JP2021142618A - 孔開け加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易かつ低コストで孔詰まりを防止可能な孔開け加工方法を提供する。【解決方法】本発明の孔開け加工方法は、ワークの表面に対して孔開け加工を行い、前記ワークの表面から裏面に対して少なくとも一つの貫通孔を形成する孔形成工程と、前記ワークを液体の入った槽内に浸漬するとともに、前記槽内を所定の圧力まで減圧して前記貫通孔内に前記液体を侵入させる液体侵入工程と、前記ワークを前記槽から取り出した後、前記貫通孔内に侵入した前記液体を固化させる液体固化工程と、前記ワークの表面にブラスト処理し、前記貫通孔の開口部周囲に形成されたバリを除去するバリ除去工程と、を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、孔開け加工方法に関する。
微細な貫通孔が多数形成されているワークは、その元になるワークに対して、機械加工やレーザ加工などの加工技術を用いて孔開け加工を行っている。特にレーザ加工で孔開け加工を行うと、レーザ光の入射側にワークの除去された材料によりバリが発生する。このバリは、孔開け加工されたワークの表面にブラスト処理を行うことにより除去する。
例えば、特許文献1では、氷粒混合槽において氷粒と水とを所定濃度になるように混合して氷スラリーを得、この氷スラリーをガン供給ポンプで噴射ガンに供給するとともに、高圧水製造装置から任意の圧力の高圧水を噴射ガンに供給し、当該高圧水によって氷スラリーを被加工物に噴射させて当該被加工物の表面に生成されたバリ取りを行う技術が開示されている。当該技術によれば、被加工物、すなわちワークが金属からなるような場合であって、生成されたバリが金属からなる場合であっても当該バリを取り除くことができるとされている。
特開2005−254368号公報
しかしながら、ワークによっては、上記貫通孔はワークの厚さ方向から(加工表面から裏面側に向けて)傾斜して斜めに形成されており、かつ孔径も小さいため、ブラスト処理に使用されるメディアがバリに衝突すると、当該バリはワーク表面から離脱するものの、孔内部に詰まってしまうことがあった。したがって、微細な貫通孔が多数形成されているワークの場合は、孔開け加工されたワークはその機能を十分に果たすことができないという問題があった。
本発明は、簡易かつ低コストで孔詰まりを防止可能な孔開け加工方法を提供することを目的とする。
本発明は、ワークの表面に対して孔開け加工を行い、前記ワークの表面から裏面に対して少なくとも一つの貫通孔を形成する孔形成工程と、前記ワークを液体の入った槽内に浸漬するとともに、前記槽内の前記液体の上方空間を排気して前記貫通孔内に前記液体を侵入させる液体侵入工程と、前記ワークを前記槽から取り出した後、前記貫通孔内に侵入した前記液体を冷却して固化させる液体固化工程と、前記ワークの表面にブラスト処理し、前記貫通孔の開口部周囲に形成されたバリを除去するバリ除去工程と、を含むことを特徴とする、孔開け加工方法に関する。
本発明の孔開け加工方法によれば、ワークにレーザにて孔開け加工を行うと、孔開口部に形成されるバリを除去するにあたり、離脱したバリが貫通孔内に入り込み孔を詰まらせないように、孔内部に液体を充填し、該液体を固化させることで、貫通孔に栓をし、バリが貫通孔内部に入らないようにする。その際所定の減圧度で管理することで、ワークに形成された多数の微細な孔に対し、液体が充填されたことを確認できるので、確実に貫通孔のバリによる詰りを抑制できる。
なお、貫通孔内に埋設された固化した液体は、常温放置あるいは加熱処理等によって液体に戻されるので、ワークの貫通孔はバリの残骸等で詰まることなく清浄な状態で提供される。したがって、孔開け加工されたワークはその機能を十分に果たすことができるようになる。
また、本発明において、貫通孔内に液体を侵入させるには、液体侵入工程において、当該液体が入った槽内にワークを浸漬させた後、槽内を排気して、大気圧に戻している。これは、ワークに形成した貫通孔が微細、例えばμmオーダーからmmオーダーであるために、貫通孔に残留した空気を強制的に排気しないと、液体が貫通孔内に侵入しないためである。
本発明の一態様において、前記液体侵入工程において、前記槽内の排気は、前記ワークの表面と裏面とを順次前記液体の液面に向けて行うことができる。これにより、より確実に孔内部への液体の充填を行うことができ、貫通孔のバリによる詰りを抑制できる。
また、表裏に対して1回ずつ計2回行う浸漬と排気を、1回で完了させる場合、ワークの裏面側を液面に向けて槽内排気を行うとよい。バリがついている表面側は、バリが形成されているため、残留空気の排気に対して抵抗になる。貫通孔と連通するバリの孔内部まで必ずしも液体が充填されなければならないということはなく、少なくとも貫通孔内部のみに液体が満たされていればよい。
本発明の一態様において、前記液体固化工程において、前記液体の冷却固化は、前記ワークの表面を重力下方に向けた状態で行うことができる。この場合、液体が固化されるまでの漏出による液体の貫通孔からの抜けをある程度許容しつつ、確実にバリ近傍の貫通孔内部に液体を固化させ、バリによる貫通孔のつまりを抑制できる。
本発明の一態様において、前記孔形成工程において、前記少なくとも一つの貫通孔は、前記ワークの表面に対して斜め方向に形成することができる。本態様によれば、バリが折れたり、倒れたりした際に離脱したバリがブラスト処理により貫通孔内に押し込まれ、貫通孔内部に詰りやすいワークであっても、確実にバリによる貫通孔への詰りを抑制することができる。
本発明の一態様において、前記バリ除去工程は、前記液体の融点以下の温度のメディアを用いて行うことができる。この場合、バリ除去中に、加工熱によるワークの加熱を防ぎ、孔内部で固化した液体の液化を防ぎ、バリによる貫通孔のつまりを抑制できる。また、前記液体固化工程と前記バリ除去工程とを同時に行うことができるので、本発明の孔開け加工方法の工程数を低減して当該方法をより簡素化できるとともに、低コストで実行することができる。
以上説明したように、本発明によれば、簡易かつ低コストで孔詰まりを防止可能な孔開け加工方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の工程を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の工程を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の原理を示す図である。 本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の原理を示す図である。 本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の工程を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の工程を示す概略図である。 本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の工程を示す概略図である。
以下、本発明の実施形態に孔開け加工方法について説明する。図1、図2、図5〜図7は、本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の工程を示す概略図である。図3及び図4は、本発明の実施形態に係る孔開け加工方法の原理を示す図である。
最初に、図1に示すように、ワーク11を準備し、ワーク11に対して孔開け加工を行い、ワーク11に対して貫通孔12を形成する。
ワーク11を構成する材料は特に限定されず、金属材料、セラミック材料、樹脂材料等、最終製品の用途に応じて任意の材料から構成することができる。
孔開け加工についても特に限定されるものではなく、ドリル等を用いた機械加工やレーザ光を用いたレーザ加工等、任意の加工方法を用いることができる。孔径は特に限定されるものではないが、本実施形態においては、μmオーダーあるいはmmオーダーである。本発明は、このような微小の貫通孔に対してより効果的である。
レーザ加工においては、図1に示すように孔開け加工を行うと、貫通孔12の開口部周囲には、ワーク11の孔内部から排出される溶融材料が孔開口部付近に堆積し、バリ(ドロス)13が発生する。
次いで、図2に示すように、ワーク11を液体Lの入った槽15内に浸漬させる。液体Lの種類は、常温常圧で液体であれば特に限定されず、水の他、エタノール、ベンゼン、アセトン、クロロホルム等の有機溶媒を挙げることができる。入手が容易であるとともに安価であり、かつ以下に説明する工程で本発明の目的を容易に達成することができることから水が好ましい。
なお、図2に示す工程において、ワーク11の貫通孔12内に液体Lを侵入させる必要があるが、上述したように、貫通孔12の径はμmオーダーあるいはmmオーダーである。したがって、貫通孔12内に残留している空気Aが液体Lの侵入を妨げ、貫通孔12内に液体Lを侵入させることができない。そこで、本実施形態では、液体Lの液面側から槽15内、すなわち液体Lの上方空間を排気する。排気は図示しないポンプを用いて行うことができ、排気が上手く行えるように槽15の液面側は適宜密閉する。
すると、図3に示すように、貫通孔12内の空気Aが膨張し、貫通孔12の開口部から排気され、液体L内を通って表面に抜けるようになる。一般には、図4に示すように排気操作の終了(大気圧開放)とともに直ちに液体Lが貫通孔12内に侵入する。
なお、貫通孔12内の真空度を直接計測することは困難であるので、一般には槽15内の真空度で代用する。この時の真空度は、作業環境、使用設備などに依存するが、例えば−0.09MPaG以下に設定する。また、保持時間は数分程度である。
本実施形態では、ワーク11の表面と裏面とを順次液体Lの液面に向けて槽15内の排気を行うことが好ましい。この場合、より確実に貫通孔12内部への液体Lの充填を行うことができ、貫通孔12のバリ12による詰りを抑制できる。
また、表裏に対して1回ずつ計2回行う浸漬と排気を、1回で完了させる場合、ワーク13の裏面側を液面に向けて槽15内の排気を行うとよい。バリ13がついている表面側は、バリ13が形成されているため、残留空気の排気に対して抵抗になる。貫通孔12と連通するバリ13の孔内部まで必ずしも液体Lが充填されなければならないということはなく、少なくとも貫通孔12内部のみに液体Lが満たされていればよい。
以上の結果、以下に示すように、貫通孔12の全体に亘って固化した液体Lで埋設することができ、バリ13の除去の際に、除去したバリ13が貫通孔内に嵌って詰まるのをより効果的に防止することができる。
次いで、図6に示すように、貫通孔12内に侵入した液体Lを冷却固化させて固化体Sとする。冷却固化は、ワーク11に対して冷媒を吹き付けるなどの汎用の方法で行うことができる。
なお、冷却固化の際に、ワーク11の上下を反転させて、バリ13が生成した表面が重力下方に向くようにした状態で、液体Lを冷却固化することが好ましい。この場合、液体Lが固化されるまでの漏出による液体Lの貫通孔12からの抜けをある程度許容しつつ、確実にバリ13近傍の貫通孔12内部の液体Lを固化させ、バリ13による貫通孔12のつまりを抑制できる。
次いで、図7に示すように、ワーク11の表面に対してメディアを衝突させてブラスト処理し、貫通孔12の開口部周囲に生成したバリ13を除去する。ブラスト処理の時間は例えば数分から数時間である。
なお、貫通孔12内に埋設された固化体Sは、常温放置あるいは加熱処理等によって液体Lに戻されるので、ワーク11の貫通孔12はバリ13の残骸等で詰まることなく清浄な状態で提供される。したがって、孔開け加工されたワーク11はその機能を十分に果たすことができる最終製品として提供されるようになる。
このように、本実施形態によれば、貫通孔12の開口部に形成されるバリ13を除去するにあたり、折れたバリ13が貫通孔12内に嵌って貫通孔12を詰まらせてしまわないように、貫通孔12内部に液体Lを充填し、該液体Lを固化させることで、貫通孔12に栓をし、バリ13が貫通孔12内部に入らないようにする。その際所定の減圧度で管理することで、ワーク12に形成された多数の微細な貫通孔12に対し、液体Lが充填されたことを確認できるので、確実に貫通孔のバリによる詰りを抑制できる。したがって、簡易かつ低コストで孔詰まりを防止可能な孔開け加工方法を提供することができる。
なお、図7に示すバリ除去工程は、液体Lの融点以下の温度のメディアを用いてブラスト処理することができる。例えば、液体Lとして水を用いた場合は、メディアとしてドライアイスを用いることができる。この場合、バリ除去中に、加工熱によるワーク11の加熱を防ぎ、貫通孔12内部で固化した液体Lの液化を防ぎ、バリ13による貫通孔12のつまりを抑制できる。また、液体Lの冷却固化とバリ13の除去とを同時に行うことができる。すなわち、図6及び図7に示す工程を同時に行うことができるので、本実施形態の孔開け加工方法の工程数を低減して当該方法をより簡素化できるとともに、低コストで実行することができる。
また、本実施形態では、ワーク11に対して貫通孔12をワーク11の表面に対して斜め方向に形成している。したがって、本実施形態によれば、バリ13が折れたり、倒れたりした際にワーク11の表面から離脱したバリ13が貫通孔12内部に嵌りやすいワーク11であっても、確実にバリ13による貫通孔12への詰りを抑制することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として掲示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
11 ワーク
12 貫通孔
13 バリ
15 槽
18 (ブラスト処理の)メディア
A 空気
L 液体
S 固化体

Claims (5)

  1. ワークの表面に対して孔開け加工を行い、前記ワークの表面から裏面に対して少なくとも一つの貫通孔を形成する孔形成工程と、
    前記ワークを液体の入った槽内に浸漬するとともに、前記槽内を所定の圧力まで減圧排気して前記貫通孔内に前記液体を侵入させる液体侵入工程と、
    前記ワークを前記槽から取り出した後、前記貫通孔内に侵入した前記液体を固化させる液体固化工程と、
    前記ワークの表面にブラスト処理し、前記貫通孔の開口部周囲に形成されたバリを除去するバリ除去工程と、
    を含むことを特徴とする、孔開け加工方法。
  2. 前記液体侵入工程において、前記排気は、前記ワークの表面と裏面とを順次前記液体の液面に向けて行うことを特徴とする、請求項1に記載の孔開け加工方法。
  3. 前記液体固化工程において、前記液体の固化は、前記ワークの表面を重力下方に向けた状態で行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の孔開け加工方法。
  4. 前記孔形成工程において、前記少なくとも一つの貫通孔は、前記ワークの表面に対して斜め方向に形成することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の孔開け加工方法。
  5. 前記バリ除去工程は、前記液体の融点以下の温度のメディアを用いてブラスト処理することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の孔開け加工方法。
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