JP2021138615A - 多剤耐性菌に有効なアミノグリコシド抗生物質の製造方法 - Google Patents
多剤耐性菌に有効なアミノグリコシド抗生物質の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)を効率的かつ安全に製造するための方法の提供。【解決手段】式(13)[式中、RNはアミノ保護基である]で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する方法。【選択図】なし
Description
本発明は、アミノグリコシド系抗生物質の新規な製造方法に関する。
近年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(以下、「MRSA」とする)による感染症例は国内外を問わず急速に増加し、MRSAは臨床上において重篤な感染症の起因菌として問題となっており、その治療剤の検討がなされている。
また最近では、MRSAをはじめとするグラム陽性菌のみならず、大腸菌、肺炎桿菌、セラチア、アシネトバクター、緑膿菌等のグラム陰性菌にも多剤耐性菌が増加している。これらの細菌は、従来のアミノグリコシド剤、β-ラクタム剤及びニューキノロン剤にも耐性を示すものが多く、これらはしばしば難治性の感染症を引き起こす。
このような状況にあって、アミノグリコシド系抗生物質は、グラム陽性菌からグラム陰性菌までの幅広い抗菌スペクトラムを有しかつ優れた殺菌力を有することから、MRSAを含めた各種耐性菌を克服する有望な薬剤になるものと期待され、その誘導体の研究が継続的に行われている。
特許文献1には、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して抗菌活性を有するアミノグリコシド系抗生物質としてアプラマイシン誘導体が本発明者の一部により開示され、5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン(後述する式(III)で表される化合物に該当する)およびその製造方法、ならびに5−エピアプラマイシン(後述する式(II)で表される化合物に該当する)およびその製造方法が記載されている。また、アプラマイシン誘導体に関して特許文献2〜6に記載はあるが、5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシンおよびその製造方法、ならびに5−エピアプラマイシン(後述する式(II)で表される化合物に該当する)およびその製造方法の記載はない。
しかしながら、特許文献1に記載の方法を用いてアプラマイシンから5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシンを製造するにあたっては、エピ化工程、脱保護工程等において副生成物が発生し、さらにはその反応工程は使用する試薬の安全性の観点から回避すべきものであった。工業的生産の観点からは、5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシンの副生成物を低減することが望ましく、高収率かつ安全で、大量合成が可能な効率的な方法であることが望ましい。したがって、副生成物を低減し、5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシンを効率的かつ安全に取得するための新たな方法を創出することが望まれている。また、特許文献1に記載の方法を用いてアプラマイシンから5−エピアプラマイシンを製造するにあたっては、各種保護基の除去を2工程以上で行う必要があり、さらには工業的には回避したい還元的な反応を行なう必要があった。
したがって、本発明は、アプラマイシンから式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)を効率的かつ安全に製造するための新たな方法を提供することをその目的としている。また、本発明は、アプラマイシンから式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)を効率的に製造するための新たな方法を提供することをその目的としている。
本発明者らは、今般、鋭意検討した結果、特定の合成中間体を用いる工程を介した製造方法により、以下に示される通り、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)を効率的かつ安全に取得しうることを見出した。また、以下に示される通り、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)を効率的に取得しうることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
[1]式(13):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、式(III):
で表される化合物またはその塩を製造する方法。
[2]前記式(13)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基にN−RN−イソセリン−活性エステル(RNはアミノ保護基である)を反応させて、式(14):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(14)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(III)で表される化合物またはその塩を得る工程
を含んでなる、[1]に記載の方法。
[3]前記式(13)で表される化合物またはその塩を得るために、式(II):
で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基に、アミノ保護基を導入して、前記式(13)で表される化合物またはその塩を得ることをさらに含んでなる、[2]に記載の方法。
[4]前記式(13)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(II):
で表される化合物またはその塩の1位、3位、2’位および4”位のアミノ基ならびに7’位のN−メチルアミノ基に、第一のアミノ保護基を導入して、式(10):
[式中、RN1は第一のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(10)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基と6”位の水酸基との間ならびに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基との間にそれぞれカルボニル基を導入することにより環化して、式(11):
[式中、RN1は第一のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基を脱保護し、次いで前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基に前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基を導入して、式(12):
[式中、RN2は前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(12)で表される化合物またはその塩を塩基で処理することにより、4”位のアミノ基と6”位の水酸基並びに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基を脱保護し、式(13’):
[式中、RN2は前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[2]に記載の方法。
[5]前記式(II)で表される化合物またはその塩を得るために、式(2):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、前記式(II)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[3]または[4]に記載の方法。
[6]前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[5]に記載の方法。
[8]前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、[5]に記載の方法。
[9]式(13)で表される化合物またはその塩:
[式中、RNはアミノ保護基である]。
[10]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(13):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[11]式(14)で表される化合物またはその塩:
[式中、RNはアミノ保護基である]。
[12]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(14):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[13]式(10’)で表される化合物またはその塩:
[式中、RNはアミノ保護基である]。
[14]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(10’):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[15]式(11’):で表される化合物またはその塩
[式中、RNはアミノ保護基である]。
[16]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(11’):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[17]式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、式(II):
で表される化合物またはその塩を製造する方法。
[18]前記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、前記式(II)で表される化合物またはその塩を得る工程を含んでなる、[17]に記載の方法。
[19]前記式(5)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(2):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[18]に記載の方法。
[20]前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[17]〜[19]のいずれかに記載の方法。
[21]前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[17]〜[19]のいずれかに記載の方法。
[22]前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、[19]に記載の方法。
[23]式(II):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[24]式(II):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[25]式(II):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[26]式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、式(III):
で表される化合物またはその塩を製造する方法。
[27]前記式(5)で表される化合物またはその塩の5位、6位、2”位および3”位の水酸基並びに4”位のアミノ基および6”位の水酸基を脱保護して、式(15):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(15)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基にN−RN−イソセリン−活性エステル(RNはアミノ保護基である)を反応させて、その後脱保護して、式(III)で表される化合物またはその塩を得る工程
を含んでなる、[26]に記載の方法。
[28]前記式(5)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(2):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[27]に記載の方法。
[29]前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[26]〜[28]のいずれかに記載の方法。
[30]前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[26]〜[28]のいずれかに記載の方法。
[31]前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、[28]に記載の方法。
[32]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[33]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[34]式(III):
で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[1]式(13):
で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、式(III):
[2]前記式(13)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基にN−RN−イソセリン−活性エステル(RNはアミノ保護基である)を反応させて、式(14):
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(14)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(III)で表される化合物またはその塩を得る工程
を含んでなる、[1]に記載の方法。
[3]前記式(13)で表される化合物またはその塩を得るために、式(II):
[4]前記式(13)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(II):
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(10)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基と6”位の水酸基との間ならびに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基との間にそれぞれカルボニル基を導入することにより環化して、式(11):
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基を脱保護し、次いで前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基に前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基を導入して、式(12):
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(12)で表される化合物またはその塩を塩基で処理することにより、4”位のアミノ基と6”位の水酸基並びに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基を脱保護し、式(13’):
で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[2]に記載の方法。
[5]前記式(II)で表される化合物またはその塩を得るために、式(2):
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、式(5):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、前記式(II)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[3]または[4]に記載の方法。
[6]前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[5]に記載の方法。
[8]前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、[5]に記載の方法。
[9]式(13)で表される化合物またはその塩:
[10]式(III):
で表される化合物またはその塩の使用。
[11]式(14)で表される化合物またはその塩:
[12]式(III):
で表される化合物またはその塩の使用。
[13]式(10’)で表される化合物またはその塩:
[14]式(III):
で表される化合物またはその塩の使用。
[15]式(11’):で表される化合物またはその塩
[16]式(III):
で表される化合物またはその塩の使用。
[17]式(5):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、式(II):
[18]前記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、前記式(II)で表される化合物またはその塩を得る工程を含んでなる、[17]に記載の方法。
[19]前記式(5)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(2):
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[18]に記載の方法。
[20]前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[17]〜[19]のいずれかに記載の方法。
[21]前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[17]〜[19]のいずれかに記載の方法。
[22]前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、[19]に記載の方法。
[23]式(II):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[24]式(II):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[25]式(II):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[26]式(5):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いることを特徴とする、式(III):
[27]前記式(5)で表される化合物またはその塩の5位、6位、2”位および3”位の水酸基並びに4”位のアミノ基および6”位の水酸基を脱保護して、式(15):
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(15)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基にN−RN−イソセリン−活性エステル(RNはアミノ保護基である)を反応させて、その後脱保護して、式(III)で表される化合物またはその塩を得る工程
を含んでなる、[26]に記載の方法。
[28]前記式(5)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(2):
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、[27]に記載の方法。
[29]前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、t−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[26]〜[28]のいずれかに記載の方法。
[30]前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、[26]〜[28]のいずれかに記載の方法。
[31]前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、[28]に記載の方法。
[32]式(III):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[33]式(III):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
[34]式(III):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用。
本発明によれば、式(13)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することにより、効率的に式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)を製造できる点で有利である。また、安全に式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)を製造できる点で有利である。さらに、本発明によれば、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することにより、効率的に式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)を製造できる点で有利である。さらに、本発明によれば、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することにより、効率的に式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)を製造できる点で有利である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明において、原料、合成中間体および最終生産物となるアプラマイシン誘導体は塩として存在することができる。その塩としては例えば薬学的に許容可能な非毒性塩が挙げられる。それらの塩の具体例としては、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、炭酸塩のような無機酸塩、酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ヒドロキシ酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、マンデル酸塩、酪酸塩、マレイン酸塩、プロピオン酸塩、蟻酸塩、リンゴ酸塩のようなカルボン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩のようなアミノ酸塩、メタンスルホン酸塩、パラトルエンスルホン酸塩のようなスルホン酸塩等が挙げられ、好ましい例としては硫酸塩などの無機酸塩が挙げられる。また、そのような塩としては、溶媒和物も含まれる。好ましい溶媒和物としては、水和物およびエタノール和物が挙げられる。
本明細書において「アミノ保護基」とは、原料、合成中間体および最終生産物となるアプラマイシン誘導体の官能基であるアミノ基(一置換アミノ基を含む)を保護する保護基である。アミノ保護基としては、アミノ基に導入でき、その後他の部位における反応が進んでいる間は該保護基が導入されたアミノ基の化学構造は変化せず、当該反応終了後に容易に除去しうるものであればいずれのものも使用することができる。このようなアミノ保護基としては、例えば、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、およびペンタノイル基等のC2−5アルカノイル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基およびtert−アミルオキシカルボニル基等のC2−6アルコキシカルボニル基;ベンゾイル基およびフタロイル基等のアロイル基;フェノキシカルボニル基等の、置換されても良いアリールオキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル基等の、置換されても良いアラルコキシカルボニル基;などの他、m−ニトロフェニルチオ基、並びにトリフェニルチオ基等が挙げられ、その中でベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基が好ましい。アプラマイシン誘導体の同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において「第一のヒドロキシル保護基」とは、原料、合成中間体および最終生産物となるアプラマイシン誘導体の官能基である水酸基(5位の水酸基を除く)を保護する保護基である。第一のヒドロキシル保護基としては、アプラマイシン誘導体の5位以外の水酸基に導入され、その後他の部位における反応が進んでいる間は該保護基が導入された水酸基の化学構造は変化せず、当該反応終了後に容易に除去しうるものであればいずれのものも使用することができる。このような第一のヒドロキシル保護基としては、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;あるいはテトラヒドロピラニル基が挙げられ、その中でベンゾイル基またはアセチル基が好ましい。アプラマイシン誘導体の同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい。
本明細書において「第二のヒドロキシル保護基」とは、原料、合成中間体および最終生産物となるアプラマイシン誘導体の官能基の一つである5位の水酸基を保護する保護基である。第二のヒドロキシル保護基としては、アプラマイシン誘導体の5位の水酸基に導入でき、第一のヒドロキシル保護基の金属塩の存在下で、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換しうるものであればいずれのものも使用することができる。このような第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基およびブタンスルホニル基等のC1−4アルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基およびp−トルエンスルホニル(トシル)基等の炭素数6〜8のアリールスルホニル基;ベンジルスルホニル基等の炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基が挙げられ、その中でメタンスルホニル(メシル)基が好ましい。
本明細書において「活性エステル」とは、原料、合成中間体および最終生産物となるアプラマイシン誘導体の官能基の一つである4”位のアミノ基をイソセリル化するための担体化合物である。活性エステルとしては、アプラマイシン誘導体の4”位のアミノ基と反応しイソセリル化できるものであればいずれのものも使用することができる。このような活性エステルとしては、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル等のN−ヒドロキシアミン系エステル、S−アルキル系エステル、およびS−フェニル系エステル等が挙げられるが、好ましくはN−ヒドロキシアミン系エステルのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
本発明における反応試薬および条件の詳細は、特段の記載がない限り、後述する実施例およびGreene’s Protective Groups in Organic Synthesis(第5版、2014 P.G.M. Wuts, T. Green編)の記載に準じ、当業者が適宜設定することができる。
[1]式(13)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介する、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩から式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する方法
本発明は、国際公開第2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩から、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する過程で、式(13)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することを特徴とするものである。かかる特徴により、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を効率的かつ安全に製造することができる。
本発明は、国際公開第2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩から、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する過程で、式(13)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することを特徴とするものである。かかる特徴により、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を効率的かつ安全に製造することができる。
以下に、式(13)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩から式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する方法の中に位置づけて説明する。
まず、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する方法における原料または合成中間体である式(II):
で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩は、国際公開第2017/018528号に記載された方法に準じて取得することができる。
次に、上記式(II)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基に、アミノ保護基を導入して、式(13):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、水、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、およびテトラヒドロフランやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはアセトンと水の混合溶媒である。使用される塩基としては、無機塩基として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどが挙げられ、有機塩基としてトリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウムである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜72時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、水、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、およびテトラヒドロフランやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはアセトンと水の混合溶媒である。使用される塩基としては、無機塩基として炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどが挙げられ、有機塩基としてトリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウムである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜72時間が好ましい。
次に、上記式(13)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基にN−RN−イソセリン−活性エステル(RNはアミノ保護基である)を反応させて、式(14):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。この活性エステルの導入反応は、後述する実施例3−(ii)にも記載の通り、有機溶媒(好ましくは、テトラヒドロフランおよびトリエチルアミンの混合物等)の存在下で、式(13)で表される化合物またはその塩と、N−RN−イソセリン−活性化エステルを反応させることにより、実施することができる。本工程で使用される活性エステルとしては、N−ヒドロキシアミン系エステル、S−アルキル系エステル、およびS−フェニル系エステル等が挙げられるが、好ましくはN−ヒドロキシアミン系エステルのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、および1,4−ジオキサン、1−ブタノールやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランもしくはテトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノール、である。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、およびジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。この活性エステルの導入反応は、後述する実施例3−(ii)にも記載の通り、有機溶媒(好ましくは、テトラヒドロフランおよびトリエチルアミンの混合物等)の存在下で、式(13)で表される化合物またはその塩と、N−RN−イソセリン−活性化エステルを反応させることにより、実施することができる。本工程で使用される活性エステルとしては、N−ヒドロキシアミン系エステル、S−アルキル系エステル、およびS−フェニル系エステル等が挙げられるが、好ましくはN−ヒドロキシアミン系エステルのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、および1,4−ジオキサン、1−ブタノールやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランもしくはテトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノール、である。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、およびジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。
次に、上記式(14)で表される化合物またはその塩を脱保護して、式(III):
で表される化合物またはその塩を得ることができる。該脱保護処理は、後述する実施例3−(iii)にも記載の通り、有機溶媒(好ましくは極性有機溶媒)中、式(14)で表される化合物またはその塩に酸(好ましくは、塩酸等の無機酸)を添加して実施することができる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、エタノール、および水やそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはメタノールもしくはメタノールと水の混合溶媒、メタノールと水、N,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒である。使用される酸としては、塩酸、硫酸、およびトリフルオロ酢酸などが挙げられ、好ましくは塩酸である。反応温度は−20℃〜60℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
本発明のもう一つの実施態様として、以下の工程により、式(II)で表される化合物またはその塩から式(13)で表される化合物またはその塩を製造することができる。
まず、式(II)で表される化合物またはその塩の1位、3位、2’位および4”位のアミノ基ならびに7’位のN−メチルアミノ基に、第一のアミノ保護基を導入して、式(10):
[式中、RN1は第一のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第一のアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、水、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、およびテトラヒドロフランやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはアセトンと水の混合溶媒である。使用される塩基としては、無機塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどが挙げられ、有機塩基としてトリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウムである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜72時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第一のアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、水、アセトン、アセトニトリル、1,4−ジオキサン、およびテトラヒドロフランやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはアセトンと水の混合溶媒である。使用される塩基としては、無機塩基としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどが挙げられ、有機塩基としてトリエチルアミン、ピリジン、テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが挙げられ、好ましくは炭酸ナトリウムである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜72時間が好ましい。
次に、上記式(10)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基と6”位の水酸基との間ならびに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基との間にそれぞれカルボニル基を導入することにより環化して、式(11):
[式中、RN1は第一のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第一のアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。該環化反応は、後述する実施例2−(ii)にも記載の通り、有機溶媒中、式(10)で表される化合物またはその塩に強塩基(好ましくは、NaH等)を添加して実施することができる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、およびテトラヒドロフラン、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミドである。使用される強塩基としては、NaH、KH、およびtert−ブトキシカリウムなどが挙げられ、好ましくはNaHである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第一のアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。該環化反応は、後述する実施例2−(ii)にも記載の通り、有機溶媒中、式(10)で表される化合物またはその塩に強塩基(好ましくは、NaH等)を添加して実施することができる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、およびテトラヒドロフラン、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはジメチルホルムアミドである。使用される強塩基としては、NaH、KH、およびtert−ブトキシカリウムなどが挙げられ、好ましくはNaHである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
次に、上記記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基を脱保護し、次いで前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基に前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基を導入して、式(12):
[式中、RN2は前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第一のアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第二のアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。該保護、脱保護処理は、後述する実施例2−(iii)にも記載の通り、有機溶媒中、保護化試薬、触媒(例えば、10%パラジウム炭素が好ましい)の存在下で、式(11)で表される化合物またはその塩に水素を添加して実施することができる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、メタノール、およびエタノール、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランまたはイソプロピルアルコールであり、さらに好ましくはテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールの混合溶液である。使用される触媒としては、パラジウム炭素、パラジウムブラック、水酸化パラジウム、および酸化白金などが挙げられ、好ましくはパラジウム炭素であり、さらに好ましくは、10%パラジウム炭素である。反応温度は10℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第一のアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第二のアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。該保護、脱保護処理は、後述する実施例2−(iii)にも記載の通り、有機溶媒中、保護化試薬、触媒(例えば、10%パラジウム炭素が好ましい)の存在下で、式(11)で表される化合物またはその塩に水素を添加して実施することができる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、メタノール、およびエタノール、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランまたはイソプロピルアルコールであり、さらに好ましくはテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールの混合溶液である。使用される触媒としては、パラジウム炭素、パラジウムブラック、水酸化パラジウム、および酸化白金などが挙げられ、好ましくはパラジウム炭素であり、さらに好ましくは、10%パラジウム炭素である。反応温度は10℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。
次に、上記式(12)で表される化合物またはその塩を塩基で処理することにより、4”位のアミノ基と6”位の水酸基並びに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基を脱保護し、式(13’):
[式中、RN2は前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第二のアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、メタノールおよびエタノール、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランもしくはテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールの混合溶媒である。使用される塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化リチウムなどが挙げられ、好ましくは水酸化カリウムである。反応温度は−20℃〜65℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用される第二のアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、イソプロピルアルコール、メタノールおよびエタノール、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランもしくはテトラヒドロフランとイソプロピルアルコールの混合溶媒である。使用される塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化リチウムなどが挙げられ、好ましくは水酸化カリウムである。反応温度は−20℃〜65℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
[2]式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩から式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造するにあたり有用な原料もしくは中間体の化合物ならびにそれらの使用
以上により、式(13)で表される化合物またはその塩:
[式中、RNはアミノ保護基である]
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての上記式(13)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
以上により、式(13)で表される化合物またはその塩:
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての上記式(13)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
また、式(14)で表される化合物またはその塩:
[式中、RNはアミノ保護基である]
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての上記式(14)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての上記式(14)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としては、tert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
また、式(10’)で表される化合物またはその塩:
[式中、RNはアミノ保護基である]
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(10’)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての式(10’)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
また、式(11’):で表される化合物またはその塩
[式中、RNはアミノ保護基である]
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての上記式(11’)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としてはベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
は、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体として有用な発明である。さらに、上記式(III)で表される化合物の製造における、原料または合成中間体としての上記式(11’)で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。これらの発明で使用されるアミノ保護基としてはベンジルオキシカルボニル基またはtert−ブトキシカルボニル基が好ましい。
[3]式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介する、式(2)で表される化合物またはその塩から式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造する方法
本発明の別の態様は、公知の出発物質である式(2)で表される化合物またはその塩から、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造する過程で、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することを特徴とするものである。かかる特徴により、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を、効率的に、より具体的には、通常2工程を必要とする各種保護基の除去を1工程で、さらに工業的には回避したい還元的な反応を行なわずに、製造することができる。
本発明の別の態様は、公知の出発物質である式(2)で表される化合物またはその塩から、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造する過程で、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することを特徴とするものである。かかる特徴により、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を、効率的に、より具体的には、通常2工程を必要とする各種保護基の除去を1工程で、さらに工業的には回避したい還元的な反応を行なわずに、製造することができる。
以下に、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を、式(2)で表される化合物またはその塩から式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造する方法の中に位置づけて説明する。
まず、式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造する方法における原料または合成中間体である式(2):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩は、米国特許公報2013/0165397号に記載された方法に準じて取得することができる。式(2)で表される化合物またはその塩で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
で表される化合物またはその塩は、米国特許公報2013/0165397号に記載された方法に準じて取得することができる。式(2)で表される化合物またはその塩で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。
次に、上記式(2)で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に、塩基存在下で第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはピリジンである。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジンまたは4−ジメチルアミノピリジンであり、より好ましくは、4−ジメチルアミノピリジンおよびトリエチルアミンの混合溶液である。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、ピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはピリジンである。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくは、トリエチルアミン、ピリジンまたは4−ジメチルアミノピリジンであり、より好ましくは、4−ジメチルアミノピリジンおよびトリエチルアミンの混合溶液である。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
次に、上記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、塩基存在下で第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。本工程で使用される第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、ピリジン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、および酢酸エチル、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくは塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルである。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくは4−ジメチルアミノピリジンである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。本工程で使用される第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、ピリジン、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、および酢酸エチル、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくは塩化メチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチルである。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくは4−ジメチルアミノピリジンである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
次に、上記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基またはアセチル基が好ましい。この第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基から第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換する反応は、後述する実施例1−(iii)にも記載の通り、有機溶媒中、第一のヒドロキシル保護基の金属塩(例えば、セシウム塩が好ましい)の存在下で、式(4)で表される化合物またはその塩を反応させることにより、実施できる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。反応温度は0℃〜110℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基またはアセチル基が好ましい。この第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基から第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換する反応は、後述する実施例1−(iii)にも記載の通り、有機溶媒中、第一のヒドロキシル保護基の金属塩(例えば、セシウム塩が好ましい)の存在下で、式(4)で表される化合物またはその塩を反応させることにより、実施できる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくはN,N−ジメチルホルムアミドである。反応温度は0℃〜110℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜24時間が好ましい。
次に、上記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、上記式(II):
で表される化合物またはその塩を得ることができる。該脱保護処理は、後述する実施例1−(iv)にも記載の通り、有機溶媒中、式(5)で表される化合物またはその塩に強塩基(好ましくは、水酸化ナトリウム水溶液等)を添加して実施することができる。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、1−プロパノール、1−ブタノール、メタノールおよびエタノール、もしくはその混合溶媒などが挙げられ、好ましくは1−プロパノールである。使用される塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどが挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウムである。反応温度は−20℃〜100℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜72時間が好ましい。
[4]式(2)で表される化合物またはその塩から式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造するにあたり有用な原料もしくは中間体の化合物の使用
以上により、上記式(II)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。
以上により、上記式(II)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。
また、上記式(II)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。この発明で使用される第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基が好ましい。
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。この発明で使用される第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基が好ましい。
また、上記式(II)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(5):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基またはアセチル基が好ましい。
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基またはアセチル基が好ましい。
本発明の別の態様として、式2で表される化合物またはその塩から式(II)で表される化合物またはその塩を製造する工程を式(II)で表される化合物またはその塩から式(III)で表される化合物またはその塩を製造する工程に、直列につなげることができる。その結果、式2で表される化合物またはその塩から式(III)で表される化合物またはその塩を製造する方法が提供される。
[5]式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介する、式(2)で表される化合物またはその塩から式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する方法
本発明の別の態様は、公知の出発物質である式(2)で表される化合物またはその塩から、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する過程で、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することを特徴とするものである。かかる特徴により、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を、効率的に製造することができる。
本発明の別の態様は、公知の出発物質である式(2)で表される化合物またはその塩から、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する過程で、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介することを特徴とするものである。かかる特徴により、式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を、効率的に製造することができる。
以下に、式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を、式(2)で表される化合物またはその塩から式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造する方法の中に位置づけて説明する。
まず、式(2)で表される化合物またはその塩から、式(3)で表される化合物またはその塩、式(4)で表される化合物またはその塩および式(5)で表される化合物またはその塩を製造する工程は、上述の「[3]式(5)で表される化合物またはその塩を原料または合成中間体として用いる工程を介する、式(2)で表される化合物またはその塩から式(II)で表される化合物(5−エピアプラマイシン)またはその塩を製造する方法」に記載された通りである。
次に、上記式(5)で表される化合物またはその塩の5位、6位、2”位および3”位の水酸基並びに4”位のアミノ基および6”位の水酸基を、塩基存在下で脱保護して、式(15):
[式中、RNはアミノ保護基である]
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、含水の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノールおよびこれらの混合溶媒、が挙げられ、好ましくは含水の1,4−ジオキサンである。使用される塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、などが挙げられ、好ましくは水酸化カリウムである。反応温度は−20℃〜60℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。
で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。本工程で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、含水の1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、メタノールおよびこれらの混合溶媒、が挙げられ、好ましくは含水の1,4−ジオキサンである。使用される塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、などが挙げられ、好ましくは水酸化カリウムである。反応温度は−20℃〜60℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。
次に、上記式(15)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基にN−RN−イソセリン−活性エステル(RNはアミノ保護基である)を反応させて、その後脱保護して、式(III)で表される化合物またはその塩を得ることができる。本工程で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この活性エステルの導入反応は、後述する実施例4−(iii)にも記載の通り、有機溶媒(好ましくは、ジメチルホルムアミドおよびトリエチルアミンの混合物等)の存在下で、式(15)で表される化合物またはその塩と、N−RN−イソセリン−活性化エステルを反応させることにより、実施することができる。本工程で使用される活性エステルとしては、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルが好ましい。活性化エステルとの反応においては、使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−ブタノール、および1,4−ジオキサンやそれらの混合溶媒などが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランもしくはテトラヒドロフランとN,N−ジメチルホルムアミドの混合溶媒、1−ブタノールである。使用される塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、およびジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンである。反応温度は−20℃〜50℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。該脱保護処理は、後述する実施例4−(iii)にも記載の通り、含水の有機溶媒中、酸存在下、触媒(例えば、10%パラジウム炭素が好ましい)の存在下で、式(15)で表される化合物またはその塩に水素を添加して実施することができる。脱保護処理で使用される溶媒としては、本反応に関与しないものであれば特に限定はしないが、含水の1,4−ジオキサン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、およびその混合溶媒などが挙げられ、好ましくは含水の1,4−ジオキサンである。使用される酸としては酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸などを挙げることができ、好ましくは酢酸である。使用される触媒としては、パラジウムブラック、パラジウム炭素、水酸化パラジウム、および酸化白金などが挙げられ、好ましくはパラジウムブラックである。反応温度は−20℃〜110℃が好ましい。反応時間は0.5時間〜48時間が好ましい。また6’位と7’位の脱カルバメート反応に使用される塩基としては、水酸化ナトリウム水溶液および水酸化カリウム水溶液などが挙げられ、好ましくは水酸化カリウムである。濃度は0.5〜1Nが好ましい。反応温度は20℃〜105℃が好ましい。反応時間は15分〜3時間が好ましい。
[6]式(2)で表される化合物またはその塩から式(III)で表される化合物(5−エピ−4”−N−(L−イソセリル)アプラマイシン)またはその塩を製造するにあたり有用な原料もしくは中間体の化合物の使用
以上により、上記式(III)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(3):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。
以上により、上記式(III)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。
また、上記式(III)で表される化合物またはその塩の製造における、原料または合成中間体としての式(4):
[式中、
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。この発明で使用される第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基が好ましい。
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩の使用は有用な発明である。この発明で使用されるアミノ保護基としては、ベンジルオキシカルボニル基が好ましい。この発明で使用される第一のヒドロキシル保護基としては、ベンゾイル基が好ましい。この発明で使用される第二のヒドロキシル保護基としては、メタンスルホニル(メシル)基が好ましい。
本発明について、実施例を用いて詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
調製例1−(i):式1で表される化合物の合成(その1:アセトニトリル溶媒を用いる方法)
式(I)で表される化合物(アプラマイシン硫酸塩)40.00gを脱イオン水(DIW)600mLの入った3Lの三口ナスフラスコに加えた。次に炭酸ナトリウム59.45gを加え、脱イオン水200mLを用いて秤量容器の内壁およびフラスコの内壁に付着した式(I)で表される化合物および炭酸ナトリウムを洗浄して混合溶液に流し込み、すべての添加成分が溶解するまで20〜30℃で撹拌した。当該混合溶液のすべての添加成分の溶解を確認後、アセトニトリル800mLを加え、クロロギ酸ベンジル(CbzCl)48.04mLを液温10℃以下で加えた。投入終了後、溶液を20〜30℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌した。反応の終了を確認し、析出した沈殿物を桐山ロートでろ過した後、3L三口フラスコおよび沈殿物をアセトニトリル120mLで洗浄した。得られたろ液の濃縮を行い、容器内の反応残渣と水を確認した後、反応残渣と水をデカンテーションした。得られた反応残渣に40℃のメタノール140mLを加え、40℃で撹拌・溶解した。得られた溶液を10℃以下を保ちながら、0〜5℃に冷却した脱イオン水500mLを順次加え、沈殿化した。0〜5℃で0.5時間以上撹拌した後、桐山ロートで沈殿をろ取した。ろ取した沈殿及び沈殿化容器を脱イオン水120mLで洗浄し、シャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上減圧乾燥し、表題化合物1の粗化合物58.99gを得た。当該粗化合物58.99gをイソプロピルエーテル413mLに投入し懸濁させた。室温下3時間以上撹拌し、沈殿を桐山ロートでろ取した。イソプロピルエーテル118mLでスラリー容器およびろ取した沈殿を洗浄した。得られた沈殿をシャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上減圧乾燥し、52.29gの表題化合物(式1で表される化合物、以下単に「化合物1」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 1210.5
調製例1−(ii):式1で表される化合物の合成(その2:アセトン溶媒を用いる方法)
式(I)で表される化合物(アプラマイシン硫酸塩)15.87gを脱イオン水240mLの入った1Lの三口ナスフラスコに加えた。次に炭酸ナトリウム23.57gを加え、脱イオン水80mLを用いて秤量容器の内壁およびフラスコ内壁に付着した式(I)で表される化合物および炭酸ナトリウムを洗浄して混合溶液に流し込み、すべての添加成分が溶解するまで20〜30℃で撹拌した。当該混合溶液のすべての添加成分の溶解を確認後、アセトン320mLを加え、クロロギ酸ベンジル(CbzCl)19.05mLを液温10℃以下で加えた。投入終了後、溶液を20〜30℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌した。反応の終了を確認し、析出した沈殿物を桐山ロートでろ過した後、1L三口フラスコおよび沈殿物をアセトン48mLで洗浄した。得られたろ液の濃縮を行い、容器内の反応残渣と水を確認した後、反応残渣と水をデカンテーションした。得られた反応残渣に40℃のメタノール56mLを加え、40℃で撹拌・溶解した。得られた溶液を10℃以下を保ちながら、0〜5℃に冷却した脱イオン水200mLを順次加え、沈殿化した。0〜5℃で0.5時間以上撹拌した後、桐山ロートで沈殿をろ取した。ろ取した沈殿及び沈殿化容器を脱イオン水48mLで洗浄し、シャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上減圧乾燥し、表題化合物1の粗化合物22.63gを得た。当該粗化合物22.63gをイソプロピルエーテル158mLに投入し懸濁させた。室温下3時間以上撹拌し、沈殿を桐山ロートでろ取した。イソプロピルエーテル45mLでスラリー容器およびろ取した沈殿を洗浄した。得られた沈殿をシャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上減圧乾燥し、22.30gの表題化合物(化合物1)を得た。
式(I)で表される化合物(アプラマイシン硫酸塩)15.87gを脱イオン水240mLの入った1Lの三口ナスフラスコに加えた。次に炭酸ナトリウム23.57gを加え、脱イオン水80mLを用いて秤量容器の内壁およびフラスコ内壁に付着した式(I)で表される化合物および炭酸ナトリウムを洗浄して混合溶液に流し込み、すべての添加成分が溶解するまで20〜30℃で撹拌した。当該混合溶液のすべての添加成分の溶解を確認後、アセトン320mLを加え、クロロギ酸ベンジル(CbzCl)19.05mLを液温10℃以下で加えた。投入終了後、溶液を20〜30℃まで昇温し、同温度で1時間撹拌した。反応の終了を確認し、析出した沈殿物を桐山ロートでろ過した後、1L三口フラスコおよび沈殿物をアセトン48mLで洗浄した。得られたろ液の濃縮を行い、容器内の反応残渣と水を確認した後、反応残渣と水をデカンテーションした。得られた反応残渣に40℃のメタノール56mLを加え、40℃で撹拌・溶解した。得られた溶液を10℃以下を保ちながら、0〜5℃に冷却した脱イオン水200mLを順次加え、沈殿化した。0〜5℃で0.5時間以上撹拌した後、桐山ロートで沈殿をろ取した。ろ取した沈殿及び沈殿化容器を脱イオン水48mLで洗浄し、シャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上減圧乾燥し、表題化合物1の粗化合物22.63gを得た。当該粗化合物22.63gをイソプロピルエーテル158mLに投入し懸濁させた。室温下3時間以上撹拌し、沈殿を桐山ロートでろ取した。イソプロピルエーテル45mLでスラリー容器およびろ取した沈殿を洗浄した。得られた沈殿をシャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上減圧乾燥し、22.30gの表題化合物(化合物1)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 1210.6
以上の調製例1−(i)および調製例1−(ii)の結果から、アセトニトリル/水およびアセトン/水のいずれの溶媒系を用いても、同様の反応プロセスで化合物1の合成が可能であることがわかった。
化合物1は、米国特許公報2013/0165397号に記載された方法によっても合成することができる。
調製例1−(iii):式2で表される化合物の合成
調製例1−(i)または調製例1−(ii)で得られた35.00gの化合物1をジメチルホルムアミド(DMF)245mLの入った500mL三口フラスコに加え、105mLのジメチルホルムアミドで秤量容器およびフラスコ内壁を洗浄した。得られた溶液を20〜30℃にて撹拌した。該混合液中の化合物1の溶解を確認後、水素化ナトリウム約2.5gを0℃付近で攪拌溶解しながら分割投入した。反応終了を確認後、反応溶液を10〜15℃の1%酢酸水溶液875mLへゆっくりと添加し、沈殿化した。沈殿化した溶液にさらに脱イオン水2625mLを加え、室温下12時間以上撹拌した。生じた沈殿を桐山ロートでろ取し沈殿化容器および沈殿物を脱イオン水105mLで洗浄した。沈殿物をシャーレに移した後、40〜50℃で12時間以上乾燥し、26.25g(重量収率91.3%)の表題化合物(式2で表される化合物、以下単に「化合物2」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 994.6
化合物2は、米国特許公報2013/0165397号に記載された方法によっても合成することができる。
実施例1−(i):式3で表される化合物の合成
調製例1−(iii)で得られた150.0gの化合物2をピリジン1500mLの入った三口ナスフラスコに加え、40℃で撹拌し、溶解させた。次に塩化ベンゾイル(BzCl)70.1mLを加え1時間撹拌した。N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)23.97g、トリエチルアミン(Et3N)84.8mLを加え、40℃でさらに1時間撹拌した。反応の完結を確認後、脱イオン水150mLを反応溶液に添加し、反応を停止させた。反応液を濃縮し、残渣を酢酸エチル/1−ブタノール=2/1の溶液1500mLで分液漏斗に移送した。さらに10%の硫酸水素カリウム水溶液1500mLを加えて撹拌し、水層を廃棄した。分液漏斗に脱イオン水750mLを加えて撹拌し、水層を廃棄した。分液漏斗に10%の硫酸水素カリウム水溶液500mLを加えて撹拌し、水層を廃棄した。分液漏斗に10%塩化ナトリウム水溶液1500mLを加えて撹拌し、水層を廃棄した後、有機層を取り出し、濃縮乾固した。得られた残渣にイソプロピルエーテル750mLを加えて室温下、7時間撹拌した。沈殿を桐山ロートでろ取し、イソプロピルエーテル150mLで、ろ取した沈殿を3回洗浄した。ろ取物を40〜50℃で12時間乾燥し、193.56gの表題化合物(式3で表される化合物、以下単に「化合物3」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 1306.8
実施例1−(ii):式4で表される化合物の合成
実施例1−(i)で得られた200.0gの化合物3をジクロロメタン1400mLの入った三口ナスフラスコに加え、室温下で撹拌し、溶解させた。次に4−ジメチルアミノピリジン112.2gを加え、ジクロロメタン600mLを加えた。さらにメタンスルホニルクロリド(MsCl)35.6mLを加え室温下、1時間撹拌した。原料の消失を確認後、反応液を脱イオン水2000mLへ投入し、反応を停止した。反応混液を撹拌し、水層を廃棄した。有機層を10%の硫酸水素カリウム水溶液2000mLを加え撹拌後、水層を廃棄した。脱イオン水を2000mL加え、撹拌後水層を廃棄した。有機層を取り出し、濃縮乾固して217.98gの表題化合物(式4で表される化合物、以下単に「化合物4」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 1384.8
実施例1−(iii):式5で表される化合物の合成
実施例1−(ii)で得られた216.6gの化合物4をジメチルホルムアミド650mLの入った三口ナスフラスコに加え、室温下撹拌し、溶解させた。次に酢酸セシウム90.10gを加え、さらにジメチルホルムアミド433mLを加えた。80℃へ反応液を昇温し、10時間反応させた。反応の完結を確認後、室温まで冷却し、酢酸エチル/脱イオン水=1/1の溶液2160mLに投入した。さらに反応容器を酢酸エチル650mL、脱イオン水650mLでそれぞれ洗浄し加え、得られた溶液を撹拌後に水層を廃棄した。1%塩化ナトリウム水溶液2160mLを加えて撹拌後に、水層を廃棄した。有機層を取り出し、濃縮乾固して208.3gの表題化合物(式5で表される化合物、以下単に「化合物5」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 1348.7
実施例1−(iv):式(II)で表される化合物の合成(その1:一段階脱保護)
実施例1−(iii)で得られた100.0gの化合物5を1−プロパノール800mLの入った三口ナスフラスコに加え、室温下撹拌し、懸濁させた。次に20%水酸化ナトリウム水溶液800mLを投入し、50℃で16時間撹拌した。原料の消失と目的物の生成を確認し、0〜5℃へ冷却後、6N塩酸水溶液でpHを7に調整した。反応溶液を濃縮し、得られた水溶液中の不溶物を桐山ロートでろ過後、レジン精製(イオン交換クロマトグラフィー(アンバーライトCG50を用い、アンモニア水で溶離))することにより16.41gの表題化合物(式(II)で表される化合物、以下単に「化合物(II)」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ = 540.5
上記の実施例1−(iv)の工程は、通常2工程を必要とする各種保護基の除去を1工程で実施できる点、および工業的には回避したい還元的な反応を行わなくて済む点で有利である。
参考例1−(i):式(II)で表される化合物の合成(その2:二段階脱保護)
(1)式5’で表される化合物の合成
実施例1−(iii)で得られた13.0gの化合物5をメタノール100mlに溶解し氷冷下、5Nナトリウムメトキシド(NaOMe)/メタノール10mLを加え室温で1時間撹拌した。反応液にドライアイスを加え濃縮後、水を加えて沈殿化を行い、生じた固体をろ取した。減圧乾燥後にイソプロピルエーテルを加え得られた沈殿をろ取し、10.8gの式5’で表される化合物を得た。
(1)式5’で表される化合物の合成
(2)式(II)で表される化合物の合成
上記(1)式5’で表される化合物の合成で得られた10.0gの式5’で表される化合物を1,4−ジオキサンに溶解し、酢酸、水、パラジウムブラック(Pd black)を順次加え、水素雰囲気下に45℃で11時間接触還元を行った。反応液を、ろ過後NH4OHで中和し、減圧濃縮した。残渣を1M水酸化カリウム水溶液20mLに溶解し、100℃で0.5時間反応させた。反応終了後、氷冷下で1N塩酸を加えて中和し、ろ過後、実施例1−(iv)と同様にレジン精製することにより4.06gの化合物(II)を得た。
参考例2−(i):式6で表される化合物の合成
国際公開公報2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物35.6gをメタノール535mL及び水178mLに溶解させ、トリエチルアミン110mLを加えて懸濁させた。この懸濁液に氷冷下、144gの二炭酸ジ−tert−ブチルをゆっくり滴下した。室温下で終夜撹拌後、トリエチルアミン55mL及び43.2gの二炭酸ジ−tert−ブチルを追加し、50℃に昇温し、2時間撹拌した。反応の終結を確認後、濃縮乾固を行った。その後、イソプロピルエーテルを356mL加え、室温で1時間撹拌し、生じた沈殿をろ別乾燥して64.0gの表題化合物(式6で表される化合物、以下単に「化合物6」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =1040
参考例2−(ii):式8で表される化合物の合成
参考例2−(i)で得られた64.0gの化合物6を乾燥ジメチルホルムアミド640mL及びテトラヒドロフラン486mLに溶解し、氷冷下でカリウムtert−ブトキシド/テトラヒドロフラン溶液154.0mLをゆっくり添加し、室温に昇温後、テトラヒドロフラン128mLを添加した。反応溶液を終夜撹拌し、反応終了を確認後、氷冷下のまま水を128mL加え、室温に昇温し終夜撹拌を行った。この時点で、反応溶液中には、式7:
で表される化合物が存在している。
その後、反応液を加温し、0.5M水酸化カリウム水溶液を添加した。引き続き3.0M水酸化カリウム水溶液を加え撹拌した。反応の終結を確認後、反応液を塩酸にて中和し、濃縮乾固を行い、表題化合物(式8で表される化合物、以下単に「化合物8」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =840
参考例2−(iii):式9で表される化合物の合成
参考例2−(ii)で得られた化合物8をテトラヒドロフラン694mLに溶解させ、氷冷下、活性エステルN−Boc−イソセリンのヒドロキシスクシンイミドエステルのテトラヒドロフラン溶液及びトリエチルアミン10.2mLを加え24時間撹拌した。反応の終了を確認後、反応液に10%の硫酸水素カリウム水溶液400mLを加え、濃縮後、酢酸エチル500mLにて抽出した。有機層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液400mL及び飽和食塩水400mLで順次洗浄し、減圧濃縮した。得られた乾固体にイソプロピルエーテル667mLを加え、1時間撹拌した。生じた沈殿をろ別、乾燥し、44.0gの表題化合物(式9で表される化合物、以下単に「化合物9」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =1028
参考例2−(iv):式(III)で表される化合物の合成
参考例2−(iii)で得られた44.0gの化合物9をメタノール220mLに溶解させ、6M塩酸220mLを加え30℃で5時間撹拌した。反応の完結を確認後、水酸化ナトリウム水溶液にて反応を停止し、実施例1−(iv)と同様にレジン精製することにより1.9gの表題化合物(式(III)で表される化合物、以下単に「化合物(III)」と呼称することもある)を得た。この化合物(III)を硫酸塩化することにより2.8gの化合物(III)の硫酸塩を得た。
LC Mass(M+H)+ =627
実施例2:式(II)で表される化合物から、式10で表される化合物、式11で表される化合物、式12で表される化合物、式13で表される化合物、式14で表される化合物および式(III)で表される化合物の合成
実施例2−(i):式10で表される化合物の合成
国際公開公報2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物39.1gと炭酸ナトリウム76.6gを水195mLに溶解させ、アセトン195mLを加えて懸濁させた。この懸濁液に氷冷下、反応溶液の内温を10℃を越えないようにクロロギ酸ベンジル(CbzCl)68.8mLをゆっくり滴下した。反応の終了を確認後、生じた固体を濾別し、アセトンで洗浄した。その後、ろ液を減圧濃縮し、残渣にイソプロピルエーテル(IPE)を390mL加え、室温で1時間撹拌し、生じた沈殿を濾過、乾燥して66.7gの表題化合物(式10で表される化合物、以下単に「化合物10」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =1210
実施例2−(ii):式11で表される化合物の合成
実施例2−(i)で得られた66.7gの化合物10を乾燥ジメチルホルムアミド334mLに溶解し、氷冷下に水素化ナトリウム(NaH)4.8gを20分間隔で3回に分けて添加し、5時間撹拌した。反応の終了を確認後、氷冷下に酢酸6.3mLをゆっくり加えた。これに水3Lを加えて一晩放置し、生じた沈殿を濾過し、水洗、乾燥して、イソプロピルエーテル667mLを加えて1時間撹拌を行った。生じた沈殿を濾過、乾燥して51.5gの表題化合物(式11で表される化合物、以下単に「化合物11」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =994
実施例2−(iii):式12で表される化合物の合成
実施例2−(ii)で得られた51.5gの化合物11と二炭酸ジ−tert−ブチル73.5gをテトラヒドロフラン1030mL、イソプロピルアルコール514mLの混合溶媒に投入し、10%パラジウム炭素(Pd/C)51.5gを加えた。水素雰囲気下に室温で終夜撹拌した。反応の終了を確認後、パラジウム炭素(Pd/C)を濾去した。ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣にイソプロピルエーテル667mLを加え、1時間撹拌した。生じた沈殿を濾過、乾燥して51.9gの表題化合物(式12で表される化合物、以下単に「化合物12」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =892
実施例2−(iv):式13で表される化合物の合成
実施例2−(iii)で得られた51.9gの化合物12をテトラヒドロフラン259mLに溶解させ、2.0M水酸化カリウム水溶液259mLを加え室温にて終夜撹拌した。反応液を50℃に昇温し、さらに4時間撹拌した。原料の消失を確認後、1M塩酸を反応液のpHが7になるまで加えた。当該溶液に酢酸エチル500mLを加え、有機層を飽和食塩水400mLで洗浄し、減圧濃縮した。残渣にイソプロピルエーテル520mLを加え、1時間撹拌した。生じた沈殿を濾過、乾燥して36.6gの表題化合物(式13で表される化合物、以下単に「化合物13」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =840
実施例2−(v):式14で表される化合物の合成
実施例2−(iv)で得られた36.6gの化合物13をテトラヒドロフラン550mLに溶解させ、氷冷下、活性エステルN−Boc−イソセリンのヒドロキシスクシンイミドエステルのテトラヒドロフラン溶液及びトリエチルアミン9.1mLを加え24時間撹拌した。反応の終了を確認後、反応液に10%の硫酸水素カリウム水溶液400mLを加え、酢酸エチル500mLで抽出した。有機層を10%炭酸水素ナトリウム水溶液400mL及び飽和食塩水400mLで順次洗浄し、減圧濃縮した。残渣にイソプロピルエーテル667mLを加え、1時間撹拌を行った。生じた沈殿を濾過、乾燥して44.7gの表題化合物(式14で表される化合物、以下単に「化合物14」と呼称することもある)を得た。
LC Mass(M+H)+ =1027
実施例2−(vi):式(III)で表される化合物の合成
実施例2−(v)で得られた44.7gの化合物14を6M塩酸224mL、メタノール224mLの混合溶媒に溶解させ、室温下2日間撹拌した。反応の終了を確認後、水酸化ナトリウム水溶液をpH=7になるまで加えた。反応溶液を濃縮し、実施例1−(iv)と同様にレジン精製することで10.2gの表題化合物(式(III)で表される化合物(III))を得た。この化合物(III)を硫酸塩化することで13.24gの化合物(III)の硫酸塩を得た。
LC Mass(M+H)+ =627
上記の実施例2のプロセスは、途中で7’位のN−メチルアミノ基の保護基が脱離してしまうおそれがない点で有利である。
実施例3−(i):式13で表される化合物の合成(その1)
国際公開公報2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物6.0gと炭酸ナトリウム14.1gを水60mLに溶解させ、アセトン60mLを加えて懸濁させた。この懸濁液に−10℃にて二炭酸ジ−tert−ブチル((Boc)2O)8.0mLをゆっくり滴下した。反応液を0℃に昇温しさらに1日撹拌した。反応の終了を確認後、アンモニア水溶液を加えて濃縮した。酢酸エチルで抽出し、得られた水層を酢酸エチルで再抽出した。得られた有機層を併せ、水で洗浄した。分液操作で得られた全ての水層を集め、1−ブタノールで3回抽出し、有機層を集め、ジメチルホルムアミドを加えて共沸し1−ブタノールを留去した。得られた化合物13のジメチルホルムアミド溶液は、精製することなく次工程で使用した。
LC Mass(M+H)+ =840
参考例3−(i):式13で表される化合物の合成(その2)
国際公開公報2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物1.70gにメタノール15mL、水13mLを添加し溶解した。2N塩酸1.6mL及び二炭酸ジ−tert−ブチル2.27gを氷冷下で加え、さらに室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、1−ブタノールに溶解し飽和重層水及び水で順次洗浄後、減圧濃縮した。シリカゲルカラム精製(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.1〜9:4:1で溶離)を行うことで1.12gの化合物13を得た。
国際公開公報2017/018528号に記載された式(II)で表される化合物1.70gにメタノール15mL、水13mLを添加し溶解した。2N塩酸1.6mL及び二炭酸ジ−tert−ブチル2.27gを氷冷下で加え、さらに室温で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、1−ブタノールに溶解し飽和重層水及び水で順次洗浄後、減圧濃縮した。シリカゲルカラム精製(クロロホルム:メタノール:28%アンモニア水=5:1:0.1〜9:4:1で溶離)を行うことで1.12gの化合物13を得た。
実施例3−(ii):式14で表される化合物の合成
実施例3−(i)で得られた化合物13のジメチルホルムアミド溶液にジメチルホルムアミドを加え計60mL溶液とし、これにテトラヒドロフラン60mLを加え、氷冷下、活性エステルN−Boc−イソセリンのヒドロキシスクシンイミドエステルのテトラヒドロフラン溶液及びトリエチルアミン4.2mLを加え室温で3.5時間撹拌した。反応の終了を確認後、0℃で反応液に1M水酸化ナトリウム水溶液を加え、塩酸によって中和し反応溶液を濃縮した。得られた化合物14の溶液は特に精製せずに次工程に用いた。
LC Mass(M+H)+ =1027
実施例3−(iii):式(III)で表される化合物の合成(その1)
実施例3−(ii)で得られた化合物14のジメチルホルムアミド溶液にメタノール120mLを加え、室温で6M塩酸を加え、30℃で終夜撹拌を行った。反応の完結を確認後、水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和し、実施例1−(iv)と同様にレジン精製を行うことにより1.80gの表題化合物(式(III)で表される化合物、化合物(III))を得た。
LC Mass(M+H)+ =627
1H NMR(25% ND3-D2O, 500 MHz):δ1.34 (1H, q), 1.98 (1H, q), 2.24 (1H, dt), 2.37 (1H, dt), 2.61 (3H, s), 3.08 (1H, dd), 3.33 (1H, dd), 4.43 (1H, t), 4.51 (1H, t), 5.15 (1H, d), 5.24 (1H, d), 5.65 (1H, d).
1H NMR(25% ND3-D2O, 500 MHz):δ1.34 (1H, q), 1.98 (1H, q), 2.24 (1H, dt), 2.37 (1H, dt), 2.61 (3H, s), 3.08 (1H, dd), 3.33 (1H, dd), 4.43 (1H, t), 4.51 (1H, t), 5.15 (1H, d), 5.24 (1H, d), 5.65 (1H, d).
上記の実施例3−(i)、実施例3−(ii)および実施例3−(iii)のプロセスは、途中で7’位のN−メチルアミノ基の保護基が脱離してしまうおそれがない点で有利である。また、実施例3のプロセスは、工業的には回避したい還元的な反応を行わなくて済む点で有利である。さらに、実施例3のプロセスは、工程数が少ない点および収率が高い点で有利である。
参考例3−(ii):式(III)で表される化合物の合成(その2)
(1)式13’で表される化合物の合成
参考例3−(i)で得られた170mgの化合物13をテトラヒドロフラン3mLに溶解し、氷冷下で活性エステルN−(ベンジルオキシカルボニル)−イソセリンのヒドロキシスクシンイミドエステル100mg及びトリエチルアミン0.5mLを加え、同温で0.5時間撹拌した。その後、反応液を室温にて更に3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、1−ブタノールに溶解し、有機層を飽和重層水及び水で順次洗浄後、減圧濃縮し、230mgの式13’で表される化合物の粗化合物を得た。
(1)式13’で表される化合物の合成
(2)式(III)で表される化合物の合成
上記(1)式13’で表される化合物の合成で得られた230mgの式13’で表される化合物の粗化合物をトリフルオロ酢酸1mLに溶解し、60℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮後、残渣にエチルエーテル加え、得られた沈殿に水、酢酸およびパラジウムブラック(Pd black)を加え水素雰囲気中に常温で3時間接触還元を行った。減圧濃縮後に水に溶解しアンモニア水で中和した。実施例1−(iv)と同様にレジン精製することにより、90.0mgの化合物(III)を得た。
実施例4−(i):式5で表される化合物の合成
実施例1−(i)、実施例1−(ii)および実施例1−(iii)に記載された方法に従い、化合物5を合成した。
実施例1−(i)、実施例1−(ii)および実施例1−(iii)に記載された方法に従い、化合物5を合成した。
実施例4−(ii):式15で表される化合物の合成
実施例4−(i)で得られた、4.00g(3.0mmol)の化合物5の1,4−ジオキサン40ml溶液に2M水酸化カリウム水溶液10mlを加え16時間反応させた。反応液にドライアイスを添加後、減圧濃縮して得られた残渣を1−ブタノールに溶解し水で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、2.24g(77%)の表題化合物(式15で表される化合物、以下単に「化合物15」と呼称することもある)を得た。
MS (ESI) m/z:990 (M+Na) +.
実施例4−(iii):式(III)で表される化合物の合成
200mg(0.20mmol)の化合物15をDMF2mlに溶解し、トリエチルアミン0.16mlおよび105mgのN−(ベンジルオキシカルボニル)−L−イソセリンのN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを加え室温で8時間反応させた。反応終了後、減圧濃縮して1−ブタノールに溶解し水で洗浄した。有機層を減圧濃縮後、残渣を50%の1,4−ジオキサン−水5.4mlに溶解し、ここに酢酸0.5mlおよびパラジウムブラックを加え、水素雰囲気中で室温で接触還元を10時間行った。反応終了後、NH4OHで中和し、ろ過後に減圧濃縮した。残渣を水1mlに溶解し、105℃に加熱した1M水酸化カリウム水溶液1mlに加え、15分間反応させた。反応終了後、氷冷下で1N塩酸を加えて中和し、ろ過後に減圧濃縮した。残渣を実施例1−(iv)と同様にレジン精製し、77.5mg(62%)の化合物(III)を得た。
MS (ESI) m/z:627 (M+1) +; 1H NMR (25% ND3-D2O, 500 MHz):δ1.34 (1H, q, H-2ax), 1.98 (1H, q, H-3’ax), 2.24 (1H, dt, H-3’eq), 2.37 (1H, dt, H-2eq), 2.61 (3H, s, 7’-NCH3), 3.08 and 3.33 (各1H, dd, CH2(イソセリル)), 4.43 (1H, t, CH(イソセリル)), 4.51 (1H, t, H-5), 5.15 (1H, d, H-8’), 5.24 (1H, d, H-1’) and 5.65 (1H, d, H-1”).
Claims (34)
- 前記式(13)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(II):
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(10)で表される化合物またはその塩の4”位のアミノ基と6”位の水酸基との間ならびに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基との間にそれぞれカルボニル基を導入することにより環化して、式(11):
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基を脱保護し、次いで前記式(11)で表される化合物またはその塩の1位、3位および2’位のアミノ基に前記第一のアミノ保護基とは異なる第二のアミノ保護基を導入して、式(12):
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(12)で表される化合物またはその塩を塩基で処理することにより、4”位のアミノ基と6”位の水酸基並びに6’位の水酸基と7’位のN−メチルアミノ基を脱保護し、式(13’):
で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、請求項2に記載の方法。 - 前記式(II)で表される化合物またはその塩を得るために、式(2):
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、式(5):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、前記式(II)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、請求項3または4に記載の方法。 - 前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、請求項5に記載の方法。
- 前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
- 前記式(5)で表される化合物またはその塩を脱保護して、前記式(II)で表される化合物またはその塩を得る工程を含んでなる、請求項17に記載の方法。
- 前記式(5)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(2):
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、請求項18に記載の方法。 - 前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、請求項17〜19のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、請求項19に記載の方法。
- 前記式(5)で表される化合物またはその塩を得るために、
式(2):
で表される化合物またはその塩の6位、2”位および3”位の水酸基に第一のヒドロキシル保護基を導入して、式(3):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、
前記式(3)で表される化合物またはその塩の5位の水酸基に、第二のヒドロキシル保護基を導入して、式(4):
RNはアミノ保護基であり、
RO1は第一のヒドロキシル保護基であり、
RO2は第二のヒドロキシル保護基である]
で表される化合物またはその塩を得る工程、および
前記式(4)で表される化合物またはその塩の5位に位置する第二のヒドロキシル保護基で保護された水酸基を、第一のヒドロキシル保護基で保護された5−エピ−水酸基に変換し、前記式(5)で表される化合物またはその塩を得る工程
をさらに含んでなる、請求項27に記載の方法。 - 前記アミノ保護基が、C2−5アルカノイル基、ホルミル基、アセチルプロパノイル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、C2−6アルコキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、tert−アミルオキシカルボニル基、アロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、置換されても良いアリールオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、置換されても良いアラルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、m−ニトロフェニルチオ基、およびトリフェニルチオ基からなる群より選択され、同一分子中の複数のアミノ保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第一のヒドロキシル保護基が、ホルミル基;アセチル基;ベンゾイル基;Cl、F、メトキシ基、アセチル基、Clで置換されていてもよいフェノキシ基および炭素数2〜3のアルケニル基からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい炭素数2〜8の直鎖状または分枝状のアルキルアシル基;炭素数8〜14のアリールアルキルアシル基;ベンジル基;並びにテトラヒドロピラニル基からなる群より選択され、同一分子中の複数の第一のヒドロキシル保護基が互いに同一であっても異なっていてもよい、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
- 前記第二のヒドロキシル保護基が、C1−4アルキルスルホニル基、メタンスルホニル基(メシル基)、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基、ブタンスルホニル基、炭素数6〜8のアリールスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基(トシル基)、炭素数7〜10のアラルキルスルホニル基、およびベンジルスルホニル基からなる群より選択される、請求項28に記載の方法。
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