JP2021138776A - 下痢型過敏性腸症候群抑制剤及び食品組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
検査を行っても炎症や潰瘍等の明らかな異常が認められないにもかかわらず、腹痛や腹部
の違和感を伴って便秘や下痢が長期間続く疾患である。過敏性腸症候群は、便通の状態に
より、便秘型、下痢型、交替型、分類不能型に分類される。
部不快感を伴い、突如として下痢を起こすものである。また、便秘型過敏性腸症候群(以
下、「便秘型IBS」という場合がある。)は、腸管がけいれんを起こして便が停滞し、
便の水分が奪われすぎて排便が困難になるものである。また、交替型過敏性腸症候群(以
下、「交替型IBS」という場合がある。)は、便秘と下痢が交互に繰り返されるもので
ある。また、分類不能型は、上記のいずれにもあてはまらないものである。
ことが、私生活の質や労働生産性を低下させてしまう。
院を必要とする「患者」は少数であり、IBS様症状有訴者の75%は軽症で、通院をし
ていない。
う場合がある。)を低下させるものの、生死にかかわる重篤な病態ではない。このことか
ら、軽症のIBS又はIBS様症状に対しては、市販薬やサプリメントで症状を緩和する
セルフメディケーションを充実させることが望まれている。
つとして考えられる大腸の微弱な炎症に対して有効性を示唆する研究報告が多い一方で、
コストが低く、また安全性も高いことから、IBS様症状をコントロールするための有効
な手段として期待されている。例えば、特許文献1には、ラクトバチルス ブレビス K
B290株の菌体又はその発酵物を有効成分とする腸炎抑制剤が記載されている。
により大腸炎を誘発させた、大腸炎モデルマウスを用いて効果を検討しているに過ぎない
。このため、特許文献1に記載の腸炎抑制剤が、ヒトに有効であるか、更には、複数ある
IBSの類型の中でも、下痢型IBSの改善に有効であるか否かは不明であった。そこで
、本発明は、ヒトにおいて下痢型IBSを改善する下痢型IBS抑制剤及び食品組成物を
提供することを目的とする。
(1)ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)
の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する、下痢型IBS抑制剤。
(2)ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体が1日当たり1×1010個以上
で投与される、(1)に記載の下痢型IBS抑制剤。
(3)β−カロテンが1日当たり4mg以上で投与される、(1)又は(2)に記載の下
痢型IBS抑制剤。
(4)ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体が生菌である、(1)〜(3)の
いずれかに記載の下痢型IBS抑制剤。
(5)7週間以上投与するように用いられる、(1)〜(4)のいずれかに記載の下痢型
IBS抑制剤。
(6)ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)
の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する、下痢型IBS抑制用の食品組成物。
(7)ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体が1日当たり1×1010個以上
摂取されるように用いられる、(6)に記載の下痢型IBS抑制用の食品組成物。
(8)β−カロテンが1日当たり4mg以上摂取されるように用いられる、(6)又は(
7)に記載の下痢型IBS抑制用の食品組成物。
(9)ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体が生菌である、(6)〜(8)の
いずれかに記載の下痢型IBS抑制用の食品組成物。
(10)7週間以上摂取されるように用いられる、(6)〜(9)のいずれかに記載の下
痢型IBS抑制用の食品組成物。
(11)サプリメントである、(6)〜(10)のいずれかに記載の下痢型IBS抑制用
の食品組成物。
(12)機能性表示食品である、(6)〜(11)のいずれかに記載の下痢型IBS抑制
用の食品組成物。
(13)特別用途食品である、(6)〜(11)のいずれかに記載の下痢型IBS抑制用
の食品組成物。
(14)病者用食品である、(13)に記載の下痢型IBS抑制用の食品組成物。
(15)特定保健用食品である、(13)に記載の下痢型IBS抑制用の食品組成物。
(16)ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537
)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する、下痢型過敏性腸症候群抑制用サプ
リメント。
(17)ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537
)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する組成物を摂取させる工程を含む、下
痢型IBSの抑制方法(ヒトに対する医療行為を除く。)。
成物を提供することができる。
1実施形態において、本発明は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号
NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する、下痢型
IBS抑制剤を提供する。
いて下痢型IBSを抑制することができる。本明細書において、「下痢型IBSを抑制す
る」とは、「下痢型IBSを改善する」、「下痢型IBSを治療する」等といいかえるこ
ともできる。したがって、本実施形態の下痢型IBS抑制剤は、下痢型IBS改善剤、下
痢型IBS治療剤等といいかえることもできる。
必要としないものの下痢型IBSに類似する、より軽度な症状を含む。すなわち、下痢型
IBSとは、重度及び軽度の程度の差はあっても、腹痛及び腹部不快感を伴い、突如とし
て下痢を起こす症状を意味する。
品等による治療は必要ではないものの、腹痛及び腹部不快感を伴う下痢の症状を包含して
、下痢型IBS様症状という場合がある。
けではなく、医薬品等による治療は必要ではないものの、腹痛及び腹部不快感を伴う下痢
(下痢型IBS様症状)で悩んでいる方にも摂取させることができる。
り、腹痛強度を低下させることができる。したがって、本実施形態の下痢型IBS抑制剤
は、腹痛強度低下剤であるということもできる。
とにより、排便頻度を低下させることができる。したがって、本実施形態の下痢型IBS
抑制剤は、排便頻度低下剤であるということもできる。
とにより、労働生産性を向上させることができる。したがって、本実施形態の下痢型IB
S抑制剤は、労働生産性向上剤であるということもできる。
こと、下痢型IBS様症状を原因とした勤務中の労働生産性の低下を減少させること等を
意味する。
番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する組成
物が、下痢型IBS様症状の改善の用途に有効であることを見出したことに基づくもので
ある。
ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)は、
独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足
2−5−8)に2013年2月13日に寄託したものである。
の菌体としては、生菌を用いてもよく、死菌を用いてもよい。また、生菌を用いる場合に
おいて、一部死菌が混入していてもよい。また、ラクトバチルス ブレビス KB290
株の破砕物、抽出物等の菌体の形状が残存していない状態で用いてもよい。
の菌体は、1日当たり1×1010個以上で投与されることが好ましい。この1日当たり
の量を一度に又は数回に分けて投与することができ、そのタイミングとしては、食前、食
後、食間のいずれでもよい。
記の量含有する下痢型IBS抑制剤を被験者に投与することにより、下痢型IBS症状の
改善効果が認められることが確認されている。
状が残存していない状態で用いる場合においては、1日当たり1×1010個以上の菌体
量に相当する量で投与すればよい。
いが、1日当たり6×1010個以上投与しても、下痢型IBS症状の改善効果はそれ以
上上昇しない傾向にある。したがって、ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体
の投与量の上限は、例えば1日当たり6×1010個としてもよいし、1日当たり4×1
010個としてもよいし、1日当たり2×1010個としてもよい。
法で調製することができる。菌体を得るにあたり、ラクトバチルス ブレビス KB29
0株を前培養してから用いることが好ましい。前培養は公知の方法で行えばよく、例えば
、市販の乳酸菌用培地(de Man、Rogosa、Sharpe培地、Oxoid社
製)を、所定の濃度となるように蒸留水に溶解させ、オートクレーブ滅菌した後、ラクト
バチルス ブレビス KB290株を植菌して、所定時間前培養する方法が挙げられる。
また、本実施形態で用いられるラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体は、菌体
を乾燥させた粉末としても用いることができる。菌体の乾燥は、菌体を変質させにくいこ
とから、凍結乾燥、スプレードライ等で行なうことが好ましい。例えば、ラクトバチルス
ブレビス KB290株の菌体を液体培地等に懸濁させ、遠心分離等で濃縮した後、凍
結乾燥すること等により菌体粉末を得ることができる。
β−カロテンとしては、特に制限されず、天然の成分であっても、合成されたものであ
ってもよい。β−カロテンを天然の成分として添加する場合、β−カロテンを含むニンジ
ンやその搾汁液、藻類等の形態で添加してもよく、それらの原料から抽出・精製したβ−
カロテンを添加してもよい。また、β−カロテンが体内で吸収・分解された際に生じるレ
チノール、レチナール、レチノイン酸の形態で用いてもよい。
例えば4.3mg以上、例えば4.5mg以上、例えば4.8mg以上投与されることが
好ましい。この1日当たりの量を一度に又は数回に分けて投与することができ、そのタイ
ミングとしては、食前、食後、食間のいずれでもよい。
IBS抑制剤を被験者に投与することにより、下痢型IBS症状の改善効果が認められる
ことが確認されている。
しても、下痢型IBS症状の改善効果はそれ以上上昇しない傾向にある。したがって、β
−カロテンの投与量の上限は、例えば1日当たり15mgとしてもよいし、1日当たり1
0mgとしてもよいし、1日当たり6mgとしてもよい。
上、例えば10週間以上、例えば12週間以上投与するように用いられるものであること
が好ましい。
的に投与することにより、下痢型IBSの改善効果がより顕著になる傾向にある。
、β−カロテン、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物であってもよい。上記の
医薬組成物は、経口投与されることが好ましく、経口的に使用される剤型に製剤化されて
いることが好ましい。経口的に使用される剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、エリ
キシル剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。
ム、アラビアゴム等の結合剤;デンプン、結晶性セルロース等の賦形剤;アルギン酸等の
膨化剤等が挙げられる。
ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン、マルチトール等の甘
味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノール等の安定
剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の
溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤等が挙げられる。
に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。医薬組成物
は、例えば、1日当たり1回経口投与するように製剤化されていてもよい。
1実施形態において、本発明は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号
NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する、下痢型
IBS抑制用の食品組成物を提供する。実施例において後述するように、本実施形態の食
品組成物を摂取することにより、ヒトにおいて下痢型IBSを改善することができる。
カロテンとしては、上述した下痢型IBS抑制剤におけるものと同様のものを使用するこ
とができる。
しては、上述した下痢型IBS抑制剤におけるものと同様であり、生菌を用いてもよく、
死菌を用いてもよい。また、生菌を用いる場合において、一部死菌が混入していてもよい
。また、ラクトバチルス ブレビス KB290株の破砕物、抽出物等の菌体の形状が残
存していない状態で用いてもよい。
、1日当たり1×1010個以上摂取されるように用いられることが好ましい。また、ラ
クトバチルス ブレビス KB290株を、菌体の形状が残存していない状態で用いる場
合においては、1日当たり1×1010個以上の菌体量に相当する量摂取されるように用
いるとよい。この1日当たりの量を一度に又は数回に分けて摂取することができ、そのタ
イミングとしては、食前、食後、食間のいずれでもよい。なお、「1日当たり1×101
0個以上」とは、食品組成物の形態によって異なるが、表示される1日の摂取目安量や、
通常1度で消費する飲みきりタイプの飲料であれば1本当たりに含まれる量を指すもので
ある。
述したものと同様である。
.3mg以上、例えば4.5mg以上、例えば4.8mg以上摂取されるように用いられ
ることが好ましい。この1日当たりの量を一度に又は数回に分けて摂取することができ、
そのタイミングとしては、食前、食後、食間のいずれでもよい。なお、「1日当たり4m
g以上」とは、食品組成物の形態によって異なるが、表示される1日の摂取目安量や、通
常1度で消費する飲みきりタイプの飲料であれば1本当たりに含まれる量を指すものであ
る。また、1日当たりのβ−カロテンの投与量の上限は上述したものと同様である。
ば10週間以上、例えば12週間以上摂取されるように用いられるものであることが好ま
しい。
することにより、下痢型IBSの改善効果がより顕著になる傾向にある。
トの形態であってもよいし、飲料の形態であってもよいし、ゲル状食品の形態であっても
よいし、任意の調理済み食品の形態等であってもよい。サプリメントの形状としては、例
えば、実施例において使用したカプセル等の形状が挙げられる。
、科学的根拠を基に商品パッケージに機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出ら
れた食品を意味する。当該表示として、例えば、「下痢/くりかえす下痢/ストレスによ
る下痢や腹痛を抑制する機能性」、「下痢/くりかえす下痢/ストレスによる下痢や腹痛
を予防する機能性」、「下痢/くりかえす下痢/ストレスによる下痢や腹痛が気になる人
の食生活の改善に役立つ機能性」、「急なお腹の差し込み/お腹の痛みや不快感を抑制す
る機能性」、「急なお腹の差し込み/お腹の痛みや不快感を予防する機能性」、「急なお
腹の差し込み/お腹の痛みや不快感が気になる人の食生活の改善に役立つ機能性」、「急
なお腹の切迫感や不調を和らげる機能性」、「急なお腹の切迫感や不調を予防する機能性
」、「急なお腹の切迫感や不調が気になる人の食生活の改善に役立つ機能性」、「トイレ
が気になって、仕事や学習に集中できない人の食生活の改善に役立つ機能性」、「通勤通
学時の急な差し込みが気になる人の食生活の改善に役立つ機能性」等があげられるが、こ
れらに限定されるわけではない。また、機能性表示のない食品であっても、これら機能性
をチラシ、メール、口頭でうたって製造、販売することも考えらえる。実施例において後
述するように、本実施形態の食品組成物を摂取することにより、下痢型IBSが改善する
ことが確認されている。
可を受けて、乳児、幼児、妊産婦、病者等の発育、健康の保持・回復等に適するという特
別の用途について表示する食品を意味する。
において後述するように、本実施形態の食品組成物は、下痢型IBSの改善効果を有する
ことが確認されている。
定保健用食品とは、健康の維持増進に役立つことが科学的根拠に基づいて認められ、その
効果の表示が許可されている食品を意味する。表示されている効果や安全性については国
が審査を行い、食品ごとに消費者庁長官により許可される。実施例において後述するよう
に、本実施形態の食品組成物は、下痢型IBSの改善効果を有することが確認されている
。
1実施形態において、本発明は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号
NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する、下痢型
IBS抑制用サプリメントを提供する。本実施形態のサプリメントを摂取することにより
、下痢型IBSを改善することができる。
テンとしては、上述した下痢型IBS抑制用の食品組成物におけるものと同様のものを使
用することができる。また、ラクトバチルス ブレビス KB290株及びβ−カロテン
の含有量も上述した下痢型IBS抑制用の食品組成物におけるものと同様の含有量でよい
。
1実施形態において、本発明は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号
NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する組成物を
摂取させる工程を含む、下痢型IBSの抑制方法を提供する(ヒトに対する医療行為を除
く。)。ここで、医療行為とは、医師(医師の指示を受けた者を含む。)がヒトに対して
治療を実施する行為を意味する。
IBS抑制用の食品組成物におけるものと同様のものを使用することができる。また、ラ
クトバチルス ブレビス KB290株及びβ−カロテンの含有量も上述した下痢型IB
S抑制用の食品組成物におけるものと同様の含有量でよい。
NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンを有効成分として含有する組成物を
摂取させることにより、下痢型IBSを抑制することができる。
体及びβ−カロテンを有効成分として含有する組成物を摂取させる期間は、7週間以上、
例えば8週間以上、例えば9週間以上、例えば10週間以上、例えば12週間以上である
ことが好ましい。
1実施形態において、本発明は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号
NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンの有効量を、治療を必要とする患者
に投与することを含む、下痢型IBSの治療方法を提供する。
バチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ
−カロテンを含有する組成物を提供する。
るためのラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537
)の菌体及びβ−カロテンの使用を提供する。
るものではない。
二重盲検並行群間試験を行った。ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間試験とは、プ
ラセボによるプラセボ効果(思い込み効果)を除去するために、医者にも被験者にも、ど
ちらが薬効のある「被験薬」でどちらが薬効の無い「プラセボ」であるか、わからないよ
うにして試験を進める方法の1つである。なお、二重盲検とは、各被験者に割り付けられ
た治療を、被験者及び試験責任医師だけでなく、試験に従事する研究者等のスタッフも知
らないことを意味する。
実施例のカプセルを製造した。ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体粉末、
β−カロテン及び賦形剤をカプセルに封入し、実施例のカプセルを製造した。賦形剤は、
デンプン、還元麦芽糖水飴及びステアリン酸カルシウムを含んでいた。また、カプセルの
原材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び着色料(二酸化チタン)を含んでい
た。
ス KB290株の菌体が含まれていた。また、実施例のカプセルには、カプセル1個当
たり4.0〜4.5mgのβ−カロテンが含まれていた。
続いて、比較例のカプセルを製造した。実施例で使用したものと同様のカプセルに、賦
形剤のみを封入し、比較例のカプセルを製造した。比較例のカプセルに封入した賦形剤は
、デンプン及びステアリン酸カルシウムを含んでいた。
被験者は44名とした。被験者として選定された44名を、実施例のカプセルを摂取す
る群と、比較例のカプセルを摂取する群に22名ずつ割り付けた。また、被験者からは、
試験責任医師により医薬品等による治療が必要と判断された方(患者)を除外した。試験
責任医師及び研究者への割り付け結果と試験カプセルのひも付けの開示は、全てのデータ
が出揃った後に行った。
査及び尿検査を行った。
ルを示す図である。図1に示すように、1週間のスクリーニング期間において被験者を選
定した。その後、3週間、摂取前観察期間を設けた。その後、試験開始後4週目から16
週目までの12週間、被験者に実施例又は比較例のカプセルを摂取させた。その後、試験
開始後16週目から20週目までの4週間、摂取後観察期間を設けた。
カプセル摂取させた。また、忘れずに摂取してもらうため、摂取するタイミングは1日1
回、起床から朝食までの間とした。起床から朝食までの間に摂取できなかった場合には、
その日のうちに摂取すればよいこととした。また、カプセルは、アルミパウチに入れ、口
を閉めた状態で保存してもらった。また、被験者には日誌を記入させた。
カプセルの摂取による効果を以下の評価項目につき評価した。
便性状の評価をアンケートにより行った。被験者の便性状を、Bristol sto
ol scaleに基づいた、1(兎糞便)、2(塊便)、3(やや硬い便)、4(普通
便)、5(軟便)、6(泥状便)、7(水様便)の7ポイントのスコアで排便ごとに被験
者が記録した。
腹痛強度の評価をアンケートにより行った。被験者自身が「この24時間で最も痛かっ
た腹痛の強さ」をLickert scaleに基づいた、0〜10の11ポイントのス
コアで毎日評価し、記録した。
その他のIBS様症状の評価をアンケートにより行った。具体的には、被験者自身が、
排便の切迫感、お腹の不快感、お腹の張り、残便感、排便時のいきみ、おなら、及び腹鳴
りを1〜5の5ポイントのスコアで毎日評価し記録した。
労働生産性及び日常生活への障害の評価をアンケートにより行った。具体的には、被験
者自身が、IBS様症状によって仕事を何時間休んだか、IBS様症状がどの程度仕事の
生産性に影響したか等を1週間ごとに記録した。アンケートは、既存のWPAI日本語版
[仕事の生産性及び活動障害に関する質問票:健康全般V2.2(WPAI:GH)] を
改変して使用した。すなわち、「健康上の問題」との記載を「腹部症状」に変更し、また
「身体および精神的な問題や症状」を「下痢、腹痛、お腹の不快感、お腹の張り、排便の
切迫感、残便感、排便時のいきみ、おならや腹鳴りなど」に変更した。
QOLの評価をアンケートにより行った。具体的には、QOLの評価に汎用されている
様式であるSF−8(商標)(インターネット<URL:https://www.sf-36.jp/qol/sf8.
html>を参照。)を用いて、被験者にアンケートを行った。
大腸の炎症を反映しているとされる、血清中の炎症マーカーを評価した。摂取期間開始
時、摂取期間終了時、摂取後観察期間終了時に被験者から採取した血液から血清を調製し
、血清中の炎症性サイトカインである、インターロイキン−1β(以下、「IL−1β」
という場合がある。)及びインターロイキン−12(以下、「IL−12」という場合が
ある。)、並びに抑制性サイトカインであるインターロイキン−10(以下、「IL−1
0」という場合がある。)の濃度を測定した。
antikine HS ELISA Kit、R&Dシステムズ社)を使用した。また
、IL−12の測定には、市販のキット(Human IL−12 p70 Quant
ikine ELISA Kit、R&Dシステムズ社)を使用した。また、IL−10
の測定には、市販のキット(Human IL−10 Ultrasensitive
ELISA Kit、サーモフィッシャーサイエンティフィック社)を使用した。
被験者のうち、カプセルの摂取率及び日誌の記入率がいずれも80%以上の方を解析対
象者とした。実施例のカプセルを摂取した群及び比較例のカプセルを摂取した群の評価結
果の各時点における差は、スチューデントのt検定により解析した。
実施例のカプセルを摂取する群に割り付けられた22名のうち、2名が転居のため脱落
した。よって、試験は実施例のカプセルを摂取した群20名、比較例のカプセルを摂取し
た群22名で終了した。表1に、試験結果を示す。有効性は、効果が認められたものを「
○」とし、効果が認められなかったものを「×」として評価した。その結果、腹痛強度、
排便頻度、労働生産性及び日常生活への障害、及び炎症マーカーで有意な効果が認められ
た。
図2は、腹痛強度の評価結果の変化量を示すグラフである。図中、白丸は比較例のカプ
セルを摂取した群の平均値を、黒丸は実施例のカプセルを摂取した群の平均値を表す。エ
ラーバーは標準偏差を表す。「§」の記号は危険率10%未満で有意差があることを示し
、「*」の記号は危険率5%未満で有意差があることを示す。図2に示すように、実施例
のカプセルを摂取した群では、腹痛強度のスコアが顕著に低下することが明らかとなった
。特に、実施例のカプセルの摂取を開始してから約7週間以降において、有意差が認めら
れた。
図3は、排便頻度の評価結果の変化量を示すグラフである。図中、白丸は比較例のカプ
セルを摂取した群の平均値を、黒丸は実施例のカプセルを摂取した群の平均値を表す。エ
ラーバーは標準偏差を表す。「§」の記号は危険率10%未満で有意差があることを示し
、「*」の記号は危険率5%未満で有意差があることを示す。図3に示すように、実施例
のカプセルを摂取した群では、排便頻度が顕著に減少することが明らかとなった。
状に対しては、プラセボ(比較例)のカプセルの摂取にプラセボ効果があるため、カプセ
ルの摂取期間においては、実施例と比較例との間で有意差が認められなかったものの、摂
取後観察期間に入ったことにより、プラセボ効果がなくなり、実施例のカプセルを摂取し
たことによる効果がより明確になり、有意差が認められたものと考えられる。
図4(a)は、被験者のうち欠勤率が0%であった方の割合を示すグラフである。ここ
で、欠勤率が0%であった方とは、お腹の症状が原因で欠勤したか否かを被検者にアンケ
ートした結果、お腹の症状を原因とする欠勤をしなかったと回答した方の割合である。
した割合が0%であった方の割合を示すグラフである。ここで、IBS様症状が勤務中の
労働生産性の低下に影響した割合が0%であった方とは、仕事中にお腹の症状がどれくら
い生産性に影響を及ぼしたかを被験者にアンケートした結果、お腹の症状は仕事に影響を
及ぼさなかったと回答した方の割合である。
的な労働生産性の喪失率)が0%であった方の割合を示すグラフである。ここで、総合的
な労働生産性の喪失率が0%であった方とは、上述した、欠勤率が0%であり、且つIB
S様症状が勤務中の労働生産性の低下に影響した割合が0%であった方の割合である。
害率)が0%であった方の割合を示すグラフである。ここで、日常生活への障害率が0%
であった方とは、仕事以外の日常の諸活動にお腹の症状がどれくらい影響を及ぼしたかを
被験者にアンケートした結果、お腹の症状は日常の諸活動に影響を及ぼさなかったと回答
した方の割合である。
は実施例のカプセルを摂取した群の平均値を表す。エラーバーは標準偏差を表す。「§」
の記号は危険率10%未満で有意差があることを示し、「*」の記号は危険率5%未満で
有意差があることを示す。
働生産性及び日常生活への障害に対して有意な改善効果が認められることが明らかとなっ
た。
被験者の血清中の炎症マーカーを評価した結果、抑制性サイトカインであるIL−10
について、実施例及び比較例のカプセルを摂取した群間で有意な差が認められた。
のカプセルを摂取した群の平均値を、黒丸は実施例のカプセルを摂取した群の平均値を表
す。エラーバーは標準偏差を表す。「*」の記号は危険率5%未満で有意差があることを
示す。その結果、図5に示すように、実施例のカプセルを摂取した群では、IL−10の
濃度が有意に上昇したことが明らかとなった。
痛の強度が低下するメカニズムとして、IL−10による抗炎症作用が関与している可能
性を示すものである。
成物を提供することができる。
Claims (12)
- 下痢型IBS様症状改善剤であって、
それが含有する有効成分は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンであり、
前記ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体の投与量は、1日当たり1×1010個以上であり、かつ、
前記β−カロテンの投与量は、1日当たり4mg以上である。 - 請求項1の剤であって、
その投与対象は、腹痛又は腹部不快感を伴う下痢で悩んでいるヒトである。 - 下痢型IBS様症状改善用食品組成物であって、
それが含有する寄与成分は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンであり、
前記ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体の摂取量は、1日当たり1×1010個以上であり、かつ、
前記β−カロテンの摂取量は、1日当たり4mg以上である。 - 請求項3の食品組成物であって、
その摂取主体は、腹痛又は腹部不快感を伴う下痢で悩んでいるヒトである。 - 腹痛強度低下剤であって、
それが含有する有効成分は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンであり、
前記ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体の投与量は、1日当たり1×1010個以上であり、かつ、
前記β−カロテンの投与量は、1日当たり4mg以上である。 - 請求項5の剤であって、
その投与対象は、腹痛又は腹部不快感を伴う下痢で悩んでいるヒトである。 - 腹痛強度低下用食品組成物であって、
それが含有する寄与成分は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンであり、
前記ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体の摂取量は、1日当たり1×1010個以上であり、かつ、
前記β−カロテンの摂取量は、1日当たり4mg以上である。 - 請求項7の食品組成物であって、
その摂取主体は、腹痛又は腹部不快感を伴う下痢で悩んでいるヒトである。 - 排便頻度低下剤であって、
それが含有する有効成分は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンであり、
前記ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体の投与量は、1日当たり1×1010個以上であり、かつ、
前記β−カロテンの投与量は、1日当たり4mg以上である。 - 請求項9の剤であって、
その投与対象は、腹痛又は腹部不快感を伴う下痢で悩んでいるヒトである。 - 排便頻度低下用食品組成物であって、
それが含有する寄与成分は、ラクトバチルス ブレビス KB290株(受託番号 NITE P−1537)の菌体及びβ−カロテンであり、
前記ラクトバチルス ブレビス KB290株の菌体の摂取量は、1日当たり1×1010個以上であり、かつ、
前記β−カロテンの摂取量は、1日当たり4mg以上である。 - 請求項11の食品組成物であって、
その摂取主体は、腹痛又は腹部不快感を伴う下痢で悩んでいるヒトである。
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"下痢型過敏性腸症候群様症状に対するLactobacillus brevis KB290とβ-カロテンとの併用摂取の予防効果確認", UMIN-CTR, vol. umin試験ID: UMIN00001802, JPN6020046912, 22 June 2015 (2015-06-22), ISSN: 0004943187 * |
BIOPSYCHOSOCIAL MEDICINE 2012, 6:16, JPN6020018689, ISSN: 0004943185 * |
BRITISH JOURNAL OF NUTRITION (2007), 97, P. 337-343, JPN6020018691, ISSN: 0004943186 * |
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