JP5475582B2 - 包装用フィルム - Google Patents
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このような小巻ラップフィルムは、通常、カッター刃を具備した紙箱の中に筒に巻かれた状態で収納されている。包装する際は、フィルムを紙箱から引き出して食品を覆うように被せ、フィルムを紙箱に具備されたカッター刃に押し当て、このカッター刃でフィルムにミシン目状の孔を開けてフィルムを引きちぎることにより、引き裂きを幅方向に伝播させるようにしてフィルムをカットし、そしてフィルムの端部を容器に密着させて包装するように使用する。このため、小巻ラップフィルムには、透明性のほか、容器への密着性、箱から引き出したフィルムをカットする際のカット適性などの諸特性が必要とされる。
近年、環境問題の高まりから枯渇性資源の有効活用が重要視されるようになり、天然植物由来の樹脂が注目されている。中でも、乳酸系重合体は、とうもろこしやジャガイモ等のでんぷんから得られる天然植物由来の樹脂であり、量産が可能であるばかりか透明性に優れているため、包装用フィルムの原料としても注目されており、乳酸系重合体を原料に用いた包装用フィルムの研究開発が行なわれている。
本包装用フィルムは、少なくとも3層を備えた多層フィルムであって、両表面層がオレフィン系重合体(A)を主成分として含有し、中間層は、乳酸系重合体(B)と、酢酸ビニル含量85質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)を主成分として含有する包装用フィルムである。
本包装用フィルムにおいて、内外両面の表面層(以下単に「表面層」という)の主成分は、オレフィン系重合体であることが重要である。
表面層は、例えば透明で柔軟性を有する樹脂を主成分として形成するのが好ましい。例えばオレフィン系重合体、PET、PBT、PEN、PBN等のポリエステル系重合体、PMMA等のアクリル系重合体、ナイロン樹脂などを挙げることができる。中でも、透明性、自己密着性の点で、オレフィン系重合体が好ましい。そこで次に、表面層の主成分として好適なオレフィン系重合体について説明する。
また、エチレン・プロピレンゴム等を分散複合化させたポリオレフィン系熱可塑性エラストマーを用いることもできる。
中でも、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びエチレン−メタクリル酸エステル共重合体の中から選ばれる1種のエチレン系重合体又はこれら2種類以上の組み合わせからなる混合樹脂が特に好ましい。
上記のエチレン−アクリル酸エステル共重合体のアクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチルなどが挙げられ、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体のメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等を挙げることができる。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体において、酢酸ビニル含量が10質量%以上であれば、結晶性が低いためフィルムが硬くならず、柔軟性や弾性回復性が良好であり、表面粘着性も発現し易いという点で好ましい。その一方、60質量%以下であれば、耐熱性やフィルム強度等を確保でき、防曇剤等を添加してもブリードアウトを抑制でき、しかも表面粘着性が強すぎないためにフィルムの巻き出し性や外観を良好とすることができるという点で好ましい。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は10〜58質量%であるのがより好ましく、特に12〜56質量%であるのがさらに好ましい。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRが0.2g/10分以上であれば、押出加工性は安定し、20g/10分以下であれば、成形時に安定した製膜が可能となると共に、厚み斑や力学強度の低下やバラツキ等が少なくなり好ましい。このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFRは0.5〜18g/10分であるのがより好ましく、中でも1〜15g/10分がさらに好ましい。
エチレン系重合体の密度がこのような範囲内であれば、適度な結晶性を有するためフィルムが硬くならず、柔軟性や弾性回復性が良好となり、しかもエチレン系重合体の融点がラップの実使用温度範囲、具体的には電子レンジ等で加熱した場合の雰囲気温度よりも高くなるため、得られるフィルムで食品を包装し、電子レンジ等で加熱した場合でも食品容器等にフィルムが溶けて貼りつくといった問題を生じることが無いため好ましい。
このような観点から、エチレン系重合体の密度は0.90〜0.94g/cm3であるのが特に好ましく、中でも0.91〜0.94g/cm3であるのがさらに好ましい。
また、エチレン系重合体のMFRが0.2g/10分以上であれば、押出加工性は安定し、20g/10分以下であれば、成形時に安定した製膜が可能となり、厚み斑や力学強度の低下やバラツキ等が少なくなるため好ましい。このような観点から、エチレン系重合体(A)のMFRは0.5〜18g/10分であるのが特に好ましく、中でも1〜15g/10分であるのがさらに好ましい。
次に、中間層の構成成分について説明する。
乳酸系重合体(B)と、酢酸ビニル含量85質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)とは、完全相溶するため、優れた透明性を維持しつつ、中間層のガラス転移温度を制御することができる。
乳酸系重合体(B)としては、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸及びD−乳酸であるポリ(DL−乳酸)、或いはこれらの混合体、或いはこれらを含む共重合体を用いることができる。
但し、ここでいうポリ(L−乳酸)またはポリ(D―乳酸)は、理想的にはL−乳酸またはD−乳酸100%からなるポリマーであるが、重合に際し不可避的に異なる乳酸が含まれる可能性があるため、L−乳酸またはD―乳酸を98%以上含むものである。
なお、L体とD体との共重合比が異なる乳酸系重合体をブレンドしてもよい。その場合、複数の乳酸系重合体のL体とD体との共重合比の平均値が上記範囲内に入るようにするのが好ましい。
例えば縮合重合法では、L−乳酸またはD−乳酸、あるいはこれらの混合物等を直接脱水縮合重合して任意の組成を有する乳酸系重合体を得ることができる。
また、開環重合法(ラクチド法)では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調節剤等を用いながら、適当な触媒を使用して任意の組成、結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
ラクチドには、L−乳酸の二量体であるL−ラクチド、D―乳酸の二量体であるD−ラクチド、或いはL−乳酸とD−乳酸からなるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより任意の組成、任意の結晶性を有する乳酸系重合体を得ることができる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(C)は、酢酸ビニル含量が85質量%以上であるため、乳酸系重合体(B)と混合した際に完全相溶する、すなわち、示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で測定されるガラス転移温度が単一となる。
また、ガラス転移温度(或いは損失正接の極大値)が単一であるということは、乳酸系重合体(B)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)とがナノメートルオーダー(分子レベル)で相溶した状態であることを意味する。
この際、該ガラス転移温度を20〜60℃の範囲内とすれば、実使用環境温度下においてフィルムが硬すぎることが無く、適度に伸びるため、容器等の形状に沿ってうまく包装することができるようになるから、特に家庭用ラップフィルムとして好適である。
酢酸ビニル含有量が85重量%未満であると、乳酸系重合体(B)との相溶性が悪く、ガラス転移温度(或いは損失正接の極大値)を示すピークは1つにならない。
よって、エチレン−酢酸ビニル共重合体(C)としては、エチレン含量が1〜15質量%かつ酢酸ビニル含量が99〜85質量%のものを選択することがより好ましい。エチレン成分の含有量が1質量%以上であれば、乳酸系重合体(B)と混合した場合の混合樹脂組成物のガラス転移温度を低温にする効果が得られ、該ガラス転移温度を好ましい範囲にすることができる。一方、13質量%以下であれば、乳酸系重合体(B)との相溶性が良好となるため好ましい。
このような観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体(C)としては、特にエチレン含量が1〜13質量%でかつ酢酸ビニル含量が99〜87質量%のものがさらに好ましい。
中でも、エチレン−酢酸ビニル共重合体(C)の含有量を高めることで、中間層のガラス転移温度(Tg)を下げることができる。そこで、当該Tgを上記のように20〜60℃に調整し、かつラップフィルムとしての耐熱性及びカット性を確保するために乳酸系重合体(B)の結晶性を調整する観点から、(B)/(C)=70/30〜30/70、中でも(B)/(C)=60/40〜40/60であるのがさらに好ましい。
本包装用フィルムの中間層は、上記乳酸系重合体(B)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)のほかに、さらにオレフィン系重合体(E)を含有することができる。
例えば、本包装用フィルムの実用特性を保持するために、乳酸系重合体(B)100質量部に対して、カルボジイミド化合物を好ましくは0.1〜3質量部、より好ましくは0.5〜1質量部配合することで重量平均分子量を増大させることができる。かかる範囲を下回る場合、重量平均分子量を増大させる効果が薄い場合が多く、またかかる範囲を上回る場合には、フィルム成形時にフィッシュアイやゲルを生じる場合があり好ましくない。
本包装用フィルムの表面層及び/または中間層には、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性などの性能を付与するために次のような各種添加剤を適宜配合することができる。
例えば、炭素数が1〜12、好ましくは1〜6の脂肪族アルコールと、炭素数が10〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステル、具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、ポリグリセリンポリリシノレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシレート、エチルアセチルリシレート、ブチルアセチルリシレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等、ならびに、ポリアルキレンエーテルポリオール、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等、更に、パラフィン系オイルなどから選ばれた化合物の少なくとも1種を、各種を構成する樹脂成分100質量部に対して0.1〜12質量部配合させることができ、好適には1〜8質量部配合させるのが好ましい。
本包装用フィルムは、オレフィン系重合体である(A)を主成分とする表面層と、乳酸系重合体(B)と酢酸ビニル含量85質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)とを主成分とする中間層とを備えていればよく、本発明の主旨を超えない範囲で、力学特性や層間接着性の改良など必要に応じて他の層(以下、「P層」と略することがある)を適宜備えていてもかまわない。例えば、他の層(P層)として、接着層または/及び再生層を備えることができる。また、表面層と同一組成からなる層(以下、「S層」と略することがある)を、両表面層以外の中間層として備えていてもよい。また、中間層(以下、「M層」と略することがある)を、両表面層の間に少なくとも1層有してあればよく、2層以上有してもかまわない。
より具体的には、(S層)/(M層)/(S層)からなる3層構成、(S層)/(P層)/(M層)/(S層)からなる4層構成、(S層)/(P層)/(M層)/(P層)/(S層)、(S層)/(M層)/(P層)/(M層)/(S層)などからなる5層構成を代表的に挙げることができる。この場合、各層の樹脂組成や厚み比に関しては同一であっても異なっていてもよい。
再生層は、表面層と中間層の間だけでなく、表面層と接着層の間、中間層と接着層との間に設けることができる。例えば、表面層、中間層、あるいは接着層の構成を2層構成にしておき、一方の層にフィルム両端のトリミングロスをリターンすることによって、表面層と中間層の間だけでなく、表面層と接着層の間、中間層と接着層との間に再生層を設けることができる。この場合、各層の厚み比や組成比のほか、リターンを含有させる層が表面層、中間層、あるいは接着層のいずれをベースとしているかによって、これらの成分の混合比を調整することができる。
さらに、安定した製膜加工性と柔軟性をより重視する場合には、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比が35〜65%であるのが好ましく、特に35〜60%であるか、或いは、最も厚さの大きな層であるのがより好ましい。
また、カット性及び容器への密着性、さらには植物度すなわちCO2削減等をより重視する場合には、フィルム全体の厚みに対する中間層の厚み比は60〜90%であるのが好ましく、特に65〜90%であるのがより好ましい。
なお、中間層が上記したように2層以上ある場合には、全ての中間層の合計厚みを用いて厚み比を計算すればよい。
本包装用フィルムの厚さ(全体)は、食品包装用ラップフィルムとして用いられる範囲、具体的には6μm〜30μmであればよく、好ましくは10μm〜20μmである。
本包装用フィルムは、(1)動的粘弾性測定により、周波数10Hz、温度20℃で測定した貯蔵弾性率(E’)が1.0GPa〜4.0GPaであり、(2)損失正接(tanδ)のピーク温度が20℃〜60℃であって、(3)そのピーク値が0.1〜0.8の範囲になるように調製することできる。このような条件(1)(2)(3)の全てを満足するフィルムは、特にカッター刃を備えた箱内に収納され、家庭等で使用される小巻ラップフィルムとして好適に用いることができる。
また、tanδのピーク温度が60℃以下であり、そのピーク値が0.1以上であれば、フィルムの変形に対する復元挙動が瞬間的に起こることがないため、フィルムを容器に包装する際、僅かな間にフィルムが復元することがなく容器への密着性が良好となるため好ましい。また、tanδのピーク温度が20℃以上であり、そのピーク値が0.8以下であれば、塑性的な変形を示すことがないため、通常の使用方法では問題となることがないため好ましい。
なお、tanδ(損失正接)とは、貯蔵弾性率(E’)に対する損失弾性率(E”)の比、すなわち損失正接(tanδ=E”/E’)であり、この値が高い温度領域では、材料の損失弾性率(E”)、すなわち粘弾性特性のうち粘性の寄与率が大きいことを意味している。このtanδの値及び高い値を示す温度領域を評価することにより、包装時の容器への密着性や包装工程におけるフィルムの応力緩和挙動などを判断する大きな目安となる。
本包装用フィルムの製造方法について説明するが、下記製造方法に限定されるものではない。
この際、実用的にはTダイより押出した溶融物をそのまま、キャスティングロールなどで急冷しながら引き取るようにしてフィルムを製膜するのが好ましい。
延伸温度としては、押出シートの温度を30〜90℃の範囲に設定とすることが好ましく、さらに40〜90℃の範囲とすることが好ましい。延伸温度がかかる範囲内であれば、中間層と表面層の両方を延伸に好適な弾性率に近づけることができるため好ましい。また、延伸倍率は1.2〜5.0倍の範囲内とすることが好ましく、さらに1.5〜4.0倍の範囲とすることが好ましい。延伸倍率がかかる範囲内であれば、押出シートの破断や白化等のトラブルが生じることなくカット性を向上させることができる。
熱処理条件としては、熱処理温度を40〜100℃の範囲に設定することが好ましく、さらに60〜90℃の範囲とすることが好ましい。熱処理温度が40℃以上であれば熱処理の効果を十分に得ることができ、100℃以下であればフィルムがロールにべたつく等の成形性の問題を生じることがない。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。他方、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
なお、本明細書中に表示されるフィルムについての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向(以下「MD」と記載する場合がある)、その直角方向を横方向(以下「TD」と略する場合がある)と称する。
JIS K−7198 A法に記載の動的粘弾性測定法により、アイティー計測制御(株)製動的粘弾性測定装置「DVA−200」を用い、フィルム(サンプル)の横方向(TD)について、振動周波数10Hz、歪み0.1%にて、昇温速度1℃/分で−50℃から150℃まで測定し、得られたデータから温度20℃での貯蔵弾性率(E’)、並びに、損失正接(tanδ)のピーク温度及びそのピーク値を求めた。
必要に応じてフィルム(サンプル)の表面層と中間層を剥離させ、中間層のみを切り出したサンプル10mgを、JISK7121に準じて、パーキンエルマー(株)製DSC−7を用いて、加熱速度を10℃/分で−100℃から200℃まで昇温し、250℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−100℃まで降温し、−100℃で1分間保持した後、加熱速度10℃/分で再昇温し、得られたサーモグラムからガラス転移温度(Tg)を求めた。
なお、表1には、ガラス転移温度(Tg)が一つ確認されたもの(単一のもの)についてはTgの数値を1つ記載し、2つ確認されたものについてはTgの数値を2つ記載した。
Tダイ成形法によるフィルムの製膜性について、以下の基準で評価した。
◎:各層の押出時の流動性の違いなどが観察されず、極めて安定していた。
○:各層の押出時の流動性の違いなどがあったが、問題とならないレベルであった。
△:各層の押出時の流動性の違いなどがあり、別の条件で製造する必要があった。
得られたフィルムの巻き物を、温度43℃、相対湿度40%の条件の恒温室内に5日間保管し、その後の表面状態と巻き返し性とを観察し、以下の基準で評価した。
◎:フィルム同士のブロッキングが全くなかった。
○:フィルム同士のブロッキングが少しあったが実用上問題とならないレベルであった。
△:フィルム同士のブロッキングにより剥離がやや重く実用上問題であった。
×:フィルム同士のブロッキングにより剥離が出来ず、巻き返しができなかった。
直径10cm、深さ5cmの茶碗状の陶磁器性の容器に包装したときの容器への密着性を、以下の基準で評価した。
◎:好適に包装できるレベルであった。
○:少し容器形状から広がったが、実用上問題ないレベルであった。
×:フィルムが容器に沿わずに広がってしまい実用上問題であった。
直径50mm、高さ80mmからなるSUS304製の円筒の一側の開口部に、製膜したフィルムを皺なく貼り付け、外気温0〜5℃の環境下で、フィルムを貼ってない開口部側の円筒端部30mmを水温20℃の水中に浸し、浸し始めてから1時間後の防曇性を目視観察し、以下の基準で評価した。
◎:水分が均一な水膜となり、水滴は認められなかった。
○:水分が均一な水膜となっていたが、ところどころに細かい水滴があった。
△:ところどころに直径約1mm〜3mm未満の水滴があった。
×:直径約3mm以上の水滴があった。
両表面層を形成する樹脂組成物については、オレフィン系重合体(A)としてのプライムポリマー社製直鎖状低密度ポリエチレン「neo−zex0234N」(MFR:2.0g/10分、密度0.92g/cm3)(以下「A−1」と略する)100質量部と、理研ビタミン社製「MJ−1」5.0質量部とを、押出設定温度180〜200℃に設定した同方向二軸押出機に投入し溶融混練した。
得られたフィルムについて評価した結果を表1に示す。
実施例1において、両表面層を形成する樹脂組成物を、日本ポリエチレン社製エチレン−酢酸ビニル共重合体「LV440」(酢酸ビニル含量:15質量%、MFR:2.2g/10分)(以下、A−2と略する)100質量部と、理研ビタミン社製ジグリセリンモノオレート「DGO−1」5.0質量部との混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして総厚み12μmの包装用フィルム(サンプル)を得た。
得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例2において、中間層を形成する樹脂組成物を(B−1)/(C−1)=60/40とした以外は、実施例2と同様にして総厚み12μmの包装用フィルム(サンプル)を得た。
得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、中間層を形成する樹脂組成物を(B−1)100質量部とした以外は、同様にして総厚み12μmの包装用フィルム(サンプル)を得た。
得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
実施例1において、中間層を形成する樹脂組成物を(B−1)と、エチレン−酢酸ビニル共重合体としてのランクセス社製「レバプレン800HV」(酢酸ビニル含量:80質量%)とから構成するようにし、かつ両者の質量比を(B−1)/「レバプレン800HV」=50/50とした以外は、実施例1と同様にして総厚み12μmの包装用フィルム(サンプル)を得た。
得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
これに対して、中間層に酢酸ビニル含量85質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)を有さない場合(比較例1)や、酢酸ビニル含量が85質量%未満のエチレン−酢酸ビニル共重合体をブレンドした場合(比較例2)には、容器密着性が不十分であることが確認された。
Claims (3)
- 少なくとも3層を備えた多層フィルムであって、
両表面層は、オレフィン系重合体(A)を主成分として含有する層であり、
中間層の少なくとも一つは、乳酸系重合体(B)と、酢酸ビニル含量85質量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)とを主成分として含有し、示差走査熱量測定において、加熱速度10℃/minで測定されるガラス転移温度が単一となることを特徴とする包装用フィルム。 - 中間層は、乳酸系重合体(B)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(C)とを、10:90〜90:10の質量比率で含有することを特徴とする請求項1記載の包装用フィルム。
- オレフィン系重合体(A)が、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体およびポリプロピレン系エラストマーからなる群の中から選ばれる少なくとも1種のオレフィン系重合体又はこれら2種類以上の組合わせからなる混合樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用フィルム。
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