JP2021144209A - 光学積層体 - Google Patents

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【課題】屈曲された場合でもクラックの発生を抑制できる光学積層体を提供する。【解決手段】光学積層体は、円偏光板60、第2粘着剤層70をこの順に備える。光学積層体の積層方向に沿う断面において、円偏光板60と第2粘着剤層70の界面Lと、円偏光板60の端面EFにおける界面Lでの接線Pと、がなす角度をθとしたときに、θ≧80°を満たす。【選択図】図6

Description

本発明は、光学積層体に関する。
従来、前面板、第1粘着剤層、円偏光板、第2粘着剤層、をこの順に備える光学積層体が知られている。このような光学積層体は、刃やレーザによって、原反から所望の大きさに切断されている。
特開2019−218513号公報
発明者らが検討したところ、従来の光学積層体をフレキシブルディスプレイに使用すると、折り曲げた時に光学積層体の端部にクラックが発生する場合があることが判明した。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、屈曲された場合でもクラックの発生を抑制できる光学積層体を提供することを目的とする。
本発明の一側面にかかる光学積層体は、円偏光板、及び、第2粘着剤層、を備える光学積層体であって、前記光学積層体の積層方向に沿う断面において、前記円偏光板と前記第2粘着剤層の界面と、前記円偏光板の端面における前記界面での接線と、がなす角度をθとしたときに、θ≧80°を満たす。
本発明の他の一側面にかかる光学積層体は、前面板、第1粘着剤層、円偏光板、第2粘着剤層、をこの順に備える光学積層体であって、前記光学積層体の積層方向に沿う断面において、前記円偏光板と前記第2粘着剤層の界面と、前記円偏光板の端面における前記界面での接線と、がなす角度をθとしたときに、θ≧80°を満たす。
ここで、前記光学積層体の積層方向に沿う断面において、前記円偏光板の中央部の厚みをT1とし、前記T1を基準とした前記円偏光板の端部の厚みの増加量をT2としたときに、T2/T1が10%以上であることができる。
また、前記円偏光板は、直線偏光板、及び、位相差板を有することができる。
また、前記位相差板は、λ/4板を有することができる。
本発明によれば、屈曲された場合でもクラックの発生を抑制できる光学積層体が提供される。
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学積層体100の積層構造を示す概略断面図である。 図2は、本発明の1実施形態に係る前面板10の概略端面図である。 図3は、本発明の1実施形態に係る直線偏光板30の概略端面図である。 図4の(a)〜(d)は、本発明の1実施形態に係る位相差板50の概略端面図である。 図5は、本発明の第2実施形態に係る光学積層体100の積層構造を示す概略断面図である。 図6は、図1及び図5の光学積層体100の円偏光板60及び第2粘着剤層70の端面における拡大図である。 図7は、本発明の光学積層体の製造工程におけるレーザの焦点位置を説明する概略図である。 図8は、実施例及び比較例に係る光学積層体の積層構造を示す概略端面図である。 図9は、実施例及び比較例に係る他の光学積層体の積層構造を示す概略端面図である。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る光学積層体100は、図1に示すように、主として、前面板10、第1粘着剤層20、円偏光板60、第2粘着剤層70をこの順に備える。なお、Z方向は積層方向であり、+Zが視認側であり、人は+Z方向に出射する光をとらえる。また、X方向が屈曲軸であり、Y方向が屈曲軸と垂直な方向である。
(前面板)
前面板10は、光を透過可能かつ屈曲可能な板状体であれば材料および厚みは限定されることはなく、1層のみから構成されてよく、2層以上から構成されてもよい。その例としては、樹脂製の板状体(例えば樹脂板、樹脂シート、樹脂フィルム等)、ガラス製の板状体(例えばガラス板、ガラスフィルム等)、樹脂製の板状体とガラス製の板状体との積層体が挙げられる。前面板は、表示装置の最表面を構成する層であることができる。
前面板10の厚みは、例えば30μm以上1,000μm以下であってよく、好ましくは50μm以上1,000μm以下であり、より好ましくは50μm以上500μm以下である。
前面板10が樹脂製の板状体である場合、樹脂製の板状体は、光を透過可能なものであれば限定されることはない。樹脂としては、例えばトリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリ(メタ)アクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリアミドイミドなどの高分子で形成されたフィルムが挙げられる。これらの高分子は、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。強度および透明性向上の観点から好ましくはポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミドなどの高分子で形成された樹脂フィルムである。樹脂製の板状体の厚みは、例えば30μm以上2,000μm以下であってよく、好ましくは50μm以上1,000μm以下であり、より好ましくは50μm以上500μm以下であり、100μm以下であってもよい。
前面板10は、図2に示すように、基材フィルム14の少なくとも一方の面にハードコート層12を設けて硬度をより向上させた構造を有してよい。基材フィルム14としては、上記の樹脂製の板状体を用いることができる。ハードコート層12は、基材フィルム14の一方の面(例えば視認側すなわち第1粘着剤層とは反対側)に形成されていてもよいし、両方の面に形成されていてもよい。ハードコート層12を設けることにより、硬度および耐スクラッチ性を向上させた前面板10とすることができる。ハードコート層12は、例えば紫外線硬化型樹脂の硬化層である。紫外線硬化型樹脂としては、例えばアクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂等が挙げられる。ハードコート層12は、硬度を向上させるために、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は限定されることはなく、無機系微粒子、有機系微粒子、またはこれらの混合物が挙げられる。
ハードコート層12の視認側には、耐摩耗性を向上させたり、皮脂などによる汚染を防止したりするために、耐摩耗層が形成されていることも好ましい。前面板は、耐摩耗層を有することができ、耐摩耗層は、前面板の視認側表面を構成する層であることができる。耐摩耗層はフッ素化合物由来の構造を含む。フッ素化合物としてはケイ素原子を有し、ケイ素原子にアルコキシ基やハロゲンのような加水分解性の基を有する化合物が好ましい。加水分解性基が脱水縮合反応することにより塗膜を形成することができ、また基材表面の活性水素と反応することにより耐摩耗層の密着性を向上させることができる。さらにフッ素化合物は、パーフルオロアルキル基やパーフルオロポリエーテル構造を有すると撥水性を付与することができるので好ましい。特に好ましいのはパーフルオロポリエーテル構造と炭素数4以上の長鎖のアルキル基とを有する含フッ素ポリオルガノシロキサン化合物である。フッ素化合物としては2種類以上の化合物を用いることも好ましい。さらに含むことが好ましいフッ素化合物としては、炭素数2以上のアルキレン基、及びパーフルオロアルキレン基を含む含フッ素オルガノシロキサン化合物である。
耐摩耗層の厚さは、例えば1〜20nmである。また、耐摩耗層は撥水性を有しており、水接触角が例えば110〜125°程度である。滑落法で測定した接触角ヒステリシス及び滑落角は、それぞれ3〜20°程度、2〜55°程度である。更に、耐摩耗層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、シラノール縮合触媒、酸化防止剤、防錆剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防カビ剤、抗菌剤、生物付着防止剤、消臭剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤等、各種の添加剤を含有していてもよい。
耐摩耗層とハードコート層12との間にはプライマー層を設けてもよい。プライマー剤として、例えば紫外線硬化型、熱硬化型、湿気硬化型、あるいは2液硬化型のエポキシ系化合物等のプライマー剤がある。また、プライマー剤として、ポリアミック酸を用いてもよく、シランカップリング剤を用いることも好ましい。プライマー層の厚さは、例えば0.001〜2μmである。
耐摩耗層とハードコート層12とを含む積層体を得る方法としては、ハードコート層12の上に、必要に応じてプライマー剤を塗布、乾燥、硬化させてプライマー層を形成させた後、フッ素化合物を含む組成物(耐摩耗層コーティング用組成物)を塗布、乾燥することで形成できる。塗布する方法としては、例えばディップコート法、ロールコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、ダイコート法、グラビアコーター法などが挙げられる。また、プライマー剤、または、耐摩耗層コーティング用組成物を塗布する前に、塗布面をプラズマ処理、コロナ処理、又は紫外線処理等の親水化処理を施すことも好ましい。この積層体は前面板に直接積層することもできるし、別の透明基材の上に積層したものを接着剤や粘着剤を用いて前面板に貼合することもできる。
前面板10がガラス板である場合、ガラス板は、ディスプレイ用強化ガラスが好ましく用いられる。ガラス板の厚みは、例えば10μm以上1,000μm以下であってよい。
ガラス板を用いることにより、優れた機械的強度および表面硬度を有する前面板10を構成することができる。
光学積層体100が表示装置に用いられる場合、前面板10は、表示装置におけるウィンドウフィルムとしての機能を有していてよい。前面板10は、タッチセンサとしての機能、ブルーライトカット機能、視野角調整機能等を有するものであってもよい。
(第1粘着剤層)
図1に示すように、第1粘着剤層20は、前面板10及び円偏光板60の間に配置され、これらを固定している。
粘着剤とは、感圧性接着剤であり、室温付近(例えば25℃)の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料を言う。
第1粘着剤層20の主成分は特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリビニルエーテル系ポリマー、ゴム系ポリマー等のポリマーであることができる。本明細書において、主成分とは、層の全固形分のうち50質量%以上を含む成分をいう。なお本明細書において「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂およびメタクリル系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。
(メタ)アクリル系樹ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルのような(メタ)アクリル酸エステルの1種または2種以上をモノマーとする重合体または共重合体が好適に用いられる。ベースポリマーには、極性モノマーを共重合させることが好ましい。極性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートのような、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基等を有するモノマーを挙げることができる。
粘着剤は、上記ベースポリマーのみを含むものであってもよいが、通常は架橋剤をさらに含有する。架橋剤としては、2価以上の金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの;ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの;ポリエポキシ化合物やポリオールであって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの;ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するものが例示される。中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。
第1粘着剤層20は、紫外線や電子線などの活性エネルギー線で硬化する活性エネルギー線硬化型、又は、加熱により硬化する熱硬化型であってもよい。この場合、活性エネルギー線照射前においても粘着性を有してフィルム等の被着体に密着させることができ、活性エネルギー線の照射によって硬化して密着力の調整ができる。活性エネルギー線硬化型粘着剤は、ベースポリマー、架橋剤に加えて、活性エネルギー線重合性化合物をさらに含有する。さらに必要に応じて、光重合開始剤や光増感剤等を含有させることもある。
第1粘着剤層20は、ポリマーに加えて溶剤;粘着付与剤、軟化剤、充填剤(金属粉やその他の無機粉末等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、着色剤、消泡剤、腐食防止剤、光重合開始剤等の添加剤を含むことができる。
第1粘着剤層20の厚みは特に限定されないが、2μm以上であることが好ましく、15μm以上であってもよく、20μm以上であってもよく、25μm以上であってもよく、通常200μm以下であり、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
第1粘着剤層20は、25℃における貯蔵弾性率が1×10Pa(1MPa)以下であることが好ましく、5×10Pa(0.5MPa)以下であることがより好ましく、3×10Pa(0.3MPa)以下であることがさらに好ましい。貯蔵弾性率が1×10Pa(1MPa)以下であると、折り曲げにより気泡が発生しにくくなったり、表示ムラが生じにくくなったりするので好ましい。また貯蔵弾性率は、1×10Pa(0.01MPa)以上であることが好ましく、2×10Pa(0.02MPa)以上であることがより好ましく、3×10Pa(0.03MPa)以上であることがさらに好ましい。貯蔵弾性率が1×10Pa(0.01MPa)以上であると、製造作業時に他の部品に粘着剤が付着しにくい傾向にあるので好ましい。また粘着剤の80℃における貯蔵弾性率は、5×10Pa(0.5MPa)以下が好ましく、3×10Pa(0.3MPa)以下がより好ましく、1×10Pa(0.1MPa)以下がさらに好ましく、5×10Pa(0.05MPa)以下が特に好ましく、3×10Pa(0.03MPa)以下が殊更好ましい。80℃における貯蔵弾性率が、5×10Pa(0.5MPa)以下であると加熱作業における流動性が良好なため気泡の発生等が抑制される傾向にあるので好ましい。
貯蔵弾性率は、粘弾性測定装置(MCR−301、Anton Paar社)を使用して測定することができる。粘着剤層を、厚みが150μmとなるように複数枚積層してガラス板に接合後、測定チップと接着した状態で−20℃から100℃の温度領域で周波数1.0Hz、変形量1%、昇温速度5℃/分の条件下にて測定を行うことができる。
第1粘着剤層20の損失正接は、例えば0.7以下であることができ、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.3以下である。
(円偏光板)
円偏光板60は、直線偏光板30、位相差板50、及び、これらの間に配置されこれらを固定する貼合層40を備える。直線偏光板30は、位相差板50よりも前面板10に近くなるように配置される。すなわち、前面板10側(視認側)から順に、直線偏光板30、貼合層40、及び、位相差板50が配置される。円偏光板は、貼合層40を有さなくてもよい。
(直線偏光板)
直線偏光板30は、自然光等の非偏光な光線からある一方向の直線偏光を選択的に透過させる機能を有するものである。図3に示すように、直線偏光板30は、偏光子層34を有し、偏光子層34の片面又は両面に設けられた保護層32,36をさらに有することができる。
偏光子層34は、二色性色素が吸着した延伸フィルムであってもよく、重合性液晶化合物の硬化物及び二色性色素を含み、この二色性色素が重合性液晶化合物の硬化物中に分散し配向した液晶層であることもできる。二色性色素は、分子の長軸方向における吸光度と短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。
(偏光子層が延伸フィルムの場合)
二色性色素が吸着した延伸フィルムは、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素等の二色性色素で染色することにより、その二色性色素を吸着させる工程、二色性色素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て製造される。得られた延伸フィルムの偏光子層をそのまま直線偏光板として用いてもよく、その片面又は両面に保護層を形成した直線偏光板として用いてもよい。こうして得られる偏光子層の厚みは、好ましくは2μm〜40μmである。
ポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することによって得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニルとそれに共重合可能な他の単量体との共重合体が用いられる。酢酸ビニルに共重合可能な他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類、アンモニウム基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98モル%以上である。ポリビニルアルコール系樹脂は変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールも使用することができる。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度であり、好ましくは1,500〜5,000の範囲である。
延伸前のポリビニルアルコール系樹脂フィルムの膜厚は、例えば、10μm〜150μm程度とすることができる。
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの一軸延伸は、二色性色素による染色の前、染色と同時、又は染色の後で行うことができる。一軸延伸を染色の後で行う場合、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。また、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸にあたっては、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また一軸延伸は、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤を用い、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを膨潤させた状態で延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常3〜8倍程度である。
延伸フィルムを偏光子層とし、その片面又は両面に保護層を備える直線偏光板の厚みは、例えば1μm以上100μm以下であってよく、5μm以上であってもよく、7μm以上であってもよく、また、70μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
偏光子層34の片面又は両面に設けられる保護層32,36の材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、環状ポリオレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのような樹脂からなる酢酸セルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートのような樹脂からなるポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等、当分野において公知の樹脂を挙げることができる。保護層の厚みは、薄型化の観点から、通常100μm以下であり、50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、また、通常5μm以上であり、10μm以上であることが好ましい。保護層は、フィルムあってもよく、フィルム状の保護層は、位相差を有していてもよい。保護層がフィルムである場合、偏光子層と保護層とは、粘着剤層や接着剤層を介して積層することができる。粘着剤層や接着剤層は、上記した粘着剤組成物や接着剤組成物を用いて形成することができる。
(偏光子層が液晶層である場合)
液晶層を形成するために用いる重合性液晶化合物は、重合性反応基を有し、かつ、液晶性を示す化合物である。重合性反応基は、重合反応に関与する基であり、光重合性反応基であることが好ましい。光重合性反応基は、光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基をいう。光重合性官能基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。重合性液晶化合物の種類は特に限定されず、棒状液晶化合物、円盤状液晶化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。重合性液晶化合物の液晶性は、液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック性液晶でもよく、相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でもよい。
液晶層を用いた偏光子層に用いられる二色性色素としては、300〜700nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素、及びアントラキノン色素等が挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素、及びスチルベンアゾ色素等が挙げられ、好ましくはビスアゾ色素、及びトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、2種以上を組み合わせてもよいが、3種以上を組み合わせることが好ましい。特に、3種以上のアゾ化合物を組み合わせることがより好ましい。二色性色素の一部が反応性基を有していてもよく、また液晶性を有していてもよい。
液晶層を用いた偏光子層は、例えば基材上に形成した配向層上に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む偏光層形成用組成物を塗布し、重合性液晶化合物を重合して硬化させることによって形成することができる。あるいは、基材上に、偏光子層形成用組成物を塗布して塗膜を形成し、この塗膜を基材層とともに延伸することによって、偏光子層を形成してもよい。偏光子層を形成するために用いる基材は、偏光子層の保護層として用いてもよい。基材としては、樹脂フィルムを挙げることができ、例えば、上記した保護層をなす材料を用いて成形したフィルムが挙げられる。
重合性液晶化合物及び二色性色素を含む偏光子層形成用組成物、及びこの組成物を用いた偏光子層の製造方法としては、特開2013−37353号公報、特開2013−33249号公報、特開2017−83843号公報等に記載のものを例示することができる。偏光子層形成用組成物は、重合性液晶化合物及び二色性色素に加えて、溶媒、重合開始剤、架橋剤、レベリング剤、酸化防止剤、可塑剤、増感剤などの添加剤をさらに含んでいてもよい。これらの成分は、それぞれ、1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
偏光子層形成用組成物が含有していてもよい重合開始剤は、重合性液晶化合物の重合反応を開始し得る化合物であり、より低温条件下で、重合反応を開始できる点で、光重合性開始剤が好ましい。具体的には、光の作用により活性ラジカル又は酸を発生できる光重合開始剤が挙げられ、中でも、光の作用によりラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の総量100重量部に対して、好ましくは1質量部〜10質量部であり、より好ましくは3質量部〜8質量部である。この範囲内であると、重合性基の反応が十分に進行し、かつ、液晶化合物の配向状態を安定化させやすい。
液晶層を用いた偏光子層の厚みは特に限定されないが、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、3μm以下であってもよい。厚みの下限はないが、0.5μm以上であってよい。
液晶層を用いた偏光子層34は、図3に示すように、偏光子層34の片面又は両面にオーバーコート層とも呼ばれる保護層32,36を有していてもよい。オーバーコート層は、直線偏光層の保護等を目的として設けることができる。保護層は、例えば、直線偏光層上に保護層形成用材料(組成物)を塗布することによって形成することができる。保護層形成用材料としては、例えば、光硬化性樹脂や水溶性ポリマー等が挙げられ、(メタ)アクリル系樹脂やポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。保護層の厚みは、0.5〜5μmとすることができる。液晶層を用いた偏光子層34と、その片面又は両面に保護層を備える直線偏光板の厚みは、10〜40μmとすることができる。
(貼合層40)
貼合層40に特に限定はなく、第1粘着剤層と同様の粘着剤層であってもよく、接着剤層であってもよい。厚みは、2〜50μmとすることができる。
貼合層が接着剤層である場合、接着剤層を形成するために用いる接着剤組成物としては特に限定されず、例えば、水系接着剤や、活性エネルギー線硬化型接着剤等を挙げることができる。
水系接着剤としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂水溶液、水系二液型ウレタン系エマルジョン接着剤等を挙げることができる。活性エネルギー線硬化型接着剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射することによって硬化する接着剤であり、例えば重合性化合物及び光重合性開始剤を含むもの、光反応性樹脂を含むもの、バインダー樹脂及び光反応性架橋剤を含むもの等を挙げることができる。上記重合性化合物としては、光硬化性エポキシ系モノマー、光硬化性(メタ)アクリル系モノマー、光硬化性ウレタン系モノマー等の光重合性モノマーや、これらモノマーに由来するオリゴマー等を挙げることができる。上記光重合開始剤としては、紫外線等の活性エネルギー線を照射して中性ラジカル、アニオンラジカル、カチオンラジカルといった活性種を発生する物質を含むものを挙げることができる。
(位相差板)
位相差板50は、少なくともλ/4板を含む。λ/4板は、入射光の進行方向に直交する方向(フィルムの面内方向)にλ/4の位相差を与えるフィルムである。λ/4板の遅相軸と、直線偏光板30の吸収軸とのなす角は、45°±10°であることができる。λ/4板は、逆波長分散性であってもよい。
λ/4板は、セルロース系フィルム、オレフィン系フィルム、ポリカーボネート系フィルム等の高分子フィルムを延伸することで製造される延伸型位相差板であってもよい。必要により位相差調整剤、可塑剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、顔料や染料のような着色剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、溶剤等を含んでいてもよい。延伸型λ/4位板の厚さは、100μm以下であってもよく、好ましくは、1μm〜50μmである。厚さが100μmを超えると柔軟性が低下することがある。
さらにλ/4板の他の一例としては、液晶組成物を塗布して形成する液晶塗布型λ/4板であってもよい。液晶組成物は、ネマチック、コレステリック、スメクチック等の液晶状態を示す性質を有する液晶性化合物を含む。液晶組成物の中の液晶性化合物を含むいずれかの化合物は重合性官能基を有している。液晶塗布型λ/4板はさらに開始剤、溶剤、分散剤、レベリング剤、安定剤、界面活性剤、架橋剤、シランカップリング剤などを含むことができる。液晶塗布型λ/4板は、基材に設けた配向膜上に液晶組成物を塗布硬化して液晶位相差層を形成することで製造することができる。液晶塗布型λ/4板は、延伸型λ/4板に比べて厚さを薄く形成することができる。液晶塗布型λ/4板の厚さは0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。前記液晶塗布型λ/4板は基材から剥離して転写して積層することもできるし、前記基材をそのまま積層することもできる。
前記基材が、保護フィルムや位相差板、前面板の透明基材としての役割を担うことも好ましい。
一般的には、短波長ほど複屈折が大きく長波長になるほど小さな複屈折を示す材料が多い。この場合には全可視光領域でλ/4の位相差を達成することはできないので、視感度の高い560nm付近で位相差値がλ/4となるような面内位相差100〜180nm、好ましくは130〜150nmとなるように設計されることが多い。通常とは逆の複屈折率波長分散特性を有する材料を用いた逆分散λ/4板を用いることは視認性をよくすることができるので好ましい。このような材料としては延伸型板の場合は特開2007‐232873号公報等、液晶塗布型板の場合には特開2010‐30979号公報記載されているものを用いることも好ましい。
図4の(a)に示すように、位相差板50はλ/4板52のみからなってもよい。
図4の(b)〜(d)に示すように、位相差板50は、λ/4板52以外に、別の位相差を与える板を1又は複数有していてもよい。他の位相差を与える板の例は、λ/2板、及び、ポジティブC板である。
λ/2板は、入射光の進行方向に直交する方向(フィルムの面内方向)にλ/2の位相差を与えるフィルムである。λ/2板もλ/4板と同様の材料方法で製造されることができる。λ/4板にλ/2板を組み合わせることで広帯域λ/4位相差板を得る技術が知られている(特開平10−90521号公報)。λ/2板の厚さは0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。
ポジティブC板は、nx≒ny<nzを満たすフィルムである。「≒」とは、両者が完全に同一である場合だけでなく、両者が実質的に同一である場合も包含する。「実質的に同一」とは、例えば、(nx−ny)×d(ただし、dはフィルムの厚みである)が、0〜10nm、好ましくは0〜5nmの場合も「nx≒ny」に含まれる。
λ/4板にポジティブC板を追加すると、斜め方向の視認性を高めることができる(特開2014‐224837号公報参照)。ポジティブC板は、液晶塗布型位相差板であっても延伸型位相差板であってもよい。厚み方向の位相差は−200〜−20nm好ましくは−140〜−40nmである。ポジティブC板の厚さは0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmであってもよい。
位相差板50が、位相差を与える板を2枚以上有する場合、位相差を与える板(例えば、λ/4板とポジティブC板)同士を貼合するための貼合層54を有していることができる。貼合層としては、上述した粘着剤でもよく、接着剤でもよい。貼合層の厚みは、0.5〜10μmとすることができる。
位相差板50が、ポジティブC板を含む場合、図4の(b)に示すように、直線偏光板30側から順に、λ/4板52、貼合層54、及び、ポジティブC板56を有してもよく、図4の(c)に示すように、直線偏光板30側から順に、ポジティブC板56、貼合層54、及び、λ/4板52を有してもよい。
位相差板50が、λ/4板、及び、λ/2板を含む場合、図4の(d)に示すように、直線偏光板30側から順に、λ/2板58、貼合層54、及び、λ/4板52を有していることができる。λ/4板52の遅相軸と、λ/2板58の遅相軸とのなす角は、60°±10°であることができる。
上述したように、それぞれの位相差を与える板は、延伸フィルムを含んでもよいし、重合性液晶化合物が硬化した層を含んでもよい。位相差を与える板は、さらに配向膜や基材フィルムを含んでいてもよい。
また、位相差板50は、各位相差を与える板の表面を保護するオーバーコート層を有していてもよい。
位相差板50の厚みは特に限定されないが、例えば1μm以上50μm以下とすることができる。
円偏光板60は、前面板10から入射した外光の反射光の出射を抑制することができるため、光学積層体100に反射防止フィルムとしての機能を付与することができる。
(第2粘着剤層)
第2粘着剤層70は、円偏光板60において、第1粘着剤層20とは反対側の面すなわち位相差板50の表面に設けられている。第2粘着剤層70は、光学積層体をタッチセンサパネルや有機EL表示素子に貼合するための粘着剤層であることができる。
第2粘着剤層70の材料に特に限定はなく、第1粘着剤層20と同様の材料を使用でき、厚みも同様の範囲で適宜設定できる。
(セパレータ)
第2粘着剤層70の下には、セパレータ80を有していることが好適である。セパレータ80の材料に特に限定はなく、第2粘着剤層70から剥離可能であればよい。セパレータの厚みは特に限定されないが、例えば10μm以上50μm以下とすることができる。
(プロテクトフィルム)
前面板10の上には、プロテクトフィルム90を有していてもよい。また、セパレータ80の下にもプロテクトフィルムを有していてもよい。プロテクトフィルムの材料に特に限定はなく、前面板10等から剥離可能であればよく、粘着剤層を有してもよい。プロテクトフィルムが粘着剤層を有する場合、プロテクトフィルムは、粘着剤層ごと前面板等から剥離可能であることができる。プロテクトフィルムの厚みは特に限定されないが、例えば20μm以上200μm以下とすることができる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係る光学積層体100の積層構造を説明する。第1実施形態と同じ事項については記載を省略する。本実施形態の光学積層体100は、図5に示すように、主として、円偏光板60及び第2粘着剤層70を備える。すなわち、本実施形態の光学積層体100は、前面板10及び第1粘着剤層20を備えない。円偏光板60の上には、プロテクトフィルム90が設けられていてもよい。第2粘着剤層70の下には、セパレータ80が設けられていてもよい。円偏光板60、第2粘着剤層70、プロテクトフィルム90、及び、セパレータ80については、第1実施形態と同様である。
(光学積層体の端面における円偏光板の角度)
続いて、第1実施形態及び第2実施形態の光学積層体100の端面における円偏光板の角度について説明する。
図6に示すように、光学積層体100の積層方向(Z方向)に沿う断面において、円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lと、円偏光板60の端面EFにおける界面Lでの接線Pとがなす角度をθとしたときに、θ≧80°を満たす。θは、82°以上であることが好ましく、84°以上であることがより好ましく、85°以上であることがさらに好ましい。θの上限は120°であることができる。上限は、110°であってもよい。界面Lは、後述の突起EPが生じていない場所における界面であることができる。
θが80°以上であると、屈曲試験を行った場合の光学積層体100におけるクラックの発生が抑制できる。この理由は明らかではないが、以下の作用機序が推測される。クラックは、位相差板に生じることが多い。光学積層体が上記角度θを有する場合、位相差板50の直下には、第2粘着剤層70が存在することになる。このような形態は、位相差板50の端部が外部に露出する面積を減少させ、第2粘着剤層70が位相差板50を支持する面積を増加させることができる。そのため、屈曲時に位相差板50へクラックが生じにくくなると考えられる。
光学積層体100の端面の全周にわたって、上記の関係式を満たしてもよく、端面の一部のみ上記の関係を満たしてもよい。端面における屈曲を受ける部分が上記の関係式を満たしていれば課題を解決しうる。例えば、光学積層体の平面形状が矩形であり、短辺同士が対向するように屈曲される場合には、一対の長辺に対応する2端面が上記の関係式を満たしていることが好適である。
図6に示すように、光学積層体100の積層方向(Z方向)に沿う断面において、円偏光板60の中央部の厚みをT1とし、T1を基準とした円偏光板60の端部の厚みの増加量をT2としたときに、T2はT1の10%以上であることができ、換言すればT2/T1×100が10%以上であることができる。T2/T1×100は11%以上であってよく、12%以上であってよく、13%以上であってよく、15%以上であってよく、17%以上であってよく、18%以上であってよい。T2/T1×100の上限はないが、例えば、20%以下であることができる。
レーザでなどで切断されると、円偏光板60の端部に突起EPが形成される傾向があり、円偏光板60の端部の厚みが中央部より大きくなる傾向がある。突起EPは、円偏光板の第1粘着剤層20側(光学積層体100が第1粘着剤層20を有さない場合には、円偏光板60における第2粘着剤層70が設けられた面とは反対面側)、第2粘着剤層70側、または両側に形成されてもよい。円偏光板60の端部の厚みが増えると、位相差板50にかかる応力の分散の効果により、クラックの発生をより抑制できる傾向がある。
光学積層体100は屈曲可能である。屈曲可能であるとは、前面板10側(光学積層体100が第1粘着剤層20を有さない場合には円偏光板60の側)が内側となるように屈曲した場合に、屈曲半径が1mmでの屈曲が可能であることを意味する。光学積層体100は、好ましくは光学積層体100の内面の屈曲半径が1mmでの屈曲回数が1万回であってもクラックが生じないことが可能である。
光学積層体100の厚みは、光学積層体に求められる機能および光学積層体の用途等に応じて異なるため特に限定されないが、例えば50μm以上1,000μm以下であり、好ましくは100μm以上500μm以下である。
光学積層体100の平面視形状は、例えば四角形であってよく、好ましくは長辺と短辺とを有する四角形であり、より好ましくは矩形である。光学積層体100の面方向の形状が矩形である場合、長辺の長さは、例えば10mm以上1400mm以下であってよく、好ましくは50mm以上600mm以下である。短辺の長さは、例えば5mm以上800mm以下であり、好ましくは30mm以上500mm以下であり、より好ましくは50mm以上300mm以下である。
光学積層体100は、例えば表示装置等に用いることができる。表示装置は特に限定されず、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(無機EL)表示装置、液晶表示装置、電界発光表示装置等が挙げられる。表示装置はタッチパネル機能を有していてよい。光学積層体100は、フレキシブルディスプレイなどの可撓性を有する表示装置に好適である。
なお、本明細書では、測定波長について特に付記がない場合は、測定波長は550nmである。
つづいて、上記の光学積層体の製造方法について説明する。
まず、光学積層体の原反を用意する。原反は従来公知の方法により製造することができる。例えば、各層を順に積層する、あるいは、第1実施形態の場合には、前面板10と、第2粘着剤層70付きの円偏光板60とを、第1粘着剤層20で貼り合わせること等により製造することができる。
つづいて、上記の原反を所望の平面形状に切断する。具体的には、レーザにより所望の形状に原反をカットする。この際に、図7に示すように、光学積層体100の厚み方向におけるレーザの焦点FPの位置を調節することにより、端面における円偏光板60のθの角度を制御できる。
ここで、光学積層体100の前面板10側から(光学積層体100が前面板10を有さない場合には光学積層体100の円偏光板60の側、すなわち、光学積層体100の視認側から)第2粘着剤層70側に向かって垂直にレーザLBを照射し、レーザの焦点FPの位置が円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lを基準として、前面板10側(円偏光板60の側)の方向に離れすぎないようにすればよい。本明細書では、レーザLBの焦点FPの位置を界面Lと焦点FPとの距離として表し、レーザの焦点FPが界面Lよりも円偏光板60側に位置する場合(図7の(d))を正(+)の符号とし、レーザの焦点FPが界面Lと一致する場合(図7の(c))をゼロとし、レーザの焦点FPが界面Lよりも第2粘着剤層70側に位置する場合(図7の(a)及び(b))を負(−)の符号とする。レーザの焦点FPの位置が、円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lから前面板10(円偏光板60の側)の方向(正の方向)に離れすぎると、角度θが80°を下回る傾向がある。例えば、レーザの焦点FPの位置が、円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lから前面板10(円偏光板60の側)の方向に320μm以内となるように、すなわち、界面Lと焦点FPとの距離が+320μm以下となるように)切断すれば、角度θが80°を上回る傾向がある。
好適なレーザは、COレーザであり、例えばカット速度320mm/secの条件で光学積層体をカットできる最小出力で裁断することができる。すなわち、レーザの焦点位置が円偏光板60と第2粘着剤層70との界面に近いほど、レーザの出力を小さくすることができる。円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lを基準位置(距離ゼロ)とし、前面板10側の方向を+としたときに、レーザの焦点位置が−500μm以上+1000μm以下である場合、レーザの出力は5W以上20W以下とすることができ、レーザの焦点位置が−500μm未満、または+1000μm超である場合、レーザの出力は20W超50W以下とすることができる。
レーザの移動速度(cutting速度)は、10mm/s以上1000mm/s以下とすることができ、100mm/s以上500mm/s以下とすることができる。
単位長さの走査で照射されるレーザ光のエネルギー(以下、照射エネルギーということがある。)は、1mJ/mm以上であることが好ましく、10mJ/mm以上であることがより好ましく、25mJ/mm以上であることがさらに好ましい。照射エネルギーの上限値は特に限定されないが、例えば1000mJ/mm以下であり、500mJ/mm以下であってもよいし、100mJ/mm以下であってもよい。
光学積層体は、フルカットで切断されることができる。一旦ハーフカットで光学積層体を裁断しない深さまで切り込みを入れて、再度、1回または複数回レーザ光を照射して、完全に光学積層体を切断してもよい。フルカットとは、積層方向にわたる全ての層を1回のレーザ光照射で切断することを意味する。切断工程をフルカットで行うことが好ましい。
図8に示す構造の光学積層体100を作製した。
プロテクトフィルム90/ハードコート層12/基材フィルム14/第1粘着剤層20/保護層(TAC)32/偏光子層34/保護層36/貼合層40/λ/4板52/貼合層54/ポジティブC板56/第2粘着剤層70/セパレータ80
(粘着剤層付前面板Aの作製)
厚み50μmの基材フィルム14の一方の面に厚み10μmのハードコート層12が形成された厚み60μmの前面板(ウィンドウフィルム)10、及び、第1粘着剤層20としてアクリル系粘着剤層(厚み25μm)を用意した。前面板の基材フィルム14はポリイミド系樹脂フィルムであり、ハードコート層12は末端に多官能アクリル基を有するデンドリマー化合物を含む組成物から形成された層である。その後、前面板10の基材フィルム14の表面と、第1粘着剤層20の表面とにコロナ処理した後、基材フィルム14と第1粘着剤層20とを貼合して粘着剤層付前面板Aを得た。コロナ処理は、周波数:20kHz/電圧:8.6kV/パワー:2.5kW/速度:6m/分の条件で行った。
(粘着剤層付円偏光板Bの作製)
保護層32としての厚み25μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムに光配向膜を形成した。二色性色素と重合性液晶化合物とを含む組成物を光配向膜上に塗布し、配向、硬化させて厚み2.5μmの偏光子層34を得た。当該偏光子層34上に、アクリル系樹脂組成物を塗布し、紫外線を照射して硬化させて、保護層36として厚み1μmのオーバーコート層を得て、直線偏光板30を得た。
当該保護層36(オーバーコート層)上に、液晶化合物が重合して硬化した層を含む位相差板50を、厚みが5μmの貼合層(粘着剤層)40を介して貼合した。位相差板50の層構成は、直線偏光板30側から順に、液晶化合物が硬化した層及び配向膜からなるλ/4板52(厚み3μm)、貼合層(粘着剤層)54(厚み5μm)、液晶化合物が硬化した層及び配向膜からなるポジティブC板56(厚み3μm)である。このようにして円偏光板60(厚み44.5μm)を得た。
その後、セパレータ80付きの第2粘着剤層70(アクリル系粘着剤層:厚み25μm)を用意した。位相差板50のポジティブC板56の表面と、第2粘着剤層70の表面とにコロナ処理を施し、位相差板50上にセパレータ80付きの第2粘着剤層70を積層した。なお、セパレータ80は、第2粘着剤層70から剥離可能である。
(光学積層体の作製)
粘着剤層付前面板Aの第1粘着剤層20の表面と、粘着剤層付円偏光板Bの保護層32(TAC)の表面とにコロナ処理を施し、ロール貼合機を用いてコロナ処理を施した面同士を貼合した。前面板10の表面上に、厚みが135μmのプロテクトフィルム90を積層した。プロテクトフィルム90は、PETフィルムとアクリル系粘着剤層とからなり、前面板10から剥離可能である。さらに、得られた光学積層体100の両表面に、工程用プロテクトフィルムを積層した。工程用プロテクトフィルムも、プロテクトフィルム90及びセパレータ80から剥離可能である。
このようにして、図8の光学積層体100を得た。
続いて、図9に示す構造の光学積層体100を作製した。
プロテクトフィルム90/保護層(TAC)32/偏光子層34/保護層36/貼合層40/λ/4板52/貼合層54/ポジティブC板56/第2粘着剤層70/セパレータ80
具体的には、上述のように作製した粘着剤層付円偏光板Bの保護層32の上に、粘着剤層付前面板Aを貼り付けることなく、上述のプロテクトフィルム90を積層する以外は、図8の光学積層体100と同様に作製した。
得られた図8又は図9の光学積層体をLaserCutting機(LPTSLC-M、LPTech社製)を用いて、光学積層体100の前面板10側又は円偏光板60側から第2粘着剤層70側に向かって垂直にレーザを照射し、20mm×110mmの大きさの矩形形状に切った。切断はフルカットで行った。各実施例、比較例において、レーザの焦点位置は、円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lを基準位置(距離ゼロ)とし、前面板10側(円偏光板60側)の方向を+としたときに、表に示すとおりに設定した。また、レーザの出力、移動速度、及び、照射エネルギーも表に示すように設定した。さらに、各実施例及び比較例において用いた光学積層体も表1に示す。
(光学積層体の評価)
[角度と盛り上がりの測定]
角度θ:矩形形状にレーザでカットされた光学積層体を、厚み方向に沿う方向にダイヤモンドナイフで切断して断面を得、電子顕微鏡:日立ハイテクノロジーズ(株)製SU8010を用いて端部の断面写真を撮影した。断面写真において、図6に示すように、円偏光板60と第2粘着剤層70との界面Lと、円偏光板60の端面EFにおける界面Lでの接線Pとがなす角度を測定した。
円偏光板の端部の膨れ:上記の断面写真において、円偏光板60の端部EPの最大厚みを測定し、当該最大厚みから中央部の厚みT1(40μm)を引き算して、中央部に対する端部の厚み増加量T2を求め、T1で除して端部における厚みの増加率(T2/T1×100)を求めた。
(屈曲試験)
(有機ELパネル代用フィルムの準備)
2枚のポリイミド系樹脂フィルムと、これらの間に配置された粘着剤層を有し、全体で95μmの厚みを有する有機ELパネル代用積層体を得た。得られた代用積層体をLaserCutting機(LPTSLC-M、LPTech社製)を用いて、22mm×112mmの大きさに切った。Laser Cuttingは、速度:240mm/sec、出力:24Wの条件で切った。
(屈曲試験片の準備)
光学積層体100から、一対の工程用プロテクトフィルムを剥離し、さらにセパレータ80を剥離した。露出した第2粘着剤層70と、代用積層体とを、ロール貼合機を用いて貼合した。なお、第2粘着剤層70及び代用積層体の表面には、貼合前にコロナ処理を施した。このようにして屈曲試験片を得た。
(屈曲試験)
屈曲試験は温度25℃において行った。屈曲試験機(F1-2SV、Forehu社製)に、各実施例及び比較例で得た屈曲試験片を平坦な状態(屈曲していない状態)で設置し、前面板側(円偏光板側)が内側となるように、対向する前面板間又は円偏光板間の距離が2.0mmとなるように(屈曲半径1.0mm)、屈曲試験片を180°屈曲させた。その後、元の平坦な状態に戻した。一連の操作を1回行ったときを屈曲回数1回と数え、この屈曲操作を繰返し行った。屈曲速度は1回/1secとした。屈曲操作で屈曲した領域においてクラックや粘着剤層の浮きが発生したときの屈曲回数を限界屈曲回数として記録した。
条件及び結果を表1に示す。表1中で、1kは1000回を意味する。
Figure 2021144209
10…前面板、20…第1粘着剤層、60…円偏光板、70…第2粘着剤層、100…光学積層体、L…界面、EP…突起、EF…端面、P…接線。

Claims (4)

  1. 円偏光板、及び、第2粘着剤層、を備える光学積層体であって、
    前記光学積層体の積層方向に沿う断面において、前記円偏光板と前記第2粘着剤層の界面と、前記円偏光板の端面における前記界面での接線と、がなす角度をθとしたときに、θ≧80°を満たす、光学積層体。
  2. 前記光学積層体の積層方向に沿う断面において、前記円偏光板の中央部の厚みをT1とし、前記T1を基準とした前記円偏光板の端部の厚みの増加量をT2としたときに、T2/T1×100が10%以上である、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記円偏光板は、直線偏光板、及び、位相差板を有する、請求項1又は2に記載の光学積層体。
  4. 前記位相差板は、λ/4板を有する、請求項3に記載の光学積層体。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022085726A1 (ja) * 2020-10-23 2022-04-28 コニカミノルタ株式会社 偏光板およびその製造方法、ならびに表示装置の製造方法

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WO2022085726A1 (ja) * 2020-10-23 2022-04-28 コニカミノルタ株式会社 偏光板およびその製造方法、ならびに表示装置の製造方法

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