JP2021145605A - 植物の高密度栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物の高密度栽培において、密植障害の発生を抑制するための技術の提供。【解決手段】植物の高密度栽培方法であって、明暗サイクルを含み、暗期においてのみ、植栽面から最遠位の葉と、植栽面と、の間に配設した光源から上向光を前記植物に照射する手順を含む、方法を提供する。【選択図】図3

Description

本発明は、植物の高密度栽培方法等に関する。より詳しくは、暗期に植物の下方から光照射を行う手順を含む栽培方法に関する。
葉菜類等の作物の高密度栽培は、単位面積あたりの生産量の向上に寄与する。一方で、高密度栽培には、地上部重量の減少や徒長といった密植障害の問題がある。地上部重量の減少は収穫量の減少につながり、徒長は外観の悪化による商品価値の低下をもたらす。密植障害には、地上部重量の減少や徒長の他に、病害が発生しやすくなるといった収穫量減少要因や、緑色が薄くなったり日持ちや食味が悪化したりするといった商品価値棄損要因がある。
本発明に関連して、特許文献1には、低日照条件下での葉菜類の栽培において徒長を抑制するための技術として、低日照条件の太陽光から波長700nmよりも長波長の光のうち、少なくとも波長700〜800nmの遠赤色光を減らし、夜間に波長400〜500nmの青色光を照射する葉菜類の栽培方法が開示されている。
特開2006−340689号公報
本発明は、植物の高密度栽培において、密植障害の発生を抑制するための技術を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、以下の[1]−[6]を提供する。
[1] 植物の高密度栽培方法であって、
明暗サイクルを含み、
暗期においてのみ、植栽面から最遠位の葉と、植栽面と、の間に配設した光源から上向光を前記植物に照射する手順を含む、方法。
[2] 前記光源が、植栽面と略同一平面に配設される、[1]の方法。
[3] 明期における照明光が光合成光量子束密度(PPFD)50−200μmol/m2・秒の人工光であり、
暗期における前記上向光のPPFDが10μmol/m2・秒以上、かつ、明期における照明光のPPFDの1/2以下である、[1]又は[2]の方法。
[4] 明期における照明光が自然光であり、
暗期における前記上向光のPPFDが10μmol/m2・秒以上100μmol/m2・秒以下である、[1]又は[2]の方法。
[5] 前記植物が、葉菜類である、[1]−[4]のいずれかの方法。
[6] 前記植物が、アブラナ科の葉菜類である、[1]−[4]のいずれかの方法。
本発明において、「高密度栽培」とは、隣合って植栽された植物が少なくとも一部で接触する期間が存する栽培を意味する。「少なくとも一部で接触する」は、植物体の地上部どうし、特に葉どうしで接触することを意味し得る。接触を生ずる期間は、栽培全期間又は一部期間であってよい。
高密度栽培は、「密植障害」が生じ始め得る密度ということもできる。密植障害には、地上部重量の減少、病害の発生、徒長、緑色の薄色化、植物体の弱体化や充実性の低下などが包含される。本発明においては、特に徒長を密植障害の指標として用いる。
「明期」とは、明暗サイクルにおける昼に相当する期間であって、植物の生育に通常必要な光が照射される期間を意味する。明期における照射光は、自然光及び/又は人工光であり、これらは植物の上方から照射される下向光である。
「暗期」とは、明暗サイクルにおける夜に相当する期間であって、植物の生育に通常必要な光が照射されない期間を意味する。本発明においては、特に、上記の上向光のみが植物に照射される期間を意味する。
「植栽面」とは、植物の地上部と地下部とを分かつ境界面を意味し、植物の地上部基部を含む平面を指す。
本発明により、植物の高密度栽培において、密植障害の発生を抑制するための技術が提供される。
シロイヌナズナ用高密度栽培パネルにおける移植位置を示す図である(試験例1)。 シロイヌナズナ用高密度栽培パネルにおける高密度栽培植物の位置を示す図である(試験例1)。 植物下方からのLED照射装置の構成とLEDの配設位置を示す図である(試験例1)。
以下、本発明を実施するための好適な形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
本発明に係る植物の高密度栽培方法は、明暗サイクルを含み、暗期においてのみ、植栽面から最遠位の葉と、植栽面と、の間に配設した光源から上向光を前記植物に照射する手順を含むことを技術的特徴とする。
明暗サイクルは、植物種及び栽培の目的に応じて常法にしたがって制御されればよく、例えば明期が14−18時間、暗期を6−10時間の合計24時間が1サイクルとして設定される。明暗サイクルは、明期16時間/暗期8時間が一般的である。
上向光は、暗期に植物の下方から照射される。そのために、上向光の光源は、植栽面から最遠位の葉と、植栽面と、の間に配設される。ここで、「植栽面から最遠位の葉」は、通常、植物体の垂直方向最上部に位置する葉である。当該葉と植栽面との間は、植物体のうち地上部基部から最上部の葉までの間に相当する。植物体の地上部基部から最上部の葉の間に相当する位置に配設された光源からの光は、少なくともその一部が上向光として植物体に照射される。
このような上向光により明暗サイクルの暗期に光照射を行うことにより、シロイヌナズナにおいて密植障害の発生を抑制できることが明らかとなった(実施例参照)。シロイヌナズナは、全ゲノム配列の解析が最初になされ分子生物学解析が最も進んだ植物であり、植物全般の生体機序や病態機序等を明らかにするためのモデル植物として汎用されている。シロイヌナズナで得られた知見は、植物全般に適用され得ることが本分野において周知である。したがって、シロイヌナズナ以外の植物においても、上向光により明暗サイクルの暗期に光照射を行うことにより、シロイヌナズナと同様に密植障害の発生を抑制できると考えられる。特に暗期の上向光照射によれば、明期の上向光照射に比してより短い時間で同等以上の効果を得ることができるため、夜間の電力を利用して安価に密植障害の抑制効果を得ることが可能である。
上向光の光源の配設位置は、光源から発せられた光の少なくとも一部が上向光として植物体に照射されればよいため、植物の生育段階に応じて変更され得る。
具体的には、種子の播種又は苗の移植時には、光源は植栽面と同一平面又は略同一平面に配設されてよい。ここで、「植栽面と略同一平面」とは、例えば、光源装置自体の厚みや植物支持体の厚みのために光源の位置が装置の設置面である植栽面よりも当該厚み分だけずれているような場合を包含する趣旨である。このような場合、光源の配設位置は、植栽面と実質的に同一平面にあるものとする。
植栽面と同一平面又は略同一平面に配設された光源は、栽培全期間中において、植物体への上向光の照射を可能とするが、光源の配設位置は、植物の伸長に合わせて、当初位置から上方へ移設されてもよい。光源の上方への移設は、例えば光源をラック(棚)上に配置してラックの高さを徐々に上げていく方法や、ワイヤで架設した光源を徐々に吊り上げていく方法により行える。移設は植物の伸長度合い(背丈)に応じて段階的に行われてもよい。この場合にも、光源は、植栽面から最遠位の葉を超えて上方に配設されることはない。
上向光の波長及び強度は、植物種や栽培の目的に応じて適宜調整され得るが、好適な条件として以下が例示される。
上向光の波長は、赤(600-700 nm)、青(400-500 nm)または白(400-700 nm)であってよい。上向光の光源も、好適な発光ダイオード(LED)以外にも、白熱電球、蛍光灯、高圧ナトリウムランプ及びハロゲンランプ等も広く採用し得る。
上向光の強度は、完全閉鎖型栽培とされる場合、通常明期に用いられる人工照明光のPPFD 50-200 μmol/m2・秒に対して、その1/2以下(ただし、10 μmol/m2・秒以上)に設定される。上向光の強度は、例えば10-100 μmol/m2・秒、好ましくは10-50 μmol/m2・秒とされる。なお、完全閉鎖型の栽培は、建築物の内部で人工光源を照射して作物を栽培する形態を指す。完全閉鎖型栽培の明期照射光のための人工光源には、LED、白熱電球、蛍光灯、高圧ナトリウムランプ及びハロゲンランプ等が用いられ、明暗サイクル、光強度及びLED光源の波長等は植物種や栽培の目的に応じて適宜設定される。
また、太陽光型栽培とされる場合、上向光の強度は、PPFD 10-100 μmol/m2・秒に設定される。上向光の強度は、より好ましくは20-90 μmol/m2・秒、特に好ましくは35-70 μmol/m2・秒とされる。なお、太陽光型の栽培は、太陽光透過性を有する農業用被覆資材からなるハウスの内部で作物を栽培する形態あるいは露天での栽培を指す。農業用被覆資材には、ガラス、塩化ビニル系樹脂フィルム、ポリオレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、フッ素系樹脂フィルム等が汎用されている。この場合、明期照射光となる自然光の強度は、季節に応じて変化するが、通常晴天時でPPFD 500-1400 μmol/m2・秒である。
なお、PPFDは、市販の分光放射計を用いて測定できる。例えば、英弘精機株式会社製分光放射計「MS-720」(保障測定範囲:350-1050 nm(300~350 nmにも感度あり))のようなハンディタイプのものを使用できる。MS-720におけるPPFDの計算方法は、分光放射強度I(λ)にλ(μm)を乗じた値の400-700 nm区間の積分値をhcMで除した値を光合成光量子束密度[μmol・m-2・s-1]とする。
Figure 2021145605
(但し,h = 6.626E-34J・s(プランク定数),c = 2.998E+8m/s(光速),M = 6.022E+23(アボガドロ数))
暗期において上向光の照射を行う時間は、密植障害の抑制効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、暗期の100%、99%, 98%, 97%、96%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%期間とされ得る。効果を最大化する観点からは、暗期の全期間(100%期間)において上向光が照射されることが好ましい。
栽培期間中において暗期の上向光の照射を行う期間は、密植障害の抑制効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、栽培期間の100%、99%, 98%, 97%、96%、95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、4%、3%、2%、1%期間とされ得る。効率的な光照射を行う観点から、上向光照射を行う始期は、隣合って植栽された植物が少なくとも一部で接触し始める点を基準として、その前後1日の範囲とすることが好ましい。上向光照射を行う終期は、効果を最大化する観点から、収穫直前とされる。
また、上向光照射は、密植障害の抑制効果が得られる限りにおいて、明暗サイクルの全ての暗期に行われる必要はなく、例えば上向光照射を行う暗期を含む明暗1サイクルと上向光照射を行わない暗期を含む明暗1サイクルとが交互に繰り返されるような態様も採用し得る。
植物としては、葉菜類が好ましく、この他にも花き園芸植物、果菜類及び穀物類等も特に限定されずに挙げられる。
葉菜類としては、アブラナ科、ヒユ科、オミナエシ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、アオイ科、ツルムラサキ科、ハマミズナ科、ヒルガオ科又はキク科の植物が挙げられる。
アブラナ科の植物としては、ルッコラ(ロケット)、ミズナ、コマツナ(ピノグリーン)、カラシミズナ、カラシナ、ワサビナ、クレソン、ハクサイ、ツケナ類、チンゲンサイ、キャベツ、カリフラワー、ブロッコリー、メキャベツ、アスパラ菜、カイワレダイコン、ケール、コウタイサイ、サイシン、タアサイ、タカナ、ナバナ、ノザワナ、ハダイコン、ミブナ、レッドキャベツが挙げられる。
ヒユ科の植物としては、ホウレンソウ、スイスチャード(セイヨウフダンソウ)、ビート(テーブルビート、ビーツ)、フダンソウ、オカヒジキ、ヒユナ(バイアム、ジャワホウレンソウ)が挙げられる。
オミナエシ科の植物としては、マーシュ(ノヂシャ)が挙げられる。
ヒガンバナ科の植物としては、アサツキ、チャイブ、ニラが挙げられる。
セリ科の植物としては、パセリ、イタリアンパセリ、ミツバ、セロリ(セルリー)、セリ、アシタバ、コリアンダー(パクチー)、チャービル、ディル、ホワイトセロリ、ミニセロリが挙げられる。
シソ科の植物としては、シソ、バジル、エゴマ、オレガノ、セージ、レモンバーム、ミントが挙げられる。
アオイ科の植物としては、オカノリ、モロヘイヤが挙げられる。
ツルムラサキ科の植物としては、オカワカメが挙げられる。
ハマミズナ科の植物としてはアイスプラント(ソルトリーフ)、ツルナが挙げられる。
ヒルガオ科の植物としてはクウシンサイ(エンサイ、ヨウサイ)が挙げられる。
キク科の植物としては、レタス類、シュンギク、フキ、チコリー、エンダイブ、スイゼンジナ、ベニバナが挙げられる。レタス類としては、結球性レタス、非結球レタス及び半結球レタスなどが含まれ、例えば、リーフレタス、フリルレタス、ロメインレタス(コスレタス)、グリーンウェーブ、グリーンリーフ、レッドリーフ、フリルアイス(登録商標)、リバーグリーン(登録商標)、フリルリーフ、フリンジグリーン、ノーチップ、モコレタス、サンチュ(チマサンチュ)、サラダナ、ロロロッサ、レッドロメイン、サニーレタス、シルクレタス、マザーグリーン、ピンクロウスター、レッドオーク・リーフレタスが挙げられる。
花き園芸植物としては、ファレノプシス、シンピジウム及びデンドロビウム等のラン類、サボテン類、バラ、カーネーション、ガーベラ、カスミソウ、ユリ及びスターチス等の切り花用途の花き類、パンジー、プリムラ、ベコニア、ペチュニア及びシクラメン等の鉢花用途の花き類が挙げられる。
果菜類としては、トマト、キュウリ、メロン、イチゴ及びピーマンなどが挙げられる。
穀物類としては、トウモロコシ、コムギ、オオムギ及びイネなどが挙げられる。
本発明に係る植物の高密度栽培方法に関し、上述した事項以外の点は、従来の植物栽培方法にしたがえばよく、植物種や栽培の目的に応じて適宜設定され得る。
具体的には、栽培は、培土をつめたトレイやポットを用いて発芽・育苗したものを圃場に定植する方法;スポンジキューブ上で発芽させた後、そのまま水耕栽培する方法;養分を含んだ寒天上で無菌的に組織培養し育苗する方法等を採用できる。
好ましくは、養液を循環させて栽培する栽培装置での栽培が採用される。
栽培装置は、勾配をもたせた栽培ベッドと多数の植え穴を穿設した定植パネル板を有し、前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置し、前記栽培ベッドの底面の上面側に養液を供給して植物を栽培するよう構成されていることが好ましい。
養液は、窒素、リン酸、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどの栄養分を含み、さらに微量の鉄、銅、マンガン、亜鉛、モリブデン、ホウ素などを含むこともある。
栽培装置は、供給する養液を予め設定された温度範囲内に保持する温度調整手段と上記養液の濃度調整手段とを備えてもよい。
温度調整手段は、循環する養液の温度を、年間を通して予め設定された範囲内に保持することができる。この温度調整手段は、養液タンク内の温度を検出する温度センサと、養液タンク内に配置されて養液と熱交換する熱交換器と、この熱交換器に熱媒体を供給する熱媒体供給ライン(温度調整ライン)と、この熱媒体供給ラインに介装されて温度センサからの検出信号により上記熱媒体の熱交換器への供給量を制御する制御弁等から構成することができる。
濃度調整手段は、互いに種類や濃度の異なる養液を貯留する複数の養液の原液タンクと、各々の原液タンク内の養液の原液をポンプによって養液タンクへ送る移送ラインと、これら移送ラインに介装された三方切換弁(開閉弁)等から構成することにより、循環する養液の濃度を調整することができる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[試験例1:シロイヌナズナの高密度栽培]
1 播種
アブラナ科植物のシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana (L.) accession Col-0)種子を滅菌後、植物支持体内の寒天(0.7%)上に播種した。植物支持体は、文献(Conn et al.(2013) Plant Methods. 9:4)記載の方法を参考にして、1.5 mlの黒色マイクロチューブの蓋の中央に直径2mm程度の穴を開け、蓋の内側に寒天(0.7%)を固めて作成した。植物支持体は、フローターラック(24 well floater microtube rack,blue with hinged lid,5100-43,Scientific Specialties社)に差し込んだ。
フローターラックに、育苗用液体肥料(大塚ハウスS1号(大塚アグリテクノ株式会社)0.713 g/L、大塚ハウス5号(同)0.012 g/L、大塚ハウス2号(同)0.475 g/L、pH 5.8)を植物支持体中の寒天部分が漬かる程度まで入れた。フローターラックの蓋をして3日間、4℃、暗所に静置した。
2 育苗
フローターラックの蓋を外し、人工気象器(NC-410HC、日本医化器械製作所)に移した。室温22℃、湿度85%、光合成光量子束密度(PPFD)100-130 μmol/m2・秒、16時間明/8時間暗の光サイクルにて7日間生育させた。育苗中は、植物支持体内の寒天が乾かないように、育苗用液体肥料を適宜追加した。
3 栽培
苗を植物支持体ごと、シロイヌナズナ用高密度栽培パネル(W585 mm×D290 mm、縦14穴横25穴の合計350穴)(図1)に移植した。36株を横6株×縦6株の方形状に最密で配置、あるいは48株を横8株×縦6株の方形状に最密で配置し、周り四方向全てに隣接植物が存在する植物を高密度栽培植物として扱った(図2)。比較のため、植物個体同士が触れ合わないように移植・栽培したものを疎植栽培植物とした。
栽培は、湛液方式(deep flow technique, DFT方式)にて行い、環境条件及び養液条件は以下のとおりに制御した。
[環境条件]
- 気温:22℃
- 相対湿度:70%
- CO2濃度:500 ppm
- 照明:PPFD 100-130μmol/m2・秒、16時間明/8時間暗の光サイクル、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
[養液条件]
液体肥料は、肥料A液(大塚ハウスS1号(大塚アグリテクノ株式会社)150 g/L)、肥料B液(大塚ハウス2号(同)100 g/L)を水に溶解し、等量に混合して使用した。
pH調整には、pH調整剤ダウン(大塚アグリテクノ株式会社)及び4% KOH水溶液を用いた。
液体肥料の電気伝導度(electrical conductivity, EC)及びpHは、「らくらく肥料管理機3」(株式会社セムコーポレーション)を用いてEC 1.4 mS/cm、pH 5.8になるように調整した。
循環養液の温度は22℃に制御した。
植物を高密度栽培用パネルへ移植後7日目から19日目までの期間、暗期(植物上方からの光を照射しない時間帯。22:00〜6:00の間。)に、植物下方からの上向光照射を以下の条件で行った。
[LED上向光照射装置の設置]
シロイヌナズナ地上部を植物下方から上向光照射するため、赤(600-700 nm)、青(400-500 nm)または白(400-700 nm)で発光する幅2.5 mmの超極細テープLED(超極細2.5mm 2012テープLED、DC12V専用、LED PARADISE Internet Shop)を使用した。テープLEDは、防水のため、直径3 mmの透明熱収縮シリコンチューブ(スミチューブA、住友電気工業株式会社)に通し、チューブ両端を加熱・密閉した。高密度栽培した植物間に、図3に示すようにテープLEDを設置し、植物下方からの上向光照射を行った。LEDは調光コントローラー(LED PARADISE Internet Shop)及びデジタルタイマースイッチ(LED PARADISE Internet Shop)に接続し、光量と点灯時間を制御した。
[上向光照射条件]
LED上向光強度(PPFD)は、テープLEDの真上1 cmの距離で測定し、赤色光は10 μmol/m2・秒、青色光と白色光は35 μmol/m2・秒に制御した。
比較のため、移植後7日目から18日目までの期間、同様の植物下方からの上向光照射を明期(植物上方からの光を照射する時間帯。6:00〜22:00の間。)に行う群と、暗期及び明期ともに上向光照射を行わない群(対照群)も設けた。
4 徒長抑制の評価
暗期上向光照射群及び対応する対照群からは移植後19日目(播種後29日目)に、明期上向光照射群及び対応する対照群からは移植後18日目(播種後28日目)にサンプルを得た。植物の子葉を除いた下から6番目の本葉の葉柄割合を算出した。
葉柄割合=葉柄の長さ/葉の全長(葉身長軸の長さ+葉柄の長さ)
結果を表1に示す。表は、各色(赤、青、白)は12株ずつ、対照(上向光照射なし)は36株の平均値を示す。
Figure 2021145605
暗期上向光照射群及び明期上向光照射群のいずれにおいても対照群に比して徒長の抑制がみられた。しかし、暗期上向光照射群の上向光総照射時間が96時間であるのに対して、明期上向光照射群の上向光総照射時間は172時間であることから、暗期上向光照射では明期上向光照射に比してより短い時間で同等以上の徒長の抑制効果が得られ、密植障害の発生をより効果的に抑制できることが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 植物の高密度栽培方法であって、
    明暗サイクルを含み、
    暗期においてのみ、植栽面から最遠位の葉と、植栽面と、の間に配設した光源から上向光を前記植物に照射する手順を含む、方法。
  2. 前記光源が、植栽面と略同一平面に配設される、請求項1記載の方法。
  3. 明期における照明光が光合成光量子束密度(PPFD)50−200μmol/m2・秒の人工光であり、
    暗期における前記上向光のPPFDが10μmol/m2・秒以上、かつ、明期における照明光のPPFDの1/2以下である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 明期における照明光が自然光であり、
    暗期における前記上向光のPPFDが10μmol/m2・秒以上100μmol/m2・秒以下である、請求項1又は2記載の方法。
  5. 前記植物が、葉菜類である、請求項1−4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記植物が、アブラナ科の葉菜類である、請求項1−4のいずれか一項に記載の方法。
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CN115568385A (zh) * 2022-09-20 2023-01-06 福建省中科生物股份有限公司 一种采用暗期补光的生菜栽培方法

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