JP2021138986A - 電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法 - Google Patents

電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Coの使用量を抑制し、且つ電解液へのCo溶出を抑制しながら、Co非含有Niめっき鋼板よりも低い接触抵抗を確保することが可能な電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る電池缶用Niめっき鋼板は、母材鋼板と、前記母材鋼板の表面に設けられたNiめっき層とを備え、前記Niめっき層における、Ni含有量に対するCo含有量の比が0.0005〜0.10%である。【選択図】図1−1

Description

本発明は、電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法に関する。
Niめっき鋼板から構成される電池缶は、電解液を収納する機能に加え、正極端子又は負極端子としての機能も有する。例えばアルカリマンガン乾電池において電池缶は正極端子として用いられ、ニッケル水素電池及びリチウムイオン電池において電池缶は負極端子として用いられる。ここで、Niめっき鋼板の接触抵抗が高いほど、電池の接触不良が生じやすくなる。また、Niめっき鋼板の接触抵抗が高いほど、電池の内部抵抗が高まり、作動電圧の低下及び放電持続時間の減少などが生じる。そのため、電池缶用Niめっき鋼板には、その接触抵抗を低くすることが求められる。
電池缶用Niめっき鋼板の接触抵抗を減少させる手段の一つとして、NiめっきにCoを添加することが挙げられる。Niめっきの表面には酸化膜層(不働態層)が存在する。この酸化膜層は、Niめっき鋼板の耐食性を向上させる反面、Niめっき鋼板の接触抵抗を増大させる。Niめっきに含まれるCoは、この酸化皮膜を脆弱にし、Niめっき鋼板の接触抵抗を低下させる働きを有する。また、Coは、接触抵抗の低下以外の作用効果も有するので、電池缶用Niめっき鋼板において広く用いられている。
例えば特許文献1には、内面にニッケル−リン合金層が形成され、場合によりその下層にはニッケル−コバルト合金層が形成され、外面にニッケル−コバルト合金層が形成されている電池ケースが開示されている。
特許文献2には、鋼板からなるめっき原板の内外面に、ニッケル−コバルト合金めっきを施した表面処理鋼板を、DI成形法、又はDTR成形法によって成形して得られる電池ケースが開示されている。
特許文献3には、内面には、鉄−ニッケル−錫拡散層が形成されており、外面には鉄−ニッケル−コバルト拡散層が形成されている電池ケースが開示されている。
特許文献4には、鋼板からなるめっき原板において、ケース外面に相当する面では、最表層として圧下率0.1〜5%の調質圧延を施したニッケル層を有し、前記ニッケル層が無光沢ニッケルめっき層、半光沢ニッケルめっき層、ニッケル−コバルトめっき層あるいは下層として無光沢ニッケルめっき、上層をニッケル−コバルトめっきの2層めっき層であることを特徴とすることを特徴とする電池ケース用表面処理鋼板が開示されている。
特許文献5には、鋼板からなるめっき原板の最表層に光沢ニッケル−コバルト合金めっきを有する表面処理鋼板を、深絞り成形法、DI成形法又はDTR成形法によって成形して得られる電池ケースが開示されている。
国際公開第1999/003161号 国際公開第1997/042667号 国際公開第1998/010475号 特開2002−155394号公報 国際公開第2000/065671号
電池缶用Niめっき鋼板の接触抵抗の低減を目的としてCoを用いる場合、Niめっき中のCo含有量を10質量%以上とすることが通常である。また、その他の目的でCoを用いる場合でも、1質量%程度のCoをNiめっき層に含有させることが多い。
一方、電池缶用Niめっき鋼板には、低い接触抵抗に加えて、高い耐金属溶出性が求められる。Niめっき中のCoは、電解液中に溶出しやすいので、Niめっき鋼板の耐金属溶出性を低下させる。また、Coは高価な元素であり、Niめっき中に多量のCoを含有させた場合、電池缶用Niめっき鋼板の価格が増大する。
上述の事情に鑑みて、本発明は、Coの使用量を抑制し、且つ電解液へのCo溶出を抑制しながら、Niめっき層にCoを含まないNiめっき鋼板よりも低い接触抵抗を確保することが可能な電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法を提供することを、その課題とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係る電池缶用Niめっき鋼板は、母材鋼板と、前記母材鋼板の表面に設けられたNiめっき層とを備え、前記Niめっき層は、前記母材鋼板の表面に形成されているNi−Fe合金層を含み、前記Niめっき層における、Ni含有量に対するCo含有量の比が0.0005〜0.10%である。
(2)上記(1)に記載の電池缶用Niめっき鋼板では、前記Ni−Fe合金層は、前記Niめっき層の一部に形成されていてもよい。
(3)上記(1)に記載の電池缶用Niめっき鋼板では、前記Ni−Fe合金層は、前記Niめっき層の最表面まで形成されていてもよい。
(4)上記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の電池缶用Niめっき鋼板では、片面あたりのNi付着量が2.5〜33.2g/mであってもよい。
(5)本発明の別の態様に係る電池缶用Niめっき鋼板の製造方法は、上記(1)〜(4のいずれか一項に記載の電池缶用Niめっき鋼板の製造方法であって、[Co2+]/[Ni2+]を0.0001〜0.02%としたNiめっき浴を用いて母材鋼板に電気めっきをして、素材Niめっき鋼板を得る工程と、前記素材Niめっき鋼板を焼鈍する工程とを備える。
(6)上記(5)に記載の電池缶用Niめっき鋼板の製造方法では、前記電気めっきにおける電流密度を100〜5000A/mとしてもよい。
(7)上記(5)又は(6)に記載の電池缶用Niめっき鋼板の製造方法では、前記素材Niめっき鋼板のNi付着量を片面あたり2.5〜33.2g/mとしてもよい。
本発明によれば、Coの使用量を抑制し、且つ電解液へのCo溶出を抑制しながら、Co非含有Niめっき鋼板よりも低い接触抵抗を確保することが可能な電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法を提供することができる。
部分拡散層を有する、本実施形態に係る電池缶用Niめっき鋼板の概念図である。 全拡散層を有する、本実施形態に係る電池缶用Niめっき鋼板の概念図である。 接触抵抗値を評価するための試験体(対称セル)の模式図である。 接触抵抗の評価用の等価回路の図である。
Coの使用量を抑制し、且つ電解液へのCo溶出を抑制しながら、Co非含有Niめっき鋼板よりも低い接触抵抗を確保するための手段について本発明者らは鋭意検討した。具体的に本発明者らは、Co質量対接触抵抗特性(ΔRCo)という評価基準を導入し、これを向上させるための手段を検討した。ΔRCoは、CoによるNiめっき鋼板の接触抵抗減少値(ΔR)を、Niめっき層における、Ni含有量に対するCo含有量の比(Niめっき層Co/Ni)で割って得られる値、即ち下記式1によって得られる値である。
ΔRCo=ΔR/(Niめっき層Co/Ni) 式1
ΔRとは、Niめっき鋼板の接触抵抗値(R)と、Niめっき層中のCo含有量が0%であるNiめっき鋼板(即ちCo非含有Niめっき鋼板)の接触抵抗値(RCo=0)との差、即ち下記式2によって得られる値である。
ΔR=RCo=0−R 式2
ΔRCoが高いほど、Coによる接触抵抗の減少効率が優れていることになる。本発明者らの検討の結果、Niめっき層Co/Niを0.0005〜0.10%の範囲内にすることにより、ΔRCoが大幅に向上することが判明した。Niめっき層Co/Niを0.10%超に増大させた場合、Niめっき鋼板の接触抵抗はさらに減少するものの、その減少量はCo使用量に対して小さく、従ってΔRCoが劣ることとなった。また、Niめっき層Co/Niを0.10%超に増大させた場合、耐Co溶出性も損なわれた。
以上の知見によって得られた本実施形態に係る電池缶用Niめっき鋼板(以下、「Niめっき鋼板」と略す)1は、図1−1及び図1−2に示されるように、母材鋼板11と、前記母材鋼板の表面に設けられたNiめっき層12とを備え、Niめっき層12における、Ni含有量に対するCo含有量の比(Niめっき層Co/Ni)が0.0005〜0.10%である。以下に、本実施形態に係るNiめっき鋼板1について詳述する。
(母材鋼板11)
母材鋼板11は、Niめっき鋼板1の基材となる鋼板である。母材鋼板11の成分、板厚、及び金属組織などは特に限定されない。母材鋼板11を電池容器の素材として用いる場合、例えば母材鋼板11を低炭アルミキルド鋼、及びIF鋼(Interstitial Free Steel/極低炭素鋼)等とすることがよい。母材鋼板11の化学組成(質量%)の具体的な例を挙げると以下の通りである。
(例1)低炭アルミキルド鋼
C:0.057、Si:0.004、Mn:0.29、P:0.014、S:0.007、Al:0.050、Cu:0.034、Ni:0.021、残部:鉄及び不純物を含む
(例2)IF鋼
C:0.004、Si:0.01、Mn:0.16、P:0.013、S:0.006、Ti:0.013、Al:0.029、Cu:0.027、Ni:0.022、残部:鉄及び不純物を含む
(例3)IF鋼
C:0.0012、Si:0.01未満、Mn:0.29、P:0.014、S:0.001未満、Ti:0.020、Al:0.051、Cu:0.031、Ni:0.023、残部:鉄及び不純物を含む
母材鋼板11の厚さも特に限定されない。Niめっき鋼板1を電池容器の素材として用いる場合、母材鋼板11の厚さを例えば0.15〜0.8mmとすることがよい。
(Niめっき層12)
Niめっき層12は、母材鋼板11の表面に配された、Niめっきに含まれるNiと、母材鋼板11のFeと合金化することによって得られる層である。Niめっき層12は、Niめっきの一部を合金化することによって得られる層、即ちNi層及びNi−Fe合金層からなる部分拡散層であってもよく、Niめっきの全部を合金化することによって得られる層、即ちNi−Fe合金層からなる全拡散層であってもよい。言い換えれば、Niめっき層12は、一部にNi−Fe合金層が形成されている部分拡散層であってもよく、Feが最表層まで拡散し、Ni−Fe合金層が最表面まで形成されている全拡散層であってもよい。また、Niめっき層12は、母材鋼板11の一方の表面にのみ配されていても、両方の表面に配されていてもよい。Niめっき鋼板1が、部分拡散層及び全拡散層を兼備することも妨げられない。
図1−1に部分拡散層の概念図を示し、図1−2に全拡散層の概念図を示す。図1−1及び図1−2の上部は、Niめっき鋼板1の断面の概念図である。図1−1及び図1−2の下部は、Niめっき鋼板1の表面から内部に向けてGDS分析をした場合の、Coピーク強度、Niピーク強度、及びFeピーク強度と、最表面からの深さ方向の距離との関係を示すグラフである。本実施形態では、Niめっき層12の最表面から、Fe強度が母材のFe強度(最大Fe強度)の1/10になる位置までの領域を、Ni層121と定義する。また、Fe強度が母材のFe強度(最大Fe強度)の1/10になる位置から、Ni強度がNiめっき層12のNi強度(最大Ni強度)の1/10になる位置までの領域を、Ni−Fe合金層122と定義する。
Feの拡散がNiめっき層12の最表面まで及ばない場合、GDS分析チャートは図1−1のようになり、Niめっき層12はNi層121を含む部分拡散層となる。FeがNiめっき層12の最表面まで十分に拡散している場合、GDS分析チャートは図1−2のようになり、Niめっき層12はNi層121を含まない全拡散層となる。上述のように、本実施形態に係るNiめっき鋼板1のNiめっき層12は、いずれの形態をも具備することができる。
Niめっき層12は、微量のCoを含む。Niめっき層12における、Ni含有量に対するCo含有量の比(Niめっき層Co/Ni)は、0.0005〜0.10%の範囲内とされる。ここで、「Ni含有量」及び「Co含有量」とは、それぞれNi付着量及びCo付着量を意味する。Niめっき層Co/Niは、Niめっき層12における、Co付着量をNi付着量で割って得られる値である。従って、Niめっき層Co/Niは、Ni含有量に対するCo含有量の比の、Niめっき層12全体にわたっての平均値と解される。
Niめっき層Co/Niを0.10%以下とすることにより、Niめっき鋼板1の耐Co溶出性が飛躍的に改善される。一方、Niめっき層Co/Niを0.0005%以上とすることにより、Niめっき鋼板1の接触抵抗値を減少させることができる。また、Niめっき層Co/Niを0.0005〜0.10%の範囲内とすることにより、Co質量対接触抵抗特性(ΔRCo)が大幅に向上する。Niめっき層Co/Niが0.10%を超過した場合、耐Co溶出性が損なわれる一方で、ΔRCoが損なわれ、Co使用量に見合った接触抵抗の減少効果が得られない。Niめっき層Co/Niを0.001%以上、0.004%以上、0.01%以上、0.02%以上、0.03%以上、0.04%以上、又は0.05%以上としてもよい。Niめっき層Co/Niを0.09%以下、0.08%以下、又は0.07%以下としてもよい。
Niめっき層Co/Niが上述の範囲内である限り、Niめっき層12の平均組成、及び厚さ等は特に限定されず、Niめっき鋼板1の用途に応じて適宜設定することが出来る。Niめっき層12が、その特性を損なわない範囲内で不純物を含んでいてもよい。
例えば、Niめっき層12の片面当たりNi付着量を2.5〜33.2g/mとしてもよい。Niめっき層12におけるNi付着量を2.5g/m以上とすることで、Niめっき鋼板1の耐食性等を確実に確保することが出来るので好ましい。Niめっき層12におけるNi付着量を33.2g/m以下とすることで、Niめっき鋼板1の製造コストを低減することが出来るので好ましい。また、片面当たりNi付着量が35.6g/m超では、Niめっき層12の硬度が過剰となり加工性が損なわれる。さらにこの場合、内部応力により、Niめっき層12にクラックが誘起されることもある。Niめっき層12の片面当たりNi付着量を2.5g/m以上としてもよい。Niめっき鋼板1の片面当たりNi付着量を32.7g/m以下としてもよい。
Niめっき層12におけるNiの付着量は、ICP発光分光分析法(ICP−OES)によって測定する。まず、所定面積のNiめっき層12を酸で溶解する。次に、溶解液に含まれるTotal−Ni量をICP−OESで定量分析する。ICP−OESで定量したTotal−Ni量を上述の所定面積で割ることにより、単位面積当たりのNi付着量を求めることが出来る。また、Niめっき層12におけるCoの付着量は、ICP質量分析法(ICP−MS)によって測定する。溶解させたNiめっき層12におけるCo量をICP−MSによって、Ni量をICP−OESによって定量分析することにより、Niめっき層における、Ni含有量に対するCo含有量の比(Co/Ni)を求めることができる。
次に、本実施形態に係るNiめっき鋼板1の好ましい製造方法について説明する。ただし、上述の要件を備えるNiめっき鋼板は、その製造方法とは関係なく本実施形態に係るNiめっき鋼板1であるとみなされる。
本実施形態に係るNiめっき鋼板1の製造方法は、[Co2+]/[Ni2+]を0.0001〜0.02%としたNiめっき浴を用いて、電流密度を100〜5000A/mとして、母材鋼板に電気めっきをして素材Niめっき鋼板を得る工程S1と、素材Niめっき鋼板を焼鈍する工程S2とを備える。
電気めっき工程S1では、母材鋼板11にNiめっきを施して、素材Niめっき鋼板を得る。なお、本実施形態では、Niめっき後に得られる合金化されていないNiめっき鋼板を、素材Niめっき鋼板と称する。電気めっきに用いるNiめっき浴は、[Co2+]/[Ni2+]を0.0001〜0.02%としたものとされる。[Co2+]とは、Niめっき浴にCo2+の形態で含まれるCoの濃度(g/L)であり、[Ni2+]とは、Niめっき浴にNi2+の形態で含まれるNiの濃度(g/L)である。
めっき浴における[Co2+]/[Ni2+]よりも、Niめっき層におけるNi含有量に対するCo含有量の比の方がわずかに高くなる傾向にある。Co及びNiを共析させる合金めっきにおいては、Coの析出速度がNiの析出速度より高いからである。そのため、[Co2+]/[Ni2+]を0.0001〜0.02%の範囲内とすることにより、NiめっきにおけるNi含有量に対するCo含有量の比を0.0005〜0.10%の範囲内とすることができる。そして、NiめっきにおけるNiとCoとの比率は、続く焼鈍工程S2を経ても維持される。
[Co2+]/[Ni2+]を上述の範囲内とする限り、Niめっき浴の組成は特に限定されない。また、電気めっき条件も特に限定されず、必要とされるNi付着量に応じて適宜選択することができる。なお、素材Niめっき鋼板のNi付着量を片面あたり1.34〜35.60g/mとすることにより、焼鈍工程S2の後に得られるNiめっき鋼板1の片面あたりのNi付着量を2.5〜33.2g/mとすることができるので、好ましい。素材Niめっき鋼板の片面あたりの好ましいNi付着量は、上述されたNiめっき鋼板1の片面あたりの好ましいNi付着量に準じる。また、電流密度は100〜5000A/mの範囲内とすることが好ましい。電流密度を100A/m以上とすることにより、好ましいNi付着量とすることができる。電流密度を5000A/m以下とすることにより、めっき表面焼け等を防止することができる。
続く焼鈍工程S2では、素材Niめっき鋼板を焼鈍し、Niめっきを合金化する。これにより、Niめっきと母材鋼板11との間で相互拡散が生じ、Niめっき層12が形成される。焼鈍条件は特に限定されず、Niめっきの膜厚に応じて適宜選択することができる。例えば、N−4%H中で25℃から720℃まで平均昇温速度20℃/secで加熱し、720℃で20秒保持後、300℃まで平均冷却速度30℃/secで冷却するヒートパターンや、より拡散を促進するためにはN−4%H中で25℃から830℃まで平均昇温速度15℃/secで加熱し、830℃で60秒保持後、300℃まで平均冷却速度20℃/secで冷却するヒートパターンなどがある。
以上のように、本実施形態における電池缶用Niめっき鋼板は、Niめっき層に微量のCoを添加することで、鋼板の接触抵抗を減少させるとともに、耐食性を向上するものである。Niめっき層に、Coに加えて、同様に耐食性を向上させる元素である微量のSn、Znの1種以上を複合添加することも可能である。Snは、鋼板の加工性を向上させる元素であるとともに、鋼板の耐金属溶出性を向上する元素である。Znは、Sn、Coと同様に、鋼板の耐食性を向上する元素である。Niめっき層に、Sn、Znの1種以上をSnと同様に微量添加することで、鋼板の耐食性をさらに向上させることができる。また、Niめっき層にSnを添加する場合は、鋼板の加工性をも向上させることができる。
本実施形態における電池缶用Niめっき鋼板は、電池缶用途のみならず、接触抵抗に加えて耐食性が求められる素材に適している。例えば、内部が燃料を通過する燃料管としても、好適に用いることができる。
(Niめっき層中のCo濃度と、Niめっき鋼板の耐Co溶出性、Co質量対接触抵抗特性との関係)
種々のNiめっき浴組成(表1)、Ni電解条件(表2)、焼鈍条件(表3)にて、母材鋼板(表4)を用いて複数のNiめっき鋼板を製造し、これらの耐Co溶出性、及びCo質量対接触抵抗特性(ΔRCo)を評価した。なお、「浴組成」は、浴に添加した試薬の量であり、「めっき液中金属イオン濃度」は、浴の分析結果である。NiSO・6HO試薬中に微量のCo元素が含有されているので、浴組成におけるCo量と、めっき液中のCoイオン濃度量との間には、若干の相違が生じた。
Figure 2021138986
Figure 2021138986
Figure 2021138986
Figure 2021138986
各試料のNiめっき層における、Ni含有量に対するCo含有量の比(Niめっき層Co/Ni)は、各試料のNiめっき層を溶解し、溶解液を定量分析することによって測定した。溶解液のNi量はICP−OESによって測定し、Co量はICP−MSにより測定した。
各試料のNiめっき層が全拡散及び部分拡散のいずれであるかの判断は、GDSによる深さ方向元素分布により判定した。最表面のFeの強度がFeの最大強度の1/10超となるものを全拡散と判断し、1/10以下となるものを部分拡散と判断した。(図1−1及び1−2参照)
各試料の接触抵抗値(R)の評価は、以下の手順で行った。まず、各試料をφ15mmの円盤に打ち抜き加工した。次に、市販のアルカリ乾電池に用いられる正極材料(MnO、導電助剤、及び電解液(KOH水溶液)から構成される)1.0gを、円盤状に加工された各試料で挟み、金型を用いて荷重20kNでの加圧を行い、ペレット状にした。このペレットを、CR2016コインセル内に装入し、電池環境を模擬した試験体(対称セル、図2参照)を作製した。そして、このコインセルに交流インピーダンス測定を行った。交流インピーダンス測定条件は以下の通りとした。
機材 :ソーラトロン製 Modulab
周波数範囲 :1MHz〜0.1Hz
振幅 :10mV
測定環境温度 :23℃
接触抵抗の定量解析には等価回路を使用し、フィッティング計算により接触抵抗を推定した。図3に、評価のために使用した等価回路を示す。上記機材に内蔵されたソフトウェアZ plotを使用して、Instant fitによってRsに該当する抵抗を算出した。なお、図3においてRsは接触抵抗であり、Rpは化学反応抵抗(MnO起因と推定)であり、CPEはconstant phase elementである。厳密には、Rsは接触抵抗に加えてリード線の抵抗も含むが、リード線の抵抗は無視できる程度に小さい。
表5及び表6に記載の水準1、水準18、水準20、水準22、水準24、水準26、水準28、水準30、水準32、及び水準35は、Niめっき層にCoが含まれないNiめっき鋼板である。これらのNiめっき鋼板を基準試料とした。各試料の接触抵抗値差分(ΔR)は、各試料の接触抵抗値(R)と基準試料の接触抵抗値(RCo=0)との差とした。各水準の評価において用いられた基準試料の番号を、表6に示す。基準試料の製造条件は、Co含有量を除き、評価対象の試料の製造条件と可能な限り同一となるようにした。
各試料のCo質量対接触抵抗特性(ΔRCo)は、各試料のΔRをCo/Niで割ることによって求めた。ΔRCoが3.00以上である試料を、Coの使用量を抑制しながら、接触抵抗の低下が達成された試料とみなし、評価欄に「○」と記載した。Coの使用量に見合った接触抵抗向上効果が確保できなかった試料に関しては、評価欄に「×」と記載した。
各試料の耐Co溶出性の評価は、以下の手順で行った。35%KOH溶液を200ml準備し、作用極に試料を、対極に白金を、参照極にHg/HgO電極を用いて、各々の電極を溶液に浸漬させた。次に、MnOの定電位である0.3V vs.Hg/HgOに作用極を保持し、30日間経過後の溶液を採取し、溶液中のCo濃度をICP−Massで測定した。溶液中のCo濃度が5.0×10−7mg/L未満である試料を、電解液へのCo溶出が抑制された試料とみなし、評価欄に「○」と記載した。電解液へのCo抑制が抑制されなかった試料に関しては、評価欄に「×」と記載した。
各試料の製造条件及び構成を表5に示し、各試料の特性評価結果を表6に示す。発明範囲外の値には下線を付した。
Figure 2021138986
Figure 2021138986
上述の通り、水準1、水準18、水準20、水準22、水準24、水準26、水準28、水準30、水準32、及び水準35は、Niめっき層中にCoを含まない基準試料(Co非含有Niめっき鋼板)である。
水準2は、Niめっき層Co/Niが不足しており、接触抵抗の改善効果が見られなかった。
水準12〜17は、Niめっき層Co/Niが過剰であり、Co使用量に見合った接触抵抗の改善効果が見られなかった。また、水準12〜17は、耐Co溶出性も不足した。
一方、本発明例では良好な耐Co溶出性、及び高いΔRCoが得られた。
本発明によれば、Coの使用量を抑制し、且つ電解液へのCo溶出を抑制しながら、Co非含有Niめっき鋼板よりも低い接触抵抗を確保することが可能な電池缶用Niめっき鋼板、及びその製造方法を提供することができるので、きわめて大きな産業上の利用可能性を有する。
1 電池缶用Niめっき鋼板(Niめっき鋼板)
11 母材鋼板
12 Niめっき層
121 Ni層
122 Ni−Fe合金層

Claims (7)

  1. 母材鋼板と、前記母材鋼板の表面に設けられたNiめっき層とを備え、
    前記Niめっき層は、前記母材鋼板の表面に形成されているNi−Fe合金層を含み、
    前記Niめっき層における、Ni含有量に対するCo含有量の比が0.0005〜0.10%であることを特徴とする電池缶用Niめっき鋼板。
  2. 前記Ni−Fe合金層は、前記Niめっき層の一部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池缶用Niめっき鋼板。
  3. 前記Ni−Fe合金層は、前記Niめっき層の最表面まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池缶用Niめっき鋼板。
  4. 片面あたりのNi付着量が2.5〜33.2g/mであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電池缶用Niめっき鋼板。
  5. [Co2+]/[Ni2+]を0.0001〜0.02%としたNiめっき浴を用いて母材鋼板に電気めっきをして、素材Niめっき鋼板を得る工程と、
    前記素材Niめっき鋼板を焼鈍する工程と
    を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の電池缶用Niめっき鋼板の製造方法。
  6. 前記電気めっきにおける電流密度を100〜5000A/mとすることを特徴とする請求項5に記載の電池缶用Niめっき鋼板の製造方法。
  7. 前記素材Niめっき鋼板のNi付着量を片面あたり2.5〜33.2g/mとすることを特徴とする請求項5又は6に記載の電池缶用Niめっき鋼板の製造方法。
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