JP2021143621A - エンジンを備えた携帯作業機 - Google Patents

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Abstract

【課題】携帯作業機のエンジン始動性を改善する。【解決手段】モータによって動作し且つエンジン本体20に供給する燃料の量を制御する弁部材88と、始動アシスト制御を実行するアシスト制御ユニットCU(2)とを有し、始動アシスト制御は、作業者が前記起動操作する前に、混合気の空燃比が起動に適した値となるように前記モータを動作させて前記弁部材88を起動位置に位置決めする。【選択図】図4

Description

本発明は、一般的には携帯作業機に関し、より詳しくは、エンジンを備えた携帯作業機に関する。
エンジンを備えた携帯作業機は、チェーンソー、パワーブロア、刈払機などで知られている。携帯作業機において、エンジン本体に燃料を供給する燃料供給装置として、気化器が知られている。気化器は2種類知られている。第1は、スロットル弁としてバタフライ弁を使ったバタフライ弁方式の気化器である。第2は、ロータリ弁を使ったロータリ弁方式の気化器である。
携帯作業機は、エンジン本体を起動させるための装置としてリコイルスタータを備えている(特許文献1)。作業者が手動でリコイル操作を行うことでエンジン本体を起動させることができる。特許文献1には、例えば点火プラグ8、発電機9、制御ユニット13、リコイルスタータ45、バタフライ式のスロットルバルブ33、チョークバルブ37など、典型的な携帯作業機が具備する要素が開示されている(各参照符号は特許文献1に記載の参照符号である)。特許文献1には、また、作業者が行う起動操作が記載されている。このことから、この特許文献1に開示の基本的な構成及びリコイル操作の方法を本願明細書に組み込む。
特許文献1に記載のように、エンジン本体を始動させるとき、一般的には、チョークバルブ37を閉じて、エンジン本体に供給するエアの量を少なくする状態を生成すると共に燃料供給量が多くなる状態を生成する。つまり、過度に濃い混合気をエンジン本体に供給できる状態になる。次いで、作業者がリコイル操作つまりエンジン起動操作を開始する。作業者が何回も反復してリコイル操作を行ってもエンジン本体が始動しないとき「エンジンカブリ」の問題が発生し易い。「エンジンカブリ」は、点火プラグの周囲に燃料が過剰に存在していることが原因で発生する。
熟練した作業者は、何回もリコイル操作を行うことが「エンジンカブリ」の問題を引き起こすことを知っている。このことから、適度な回数のリコイル操作で始動しないとき、チョークバルブ37を全開にする及び/又はスロットルバルブ33を全開にしてエンジン本体に供給するエアの量を増大できる状態にした後にリコイル操作を行う。これにより点火プラグの周辺の過剰な燃料を、エアを用いて排除させた後に、作業者は、再度、エンジン起動操作を行う。
上述した「エンジンカブリ」の問題に関連して、特許文献2はロータリ式気化器において、通常の燃料供給通路4cとは別の始動燃料供給通路12を設け、この始動燃料供給通路12を電磁弁13で開閉することを提案している(各参照符号は、特許文献2に記載の参照符号である)。特許文献2に開示のロータリ式気化器に含まれる電磁弁13は、電子式制御ユニットによって制御される。エンジン本体1の温度が所定値以下のときには電磁弁13が開かれる。すなわち、エンジン本体1の温度が低いときには、増量用燃料が始動燃料供給通路12を通じてエンジン本体1に供給される。そして、エンジン本体1が始動してエンジン温度が上昇したら電磁弁13が閉じられて、始動燃料供給通路12を通じた増量用燃料の供給が停止される。
特許文献3は、上述した「エンジンカブリ」の問題に関連してバタフライ式気化器を開示している。特許文献3に記載の参照符号を使って説明すると、気化器17はスロットルバルブ24とチョークバルブ25とを含んでいる。気化器17に供給する燃料の量は燃料供給電磁弁23で制御される。作業者がエンジン停止スイッチ74を押し下げると、点火プラグ21の点火が強制的に停止される。エンジン本体1には発電機19が設置される。発電機19はクランクシャフト7の回転によって発電し、発電電力が点火プラグ21の点火に用いられる。
燃料供給電磁弁23は常開電磁弁が用いられている。電磁弁23に駆動電力の供給を停止すると、電磁弁23は全開状態になる。作業者がエンジン停止スイッチ74を操作すると、点火プラグ21の点火が強制的に停止されるものの、クランクシャフト7は僅かな時間であるが惰性回転する。この惰性回転により発電機19は発電を続ける。この惰性回転に伴う発電電力を使って、燃料供給電磁弁23は強制的に全閉状態に保持される。これにより、クランクシャフト7が惰性回転する過程で燃料がエンジン本体1に供給されるのを阻止できる。すなわち、作業者がエンジン停止スイッチ74を操作すると、エンジン本体1には燃料無しのエアだけが供給され、点火プラグ21の周囲から燃料がエアによって排除される。換言すれば、エンジン停止スイッチ74を操作した後のエンジン本体1の惰性運転の過程でエンジン本体1に燃料が供給され続けるのを阻止することができる。これにより、点火プラグ21の周囲から余剰燃料を排除した状態のなかで起動操作でき、始動性を改善することができる。
US 2015/0047593 A1 US 2006/0102126 A1 US 2011/0114055 A1
本発明の目的は、特許文献2、3と異なる考え方に基づいてエンジン始動性を改善した携帯作業機を提供することにある。本発明は、2サイクル又は4サイクルのエンジンに適用することができる。近時は、低エミッション化の社会的要請を背景にエンジンの電子式制御が進化し、エンジン本体に供給する混合気の空燃比を最適化する制御が実行されている。エンジン起動の失敗に伴って未燃ガスがエンジン本体から排出されることから、エンジンの始動性を向上することは低エミッション化の社会的要請に貢献できる。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
作業者が起動操作することにより始動するエンジン本体(20)と、
該エンジン本体(20)に混合気を供給するための気化器(CB)と、
前記エンジン本体(20)のクランクシャフトの回転により発電する発電機とを有する携帯作業機において、
モータによって動作し且つ前記気化器(CB)を通じてエンジン本体(20)に供給する燃料の量を制御する弁部材(66,78,88)と、
始動アシスト制御を実行するアシスト制御ユニット(CU(2))とを有し、
前記始動アシスト制御は、
作業者が前記起動操作する前に、前記混合気の空燃比が起動に適した値となるように前記モータを動作させて前記弁部材(66,78,88)を起動位置に位置決めすることを特徴とする携帯作業機を提供することにより達成される。
本発明の作用効果及び他の目的は、好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
実施例の刈払機の斜視図である。 本発明の作業機に採用可能な2サイクル内燃エンジン装置の全体構成図である。 本発明に適用可能なバタフライ弁方式の気化器を説明するための図である。 本発明に適用可能なロータリ弁方式の気化器を説明するための図である。 本発明に適用可能な電子式の燃料供給制御のための制御系のブロック図である。 本発明に適用可能な過回転防止制御に用いられるしきい値Nth(n)を説明するための図である。 過回転防止制御及び混合気の空燃比制御に用いられる制御マップを説明するための図である。 本発明に適用可能なベストサーチ処理による最適空燃比とエンジン回転数のピークとの関係を説明するための図である。 ベストサーチ処理を説明するため図である。 ベストサーチ処理により得られた最適空燃比で制御マップの設定値を更新することを説明するための図である。 始動アシスト制御を実行するための機能ブロック図である。 始動アシスト制御による針弁の位置の変化を説明するための図である。 実施例の刈払機に搭載可能なエンジンに関する図である。(I)はリコイル操作からアイドル運転に至る過程での針弁の開度の制御を説明するための図である。(II)初爆からアイドル運転に至る過程での点火タイミングの制御を説明するための図である。(III)は、初爆からアイドル運転に至る過程でのエンジン回転数の変化を説明するための図である。 変形例の始動アシスト制御による針弁の位置の変化を説明するための図である。 図14の変形例の始動アシスト制御で実行される一連の処理を説明するためのフロー図である。 エンジンカブリの検出と、これに対応する第1次、第2次の起動制御、及び第2次起動制御の前に実行される準備制御を説明するためのフロー図である。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。図1に図示の刈払機100は、本発明に従う携帯作業機の一例である。刈払機100は、駆動部2と刈り刃4とを有し、駆動部2の出力は動力伝達シャフト6を通じて刈り刃4に伝達される。なお、刈り刃4は、ナイロンコードと金属ブレードとが選択的に用いられる。
動力伝達シャフト6を包囲する操作管8にはハンドル10が脱着可能に取り付けられ、操作管8を横断して左右に延びるハンドル10の左右の端部に夫々グリップ12が取り付けられている。作業者は、左右の手で各グリップ12R、12Lを把持して刈払機100を操作する。右グリップ12Rには、駆動部2の出力を制御するためのスロットルレバー14が取り付けられている。作業者はスロットルレバー14を操作することで駆動部2の出力を制御することができる。
図2は駆動部2を構成するエンジン本体20を示す。図2は、エンジン本体20の模式図である。特許文献1を参照して上述したように、エンジン本体20はリコイルスタータ18(図1)を作業者が操作することにより起動される。エンジン本体20は、空冷単気筒の2サイクル内燃エンジンで構成されている。変形例として、2サイクル内燃エンジンに代えて4サイクル内燃エンジンで駆動部2を構成してもよい。別の変形例として、後に図11を参照して説明する蓄電装置110を刈払機100が備えているときには、この蓄電装置110に蓄えられている電力を使ってエンジンを起動させるようにしてもよい。なお、エンジンを起動させるのに充分な蓄電装置110である場合には、リコイルスタータ18を省くことができる。
図2を参照して、エンジン本体20は、シリンダ22の中で往復動するピストン24を有し、このピストン24によって燃焼室26が画成される。燃焼室26には点火プラグ28が配設されている。シリンダ22は吸気ポート30及び排気ポート32を有し、これらポート30、32は、往復動するピストン24によって開閉される。すなわち、エンジン本体20はピストンバルブ方式である。吸気ポート30は吸気系34に接続され、他方、排気ポート32は排気系36に接続されている。
燃焼室26に燃料を供給する装置として現在、最も普及しているのが気化器CBである(図2)。気化器CBは、図示のように吸気系34に配置され、周知のように、気化器CBにはエアクリーナ40でろ過したエアが供給される。また、気化器CBには燃料タンク42が連結され、燃料タンク42内に設置した燃料フィルタ44でろ過した燃料が配管46を通じて気化器CBに供給される。この実施例では、燃料タンク42には潤滑オイル成分を含む混合燃料が収容される。
気化器CBで生成された混合気は、吸気ポート30を通じてクランク室38に充填され、クランク室38から周知の掃気通路SP(図2)を通じて燃焼室26に供給される。クランク室38内の混合気はピストン24の下降動作によって圧縮される。燃焼行程において、燃焼室26内の混合気が点火プラグ28によって点火される。そして、掃気行程において、クランク室38の混合気が掃気通路SPを通じて燃焼室26に供給される。エンジン本体20のこの一連の動作は周知であるので、これ以上の説明を省略する。
エンジン本体20は、最も好適な例として空気先導型層状掃気式エンジンを挙げることができる。空気先導型層状掃気式エンジンでは、吸気系34が2つの通路を有している。第1は、混合気をエンジン本体に供給する混合気通路である。第2が、エアクリーナ40でろ過したフレッシュエアを掃気通路SPに供給するエア通路である。空気先導型層状掃気式エンジンにおいて、掃気通路SPに先ずフレッシュエアが充填される。そして、掃気行程では、掃気通路SPに蓄積されているフレッシュエアが燃焼室26に供給され、このフレッシュエアによって燃焼室26の掃気が行われる。次いで、クランク室38の混合気が掃気通路SPを通じて燃焼室26に充填される。空気先導型層状掃気式エンジンの典型例がUS 2016/0097343 A1に開示されている。
気化器CBは、バタフライ弁方式とロータリ弁方式とが知られている。バタフライ弁方式とロータリ弁方式とを識別する必要があるときには、バタフライ弁方式の気化器CBには参照符号(B)を付記し、ロータリ弁方式の気化器CBには参照符号(R)を付記する。
図3を参照して、バタフライ弁方式の気化器CB(B)の概要を説明する。バタフライ弁方式気化器CB(B)は、吸気系34の一部を構成する気化器内ガス通路50を有している。気化器内ガス通路50には、出力制御弁(スロットル弁)であるバタフライ弁52と、一般的には、その上流側にベンチュリ部54とが設けられている。作業者がスロットルレバー14を操作すると、これに連動してバタフライ弁52が動作してスロットル開度が変化する。
気化器内ガス通路50には、ベンチュリ部54に臨んで配置されたメイン燃料吐出部(メインノズル)56と、バタフライ弁52に臨んで配置されたスロー系燃料吐出部(スロー系ノズル)58とが設けられ、これらメインノズル56、スロー系ノズル58を通じて気化器内ガス通路50に燃料が供給される。
バタフライ弁方式気化器CB(B)は、燃料タンク42から送られてくる燃料を受け入れる共通燃料通路60と、共通燃料通路60に通じるメイン系燃料通路62及びスロー系燃料通路64を有している。メイン系燃料通路62はメイン燃料吐出部つまりメインノズル56に通じている。スロー系燃料通路64はスロー系燃料吐出部つまりスロー系ノズル58に通じている。これら3つの燃料通路60、62、64には、夫々、第1乃至第3のバルブシステム66(1)、66(2)、66(3)の少なくとも一つが選択的に設置される。第1乃至第3のバルブシステム66(1)、66(2)、66(3)は、エンジン本体20に供給する混合気の空燃比を制御する弁部材である。第1乃至第3のバルブシステム66(1)、66(2)、66(3)は、駆動源のステッピングモータと、このステッピングモータの回転を直線動作に変換する直線動変換機構とを含んでいる。
ここに、ステッピングモータはギヤを含み、このギヤの抵抗で制御位置を保持する機能を有している。すなわち、ステッピングモータは停止したときの制御位置を保持する機能を有している。変形例として、外力に対して制御位置を保持する機械的な機構、例えばブレーキ機構を備えたステッピングモータで駆動源を構成してもよい。また、ステッピングモータに代えてサーボモータ、DCモータ等を用いてもよい。
例えば第1バルブシステム66(1)を共通燃料通路60に設置したときには、アイドル乃至スロットル全開の全ての運転領域において、エンジン本体20に供給する混合気の空燃比を制御することができる。例えば第2バルブシステム66(2)をメイン系燃料通路62に設置したときには、高負荷運転での混合気の空燃比を制御することができる。例えば第3バルブシステム66(3)をスロー系燃料通路64に設置したときには、低負荷運転での混合気の空燃比を制御することができる。バタフライ弁方式気化器CB(B)の変形例として、第2バルブシステム66(2)を含むメイン系燃料通路62及びメインノズル56をバタフライ弁方式気化器CB(B)から省いて、第3のバルブシステム66(3)を含むスロー系燃料通路64を用いて、アイドルから全開までの全領域において、エンジン本体20に供給する混合気の空燃比を制御してもよい。
図4を参照して、ロータリ弁方式の気化器CB(R)の概要を説明する。ロータリ弁方式気化器CB(R)は、バルブ本体70の中に軸回転可能に収容された円筒状のスロットルバルブ72を有し、この筒状スロットルバルブ72がスロットルレバー14の操作に連動して軸回転することにより気化器内ガス通路74の通路有効面積つまりスロットル開度が変化する。また、燃料タンク42に通じるノズル76と、このノズル76の中に侵入した針弁78とは、スロットルレバー14の操作に連動して相対変位し、これによりノズル76の燃料吐出口76aの有効面積が変化する。前述したように、円筒状のスロットルバルブ72がスロットルレバー14の操作に連動して軸回転することによりスロットル開度が変化する。
他方、針弁78は電動アクチュエータ88によって上下動して燃料吐出口76aの有効面積を変化させる。電動アクチュエータ88は、駆動源のステッピングモータと、ステッピングモータの回転動作を直線動作に変換する直線動変換機構とを有する。ステッピングモータはステップ数で制御され、ステップ数に基づくステッピングモータの回転によって針弁78の位置が全閉位置から全開位置まで制御される。これによりロータリ弁方式気化器CB(R)は、エンジン始動からスロットル全開までの所望の運転状態での混合気の空燃比制御が可能である。すなわち、電動アクチュエータ88によって動作する針弁78はエンジン本体20に供給する混合気の空燃比を制御する弁部材を構成する。
図2を参照して、気化器CBによって生成される混合気の空燃比は空燃比制御ユニットCU(1)によって制御される。図5は空燃比制御に関連した制御ブロック図である。空燃比制御ユニットCU(1)はマイクロコンピュータ90とメモリ92とを含んでいる。空燃比制御ユニットCU(1)には、エンジン回転数センサ84からエンジン回転数が入力される。また、スロットル開度センサ86(図3、図4)からスロットル開度が入力される。なお、スロットル開度センサ86を構造的に一体的に組み込んだロータリ弁方式気化器はUS 10,202,942 B2に詳細に開示されている。
先ず、図6を参照して、空燃比制御の概要を説明すると、空燃比の最適化のために空燃比をリーン化する方向に制御すると、エンジン本体20は過回転状態に陥る危険性がある。図6を参照して、異常燃焼によりエンジン制御が不能になる領域を「過回転領域」又は「危険領域」と呼ぶと、この過回転領域は、スロットル開度つまり燃料供給量によって変化し、スロットル開度が大きくなる程、高いエンジン回転数になる。また、スロットル開度が小さく燃料供給量が少ないときには、相対的に低いエンジン回転数で過回転領域に入る。
過回転を防止しつつ空燃比を最適化するために、過回転防止しきい値Nth(n)がスロットル開度毎に設定されている。図7は、混合気の空燃比制御のために用いられる制御情報である制御マップMPを示す。この制御マップMPはメモリ92(図5)に記憶されている。過回転防止しきい値Nth(n)は、過回転領域と安全領域との境界よりも低い回転数が設定される(図6)。すなわち、各スロットル開度区分(n)の過回転防止しきい値(Nth(n))は、各スロットル開度区分(n)における過回転領域のエンジン回転数よりも低い値に設定されている。従って、検出したエンジン回転数が過回転防止しきい値Nth(n)よりも若干高くなったとしても、直ちに過回転領域に入って異常燃焼が発生するという問題を未然に防止できる。ここに、制御マップMPに含まれる制御情報として、各スロットル開度に対応する混合気の目標空燃比A/F(又は目標燃料供給量)が予め設定されている。
エンジン本体20が動作すると、エンジン回転数センサ84からエンジン回転数が空燃比制御ユニットCU(1)に入力され、また、空燃比制御ユニットCU(1)にはスロットル開度センサ86からスロットル開度が入力される。そして、例えば、アイドル運転のときは、制御マップMPに従ってアイドル運転時の目標空燃比A/F(idle)となるように気化器CBが生成する混合気の空燃比(燃料供給量)が制御される。作業者がスロットルレバー14を操作してスロットル開度が半開き(パーシャル)或いは全開(フルスロットル)の状態になったときには、この状態のスロットル開度(n)に対応する制御マップMPの目標空燃比A/F(n)となるように気化器CBが生成する混合気の空燃比(燃料供給量)が制御される。すなわち、制御マップMPに含まれる制御情報として、各スロットル開度(n)に対応した気化器CBに関する制御量が設定されている。
スロットル開度毎に過回転防止しきい値Nth(n)を設定することにより、アイドルからフルスロットルの全ての運転状態において過回転の問題を解消できる。従って、燃料供給量の電子制御において、スロットル開度毎の気化器CBの制御量つまり混合気の空燃比の値を従来よりもリーン側の値に設定することができる。このことは、燃料供給量の最適化を意味し、また、低エミッション化を意味している。
スロットル開度毎の燃料供給量の最適化において、作業中の低エミッション化と高出力化との両立を高い次元で実現するのに、各スロットル開度に対応した空燃比の最適値を学習させる制御を加えるのが好ましい。図8は、スロットル開度を一定に保ったまま混合気の空燃比つまりエンジン本体20に供給する燃料の量を増減させたときのエンジン回転数の変化を説明するための図である。空燃比を変化させるとエンジン回転数にピークが現れる。このエンジン回転数のピークPに到達するときの空燃比の値はエンジン出力が最も高くなる値であると言うことができる。全てのスロットル開度において、各スロットル開度でエンジン回転数がピークPに到達する最適空燃比で、エンジン本体20を動作させるのが望ましいが、作業機の使用環境によって各スロットル開度でエンジン回転数がピークPに到達する最適空燃比つまりエンジン本体20に供給する燃料の最適量が変化する。
このことを念頭に置くと、作業者が作業機を使用している最中に、空燃比制御ユニットCU(1)が最適空燃比をサーチする処理を実行するのがよい。これを「ベストサーチ」と呼ぶ。図9を参照してベストサーチの概要を説明する。図10は、スロットル開度を16の区分に分けた制御マップMPを制御情報の一例として示している。図10の制御マップMPでは、アイドルは第3区分に含まれ、スロットル全開は第16区分に含まれる。例えば第13区分のスロットル開度で継続して運転しているときに、目標空燃比A/F(13-1)の下でエンジン本体20が動作したときにエンジン回転数N1だったとすると、この目標空燃比A/F(13-1)を所定値だけリーンの第2空燃比A/F(13-2)に変更する。
ベストサーチでは、各区分毎に、空燃比を少しずつ変化させて最も高いエンジン回転数が得られる空燃比を求める処理が実行され、その結果、得られた実空燃比で目標空燃比が更新される。変更後の第2空燃比A/F(13-2)でエンジン本体20が動作したときにエンジン回転数N2だったとすると、図9に図示の例では、空燃比を変更した後のエンジン回転数N2は回転数が高くなっている。次に第2空燃比A/F(13-2)を所定値だけリーンの第3空燃比A/F(13-3)に変更する。変更後の第3空燃比A/F(13-3)でエンジン本体20が動作したときにエンジン回転数N3だったとすると、図9に図示の例では、空燃比を変更した後のエンジン回転数N3は回転数が高くなっている。次に第3空燃比A/F(13-3)を所定値だけリーンの第4空燃比A/F(13-4)に変更する。変更後の第4空燃比A/F(13-4)でエンジン本体20が動作したときにエンジン回転数N4だったとすると、図9に図示の例では、空燃比を変更した後のエンジン回転数N4は回転数が低くなっている。この一連の空燃比A/Fの変更によって第3空燃比A/F(13-3)が最も高いエンジン回転数P(図8)だったことが分かる。この最も高いエンジン回転数Pを実現した第3空燃比A/F(13-3)を制御マップMPの空燃比の目標値として更新する。他の区分においても同様に各区分(n)において最も高いエンジン回転数を実現できる空燃比A/F(n)をサーチして制御マップMPの目標値を更新する(図10)。
図11は、始動アシスト制御を実行するための機能ブロック図である。始動アシスト制御は、円滑にエンジンを起動させ、そして速やかにアイドル運転に移行させるのに好適な状態を生成するために行われる。この始動アシスト制御は、起動からアイドルに移行するまでの間において行われる燃料供給量の制御を含む。始動アシスト制御は準備工程を含み、準備工程は、作業者がリコイル操作(特許文献1)を開始する前に実行される。以下に、図4を参照して説明したロータリ弁方式の気化器CB(R)を備えたエンジンを例に説明するが、図3を参照して説明したバタフライ弁方式の気化器CB(B)を備えたエンジンについても同様に適用可能である。
図11を参照して、始動アシスト制御を実行するアシスト制御ユニットCU(2)には、スロットル開度センサ86、エンジンスタートスイッチ200、エンジン停止スイッチ102からの信号が入力される。エンジンスタートスイッチ200はエンジンを起動するときに作業者が操作するスイッチである。エンジン停止スイッチ102は、点火プラグ28の点火を強制的に停止するスイッチであり、作業者が作業を停止するときに操作するスイッチである(特許文献3)。
アシスト制御ユニットCU(2)は点火装置104に点火タイミングを送信する。これに対応して、点火装置104は点火プラグ28に点火信号を送信する。この点火のための電力は発電機106によって生成される(特許文献1及び3)。発電機106はクランクシャフトの回転によって発電する。
アシスト制御ユニットCU(2)は、作業者が行うリコイル操作を検出するリコイル操作検出センサ108を有する。このリコイル操作検出センサ108からの信号によってリコイル回数をカウントアップする。なお、実施例としてリコイル操作検出センサ108を設けた場合について説明したが、リコイル操作検出センサ108を設けず、発電機106を用いて発電回数をアシスト制御ユニットCU(2)が監視したり、点火装置104を用いて点火回数をアシスト制御ユニットCU(2)が監視することで、リコイル回数をカウントアップすることも可能である。リコイル回数をカウントアップできれば、リコイル回数の検出方法は任意である。
上述した空燃比制御ユニットCU(1)(図5)とアシスト制御ユニットCU(2)(図11)とを一つの制御ユニットで構成してもよい。
<始動アシスト制御及び始動点火タイミング制御>
アシスト制御ユニットCU(2)などは発電機106を電源として動作するが、必要であれば、蓄電装置110を設置して蓄電装置110によってアシスト制御ユニットCU(2)、ステッピングモータ(バルブシステム)66(1)〜(3)、ステッピングモータ88を動作させるようにしてもよい。蓄電装置110として、小型二次電池、コンデンサを例示することができる。発電機106が生成した電力が蓄電装置110に蓄えられる。
エンジン起動操作つまりリコイル操作による初爆、始動運転(不安定な運転状態)、そして安定したアイドル運転に移行するまでの間の点火タイミングはメモリ92に記憶されている。ここに起動時において、エンジンは初爆すると動き始める。この動き始める動作と初爆との違いを言い表すために、初爆に続くエンジン動作を「始動」という用語で表現する。具体的には、リコイル操作の際の点火タイミング(例えばBTDC約30°)がメモリ92に記憶されている。始動運転では、始動時の点火タイミング(例えばBTDC約30°)を徐々に遅角する制御が行われる。この点火タイミング制御は、予めメモリ92に記憶させた設定タイミングに基づいて行ってもよいし、メモリを用いずに、所定のクランク回転数ごとに点火タイミングを遅角させるようにしてもよい。メモリ92には、アイドル運転での点火タイミング(例えばBTDC約10°)が記憶されている。
図12は、エンジン起動時において、ロータリ弁方式気化器CB(R)(図4)のノズル76と、このノズル76の中に侵入した針弁78との関係を説明するための図である。図12の最も左の(I)はアイドル運転時の針弁78の位置(「アイドル位置」)を示す。(I)において、針弁78はノズル76の中に深く侵入したアイドル位置に位置決めされる。針弁78のアイドル位置はメモリ92(図11)に記憶されている。アイドル運転では、このメモリ92に設定されているアイドル位置となるように針弁78の位置が制御される。
図12において、(II)はエンジン停止時の針弁78の位置を示す。作業者がエンジン停止スイッチ102を操作した後にエンジン動作が完全に止まる直前に針弁78が引き上げられる。そして、針弁78は「起動位置」に位置決めされる。針弁78の起動位置では燃料吐出口76aの有効面積が大きい状態になる。燃料吐出口76aの大きな有効面積によって、エンジン本体20に供給する混合気の空燃比がエンジン起動に適した値となる。
エンジン停止時に針弁78を起動位置に位置決めするための電力は発電機106によって生成される。作業者がエンジン停止スイッチ102を操作すると、点火プラグ28の点火が強制的に停止されるものの、クランクシャフトは僅かな時間であるが惰性回転して、発電機106は発電を続ける。この惰性回転に伴う発電電力を使って針弁78が起動位置となるようにステッピングモータ88が駆動される。クランクシャフトの惰性回転に伴って生成される発電電力をステッピングモータ88の駆動のために消費することで、発電機106に負荷が発生する。この負荷は、エンジン本体20の惰性回転を制止するブレーキとして機能する。これによりエンジン本体20の惰性運転を早期に終了させることができる。
惰性回転しない、もしくは惰性回転する時間が短いエンジンで、なおかつ刃物を有さない、例えばパワーブロアのような携帯作業機は、エンジン停止スイッチ102の操作で点火プラグ28の点火を強制的に停止させなくてもよい。この場合、作業者がエンジン停止スイッチ102を操作したら、針弁78を「起動位置」に位置決めした後、エンジンを停止させる。エンジン動作中、つまり発電機106から供給される電力が充分にある状態で針弁78を「起動位置」に位置決めできるので、位置決めの精度を向上させることができ、発電力が低い小型の発電機を搭載することが可能となる。
次の(III)〜(V)は起動からアイドルまでの時系列に変化する針弁78の位置を示す。(III)はエンジン起動時つまりリコイル操作の際の針弁78の起動位置を示し、この針弁78の起動位置は、エンジン停止時に針弁78が位置決めされた位置と同じである。起動位置では燃料吐出口76aが大きく開いて、エンジン本体20に供給する混合気の空燃比がエンジン起動に適した値(大きい空燃比)となる状態が生成される。(IV)は始動直後の針弁78の位置を示し、この針弁78の位置は徐々に変化してアイドル位置(図12の(I))に近づく。すなわち、図12の(III)、(IV)はエンジン起動時の針弁78の制御モードを示し、制御モードには準備工程の(II)に示す停止時の針弁78の位置決めを含む。このエンジン始動時の不安定な運転状態から安定した運転状態に移行すると、通常の制御モードに移行してアイドル運転になる。アイドル運転での針弁78の位置を図12の(V)に示す。この(V)は、最も左の(I)と同じである。
図13の(I)は、起動時の針弁78の位置を説明するための図である。前述したように、針弁78の電動アクチュエータ88が上述したギヤを含むステッピングモータで構成されている。エンジン動作停止時の針弁78の位置は、エンジンが休止している間も保持される。このことから、エンジン起動時つまりリコイル操作の際、針弁78は、停止時に位置決めされた位置(「起動位置」)に位置している。したがって、エンジンスタートスイッチ200の操作、これに続くリコイル操作の際、針弁78は動作しないで停止時の起動位置のままである。起動位置では燃料吐出口76aが実質的に大きく開いている。エンジン本体20に供給する混合気の空燃比がエンジン起動に適した値(大きい空燃比)となる状態が生成されている。この状態でエンジンを起動させることができる(図13の(I)において、経過時間0−2秒)。これにより大きい空燃比、つまり起動し易い空燃比の下でエンジン起動操作を行うこができる。
このことは、初爆がスムーズに発生し、また、次のエンジン始動が円滑になることを意味していると共に、従来のチョークバルブと実質的に同じ機能を針弁78の起動位置によって実現できていることを意味する。よって、チョークバルブ無しのエンジンを提供できる。
なお、既述したスロットル開度センサ86(図3、図4)はスロットル全閉から全開までスロットル開度を検出できる。発電機106が生成した電力でスロットル開度センサ86が動作する。したがって、スロットル開度センサ86による検出はエンジン起動後である。図12を参照して説明したように、針弁78はエンジン起動前つまり発電機106が電力を生成する前に起動位置(図12の(III))に位置決めされている。したがって、スロットル開度センサ86がスロットル開度を検出しなくても又はスロットル開度センサ86無しでも、適切な状態でエンジンを始動させることができる。
初爆に続いて始動を開始した直後は、エンジン回転数が大きく変動する不安定な運転状態であるものの徐々に安定した運転状態に変化する。この間、針弁78がノズル76の中に徐々に入り込んで燃料吐出口76aを実質的に狭める(図13の(I)において経過時間2―5秒)。そして、針弁78がアイドル位置に移行したときには、アイドル運転時の状態になる(図13の(I)において経過時間5秒以降)。通常制御モードでのアイドル運転時の針弁78の位置は、図10の制御マップMPに基づいて規定される。前述したように制御マップMPには、ベストサーチによって希薄化された空燃比が目標値として設定されている。
<始動点火タイミング制御>
上述したように、始動アシスト制御に加えて始動点火タイミング制御が実行される。図13の(II)は始動時における点火タイミング制御の概要を説明するための図である。初爆に続いて始動を開始した直後(図13の(II)において経過時間0−1.7秒)において、エンジンが始動を継続し易い点火タイミング(BTDC約30°)が設定され、その後、徐々にアイドル点火タイミング(BTDC約10°)に近づくように点火タイミングが調整され、そして、アイドル運転に移行する。この一連の点火タイミング制御により、円滑な始動が促され、エンジン始動直後のエンジン回転数を早期に上昇させることができる。この結果、エンジン始動直後に十分な発電量を確保することができる。すなわち、始動アシスト制御及び始動点火タイミング制御など電子制御を円滑に実行する電力を過不足なく確保することができる。
図13の(III)は、始動アシスト制御及び始動点火タイミング制御を実行したときに計測したエンジン回転数の変化を示す。環境温度20℃においてエンジンを始動させるのに要したリコイル操作の平均回数は3.5回であった。比較例として、始動アシスト制御及び始動点火タイミング制御を全く行わず、チョークバルブを使用したときのリコイル操作の平均回数は4.5回であった。
図14は、始動アシスト制御の変形例を説明するための図である。図14を参照して、最も左の(I)は、作業者がエンジンスタートスイッチ200を操作した直後に針弁78が引き上げられて燃料吐出口76aの有効面積が大きい状態になる。エンジンスタートスイッチ200の操作直後の針弁制御は、始動アシスト制御の準備工程である。針弁78を駆動するための電力は、蓄電装置110(図11)から供給される。図14の(II)〜(IV)は前述した図12の(III)〜(V)と同じである。変形例の始動アシスト制御においても、燃料吐出口76aが実質的に大きく開いた状態で起動させることができる。燃料吐出口76aの大きな有効面積によって、エンジン起動に適した空燃比(大きい空燃比)の混合気をエンジンに供給できる。
図15は、図14を参照して説明した始動アシスト制御の変形例で実行される一連の処理を説明するための図である。この一連の処理は、蓄電装置110として二次電池が用いられていることを前提とする。図15の(I)を参照して、作業者がエンジンスタートスイッチ200を操作すると、二次電池110の残量の確認が行われる(図15の(II))。次の工程(III)において、針弁制御を実行するのに十分な残量があるか否かの判定が行われ、十分な残量がある場合には、好ましくは環境データが取得される(図15の(IV))。この環境データには、エンジン温度、大気温度、大気圧などを含む。次の工程(V)において、針弁78のゼロ点(基準点)の検出が行われる。
ステッピングモータ88はアシスト制御ユニットCU(2)が供給するステップ数によって動作する。このステップ数の基準となるゼロ点を検出するために、ステッピングモータ88の可動限界までステッピングモータ88を回転させてステッピングモータ88の可動限界を検出する。そして、この可動限界をゼロ点(基準点)としたステップ数でステッピングモータ88が制御される。
次の工程(VI)において、針弁78を起動位置に位置決めするためにステッピングモータ88が駆動される。起動位置は、メモリ92に記憶されている起動位置を好ましくは上記の環境データに基づいて補正される。そして、次の工程(VII)で作業者のリコイル操作つまりエンジン起動操作が行われる。
工程(III)において、二次電池110の残量が不足していると判定されたときには、針弁78を動作させることなく(工程(VIII))、現状位置(多くの場合アイドル位置)の針弁78の下で作業者のリコイル操作つまりエンジン起動操作が行われる(工程(IX))。
空燃比制御ユニットCU(1)(図5)とアシスト制御ユニットCU(2)(図11)とを一つの制御ユニットで構成した場合には、上述した空燃比制御とアシスト制御を一つのプログラムに組み込んでおくのがよい。空燃比制御とアシスト制御との切替えに関し次の3つの態様が考えられる。
<第1の態様>
アシスト制御の下で起動制御を行う。そして、アシスト制御により、例えば針弁78が起動位置に位置決めされ、エンジン回転数又はエンジン温度又は時間等の少なくとも一つが所定のしきい値を越えたら、エンジンが始動したと判断して、アシスト制御を完了し、例えば空燃比制御モードに移行させる。空燃比制御モードに代えて、点火時期を制御するようにしてもよい。
<第2の態様>
アシスト制御の下で起動制御を行う。そして、アシスト制御により例えば針弁78を起動位置に位置決めしたら、アシスト制御を完了し、例えば空燃比制御モードに移行させる。空燃比制御モードに代えて、点火時期を制御するようにしてもよい。
<第3の態様>
アシスト制御の下で起動制御を行う。そして、作業者がスロットルレバー14(図1)を操作してスロットル開度が所定のしきい値を越えたら(スロットル開度が所定のしきい値よりも大きくなったら)、スロットル開度に応じた作業ができるように、アシスト制御をキャンセルして、例えば空燃比制御モードに移行させる。空燃比制御モードに代えて、点火時期を制御するようにしてもよい。
<エンジンカブリ検出及び対応制御(図16)>
特許文献2、3を参照して説明した「エンジンカブリ」は特定の内燃エンジンに限られる問題ではない。「エンジンカブリ」は燃料噴射弁方式のエンジンでも、気化器方式のエンジンでも発生する問題である。図16を参照して、図4に図示のロータリ弁方式の気化器CB(R)の場合の「エンジンカブリ」の検出と、「エンジンカブリ」に関する対応制御を説明する。この「エンジンカブリ」の検出と、「エンジンカブリ」に関する対応制御は燃料噴射弁やバタフライ弁方式の気化器CB(B)(図3)を備えた内燃エンジンにも適用可能である。
アシスト制御ユニットCU(2)は、エンジンカブリ検出とこれに対応する第1次、第2次の起動制御を実行する。この起動制御によって、作業者は単にリコイル操作を繰り返すだけで、エンジンカブリを未然に防止したなかでエンジンを起動させることができる。
<エンジンカブリ検出>
エンジンスタートスイッチ200(図11)を操作した後に作業者が行ったリコイル操作をリコイル操作検出センサ108で検出して、その回数をカウントアップする。そして、リコイル操作回数が所定の第1所定回数を越えた(図16のステップ(I))ことに基づいて「エンジンカブリ」と判定する(ステップ(II))。
エンジンカブリに対応する制御は、第1次起動制御と、これに続く第2次起動制御と、第2次起動制御の前に実行される準備制御とを含む。
<第1次起動制御(ステップ(III),(IV))>
ステップ(II)でカブリと判定したときは、針弁78を所定量押し下げる(ステップ(III))。つまり針弁78を起動位置から所定量アイドル位置に近づける。これにより、燃料吐出口76aの有効面積を所定量小さくする。
この状態でリコイル操作を行っても起動しない(ステップ(IV))ときには、ステップ(III)に戻って針弁78を先ほど変更した位置から所定量押し下げる。つまり針弁78を先ほど変更した位置から所定量アイドル位置に近づける。この状態でリコイル操作を行っても起動しない(ステップ(IV))ときには、再度ステップ(III)に戻って針弁78を所定量押し下げる処理が行われる。リコイル操作に伴う燃料吐出口76aの有効面積を段階的に小さくする処理はエンジンが起動するまで反復されるが、エンジンが起動したときには、その時点で第1次起動制御は終了する。
<準備制御(ステップ(V)〜(VIII))>
第1次起動制御において、反復したリコイル操作の回数が第2所定回数を越えたときには(ステップ(V))、針弁78を押し下げて燃料吐出口76aを全閉状態にする処理が実行される(ステップ(VI))。その結果、作業者は燃料吐出口76aが全閉状態の下でリコイル操作を行うことになる。このリコイル操作を作業者が何回か行って、このリコイル操作の回数が第3所定回数を越えたときには(ステップ(VII))、この第3所定回数のリコイル操作によって、点火プラグ28(図2)の周囲の過剰な燃料をエアによって排出することができ、点火プラグ28の周囲の混合気が希薄になる。したがって、第3所定回数のリコイル操作を検出することで、点火プラグ28の周囲の混合気が希薄になったと判定する(ステップ(VIII))。
<第2次起動制御(ステップ(IX)〜(XI))>
点火プラグ28の周囲の混合気が希薄になったと判定(ステップ(VIII))したら、全閉位置の針弁78を所定量上昇させて燃料吐出口76aを所定量開ける(ステップ(IX))。この状態でリコイル操作を行って起動しないときには(ステップ(X))、ステップ(VIII)に戻って、点火プラグ28の周囲の混合気が希薄過ぎると判定して、針弁78を更に所定量上昇させて燃料吐出口76aの有効面積を拡大させる(ステップ(IX))。この状態でリコイル操作を行って起動しないときには(ステップ(X))、再度ステップ(VIII)に戻る。リコイル操作に伴って全閉位置から徐々に起動位置に近づくように針弁78を動作させる第2次起動制御の下で、作業者が反復的に行ったリコイル操作の回数が第4所定回数を越えたときには(ステップ(XI))、第2次起動制御を停止すると共に故障と判定して、例えば警告灯などの警報を発する(ステップ(XII))。
上述した「エンジンカブリ」に関する対応処理において、エンジンの起動に成功したときは、その時点で「エンジンカブリ」対応処理プログラムは終了する。
なお、ステップ(I)のカブリ検出において、リコイル操作の操作回数で「エンジンカブリ」と判定したが、これに代えて、発電機の発電回数または点火装置の点火回数等によってカブリ検出を行うようにしてもよい。
100 刈払機
20 エンジン本体
28 点火プラグ
CB 気化器
CB(B) バタフライ弁方式気化器
56 メイン燃料吐出部(メインノズル)
58 スロー系燃料吐出部(スロー系ノズル)
66 駆動源としてステッピングモータを含むバルブシステム
CB(R) ロータリ弁方式気化器
72 筒状スロットルバルブ
76 ノズル
76a ノズルの燃料吐出口
78 針弁
88 駆動源としてステッピングモータを含む電動アクチュエータ
CU(1) 空燃比制御ユニット
CU(2) アシスト制御ユニット
102 エンジン停止スイッチ
104 点火装置
108 リコイル操作(起動操作)検出センサ
200 エンジンスタートスイッチ

Claims (11)

  1. 作業者が起動操作することにより始動するエンジン本体と、
    該エンジン本体に混合気を供給するための気化器と、
    前記エンジン本体のクランクシャフトの回転により発電する発電機とを有する携帯作業機において、
    モータによって動作し且つ前記気化器を通じてエンジン本体に供給する燃料の量を制御する弁部材と、
    始動アシスト制御を実行するアシスト制御ユニットとを有し、
    前記始動アシスト制御は、
    作業者が前記起動操作する前に、前記混合気の空燃比が起動に適した値となるように前記モータを動作させて前記弁部材を起動位置に位置決めすることを特徴とする携帯作業機。
  2. 前記エンジン本体の点火プラグの点火を強制的に停止させるエンジン停止スイッチを更に有し、
    該エンジン停止スイッチを作業者が操作した後、前記エンジン本体の動作が終わる前に前記弁部材が前記起動位置に位置決めされる、請求項1に記載の携帯作業機。
  3. 前記発電機が発電した電力を蓄える蓄電装置を更に有し、
    エンジンスタートスイッチを作業者が操作した後、前記蓄電装置を電源として前記弁部材が前記起動位置に位置決めされる、請求項1に記載の携帯作業機。
  4. 前記アシスト制御ユニットが、前記エンジン本体の始動時の運転に適した空燃比に近づくように、前記モータを動作させて前記弁部材を前記起動位置から徐々にアイドル位置に近づけることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯作業機。
  5. 前記気化器のスロットル開度を検出するスロットル開度センサと、
    該スロットル開度センサが検出したスロットル開度に基づいて前記エンジン本体に供給する混合気の空燃比を制御する空燃比制御ユニットとを更に有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯作業機。
  6. 前記空燃比制御ユニットがメモリを有し、
    該メモリに各スロットル開度に対応した目標空燃比が記憶されている、請求項5に記載の携帯作業機。
  7. 前記エンジン本体の回転数を検出するエンジン回転数センサを更に有し、
    前記空燃比制御ユニットが、各スロットル開度に対応した目標空燃比を徐々に変化させてエンジン回転数が最も高くなる空燃比を検出することにより、各スロットル開度の前記目標空燃比を更新するベストサーチ制御を実行する、請求項6に記載の携帯作業機。
  8. 前記アシスト制御ユニットが、前記エンジン本体の始動時の点火タイミング制御を実行し、
    該始動点火タイミング制御は、
    作業者が起動操作する際は、前記エンジン本体が起動し易い点火タイミングに設定し、
    前記エンジン本体が起動した後に、前記点火タイミングを徐々にアイドル運転でのアイドル点火タイミングに近づける、請求項1〜7のいずれか一項に記載の携帯作業機。
  9. 前記アシスト制御ユニットがエンジンカブリを検出すると共に、エンジンカブリと判定したときに、エンジンカブリに対応する起動制御を実行し、
    前記エンジンカブリ検出は、
    作業者の起動操作の回数をカウントアップし、
    該カウントアップした起動操作の回数が第1所定回数を越えたときにエンジンカブリと判定し、
    前記エンジンカブリに対応する起動制御は、第1次起動制御として、
    前記弁部材を前記起動位置から所定量アイドル位置に近づけ、
    この状態で起動操作しても、エンジンが起動しないときには、前記弁部材を更に所定量アイドル位置に近づけ、
    この状態で作業者が行う起動操作を行っても起動しないときには、前記弁部材を更に所定量アイドル位置に近づける処理を起動が成功するまで反復する、請求項1に記載の携帯作業機。
  10. 前記エンジンカブリに対応する制御は、前記第1次起動制御の下で作業者が行った起動操作が第2所定回数を超えたときに実行される第2次起動制御の前に実行する準備制御を含み、
    該準備制御は、前記弁部材を全閉状態にする工程を含み、
    該弁部材が全閉状態の下で作業者の起動操作が第3所定回数を超えたときに、前記点火プラグの周囲の過剰な燃料が排出されたと判定して、前記第2次起動制御に移行し、
    該第2次起動制御では、全閉状態の前記弁部材を所定量開け、
    この状態で作業者が行う起動操作を行っても起動しないときには、前記弁部材を更に所定量開ける処理が行われ、
    この処理がエンジンの起動が成功するまで反復される、請求項9に記載の携帯作業機。
  11. 前記第2次起動制御の下で行った作業者の起動操作が第4所定回数を越えたときに、前記第2次起動制御を停止し、故障を意味する警報を発する、請求項10に記載の携帯作業機。
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