JP2021143403A - 車載用水素精製装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インフラ設備に依存せず、環境負荷を与えることなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことのできる車載用水素精製装置を提供すること。【解決手段】車両V上で水を電気分解することによって水素を精製する車載用水素精製装置60であって、水導入口614と、水素取出口615と、未処理水排出口616と、を有する筒状のハウジング610と、ハウジング610内に収容される水素精製機能部620と、を備え、水素精製機能部620は、アノード電極621及びカソード電極622の間に、電解触媒624及び水素分離膜625を同軸状に積層して構成される。【選択図】図2

Description

本発明は、車載用水素精製装置に関する。
自動車用の燃料として水素を使用する試みがなされている。例えば、特許文献1には、水を電気分解して高圧水素を発生させる水電解装置と、水電解装置から送られる水素を燃料電池車両に供給するために貯蔵する水素供給タンクとを備える水素供給システムにおいて、水素を燃料電池車両の車載水素タンクに供給する技術が開示される。
特開2007−48599号公報
しかし、車載水素タンクに水素を供給する水素ステーションのインフラ整備は進んでおらず、未だ限定的にしか設置されていない。そのため、自動車ユーザーは、長時間の運転に対して水素切れの懸念を抱えているのが現状である。また、そもそも、水素精製における二酸化炭素(CO)発生等の環境負荷の問題があるため、水素エネルギの利用は必ずしも環境に対して考慮されているとはいい難い。
そこで、本発明は、インフラ設備に依存せず、環境負荷を与えることなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことのできる車載用水素精製装置を提供することを目的とする。
(1) 本発明は、車両(例えば、後述の車両V)上で水を電気分解することによって水素を精製する車載用水素精製装置(たとえは、後述のH精製装置60)であって、水導入口(例えば、後述の水導入口614)と、水素取出口(例えば、後述の水素取出口615)と、未処理水排出口(例えば、後述の未処理水排出口616)と、を有する筒状のハウジング(例えば、後述のハウジング610)と、前記ハウジング内に収容される水素精製機能部(例えば、後述の水素精製機能部620)と、を備え、前記水素精製機能部は、アノード電極(例えば、後述のアノード電極621)及びカソード電極(例えば、後述のカソード電極622)の間に、電解触媒(例えば、後述の電解触媒624)及び水素分離膜(例えば、水素分離膜625)を同軸状に積層して構成される。
上記(1)によれば、連続して水を導入することによって、連続して水素を精製することができる。水素供給のためのインフラに依存することなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことが可能である。精製される水素は、水を電気分解したものであるため、COフリー燃料であり、環境負荷を与えることもない。したがって、インフラ設備に依存せず、環境負荷を与えることなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことのできる車載用水素精製装置を提供することができる。
(2) (1)に記載の車載用水素精製装置において、前記水素精製機能部は、前記アノード電極の外周に、前記電解触媒が配置され、前記電解触媒の外周に、前記カソード電極及び前記水素分離膜が配置され、前記水導入口は、前記ハウジングの長さ方向の一端に配置され、前記未処理水排出口は、前記ハウジングの長さ方向の他端に配置され、前記水素取出口は、前記水導入口と前記未処理水排出口の間の前記ハウジングの外周面(例えば、後述の外周面611d)に配置されてもよい。
上記(2)によれば、H精製装置における電気分解の電場を大きく取ることが可能である。そのため、水導入部から導入した水が未処理水排出口に向けて流通する過程で、効率良く水素を精製することができる。
(3) (1)に記載の車載用水素精製装置において、前記水素精製機能部は、円筒状に形成された前記水素分離膜の外周に、前記カソード電極が配置され、前記カソード電極の外周に、前記電解触媒が配置され、前記電解触媒の外周に、前記アノード電極が配置され、前記水導入口及び前記未処理水排出口は、前記ハウジングの外周面にそれぞれ配置され、前記水素取出口は、前記水素分離膜の内側における前記ハウジングの長さ方向の一端に配置されてもよい。
上記(3)によれば、ハウジングから水素精製機能部を容易に取り出して交換等をすることができるため、使用による触媒劣化、使用される水質の差等の状況に応じて、水素精製機能部の変更や交換等の対応が容易に可能である。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の車載用水素精製装置において、前記水導入口の開口面積>前記未処理水排出口の開口面積であってもよい。
上記(4)によれば、水導入口に対して未処理水排出口が絞られるため、ハウジング内の水の圧力が上昇し、電解触媒の内部に水が浸透し易くなり、電解触媒に対する接触面積が増加する。したがって、水の電気分解量が増加する。ハウジング内の水の圧力が上昇することによって、水素が水素分離膜を透過するために必要な圧力が生成される、あるいは、水素が水素分離膜を透過するために必要な圧力を補助することができる。その結果、H精製装置は、より効率的な水素精製を行うことができる。
(5) (1)〜(3)のいずれかに記載の車載用水素精製装置において、前記水導入口の開口面積≦前記未処理水排出口の開口面積であってもよい。
上記(5)によれば、水導入口に対する未処理水排出口の排出面積が同等以上になるため、H精製装置に供給する水を貯留するHOタンクに対する背圧損失が低減する。そのため、H精製装置に水を送り込むポンプの仕事の損失を低減することができる。HOタンクが、自身の内圧のみで水をH精製装置に供給する場合は、HOタンクに対する背圧が下がることによって、HOタンク内の水をより多く利用することができる。
本発明によれば、インフラ設備に依存せず、環境負荷を与えることなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことのできる車載用水素精製装置を提供することができる。
本発明に係る車載用水素精製装置を搭載した車両の構成の一実施形態を示す図である。 本発明に係る車載用水素精製装置の第1実施形態を示す縦断面図である。 本発明に係る車載用水素精製装置の第2実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る車載用水素精製装置を搭載した車両Vの構成の一実施形態を示す図である。本実施形態に示す車両Vは、液体の炭化水素燃料を燃焼させることによって発生する熱エネルギを機械エネルギに変換する内燃機関1(以下、「エンジン」という)を備え、このエンジン1によって得られた機械エネルギを利用して駆動輪(図示せず)を駆動することにより走行する。
車両Vは、エンジン1と、エンジン1に燃料を供給する燃料供給装置2と、エンジン1の排気管16を流れる排気から二酸化炭素(CO)を回収するCO回収装置3と、排気管16を流れる排気を浄化する排気浄化装置4と、CO回収装置3によって回収された二酸化炭素から含メタノール(CHOH)の合成ガスを生成するリアクタ5と、リアクタ5に水素(H)を供給する水素供給装置6と、リアクタ5から排出される合成ガスからメタノールを回収する凝縮器7と、を備える。
エンジン1は、例えば、複数の気筒と、各気筒内に往復動自在に設けられたピストンと、各気筒内においてピストンによって区画された燃焼室に設けられた点火プラグと、ピストンの往復運動によって回転するクランクシャフトと、を備える多気筒レシプロエンジンである。これら点火プラグは、図示しない制御装置からの指令に応じて点火し、各気筒内に供給された燃料と空気の混合気を燃焼させる。
吸気管15は、エンジン1の各気筒に連通する吸気ポートと車外とを接続し、車外の空気を各気筒へ導く配管である。排気管16は、エンジン1の各気筒に連通する排気ポートと車外とを接続する配管である。排気管16には、排気上流側から下流側へ向かって順に、排気浄化装置4と、CO回収装置3と、が設けられている。エンジン1の各気筒内で混合気を燃焼させることによって生じる排気は、排気浄化装置4、及びCO回収装置3を経て、車外に排出される。
燃料供給装置2は、燃料を貯留する燃料タンク20と、エンジン1の各気筒に連通する吸気ポートに設けられた燃料噴射弁21と、燃料タンク20と燃料噴射弁21とを接続する燃料供給管24と、を備える。
燃料タンク20は、ガソリン、メタノール、又はこれらガソリンとメタノールとを混合した混合燃料等の液体の炭化水素燃料を貯留する。燃料供給管24は、燃料タンク20内に貯留されている燃料を図示しない高圧ポンプによって圧縮し、燃料噴射弁21に供給する。燃料噴射弁21は、図示しない制御装置からの指令に応じて開弁し、燃料供給管24から供給される燃料を噴射する。燃料噴射弁21から噴射される燃料と吸気管15から供給される空気とを混合した混合気は、エンジン1の各気筒内に供給される。
排気浄化装置4は、排気浄化触媒(例えば、三元触媒)を備え、この排気浄化触媒の作用下で、エンジン1の排気に含まれる未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)等を浄化する。
CO回収装置3は、CO配管31によってリアクタ5と接続されている。CO回収装置3は、排気管16を流れる排気から二酸化炭素を回収し、CO配管31を介してリアクタ5に供給する。より具体的には、CO回収装置3は、排気管16を流れる排気を、二酸化炭素を主成分とする回収ガスと、窒素(N)を主成分とする脱CO排ガスとに分離し、回収ガスをCO配管31へ排出し、脱CO排ガスを図示しないテールパイプを介して車外へ排出する。
CO回収装置3は、例えば、所定の吸着条件下で排気管16を流れる排気中の二酸化炭素を選択的に吸着し、吸着した二酸化炭素を所定の脱離条件下で脱離するCO吸着材を用いることによって、エンジン1の排気を回収ガスと脱CO排ガスとに分離する。CO吸着材には、例えばリチウム複合酸化物が用いられる。
なお本実施形態では、CO吸着材の二酸化炭素の吸着、脱離特性を利用してエンジン1の排気を回収ガスと脱CO排ガスとに分離する場合について説明するが、本発明はこれに限らない。CO回収装置3では、排気管16を流れる排気中の二酸化炭素を選択的に透過させるCO分離膜を用いることによって、エンジン1の排気を回収ガスと脱CO排ガスとに分離してもよい。
水素供給装置6は、水(HO)を電気分解することによって水素(H)を精製するH精製装置60と、H精製装置60とリアクタ5とを接続するH配管61と、H精製装置60に導入する水を貯留するHOタンク62と、H精製装置60とHOタンク62とを接続するHO配管63と、を備える。H配管61には、H精製装置60で精製された水素を所定圧に維持するためのレギュレータ(図示せず)が設けられてもよい。HO配管63には、HOタンク62の水をH精製装置60に積極的に送り出すポンプ(図示せず)が設けられてもよい。HOタンク62は、水を所定の高圧で貯留する高圧タンクであってもよい。この水素供給装置6におけるH精製装置60の構成の詳細については後述する。
リアクタ5は、CO配管31から供給される回収ガスに含まれる二酸化炭素と、H精製装置60によって精製されてH配管61を介して供給される水素と、を反応筒内において所定比で反応させることにより、二酸化炭素を還元するとともにメタノールを合成する。
より具体的には、リアクタ5は、CO配管31から供給される回収ガスが導入される反応筒と、H配管61から供給される水素ガスを反応筒内に噴射するHインジェクタと、この反応筒内に設けられたメタノール合成触媒と、反応筒内のガスを昇温する加熱装置と、反応筒内のガスを圧縮する圧縮装置と、反応筒と凝縮器7とを接続する合成ガス配管51と、を備える。
メタノール合成触媒は、二酸化炭素及び水素の存在下において二酸化炭素を還元するとともにメタノールを生成するメタノール合成反応を促進する。メタノール合成触媒には、例えば銅−亜鉛酸化物系触媒等の既知のものが用いられる。
加熱装置は、エンジン1の廃熱、すなわちエンジン1において燃料を燃焼させることによって発生する熱エネルギの一部を利用して反応筒内のガスを、上記メタノール合成反応を進行させるために必要な温度まで昇温する。圧縮装置は、エンジン1において燃料を燃焼させることによって得られる機械エネルギの一部、より具体的にはエンジン1のクランクシャフトの動力を利用して反応筒内のガスを、上記メタノール合成反応を進行させるために必要な圧力になるまで圧縮する。
以上のようなリアクタ5では、CO配管31から反応筒内に回収ガスを所定量導入するとともに、反応筒内における二酸化炭素と水素の比が所定比になるように計量した水素ガスをHインジェクタから反応筒内に噴射し、さらに加熱装置及び圧縮装置によって反応筒内のガスを昇温、圧縮する。これにより、反応筒内ではメタノール合成触媒の作用下で、二酸化炭素からのメタノール合成反応(下記式(1)参照)、逆水性ガスシフト反応(下記式(2)参照)、及び一酸化炭素からのメタノール合成反応(下記式(3)参照)が進行し、メタノールを含む合成ガスが生成される。
CO+3H→CHOH+HO (1)
CO+H→CO+HO (2)
CO+2H→CHOH (3)
以上のような手順によって反応筒内で生成された合成ガスは、合成ガス配管51を介して凝縮器7に供給される。合成ガス配管51から排出される合成ガスは、上記メタノール合成反応によって生成されるメタノールの他、未反応の二酸化炭素や、CO回収装置3において分離しきれずに回収ガスに混入した窒素等を含む。
凝縮器7は、リアクタ5から供給される合成ガスからメタノールを回収し、これを燃料タンク20に供給する。より具体的には、凝縮器7は、リアクタ5から排出される合成ガスを熱交換によって凝縮することにより、メタノールを主成分とする液相と未反応の二酸化炭素及び窒素を主成分とする気相とに分離し、液相を液相ポートから排出し、気相を気相ポートから排出する。
凝縮器7の液相ポートと燃料タンク20とは、液相配管71によって接続されている。従って凝縮器7の液相ポートから排出される液相は、液相配管71によって燃料タンク20内に導かれる。また凝縮器7の気相ポートと排気管16のうち排気浄化装置4とCO回収装置3との間とは、気相配管72によって接続されている。従って凝縮器7の気相ポートから排出さえる気相は、気相配管72によってCO回収装置3へ導かれる。
以上のような車両Vにおける炭素の流れについて説明する。始めに燃料タンク20内に貯留されている炭化水素燃料と吸気管15から導入した空気との混合気をエンジン1において燃焼させると、窒素と二酸化炭素と水とを主成分とする排気がエンジン1から排出される。またこの排気中の二酸化炭素は、CO回収装置3によって回収され、リアクタ5に供給される。リアクタ5では、二酸化炭素と水素とを反応させることによって含メタノールの合成ガスが生成される。この合成ガス中のメタノールは、凝縮器7によって回収され、燃料として燃料タンク20に貯留される。また合成ガスに含まれる未反応の二酸化炭素は、再びCO回収装置3によって回収され、リアクタ5に供給される。このように車両Vは、外気から二酸化炭素を取り込みながら、炭素を燃料タンク20とエンジン1とCO回収装置3とリアクタ5と凝縮器7とで循環させることにより、テールパイプから車外への二酸化炭素排出量を削減する。
次に、水素供給装置6におけるH精製装置60の具体的な構成について、図2及び図3を用いて説明する。図2は、H精製装置60の第1実施形態を示す縦断面図である。H精製装置60は、HOタンク62から導入される水を電気分解することによって水素を精製する車載用の装置である。HOタンク62には、家庭用水道等から注入された水が貯留される。
精製装置60は、筒状のハウジング610の内部に、水素精製機能部620を備える。本実施形態のハウジング610は、有底円筒状の容器からなるハウジング本体611と、ハウジング本体611の長さ方向(図2の左右方向)の一端(図2の右端)の開口部611aを塞ぐように取り付けられる蓋部612と、によって構成される。蓋部612は、ハウジング本体611の開口部611aの外周側に設けられるフランジ部611bに対して、適宜数のボルト613によって固定される。
ハウジング610は、開口部611aと反対側の長さ方向の他端(図2の左端)に配置されるハウジング本体611の底部611cに、HO配管63を介してHOタンク62から水を導入する水導入口614を有する。また、ハウジング610は、ハウジング本体611の外周面611dに、水素精製機能部620によって精製された水素を、ハウジング610の径方向外側に取り出す水素取出口615を有する。さらに、ハウジング610の蓋部612は、水素精製機能部620によって処理しきれなかった未処理水及び電気分解後の酸素(O)をH精製装置60の外部に排出する未処理水排出口616を有する。
ハウジング610内に収容される水素精製機能部620は、アノード電極621と、カソード電極622と、電解触媒624と、水素分離膜625と、を同軸状に有して構成される。アノード電極621とカソード電極622との間には、電源部623によって所定電圧が印加される。
アノード電極621は、棒状電極からなり、水導入口614と未処理水排出口616とに亘るハウジング610の長さ方向に沿って長尺に延びている。アノード電極621は、水導入口614の中央に配置される電極支持部614aと、未処理水排出口616の中央に配置される電極支持部616aとに亘って、ハウジング610の中心軸上に固定されている。水導入口614及び未処理水排出口616は、それぞれアノード電極621の外周側に配置されている。アノードで電極621に使用される具体的な材料に制限はなく、水を電気分解する際の正極として使用可能な適宜の材料を使用することができる。
電解触媒624は、ハウジング610内のアノード電極621の外周に同軸状に配置される。電解触媒624は、アノード電極621の外周を取り囲むように円筒状に設けられ、ハウジング610内の全長に亘って配置される。電解触媒624の水導入口614側の端面624aは、ハウジング610の内部から水導入口614を実質的に塞ぐように配置されている。電解触媒624の未処理水排出口616側の端面624bは、ハウジング610の内部から未処理水排出口616を実質的に塞ぐように配置されている。電解触媒624に使用される具体的な触媒に制限はなく、公知の触媒を適宜使用することができる。
水素分離膜625は、電解触媒624の外周において、ハウジング610内の全長に亘って同軸状に配置される。水素分離膜625は、例えばパラジウム系等の分離膜を使用することができるが、特に限定されない。水素分離膜625は、ハウジング610の水導入口614及び未処理水排出口616よりも外周側で、電解触媒624の外周を取り囲むように円筒状に設けられている。
カソード電極622は、棒状電極又は板状電極からなり、ハウジング610内における底部611cと蓋部612とに亘るハウジング610の長さ方向に沿って長尺に延び、水素分離膜625の外周に配置される。本実施形態のカソード電極622は、ハウジング610内に複数設けられる。複数のカソード電極622は、水素分離膜625の周方向に沿って、電気分解された水素が通過するに十分な間隔をおいて平行に配置される。これによって、複数のカソード電極622は、アノード電極621、電解触媒624及び水素分離膜625に対して同軸状に配置される。カソードで電極622に使用される具体的な材料に制限はなく、水を電気分解する際の負極として使用可能な適宜の材料を使用することができる。
このように構成されるH精製装置60は、HO配管63を介してHOタンク62から供給される水を、ハウジング610の水導入口614からハウジング610内に導入する。ハウジング610内に導入された水は、水素精製機能部620の電解触媒624に接触しながら未処理水排出616に向けて流通し、その過程で、電源部623によってアノード電極621及びカソード電極622に印加される電圧によって水素と酸素とに電気分解される。電気分解された水素は、カソード電極622側に向かい、水素分離膜625によって分離され、水素取出口615から取り出される。取り出された水素は、H配管61を介してリアクタ5に供給される。水素精製機能部620によって処理しきれなかった未処理水及び電気分解後の酸素は、そのまま未処理水排出口616からH精製装置60の外部に排出される。未処理水排出口616から排出された未処理水は、再度HOタンク62に戻すことによって再利用してもよい。
第1実施形態のH精製装置60によれば、電源部623によってアノード電極621及びカソード電極622に電圧が印加された状態で、HOタンク62から連続して水を導入することによって、連続して水素を精製することができる。HOタンク62には、家庭用水道等から水を補充するだけでよく、水素供給のためのインフラに依存することなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことが可能である。精製される水素は、水を電気分解したものであるため、COフリー燃料であり、環境負荷を与えることもない。したがって、インフラ設備に依存せず、環境負荷を与えることなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことのできる車載用水素精製装置を提供することができる。
また、H精製装置60は、車両V上に水を貯留するHOタンク62を搭載し、そのHOタンク62から水を導入することによって水素を精製できるため、高圧水素タンクを搭載する場合に比べて安全性に優れる。そのため、車両Vにおける取り扱い性及び衝突時等の安全性も向上する。
第1実施形態のH精製装置60では、水素精製機能部620は、アノード電極621の外周に電解触媒624が配置され、電解触媒624の外周にカソード電極622及び水素分離膜625が配置され、水導入口614は、ハウジング610の長さ方向の一端(図2の左端)に配置され、未処理水排出口616は、ハウジング610の長さ方向の他端(図2の右端)に配置され、水素取出口615は、水導入口614と未処理水排出口616の間のハウジング610の外周面611dに配置される。これによって、H精製装置60は、電気分解の電場を大きく取ることが可能である。そのため、水導入口614から導入した水が未処理水排出口616に向けて流通する過程で、効率良く水素を精製することができる。
第1実施形態のH精製装置60では、カソード電極622は、水素分離膜625の外周側に配置されるが、カソード電極622は、水素分離膜625の内周側且つ電解触媒624の外周側に配置されてもよい。これによれば、水素分離膜625の有効面積をより大きくすることができる。カソード電極622と水素分離膜625の配置は、使用する電解触媒624の種類や水素分離膜625の性能に応じて適宜選択することができる。
第1実施形態のH精製装置60において、カソード電極622は、棒状電極又は板状電極に限らず、例えば、複数の開口を有する多孔質金属、メッシュ状金属からなる電極であってもよい。カソード電極622が多孔質金属、メッシュ状金属からなる電極である場合は、円筒状に形成され、アノード電極621と同軸状に配置されてもよい。
カソード電極622が円筒状である場合は、カソード電極622と水素分離膜625とは、例えば、カソード電極622の内周側又は外周側に、水素分離膜625を塗布、蒸着等の手段で一体化することによって、一体型に構成されていてもよい。
図3は、H精製装置60の第2実施形態を示す縦断面図である。図2と同一符号の部位は同一構成の部位を示すため、それらの説明は上記の説明を援用し、以下においては相違する構成についてのみ説明する。図3に示すH精製装置60は、図2に示すH精製装置60に対して、ハウジング610の構造及び水素精製機能部620の構造が相違している。
本実施形態に示すハウジング610において、水導入口614及び未処理水排出口616は、ハウジング本体611の外周面611dにそれぞれ配置されている。そのため、HOタンク62からの水は、ハウジング610の径方向外側から内側に向けて導入され、未処理水は、ハウジング610の径方向内側からハウジング610の軸方向に沿って外側に向けて排出される。
具体的には、水導入口614及び未処理水排出口616は、ハウジング本体611の外周面611dにおける180°離れた位置に配置されるとともに、ハウジング610の長さ方向の相反する方向に離れて配置されている。より具体的には、水導入口614は、ハウジング610の蓋部612に近接して配置されている。未処理水排出口616は、水導入口614に対して180°離れた配置において、ハウジング本体611の底部611cに近接して配置されている。
本実施形態に示すハウジング610において、水素取出口615は、ハウジング610の蓋部612の中央に配置されている。
本実施形態のH精製装置60において、水素精製機能部620は、中心部に水素分離膜625を有する。水素分離膜625は、内側にハウジング610内の全長に亘って水素流路626が形成されるように、円筒状に設けられ、ハウジング610内の全長に亘って配置されている。水素分離膜625の蓋部612側の端面625aは、蓋部612に設けられる水素取出口615よりも外周側に配置される。
カソード電極622は、水素分離膜625の外周側において、ハウジング610内の全長に亘って同軸状に配置される。このカソード電極622は、多孔質金属、メッシュ状金属からなる円筒状の電極により構成される。しかし、カソード電極622は、複数の棒状電極又は板状電極を、水素分離膜625の周方向に沿って、電気分解された水素が通過するに十分な間隔をおいて平行に配置することによって構成されてもよい。
電解触媒624は、カソード電極622の外周側において、ハウジング610内の全長に亘って同軸状に配置される。
アノード電極621は、電解触媒624の外周側において、ハウジング610内の全長に亘って同軸状に配置される。このアノード電極621は、多孔質金属、メッシュ状金属からなる円筒状の電極により構成される。しかし、アノード電極621は、複数の棒状電極又は板状電極を、電解触媒624の周方向に沿って、水導入口614から導入される水及び未処理水排出口616から排出される水が通過するに十分な間隔をおいて平行に配置することによって構成されてもよい。
第2実施形態のH精製装置60も、第1実施形態のH精製装置60と同様に、インフラ設備に依存せず、環境負荷を与えることなく、車両上で水素を簡単に精製して取り出すことのできる車載用水素精製装置を提供することができる等の同様の効果を奏することができる。
しかも、第2実施形態のH精製装置60によれば、水素精製機能部620における水素分離膜625の外周にカソード電極622が配置され、カソード電極622の外周に電解触媒624が配置され、電解触媒624の外周にアノード電極621が配置され、水導入口614及び未処理水排出口616は、ハウジング610の外周面611dにそれぞれ配置され、水素取出口615は、水素分離膜625の内側におけるハウジング610の長さ方向の一端に配置される。これによれば、ハウジング610の蓋部612を取り外すことによって、水素精製機能部620を容易に取り出して交換等をすることができる。例えば、車両Vのオイル交換時等において、H精製装置60からカートリッジ状の水素精製機能部620を容易に取り出すことができる。そのため、第2実施形態のH精製装置60によれば、使用による触媒劣化、使用される水質の差等の状況に応じて、水素精製機能部620の変更や交換等の対応が容易に可能である。この場合は、必要に応じて、水素分離膜625をハウジング610内に温存したまま、電解触媒624、アノード電極621及びカソード電極622のみを取り出すこともできるため、交換時のコスト削減を図ることも可能である。
第2実施形態のH精製装置60においても、カソード電極622は、水素分離膜625の外周側に配置されるが、カソード電極622は、水素分離膜625の内周側に配置されてもよい。これによれば、水素分離膜625の有効面積をより大きくすることができる。カソード電極622と水素分離膜625の配置は、使用する電解触媒624の種類や水素分離膜625の性能に応じて適宜選択することができる。
カソード電極622が円筒状である場合は、カソード電極622と水素分離膜625とは、例えば、カソード電極622の内周側又は外周側に、水素分離膜625を塗布、蒸着等の手段で一体化することによって、一体型に構成されていてもよい。
第1実施形態及び第2実施形態のH精製装置60において、水導入口614と未処理水排出口616とは、水導入口614の開口面積>未処理水排出口616の開口面積となるように設定されてもよい。これによれば、水導入口614に対して未処理水排出口616が絞られるため、ハウジング610内の水の圧力が上昇する。そのため、電解触媒624の内部に水が浸透し易くなり、電解触媒624に対する接触面積が増加する。したがって、水の電気分解量が増加する。さらに、ハウジング610内の水の圧力が上昇することによって、水素が水素分離膜625を透過するために必要な圧力が生成される、あるいは、水素が水素分離膜625を透過するために必要な圧力を補助することができる。その結果、H精製装置60は、より効率的な水素精製を行うことができる。
第1実施形態及び第2実施形態のH精製装置60において、水導入口614と未処理水排出口616とは、水導入口614の開口面積≦未処理水排出口616の開口面積となるように設定されてもよい。これによれば、水導入口614に対する未処理水排出口616の排出面積が同等以上になるため、HOタンク62に対する背圧損失が低減する。そのため、HO配管63にポンプが設けられる場合は、そのポンプの仕事の損失を低減することができる。HOタンク62が、自身の内圧のみで水をH精製装置60に供給する場合は、HOタンク62に対する背圧が下がることによって、HOタンク62内の水をより多く利用することができる。
第1実施形態及び第2実施形態のH精製装置60は、水素供給装置6に複数設けられてもよい。具体的には、水素供給装置6は、複数のH精製装置60を並列に配置し、HOタンク62から導入される水を並列に処理して水素を精製するように構成されてもよい。
V 車両
60 H精製装置
610 ハウジング
611d 外周面
614 水導入口
615 水素取出口
616 未処理水排出口
620 水素精製機能部
621 アノード電極
622 カソード電極
624 電解触媒
625 水素分離膜

Claims (5)

  1. 車両上で水を電気分解することによって水素を精製する車載用水素精製装置であって、
    水導入口と、水素取出口と、未処理水排出口と、を有する筒状のハウジングと、
    前記ハウジング内に収容される水素精製機能部と、を備え、
    前記水素精製機能部は、アノード電極及びカソード電極の間に、電解触媒及び水素分離膜を同軸状に積層して構成される、車載用水素精製装置。
  2. 前記水素精製機能部は、
    前記アノード電極の外周に、前記電解触媒が配置され、
    前記電解触媒の外周に、前記カソード電極及び前記水素分離膜が配置され、
    前記水導入口は、前記ハウジングの長さ方向の一端に配置され、
    前記未処理水排出口は、前記ハウジングの長さ方向の他端に配置され、
    前記水素取出口は、前記水導入口と前記未処理水排出口の間の前記ハウジングの外周面に配置される、請求項1に記載の車載用水素精製装置。
  3. 前記水素精製機能部は、
    円筒状に形成された前記水素分離膜の外周に、前記カソード電極が配置され、
    前記カソード電極の外周に、前記電解触媒が配置され、
    前記電解触媒の外周に、前記アノード電極が配置され、
    前記水導入口及び前記未処理水排出口は、前記ハウジングの外周面にそれぞれ配置され、
    前記水素取出口は、前記水素分離膜の内側における前記ハウジングの長さ方向の一端に配置される、請求項1に記載の車載用水素精製装置。
  4. 前記水導入口の開口面積>前記未処理水排出口の開口面積である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載用水素精製装置。
  5. 前記水導入口の開口面積≦前記未処理水排出口の開口面積である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車載用水素精製装置。
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