JP2021139597A - ヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】除霜運転終了後の暖房運転再開時における室外熱交換器の短時間での熱交換性能の低下を抑制しうる室外熱交換器の除霜方法を提供する。【解決手段】室外熱交換器の除霜方法は、予め、冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器に送って室外熱交換器を通過させる第1送風方向および第1送風方向とは逆向きの第2送風方向を有し、かつ両送風方向が切り換えられるファンを、室外熱交換器に対して通風方向に並ぶように配置しておく。そして、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を検出した際に、第1送風方向に空気を送っているファンを停止させた後、高温高圧冷媒を室外熱交換器に流す除霜運転を行って室外熱交換器に付着した霜を溶かし、霜の解霜が完了したことを検出した後に送風方向が第2送風方向となるようにファンを作動させて、室外熱交換器表面の解霜水を飛散させることを含む。【選択図】図4
Description
この発明はヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法に関する。
原動機としてエンジンおよびモータが用いられるハイブリッド自動車や、原動機としてモータが用いられる電気自動車などに用いられる車両用空調装置として、圧縮機、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室外熱交換器、車室内に配置され、かつ冷房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室内エバポレータ、および車室内に配置され、かつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱させて凝縮させる室内コンデンサを有するヒートポンプ式冷凍サイクルと、室外熱交換器と通風方向に並んで配置され、かつ冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器に送って室外熱交換器を通過させるファンと、室外熱交換器への着霜を判定する着霜判定手段とを備えた車両用空調装置が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1記載の車両用空調装置において、暖房運転時に、着霜判定手段が、外気温と室外熱交換器の表面温度との差に基づいて室外熱交換器への着霜の発生を検出した場合には、高温高圧冷媒を室外熱交換器に流す除霜運転を行って室外熱交換器に付着した霜を溶かし、着霜判定手段が、外気温と室外熱交換器の表面温度との差に基づいて室外熱交換器への着霜が解霜されたことを検出すると、暖房運転が再開される。
しかしながら、特許文献1記載の車両用空調装置においては、除霜運転により発生した解霜水が室外熱交換器の表面に残存し、除霜運転終了後に暖房運転が再開されると、残存した解霜水が凍結して室外熱交換器の通風間隙を塞ぎ、熱交換性能を短時間で低下させるという問題がある。
この発明の目的は、上記問題を解決し、除霜運転終了後の暖房運転再開時における室外熱交換器の短時間での熱交換性能の低下を抑制しうるヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
1)圧縮機、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室外熱交換器、車室内に配置され、かつ冷房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室内エバポレータ、および車室内に配置され、かつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱させて凝縮させる室内コンデンサからなる車室内空気温度調節用のヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法であって、
冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器に送って室外熱交換器を通過させる第1送風方向および第1送風方向とは逆向きの第2送風方向を有し、かつ両送風方向が切り換えられるファンを、室外熱交換器に対して通風方向に並ぶように配置し、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を検出した際に、第1送風方向に空気を送っているファンを停止させた後、高温高圧冷媒を室外熱交換器に流す除霜運転を行って室外熱交換器に付着した霜を溶かし、霜の解霜が完了したことを検出した後に送風方向が第2送風方向となるようにファンを作動させて、室外熱交換器表面の解霜水を飛散させることを含むヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法。
冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器に送って室外熱交換器を通過させる第1送風方向および第1送風方向とは逆向きの第2送風方向を有し、かつ両送風方向が切り換えられるファンを、室外熱交換器に対して通風方向に並ぶように配置し、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を検出した際に、第1送風方向に空気を送っているファンを停止させた後、高温高圧冷媒を室外熱交換器に流す除霜運転を行って室外熱交換器に付着した霜を溶かし、霜の解霜が完了したことを検出した後に送風方向が第2送風方向となるようにファンを作動させて、室外熱交換器表面の解霜水を飛散させることを含むヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法。
2)前記第1送風方向が、車両前方から車両後方への送風方向であり、前記第2送風方向が、車両後方から車両前方への送風方向である上記1)記載のヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法。
上記1)および2)のヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法によれば、冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器に送って室外熱交換器を通過させる第1送風方向および第1送風方向とは逆向きの第2送風方向を有し、かつ両送風方向が切り換えられるファンを、室外熱交換器に対して通風方向に並ぶように配置し、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を検出した際に、第1送風方向に空気を送っているファンを停止させた後、高温高圧冷媒を室外熱交換器に流す除霜運転を行って室外熱交換器に付着した霜を溶かし、霜の解霜が完了したことを検出した後に送風方向が第2送風方向となるようにファンを作動させて、室外熱交換器表面の解霜水を飛散させることを含むので、室外熱交換器の除霜運転終了後に暖房運転を再開した際には、室外熱交換器の表面に残存する解霜水の量が低減されている。したがって、残存した解霜水が凍結することに起因する室外熱交換器の通風間隙の閉塞の発生が遅延され、除霜運転終了後の暖房運転再開時における室外熱交換器の短時間での熱交換性能の低下を抑制することが可能になる。
また、暖房運転時の着霜は、室外熱交換器の第1送風方向風上側において発生しやすいので、除霜運転を行って霜を溶かした際の解霜水も、第1送風方向風上側において比較的多くたまる。したがって、霜を溶かした後に、送風方向が第2送風方向となるようにファンを作動させると、室外熱交換器表面の解霜水を効率よく飛散させることが可能になる。
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
以下の説明において、「アルミニウム」という用語には、純アルミニウムの他にアルミニウム合金を含むものとする。
図1はこの発明の方法が適用される室外熱交換器を含むヒートポンプ式冷凍サイクルを備えた車両用空調装置の全体構成を概略的に示し、図2はこの発明による室外熱交換器の除霜方法を実施する装置の構成を示し、図3は図1の車両用空調装置のヒートポンプ式冷凍サイクルにおいて、暖房運転時に室外熱交換器のフィンに着霜が発生した状態を示す。図4はこの発明による室外熱交換器の除霜方法を示すフローチャートであり、図5はこの発明の方法により室外熱交換器の除霜を行う際の初期段階の状態を示し、図6は同じく最終段階の状態を示す図である。
図1に示すように、車両用空調装置は冷房運転モード、暖房運転モードおよび除霜運転モードを有するものであって、圧縮機(10)、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機(10)で圧縮された冷媒から熱を放熱して凝縮させるとともに暖房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させ、さらに除霜時に圧縮機(10)で圧縮された冷媒から熱を放熱させる室外熱交換器(11)、車室内に配置され、かつ冷房時に室外熱交換器(11)で凝縮させられた後に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室内エバポレータ(12)、および車室内に配置され、かつ冷房時に圧縮機(10)で圧縮された冷媒を通過させるとともに暖房時および除霜時に圧縮機(10)で圧縮された冷媒から放熱させて凝縮させる室内コンデンサ(13)を有するヒートポンプ式冷凍サイクル(1)と、内部に空調用空気が流れる空気通路(20)を有しかつ空気通路(20)に室内エバポレータ(12)および室内コンデンサ(13)が配置された空調ケース(2)と、室外熱交換器(11)と通風方向に並んで配置され、かつ冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器(11)に送って室外熱交換器(11)を通過させる第1送風方向(X)(図1および図3参照)および除霜時に第1送風方向(X)とは逆向きに車室外空気を送る第2送風方向(Y)(図1および図6参照)を有し、かつ両送風方向(X)(Y)が切り換えられるファン(3)と、車両用空調装置を制御する空調制御装置(4)(図2参照)とを備えている。この実施形態において、第1送風方向(X)は、車両前方から車両後方への送風方向であり、第2送風方向(Y)は、車両後方から車両前方への送風方向である。
ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)は、圧縮機(10)、室外熱交換器(11)、室内エバポレータ(12)および室内コンデンサ(13)の他に、冷房時に室外熱交換器(11)で放熱して凝縮させられた冷媒を減圧する第1減圧器としての第1可変オリフィス(14)と、暖房時に室内コンデンサ(13)で放熱した冷媒を減圧する第2減圧器としての第2可変オリフィス(15)と、第2可変オリフィス(15)と並列に設けられ、かつ冷房時および除霜時に第2可変オリフィス(15)への冷媒の流れを遮断するとともに暖房時に第2可変オリフィス(15)のみに冷媒が流れるようにする開閉弁(16)と、冷房時に室内エバポレータ(12)を通過した冷媒を気液2相に分離するとともに、暖房時および除霜時に室外熱交換器(11)を通過した冷媒を気液2相に分離する気液分離器(17)と、これらの機器を接続し、かつこれらの機器の間で冷媒を循環させる冷媒循環路(18)とを備えている。
室外熱交換器(11)の通風方向を向いた部分を除いた周囲には、ファン(3)により送られる車室外空気の漏れを抑制する漏れ抑制部材(5)が設けられている。詳細な図示は省略したが、室外熱交換器(11)は、長手方向を縦方向または横方向に向けた状態で互いに間隔をおいて配置された複数のアルミニウム製熱交換管(111)と、隣り合う熱交換管(111)どうしの間に形成された通風間隙に配置されて熱交換管(111)にろう材により接合されたアルミニウム製コルゲート状フィン(112)とからなる熱交換コア部(110)を備えている(図3参照)。
冷媒循環路(18)における室外熱交換器(11)の冷媒流出側と気液分離器(17)の冷媒流入側との間には、冷房時のみに冷媒が流れる第1冷媒流通部(18a)と、暖房時および除霜時に冷媒が流れる第2冷媒流通部(18b)とが並列状に設けられており、第1冷媒流通部(18a)に第1可変オリフィス(14)および室内エバポレータ(12)が配置されている。冷媒循環路(18)における室外熱交換器(11)から流出した冷媒が第1冷媒流通部(18a)と第2冷媒流通部(18b)とに分流する部分には三方弁(19)が設けられている。また、冷媒循環路(18)における室内コンデンサ(13)の冷媒流出側と室外熱交換器(11)の冷媒流入側との間には、冷房時および除霜時に冷媒が流れる第3冷媒流通部(18c)、および暖房時のみに冷媒が流れる第4冷媒流通部(18d)が並列状に設けられており、第3冷媒流通部(18c)に開閉弁(16)が設けられ、第4冷媒流通部(18d)に第2可変オリフィス(15)が設けられている。
したがって、冷媒循環路(18)は、開閉弁(16)および三方弁(19)の働きによって、冷房時に冷媒を圧縮機(10)、室内コンデンサ(13)、室外熱交換器(11)、第1可変オリフィス(14)、室内エバポレータ(12)および気液分離器(17)の間の冷房用回路で循環させ、暖房時に冷媒を圧縮機(10)、室内コンデンサ(13)、第2可変オリフィス(15)、室外熱交換器(11)および気液分離器(17)の間の暖房用回路で循環させ、除霜時に冷媒を圧縮機(10)、室内コンデンサ(13)、室外熱交換器(11)および気液分離器(17)の間の除霜用回路で循環させる。
車室内の冷房時には、冷媒は、圧縮機(10)で圧縮された後に室内コンデンサ(13)を通過し、ついで室外熱交換器(11)に送られて室外熱交換器(11)で車室外空気に熱を放熱して凝縮し、ついで第1可変オリフィス(14)により減圧された後に室内エバポレータ(12)で空調用空気から熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(17)で気液分離された後に圧縮機(10)に戻される(図1の破線矢印参照)。車室内の暖房時には、冷媒は、圧縮機(10)で圧縮された後に室内コンデンサ(13)で空調用空気に熱を放熱して凝縮し、ついで第2可変オリフィス(15)により減圧された後に室外熱交換器(11)で車室外空気から熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(17)で気液分離された後に圧縮機(10)に戻される(図1の実線矢印参照)。車室内の暖房時に室外熱交換器(11)に霜(F)が付着して着霜が発生した場合(図3参照)、冷媒は、圧縮機(10)で圧縮されて高温高圧となった後に室内コンデンサ(13)を通過し、ついで室外熱交換器(11)を流れて自身の有する熱により室外熱交換器(11)に付着した霜(F)を溶かして除霜し、その後気液分離器(17)で気液分離された後に圧縮機(10)に戻される(図1の1点鎖線矢印参照)。
空調ケース(2)は、空調用空気が空調ケース(2)内の空気通路(20)に導入される空気導入部(21)と、空気導入部(21)に空調用空気を送り込む空気入口(22)と、空気通路(20)の空気流れ方向の中間部分に並列状に設けられた第1通路部分(23)および第2通路部分(24)と、空気通路(20)の2つの通路部分(23)(24)のうちのいずれか一方を流れる空調用空気量と同他方を流れる空調空気量とを調整するダンパ(25)とを備えている。さらに、図示は省略したが、空調ケース(2)には、フェイス吹き出し口、フット吹き出し口およびデフロスタ吹き出し口(いずれも図示略)が形成されている。
空調ケース(2)の空気通路(20)における第1通路部分(23)および第2通路部分(24)よりも空気導入部(21)側にヒートポンプ式冷凍サイクル(1)の室内エバポレータ(12)が配置され、第1通路部分(23)に室内コンデンサ(13)が配置されている。また、空調ケース(2)の空気導入部(21)に、空調用空気を空気入口(22)から導入するとともに空気通路(20)を通してフェイス吹き出し口、フット吹き出し口およびデフロスタ吹き出し口のうちの少なくともいずれか1つから車室内に吹き出す室内ファン(26)が配置されている。
ファン(3)は、冷房時および暖房時に第1送風方向(X)に車室外空気を送って室外熱交換器(11)を通過させることにより、車室外空気と熱交換管(111)内を流れる冷媒とを熱交換させる。また、ファン(3)は、室外熱交換器(11)に着霜が発生した際にヒートポンプ式冷凍サイクル(1)の除霜運転が開始される前に停止させられ、除霜運転終了後に第2送風方向(Y)に切り替えられ、第2送風方向(Y)に切り替えられた後に所定の条件にしたがって一旦停止させられ、さらに再度第1送風方向(X)に切り替えられて作動される。ファン(3)の第2送風方向(Y)への送風は、除霜運転により室外熱交換器(11)に付着した解霜水(W)を車室外へ飛散させて室外熱交換器(11)から排水するものであり(図6参照)、除霜運転終了後に行われる。
空調制御装置(4)は、外気温や乗員により設定された設定温度に基づいて車室内に送り込まれる空調用空気の温度や風量を調節するようになっており、電動圧縮機(10)、第1および第2可変オリフィス(14)(15)、開閉弁(16)、三方弁(19)、ダンパ(25)のアクチュエータ(図示略)、室内ファン(26)、および空調ケース(2)の車室内への吹き出し用のフェイス吹き出し口、フット吹き出し口およびデフロスタ吹き出し口の開度を調節する手段(図示略)などが接続されるとともに、これらの機器の動作を制御するための種々の検出手段(図示略)が接続されている。
また、空調制御装置(4)は、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)の室外熱交換器(11)に着霜が発生しているか否かを判定し、着霜の発生を検出すると室外熱交換器(11)の除霜を行うようになっており、着霜判定部(40)を備えている。また、空調制御装置(4)には、室外熱交換器(11)よりも第1送風方向(X)の上流側(車両の進行方向前側)の車室外空気の温度を測定する外気温センサ(41)、室外熱交換器(11)の表面温度を検出する室外熱交換器温度センサ(42)、タイマ(43)、およびファン(3)が接続されている。タイマ(43)は、除霜運転開始時点からの時間(t1)、除霜運転が終了して室外熱交換器(11)に付着した霜の解霜が完了した後、ファン(3)による第2送風方向(Y)への送風を開始した排水運転開始時点からの時間(t2)を計測する。さらに、空調制御装置(4)には、除霜運転開始から室外熱交換器(11)に付着した霜が解霜されるまでの第1基準時間(T1)と、ファン(3)の第2送風方向(Y)への送風を開始した排水運転開始時点から室外熱交換器(11)に付着した解霜水が飛散するまでの第2基準時間(T2)とが設定されている。両基準時間(T1)(T2)は予め実験的に求められている。
着霜判定部(40)は、暖房運転モードおいて、外気温センサ(41)で検出された外気温から室外熱交換器温度センサ(42)で検出された室外熱交換器(11)の表面温度を差し引き、その値がたとえば20℃よりも大きな値である場合に、室外熱交換器(11)に着霜が発生していると判定する。すなわち、室外熱交換器(11)に着霜が発生して熱交換効率が著しく低下して通気抵抗が大きくなると、室外熱交換器(11)の熱交換管(111)を流れる冷媒が車室外空気から吸熱することができず、冷媒温度が上昇しないことを利用して着霜を判定する。なお、上記の20℃という値は、室外熱交換器(11)に、熱交換効率が著しく低下して通気抵抗が大きくなるような着霜が発生しているか否かを判定できる値であればよく、他の値であってもよい。なお、暖房運転モード開始時点から着霜が発生して通気抵抗が大きくなることにより熱交換効率が著しく低下するまでの時間を予め求めておき、着霜判定部(40)に当該時間を記憶させ、タイマ(43)を利用して暖房運転モードの経過時間を予め求めた時間を比較することにより着霜を判定してもよい。
また、空調制御装置(4)は、除霜運転モードにおいて、除霜運転開始時点からの時間(t1)が第1基準時間(T1)以上となった場合に室外熱交換器(11)に付着した霜(F)が溶かされて解霜が完了したと判断し、送風方向が第2送風方向(Y)となるようにファン(3)の排水運転を開始して、室外熱交換器(11)から解霜水を飛散させ、ファン(3)の第2送風方向(Y)への送風を開始した排水運転開始時点からの時間(t2)が第2基準時間(T2)以上となった場合に室外熱交換器(11)に付着した解霜水が飛散したと判断する。
上述した構成の車両用空調装置において、空調制御装置(4)により冷房運転モードに切り替えられると、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)においては、三方弁(19)および開閉弁(16)の働きによって、冷媒は第1および第3冷媒流通部(18a)(18c)を通って冷媒循環路(18)を流れる。また、空調ケース(2)のダンパ(25)が、第1通路部分(23)への空気の流れを遮断するとともに第2通路部分(24)への空気の流れを許容する位置に切り替えられる(図1鎖線参照)。なお、車室内の冷房時にも、空調用空気が両通路部分(23)(24)を流れるようにダンパ(25)の位置が調整されることもある。また、ファン(3)の送風方向は第1送風方向(X)に切り換えられ、車両のグリルの開口部から入った車室外空気が、室外熱交換器(11)を通過して熱交換管(111)内を流れる冷媒から熱を奪う。
冷媒は、図1に破線矢印で示すように、圧縮機(10)で圧縮されて高温高圧とされた後に室内コンデンサ(13)を通過し、ついで室外熱交換器(11)で車室外空気に熱を放熱して凝縮し、ついで第1可変オリフィス(14)により減圧された後に室内エバポレータ(12)で空調ケース(2)の空気通路(20)を流れる空調用空気から熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(17)で分離された気相冷媒が圧縮機(10)に戻される。室内エバポレータ(12)で熱を奪われた空調用空気は、第2通路部分(24)を通って車室内に吹き出される。
また、上述した構成の車両用空調装置において、空調制御装置(4)により暖房運転モードに切り替えられると、ヒートポンプ式冷凍サイクル(1)においては、三方弁(19)および開閉弁(16)の働きによって、冷媒は第2および第4冷媒流通部(18b)(18d)を通って冷媒循環路(18)を流れる。また、空調ケース(2)のダンパ(25)が、第2通路部分(24)への空気の流れを遮断するとともに第1通路部分(23)への空気の流れを許容する位置に切り替えられる(図1実線参照)。なお、車室内の暖房時にも、空調用空気が両通路部分(23)(24)を流れるようにダンパ(25)の位置が調整されることもある。また、ファン(3)の送風方向は、車室内冷房時と同様に第1送風方向(X)であり、車両のグリルの開口部から入った車室外空気が、室外熱交換器(11)を通過して熱交換管(111)内を流れる冷媒に熱を与える。
冷媒は、図1に実線で示すように、圧縮機(10)で圧縮されて高温高圧とされた後に室内コンデンサ(13)内に流入し、高温高圧の冷媒が有する温熱は、室内コンデンサ(13)を流れる間に空気通路(20)の第1通路部分(23)を流れる空調用空気に放熱され、冷媒が凝縮させられる。室内コンデンサ(13)を通過して冷媒から温熱を奪った空調用空気は、第1通路部分(23)を通って車室内に吹き出される。室内コンデンサ(13)において放熱した冷媒は、第2可変オリフィス(15)により減圧された後に、室外熱交換器(11)において車室外空気から熱を奪って蒸発し、ついで気液分離器(17)において分離された気相冷媒が圧縮機(10)に戻される。
このような車室内の暖房時において、車室外空気の温度が低温の場合に、図3に示すように、室外熱交換器(11)に着霜が発生して熱交換管(111)およびフィン(112)に霜(F)が付着し、霜(F)が成長することにより室外熱交換器(11)の熱交換コア部(110)を通過する車室外空気に対する通気抵抗が上昇し、室外熱交換器(11)の熱交換性能が著しく低下する。なお、室外熱交換器(11)の着霜は、第1送風方向(X)の風上側において発生しやすくなっている。このような着霜が発生した場合、空調制御装置(4)は車両用空調装置を除霜運転モードに切り替え、冷媒が第2冷媒流通部(18b)を流れるように三方弁(19)を切り替えるとともに、冷媒が第3冷媒流通部(18c)を流れるように開閉弁(16)を切り替える。また、空調ケース(2)のダンパ(25)を、第2通路部分(24)への空気の流れを遮断するとともに第1通路部分(23)への空気の流れを許容する位置に切り替える。さらに、ファン(3)を停止させる。なお、車両用空調装置の除霜運転モードにおいても、空調用空気が両通路部分(23)(24)を流れるようにダンパ(25)の位置が調整されることもある。
冷媒は、圧縮機(10)で圧縮されて高温高圧とされた後に室内コンデンサ(13)を通過し、ついで室外熱交換器(11)に送られる。冷媒が、室外熱交換器(11)の熱交換管(111)を流れる間に、冷媒の有する熱により熱交換管(111)およびフィン(112)に付着した霜(F)が溶かされる。室外熱交換器(11)を通過した冷媒は、気液分離器(17)で気液分離された後に圧縮機(10)に戻される。
熱交換管(111)およびフィン(112)に付着した霜(F)が溶かされると、空調制御装置(4)は送風方向が第2送風方向(Y)になるようにファン(3)を作動させ、室外熱交換器(11)に付着した解霜水(W)を車室外に飛散させる。なお、室外熱交換器(11)の着霜が第1送風方向(X)の風上側において発生しやすくなっているので、解霜水(W)も第1送風方向(X)の風上側に多くたまるようになっており、その結果送風方向が第2送風方向(Y)になるようにファン(3)を作動させることによって解霜水(W)を効率良く第2送風方向(Y)の風下側に飛散させることができる。こうして、室外熱交換器(11)の除霜が終了する。
室外熱交換器(11)からの解霜水(W)の飛散が終了すると、空調制御装置(4)は車両用空調装置を上述した暖房運転モードに戻す。
次に、図4に示すフローチャートと、図5および図6を参照して室外熱交換器(11)の除霜方法について詳しく説明する。
車両用空調装置の暖房運転モードにおいて、空調制御装置(4)の着霜判定部(40)が、外気温センサ(41)により検出された外気温から室外熱交換器温度センサ(42)により検出された室外熱交換器(11)の表面温度を差し引いた値がたとえば20℃よりも大きな値であることに基づいて、室外熱交換器(11)に熱交換効率が著しく低下して通気抵抗が大きくなるような着霜が発生したことを検出すると(ステップS1)、第1送風方向(X)に送風しているファン(3)を停止させた後(ステップS2)(図5参照)、車両用空調装置を除霜運転モードに切り替えて車両用空調装置の除霜運転を開始する(ステップS3)。
車両用空調装置の除霜運転モードにおいて、除霜運転開始時点からの時間(t1)と第1基準時間(T1)とを比較し(ステップS4)、ステップS4において時間(t1)が第1基準時間(T1)以上となっていれば、室外熱交換器(11)に付着していた霜(F)の解霜が完了したと判断し、ステップS5に進んでファン(3)の停止を確認した後に、送風方向が第2送風方向(Y)になるようにファン(3)を作動させて排水運転を開始する(ステップS6)。これにより、室外熱交換器(11)に付着した解霜水(W)が車室外に飛散させられる(図6参照)。ステップS4において時間(t1)が第1基準時間(T1)未満であれば、ステップS4を繰り返す。
ファン(3)による第2送風方向(Y)への送風が開始すると、空調制御装置(4)は第2送風方向(Y)への送風を開始した排水運転開始時点からの時間(t2)と第2基準時間(T2)とを比較し(ステップS7)、ステップS7において時間(t2)が第2基準時間(T2)以上となっていれば、室外熱交換器(11)に付着していた解霜水(W)の飛散が完了したと判断し、ステップS8に進んでファン(3)を停止させ、さらにファン(3)の停止を確認した後(ステップS9)、車両用空調装置を暖房運転モードに戻す。ステップS7において時間(t2)が第2基準時間(T2)未満であれば、ステップS7を繰り返す。
この発明による方法は、ハイブリッド自動車や電気自動車の車両用空調投資に用いられるヒートポンプ式冷凍サイクルの室外熱交換器の除霜に好適に用いられる。
(1):ヒートポンプ式冷凍サイクル
(2):空調ケース
(3):ファン
(4):空調制御装置
(10):圧縮機
(11):室外熱交換器
(12):室内エバポレータ
(13):室内コンデンサ
(X):第1送風方向
(Y):第2送風方向
(2):空調ケース
(3):ファン
(4):空調制御装置
(10):圧縮機
(11):室外熱交換器
(12):室内エバポレータ
(13):室内コンデンサ
(X):第1送風方向
(Y):第2送風方向
Claims (2)
- 圧縮機、車室外に配置され、かつ冷房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱させるとともに暖房時に減圧された冷媒に熱を受熱させて蒸発させる室外熱交換器、車室内に配置され、かつ冷房時に減圧された冷媒に受熱させて蒸発させる室内エバポレータ、および車室内に配置され、かつ暖房時に圧縮機で圧縮された冷媒から熱を放熱させて凝縮させる室内コンデンサからなる車室内空気温度調節用のヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法であって、
冷暖房時に車室外空気を室外熱交換器に送って室外熱交換器を通過させる第1送風方向および第1送風方向とは逆向きの第2送風方向を有し、かつ両送風方向が切り換えられるファンを、室外熱交換器に対して通風方向に並ぶように配置し、暖房運転時に室外熱交換器への着霜を検出した際に、第1送風方向に空気を送っているファンを停止させた後、高温高圧冷媒を室外熱交換器に流す除霜運転を行って室外熱交換器に付着した霜を溶かし、霜の解霜が完了したことを検出した後に送風方向が第2送風方向となるようにファンを作動させて、室外熱交換器表面の解霜水を飛散させることを含むヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法。 - 前記第1送風方向が、車両前方から車両後方への送風方向であり、前記第2送風方向が、車両後方から車両前方への送風方向である請求項1記載のヒートポンプ式冷凍サイクルにおける室外熱交換器の除霜方法。
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CN114228446A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-03-25 | 珠海格力电器股份有限公司 | 化霜装置、交通工具、交通工具空调系统及其控制方法 |
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2020
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CN114228446A (zh) * | 2021-12-24 | 2022-03-25 | 珠海格力电器股份有限公司 | 化霜装置、交通工具、交通工具空调系统及其控制方法 |
CN114228446B (zh) * | 2021-12-24 | 2023-10-24 | 珠海格力电器股份有限公司 | 化霜装置、交通工具、交通工具空调系统及其控制方法 |
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