JP2021136716A - モータ、及び、電動圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】二分割構造のステータを有するモータにおいて、効率の向上を図る。【解決手段】モータ400は、駆動軸420と一体的に回転するロータ440の外周に配置されるステータ460を備える。ステータ460はインナーコア462とアウターコア464とを備える。インナーコア462は、第1円筒部462Aと、第1円筒部462Aの外周面から径方向外方に向かって延びる複数の突設部462Bとを備える。アウターコア464は、第2円筒部464Aと、第2円筒部464Aの内周面から径方向内方に向かって張り出す複数の張出部464Bとを備える。突設部462Bは、その先端に第1嵌合部462Cを有する。張出部464Bは、その先端に第2嵌合部464Cを有する。第1嵌合部462Cが第2嵌合部464Cに嵌合する。張出部464Bの側面464Fが湾曲しつつ第2円筒部464Aの内周面に滑らかに連続している。【選択図】図6
Description
本発明は、流体を圧縮する圧縮機などに使用されるモータ、及びこのモータを搭載した電動圧縮機に関する。
従来、モータのステータとして、インナーコアと、インナーコアに外嵌されるアウターコアとを有する二分割構造のものが種々提案されている。インナーコアは、例えば、円筒形状の第1円筒部と、この第1円筒部の外周面から径方向外方に向かって延びる複数の突設部と、を備える。また、アウターコアは、例えば、円筒形状の第2円筒部と、この第2円筒部の内周面に凹設されて前記突設部の先端が圧入嵌合される複数の溝部と、を備える。このような二分割構造のステータは特許文献1,2に開示されている。
しかしながら、前述のような二分割構造のステータでは、インナーコアとアウターコアとの接続部において、インナーコアの突設部の側面とアウターコアの第2円筒部の内周面とによって略直角の角部(いわゆるピン角)が形成されてしまう。この略直角の角部は、磁束が滑らかに流れること(換言すれば磁気が滑らかに流れること)を阻害するので、鉄損を増加させてモータの効率を低下させるという問題があった。
そこで、本発明は、前述の二分割構造のステータを有するモータにおいて、効率の向上を図ることを目的とする。
本発明の第1態様によると、モータは、回転駆動力を伝達する駆動軸と、駆動軸と一体的に回転するロータと、ロータの外周に配置されるステータと、を備える。ステータは、インナーコアと、インナーコアに外嵌されるアウターコアと、を備える。インナーコアは、円筒形状の第1円筒部と、第1円筒部の外周面から径方向外方に向かって延びる複数の突設部と、を備える。アウターコアは、円筒形状の第2円筒部と、第2円筒部の内周面から径方向内方に向かって張り出す複数の張出部と、を備える。突設部は、その先端に第1嵌合部を有する。張出部は、その先端に第2嵌合部を有する。第1嵌合部が第2嵌合部に嵌合する。張出部の側面が湾曲しつつ第2円筒部の内周面に滑らかに連続している。
本発明の第2態様によると、電動圧縮機は、前述の第1態様のモータを搭載している。
本発明によれば、アウターコアにおいて、張出部の側面が湾曲しつつ第2円筒部の内周面に滑らかに連続している。これにより、張出部と第2円筒部との間で磁束が滑らかに流れることができるので、モータの効率を向上させることができる。
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
図1は、本実施形態に係るモータが組み込まれた、スクロール型圧縮機100の一例を示している。ここで、スクロール型圧縮機100が電動圧縮機の一例として挙げられる。
図1は、本実施形態に係るモータが組み込まれた、スクロール型圧縮機100の一例を示している。ここで、スクロール型圧縮機100が電動圧縮機の一例として挙げられる。
スクロール型圧縮機100は、例えば車両用空調機器の冷媒回路に組み込まれる。スクロール型圧縮機100は、例えば冷媒回路の低圧側から吸入した気体冷媒(流体)を圧縮して吐出する。スクロール型圧縮機100はハウジング200とスクロールユニット300とモータ400とインバータ500と支持部材600とを備える。スクロールユニット300は低圧の気体冷媒を圧縮する。モータ400はスクロールユニット300を駆動する。インバータ500はモータ400を制御する。支持部材600は、モータ400の前後方向に延びる駆動軸420の後部をベアリング760を介して回転自由に支持する。ここで、冷媒回路の冷媒としては、例えばCO2(二酸化炭素)冷媒を使用することができる。また、スクロール型圧縮機100としては、インバータ一体型を一例として挙げるが、インバータ別体型であってもよい。
ハウジング200はフロントハウジング220とリアハウジング240とインバータカバー260とを含んで構成される。フロントハウジング220は、スクロールユニット300、モータ400、インバータ500及び支持部材600を収容する。リアハウジング240は、フロントハウジング220の後端に連結される。インバータカバー260は、フロントハウジング220の前端に連結される。フロントハウジング220、リアハウジング240及びインバータカバー260は、複数の締結具(例えばボルト等)700によって締結されて一体化され得る。
フロントハウジング220は円筒形状の周壁部222と円板形状の仕切壁部224とを含んで構成される。ここで、円筒形状とは、見た目で円筒形状であると認識できる程度でよく、例えば、その外周面に補強用のリブ、取付用のボスなどが形成されていてもよい(形状については以下同様)。フロントハウジング220の内部空間(周壁部222の内部空間)は、仕切壁部224により、第1の空間220Aと第2の空間220Bとに仕切られている。すなわち、仕切壁部224は、周壁部222の内部空間を軸方向に2つに仕切る。第1の空間220Aには、スクロールユニット300、モータ400及び支持部材600が収容されている。第2の空間220Bにはインバータ500が収容されている。
周壁部222の後端開口は、円板形状のリアハウジング240によって閉塞される。周壁部222の前端開口は、インバータカバー260によって閉塞される。仕切壁部224の後面の中央部には、そこから後方に延びる円筒形状の支持部224Aが形成されている。支持部224Aは、その内周面に圧入されたベアリング720を介して、モータ400の駆動軸420の前端部を回転自由に支持する。
周壁部222には、気体冷媒の吸入ポートP1が形成されている。冷媒回路の低圧側からの気体冷媒は、吸入ポートP1を介してフロントハウジング220の第1の空間220Aへと吸入される。従って、フロントハウジング220の第1の空間220Aは、気体冷媒の吸入室H1として機能する。尚、吸入室H1において、気体冷媒がモータ400の周囲を流通することにより、モータ400が冷却される。吸入室H1において、気体冷媒は、微量の潤滑油を含む混合流体として流れている。
リアハウジング240には吐出ポートP2が形成されている。スクロールユニット300で圧縮された気体冷媒は、吐出ポートP2から冷媒回路の高圧側へと吐出される。
リアハウジング240の内部にはオイルセパレータ740が組み込まれている。オイルセパレータ740は、スクロールユニット300で圧縮された気体冷媒から潤滑油を分離する機能を有する。オイルセパレータ740にて潤滑油が分離された気体冷媒(微量の潤滑油が残存する気体冷媒も含む)は、吐出ポートP2を介して冷媒回路の高圧側へと吐出される。一方、オイルセパレータ740にて分離された潤滑油は、後述する背圧供給通路L1へと導かれる。
スクロールユニット300は、フロントハウジング220の後側に収容されている。スクロールユニット300は固定スクロール320と旋回スクロール340とを含んで構成される。固定スクロール320はリアハウジング240の前面に固定されている。旋回スクロール340は固定スクロール320の前側に配置されている。
固定スクロール320は、円板形状の底板322と、インボリュート曲線のラップ(渦巻き形状の羽根)324とを含んで構成される。底板322は、リアハウジング240の前面に固定されている。ラップ324は、底板322の前面から旋回スクロール340に向かって延びている。
旋回スクロール340は、円板形状の底板342と、インボリュート曲線のラップ(渦巻き形状の羽根)344とを含んで構成される。底板342は、固定スクロール320の底板322と対面するように配置されている。ラップ344は、底板342の後面から固定スクロール320に向かって延びている。
固定スクロール320及び旋回スクロール340は、ラップ324とラップ344との周方向の角度が互いにずれた状態で、ラップ324の側壁とラップ344の側壁とが互いに部分的に接触するように噛み合わされる。従って、スクロールユニット300では、固定スクロール320と旋回スクロール340との間に、三日月形状の密閉空間、すなわち、気体冷媒を圧縮する圧縮室H2が区画される。
底板322の後面の中心部には吐出室H3が凹設されている。固定スクロール320の底板322の中心部には、圧縮室H2と吐出室H3とを連通可能な吐出通路L2が貫通形成されている。圧縮室H2で圧縮された気体冷媒は、吐出通路L2を介して吐出室H3に吐出されて吐出室H3にて一時的に貯留される。尚、吐出室H3(吐出通路L2の下流側開口端)には、例えばリードバルブからなる一方向弁326が設けられている。この一方向弁326は、圧縮室H2から吐出室H3への気体冷媒の流れを許容する一方、吐出室H3から圧縮室H2への気体冷媒の流れを阻止する。
モータ400は、例えば三相交流モータである。モータ400は駆動軸420とロータ440とステータ460とを含んで構成される。ステータ460は、ロータ440の外周(すなわち、ロータ440の径方向外方)に配置されている。例えば、車両のバッテリ(図示せず)からの直流電流が、インバータ500によって交流電流に変換されて、モータ400のステータ460に給電される。尚、ステータ460の一例の構造の詳細については、図3〜図6を用いて後述する。
駆動軸420は、後述するクランク機構を介して旋回スクロール340に連結されている。駆動軸420は、モータ400の回転駆動力を旋回スクロール340に伝達する。
ロータ440の中心には前後方向(軸方向)に延びる軸孔が貫通形成されており、この軸孔に駆動軸420が圧入されている。この圧入により、ロータ440と駆動軸420とが一体化されている。ロータ440は、ステータ460の内周面と対面する外周部において周方向に複数の磁石(永久磁石)(図示せず)が埋め込まれている。インバータ500からの給電によってステータ460に磁界が発生すると、ロータ440に回転力が作用して駆動軸420が回転駆動される。
支持部材600は、固定スクロール320の底板322と同一外径の有底円筒形状をなして前後方向(軸方向)に延び、その後端の開口部側から前端の底壁に向かうにつれて2段階に縮径する段付円柱形状の内周面を有している。そして、スクロールユニット300の旋回スクロール340が、支持部材600の大径側の内周面によって区画される空間内に収容される。支持部材600の後端開口部は、例えば、図示しない締結具によって、固定スクロール320の底板322に固定される。従って、支持部材600の後端開口部は、固定スクロール320によって閉塞される。また、旋回スクロール340を固定スクロール320に押し付ける背圧室H4が支持部材600によって区画される。
支持部材600の小径側の内周面には、モータ400の駆動軸420の後部を回転自由に支持するベアリング760が嵌合されている。支持部材600の前端の底壁の径方向中央部には、駆動軸420を挿通するための貫通孔600Aが形成されている。ベアリング760と前述の底壁との間にはシール部材780が配設されており、これにより、背圧室H4の気密性が確保されている。
支持部材600の大径側の内周面によって区画される空間内であって、小径部及び大径部の段部と旋回スクロール340の底板342との間には、環状のスラストプレート800が配置される。支持部材600の段部は、スラストプレート800を介して、旋回スクロール340からのスラスト力を受ける。支持部材600の段部及び旋回スクロール340の底板342のスラストプレート800と当接する部位には、背圧室H4の気密性を確保するシール部材820がそれぞれ配設されている。
リアハウジング240、固定スクロール320及び支持部材600には、背圧供給通路L1が形成されている。背圧供給通路L1は、オイルセパレータ740で分離された潤滑油を背圧室H4へと供給するためのものである。従って、オイルセパレータ740から背圧室H4へと供給された潤滑油は、旋回スクロール340を固定スクロール320に押し付ける背圧として利用される。背圧供給通路L1の途中には、潤滑油の流量を制限するオリフィス840が配設されている。
支持部材600の小径部には、背圧制御弁860が取り付けられている。背圧制御弁860は、背圧室H4の背圧Pmと吸入室H1の吸入圧Psとに応じて作動することで、背圧室H4の背圧Pmを調整する。具体的には、背圧制御弁860は、背圧室H4の背圧Pmが目標圧より上昇すると開弁し、背圧室H4の潤滑油を吸入室H1へと排出することで、背圧室H4の背圧Pmを低下させる。一方、背圧制御弁860は、背圧室H4の背圧Pmが目標圧より低下すると閉弁し、背圧室H4から吸入室H1への潤滑油の排出を中止することで、背圧室H4の背圧Pmを上昇させる。このようにして、背圧制御弁860は、背圧室H4の背圧Pmを目標圧に調整する。
フロントハウジング220の周壁部222の内周面と支持部材600の外周面との間には冷媒導入通路L3が形成されている。冷媒導入通路L3は、吸入室H1と、スクロールユニット300の外周部に位置する空間H5とを連通し、吸入室H1から空間H5へと気体冷媒を導入する。このため、空間H5の圧力は吸入室H1の圧力と等しくなっている。
クランク機構は、旋回スクロール340の底板342の前面に突出形成された円筒形状のボス部880と、駆動軸420の後端面に偏心状態で立設されたクランクピン882と、クランクピン882に偏心状態で取り付けられた偏心ブッシュ884と、ボス部880に嵌合されるすべり軸受886とを含んで構成される。偏心ブッシュ884はすべり軸受886を介してボス部880に相対回転可能に支持されている。駆動軸420の後端部には、旋回スクロール340の遠心力に対抗するバランサウェイト888が取り付けられている。尚、図示を省略するが、旋回スクロール340の自転を阻止する自転阻止機構が備えられている。従って、旋回スクロール340は、その自転が阻止された状態で、クランク機構を介して、固定スクロール320の軸心周りに公転旋回運動可能となっている。
図2は、気体冷媒及び潤滑油の流れを説明するブロック図である。冷媒回路の低圧側からの気体冷媒は、吸入ポートP1を介して吸入室H1に導入され、その後、冷媒導入通路L3を介してスクロールユニット300の外周部に位置する空間H5へと導かれる。そして、空間H5へと導かれた気体冷媒は、スクロールユニット300の圧縮室H2へと取り込まれ、圧縮室H2の容積変化によって圧縮される。圧縮室H2で圧縮された気体冷媒は、吐出通路L2及び一方向弁326を介して吐出室H3へと吐出され、その後、オイルセパレータ740へと導かれる。オイルセパレータ740で潤滑油が分離された気体冷媒は、吐出ポートP2を介して冷媒回路の高圧側へと吐出される。一方、オイルセパレータ740で分離された潤滑油は、オリフィス840により流量が制限された状態で、背圧供給通路L1を介して背圧室H4へと供給される。背圧室H4へと供給された潤滑油は、背圧制御弁860を介して吸入室H1へと排出される。
次に、ステータ460の一例の構造の詳細について、図3〜図6を用いて説明する。図3は、二分割構造のステータ460の一例を示す斜視図である。図4は、ボビン466を取り付けたステータ460の一例を示す斜視図である。図5は、ステータ460の一例の平面図である。図6は、図5の部分Pの部分拡大図である。ここで、図3及び図4は、アウターコア464にインナーコア462を圧入している途中の状態を示している。
モータ400のステータ460は、例えば、巻線の占積率を向上させる目的で、図3〜図6に示すように、インナーコア462とアウターコア464とが圧入によって一体化される二分割構造が採用されている。インナーコア462とアウターコア464とは、それぞれ、積層された複数枚の鋼板(例えば電磁鋼板)によって構成されている。
インナーコア462は、円筒形状の第1円筒部462Aと、第1円筒部462Aの外周面から径方向外方に向かって放射状に延びる複数の突設部462Bとが一体化された鉄心である。第1円筒部462Aの径方向内方には、所定間隔のエアギャップを隔てて回転可能にロータ440が内挿されている。
突設部462Bは、第1円筒部462Aの中心軸の周りに等角度で配置される直方体形状の部材であって、その先端に、凸状嵌合部である第1嵌合部462Cを有する。第1嵌合部462Cは、突設部462Bの先端面462Dよりインナーコア462の径方向外方に向かって突出するほぞ部462Eを含んで構成される。ほぞ部462Eは、インナーコア462の軸方向の一面から他面にかけて形成されている。ほぞ部462Eの幅(第1円筒部462Aの周方向での長さ)は、突設部462Bの先端面462Dの幅(第1円筒部462Aの周方向での長さ)よりも短い。すなわち、第1嵌合部462Cは、突設部462Bの先端面462Dとほぞ部462Eとにより凸形状をなしている。また、第1嵌合部462Cは、凸形状の横断面形状を有して、インナーコア462の軸方向の一面から他面にかけて延在している。
図4に示すように、インナーコア462の突設部462Bについては、その先端(第1嵌合部462C)の外方から巻線が巻き回されたボビン466が挿入されて固定される。巻線は、ボビン466を使用せずに、突設部462Bに直接巻き回してもよい。尚、図示の例では、第1円筒部462Aの外周面に12個の突設部462Bが設けられているが、突設部462Bの個数は、例えば、要求されるモータ400の特性などを考慮して任意に設定され得る。
インナーコア462に外嵌されるアウターコア464は、円筒形状の第2円筒部464Aと、第2円筒部464Aの内周面から径方向内方に向かって張り出す複数の張出部464Bとが一体化された鉄心である。張出部464Bは、アウターコア464の軸方向の一面から他面にかけて形成されている。ここで、張出部464Bの個数は、突設部462Bの個数と同じである。また、ステータ460の径方向における張出部464Bの長さ(張出量)は突設部462Bの延在長さよりも十分に短い。
張出部464Bは、第2円筒部464Aの中心軸の周りに等角度で配置されており、その先端に、凹状嵌合部である第2嵌合部464Cを有する。第2嵌合部464Cは、張出部464Bの先端面464Dに形成された溝部(ほぞ溝部)464Eを含んで構成される。溝部464Eの幅(第2円筒部464Aの周方向での長さ)は、張出部464Bの先端面464Dの幅(第2円筒部464Aの周方向での長さ)よりも短い。すなわち、第2嵌合部464Cは、張出部464Bの先端面464Dと溝部464Eとにより凹形状をなしている。また、第2嵌合部464Cは、凹形状の横断面形状を有して、アウターコア464の軸方向の一面から他面にかけて延在している。
ここで、第2嵌合部464Cについては、第1嵌合部462Cが圧入嵌合されるべく、溝部464Eが、ほぞ部462Eの幅よりも若干小さな幅を有している。従って、インナーコア462及びアウターコア464は、突設部462Bの先端に設けられた第1嵌合部462Cが、張出部464Bの先端に設けられた第2嵌合部464Cに圧入嵌合することで、周方向への相対変位が抑制されて強固に一体化することができる。また、この圧入嵌合により、径方向での相対変位も抑制され得る。
本実施形態では、インナーコア462の突設部462Bの先端面462Dの幅(ステータ460の周方向での長さ)と、アウターコア464の張出部464Bの先端面464Dの幅(ステータ460の周方向での長さ)とが等しい。ゆえに、突設部462Bの側面462Fは、張出部464Bの側面464Fと滑らかに(面一に)接続することができる。尚、本実施形態において、突設部462Bの側面462Fは、ステータ460の周方向に略直交する平面である。本実施形態では、突設部462Bにおける、ステータ460の周方向の両側の側面462F,462Fが、張出部464Bにおける、ステータ460の周方向の両側の側面464F,464Fと滑らかに(面一に)接続し得る。
本実施形態では、アウターコア464の張出部464Bの側面464Fは、ステータ460の横断面において円弧状に湾曲しつつ第2円筒部464Aの内周面に滑らかに(面一に)連続している。アウターコア464の張出部464Bの側面464Fのうち湾曲している部分(つまり、張出部464Bの側面464Fの湾曲部)はR形状である。この湾曲部は側面464Fの一部又は全部であり得る。この湾曲部のR形状の半径rは、以下の式(1)を満たすことが好ましい。
t≦r≦W/2 ・・・(1)
この式(1)において、「t」は、アウターコア464を構成する鋼板(例えば電磁鋼板)の1枚分の厚みを示し、「W」は、インナーコア462の突設部462Bの幅を示す(図6参照)。
つまり、アウターコア464の張出部464Bの側面464Fの湾曲部のR形状の半径rは、アウターコア464を構成する鋼板の1枚分の厚みt以上であり、かつ、インナーコア462の突設部462Bの幅Wの半分以下であることが好ましい。
また、アウターコア464の張出部464Bの側面464Fの湾曲部のR形状の半径rは、0.5mm〜2.5mmの範囲内であることが好ましい。
アウターコア464の張出部464Bは、ステータ460の横断面において、その基端側に向かうほど(換言すればアウターコア464の径方向外方に向かうほど)幅広になるように形成されている。
次に、本実施形態の効果について、前述の図1〜図6に加えて、図7〜図9を用いて説明する。図7は、従来のステータ460’の一例を示す部分拡大図である。図8は、従来のモータの効率と本実施形態におけるモータ400の効率とを示す図である。図9は、従来のモータの運転時の振動加速度と本実施形態におけるモータ400の運転時の振動加速度とを示す図である。ここで、図7は図6に対応するものである。また、例えばモータのハウジングに取り付けられた振動センサで、図9に示す振動加速度が測定され得る。この点、図9は、モータのハウジングに振動センサを取り付けて測定した結果の20kHzまでのオーバーオール値を示している。
尚、モータの効率は、モータの消費電力と出力トルクと回転数とを測定し、以下の式(2)によって計算した。
モータの効率[%]=(2π×モータの出力トルク[N・m]×モータの回転数[rpm]/60)/(モータの消費電力[W])×100 ・・・(2)
従来のステータ460’については、本実施形態におけるほぞ部462Eを含む第1嵌合部462Cが無く、また、溝部464Eを含む第2嵌合部464Cの代わりに溝部464Gが形成されている。溝部464Gは、アウターコア464の軸方向の一面から他面にかけて形成されており、ここにインナーコア462の突設部462Bの先端が圧入嵌合される。この従来のステータ460’では、インナーコア462の突設部462Bの側面462Fとアウターコア464の第2円筒部464Aの内周面とによって形成される角部Cが略直角(いわゆるピン角)になる。この略直角の角部Cは、磁束が滑らかに流れることを阻害する。
この点、本実施形態では、アウターコア464の張出部464Bの側面464Fは、円弧状に湾曲しつつ第2円筒部464Aの内周面に滑らかに連続している。ゆえに、張出部464Bと第2円筒部464Aとの間で磁束が滑らかに流れることができる。この結果、本実施形態におけるモータ400は、従来のモータに比べて、効率が向上し、また、運転時の振動が抑制され得る(図8及び図9参照)。
ここで、図8及び図9において、「従来例1」及び「従来例2」は、従来のステータ460’と同様の構成を含む従来のモータであり、「従来例1」は8極12スロットのモータであり、「従来例2」は6極9スロットのモータである。同じく図8及び図9において、「実施例1」及び「実施例2」は、本実施形態のモータ400であり、「実施例1」は8極12スロットのモータであり、「実施例2」は6極9スロットのモータである。
図8に示すように、8極12スロットのモータの効率に関しては、「従来例1」で83.2%であり、「実施例1」で84.7%であった。ゆえに、効率が1.5ポイント改善した。また、6極9スロットのモータの効率に関しては、「従来例2」で85.5%であり、「実施例2」で87.5%であった。ゆえに、効率が2.0ポイント改善した。
図9に示すように、8極12スロットのモータの振動加速度に関しては、「従来例1」と「実施例1」とを比較することで、モータ運転時の振動が従来よりも減少していることが容易に理解されよう。同様に、6極9スロットのモータの振動加速度に関しても、「従来例2」と「実施例2」とを比較することで、モータ運転時の振動が従来よりも減少していることが容易に理解されよう。
本実施形態によれば、電動圧縮機の一例であるスクロール型圧縮機100に搭載されるモータ400は、回転駆動力を伝達する駆動軸420と、駆動軸420と一体的に回転するロータ440と、ロータ440の外周に配置されるステータ460と、を備える。ステータ460は、インナーコア462と、インナーコア462に外嵌されるアウターコア464と、を備える。インナーコア462は、円筒形状の第1円筒部462Aと、第1円筒部462Aの外周面から径方向外方に向かって延びる複数の突設部462Bと、を備える。アウターコア464は、円筒形状の第2円筒部464Aと、第2円筒部464Aの内周面から径方向内方に向かって張り出す複数の張出部464Bと、を備える。突設部462Bは、その先端に第1嵌合部462Cを有する。張出部464Bは、その先端に第2嵌合部464Cを有する。第1嵌合部462Cが第2嵌合部464Cに嵌合する。張出部464Bの側面464Fが湾曲しつつ第2円筒部464Aの内周面に滑らかに連続している。これにより、張出部464Bと第2円筒部464Aとの間で磁束が滑らかに流れることができるので、モータ400の効率を向上させることができる。
また本実施形態によれば、張出部464Bの側面464Fの湾曲部はR形状である。これにより、簡素な構成で、張出部464Bと第2円筒部464Aとの間で磁束が滑らかに流れることができる。
また本実施形態によれば、アウターコア464は、積層された複数枚の鋼板により構成されている。張出部464Bの側面464Fの湾曲部のR形状の半径rは、前記鋼板の1枚分の厚みt以上である。これにより、プレスで前記鋼板を精度よく打ち抜いてアウターコア464を製作することができる。
また本実施形態によれば、張出部464Bの側面464Fの湾曲部のR形状の半径rは、ステータ460の横断面における突設部462Bの幅Wの半分以下である。これにより、巻線の設置スペースを十分に確保することができる。
また本実施形態によれば、突設部462Bの側面462Fと張出部464Bの側面464Fとが滑らかに連続している。ゆえに、インナーコア462とアウターコア464との接続部をスリムな構成とすることができるので、巻線の設置スペースを十分に確保することができる。
また本実施形態によれば、第1嵌合部462Cが凸状嵌合部であり、第2嵌合部464Cが凹状嵌合部である。しかしながら、これとは逆に、第1嵌合部462Cが凹状嵌合部であり、第2嵌合部464Cが凸状嵌合部であってもよい。つまり、第1嵌合部462Cと第2嵌合部464Cとが相互に嵌合可能な任意の形状であり得る。
以上、本発明を実施するための実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、下記に一例を列挙するように、技術的思想に基づいて種々の変形及び変更が可能である。
電動圧縮機は、スクロール型圧縮機100に限らず、例えば、遠心式圧縮機、軸流式圧縮機、レシプロ圧縮機、斜板式圧縮機、ダイアフラム式圧縮機、スクリュー圧縮機、ロータリー圧縮機、ロータリーピストン型圧縮機、スライドベーン型圧縮機などであってもよい。また、背圧制御弁860は、背圧室H4へと供給される潤滑油の流量を増減することで、背圧室H4の背圧Pmを目標圧に調整するようにしてもよい。
100…スクロール型圧縮機(電動圧縮機)、400…モータ、420…駆動軸、440…ロータ、460,460’…ステータ、462…インナーコア、462A…第1円筒部、462B…突設部、462C…第1嵌合部、462D…先端面、462E…ほぞ部、462F…側面、464…アウターコア、464A…第2円筒部、464B…張出部、464C…第2嵌合部、464D…先端面、464E…溝部、464F…側面、464G…溝部、466…ボビン、r…半径、W…幅
Claims (7)
- 回転駆動力を伝達する駆動軸と、前記駆動軸と一体的に回転するロータと、前記ロータの外周に配置されるステータと、を備えるモータであって、
前記ステータは、インナーコアと、前記インナーコアに外嵌されるアウターコアと、を備え、
前記インナーコアは、円筒形状の第1円筒部と、前記第1円筒部の外周面から径方向外方に向かって延びる複数の突設部と、を備え、
前記アウターコアは、円筒形状の第2円筒部と、前記第2円筒部の内周面から径方向内方に向かって張り出す複数の張出部と、を備え、
前記突設部は、その先端に第1嵌合部を有し、
前記張出部は、その先端に第2嵌合部を有し、
前記第1嵌合部が前記第2嵌合部に嵌合し、
前記張出部の側面が湾曲しつつ前記第2円筒部の内周面に滑らかに連続している、
モータ。 - 前記張出部の側面の湾曲部はR形状である、請求項1に記載のモータ。
- 前記アウターコアは、積層された複数枚の鋼板により構成されており、
前記R形状の半径は、前記鋼板の1枚分の厚み以上である、請求項2に記載のモータ。 - 前記R形状の半径は、前記ステータの横断面における前記突設部の幅の半分以下である、請求項2又は請求項3に記載のモータ。
- 前記突設部の側面と前記張出部の側面とが滑らかに連続している、請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載のモータ。
- 前記第1嵌合部が凸状嵌合部であり、前記第2嵌合部が凹状嵌合部である、請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載のモータ。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載のモータを搭載した電動圧縮機。
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