JP2021138014A - 気体透過制御フィルムおよび土壌燻蒸用フィルム - Google Patents

気体透過制御フィルムおよび土壌燻蒸用フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ガスバリア性を備えつつ時間の経過とともに気体を透過する機能を有する気体透過制御フィルムを提供する。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂aを含有する外層Aと、ポリエステル系樹脂組成物からなる気体透過制御層100とを有し、ポリエステル系樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル系樹脂を60重量%以上95重量%以下含有し、ポリオレフィン系樹脂cを5重量%以上40重量%以下含有し、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、およびポリエチレンナフタレートからなる群から選択される少なくとも1種を含み、気体透過制御層100の厚みは3μm以上10μm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、気体透過制御フィルムおよび土壌燻蒸用フィルムに関する。
気体透過の制御は身の回りの多くの場面で求められる。
例えば、特許文献1(特開2008−133350号公報)には、酸素透過度および二酸化炭素透過度を向上させ、包装袋内の二酸化炭素が高濃度化し嫌気呼吸による腐敗促進を防止することができることを特長とした、青果物または花卉を包装した際の鮮度保持性に優れるポリプロピレン製樹脂フィルムの包装資材が提案されている。
一般的に、ポリオレフィン系樹脂フィルムは、成形性、透明性、防湿性およびヒートシール性に優れており、また低価格のため、規格袋、レジ袋、食品、日用品または工業製品など、さまざまな製品の包装資材として広く普及しているが、上記のように気体の透過制御により鮮度保持の機能を付与した資材も存在する。
また、特許文献2(特開2018−004391号公報)には、複数の酸素バリア層と酸素吸収層を積層した状態で具備しており、酸素吸収層に対し酸素を透過制御しながら連続的に吸収させ、吸収量に応じて層が変色すること特徴とした、食品等製品の有効期限を表すことに好適なタイムインジケーターが提案されている。
上記のように、食品分野においては製品の保管環境の適正化が常に求められており、これに対し主原料をポリオレフィン系樹脂とした積層体や、シーラント層を具備してなる積層体により、透過制御能を付与した資材が提案されている。
一方で、農業の現場においては、圃場で作物を作り続けることによって、病原菌、線虫、ウイルス等が土の中に増殖し作物を加害する原因となるため、定期的にこれらを不活性化する必要があるので、土壌病害防除のために土壌燻蒸が頻繁に行われている。
燻蒸薬剤については、病害防除効果を高めるために容易に揮発することが望ましく、従来は臭化メチルが頻繁に使用されていた。しかし、臭化メチルの使用は人体や環境への悪影響が大きいため、現在では使用されていない。臭化メチルの代替として、同様に土壌病害防除の効果が期待できるクロルピクリンによる土壌燻蒸が主流である。
クロルピクリンは、臭化メチルと同様に揮発性である。ゆえに、揮発し大気中へ拡散してしまうと、病害防除効果が低下する。また、臭気問題など環境面の観点から、燻蒸薬剤の使用に際し周辺環境へ配慮しなければならない。そのため、フィルムで燻蒸土壌を被覆することが一般的になされている。近年では、フィルムにガスバリア性を付与し、揮発成分の拡散を抑制することで、燻蒸薬剤の薬理効果を維持し向上させるといったフィルムの高機能化もなされている。
例えば、特許文献3(特開2014−183806号公報)には、ガスバリア性が高く、機械的強度を向上させ、かつ燻蒸薬剤を必要不可欠な量で使用することができる、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含んだ土壌燻蒸用フィルムが提案されている。
特許文献3に記載の土壌燻蒸用フィルムは、最外側層と、中間層と、最内側層とを少なくとも備えてなり、前記中間層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を含んでなり、前記エチレン−ビニルアルコール共重合体は、延伸限界(同時二軸延伸)が、3.5×3.5以上5.0×5.0以下であり、延伸限界(逐次二軸延伸)が、1.5×1.5以上4.5×4.5以下であり、ガラス転移温度が35℃以上55℃以下である土壌燻蒸用フィルムである。
さらに、特許文献4(特開2000−141560号公報)には、優れた強度と薬剤低揮散性を有する、土壌燻蒸用被覆材として好適な農業用フィルムが提案されている。
特許文献4に記載の農業用フィルムは、メタロセン系触媒の存在下で重合された特定の物性を有する、エチレンと炭素原子数4〜12のα-オレフィンとの共重合体(A)からなる樹脂(C)、または該エチレン・α-オレフィン共重合体(A)と混合量40重量%以下の高圧法低密度ポリエチレン(B)との混合物からなる樹脂(C)で形成された熱可塑性樹脂フィルム層と、ポリアミド(D)からなるフィルム層とからなり、該ポリアミドフィルム層の片面または両面に熱可塑性樹脂フィルム層が積層されてなるものである。
また、特許文献5(特開平11−46660号公報)には、引き裂き強力等機械物性の優れた燻蒸剤揮散防止用フィルムが提案されている。
特許文献5に記載の燻蒸剤揮散防止用フィルムは、少なくとも一種のポリアミドと、少なくとも一種のポリオレフィンを含む組成物から成るフィルムにおいて、該フィルムを構成する少なくとも一部もしくは全部に、該フィルムの回収屑を含有することを特徴とするものである。
特許文献6(特開2004−346086号公報)には、PET樹脂を、その諸物性及びインフレーションフィルムヘの加工性を改善して、ポリオレフィンフィルムより高強度であり、フィルムのヒートシール温度をポリオレフィン並みに低下させた樹脂組成物、該樹脂組成物のフィルム成形法並びにヒートシールした製品が提案されている。
特許文献6に記載の樹脂組成物、該樹脂組成物のフィルム成形法並びにヒートシールした製品は、ポリエチレンテレフタレート樹脂60〜80重量%、相溶化剤としてエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体及び/またはエチレン−グリシジル(メタ)アクリレート−低級アルキル(メタ)アクリレート三元共重合体1〜10重量%、低密度ポリエチレン樹脂10〜35重量%からなるポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、該樹脂組成物を用いてインフレーション法によりフィルムを製造する方法並びに該樹脂組成物から製造したフィルムを200℃以下の温度においてヒートシールして製造したポリエチレンテレフタレート樹脂組成物フィルム製品である。
また、特許文献7(特開平8−143020号公報)には、 環境を害する恐れがなく、耐油性、ヒートシール性、柔軟性に優れ、更には表面滑り性及び離型性が著しく改善された、油分、香気成分、薬効成分を含む内容物の保存用容器として優れたプラスチック容器及び高周波シール性に優れた容器密封フィルムが提供されている。
特許文献7に記載の容器密封フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂5〜50重量部を分散相とし、ガラス転移温度(Tg)が30℃以下である結晶性ポリエステル樹脂を含むポリエステル樹脂95〜50重量部をマトリックスとした樹脂混合物により、少なくとも容器の最内層が形成されていることを特徴とするプラスチック容器、及びフィルム状積層体からなり、容器の口部を封止する容器密封フィルムにおいて、上記フィルム状積層体における少なくとも封止面側の層が、上記樹脂混合物により形成されているものである。
:特開2008−133350号公報 :特開2018−004391号公報 特開2014−183806号公報 特開2000−141560号公報 特開平11−46660号公報 特開2004−346086号公報 特開平8−143020号公報
特許文献3〜5に記載されるような従来の土壌燻蒸用フィルムを用いた場合は、燻蒸を終え被覆したフィルムを撤去する際、作業者が被覆空間に余分に残存した薬剤ガスを被薬し、薬害を被る危険性があった。この点を考慮すると、土壌燻蒸の効果を最低限維持しつつ、薬剤成分を適度に揮発させ、作業者が薬害を被らない程度まで被覆空間内の薬剤濃度を少しずつ減少させることが望まれる。
特許文献6および7に記載されたフィルムにおいては、ガスバリア性を向上するためフィルムを厚く形成しており、従って、これらのフィルムを土壌燻蒸用フィルムとして用いた場合は、フィルムを土壌表面から撤去する際、作業者が被覆空間に余分に残存した薬剤ガスを被薬し、薬害を被る危険性があった。
土壌燻蒸の現場における実態を踏まえ、薬剤を含めた気体透過の制御能が要求されている現状を鑑み、気体透過の制御が可能なフィルムの開発を検討した結果、本発明に至った。
本発明の目的は、気体の透過度を容易に制御することができ、かつ、時間の経過によらず気体の透過度を維持することができる気体透過制御フィルムを提供することである。
(1)
一局面に従う気体透過制御フィルムは、ポリオレフィン系樹脂aを含有する外層Aと、ポリエステル系樹脂組成物からなる気体透過制御層とを有し、ポリエステル系樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル系樹脂を60重量%以上95重量%以下含有し、ポリオレフィン系樹脂cを5重量%以上40重量%以下含有し、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、気体透過制御層の厚みは3μm以上10μm以下である。
このように、気体透過制御層を特定の組成とし、かつ気体透過制御層の厚みを特定することによって、気体の透過を適度な範囲内に制御することができる。その理由は次のように推測される。
気体透過制御層を構成するポリエステル系樹脂組成物に含有される熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂cとは相溶性が低く、そのため両者をメルトブレンドすることでマトリックスドメイン構造(いわゆる、海島構造)が形成される。
ポリエステル系樹脂組成物が上記の割合で熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとを含有するので、熱可塑性ポリエステル系樹脂がマトリックス(海)として存在し、ポリオレフィン系樹脂cがドメイン(島)として存在する場合、ガスバリア性を発現するため気体透過を制御することができる。上記の割合を外れ、熱可塑性ポリエステル系樹脂がドメイン(島)として存在する場合、フィルムのガスバリア性が損なわれる。このようにして、本発明の気体透過制御フィルムは、熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとの含有量を特定の範囲にすることにより、ガスバリア性と気体透過性とのバランスを適度な範囲内に保つことができる。
また、熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとの含有量の比を調節することにより、気体の透過度を容易に制御することができる。
また、気体透過制御層の厚みを調整することにより、フィルムのガス透過度を調整することもできる。これは、気体透過制御層の厚みが厚いと、島(ポリオレフィン系樹脂cの部分)同士が接続して形成される気体の経路が複雑になるためと考えられる。
また、気体透過制御層を透過する気体は、単にポリオレフィン系樹脂c(島)の部分を単に通過するのではなく、気体透過制御層内で吸着放出を繰り返すことにより透過するものと考えられる。したがって、熱可塑性ポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂cの種類および含有量、並びに気体透過制御層の厚みを特定の範囲に選択することによって、時間の経過によらず気体の透過度を維持することができる。
よって、気体透過制御フィルムを土壌燻蒸用フィルムとして使用する場合、フィルムを土壌表面から撤去するまでは土壌病害防除のための土壌燻蒸が効果的に行え、その後は燻蒸薬剤の揮発成分がフィルムを通して外部へ拡散するため、フィルム被覆空間に残存した薬剤ガスを作業者が被薬するということがない。また、ガスバリア性が高いのでフィルムの厚みを薄くすることができる。
(2)
第2の発明に係る気体透過制御フィルムは、一局面の発明に係る気体透過制御フィルムであって、ポリオレフィン系樹脂cは、ポリエチレン系変性樹脂を含み、ポリエチレン系変性樹脂は、ポリエステル系樹脂組成物に対して1重量%以上15重量%以下含有されてもよい。
これにより、気体透過制御フィルムを空冷インフレーションにより成形する場合、適度な溶融張力を発現するため、高いバブル安定性を発現し、また適度な層間の接着強度を付帯させることができる。
(3)
第3の発明に係る気体透過制御フィルムは、一局面または第2の発明に係る気体透過制御フィルムであって、気体透過制御層において、ポリエステル系樹脂はポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、かつポリオレフィン系樹脂cは高密度ポリエチレンをさらに含んでもよい。
これにより、フィルム強度、ガスバリア性、耐薬品性、および成膜安定性に優れる。
(4)
第4の発明に係る気体透過制御フィルムは、一局面から第3のいずれかの発明に係る気体透過制御フィルムであって、ポリオレフィン系樹脂bを含有する内層Bをさらに有し、外層A、気体透過制御層および内層Bがこの順で積層された積層体であってよい。
これにより、気体透過制御層の両面を外層Aおよび内層Bで被覆して、気体透過制御層を保護し、気体透過制御層に水などが接触することがなく、フィルムの耐久性を向上させることができる。
(5)
第5の発明に係る気体透過制御フィルムは、一局面から第4のいずれかの発明に係る気体透過制御フィルムであって、外層Aおよび内層Bを構成するポリオレフィン系樹脂aおよびbは、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレンであってよい。
これにより、フィルムは引裂強度等の基材強度に優れる。
(6)
他の局面に従う土壌燻蒸用フィルムは、ポリオレフィン系樹脂aを含有する外層Aと、熱可塑性ポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂cを含有するポリエステル系樹脂組成物からなる気体透過制御層と、ポリオレフィン系樹脂bを含有する内層Bと、がこの順で積層された積層体であり、ポリエステル系樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル系樹脂を60重量%以上95重量%以下含有し、ポリオレフィン系樹脂cを5重量%以上40重量%以下含有し、気体透過制御層の厚さが3μm以上10μm以下であり、積層体の厚さが15μm以上55μm以下である。
この場合、上記したように、ポリブチレンテレフタレート樹脂とポリエチレンは相溶せず、熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cの含有割合が特定されているので、気体透過制御層に海島構造が形成され、フィルムのガス透過度を制御することができる。よって、燻蒸期間を所望とする期間に調整することができる。さらに、成膜において適度な溶融張力を発現するため、成膜安定性が向上するほか、層間の接着強度が増加するため基材の加工性が向上する。さらに、外層で気体透過制御層を被覆して保護できるため、耐水性を向上させることができる。
(7)
第7の発明に係る土壌燻蒸用フィルムは、第6の発明に係る土壌燻蒸用フィルムであって、気体透過制御層において、ポリエステル系樹脂はポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、かつポリオレフィン系樹脂cは高密度ポリエチレンであり、外層Aおよび内層Bを構成するポリオレフィン系樹脂aおよびbは、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレンおよびポリエチレン系変性樹脂であってもよい。
この場合、ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、ポリエチレンテレフタレート(PET)と比べ結晶化度および結晶化速度が高く、強度とガスバリア性と耐薬品性(酸)とに優れる。
また、PBTは他の熱可塑性ポリエステル系樹脂と比べて比較的融点が低く、ポリエチレンとの多層成膜性に優れている。具体的には、PBTの融点は223℃であり、PETの融点は260℃程度である。
さらに、PBTを主に含む樹脂から気体透過制御層が形成されるので、フィルム強度が高くなり、従ってフィルムを踏んだり、あるいは展引した場合でもフィルムが破れにくい。また、気体透過制御層の裏面側(土壌側)の面に高密度ポリエチレンからなる内層が積層されているので、気体透過制御層に水滴が付かないため、気体透過制御層を構成する樹脂の加水分解を防止し、またハンドリング性を高めることができる。
図1は本発明の一実施形態の気体透過制御フィルムの一例を示す模式的断面図である。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の気体透過制御フィルム10は、熱可塑性ポリエステル系樹脂を60重量%以上95重量%以下、およびポリオレフィン系樹脂cを5重量%以上40重量%以下含有するポリエステル系樹脂組成物からなる気体透過制御層100と、ポリオレフィン系樹脂aを主成分として含有する外層Aとを有する。
気体透過制御層100と外層Aとは直接積層されていてもよく、他の層を介して積層されていてもよい。例えば、気体透過制御層100と外層Aとの間に接着剤層が積層されていてもよい。接着剤層が使用される場合、接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の接着剤を使用することができる。
また、気体透過制御層100の一方の面に外層Aが積層され、他方の面に内層Bが積層されていてもよい。本発明の気体透過制御フィルム10は土壌燻蒸用フィルムとして用いることができる。
気体透過制御層100に使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂は、芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましい。芳香族ポリエステルは、脂肪族ポリエステルと比較してガスバリア性が高い点で好ましい。芳香族ポリエステルは、マルチフィルムに使用した場合に、表層樹脂に傷等が入って中層樹脂が土壌に接触しても生分解が進みにくく、必要期間展張しても問題が生じにくい点で優れている。
また、気体透過制御層100に使用される熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群から選択される少なくとも1種を含む。熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートであることが好ましい。ポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートは他の樹脂に比べて融点が低いため、成型性に優れる。
また、熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリブチレンテレフタレート樹脂であることが特に好ましい。ポリブチレンテレフタレート(PBT)は、ポリエチレンテレフタレートと比べ結晶化度および結晶化速度が高く、フィルム強度、ガスバリア性、および耐薬品性(酸)に優れる。
また、PBTは他の熱可塑性ポリエステル系樹脂と比べて比較的融点が低く、ポリエチレンとの多層成膜性に優れている。具体的には、PBTの融点は223℃であり、PETの融点は260℃程度、PBNの融点は243℃程度である。より高温での成形では、ポリエチレンは熱劣化する可能性がある。さらに、PBTは、比較的結晶化度が高く、ゆえにガスバリア性に優れている。
また、気体透過制御層100にポリオレフィン系樹脂aを含有する外層Aを積層することにより、気体透過制御層100に含まれるPBTなどの熱可塑性ポリエステル系樹脂へ水分を接触させることがないため、熱可塑性ポリエステル系樹脂の加水分解を防止し中長期的な耐久性を担保することができる。
上記のとおり、気体透過制御層100は、熱可塑性ポリエステル系樹脂を主成分とし、さらにポリオレフィン系樹脂cをメルトブレンドしたポリエステル系樹脂組成物からなる。ポリエステル系樹脂組成物に含有される熱可塑性ポリエステル系樹脂は60〜95重量%、ポリオレフィン系樹脂cは5〜40重量%の割合でこれらをメルトブレンドすることが好ましい。ポリエステル系樹脂組成物における熱可塑性ポリエステル系樹脂のさらに好ましい含有割合は65〜90重量%、ポリオレフィン系樹脂cの含有割合は10〜35重量%である。
熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂cは相溶性が低く、これらをメルトブレンドすることでマトリックスドメイン構造(海島構造)が形成される。ポリエステル系樹脂組成物が上記の割合で熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとを含有する場合、熱可塑性ポリエステル系樹脂がマトリックス(海)として存在しガスバリア性を発現するため、フィルムの気体透過を制御することができる。上記の割合を外れ、熱可塑性ポリエステル系樹脂がドメイン(島)として存在する場合、フィルムのガスバリア性が損なわれる傾向にある。
熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとのメルトブレンドは、1軸あるいは2軸の混錬押出機を用いた公知の方法で実施することができる。具体的には、1軸または2軸の混練押出機を用い、熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとを別々のフィーダーで所定の配合割合となるように混練機に供給する方法、あるいは予め上記熱可塑性ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂cとをペレット状で混合したものを混練機に供給する方法等が挙げられる。混練条件は、通常シリンダー温度230〜260℃、スクリュー回転数50〜100rpmの範囲で行うことができる。
また、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダー等を用いて各成分を所定の混合割合にドライブレンドして均一組成に調製し、得られた樹脂組成物を一軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロール等を用いて溶融混練りを加えてもよい。樹脂組成物は次いで成形機へ供給される。
気体透過制御層100に含有されるポリオレフィン系樹脂cとしては、エチレンまたはα-オレフィンの単独重合体、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、エチレンまたはα-オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、エチレンまたはα-オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等を用いることができる。
例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。これらのうち、加工性の点からLDPE、HDPEが好ましい。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、気体透過制御層100が高密度ポリエチレンを含有することにより、金型を出て冷却された後の結晶化速度が速く、PBTの速い結晶化速度と近いため、成膜安定性が向上する。
上記LDPEおよびHDPEは、密度が0.880〜0.980g/cmが好ましく、0.920〜0.960g/cmがさらに好ましい。また、メルトフローレート(MFR)は0.04〜1.0g/10分が好ましく、0.04〜0.5g/10分がさらに好ましい。
気体透過制御樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂cとして、所定量のポリエチレン系変性樹脂を含有することが好ましい。その場合、ポリエチレン系変性樹脂の含有量は気体透過樹脂組成物に対して1〜15重量%が好ましく、5〜10重量%がさらに好ましい。
ポリエチレン系変性樹脂の含有量が上記範囲にある場合、空冷インフレーション成形において適度な溶融張力を発現するため、高いバブル安定性を発現するほか、適度な層間の接着強度を付帯することができる。
また、気体透過制御樹脂組成物のポリオレフィン系樹脂cは、高密度ポリエチレンおよびポリエチレン系変性樹脂を含むことが好ましい。この場合、ポリエチレン系変性樹脂が、熱可塑性ポリエステル系樹脂と高密度ポリエチレンとを相溶化させる相溶化剤として作用することができる。
ポリオレフィン系樹脂cがポリエチレン系変性樹脂を含む場合、当該ポリエチレン系変性樹脂は、例えば、不飽和カルボン酸変性エチレン樹脂や不飽和カルボン酸変性エチレン−酢酸ビニル共重合体、グリシジル基を有する変性エチレン樹脂などポリエチレン系変性樹脂が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などのエチレン性不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのエチレン性不飽和ジカルボン酸またはその無水物やハーフエステル等を挙げることができる。
また、ポリエチレン系変性樹脂の官能基としては、グリシジル基であることが好ましい。グリシジル基はポリエステルの末端部分と反応してポリエステルを高分子量化させるため、溶融張力が増加してインフレーション成形におけるバブル安定性を向上させることができる。
ポリエチレン系変性樹脂の市販品としては、ボンドファースト(住友化学社製)、アドマー(三井化学社製)、モディック(三菱化学社製)などを使用することができる。ポリエチレン系変性樹脂はメルトブレンドなどによって樹脂組成物に含有させることができる。特に、ボンドファーストは、官能基にグリシジル基を含むためバブル安定性に優れており、より好ましい。
気体透過制御層100は、その片面にポリオレフィン系樹脂組成物aからなる外層Aが積層されるものであり、外層Aおよび内層Bが気体透過制御層100の両面に積層されることが好ましい。
空冷インフレーション成形で外層Aおよび内層Bが気体透過制御層100の両面に積層される場合、気体透過制御層100に積層される外層Aおよび内層Bのポリオレフィン系樹脂組成物aおよびbは同一の組成であってよく、または異なる組成であってもよい。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物に含有されるポリオレフィン系樹脂aおよびbは、気体透過制御層100に含有されるポリオレフィン系樹脂cと同一種であってよく、または異なっていても良い。つまり、気体透過制御層100にポリエチレンが含有される場合、外層Aおよび内層Bにもポリエチレンが含有されてもよい。
外層Aと内層Bは、それぞれ低密度ポリエチレン(LDPE)または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)のいずれかのポリエチレン樹脂より選択されることが好ましく、また1つの層において上記ポリエチレン樹脂を単独で用いてもよく、ブレンドして用いてもよい。
特に、外層Aおよび内層Bが、直鎖状低密度ポリエチレンを主に含有することにより、引裂強度等の基材強度に優れる。
本発明のガス透過制御フィルムは、上記気体透過制御層100の厚さを調整することにより、フィルムのガス透過度を調整することができる。
ガス透過制御フィルムの厚さは15μm以上55μm以下が好ましく、さらに好ましくは18μm以上30μm以下である。ガス透過制御フィルムの厚さが15μm未満であると、ガスバリア性が低下する傾向にある。また、フィルムの機械的強度が低下する傾向になる。
ガス透過制御フィルムの厚さが55μmを超えると、ガスバリア性が良すぎるため、気体透過制御効果が悪くなる。また、フィルムの重量および生産コストが増大する。
気体透過制御層100の厚さは3μm以上10μm以下であり、好ましくは3.5μm以上8μm以下であり、さらに好ましくは4μm以上7μm以下である。気体透過制御層100の厚さが上記範囲を超えて薄すぎる場合は、ガス透過度が目的とする程度よりも低下する傾向にあり(つまり、すぐにガスがフィルムを透過する)、気体透過制御層100の厚さが上記範囲を超えて厚すぎる場合は、目的とする程度以上にガスがフィルムを透過し難い傾向にある。
よって、気体透過制御フィルム10を土壌燻蒸用フィルムとして使用する場合、フィルム厚さが薄すぎると、燻蒸薬剤の揮発成分がフィルムを通して外部へ拡散するため土壌燻蒸の効果が低く、フィルム厚さが厚すぎるとフィルム被覆空間に残存した薬剤ガスによって作業者が被薬するおそれがある。
本発明においては、気体透過制御層100と積層する外層A、内層Bそれぞれにおいて、所望の機能を付与するために、必要に応じて耐候剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、熱安定剤など含有することができる。
耐候剤の具体例としてはヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤は、市販品を用いることができ、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)に水素原子(H)が結合しているNH型ヒンダードアミン系光安定剤、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)にアルキル基(R)が直接結合しているNR型ヒンダードアミン系光安定剤、ピペリジン環骨格に含まれる窒素原子(N)に酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているNOR型ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
(気体透過制御フィルム10の製造方法)
本発明の熱可塑性樹脂組成物よりなるフィルムを積層一体化する方法としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の接着剤により接着する方法が挙げられる。また、気体透過制御層100と、外層A(および/または内層B)とを共押出ラミネート成形などにより一体成形してもよい。
例えば、気体透過制御フィルム10は、熱可塑性ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂c、および必要に応じてポリエチレン系変性樹脂を含む樹脂組成物を、ダイを備える空冷インフレーション成形装置を用い所定の条件で押し出し成形して所望とする厚みで製造することができる。
すなわち、成形装置の押出機部分のシリンダー中で樹脂組成物を溶融し、押出機先端に設けたサーキュラーダイから溶融樹脂を押し出し、次いで空気量を調整して円筒状に膨らませつつ冷却し、その後二つ折りにして、あるいは1枚ないし2枚に分離して巻き取ることによってインフレーションフィルムを製造することができる。
インフレーションフィルム成形装置の押出機部分に使われるスクリューは、特に制限されるものではないが、通常の空気冷却が好ましい。必要に応じて、その後、1軸または2軸方向への延伸配向を行うことができる。フィルムの厚さは上記のとおり、通常15μm以上55μm以下、特に18μm以上30μm以下であることが好ましい。
成形された気体透過制御フィルム10は、マトリックスがポリエステル系樹脂であるため、耐油性に劣るポリオレフィン系樹脂cが分散相として存在しても、非常に優れた耐油性を備えている。さらに、ポリオレフィン樹脂本来の優れた滑り性等の性質を持つ酸変性グラフトポリオレフィン樹脂、あるいは無極性ポリオレフィン樹脂やエチレン系不飽和カルボン酸共重合体の酸変性ポリオレフィンを含む分散相が、表面滑り性及び離型性を著しく向上させる。
得られた気体透過制御フィルム10は、ポリオレフィンフィルムに比して、酸素透過性などのガスバリア性に優れているだけではなく、高強度、高弾性率である。特に、同じ強度のフィルムが必要な時はポリオレフィンフィルムに比して薄く形成できるので、農業用フィルムの他、レジ袋、ゴミ袋などの汎用フィルムにも適している。
以下、本発明の実施例および比較例について具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
ポリブチレンテレフタレート樹脂(ポリプラスチックス社製「DURANEX PBT」、密度 1.3g/cm、MFR 7.0g/10分)70wt%、高密度ポリエチレン樹脂(京葉ポリエチレン社製、密度 0.950g/cm、MFR 0.04g/10分)25wt%、ポリエチレン系変性樹脂(住友化学社製「ボンドファースト」、密度 0.950g/cm、MFR 7.0g/10分)5wt%を、240℃まで昇温した単軸押出機で溶融混合して、ポリエステル系樹脂組成物(I)を得た。
得られたポリエステル系樹脂組成物(I)、およびポリオレフィン系樹脂(II)として直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「ノバテック LL」、密度 0.926g/cm、MFR 0.90g/10分)を多層の空冷インフレーション成形装置へ供給し、内層/気体透過制御層/外層の層構成を(II)/(I)/(II)、層比1/1/1、総厚さ20μm(気体透過制御層100の厚さ6.7μm)として、240℃で押出成形することで2種3層の積層フィルムを調製した。
<実施例2>
実施例1において、同一の層構成で層比を2/1/2、総厚さ20μm(気体透過制御層100の厚さ4.0μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを調製した。
<実施例3>
実施例1において、同一の層構成で層比を2/1/2、総厚さ20μm(気体透過制御層100の厚さ4.0μm)とし、ポリブチレンテレフタレート樹脂を95wt%とし、高密度ポリエチレン樹脂を含まず、ポリエチレン系変性樹脂を5wt%として樹脂組成物(I)を得たこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを調製した。
<実施例4>
実施例1において、ポリエチレン系変性樹脂として、三井化学社製「アドマー」(密度 0.880g/cm、MFR 2.6g/10分)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを調製した。
<比較例1>
実施例1に用いた直鎖状低密度ポリエチレンを単層インフレーション成形装置へ供給し、成形温度180℃で押出成形して、厚さ60μmの単層フィルムを調製した。
<比較例2>
実施例1において、同一の層構成で層比を9/2/9、総厚さ20μm(気体透過制御層100の厚さ2.0μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを調製した。
<比較例3>
実施例1において、同一の層構成で層比を2/1/2、総厚さ60μm(気体透過制御層100の厚さ12μm)としたこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを調製した。
<比較例4>
実施例1において、同一の層構成で層比を1/1/1、総厚さ20μm(気体透過制御層100の厚さ6.7μm)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂を55wt%、高密度ポリエチレン樹脂を40wt%、ポリエチレン系変性樹脂を5wt%として樹脂組成物(I)を得たこと以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを調製した。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた積層フィルムの気体に対する透過性、またその成形時における安定性について以下の方法、基準で評価した。
<感応臭気評価>
50ccのサンプル瓶に、スミチオン(住友化学社製、園芸用殺虫薬剤)の100倍希釈液を約1mL入れ、調製したフィルムでサンプル瓶の開口部を塞ぎ、フィルムの周囲から薬剤臭気が漏れないようにフィルムの周囲をサンプル瓶にテープで巻き付け固定した。
これを、容積500mLの広口瓶に入れ、30℃の恒温槽で24時間、48時間、また72時間エージングした。
エージング後、広口瓶を取り出し静置させた後、広口瓶を開いた際の薬剤の臭いを感応的に以下のとおり評価し、臭いの程度を1〜5の5段階で評価し、薬剤に対するフィルムのバリア性を比較した。
感応臭気:1(無臭に近い) ←・・・→5(臭い、または明らかに臭いを感じる)
<気体透過制御効果>
エージング時間が24時間から72時間までの間で感応臭気結果が2〜3の値を維持するものを〇とし、その他を×と評価した。
<バブル安定性評価>
空冷インフレーション成形時のバブルについて、その安定性を評価した。
高:長期の成膜において安定してバブル形状を維持。
低:バブルの乱調あるいは溶融樹脂が垂れてバブルの断裂が度々起こり、バブルを正常に維持することが難しい。
結果を以下の表1に示す。
Figure 2021138014
表1の結果から、以下のことがわかる。
実施例1および2の結果から、積層フィルムの気体透過制御層100の厚みが6.7μmから4.0μmに減少すると、感応臭気の評価は上がる(比較的臭く感じる)が、大きくは変化しない。気体透過制御層100の厚みが4μm以上であれば、感応臭気の評価、気体透過制御効果、バブル安定性ともに優れている。
実施例2および3の結果から、気体透過制御層100における、PBT樹脂に対するポリオレフィン系樹脂の重量比率が変化しても、感応臭気の評価は大きく変化しない。気体透過制御層100におけるPBTなどの熱可塑性ポリエステル系樹脂の配合率が60重量%以上であれば、感応臭気の評価、気体透過制御効果、およびバブル安定性ともに優れている。
比較例1のように、気体透過制御層100を有さないフィルムは、感応臭気の評価、気体透過制御効果の結果が悪い。
比較例2のように、気体透過制御層100の厚みが薄いフィルムは、気体透過制御効果の結果が悪い。
比較例3のように、気体透過制御層100の厚みが厚いフィルムは、気体透過制御効果の結果が悪い。
実施例1と比較例4の結果から、気体透過制御層100におけるPBTなどの熱可塑性ポリエステル系樹脂の配合率が60重量%未満であると、感応臭気の評価および気体透過制御効果の結果が悪い。
比較例3では、気体透過制御層100が厚くバリア性が高すぎるため、徐放性の観点では良くない。
なお、実施例4においては、ポリエチレン系変性樹脂として三井化学社製「アドマー」を用いて成型している。実施例4のポリエチレン系変性樹脂は、グリシジル基を含まず溶融張力が向上しないため、実施例1と比較してバブル安定性が低くなったものと推察される。
本発明においては、気体透過制御フィルムが「気体透過制御フィルム10」に相当し、気体透過制御層が「気体透過制御層100」に相当し、外層Aが「外層A」に相当し、内層Bが「内層B」に相当する。
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
10 気体透過制御フィルム
100 気体透過制御層
A 外層
B 内層

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂aを含有する外層Aと、ポリエステル系樹脂組成物からなる気体透過制御層とを有し、
    前記ポリエステル系樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル系樹脂を60重量%以上95重量%以下含有し、ポリオレフィン系樹脂cを5重量%以上40重量%以下含有し、
    前記熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、およびポリエチレンナフタレート(PEN)からなる群から選択される少なくとも1種を含み、
    前記気体透過制御層の厚みは3μm以上10μm以下である、気体透過制御フィルム。
  2. 前記ポリオレフィン系樹脂cは、ポリエチレン系変性樹脂を含み、
    前記ポリエチレン系変性樹脂は、前記ポリエステル系樹脂組成物に対して1重量%以上15重量%以下含有される、請求項1に記載の気体透過制御フィルム。
  3. 前記気体透過制御層において、前記ポリエステル系樹脂はポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、
    前記ポリオレフィン系樹脂cは高密度ポリエチレンをさらに含む、請求項1または2に記載の気体透過制御フィルム。
  4. ポリオレフィン系樹脂bを含有する内層Bをさらに有し、
    前記外層A、前記気体透過制御層および前記内層Bが、この順で積層された積層体である、請求項1から3のいずれか1項に記載の気体透過制御フィルム。
  5. 前記外層Aおよび内層Bを構成する前記ポリオレフィン系樹脂aおよびbは、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項4に記載の気体透過制御フィルム。
  6. ポリオレフィン系樹脂aを含有する外層Aと、熱可塑性ポリエステル系樹脂およびポリオレフィン系樹脂cを含有するポリエステル系樹脂組成物からなる気体透過制御層と、ポリオレフィン系樹脂bを含有する内層Bと、がこの順で積層された積層体であり、
    前記ポリエステル系樹脂組成物は、前記熱可塑性ポリエステル系樹脂を60重量%以上95重量%以下含有し、前記ポリオレフィン系樹脂を5重量%以上40重量%以下含有し、
    前記気体透過制御層の厚さが3μm以上10μm以下であり、
    前記積層体の厚さが15μm以上55μm以下である、土壌燻蒸用フィルム。
  7. 前記気体透過制御層において、前記ポリエステル系樹脂はポリブチレンテレフタレート(PBT)であり、かつ前記ポリオレフィン系樹脂cは高密度ポリエチレンおよびポリエチレン系変性樹脂を含む、
    前記外層Aおよび内層Bを構成する前記ポリオレフィン系樹脂aおよびbは、それぞれ直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項6に記載の土壌燻蒸用フィルム。

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