JP2021139485A - 天井構造 - Google Patents

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貴博 木下
Takahiro Kinoshita
貴博 木下
弘樹 濱口
Hiroki Hamaguchi
弘樹 濱口
孝行 曽根
Takayuki Sone
孝行 曽根
雄太 黒川
Yuta Kurokawa
雄太 黒川
悠 鈴木
Yu Suzuki
悠 鈴木
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Abstract

【課題】天井スラブから設備機器を吊り下げるための吊り部材が疲労破断することを抑制できる天井構造を提供する。【解決手段】天井構造は、建物の天井スラブ10に固定され、揺動可能な制振部材50と、制振部材50に連結された棒状の吊り部材(吊りボルト34)と、吊り部材に吊り下げられた設備機器32と、を備えている。【選択図】図1A

Description

本発明は、天井構造に関する。
下記特許文献1には、設備機器を第1の吊り下げ部材によって構造躯体から吊り下げ、天井部材を第2の吊り下げ部材によって構造躯体から吊り下げた天井構造が示されている。この天井構造では、設備機器と天井部材とを、減衰装置を備えた連結部材で連結している。
特開2015−4236号公報
上記特許文献1における天井構造では、設備機器と天井部材の振動周期の違いを利用して、設備機器と天井部材とを相互に制振している。しかし、設備機器が地震によって横揺れを繰り返すと、第1の吊り下げ部材が疲労破断する場合がある。この場合、設備機器が落下する虞がある。また、揺れに対する対策を施していない設備機器においては、揺れが減衰し難いため、吊り下げ部材の疲労破断がさらに生じやすくなる。
本発明は、上記事実を考慮して、天井スラブから設備機器を吊り下げるための吊り部材が疲労破断することを抑制できる天井構造を提供することを目的とする。
請求項1の天井構造は、建物の天井スラブに固定され、揺動可能な制振部材と、前記制振部材に連結された棒状の吊り部材と、前記吊り部材に吊り下げられた設備機器と、を備えている。
請求項1の天井構造では、設備機器を吊り下げる棒状の吊り部材が、天井スラブに固定された制振部材と連結されている。このため、設備機器の揺れが抑制される。また、制振部材は揺動可能に形成されているため、設備機器の横揺れに追随して揺動できる。これにより、吊り部材に入力されるせん断力が低減される。このため、吊り部材が疲労破断することを抑制できる。
請求項2の天井構造は、請求項1の天井構造において、前記制振部材は、前記天井スラブに固定された球状体と、内周面が前記球状体の外周面と当接し所定の傾斜角の範囲内で揺動するハウジングと、を備えている。
請求項2の天井構造では、制振部材が、球状体とハウジングとを備えて形成されている。ハウジングは、内周面が球状体の外周面と当接しながら、所定の傾斜角の範囲内で揺動するため、地震力が大きい場合でも、所定の傾斜角を超えて回転することがない。これにより、設備機器の揺れ幅を所定の範囲内に抑制し、設備機器と他の天井構成部材との干渉を抑制できる。
請求項3の天井構造は、請求項2に記載の天井構造において、前記内周面及び前記外周面の少なくとも一方が粗面処理されている。
請求項3の天井構造では、ハウジングの内周面及び球状体の外周面の少なくとも一方が粗面処理されている。これにより、粗面処理されていない場合と比較して、両者の間の摩擦係数が高められている。このため、設備機器の揺れに伴う摩擦エネルギーの吸収により、制振効果を高めることができる。
本発明によると、天井スラブから設備機器を吊り下げるための吊り部材が疲労破断することを抑制できる。
本発明の実施形態に係る天井構造の全体構成を示す立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の全体構成の変形例を示す立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の制振部材を示す立面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の制振部材を示す立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の制振部材が揺動した状態を示す立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の制振部材が揺動した状態を示す拡大立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の制振部材の変形例を示す立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造が地震時に揺動した状態を示す立断面図である。 本発明の実施形態に係る天井構造の制振部材の変形例を示す立断面図である。
以下、本発明の実施形態に係る天井構造について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<天井構造>
本発明の実施形態に係る天井構造は、図1Aに示すように、天井部20と、設備部30と、を備えて構成されている。天井部20及び設備部30は、何れも建物の天井スラブ10から吊り下げられて支持されている。
<天井部>
天井部20は、天井板22と、野縁24と、野縁受け26と、吊りボルト28と、を備えて形成されている。
天井板22は、野縁24にビス固定されている。野縁24は、野縁受け26にクリップ26Aを介して連結されている。野縁受け26は、吊りボルト28にハンガー28Aを介して連結されている。吊りボルト28は、天井スラブ10にあと施工アンカー(不図示)を介して固定されている。
互いに隣り合う吊りボルト28は、破線で示すように振れ止め部材としての斜材28Bを用いて連結することができる。なお、斜材28Bは、吊りボルトと野縁受け26とを連結するように配置してもよい。斜材28Bは、吊りボルト28の長さが長い場合(例えば1500mm以上の場合)に用いると好適である。
<設備部>
設備部30は、設備機器32と、吊りボルト34と、制振部材50と、を備えて形成されている。なお、吊りボルト34は、本発明における吊り部材の一例である。
(設備機器)
設備機器32は、例えば空気調和設備におけるチャンバーとされ、図示しないフレキシブルダクトや電気配線等と接続されている。なお、設備機器32は1台に限らず、複数台設置してもよい。
(吊りボルト)
吊りボルト34は図1Aに示された紙面左右方向の2本の他、紙面前後方向にも2本配置され、合計4本設けられている。この4本の吊りボルト34によって、1台の設備機器32が支持されている。
なお、互いに隣り合う吊りボルト34同士は、図1Bに示すようにブレース34Aによって連結してもよい。これにより設備機器32を揺れ難くすることができる。
図2に示すように、設備機器32と吊りボルト34とは、接続金物40を介して固定されている。接続金物40は、設備機器32に溶接またはネジ等により接合されたアングル材42と、吊りボルト34をアングル材42に固定するナット44と、を備えている。これにより設備機器32と吊りボルト34とは剛接合される。
なお、図2においては吊りボルト34とナット44とが接して固定されているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば吊りボルト34とナット44とを、防振ゴム等を介して(すなわち、メタルタッチが生じないように)固定してもよい。
(制振部材)
制振部材50は、図3に示すように、軸部材52と、ハウジング54と、を備えて形成されている。
(制振部材の軸部材)
制振部材50の軸部材52は、固定ボルト52Aと、接続部52Bと、球状体52Cと、を備えている。
固定ボルト52Aは、一端が天井スラブ10のあと施工アンカー(不図示)に捻じ込まれて固定され、この固定された状態において中心軸が上下方向(一点鎖線CL1で示す方向)に沿うように配置される。以下の説明においては、固定ボルト52Aの中心軸を中心軸CL1と称す。
接続部52Bは、一端が固定ボルト52Aの他端(あと施工アンカーに捻じ込まれた端部以外の端部)に溶接等により接合された金属部材である。また、接続部52Bの他端には、球状体52Cが接合されている。さらに、接続部52Bの両端(すなわち上述した一端と他端)の間には、球状体52Cに向かって縮径する縮径部52BEが形成されている。縮径部52BEは、中心軸CL1を回転中心とする円錐面に沿うテーパー形状とされている。
球状体52Cは、中心点О1が中心軸CL1上に配置された球面を備えたボール状の部材であり、接続部52Bと一体的に成型されている。
(制振部材のハウジング)
制振部材50のハウジング54は、軸部材52に対して中心軸CL1を中心として、かつ、中心軸CL1から傾くように揺動可能に接続された金属部材である。ハウジング54は、本体部54Aと、筒状部54Bと、を備えている。
本体部54Aにおける一方の端部(天井スラブ10と対向して配置される端部)には、すり鉢状に形成された回転規制部54AEと、回転規制部54AEの底面に形成された嵌合孔54AFと、が形成されている。回転規制部54AEは、中心軸CL1を回転中心とする円錐面に沿うテーパー形状の凹部とされている。このテーパー形状は、嵌合孔54AFに向かって縮径する形状である。また、縮径部52BEと、回転規制部54AEとは、互いに離間して配置されている。
嵌合孔54AFには、軸部材52の球状体52Cが嵌合される。嵌合孔54AFの内周面は、球状体52Cの外周面と当接して配置される。すなわち、嵌合孔54AFは球状体52Cの半径と略一致する球面に沿う形状とされ、かつ、この球面の中心点O2は、球状体52Cの中心点О1と略一致している。
筒状部54Bは、本体部54Aにおける他方の端部(天井スラブ10と対向していない端部)に連結された部分である。筒状部54Bは、中心軸CL1を中心軸として筒状に形成され、内部に雌ねじが形成されている。この雌ねじに、吊りボルト34の上端部が捻じ込まれる。
(回転規制)
上述したように、制振部材50のハウジング54は、軸部材52に対して中心軸CL1を中心として揺動可能とされている。換言すると、ハウジング54は、図4に示すように中心点O1(及び中心点O2)を中心として回転可能とされている。このときハウジング54は、嵌合孔54AFの内周面が、軸部材52における球状体52Cの外周面に接して滑りながら回転する。
また、ハウジング54は、所定の角度(一例として角度θ1)の範囲内で揺動可能とされている。具体的には、ハウジング54の回転角が大きくなると、ハウジング54の回転規制部54AEが、軸部材52の縮径部52BEに当接する。これにより、ハウジング54は、回転角が規制され、角度θ1より大きな角度で回転することが抑制されている。
ここで、例えば、図5に示すように、軸部材52の縮径部52BEを、錘面の頂点が中心点O1と一致するように、かつ、傾斜角θ2(傾斜角は、錘面の頂角の1/2の角度とする)で形成する。また、ハウジング54の回転規制部54AEを、錘面の頂点が中心点O2と一致するように、かつ、傾斜角θ3で形成する(θ3>θ2)。
この場合、回転規制角である角度θ1は、(θ1=θ3−θ2)で表される。すなわち、傾斜角θ2、θ3によって、回転規制角を規定できる。また、この場合、縮径部52BE及び回転規制部54AEは互いにそれぞれの錘面上の母線に沿って当接(線接触)するため、点接触する場合と比較して応力が分散され易い。
なお、縮径部52BE及び回転規制部54AEの構成は本実施形態に限らない。例えば図6に示す回転規制部54AGのように、回転規制部をゴム、シリコン、エラストマー等の弾性部材を用いて形成してもよい。回転規制部を弾性部材とすれば、縮径部52BEの形状に関わらず、弾性部材の変形に伴う反発力によってハウジング54の回転角を規制できる。
(粗面処理)
球状体52Cの外周面及び嵌合孔54AFの内周面は、互いに粗面処理されている。この粗面処理は、軸部材52及びハウジング54を形成後、サンドブラストやショットブラスト等によって形成される。なお、粗面処理は球状体52C及び嵌合孔54AFの何れか一方のみに適用してもよい。
粗面処理によって、球状体52Cと嵌合孔54AFとの間の摩擦力が大きくなる。この摩擦力によって、設備機器32が揺動を開始する地震力を規制できる。例えば摩擦力(静止摩擦力)が小さいと、設備機器32は小地震で揺動を開始する。一方、摩擦力が大きいと、設備機器32は摩擦力が小さい場合より大きな地震で揺動を開始する。
また、球状体52Cと嵌合孔54AFとの間の摩擦によって、制振部材50は、地震の振動エネルギーを吸収できる。例えば摩擦力(動摩擦力)が小さい場合であっても、制振部材50は、小地震の振動エネルギーを吸収できる。一方、摩擦力が大きいと、制振部材50は、より大きな地震の振動エネルギーを吸収できる。
粗面処理の適用箇所及び表面粗さは、必要な摩擦力に応じて決定される。一例として、小地震において振動エネルギーを吸収させたい場合は、粗面処理の適用箇所を少なくする。又は粗面処理の粗さを小さくする。これにより球状体52Cと嵌合孔54AFとの間の摩擦係数を調整する。別の一例として、小地震において設備機器32を揺らさずに、大地震時に振動エネルギーを吸収させたい場合は、粗面処理の適用箇所を多くする。又は粗面処理の粗さを大きくする。
<作用及び効果>
本発明の実施形態に係る天井構造では、図1Aに示すように、設備機器32を吊り下げる棒状の吊り部材(吊りボルト34)が、天井スラブ10に固定された制振部材50と連結されている。このため、設備機器32の揺れが抑制される。また、制振部材50は揺動可能に形成されているため、設備機器32の横揺れに追随して揺動できる。これにより、吊りボルト34に入力されるせん断力が低減される。このため、吊りボルト34が疲労破断することを抑制できる。
また、本発明の実施形態に係る天井構造では、図3、図4に示すように制振部材50が、球状体52Cとハウジング54とを備えて形成されている。ハウジング54は、内周面(すなわち、嵌合孔54AFの内周面)が球状体52Cの外周面と当接しながら、所定の傾斜角(角度θ1)の範囲内で揺動するため、地震力が大きい場合でも、角度θ1を超えて回転することがない。これにより、図7に示すように、設備機器32の揺れ幅を所定の範囲内に抑制し、設備機器32と他の天井構成部材(例えば吊りボルト28)との干渉を抑制できる。
なお、例えば吊りボルト34において、制振部材50から接続金物40までの長さをLとした場合、設備機器32の揺れ幅W1は、回転規制角である角度θ1を用いて(W1=L×θ1)と近似される。
設備機器32の底面と同じ高さにおける吊りボルト28の揺れ幅が揺れ幅W2である場合、設備機器32と吊りボルト28との離隔距離W3が(W3>W1+W2)となるように、設備機器32及び吊りボルト28を配置することが好適である。これにより設備機器32と吊りボルト28との干渉が抑制される。
または、設備機器32と吊りボルト28との離隔距離が離隔距離W3とされ、吊りボルト28の揺れ幅が揺れ幅W2である場合、(W3>W1+W2)となるように、回転規制角である角度θ1を設定する。これにより、設備機器32と吊りボルト28との干渉が抑制される。
なお、本実施形態の制振部材50は軸部材52が天井スラブ10に固定され、ハウジング54に吊りボルト34が捻じ込まれているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば図8に示す制振部材51のように、軸部材53に吊りボルト34を捩じ込み、ハウジング54を天井スラブ10に固定する構成としてもよい。この場合、軸部材53には、吊りボルト34を捩じ込むための雌ねじを形成する。または軸部材53と吊りボルト34とを溶接などにより固定してもよい。軸部材53のその他の構成は軸部材52と同様であり説明を省略する。
また、本実施形態の制振部材50においては、球状体52Cの外周面及び嵌合孔54AFの内周面の少なくとも一方を粗面処理するものとしたが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば何れにも粗面処理を施さなくてもよい。または、何れにも粗面処理を施さず、かつ、何れか一方にグリースを塗布してもよい。粗面処理の有無及びグリースの塗布の有無は、必要な摩擦力に応じて適宜選択することができる。
さらに、球状体52Cの外周面と嵌合孔54AFの内周面との間の摩擦力を調整する方法としては、粗面処理やグリースの他、球状体52Cの外周面と嵌合孔54AFの内周面との間に摩擦部材を介装する方法もある。摩擦部材としては、粘弾性体やゴム等を採用することができる。この場合、嵌合孔54AFの内周面は、球状体52Cの外周面と直接当接しなくてもよい。
また、本実施形態の制振部材50には球状体52Cを用いているが、本発明の実施形態はこれに限らない。例えば球状体52Cに代えて、円環状の球面軸受けを用いてもよい。このように、本発明は様々な態様で実施できる。
10 天井スラブ
32 設備機器
34 吊りボルト(吊り部材)
50 制振部材
52C 球状体
54 ハウジング

Claims (3)

  1. 建物の天井スラブに固定され、揺動可能な制振部材と、
    前記制振部材に連結された棒状の吊り部材と、
    前記吊り部材に吊り下げられた設備機器と、
    を備えた天井構造。
  2. 前記制振部材は、
    前記天井スラブに固定された球状体と、
    内周面が前記球状体の外周面と当接し所定の傾斜角の範囲内で揺動するハウジングと、
    を備えている、
    請求項1に記載の天井構造。
  3. 前記内周面及び前記外周面の少なくとも一方が粗面処理されている、
    請求項2に記載の天井構造。
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