成される。通水口22bは、本発明の吸込口に相当する。
洗濯脱水槽22の側壁には、揚水カバー25が取り付けられることにより、上下方向に延びる揚水路26が、周方向にほぼ均等な間隔を置いて3か所に配置される。各揚水路26の下端部は、凹部24に繋がる。各揚水カバー25の上部には、スリット状の吐出口25aが形成される。
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22、回転翼30および揚水翼40を駆動するための駆動ユニット60が配置される。駆動ユニット60は、洗い工程およびすすぎ工程において、洗濯運転コースに応じて、回転翼30と揚水翼40とを回転させる場合と、回転翼30を回転させずに揚水翼40のみを回転させる場合とがある。また、駆動ユニット60は、脱水工程において、洗濯脱水槽22、回転翼30および揚水翼40を一体的に回転させる。駆動ユニット60は、本発明の駆動部に相当する。駆動ユニット60の詳細な構成は、追って説明される。
外槽20の外底部には、円筒状の排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ70が接続される。排水バルブ70には、排水ホース71が接続される。即ち、排水口部20aと排水ホース71により排水経路が構成され、この排水経路に排水バルブ70が配置される。排水バルブ70が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース71を通じて機外へ排出される。
上面板12の後部には、水道水を洗濯脱水槽22内に供給するための給水ユニット80が配置される。給水ユニット80は、給水バルブ81を有する。給水バルブ81は、水道栓に接続される。給水バルブ81が開放されると、水道栓から水道水が給水ユニット80に導入される。導入された水道水は、給水ユニット80の注水口82から洗濯脱水槽22内へ流出する。
図2は、外槽20の底部と駆動ユニット60が示された全自動洗濯機1の要部の縦断面図である。図3(a)は、回転翼30の平面図である。図4(a)および(b)は、それぞれ、揚水翼40の平面図および底面図である。図5(a)および(b)は、それぞれ、仕切板50の平面図および底面図である。なお、図2では、吊棒21の図示が省略されている。
まず、回転翼30、揚水翼40および仕切板50の構成について詳細に説明する。
図2および図3を参照して、回転翼30は、ほぼ円板状を有する。回転翼30の上面には、中央から放射状に延びる複数の羽根31が形成される。また、回転翼30には、2つの羽根31の間の各領域に、複数の水抜孔32が形成される。水抜孔32は、本発明の第1孔に相当する。
回転翼30には、下面の中央部に下方に突出する円柱状の固定ボス33が形成される。固定ボス33は、外径が大きな上側の大径部33aと、仕切板50のボス部51の肉厚分だけ大径部33aよりも外径が小さくされた下側の小径部33bとを含む。固定ボス33には、回転翼軸400が挿入されるボス穴34が形成される。また、固定ボス33には、ボス穴34の上に、底面に取付孔35aを有する凹部35が形成される。
駆動ユニット60の回転翼軸400の上端部が、固定ボス33のボス穴34に挿入され、取付孔35aを通されたネジ91が、回転翼軸400の上端部のネジ穴に止められる。これにより、回転翼30に回転翼軸400が取り付けられる。固定ボス33と回転翼軸400とにより、回転翼30から下方に延びる本発明の軸部が構成される。
図2および図4(a)、(b)を参照して、揚水翼40は、ほぼ円板状を有する。揚水翼40は、中央側が僅かに下方に凹み、これによって円形の凹部41が形成される。揚水翼40には、凹部41の中央に、下方に突出する有底円筒状の固定部42が形成される。固定部42には、中央に円形の開口部43が形成され、開口部43の周囲に複数の取付孔44が形成される。凹部41には、固定部42の周囲に、複数の通水孔45が周方向に並ぶように径方向に3列に形成される。中央列の通水孔45の孔径は、他の列の通水孔45の孔径より大きい。また、大小何れの通水孔45の孔径も、回転翼30の水抜孔32の孔径よりも大きい。なお、3列全ての複数の通水孔45の孔径が等しくされてもよい。通水孔45は、本発明の第3孔に相当する。
揚水翼40の下面には、固定部42を囲む環状のリブ46から外周側に向かって放射状に延びる複数枚の羽根47が形成される。揚水翼40の上面には、外周縁部に環状のリブ48が形成される。
駆動ユニット60の揚水翼軸300のフランジ形の上端部が、下方から固定部42に当接する。各取付孔44を通されたネジ92が、揚水翼軸300の上端部のネジ穴に止められる。これにより、揚水翼40に揚水翼軸300が取り付けられる。回転翼軸400が固定部42の開口部43を通される。
図2および図5(a)、(b)を参照して、仕切板50は、ほぼ円形の浅皿状に形成され、外周縁部50aから中央部に向かって段階的に深くなる断面形状を有する。仕切板50の中央部には円筒状のボス部51が設けられる。ボス部51の上端部は、環状の突部51aとしてボス部51の周囲の凹部52の底面よりも上方に突出する。凹部52には、複数の通水孔53が周方向に並ぶように径方向に3列に形成される。中央列の通水孔53の孔径は、他の列の通水孔53の孔径より大きい。また、大小何れの通水孔53の孔径も、回転翼30の水抜孔32の孔径よりも大きい。なお、3列全ての複数の通水孔53の孔径が等しくされてもよい。通水孔53は、本発明の第2孔に相当する。
仕切板50には、外周縁部50aの下面に、補強用の環状のリブ54と、リブ54から外側に延びる位置決め片55が形成される。位置決め片55は、周方向にほぼ均等な間隔を置いて3か所に形成される。
洗濯脱水槽22の底壁における凹部24の外周縁部22cは、その外側よりも一段低くされる。3つの揚水カバー25は、その下端部が凹部24の外周縁部22cの一部を構成し、その下端部の中央にスリット溝25bが形成される。
仕切板50は、凹部24、即ち凹部24内の揚水翼40全体を覆うように洗濯脱水槽22の底壁に配置され、その外周縁部50aが凹部24の外周縁部22cに上方から重なる。仕切板50の3つの位置決め片55が、3つの揚水カバー25のスリット溝25bに差し込まれる。これにより、仕切板50が、水平方向に回動しないように洗濯脱水槽22の底壁に固定される。
仕切板50のボス部51には、回転翼30の固定ボス33の小径部33bが挿入される。即ち、ボス部51の内部の孔51bを、固定ボス33と回転翼軸400が貫通する。ボス部51の内周面と小径部33bの外周面との間には、僅かな隙間が形成される。ボス部51は、固定ボス33の大径部33aの底面に配置されたワッシャ36と、回転翼軸400に取り付けられたワッシャ37とにより挟み込まれる。ボス部51がワッシャ36を介して大径部33aに当接することにより、仕切板50の中央部の上方への動きが規制される。なお、ボス部51の内部の孔51bは、本発明の貫通孔に相当する。また、固定ボス33の大径部33aは、本発明の規制部に相当する。
ボス部51がワッシャ36を介して大径部33aに当接した状態では、仕切板50は、上方に僅かに反るように弾性変形し、その外周縁部50aが凹部24の外周縁部22cを押圧するような状態となっている。
固定ボス33と回転翼軸400は、2つのワッシャ36、37を介してボス部51と接触することになる。2つのワッシャ36、37は、金属製であり、摩擦抵抗が小さくされている。このため、固定ボス33と回転翼軸400に加わる摺動抵抗が小さくなり、回転翼30を円滑に回転させることができる。
次に、駆動ユニット60の構成について詳細に説明する。
図2を参照して、駆動ユニット60は、駆動モータ100と、脱水槽軸200と、揚水翼軸300と、回転翼軸400と、軸受ユニット500と、第1伝達機構部600と、第2伝達機構部700と、第1クラッチ機構部800と、第2クラッチ機構部900とを含む。
駆動モータ100は、アウターロータ型のDCブラシレスモータであり、洗濯脱水槽22、回転翼30および揚水翼40を駆動するためのトルクを発生する。駆動モータ100は、ロータ110とステータ120とを含む。ロータ110の中央には、モータ軸130が取り付けられる。モータ軸130は、上下の転がり軸受141、142を介して支持部150に回転可能に支持される。なお、駆動モータ100は、インナーロータ型のDCブラシレスモータなど、他の種類のモータであってもよい。
脱水槽軸200、揚水翼軸300および回転翼軸400は、それぞれ、洗濯脱水槽22、揚水翼40および回転翼30の回転軸となる。
脱水槽軸200は、上部、中間部および下部の3つの部材を結合することにより形成される。脱水槽軸200は、中空であり、その中央部が外側に膨出し、ブレーキドラム201を構成する。脱水槽軸200の内部には、上端部と下端部にすべり軸受211、212が設けられ、すべり軸受211の上方にオイルシール213が設けられる。
揚水翼軸300は、脱水槽軸200に挿入される。揚水翼軸300の上部は、脱水槽軸200から上方に突出し、揚水翼軸300の下部は、脱水槽軸200から下方に突出する。揚水翼軸300は、外周面がすべり軸受211、212により受けられ、脱水槽軸200内において円滑に回転する。また、オイルシール213により、脱水槽軸200と揚水翼軸300との間への水の侵入が防止される。揚水翼軸300は、中空であり、その内部には、上端部と下端部にすべり軸受311、312が設けられ、すべり軸受311の上方にオイルシール313が設けられる。
回転翼軸400は、揚水翼軸300に挿入される。回転翼軸400の上部は、揚水翼軸300から上方に突出し、回転翼軸400の下部は、揚水翼軸300から下方に突出する。回転翼軸400は、外周面がすべり軸受311、312により受けられ、揚水翼軸300内において円滑に回転する。また、オイルシール313により、揚水翼軸300と回転翼軸400との間への水の侵入が防止される。
軸受ユニット500は、ほぼ長方形の平面形状を有する取付台510と、取付台510の中央部に下方から取り付けられる軸受ケース520とを含む。取付台510の上面には、中央部に円形の軸受凹部511が形成される。軸受凹部511内には、転がり軸受531が配置される。また、軸受凹部511の入口には、オイルシール540が設けられる。
軸受ケース520は、その底部521の径が絞られた有底の円筒状を有する。軸受ケース520の底部521には、転がり軸受532が配置される。軸受ケース520の上端にはフランジ部522が形成され、このフランジ部522が取付台510にねじ止めされる(図8参照)。また、軸受ケース520の上端には、後述するレバー軸を支持する支持部523が形成される。
揚水翼軸300および回転翼軸400が回転可能に挿入された脱水槽軸200は、その上部が転がり軸受531を介して取付台510の軸受凹部511に回転可能に支持され、その下部が転がり軸受532を介して軸受ケース520の底部521に回転可能に支持される。脱水槽軸200のブレーキドラム201が、軸受ケース520内に収容される。
取付台510は、外槽20の底壁に取り付けられる。脱水槽軸200が外槽20の内部に臨む。外槽20内において、洗濯脱水槽22に脱水槽軸200が固定される。また、揚水翼軸300と回転翼軸400が洗濯脱水槽22の内部に臨む。洗濯脱水槽22の内部において、上述の通り、揚水翼40に揚水翼軸300が固定され、回転翼30に回転翼軸400が固定される。
取付台510には、軸受ケース520の側方に、モータ軸130が下向きとなるように駆動モータ100が取り付けられる。これにより、外槽20の下方において、モータ軸130が回転翼軸400および揚水翼軸300と並行する状態となる。この他、取付台510には、軸受ケース520に対して駆動モータ100と反対側に排水バルブ70が取り付けられる。
図6(a)は、第1プーリ610の平面図であり、図6(b)は、第2プーリ710の平面図である。
図2および図6(a)を参照して、第1伝達機構部600は、第1プーリ610と、第1モータプーリ620と、第1プーリ610と第1モータプーリ620とを連結する第1ベルト630とを含む。
第1プーリ610は、外槽20の下方において、揚水翼軸300から露出した回転翼軸400の下部に固定される。第1プーリ610は、円盤状のプーリ部611と、プーリ部611の上側中央に取り付けられたクラッチボス部612とを含む。クラッチボス部612の上端面には、周方向に所定の間隔を有して、複数の係合凹部613が形成される。
第1モータプーリ620は、下端にフランジを有するプーリ部621と、プーリ部621の上側に一体形成されたボス部622とを含む。
第1モータプーリ620は、駆動モータ100のモータ軸130により回転可能に支持される。即ち、第1モータプーリ620は、ボス部622が2つの転がり軸受640を介してモータ軸130の先端部に取り付けられる。第1モータプーリ620は、転がり軸受640により、モータ軸130に対して円滑に回転する。
第1プーリ610のプーリ部611の外径は、第1モータプーリ620のプーリ部621の外径よりも大きくされている。第1プーリ610のプーリ部611と第1モータプーリ620のプーリ部621との間に、第1ベルト630が掛け渡される。
第1クラッチ機構部800の切替動作によって第1モータプーリ620がモータ軸130に固定された状態にあるとき、第1伝達機構部600によって、駆動モータ100の回転が回転翼軸400に伝達される。この際、駆動モータ100の回転は、プーリ部611とプーリ部621との外径比で決まる減速比に従って減速される。
図2および図6b)を参照して、第2伝達機構部700は、第2プーリ710と、第2モータプーリ720と、第2プーリ710と第2モータプーリ720とを連結する第2ベルト730とを含む。
第2プーリ710は、円盤状を有し、外槽20の下方において、脱水槽軸200から露出した揚水翼軸300の下部に固定される。第2プーリ710は、第1プーリ610と並ぶようにして第1プーリ610の上方に位置する。第2プーリ710の外周部には、第2ベルト730が掛けられる溝部711が形成される。また、第2プーリ710には、周方向に所定の間隔を有して、複数の貫通孔712が形成される。貫通孔712は、係合凹部613とほぼ同じ形状およびほぼ同じ大きさを有する。
第2モータプーリ720は、下面が開放された皿状を有し、モータ軸130の第1モータプーリ620よりも上方に固定される。第2モータプーリ720の外周部には、第2ベルト730が掛けられる溝部721が形成される。
第2プーリ710の外径は、第2モータプーリ720の外径と等しくされている。第2プーリ710と第2モータプーリ720との間に、第2ベルト730が掛け渡される。
第2伝達機構部700によって、駆動モータ100の回転が、同じ速度で揚水翼軸300に伝達される。
第1クラッチ機構部800は、モータ軸130の回転が第1伝達機構部600を介して回転翼軸400に伝達されることを可能または不可能にすることにより、駆動モータ100の回転が回転翼30と揚水翼40の双方に伝達される二翼駆動モードと、駆動モータ100の回転が回転翼30に伝達されずに揚水翼40に伝達される一翼駆動モードとの間で切り替えを行う。
図7は、第1クラッチ機構部800の周辺が示された駆動ユニット60の縦断面図である。図8は、第1クラッチ機構部800の斜視図である。
図7および図8を参照して、第1クラッチ機構部800は、クラッチ体810と、スプリング820と、クラッチレバー830と、レバー支持部840と、レバー駆動装置850と、取付板860とを含む。
クラッチ体810は、第1モータプーリ620と第2モータプーリ720との間に位置するよう、モータ軸130に配置される。クラッチ体810は、クラッチ部811と、包囲部812と、転がり軸受813とを含む。クラッチ部811は、ほぼ円筒形状を有し、下側部811aの外径が上側部811bの外径よりも大きくなるように構成されている。下側部811aには、第1モータプーリ620のボス部622の外径とほぼ等しい内径を有する係合凹部814が形成される。係合凹部814の内周面には、全周に亘って第1スプライン815が形成される。第1スプライン815に対応して、第1モータプーリ620のボス部622の外周面には、全周に亘ってスプライン623が形成される。
上側部811bの内周面には、全周に亘って第2スプライン816が形成される。第2スプライン816に対応して、モータ軸130における第1モータプーリ620と第2モータプーリ720との間に位置には、外周面に、全周に亘ってスプライン131が形成される。スプライン131の上下の寸法は、第2スプライン816の上下の寸法より大きくされる。
クラッチ部811の第2スプライン816とモータ軸130のスプライン131とが係合し、かかる係合によって、クラッチ部811は、モータ軸130に対してモータ軸130の軸線方向への移動でき且つモータ軸130と共に回転できる状態となる。
包囲部812は、円環状に形成され、クラッチ部811が回転可能となるように、転がり軸受813を介してクラッチ部811を包囲する。転がり軸受813により、クラッチ部811は、包囲部812に対して円滑に回転する。包囲部812には、外周面に互いに背向する一対の軸部817が、脱水槽軸200とモータ軸130とが並ぶ方向(以下、軸並び方向という)に沿うように形成される。
クラッチ体810は、クラッチ部811の第1スプライン815が第1モータプーリ620のボス部622のスプライン623と係合する係合位置へ移動することにより、モータ軸130の回転が第1モータプーリ620に伝達されるようモータ軸130に対して第1モータプーリ620を固定する動作を行う。また、クラッチ体810は、第1スプライン815とスプライン623との係合が解除される解除位置へ移動することにより、モータ軸130の回転が第1モータプーリ620に伝達されないようモータ軸130に対する第1モータプーリ620の固定を解除する動作を行う。クラッチ体810が解除位置にあるとき、クラッチ体810のほぼ全体が第2モータプーリ720の内部に収容される。
スプリング820は、クラッチ体810と第2モータプーリ720との間に配置され、クラッチ体810を第1モータプーリ620側、即ち係合位置側へ付勢する。
クラッチレバー830、レバー支持部840、レバー駆動装置850および取付板860は、クラッチ体810に対して、軸並び方向と直交する方向に配置される。
クラッチレバー830は、レバー本体831と、一対のアーム832と、操作片833とを含む。レバー本体831は、軸並び方向に長い方形状を有する。一対のアーム832は、レバー本体831からクラッチ体810へと延び、先端部に設けられた受け部832aが、包囲部812の軸部817を下方から受ける。操作片833は、レバー本体831のアーム832とは反対側に設けられ、レバー駆動装置850側へ突出する。
レバー支持部840は、取付板860から延びる一対の支持片841と、一対の支持片841の先端部に固定され、レバー本体831を貫通する支軸842とを含み、クラッチレバー830を、支軸842を中心に回転可能となるように支持する。
レバー駆動装置850は、トルクモータ851と、カム852とを含む。トルクモータ851は、クラッチ体810を動作させるための動力であるトルクを発生させる。カム852は、円盤状を有し、トルクモータ851のトルクによって水平軸周りに回転する。カム852の正面には、内側と外側の2重のリブにより、円形のカム溝853が形成される。カム溝853の中心は、カム852の回転中心とずらされている。カム溝853の内部にクラッチレバー830の操作片833が収容される。
レバー駆動装置850は、取付板860に固定される。取付板860は、軸受ユニット500の取付台510に固定される。これにより、レバー駆動装置850、即ちトルクモータ851は、外槽20の下方において、モータ軸130と並行に配置される。
図9(a)は、第1クラッチ機構部800により一翼駆動モードに切り替えられた状態を模式的に示す図であり、図9(b)は、第1クラッチ機構部800により二翼駆動モードに切り替えられた状態を模式的に示す図である。
トルクモータ851の動作によりカム852が回転すると、図9(a)および(b)に示すように、カム溝853に案内されてクラッチレバー830の操作片833が下方向または上方向に回動し、クラッチレバー830のアーム832が、操作片833と逆方向、即ち上方向または下方向に回動する。
一翼駆動モードでは、図9(a)に示すように、カム溝853が最下位置となり、操作片833が押し下げられて、アーム832の先端部、即ち受け部832aが押し上げられる。これにより、クラッチ体810がスプリング820の付勢力に抗して解除位置まで押し上げられ、クラッチ体810の第1スプライン815と第1モータプーリ620のスプライン623とが離れた状態となり、モータ軸130に対して、第1モータプーリ620が固定されない状態となる。モータ軸130の回転は、第2モータプーリ720には伝達され、揚水翼軸300、即ち揚水翼40に伝達されるが、第1モータプーリ620には伝達されず、回転翼軸400、即ち回転翼30に伝達されない。
一方、二翼駆動モードでは、図9(b)に示すように、カム溝853が最上位置となり、操作片833が押し上げられて、アーム832の受け部832aが押し下げられる。これにより、クラッチ体810がスプリング820の付勢力により係合位置まで押し下げられ、第1スプライン815とスプライン623とが係合する状態となり、モータ軸130に対して、第1モータプーリ620が固定される状態となる。モータ軸130の回転は、第2モータプーリ720と第1モータプーリ620の双方に伝達され、揚水翼軸300、即ち揚水翼40と回転翼軸400、即ち回転翼30の双方に伝達される。
図10は、第2クラッチ機構部900の周辺が示された駆動ユニット60の縦断面図である。図11は、第2クラッチ機構部900の周辺が示された駆動ユニット60の底面図である。図12は、第2クラッチ機構部900の周辺が示された、第1プーリ610、第2プーリ710およびクラッチ機構910が除かれた状態の駆動ユニット60の底面図である。図13(a)は、上下逆さまにされたクラッチ機構910の斜視図である。図13(b)は、クラッチ体950の斜視図であり、図13(c)は、上下逆さまにされたクラッチ受け部970の斜視図である。
なお、図11では、便宜上、第2プーリ710より上の位置で脱水槽軸200、揚水翼軸300、回転翼軸400およびクラッチ体950が切断された状態が示されており、図12では、便宜上、軸受ケース520は、その胴部のみが断面にて示されている。
図10ないし図13(c)を参照して、第2クラッチ機構部900は、クラッチ機構910と、クラッチ機構910を駆動するための駆動装置920とを含む。これらクラッチ機構910と駆動装置920とにより、脱水槽軸200に対する回転翼軸400と揚水翼軸300の回転を規制することにより回転翼30および揚水翼40と洗濯脱水槽22とが一体的に回転可能な一体駆動モードと、脱水槽軸200に対する回転翼軸400と揚水翼軸300の回転の規制を解除することにより回転翼30と揚水翼40が洗濯脱水槽22に対して回転可能な別個駆動モードとの間で切り替えが行われる。
なお、本実施の形態では、揚水翼40に揚水翼軸300の上端部を固定し、揚水翼40より上に位置する回転翼30に回転翼軸400の上端部を固定する構成上、揚水翼軸300の内側に回転翼軸400が位置する。よって、脱水槽軸200と回転翼軸400との間に揚水翼軸300が存在するため、脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転のみが規制される構成を実現することが難しい。よって、クラッチ機構910では、一体駆動モードで脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転が規制されるときに、揚水翼軸300の回転も規制されるようになされている。
さらに、第2クラッチ機構部900には、脱水槽軸200を制動するためのブレーキ機構930と、排水バルブ70を開閉させるための開閉機構940とが含まれる。これらブレーキ機構930と開閉機構940の駆動のために駆動装置920が供用される。
クラッチ機構910は、クラッチ体950と、移動機構960と、クラッチ受け部970とを含む。
クラッチ受け部970は、円筒状を有し、軸受ケース520の底部521に固定される。クラッチ受け部970の下面には、環状の凹凸部971が形成される。
クラッチ体950は、脱水槽軸200における、クラッチ受け部970と第2プーリ710との間に配置される。クラッチ体950は、上端部の外径が他の部分の外径よりも大きな円筒状に形成され、内側にボス部951を有する。クラッチ体950の下端部には、周方向に所定の間隔を有して、下方向、即ち第2プーリ710側に突出する複数の係合突部952が形成される。係合突部952は、係合凹部613および貫通孔712とほぼ同じ断面形状を有する。また、クラッチ体950の上端部には、内周面に、全周に亘ってクラッチ受け部970の凹凸部971に噛み合う環状の凹凸部953が形成される。さらに、ボス部951の内周面には、全周に亘ってスプライン954が形成される。
脱水槽軸200における軸受ケース520と第2プーリ710との間に位置には、外周面に、全周に亘ってスプライン214が形成される。スプライン214の上下の寸法は、ボス部951のスプライン954の上下の寸法より大きくされる。
ボス部951のスプライン954と脱水槽軸200のスプライン214とが係合し、かかる係合によって、クラッチ体950は、脱水槽軸200に対して脱水槽軸200の軸線方向への移動でき且つ脱水槽軸200と共に回転できる状態となる。
移動機構960は、クラッチ体950を、係合突部952が係合凹部613に係合して脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転が規制される規制位置と、係合突部952が係合凹部613から離れて脱水槽軸200に対する回転翼軸400の回転の規制が解除される解除位置との間で移動させる。クラッチ体950が解除位置に移動したとき、クラッチ体950の凹凸部953とクラッチ受け部970の凹凸部971とが噛み合い、脱水槽軸200が、クラッチ受け部970を介して軸受ケース520に固定され、回転できなくなる。
移動機構960は、第1スプリング961と、第1レバー962と、レバー支持部963と、中継ワイヤー964と、第2レバー965と、レバー軸966と、第2スプリング967と、連結体968とを含む。
第1スプリング961は、クラッチ体950と軸受ケース520の転がり軸受532との間に配置され、クラッチ体950を第2プーリ710側、即ち規制位置側へ付勢する。
第1レバー962は、クラッチ体950の上端部より下の部分の外周面に沿う、ほぼ半円弧状のヘッド部981と、ヘッド部981から上方へ延びるレバー部982とを含む。ヘッド部981の両側の先端部には、クラッチ体950の上端部に下方から接触し、上端部を上方へ押す押圧部983が形成される。
レバー支持部963は、クラッチ受け部970と一体形成された一対の支持片963aと、一対の支持片963aの先端部に固定され、レバー部982の下端部を貫通する支軸963bとを含み、第1レバー962を、支軸963bを中心に回転可能となるように支持する。
中継ワイヤー964は、第1レバー962と第2レバー965とを連結する。中継ワイヤー964には、中間位置にスプリング964aが一体形成される。中継ワイヤー964の一端が、第1レバー962のレバー部982の上端部に取り付けられる。
レバー軸966は、軸受ケース520の支持部523に支持されて下方に延びる。レバー軸966の下部に、回動可能に第2レバー965が取り付けられる。第2レバー965には、脱水槽軸200から離れる方向へ延びるアーム部965aが形成される。アーム部965aの中間位置には取付ピン965bが形成され、取付ピン965bに中継ワイヤー964の他端が取り付けられる。なお、レバー軸966は、ブレーキ機構930にも用いられる。
第2スプリング967は、ねじりスプリングであり、レバー軸966に取り付けられ、第1レバー962のレバー部982が引っ張られる方向に第2レバー965が回動ように、第2レバー965を付勢する。
連結体968は、駆動装置920と排水バルブ70の間に配置され、第1連結部968aと、第2連結部968bとを有する。第1連結部968aに、第2レバー965のアーム部965aが連結される。また、連結体968には、駆動装置920側の端部に第1取付部968cが設けられ、排水バルブ70側の端部に第2取付部968dが設けられる。
ブレーキ機構930は、ブレーキバンド931と、ブレーキレバー932と、スプリング933とを含む。ブレーキバンド931には、裏面にブレーキシュー934が張り付けられている。ブレーキバンド931は、軸受ケース520内において脱水槽軸200のブレーキドラム201に巻き付けられる。軸受ケース520には、支持部523側に2つの孔524が形成される。ブレーキバンド931の一端は、一方の孔524から軸受ケース520の外に出され、軸受ケース520にネジ935で固定される。また、ブレーキバンド931の他端は、他方の孔524から軸受ケース520の外に出され、ブレーキレバー932にピン936で固定される。
ブレーキレバー932は、レバー軸966の上部に回動可能に取り付けられる。ブレーキレバー932には、脱水槽軸200から離れる方向へ延びるアーム部932aが形成される。アーム部932aは、連結体968の第2連結部968bに連結される。
スプリング933は、ねじりスプリングであり、レバー軸966に取り付けられ、ブレーキバンド931が引っ張られる方向にブレーキレバー932が回動ように、ブレーキレバー932を付勢する。この状態では、ブレーキバンド931のブレーキシュー934がブレーキドラム201に接触するため、ブレーキドラム201の回転が制止される。
開閉機構940は、作動体941と、連結棒942とを含む。作動体941は、排水バルブ70の弁室72内に挿入されて、弁室72内に移動可能に配置された弁体73に接続される。連結棒942は、一端が作動体941に接続され、他端が連結体968の第2取付部968dに取り付けられる。作動体941および連結棒942が、排水バルブ70に近づく方向または離れる方向に移動することにより、弁体73が排水口部20aにつながる排水口74を閉塞または開放する。
駆動装置920は、トルクモータ921と、カム922と、連結ワイヤー923とを含む。トルクモータ921は、クラッチ機構910の移動機構960、ブレーキ機構930および開閉機構940を動作させるための動力であるトルクを発生させる。カム922は、円盤状を有し、トルクモータ921のトルクによって水平軸周りに回転する。カム922の正面には、外周縁部に取付部924が設けられる。連結ワイヤー923は、一端が取付部924に取り付けられ、他端が連結体968の第1取付部968cに取り付けられる。
別個駆動モードでは、図7および図8に示すように、第2レバー965により中継ワイヤー964を介して第1レバー962のレバー部982が引かれ、第1レバー962のヘッド部981が押し上げられた状態となる。ヘッド部981の押圧部983がクラッチ体950に接触してクラッチ体950を押し上げ、クラッチ体950の凹凸部953とクラッチ受け部970の凹凸部971とが噛み合う。これにより、脱水槽軸200が軸受ケース520に固定されて回転できず、回転翼軸400と揚水翼軸300が脱水槽軸200と別個に回転できる状態となる。即ち、回転翼30と揚水翼40が洗濯脱水槽22と別個に回転できる状態となる。
別個駆動モードでは、ブレーキバンド931のブレーキシュー934がブレーキドラム201に接触しており、脱水槽軸200、即ち洗濯脱水槽22は、ブレーキ機構930によっても制止されている。また、排水バルブ70は、開閉機構940により弁体73が閉塞された状態となっている。
なお、図11および図13(a)では、中継ワイヤー964のスプリング964aが自然長の状態に描かれているが、実際には、別個駆動モードにおいて、スプリング964aは少し伸びた状態となる。これにより、クラッチ体950には、押圧部983から押圧力が加えられるので、凹凸部953、971同士をしっかりと係合させることができる。
別個駆動モードから一体駆動モードに切り替えられる際には、トルクモータ921の動作によりカム922が回転し、連結体968が連結ワイヤー923に引かれて駆動装置920側に移動する。これにより、第2レバー965が、第2スプリング967の付勢力に抗して駆動装置920側に回動し、中継ワイヤー964に押されて第1レバー962が回動し、そのヘッド部981が押し下げられる。図7の破線に示すように、クラッチ体950が第1スプリング961の付勢力により押し下げられ、凹凸部953、971同士の噛み合が解除されるとともに、クラッチ体950の係合突部952が第2プーリ710の貫通孔712を貫通して第1プーリ610の係合凹部613に係合する。これにより、脱水槽軸200に対して回転翼軸400および揚水翼軸300が固定され、脱水槽軸200と回転翼軸400と揚水翼軸300とが一体に回転できる状態となる。即ち、洗濯脱水槽22と回転翼30と揚水翼40とが一体に回転できる状態となる。
一体駆動モードでは、連結体968が駆動装置920側に移動すると、ブレーキレバー932が、スプリング933の付勢力に抗して駆動装置920側に回動し、ブレーキバンド931が緩んでブレーキシュー934がブレーキドラム201から離れる。これにより、脱水槽軸200、即ち洗濯脱水槽22は、ブレーキ機構930によって制止されない状態となる。また、開閉機構940では、作動体941と連結棒942が排水バルブ70から離れる方向に移動する。これにより、排水バルブ70の弁体73が開放される。
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転コースには、標準的な洗濯物を洗濯する標準コースの他、デリケートな洗濯物を洗濯するデリケートコースが含まれる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
洗い工程では、第2クラッチ機構部900により、駆動モードが別個駆動モードに切り替えられている。これにより、洗濯脱水槽22が回転しないよう固定された状態となり、回転翼30と揚水翼40とが洗濯脱水槽22に対して回転できる状態となっている。なお、別個駆動モードへの切り替えは、前回の洗濯運転での最終すすぎ工程が終了した際に行われる。このとき、ブレーキ機構930により、駆動モータ100が停止されて惰性回転している洗濯脱水槽22が制動される。
さらに、洗い工程において、洗濯コースが標準コースの場合は、第1クラッチ機構部800により、駆動モードが二翼駆動モードに切り替えられる。これにより、駆動モータ100の回転が回転翼30と揚水翼40の双方に伝達される状態となる。
洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、駆動モータ100が、停止を挟んで右方向と左方向とに回転する。これにより、回転翼30および揚水翼40が停止を挟んで右方向と左方向に回転する。このとき、揚水翼40は回転翼30よりも高速で回転する。
回転翼30の回転により洗濯脱水槽22内に渦水流が発生する。洗濯脱水槽22内の洗濯物は、渦水流の作用により、攪拌されたり互いに擦れ合ったりして洗われる。また、洗濯物は、回転翼30の羽根31で擦られることによっても洗われる。
揚水翼40が回転すると、洗濯脱水槽22と外槽20との間の水が通水口22bを通じて凹部24内に吸い込まれる。吸い込まれた水は揚水翼40により押し出されて各揚水路26へ送られ、各揚水路26内を流れて各吐出口25aから洗濯脱水槽22内に放出される。洗濯脱水槽22内の水面側の洗濯物が、落下する水で叩かれて洗われる。なお、洗い工程では、洗剤による洗浄性能も発揮される。
このようにして、標準的な洗濯物が、回転翼30の回転による渦水流等の作用と揚水翼40の回転による水の循環放水により良好に洗われる。
一方、洗い工程において、洗濯コースがデリケートコースの場合は、第1クラッチ機構部800により、駆動モードが一翼駆動モードに切り替えられる。これにより、駆動モータ100の回転が回転翼30には伝達されず揚水翼40に伝達される状態となる。
洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、駆動モータ100が回転する。これにより、回転翼30が停止した状態で揚水翼40が回転する。このとき、駆動モータ100および揚水翼40は、右方向および左方向のうち何れか一方向に連続的に回転してもよいし、間欠的に回転してもよい。駆動モータ100および揚水翼40が間欠的に回転する場合は、停止を挟んで右方向と左方向とに回転してもよい。
洗濯脱水槽22内の洗濯物が、揚水路26の吐出口25aから放出された洗剤を含む水で叩かれることにより洗われる。また、洗濯脱水槽22内で水面側から底部側へ向かう水流が発生し、洗濯物の中を水が通り抜けることにより、洗濯物が洗われる。このとき、回転翼30は駆動モータ100により回転駆動されないので、渦水流が発生せず、洗濯物同士の擦れが生じにくい。また、洗濯物が回転翼30の羽根31で擦られることも生じにくい。
ここで、回転翼30と揚水翼40との間には、仕切板50が挟まれている。このため、揚水翼40が回転したときに、揚水翼40と回転翼30との間の水の粘性により伝達される、回転翼30を回転させようとする力が、仕切板50によって遮断される。よって、揚水翼40の回転に伴って回転翼30が回転してしまう、ということが防止される。
また、仕切板50は、その外周縁部50aが、洗濯脱水槽22の底壁における凹部24の外周縁部22cに重なっているので、揚水翼40が回転したときに、羽根47から押し出された水が凹部24の上方へと漏れ出しにくくなる。さらに、仕切板50の外周縁部50aが凹部24の外周縁部22cを押圧する状態となっているため、凹部24から水が、一層、漏れ出しにくくなる。これにより、凹部24から揚水路26へ水を効率よく供給でき、揚水路26への水の供給量を増やすことができる。
さらに、仕切板50と揚水翼40には、複数の通水孔53、45が設けられているので、洗濯脱水槽22内の水を、これら通水孔53、45を通して揚水翼40の羽根47の部分へ取り込むことができる。これにより、揚水翼40による揚水路26への水の供給量を、一層、増やすことができる。
さらに、仕切板50は、その中央部の上方への動きが回転翼30の固定ボス33の大径部33aにより規制されている。よって、仕切板50は、揚水翼40の回転により生じる水圧により上方へ押されても、浮き上がったり、変形したりしにくい。
なお、短時間の回転翼24の間欠回転を行うことにより洗濯物を少しずつ移動させながら、効果的に循環水を洗濯物に当てることも可能である。
このようにして、デリケートな洗濯物が、揚水翼40の回転による水の循環放水により、布傷みが抑えられるように良好に洗われる。
すすぎ工程においても、洗い工程と同様、洗濯コースが標準コースの場合には、回転翼30と揚水翼40とが回転し、標準的な洗濯物が、回転翼30の回転による渦水流等の作用と揚水翼40の回転による水の循環放水により良好にすすがれる。また、洗濯コースがデリケートコースの場合には、揚水翼40のみが回転し、デリケートな洗濯物が、揚水翼40の回転による水の循環放水により、布傷みが抑えられるように良好にすすがれる。
なお、すすぎ工程では、中間脱水工程の終了直後に別個駆動モードへの切り替えが行われ、ブレーキ機構930により、駆動モータ100が停止されて惰性回転している洗濯脱水槽22が制動される。
中間脱水工程および最終脱水工程では、第2クラッチ機構部900により、駆動モードが一体駆動モードに切り替えられる。これにより、脱水槽軸200と揚水翼軸300と回転翼軸400の三者が結合されて、洗濯脱水槽22、回転翼30および揚水翼40が一体的に回転できる状態となる。また、第1クラッチ機構部800により、駆動モードが一翼駆動モードに切り替えられる。これにより、駆動モータ100の回転が、第1伝達機構部600を介して回転翼軸400には伝達されず、第2伝達機構部700を介して揚水翼軸300に伝達される状態となる。
一体駆動モードに切り替えられたとき、開閉機構940により排水バルブ70が開放される。これにより、洗濯脱水槽22内および外槽20内から排水される。
洗濯脱水槽22内から排水される際、細かな異物が水とともに回転翼30の水抜孔32を通って仕切板50の上面へ排出される。異物は、水とともに仕切板50の中央部の凹部52へ集まり、複数の通水孔53を通って揚水翼40の上面へ排出される。このとき、仕切板50の通水孔53は水抜孔32より大きいため、異物が通水孔53を通過しやすい。また、仕切板50の中央部には、ボス部51の上端部である環状の突部51aが設けられているので、中央部に流れてきた異物を突部51aで止めることができ、ボス部51と回転翼30の固定ボス33との間への異物の侵入を防止できる。
揚水翼40の上面へ排出された異物は、水とともに、揚水翼40に形成された複数の通水孔45を通って揚水翼40の下方へ排出され、洗濯脱水槽22の底壁の通水口22bから洗濯脱水槽22の底壁と外槽20の底壁との間へ排出される。このとき、揚水翼40の通水孔45は水抜孔32より大きいため、異物が通水孔45を通過しやすい。
洗濯脱水槽22内および外槽20内からの排水が終了した後、駆動モータ100が高速で一方向に回転する。第2伝達機構部700での速度の増減はないため、揚水翼軸300と、揚水翼軸300と一体化された脱水槽軸200および回転翼軸400とが、駆動モータ100と同じ速度で回転する。これにより、洗濯脱水槽22、回転翼30および揚水翼40が、駆動モータ100と同じ速度で一体的に高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
デリケートコースでは、洗濯物が傷みにくいよう、標準コースに比べて、脱水時の駆動モータ100の回転数が低くされたり、脱水時間が短くされたりされ得る。
なお、洗濯コースとして、標準的な洗濯物を、布がらみを抑えながら洗濯する布がらみ低減コースが設けられてもよい。この布がらみ低減コースでは、洗い工程およびすすぎ工程において、一定時間ごとに、第1クラッチ機構部800により、二翼駆動モードと一翼駆動モードとの間で切り替えが行われる。これにより、回転翼30と揚水翼40の双方が回転する期間と揚水翼40のみが回転する期間とが生じる。
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、駆動ユニット60により、回転翼30を回転させずに揚水翼40のみを回転させ、吐出口25aから水を放出させつつ洗濯脱水槽22と揚水路26との間で水を循環させることにより、デリケートな洗濯物を洗うことができる。よって、洗濯によるデリケートな洗濯物の布傷みが抑えられる。
なお、短時間の回転翼24の間欠回転を行うことにより洗濯物を少しずつ移動させながら、効果的に循環水を洗濯物に当てることも可能である。
しかも、回転翼30と揚水翼40との間に、仕切板50が設けられているので、揚水翼40が回転したとき、その回転が揚水翼40と回転翼30との間の水の粘性によって回転翼30に伝達されて回転翼30が共回りしてしまう、ということが防止される。
また、本実施の形態によれば、仕切板50の外周縁部50aが洗濯脱水槽22の底壁における凹部24の外周縁部22cに上方から重なっているので、揚水翼40が回転したときに、羽根47から押し出された水が凹部24の上方へと漏れ出しにくくなる。これにより、凹部24から揚水路26へ水を効率よく供給でき、揚水路26への水の供給量を増やすことができる。
さらに、本実施の形態によれば、仕切板50は、その中央部の上方への動きが回転翼30の固定ボス33の大径部33aにより規制されているので、揚水翼40が回転したときに生じる水圧によって浮き上がったり変形したりしにくい。
さらに、本実施の形態によれば、仕切板50の中央部に環状の突部51aが設けられているので、洗濯脱水槽22内からの排水時などに、仕切板50に流れてきてボス部51の孔51bへ侵入しようとする異物を、突部51aによって止めることができる。これにより、ボス部51と回転翼30の固定ボス33との間に異物が詰まって回転翼30の回転の妨げられることを防止できる。
さらに、本実施の形態によれば、仕切板50には、回転翼30の水抜孔32より大きな複数の通水孔53が設けられているので、洗濯脱水槽22内からの排水時などに、回転翼30の水抜孔32を通って仕切板50の上面へ排出された異物を、通水孔53を通じて排出できる。これにより、仕切板50の上面に異物が堆積しにくくなる。
さらに、本実施の形態によれば、揚水翼40には、回転翼30の水抜孔32より大きな複数の通水孔45が設けられているので、洗濯脱水槽22内からの排水時などに、仕切板50の通水孔53を通って揚水翼40の上面へ排出された異物を、通水孔45を通じて排出できる。これにより、揚水翼40の上面に異物が堆積しにくくなる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態等によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
たとえば、上記実施の形態では、仕切板50は、外周縁部50aから中央部に向かって段階的に深くなるような皿状に形成された。しかしながら、仕切板50の形状は、上記の形状に限定されるものではない。たとえば、仕切板50は、その底面が傾斜することにより外周縁部50aから中央部に向かって深くなるような皿状に形成されてもよい。あるいは、仕切板50は、皿状でなく、平坦な円板状に形成されてもよい。
また、上記実施の形態では、仕切板50のボス部51が、回転翼軸400が挿入される回転翼30の固定ボス33の位置に配置された。しかしながら、ボス部51が、固定ボス33よりも下の位置に配置されてもよい。この場合、回転翼軸400のみがボス部51の孔51bを貫通する。また、この場合、固定ボス33が規制部となり、その底面がボス部51の上端に当接するような構成とされてもよいし、回転翼軸400に、規制部として、たとえば、ボス部51の上端に当接するフランジ部が設けられるような構成とされてもよい。
さらに、上記実施の形態では、揚水翼40の通水孔45と仕切板50の通水孔53の孔径が、回転翼30の水抜孔32の孔径よりも大きくされた。しかしながら、これら通水孔45、53の孔径が、水抜孔32の孔径と等しくされてもよい。
さらに、上記実施の形態では、揚水翼軸300は、減速機構または増速機構を含まず一本の軸により構成された。しかしながら、揚水翼軸300は、第2プーリ710に固定される入力軸と、揚水翼40に固定される出力軸と、これらの軸の間に設けられた減速機構または増速機構とを含むような構成とされてもよい。
さらに、上記実施の形態では、第1クラッチ機構部800が、モータ軸130側に設けられた。しかしながら、第1クラッチ機構部800が、回転翼軸400側に設けられてもよい。この場合、第1プーリ610が回転翼軸400に対して回転可能とされ、クラッチ体810が回転翼軸400に配置される。この構成では、一翼駆動モードに切り替えられると、第1プーリ610が空転して回転翼軸400が回転せず、二翼駆動モードに切り替えられると、第1プーリ610とともに回転翼軸400が回転する。
さらに、上記実施の形態では、第2モータプーリ720がモータ軸130に固定されており、モータ軸130の回転が常に第2モータプーリ720に伝達される。しかしながら、モータ軸130と第2モータプーリ720との間に、第1クラッチ機構部800と同様な構成の第3クラッチ機構部が設けられてもよい。あるいは、第3クラッチ機構部が、第2プーリ710と揚水翼軸300との間に設けられてもよい。この場合、第3クラッチ機構部により、モータ軸130の回転が揚水翼軸300に伝達される状態と伝達されない状態とに切り替えられる。このように第3クラッチ機構部が設けられた場合、第1クラッチ機構部800によりモータ軸130の回転が回転翼軸400に伝達されるよう切り替えが行われ、第3クラッチ機構部によりモータ軸130の回転が揚水翼軸300に伝達されないよう切り替えが行われることにより、揚水翼軸300、即ち揚水翼40が回転せず、回転翼軸400、即ち回転翼30が回転する駆動モードを実現できる。
なお、上記のように第3クラッチ機構部が設けられる場合には、脱水工程において、第2クラッチ機構部900により一体駆動モードに切り替えられたときに、揚水翼軸300が回転せずに回転翼軸400が回転する駆動モードに切り替えられるようにしてもよい。
さらに、第1クラッチ機構部800は、一翼駆動モードと二翼駆動モードとの間で切り替えを行うことができれば、上記実施の形態に挙げられた構成以外の構成とされてもよい。同様に、第2クラッチ機構部900、即ち、クラッチ機構910と駆動装置920は、一体駆動モードと別個駆動モードとの間で切り替えを行うことができれば、上記実施の形態に挙げられた構成以外の構成とされてもよい。
さらに、上記実施の形態では、第2クラッチ機構部900は、駆動装置920が、移動機構960だけでなく、排水バルブ70を開閉させる開閉機構940を駆動するような構成とされた。しかしながら、第2クラッチ機構部900が開閉機構940を含まない構成とされ、開閉機構940が駆動装置920とは別の駆動源により駆動される構成が採られてもよい。
さらに、上記実施の形態では、吐出口25aが揚水路26の上部に設けられたが、中央部など他の位置に設けられてもよい。また、吐出口25aは、いかなる形状であってもよい。
さらに、上記実施の形態では、衣類の乾燥機能が搭載されていない全自動洗濯機1に本発明が適用された例が示された。しかしながら、衣類の乾燥機能が搭載された全自動洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。