JP2021143998A - 原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント - Google Patents

原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント Download PDF

Info

Publication number
JP2021143998A
JP2021143998A JP2020044309A JP2020044309A JP2021143998A JP 2021143998 A JP2021143998 A JP 2021143998A JP 2020044309 A JP2020044309 A JP 2020044309A JP 2020044309 A JP2020044309 A JP 2020044309A JP 2021143998 A JP2021143998 A JP 2021143998A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
containment vessel
reactor containment
membrane
valve
reactor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020044309A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7266006B2 (ja
Inventor
隆久 松崎
Takahisa Matsuzaki
隆久 松崎
茂紀 松本
Shigenori Matsumoto
茂紀 松本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
Original Assignee
Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi GE Nuclear Energy Ltd filed Critical Hitachi GE Nuclear Energy Ltd
Priority to JP2020044309A priority Critical patent/JP7266006B2/ja
Publication of JP2021143998A publication Critical patent/JP2021143998A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7266006B2 publication Critical patent/JP7266006B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

【課題】外部への放射性希ガスの漏えいを最小限にしつつ、継続的に原子炉格納容器内の水蒸気を系外に放出して原子炉格納容器の圧力を継続的に減圧できる原子炉格納容器ベント装置を提供する。【解決手段】気体を外部に排出するベント配管13上に設けられており、一定以上の圧力で開くフィルタベント装置起動弁27と、ベント配管13のうち、フィルタベント装置起動弁27の下流側に接続されている配管20と、配管20上に複数設けられている希ガス除去膜開閉弁33と、希ガス除去膜開閉弁33の各々の下流側に対応して設けられている複数の膜ユニット34と、を備え、希ガス除去膜開閉弁33の開弁圧力がそれぞれ異なる圧力に設定されている。【選択図】 図2

Description

本発明は、原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントに関する。
封入容器や電源を使用せずとも格納容器外部に放射性希ガスを放出することなく、継続的に原子炉格納容器内の水蒸気を系外に放出し、原子炉格納容器の圧力を継続的に減圧できる構造を持つ原子炉格納容器ベント装置の一例として、特許文献1には、原子炉圧力容器を内包する原子炉格納容器と、原子炉格納容器の内部に配置された、放射性希ガスを透過せず、水蒸気を透過する放射性物質分離装置と、放射性物質分離装置に接続されたベント配管と、ベント配管に接続され、放射性物質が除去されたガスを外部に放出する排気塔を備える、ことが記載されている。
特開2018−119821号公報
原子力発電プラントに備えられた原子炉格納容器の機能の一つに、原子炉圧力容器内に配置された炉心が溶融するような事態(以下、過酷事故)が万が一の確率で発生して放射性物質が原子炉圧力容器外に放出されたとしても、その放射性物質を原子炉格納容器内に閉じ込めておき、格納容器の外部への漏出を防ぐことがある。
過酷事故が発生した場合においても、その後に十分な注水が行われ、かつ原子炉格納容器が冷却されれば、事故は収束する。
しかし、万が一の場合において水蒸気の生成が継続し、原子炉格納容器の冷却が不十分な場合、原子炉格納容器が加圧される。これに対し、原子炉格納容器内の気体を大気中に放出し、原子炉格納容器を減圧する場合がある。この操作をベント操作と呼ぶ。この操作を行う場合は、沸騰水型原子炉では公衆の被ばくが最小限となるように、サプレッションプールのプール水によって放射性物質を除去した上で原子炉格納容器内の気体(以下、ベントガス)を大気中に放出する必要がある。
沸騰水型原子炉では、前述のようにサプレッションプールのプール水により十分に放射性物質を除去した上でベントガスを大気中に放出しているが、このベントガスから更に放射性物質を取り除くシステムとして原子炉格納容器ベント装置がある。
特許文献1に記載の原子炉格納容器ベント装置では、ベントガスは、タンク内の水中に放出されることによりスクラビングされて、粒子状放射性物質が除去される。また、金属フィルタではスクラビングで除去しきれなかった粒子状放射性物質が更に除去される。よう素フィルタでは化学反応および吸着によって、よう素などのガス状放射性物質が除去される。更に水蒸気を透過して、希ガスを透過しない膜フィルタを用いて放射性希ガスが除去される。
膜フィルタによる放射性希ガスの除去までを目的とした原子炉格納容器ベント装置は、特許文献1のようにベントガスが通過するライン上に水蒸気を透過するのに対して希ガスを透過しない膜フィルタを設置することで放射性希ガスを除去する。
ここで、膜フィルタを透過する水蒸気と希ガスの量は、膜面積と膜フィルタ前後でのそれぞれの気体の分圧差、それぞれの気体に対する膜フィルタの透過率によって決まる。
例えば、ポリイミド膜のようなものを用いると、水蒸気の透過率と比較して希ガスの透過率は低いため、水蒸気を外部に放出して原子炉格納容器を減圧しつつ、希ガスの外部への漏えいを抑制することができる。
このような特性を備えた膜フィルタを利用する特許文献1のシステムの場合、原子炉格納容器を適切に減圧するためには、崩壊熱で発生する水蒸気を十分に外部へ放出できる膜面積を確保する必要がある。
ここで、崩壊熱は時間によって指数関数的に減衰し、発生する水蒸気量は崩壊熱に比例する。そのため、水蒸気を放出し始める初期においては多くの膜面積が必要であるのに対し、ある程度時間が経過すると崩壊熱が減少して水蒸気発生量も減少することから、膜面積が少なくても十分に減圧が可能となる。
また、外部へ漏えいする希ガスの量は膜面積によって決まるため、膜面積は可能な限り少ないことが望ましい。
しかしながら、膜面積は、水蒸気を放出し始める初期における水蒸気量で決める必要があるため、ある程度時間が経過した後は過剰な膜面積を備えていることとなるが、これは希ガスの漏えいを防止する観点で望ましくない。
本発明は、上記の課題を考慮し、外部への放射性希ガスの漏えいを最小限にしつつ、継続的に原子炉格納容器内の水蒸気を系外に放出して原子炉格納容器の圧力を継続的に減圧できる原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、原子炉格納容器内の気体を外部に排出し、原子炉格納容器を減圧する原子炉格納容器ベント装置であって、前記気体を外部に排出するベント配管上に設けられており、一定以上の圧力で開く弁と、前記ベント配管のうち、前記弁の下流側に接続されている入口配管と、前記入口配管上に複数設けられている開閉弁と、前記開閉弁の各々の下流側に対応して設けられている複数の膜ユニットと、を備え、前記開閉弁の開弁圧力がそれぞれ異なる圧力に設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、外部への放射性希ガスの漏えいを最小限にしつつ、継続的に原子炉格納容器内の水蒸気を系外に放出して原子炉格納容器の圧力を継続的に減圧することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置とそれを備えた原子力発電プラントの概略構成を示す図である。 実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。 実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置の膜フィルタの構成を示す図である。 実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置の膜フィルタを示す図である。 実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの他の例の構成を示す図である。 本発明の実施例2に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。 本発明の実施例3に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。 本発明の実施例4に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。 本発明の実施例5に係る原子炉格納容器ベント装置とそれを備えた原子力発電プラントの概略構成を示す図である。 本発明の実施例6に係る原子炉格納容器ベント装置とそれを備えた原子力発電プラントの概略構成を示す図である。
本発明の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントの実施例について、以下図面を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
<実施例1>
上述の目的を達成するために好適な実施例の一つである本発明の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントの実施例1について図1乃至図5を用いて説明する。
図1は本実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置とそれを備えた原子力発電プラントの概略構成を示す図である。図2は原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図、図3は膜フィルタの構成を示す図、図4は膜フィルタを示す図である。図5は実施例1に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの他の例の構成を示す図である。
本実施例1の原子炉格納容器ベント装置101は、図1において破線囲み内に示す構成であり、改良型の沸騰水型原子炉(以下、ABWR(Advanced Boiling Water Reactor)と記載)を備えた原子力発電プラント100内の原子炉圧力容器3が破損するなどの過酷事故時において、原子炉格納容器1内の圧力を減圧し、またその減圧時に放射性物質を極力除去するものである。
まず、全体のシステムとして、水蒸気を適切に排出して原子炉格納容器を減圧しながら放射性希ガスを除去するための構成とその方法について説明する。
図1に示す原子炉格納容器1内には、炉心2を内包する原子炉圧力容器3が設置されている。原子炉圧力容器3には、原子炉圧力容器3内で発生した水蒸気をタービン(図示の都合上省略)に送る主蒸気管4が接続されている。
原子炉格納容器1内部は、鉄筋コンクリート製のダイヤフラムフロア12によってドライウェル5とウェットウェル7とに区画されている。
ウェットウェル7は、内部にプール水を貯めている領域のことを言う。このウェットウェル7内のプールのことをサプレッションプール8と呼ぶ。
ドライウェル5とウェットウェル7は、ベント管11によって相互に連通されており、ベント管排気部11aは、ウェットウェル7内のサプレッションプール8の水面下に開口している。
万が一、配管類の一部が損傷し、原子炉格納容器1内に水蒸気が放出される配管破断事故(一般的にLOCA:Loss−of−coolant Accidentの名称で知られ、配管が通るドライウェル5で発生する)が発生した場合、ドライウェル5の圧力が破断口から流出する水蒸気により上昇する。
その際、ドライウェル5内に放出された水蒸気は、ドライウェル5とウェットウェル7の圧力差により、ベント管11を通ってウェットウェル7内のサプレッションプール8水中に導かれる。サプレッションプール8の水で水蒸気を凝縮することで原子炉格納容器1内の圧力上昇を抑制する。
この際に水蒸気内に放射性物質が含まれていた場合、サプレッションプール8水のスクラビング効果により大半の放射性物質が除去される。
前述したとおり、ドライウェル5で配管破断事故が発生した場合、破断口から流出する水蒸気はベント管11を通ってサプレッションプール8で凝縮される。同様に原子炉圧力容器3や主蒸気管4の圧力が高くなった場合も、水蒸気をサプレッションプール8に放出し、原子炉圧力容器3や主蒸気管4の圧力を下げる。
またそれと共に、放出した水蒸気をサプレッションプール8で凝縮することで原子炉格納容器1の圧力上昇を緩和する。そのための装置として、ABWRでは、原子炉格納容器1内のドライウェル5の領域に主蒸気逃し安全弁6が設置されている。
主蒸気逃し安全弁6を通して放出された水蒸気は、主蒸気逃し安全弁排気管9を通って、最終的にクエンチャ10からサプレッションプール8内に放出され、サプレッションプール8のプール水により凝縮される。水蒸気をサプレッションプール8で凝縮して液体の水にすることで水蒸気の体積が大幅に減少し、原子炉格納容器1の圧力上昇を抑制することができる。また、水蒸気に放射性物質が含まれている場合、凝縮の際にサプレッションプール8水のスクラビング効果により大半の放射性物質が除去される。
このように、サプレッションプール8で水蒸気を凝縮し、サプレッションプール8内のプール水を残留熱除去系(図示省略)で冷却することで、原子炉格納容器1の温度上昇と圧力上昇を防止し、事故を収束させることができる。
しかし、非常に低い可能性ではあるが、残留熱除去系が機能を喪失した場合、サプレッションプール8のプール水の温度が上昇する。プール水の温度が上昇することに伴い、原子炉格納容器1内の水蒸気の分圧はプール水の温度の飽和水蒸気圧まで上昇するため、原子炉格納容器1の圧力が上昇する。
このような圧力上昇が起きた場合、原子炉格納容器1内に冷却水をスプレイすることで圧力上昇を抑えることができる。またこのスプレイは外部から消防ポンプなどを接続して作動させることも可能である。
しかし、更に非常に低い可能性ではあるが、このスプレイも作動しない場合、原子炉格納容器1の圧力は上昇する。このような原子炉格納容器1の圧力上昇が起きた場合、原子炉格納容器1内の気体を外部に放出することで原子炉格納容器1の圧力上昇を抑えることができる。この操作のことをベント操作と呼ぶ。
図1に示すようなABWRでは、このベント操作をウェットウェル7内の気体を放出することにより行うことでサプレッションプール8の水で最大限放射性物質を除去し、外部へ気体を放出することができる。
このベント操作をする上で、外部放出する原子炉格納容器1内の気体から更に放射性物質を取り除く装置として、原子炉格納容器ベント装置101がある。
図1および図2に示すように、原子炉格納容器ベント装置101は、主に、ベント配管13、隔離弁14、配管20、ラプチャディスク28、フィルタベント装置起動弁27、フィルタベント装置15、希ガスフィルタユニット23、ブロワ25、戻り配管24、逆止弁26、排気塔22、配管31等から構成される。
ベント配管13は、原子炉格納容器1のドライウェル5とウェットウェル7の気相7aに接続されている。このベント配管13には、隔離弁14、一定以上の圧力で開くフィルタベント装置起動弁27、およびフィルタベント装置起動弁27をバイパスするラプチャディスク28が配設されている。
通常は、ドライウェル5側の隔離弁14bは閉じておくとともにウェットウェル7側の隔離弁14aは常に開いておく。そして有事には、隔離弁14bおよびフィルタベント装置起動弁27を開き、一旦開いた後は開状態を維持する。ウェットウェル7側の隔離弁14aを開いておくことで、サプレッションプールの水で放出ガスをスクラビングすることで大半の放射性物質を除去することができる。これは沸騰水型原子炉の安全上の特徴である。
フィルタベント装置起動弁27が何らかの原因で開かなかった場合、フィルタベント装置起動弁27をバイパスするラプチャディスク28が、フィルタベント装置起動弁27を起動させる圧力以上、かつ原子炉格納容器1の耐圧以下で受動的に開くように設定しておくことで原子炉格納容器1の減圧を適切に実施できる。なおこのラプチャディスク28の部分には、爆破弁やその他のバルブを用いることができる。
ベント配管13のドライウェル5等側とは反対側の端部は、図1中一点鎖線内の機器で構成される、湿式のフィルタベント装置15を構成するフィルタベント容器16の入口配管17に接続されている。この入口配管17の先端側は、フィルタベント容器16内に開口している。
フィルタベント容器16内の下部側には、スクラビング用のプール水18が貯留されている。フィルタベント容器16の上部側には金網状の金属フィルタ19が設置されている。この金属フィルタ19には、フィルタベント容器16の出口となる配管20の一端が接続されている。配管20の他端は遮蔽壁21を貫通して遮蔽壁21外に導出されている。そして最終的に排気塔22への配管31を通り排気塔22から外部に気体を排出する。
図1に「(1)エアロゾル状放射性物質、(2)放射性希ガス、(3)水蒸気、(4)水素、(5)窒素、その他気体」として示す各種放射性物質や水蒸気、水素などを含んだ放出ガスは、ベント配管13および入口配管17を介してフィルタベント装置15に入ると、スクラビング用プール水18で更にスクラビングされることで、主に(1)のエアロゾル状の放射性物質のほとんどが除去される。更に金属フィルタ19や、よう素フィルタ38により、よう素などの気体状の放射性物質が除去される。
フィルタベント装置15によりエアロゾル状放射性物質は除去されるが、(2)の放射性希ガスは反応性が乏しいため、一般的な構成のフィルタベント装置15では除去できない。
このような放射性希ガスを含んだ気体をそのまま排気塔22から排出することを抑制するために、本発明の実施例1に関わる原子炉格納容器ベント装置101では、ベント配管13上のうち、フィルタベント装置15の後段側の配管20上に希ガスフィルタユニット23を設置する。そして、この希ガスフィルタユニット23で放射性希ガスを閉じ込めると共に、この希ガスフィルタユニット23に水蒸気を透過することができるフィルタ材を用いることで水蒸気を外部に放出し、原子炉格納容器1の圧力を下げる。
ここで、この希ガスフィルタユニット23は、原子炉格納容器1内やベント配管13上のどの位置に置いても放射性希ガスを除去できるが、図1等に示すように、フィルタベント装置15の下流に置くことが望ましい。
上述のフィルタ材を利用した希ガスフィルタユニット23では、水蒸気および水素を透過し、放射性希ガスを透過しないものとする。これにより、図1に示すように、排気塔22側へ流れる気体から(2)の放射性希ガスや(5)の窒素などの気体を除去し、原子炉格納容器1の加圧の原因となる(3)の水蒸気と(4)の水素のみを排気塔22へ放出することができる。
ここで、時間の経過と共に希ガスフィルタユニット23部には透過しない放射性希ガスが溜まり、これら気体の分圧が高まることで、水蒸気と水素の透過量が低下し、原子炉格納容器1の圧力を下げる機能が低下する。そこで、希ガスフィルタユニット23部と原子炉格納容器1とを戻り配管24で接続し、戻り配管24のライン上に設置したブロワ25により透過しない(2),(5)の各種気体を原子炉格納容器1に戻すことで、希ガスフィルタユニット23の水蒸気透過性能を維持することが望ましい。
また、戻り配管24ライン上に逆止弁26を設置することで、原子炉格納容器1からフィルタベント装置15を通らずに希ガスフィルタユニット23に放射性物質を含む気体が逆流するのを防止することができる。
次に本実施例1の希ガスフィルタユニット23の構造の詳細について図2を用いて説明する。
図2に示すように、希ガスフィルタユニット23は、各々が複数設けられている、希ガス除去膜入口配管32、希ガス除去膜開閉弁33、膜ユニット34、不透過ガス排出配管35、水蒸気排出配管36で構成される。
図2に示す形態では、フィルタベント装置15の配管20を複数に分岐させ、それぞれを希ガス除去膜入口配管32a,32b,32c,32d,…と接続する。そしてその希ガス除去膜入口配管32上に希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33d,…を配置する。
希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33d,…は、希ガス除去膜入口配管32a,32b,32c,32d,…側が一定以上の圧力となれば開き、一定圧力未満となれば閉まる構成としてる。
希ガス除去膜入口配管32a,32b,32c,32d,…は、各々対応する希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33d,…を介して膜ユニット34a,34b,34c,34d,…と接続する。
膜ユニット34a,34b,34c,34d,…で放射性希ガスを除去された水蒸気は水蒸気排出配管36a,36b,36c,36d,…を介して、排気塔22への配管31を通って排気塔22から外部に放出される。
膜ユニット34a,34b,34c,34d,…を透過しない(2)の放射性希ガスや(5)の窒素などの気体は不透過ガス排出配管35a,35b,35c,35d,…、および戻り配管24を通って原子炉格納容器1に戻される。
次に希ガスフィルタユニット23の動作について説明する。
フィルタベント装置起動弁27およびラプチャディスク28が開く圧力をPin、希ガス除去膜開閉弁33aの開閉する圧力をPa、希ガス除去膜開閉弁33bの開閉する圧力をPb、希ガス除去膜開閉弁33cの開閉する圧力をPc、希ガス除去膜開閉弁33dの開閉する圧力をPdとする。
ここでは、aからdまで4ラインに分岐させた場合について説明するが、分岐させる数は4よりも多くても少なくても良い。
希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dのように圧力に応じて開閉する弁には、例えばバネ式の安全弁などがあり、動力無しで圧力のみで開閉することができる。
また、希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dの開弁圧力がそれぞれ異なる圧力に設定される。特には、本実施例では、PaからPdまでの圧力の関係をPin>Pa>Pb>Pc>Pdと設定する。
原子炉格納容器1の閉じ込め機能を維持するため、原子炉格納容器1の圧力がPinに到達すると、フィルタベント装置起動弁27もしくはラプチャディスク28が開き、ベントが開始される。
崩壊熱が大きく放出する必要のある水蒸気量が多いベント開始時は、Pin>Paのために全ての希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dが開き、全ての膜ユニット34a,34b,34c,34dを使って(2)の放射性希ガスを除去しつつ、外部へ(3)の水蒸気や(4)の水素を放出する。
その後、崩壊熱が低下すると水蒸気発生量が低下するため、外部に放出する必要がある水蒸気量も低下し、原子炉格納容器1の圧力が低下する。この際、圧力がPaを下回ると、希ガス除去膜開閉弁33aのみが閉まる。
これにより、4つの膜ユニット34a,34b,34c,34dのうち1つの膜ユニット34aが閉止され、残り3つの膜ユニット34b,34c,34dでベントを行う。
原子炉格納容器1の圧力低下に応じて、順次、希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dの順で弁が閉まり、原子炉格納容器1の圧力に対して必要な数の膜ユニット34a,34b,34c,34dのみでベントされる。
次いで、図3および図4を用いて膜ユニット34a,34b,34c,34d,…の構成について説明する。なお、図3などでは膜ユニット34aを代表して説明するが、他の膜ユニット34b,34c,34dも同様の構成とする。
膜ユニット34aは、図3に示すように、円筒状の外套34a11の上流側および下流側をシール部34a12により封止されている中空糸膜34a13が周方向に複数配置される構造となっている。
中空糸膜34a13は、図4に示すように円筒状の形状をしており、水蒸気を透過する必要があるのに対し、放射性希ガスは透過させたくない、との特性が望まれるものとなっている。
ここで、透過するべき水蒸気は極性が大きく、透過させたくない放射性希ガスは単原子分子のため極性が無い。高分子系の膜は極性が大きい分子ほど透過量が大きくなる特性があるため、高分子系の膜を膜ユニット34の膜材料として用いることで、水蒸気を放出しつつ放射性希ガスを閉じ込めることができる。このような高分子系の膜として例えばポリイミド膜やポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどがある。
また、透過するべき水蒸気は分子径が0.3nm以下と小さく、透過させない放射性希ガス(主にクリプトンやキセノン)はそれよりもかなり大きい。そこで分子径が小さい水蒸気を選択的に透過するには分子ふるいで分離できる膜を利用することが考えられる。このような用途に最適なフィルタ材として、シリカや窒化ケイ素を主成分としたセラミック膜、炭素を主成分とした酸化グラフェン膜、ゼオライト膜等の分子ふるいにより分離が可能な膜を用いることができる。
次に、本実施例の効果について説明する。
上述した本発明の実施例1の原子炉格納容器1内の気体を外部に排出し、原子炉格納容器1を減圧する原子炉格納容器ベント装置101は、気体を外部に排出するベント配管13上に設けられており、一定以上の圧力で開くフィルタベント装置起動弁27と、ベント配管13のうち、フィルタベント装置起動弁27の下流側に接続されている配管20と、配管20上に複数設けられている希ガス除去膜開閉弁33と、希ガス除去膜開閉弁33の各々の下流側に対応して設けられている複数の膜ユニット34と、を備え、希ガス除去膜開閉弁33の開弁圧力がそれぞれ異なる圧力に設定されている。
上述のように、外部に漏えいする放射性希ガスの量は膜面積に比例する、すなわち膜ユニット34の数に比例する。そこで、膜ユニット34a,34b,34c,34dと対になった希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dの開閉圧力をそれぞれ変えることで、大量の水蒸気の排出が必要なベント開始時には多くの膜面積を利用して、原子炉格納容器1の圧力の低下とともに膜面積を受動的に減らすことができる。したがって、原子炉格納容器1の圧力に応じた必要な数の膜ユニット34a,34b,34c,34dでベントすることができるため、継続的に原子炉格納容器1内の水蒸気を系外に放出しつつ、外部へ漏えいする放射性希ガスの量を最低限とすることができる。
また、その後万が一水蒸気発生量が増えた場合は閉じた希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dが閉じた際とは逆の順番で再び開くため、原子炉格納容器1を適切に減圧することができる、との効果も得られる。
また、膜ユニット34a,34b,34c,34dが有する膜は、放射性希ガスを透過せず、水蒸気を透過するものである、特には、膜が、高分子膜、セラミック膜、シリカ膜、炭素膜のうち少なくともいずれかである、あるいは高分子膜を構成するフィルタ材が、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンのうち少なくともいずれかを主成分とする、セラミック膜を構成するフィルタ材が、シリカ、あるいは窒化ケイ素を主成分とするため、希ガスフィルタユニット23において最も求められる特性を最大限に満たした特性の膜とすることができる。
更に、湿式のフィルタベント装置15を更に備え、膜ユニット34a,34b,34c,34dは、ベント配管13上のうち、フィルタベント装置15の後段側に設けられていることにより、前段のフィルタベント装置15によって予め多くの放射性物質が除去されるため、希ガスフィルタユニット23にエアロゾル状の放射性物質が付着することによるフィルタ性能の劣化の防止や、事故時に発生する可能性のある溶融燃料からの影響に晒されることを防止することができ、原子炉格納容器ベント装置101の信頼性を更に向上させることができる。
なお、希ガスフィルタユニット23の配置関係は、図2に示す形態に限られない。
例えば、図5に示す希ガスフィルタユニット23Aのように、フィルタベント装置15の配管20に、最も開弁圧力が低圧に設定されている希ガス除去膜開閉弁33dが設けられる希ガス除去膜入口配管32d1のみを接続する。その上で、希ガス除去膜開閉弁33dの下流側で希ガス除去膜入口配管32d1を膜ユニット34dに接続される部分から分岐させて希ガス除去膜入口配管32c1と接続する。
また、希ガス除去膜入口配管32c1の下流側には、開弁圧力が希ガス除去膜開閉弁33dより高圧に設定されている希ガス除去膜開閉弁33cを設けるとともに、その下流側で膜ユニット34c方面に向かう配管を分岐させて希ガス除去膜入口配管32b1と接続する。
更に、希ガス除去膜入口配管32b1の下流側には、開弁圧力が希ガス除去膜開閉弁33cより高圧に設定されている希ガス除去膜開閉弁33bを設けるとともに、その下流側で膜ユニット34b方面に向かう配管を分岐させて希ガス除去膜入口配管32a1と接続する。このような接続を、設ける膜ユニット34の数だけ繰り返す。
このような、開弁圧力がステップラダートーナメント方式の形態とすることも可能である。
<実施例2>
上述の目的を達成するために好適な実施例の一つである本発明の実施例2の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントについて図6を用いて説明する。図6は本実施例2に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。
実施例2においても、フィルタベント装置15や希ガスフィルタユニット23Bの配置関係は実施例1と同様であり、ここでは実施例1との違いのみを説明する。
図6に示す本実施例の希ガスフィルタユニット23Bでは、開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dの下流側に設けられている膜ユニット34a2,34b,34c,34dほど、その膜面積が大きいものとなっている。
上述のように、事故時の崩壊熱は指数関数的に低下し、発生する水蒸気量も指数関数的に低下する。そのため、外部に放出する必要のある水蒸気量も指数関数的に低下する。
そこで、最も開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33aに対応する膜ユニット34a2の膜面積を最も大きくし、膜ユニット34b2、膜ユニット34c2、膜ユニット34d2と順番に膜面積を小さくする。
ここで、本実施例において膜ユニット34a2,34b2,34c2,34d2の「面積」を変えるためは、例えば図3および図4に示した中空糸膜34a13の長さを変える形態であってもよいし、中空糸膜34a13の周方向への配置数を変える形態であってもよく、特に限定されるものではない。
本発明の実施例2の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントにおいても、前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントとほぼ同様な効果が得られる。
また、開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33a,33b,33c,33dの下流側に設けられている膜ユニット34a2,34b,34c,34dほど、その膜面積が大きいことにより、高圧で開くラインのフィルタ容量や径を太くすることができ、初期の減圧をスムーズに行うことができる。すなわち、最初の減圧に要する時間を減じて、容量が大きいフィルタのラインが開いている時間を減らすことができる。このため、外部への希ガス漏えい量を実施例1に比べてより減じることができる、との効果が得られる。
なお、本実施例では、すべての膜ユニットの面積を変える場合について説明したが、面積は少なくとも2サイズ以上であればよく、その数は特に限定されない。
<実施例3>
上述の目的を達成するために好適な実施例の一つである本発明の実施例3の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントについて図7を用いて説明する。図7は本実施例3に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。
実施例3においても、フィルタベント装置15や希ガスフィルタユニット23Cの配置構成は実施例1と同様であり、ここでは実施例1との違いのみを説明する。
図7に示す本実施例の希ガスフィルタユニット23Cでは、開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33a,33c,33dの下流側に設けられている膜ユニット34a,34c,34dほど設置数が多い。これにより、開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33a,33c,33dの下流側に設けられている膜ユニット34a,34c,34dほど、その膜面積が大きくなるように構成されている。
実施例2では、膜ユニット34a2の膜面積を大きくしていたが、実施例3においては希ガス除去膜開閉弁33aの下流側で希ガス除去膜入口配管32a3を分岐させて希ガス除去膜開閉弁33aと接続する膜ユニット34aの個数を2つとすることで、最も圧力が高い状態のみで利用される膜面積を増加させる。ここでは膜ユニットを2個利用する場合を例としたが、3個以上でも良い。
その他の構成・動作は前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施例3の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントにおいても、前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントとほぼ同様な効果が得られる。
また、開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33a,33c,33dの下流側に設けられている膜ユニット34a,34c,34dほど、設置数が多いことによって、実施例2と同様の効果が得られる。
なお、本実施例では、設ける膜ユニット34a,34c,34dの使用は同一である場合について説明したが、仕様は同一である必要はなく、実施例2のように、開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33a,33c,33dの下流側に設けられている膜ユニット34a,34c,34dほど、その膜面積を大きくすることができる。この場合、より効果的に初期減圧を図ることができる。また、同一の使用の場合は、用いる膜ユニットの構成を同一とすることによるコスト低減のメリットが得られる。
また、実施例1の図3に示す他の形態においても、最も開弁圧力の高い希ガス除去膜開閉弁33と膜ユニット34との組の設置数を増やす形態とすることも可能である。
<実施例4>
上述の目的を達成するために好適な実施例の一つである本発明の実施例4の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントについて図8を用いて説明する。図8は本実施例4に係る原子炉格納容器ベント装置のフィルタユニットの構成を示す図である。
本実施例4においても、フィルタベント装置15や希ガスフィルタユニット23Dの配置構成は実施例1と同様であり、ここでは実施例1との違いのみを説明する。
図8に示す本実施例の希ガスフィルタユニット23Dでは、膜ユニット34bから排気塔22へ繋がる水蒸気排出配管36b上に膜ユニット出口切り替え弁39bが、膜ユニット34cから排気塔22へ繋がる水蒸気排出配管36c上に膜ユニット出口切り替え弁39cが、それぞれ設けられている。
膜ユニット出口切り替え弁39bは、膜ユニット34b、および排気塔22に2か所の開口が接続されている。残りの1か所の開口は、当該膜ユニット出口切り替え弁39bが設けられている水蒸気排出配管36b上の膜ユニット34bの前段の希ガス除去膜開閉弁33bより高圧で閉じる希ガス除去膜開閉弁33aに対応する膜ユニット34aの上流側に接続されている再フィルタリング管40bに接続されている。
同様に、膜ユニット出口切り替え弁39cは、膜ユニット34c、および排気塔22に2か所の開口が接続されている。残りの1か所の開口は、当該膜ユニット出口切り替え弁39cが設けられている水蒸気排出配管36c上の膜ユニット34cの前段の希ガス除去膜開閉弁33cより高圧で閉じる希ガス除去膜開閉弁33bに対応する膜ユニット34bの上流側に接続されている再フィルタリング管40cに接続されている。
膜ユニット出口切り替え弁39bは、初期状態では、膜ユニット34bと排気塔22とを接続しており、圧力が切り替え圧力P’b以下となった場合に、排気塔22への配管側を閉じ、膜ユニット34bと再フィルタリング管40bとを接続するように設定されている。
また、膜ユニット出口切り替え弁39cは、初期状態では、膜ユニット34cと排気塔22とを接続しており、圧力が切り替え圧力P’c以下となった場合に、排気塔22への配管側を閉じ、膜ユニット34cと再フィルタリング管40cとを接続するように設定されている。
これら膜ユニット出口切り替え弁39b,39cの設定圧力の関係は、Pin>Pa>P’b>Pb>P’c>Pc>Pdの関係を満たすものとする。
従って、原子炉格納容器1の圧力が低下して圧力がPb以上P’b以下になった場合、膜ユニット出口切り替え弁39bが切り替わることで、膜ユニット34bで一回希ガスが除去された水蒸気は、希ガス除去膜開閉弁33aが閉止され使用されなくなった膜ユニット34aに再度供給された後に排気塔22へ向かう。
また、原子炉格納容器1の圧力が低下して圧力がPc以上P’c以下になった場合、膜ユニット出口切り替え弁39cが切り替わることで、膜ユニット34cで一回希ガスが除去された水蒸気が希ガス除去膜開閉弁33bが閉止され使用されなくなった膜ユニット34bや膜ユニット34aに再度供給された後に排気塔22へ向かう。
その他の構成・動作は前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施例4の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントにおいても、前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントとほぼ同様な効果が得られる。
また、膜ユニット34b,34cから排気塔22へ繋がる水蒸気排出配管36b,36c上に設けられている膜ユニット出口切り替え弁39b,39cを更に備え、膜ユニット出口切り替え弁39b,39cは、膜ユニット34b,34cと、排気塔22と、当該膜ユニット出口切り替え弁39b,39cが設けられている配管上の膜ユニット34b,34cの前段の希ガス除去膜開閉弁33b,33cより高圧で閉じる希ガス除去膜開閉弁33a,33bに対応する膜ユニット34a,34bの上流側と、に接続されていることにより、事故晩期に使われなくなった膜ユニットを利用して複数回に渡って放射性希ガスを除去できるため、放射性希ガスを更に除去することができる。
なお、再フィルタリング管40b,40c,…がその直上の圧力で開弁・閉弁する希ガス除去膜開閉弁33a,33bに対応する膜ユニット34a,34bに接続される場合について説明したが、より高圧時において開弁・閉弁する希ガス除去膜開閉弁33に対応する膜ユニット34に接続する形態とすることができる。
<実施例5>
上述の目的を達成するために好適な実施例の一つである本発明の実施例5の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントについて図9を用いて説明する。図9は本実施例5に係る原子炉格納容器ベント装置とそれを備えた原子力発電プラントの概略構成を示す図である。
図9に示す本実施例の原子力発電プラント100Eの原子炉格納容器ベント装置101Eは、湿式ではなく、乾式のフィルタベント装置15Eを備えている。
フィルタベント装置は一般に湿式と乾式のフィルタベント装置があり、実施例1のように容器内のスクラビング用プール水18でエアロゾルを除去するものが湿式のベント装置である。
一方、本実施例のフィルタベント装置15Eはベント配管13上のうち、フィルタベント装置15Eの後段側に設けられている点は同じであるが、フィルタベント容器16の中に放射性物質除去用の砂フィルタ92が敷き詰められている。更に、ベント配管13からのガスが砂フィルタ92の上面に万遍なく供給されるように、ベント配管13と砂フィルタ92の上面との間には、邪魔板93が設けられている。
本実施例では、この砂フィルタ92により(1)のエアロゾル状の放射性物質を除去する。これは乾式のベント装置であり、湿式と比較してスクラビング用プール水18の水質の管理などは必要ないが、事故時にこの装置を加熱する必要がある。
このフィルタベント装置15Eでも放射性希ガスは除去できないため、本発明の希ガスフィルタユニット23が必要であり、それらの構成は実施例1と同じである。なお、実施例1のその他の形態の希ガスフィルタユニット23Aや、実施例2乃至実施例4のいずれかの希ガスフィルタユニット23B,23C,23Dのいずれかを用いることができる。
その他の構成・動作は前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施例5の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントにおいても、前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントとほぼ同様な効果が得られる。
<実施例6>
上述の目的を達成するために好適な実施例の一つである本発明の実施例6の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントについて図10を用いて説明する。図10は本実施例6に係る原子炉格納容器ベント装置とそれを備えた原子力発電プラントの概略構成を示す図である。
図10に示す本実施例の原子力発電プラント100Fは、原子炉格納容器ベント装置101Fを備える原子炉が、加圧水型原子炉の場合の形態である。
図10に示すような加圧水型原子炉の場合、原子炉格納容器1Aの内部には、炉心2Aを内包する原子炉圧力容器3A、加圧器95、蒸気発生器96および再循環ポンプ97が設置されている。蒸気発生器96には、発生した蒸気をタービン(図示省略)に送る主蒸気管4Aが接続されている。
また、ベント配管13及び戻り配管24は、仕切られていない原子炉格納容器1Aに接続されている。
実施例1等で説明した沸騰水型原子炉とは異なり、加圧水型原子炉では、原子炉格納容器1Aの圧力上昇を抑えるためのウェットウェル7及びサプレッションプール8を有していない。このため、サプレッションプール8によるスクラビングによる放射性物質の除去は期待できない。
その他の構成に関しては実施例1と同様である。なお、実施例1のその他の形態や実施例2乃至実施例4のような希ガスフィルタユニット23A,23B,23C,23Dのいずれかを用いても構わない。また実施例5のように乾式のフィルタベント装置15Eを用いても構わない。
その他の構成・動作は前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントと略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
本発明の実施例6の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントにおいても、前述した実施例1の原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラントとほぼ同様な効果が得られる。
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
例えば、実施例1乃至実施例6では、原子炉格納容器ベント装置を軽水炉(沸騰水型原子炉、加圧水型原子炉)に適用した場合について説明したが、本発明の原子炉格納容器ベント装置は、重水炉や黒鉛炉、ガス炉に適用することができる。また、いわゆる第4世代原子炉と呼ばれる高温ガス炉、超臨界圧軽水冷却炉、溶融塩炉、ガス冷却高速炉、ナトリウム冷却高速炉、鉛冷却高速炉などの他炉型にも適用することができる。
1,1A…原子炉格納容器
2,2A…炉心
3,3A…原子炉圧力容器
4…主蒸気管
4A…主蒸気管
5…ドライウェル
6…主蒸気逃し安全弁
7…ウェットウェル
7a…気相
8…サプレッションプール
9…主蒸気逃し安全弁排気管
10…クエンチャ
11…ベント管
11a…ベント管排気部
12…ダイヤフラムフロア
13…ベント配管
14…隔離弁
14a…ウェットウェル側隔離弁
14b…ドライウェル側隔離弁
15,15E…フィルタベント装置(放射性物質除去装置)
16…フィルタベント容器
17…フィルタベント入口配管
18…スクラビング用プール水
19…金属フィルタ
20…配管(入口配管)
21…遮蔽壁
22…排気塔
23,23A,23B,23C,23D…希ガスフィルタユニット
24…戻り配管
25…ブロワ
26…逆止弁
27…フィルタベント装置起動弁
28…ラプチャディスク
31…排気塔への配管
32,32a,32a1,32a3,32b,32b1,32c,32c1,32d,32d1…希ガス除去膜入口配管
33,33a,33b,33c,33d…希ガス除去膜開閉弁
34,34a,34a2,34b,34b2,34c,34c2,34d,34d2…膜ユニット
34a11…外套
34a12…シール部
34a13…中空糸膜
35,35a,35b,35c,35d…不透過ガス排出配管
36,36a,36b,36c,36d…水蒸気排出配管
38…よう素フィルタ
39b,39c…膜ユニット出口切り替え弁(三方弁)
40b,40c…再フィルタリング管
92…放射性物質除去用の砂フィルタ
93…邪魔板
95…加圧器
96…蒸気発生器
97…再循環ポンプ
100,100E,100F…原子力発電プラント
101,101E,101F…原子炉格納容器ベント装置

Claims (13)

  1. 原子炉格納容器内の気体を外部に排出し、原子炉格納容器を減圧する原子炉格納容器ベント装置であって、
    前記気体を外部に排出するベント配管上に設けられており、一定以上の圧力で開く弁と、
    前記ベント配管のうち、前記弁の下流側に接続されている入口配管と、
    前記入口配管上に複数設けられている開閉弁と、
    前記開閉弁の各々の下流側に対応して設けられている複数の膜ユニットと、を備え、
    前記開閉弁の開弁圧力がそれぞれ異なる圧力に設定されている
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  2. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    開弁圧力の高い前記開閉弁の下流側に設けられている前記膜ユニットほど、その膜面積が大きい
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  3. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    開弁圧力の高い前記開閉弁の下流側に設けられている前記膜ユニットほど、設置数が多い
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  4. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記膜ユニットから排気塔へ繋がる配管上に設けられている三方弁を更に備え、
    前記三方弁は、前記膜ユニットと、前記排気塔と、当該三方弁が設けられている配管上の前記膜ユニットの前段の前記開閉弁より高圧で閉じる開閉弁に対応する前記膜ユニットの上流側と、に接続されている
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記膜ユニットが有する膜は、放射性希ガスを透過せず、水蒸気を透過するものである
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  6. 請求項5に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記膜が、高分子膜、セラミック膜、シリカ膜、炭素膜のうち少なくともいずれかである
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  7. 請求項6に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記高分子膜を構成するフィルタ材が、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンのうち少なくともいずれかを主成分とする
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  8. 請求項6に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記セラミック膜を構成するフィルタ材が、シリカ、あるいは窒化ケイ素を主成分とする
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  9. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    湿式、あるいは乾式の放射性物質除去装置を更に備え、
    前記膜ユニットは、前記ベント配管上のうち、前記放射性物質除去装置の後段側に設けられている
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  10. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記原子炉格納容器ベント装置を備える原子炉が、沸騰水型原子炉である
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  11. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記原子炉格納容器ベント装置を備える原子炉が、加圧水型原子炉である
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  12. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置において、
    前記原子炉格納容器ベント装置を備える原子炉が、重水炉、黒鉛炉、ガス炉、高温ガス炉、超臨界圧軽水冷却炉、溶融塩炉、ガス冷却高速炉、ナトリウム冷却高速炉、鉛冷却高速炉のうちいずれかである
    ことを特徴とする原子炉格納容器ベント装置。
  13. 請求項1に記載の原子炉格納容器ベント装置を備えたことを特徴とする原子力発電プラント。
JP2020044309A 2020-03-13 2020-03-13 原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント Active JP7266006B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020044309A JP7266006B2 (ja) 2020-03-13 2020-03-13 原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020044309A JP7266006B2 (ja) 2020-03-13 2020-03-13 原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021143998A true JP2021143998A (ja) 2021-09-24
JP7266006B2 JP7266006B2 (ja) 2023-04-27

Family

ID=77766397

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020044309A Active JP7266006B2 (ja) 2020-03-13 2020-03-13 原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7266006B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000241587A (ja) * 1999-02-17 2000-09-08 Toshiba Corp 放射性気体廃棄物の処理方法
JP2016521843A (ja) * 2013-05-17 2016-07-25 アレヴァ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングAreva GmbH 原子力設備のベント及び放射能封じ込めシステム
US20170312679A1 (en) * 2015-01-16 2017-11-02 Areva Gmbh Ventilation system and associated operating method for use during a serious accident in a nuclear installation
JP2018151355A (ja) * 2017-03-15 2018-09-27 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子炉格納容器ベントシステム
JP2018169252A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 三菱重工業株式会社 格納容器保全設備および格納容器保全方法
JP2019124611A (ja) * 2018-01-18 2019-07-25 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子炉格納容器ベントシステム

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000241587A (ja) * 1999-02-17 2000-09-08 Toshiba Corp 放射性気体廃棄物の処理方法
JP2016521843A (ja) * 2013-05-17 2016-07-25 アレヴァ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングAreva GmbH 原子力設備のベント及び放射能封じ込めシステム
US20170312679A1 (en) * 2015-01-16 2017-11-02 Areva Gmbh Ventilation system and associated operating method for use during a serious accident in a nuclear installation
JP2018502303A (ja) * 2015-01-16 2018-01-25 アレヴァ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングAreva GmbH 原子力設備における過酷事故時に使用するための換気システムおよびその運転方法
JP2018151355A (ja) * 2017-03-15 2018-09-27 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子炉格納容器ベントシステム
JP2018169252A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 三菱重工業株式会社 格納容器保全設備および格納容器保全方法
JP2019124611A (ja) * 2018-01-18 2019-07-25 日立Geニュークリア・エナジー株式会社 原子炉格納容器ベントシステム

Also Published As

Publication number Publication date
JP7266006B2 (ja) 2023-04-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11515051B2 (en) Nuclear power plant
JP6798912B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP7133691B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP6754719B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP2015034734A (ja) 原子力プラントの水蒸気処理システム
JP7266006B2 (ja) 原子炉格納容器ベント装置および原子力発電プラント
JP6811667B2 (ja) 格納容器保全設備および格納容器保全方法
JP6741618B2 (ja) 格納容器保全設備
WO2022009587A1 (ja) 放射性希ガス除去フィルタ、フィルタユニットおよび原子炉格納容器ベントシステム
JP7121669B2 (ja) 気体廃棄物処理設備及び気体廃棄物処理方法
JP7457617B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステムおよび原子力発電プラント
JP2019207174A (ja) 原子力発電プラント
JP7348814B2 (ja) 原子力発電プラント
JP7331030B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP7482019B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP7417508B2 (ja) 原子炉格納容器ベント方法
JP7261776B2 (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP7285201B2 (ja) 水素処理システム
JP2022048550A (ja) 原子炉格納容器ベントシステム
JP2001141868A (ja) 水素ガス処理設備

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220401

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230221

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230417

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7266006

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150