JP2021136219A - セパレーター及びその製造方法、並びに、蓄電デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の層を有するセパレーターであって、優れた層間の密着性を有するセパレーターを提供する。【解決手段】互いに積層された第1の層110a,210a及び第2の層110b,210bを有し、第1の層110a,210a及び第2の層110b,210bがガラス繊維を含有し、第1の層110a,210a及び第2の層110b,210bからなる群より選ばれる少なくとも一つがビニルアルコール重合体繊維を含有する、セパレーター100,200。【選択図】図1

Description

本発明は、セパレーター及びその製造方法、並びに、蓄電デバイスに関する。
鉛蓄電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ等の各種蓄電デバイスにおいては、電極同士の接触を抑制するため、電極間に配置されるセパレーターが用いられている。例えば、鉛蓄電池用セパレーターとしては、ガラス繊維を用いたシートが提案されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。
特開平11−260335号公報 特開2002-151033号公報
ところで、各種蓄電デバイスにおいては、複数の層を有するセパレーターが用いられる場合がある。このようなセパレーターに対しては、層間が剥離することによって蓄電性能が低下することを抑制する観点等から、優れた層間の密着性を有することが求められる。
本発明の一側面は、複数の層を有するセパレーターであって、優れた層間の密着性を有するセパレーターを提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、このようなセパレーターの製造方法を提供することを目的とする。本発明の他の一側面は、このようなセパレーターを備える蓄電デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一側面は、互いに積層された第1の層及び第2の層を有し、前記第1の層及び前記第2の層がガラス繊維を含有し、前記第1の層及び前記第2の層からなる群より選ばれる少なくとも一つがビニルアルコール重合体繊維を含有する、セパレーターを提供する。
このようなセパレーターは、優れた層間の密着性を有する。そのため、層間が剥離することによって蓄電性能が低下することを抑制することが可能であり、例えば、充放電サイクルの進行に伴い層間が剥離することによって蓄電性能が低下することを抑制することができる。
本発明の他の一側面は、上述のセパレーターの製造方法であって、ガラス繊維を含有する層同士を互いに積層させる積層工程を備え、前記層の一方又は両方がビニルアルコール重合体繊維を含有する、セパレーターの製造方法を提供する。
本発明の他の一側面は、正極と、負極と、上述のセパレーターと、を備え、前記セパレーターが前記正極及び前記負極の間に配置されている、蓄電デバイスを提供する。
本発明の一側面によれば、複数の層を有するセパレーターであって、優れた層間の密着性を有するセパレーターを提供することができる。本発明の他の一側面によれば、このようなセパレーターの製造方法を提供することができる。本発明の他の一側面によれば、このようなセパレーターを備える蓄電デバイスを提供することができる。
セパレーターの例を示す断面図である。 蓄電デバイスの一例を示す分解斜視図である。 繊維径の測定方法を説明するための電子顕微鏡写真の模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。数値範囲の「A以上」とは、A、及び、Aを超える範囲を意味する。数値範囲の「A以下」とは、A、及び、A未満の範囲を意味する。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本実施形態に係るセパレーターは、複数の層(2層以上、3層以上等)を有しており、少なくとも、互いに積層された第1の層及び第2の層を有している。第1の層及び第2の層はガラス繊維を含有し、第1の層及び第2の層からなる群より選ばれる少なくとも一つはビニルアルコール重合体繊維を含有する。第1の層及び第2の層は、互いに接触した状態で互いに積層されている。ビニルアルコール重合体繊維は、ビニルアルコール由来の構造単位を有する繊維状の重合体である。
このようなセパレーターは、優れた層間の密着性を有する。そのため、層間が剥離することによって蓄電性能が低下することを抑制することが可能であり、例えば、充放電サイクルの進行に伴い層間が剥離することによって蓄電性能が低下することを抑制することができる。
優れた層間の密着性を得ることが可能な要因は、下記のとおりであると推測される。但し、要因は下記内容に限定されない。すなわち、ビニルアルコール重合体繊維を構成するビニルアルコール由来の構造単位と、ガラス繊維を構成するガラスとの親和性(材料の親和性)が高いことから、一の層のビニルアルコール重合体繊維と他の層のガラス繊維とが密着しやすい。そして、ビニルアルコール由来の構造単位を含むビニルアルコール重合体が繊維状であることにより、一の層のビニルアルコール重合体繊維と他の層のガラス繊維とが絡み合いやすい。これらの相乗効果によって優れた層間の密着性が得られると推測される。
本発明者の知見によれば、セパレーターを得るに際して複数の層を積層した後に高温で熱処理すると、ロール加工等の加工をセパレーターに施した際にセパレーターが割れる場合があることから、複数の層を低温で熱処理することが考えられる。しかしながら、セパレーターの構成材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等を用いた場合には、低温で熱処理しても優れた層間の密着性が得られない。一方、本実施形態に係るセパレーターによれば、低温(例えば60〜130℃)で熱処理する場合であっても優れた層間の密着性を得ることができる。
本実施形態に係るセパレーターによれば、優れた引張強度を得ることもできる。これにより、蓄電デバイスの組立時にセパレーターが破れることが抑制され、電極間の接触による短絡を防止できる。
本実施形態に係るセパレーターでは、第1の層及び第2の層がビニルアルコール重合体繊維を含有することが好ましい。この場合、第1の層及び第2の層のビニルアルコール重合体繊維同士が絡み合いやすいことから、優れた層間の密着性が得られやすい。第1の層及び第2の層のうちの一方がビニルアルコール重合体繊維を含有する場合、第1の層及び第2の層のうちの他方は、ビニルアルコール重合体繊維を含有してよく、ビニルアルコール重合体繊維を含有していなくてもよい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも、ガラス繊維を含有する第1の層及び第2の層を有しており、例えば、第1の層及び第2の層からなる態様(2層セパレーター)であってよい。2層セパレーターの場合、第1の層及び第2の層は最外層である。2層セパレーターの一例として、図1(a)のセパレーター100では、第1の層110aがセパレーター100の一方面100a側に配置され、第2の層110bがセパレーター100の他方面100b側に配置されている。第1の層110a及び第2の層110bは、互いに接触した状態で互いに積層されていてよい。
本実施形態に係るセパレーターは、第1の層及び第2の層以外の層として、ガラス繊維を含有する一の層(第3の層)又は複数の層(第3の層及び他の層)を更に有してよく、例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる態様(3層セパレーター)であってよい。第3の層は、第1の層及び第2の層の少なくとも一方に接触した状態で積層されている。第3の層は、ビニルアルコール重合体繊維を含有してよく、ビニルアルコール重合体繊維を含有していなくてもよい。3層セパレーターの場合、第1の層及び第3の層は最外層である。
3層セパレーターの一例として、図1(b)のセパレーター200では、第1の層210a、第2の層210b及び第3の層210cがこの順に積層されている。セパレーター200では、第1の層210がセパレーター200の一方面200a側に配置され、第3の層210cがセパレーター200の他方面200b側に配置され、第2の層210bが第1の層210a及び第2の層210bの間に配置されている。第1の層210a及び第2の層210bは、互いに接触した状態で互いに積層されており、第3の層210cは、第2の層210bに接触した状態で第2の層210bに積層されている。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合(第2の層が第1の層と第3の層との間に位置する場合。以下同様)、第1の層及び第2の層からなる群より選ばれる少なくとも一つがビニルアルコール重合体繊維を含有した上で、第3の層は、ビニルアルコール重合体繊維を含有してよく、ビニルアルコール重合体繊維を含有していなくてもよい。この場合、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、第2の層がビニルアルコール重合体繊維を含有することが好ましい。
ガラス繊維としては、例えば、鉛蓄電池用セパレーターに通常使用されている市販のガラス繊維を使用できる。ガラス繊維は、優れた耐久性及び耐酸性が得られやすい観点から、アルカリガラスを含むことが好ましい。ガラス繊維は、Cガラスを含んでいてよい。Cガラス組成のガラス繊維は、耐酸性に優れる。ガラス繊維におけるガラスの含有量は、ガラス繊維の全質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は、99質量%以上であってよい。ガラス繊維は、実質的にガラスからなる(ガラス繊維の100質量%が実質的にガラスである)態様であってもよい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一つの層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ。2層セパレーターの場合には、第1の層及び第2の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ。以下同様)として、下記の範囲の繊維径(例えば数平均繊維径)を有するガラス繊維を含有する層を有することが好ましい。繊維径は、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.8μm以上が更に好ましい。繊維径は、セパレーター内に電解液を保持しやすい観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましい。これらの観点から、繊維径は、0.3〜100μmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一方の最外層として、下記の範囲の繊維径(例えば数平均繊維径)を有するガラス繊維を含有する層を有することが好ましい。繊維径は、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点、及び、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点から、0.3μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.8μm以上が更に好ましい。繊維径は、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点、及び、セパレーター内に電解液を保持しやすい観点から、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。これらの観点から、繊維径は、0.3〜5μmが好ましい。繊維径は、1μm以上であってよく、1μmを超えていてよく、2μmを超えていてよい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第1の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つは、第2の層のガラス繊維より小さい繊維径(例えば数平均繊維径)を有するガラス繊維を含有することができる。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第2の層は、繊維径(例えば数平均繊維径)が下記の範囲であるガラス繊維を含有することが好ましい。繊維径は、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点、及び、セパレーターの細孔径を大きくしやすい観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2μm以上が更に好ましい。繊維径は、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点、及び、セパレーター内に電解液を保持しやすい観点から、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が更に好ましく、10μm以下が特に好ましく、5μm以下が極めて好ましく、3μm以下が非常に好ましい。これらの観点から、繊維径は、1〜100μmが好ましく、1〜10μmがより好ましい。
ガラス繊維の繊維長(例えば数平均繊維長)は、下記の範囲であることが好ましい。繊維長は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、及び、均一な細孔径に調整しやすい観点から、1μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以上が更に好ましい。繊維長は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、及び、後述する抄造時に良好な抄造性を得やすい観点から、30mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましい。これらの観点から、繊維長は、1μm〜30mmが好ましい。
本実施形態において、ガラス繊維の繊維径(例えば数平均繊維径)及び繊維長(例えば数平均繊維長)は、動的画像解析法、レーザースキャン法(例えば、JIS L 1081(羊毛繊維試験方法)に準拠)、走査型電子顕微鏡(SEM)等による直接観察などにより求めることができる。具体的には、これらの方法を用いて少なくとも200本程度のガラス繊維を観察し、その平均値をとることで数平均繊維径及び数平均繊維長を求めることができる。
ビニルアルコール重合体繊維は、バインダーとして用いることができる。ビニルアルコール重合体繊維は、繊維状であり、例えば、2以上のアスペクト比(繊維長/繊維径。例えば平均アスペクト比)を有する。ビニルアルコール重合体繊維の繊維径(例えば数平均繊維径)及び繊維長(例えば数平均繊維長)は、ガラス繊維と同様の方法により測定できる。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一つの層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ)として、下記の範囲の繊維径(例えば数平均繊維径)を有するビニルアルコール重合体繊維を含有する層を有することが好ましい。繊維径は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点、及び、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、1μm以上が更に好ましく、3μm以上が特に好ましく、5μm以上が極めて好ましく、6μm以上が非常に好ましく、7μm以上がより一層好ましく、8μm以上が更に好ましい。繊維径は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点、及び、セパレーター内に電解液を保持しやすい観点から、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が更に好ましく、20μm以下が特に好ましく、15μm以下が極めて好ましく、10μm以下が非常に好ましい。これらの観点から、繊維径は、0.1〜50μmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一つの層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ)として、下記の範囲の繊維長(例えば数平均繊維長)を有するビニルアルコール重合体繊維を含有する層を有することが好ましい。繊維長は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、及び、均一な細孔径に調整しやすい観点から、100μm以上が好ましく、500μm以上がより好ましく、1mm以上が更に好ましく、2mm以上が特に好ましく、3mm以上が極めて好ましく、4mm以上が非常に好ましい。繊維長は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、及び、後述する抄造時に良好な抄造性を得やすい観点から、50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましく、7mm以下が特に好ましく、5mm以下が極めて好ましい。これらの観点から、繊維長は、100μm〜50mmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一つの層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ)として、下記の範囲のアスペクト比(例えば平均アスペクト比)を有するビニルアルコール重合体繊維を含有する層を有することが好ましい。アスペクト比は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、5以上が好ましく、10以上がより好ましく、50以上が更に好ましく、100以上が特に好ましく、200以上が極めて好ましく、300以上が非常に好ましく、400以上がより一層好ましく、500以上が更に好ましく、600以上が特に好ましい。アスペクト比は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、500000以下が好ましく、100000以下がより好ましく、50000以下が更に好ましく、10000以下が特に好ましく、5000以下が極めて好ましく、1000以下が非常に好ましく、700以下がより一層好ましい。これらの観点から、アスペクト比は、2〜500000が好ましく、5〜500000がより好ましい。
ビニルアルコール重合体繊維は、ビニルアルコール由来の構造単位を有するビニルアルコール重合体を含む。ビニルアルコール重合体繊維におけるビニルアルコール重合体の含有量は、ビニルアルコール重合体繊維の全質量を基準として、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は、99質量%以上であってよい。ビニルアルコール重合体繊維は、実質的にビニルアルコール重合体からなる(ビニルアルコール重合体繊維の100質量%が実質的にビニルアルコール重合体である)態様であってもよい。後述のポリビニルアルコール繊維におけるポリビニルアルコールの含有量、ビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維におけるビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体の含有量、エチレンビニルアルコール共重合体繊維におけるエチレンビニルアルコール共重合体の含有量等についても、これらの範囲の含有量であってよい。
ビニルアルコール重合体としては、ポリビニルアルコール、ビニルアルコールとビニル基含有モノマー(ビニルアルコールを除く)との共重合体等が挙げられる。ビニル基含有モノマーとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、塩化ビニル、カルボン酸ビニル等が挙げられる。ビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体において、ビニル基含有モノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ビニルアルコール重合体繊維は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点、及び、鉛蓄電池においてセパレーター内に電解液を保持しやすい観点から、ポリビニルアルコール繊維(PVA繊維)及びビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、ポリビニルアルコール繊維及びエチレンビニルアルコール共重合体繊維(EVOH繊維、エチレンとビニルアルコールとの共重合体繊維)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましく、ポリビニルアルコール繊維を含むことが更に好ましい。
ビニルアルコール重合体繊維は、例えば難水溶性である。例えば、難水溶性の繊維は、ビニルアルコール重合体を変性することにより得ることができる。ビニルアルコール重合体繊維の水100質量部に対する溶解量(25℃)は、10質量部以下、5質量部以下、又は、3質量部以下である。
ビニルアルコール重合体繊維の含有量は、ガラス繊維100質量部に対して下記の範囲であることが好ましい。ビニルアルコール重合体繊維の含有量は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上が更に好ましく、2.0質量部以上が特に好ましく、3.0質量部以上が極めて好ましく、4.0質量部以上が非常に好ましく、5.0質量部以上がより一層好ましく、6.0質量部以上が更に好ましい。ビニルアルコール重合体繊維の含有量は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が更に好ましく、9.0質量部以下が特に好ましく、8.0質量部以下が極めて好ましく、7.0質量部以下が非常に好ましく、6.0質量部以下がより一層好ましい。これらの観点から、ビニルアルコール重合体繊維の含有量は、0.1〜20質量部が好ましい。本実施形態に係るセパレーターにおけるガラス繊維及びビニルアルコール重合体繊維の含有量の相対比は、セパレーターの作製時におけるガラス繊維及びビニルアルコール重合体繊維の配合量の相対比と同一であってよい。
本実施形態に係るセパレーターを構成する層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ)におけるポリビニルアルコール繊維の含有量は、ビニルアルコール重合体繊維の全質量(層に含まれるビニルアルコール重合体繊維の全質量)を基準として下記の範囲であることが好ましい。ポリビニルアルコール繊維の含有量は、優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が特に好ましく、30質量%以上が極めて好ましく、50質量%以上が非常に好ましく、70質量%以上がより一層好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましく、98質量%以上が極めて好ましく、99質量%以上が非常に好ましい。本実施形態に係るセパレーターを構成する層におけるビニルアルコール重合体繊維は、実質的にポリビニルアルコール繊維からなる(ビニルアルコール重合体繊維の100質量%が実質的にポリビニルアルコール繊維である)態様であってもよい。ポリビニルアルコール繊維の含有量は、100質量%未満、90質量%以下、70質量%以下、50質量%以下、50質量%未満、30質量%以下、10質量%以下、5質量%以下、又は、2質量%以下であってよい。
本実施形態に係るセパレーターを構成する層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ)におけるビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維(例えば、エチレンビニルアルコール共重合体繊維)の含有量は、ビニルアルコール重合体繊維の全質量(層に含まれるビニルアルコール重合体繊維の全質量)を基準として下記の範囲であってよい。ビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維の含有量は、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又は、99質量%以上であってよい。本実施形態に係るセパレーターを構成する層におけるビニルアルコール重合体繊維は、実質的にビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維からなる(ビニルアルコール重合体繊維の100質量%が実質的にビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維である)態様であってもよい。ビニルアルコールとビニル基含有モノマーとの共重合体繊維の含有量は、100質量%未満、99質量%以下、98質量%以下、90質量%以下、70質量%以下、又は、50質量%以下であってよい。
本実施形態に係るセパレーターを構成する層(例えば、第1の層、第2の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つ)は、ビニルアルコール重合体繊維以外のバインダーを含有することができる。バインダーとしては、例えば、有機系バインダーを用いることができる。有機系バインダーとしては、耐酸性及び耐水性に優れるバインダーが好ましく、オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン系樹脂等が挙げられる。有機系バインダーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るセパレーターの全厚(膜厚)Tは、下記の範囲が好ましい。セパレーターの全厚Tは、一般的な抄造方法でセパレーターを作製しやすい観点、及び、必要量の電解液を保持しやすい観点から、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましく、0.4mm以上が更に好ましく、0.5mm以上が特に好ましく、0.6mm以上が極めて好ましく、0.7mm以上が非常に好ましい。セパレーターの全厚Tは、使用する電極(極板等)を増やすことができ、蓄電デバイスを高容量化しやすい観点から、2.0mm以下が好ましく、1.75mm以下がより好ましく、1.75mm未満が更に好ましく、1.5mm以下が特に好ましく、1.2mm以下が極めて好ましく、1.0mm以下が非常に好ましく、1.0mm未満がより一層好ましく、0.8mm以下が更に好ましい。これらの観点から、セパレーターの全厚Tは、0.1〜2.0mmが好ましい。セパレーターの全厚Tは、1.5mmを超えていてもよい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一方の最外層として、下記の範囲の厚さを有する層を有することが好ましい。厚さは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましく、0.2mm以上が特に好ましい。厚さは、使用する電極(極板等)を増やすことができ、蓄電デバイスを高容量化しやすい観点から、1mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.6mm以下が更に好ましく、0.4mm以下が特に好ましく、0.35mm以下が極めて好ましく、0.3mm以下が非常に好ましい。これらの観点から、厚さは、0.01〜1mmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、セパレーターの全厚Tに対する、第1の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つの厚さTaの比率Ta/Tは、下記の範囲が好ましい。比率Ta/Tは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、0.45以下が更に好ましく、0.4以下が特に好ましく、0.375以下が極めて好ましい。比率Ta/Tは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.25以上が更に好ましく、0.3以上が特に好ましく、1/3以上が極めて好ましく、0.35以上が非常に好ましい。これらの観点から、比率Ta/Tは、0.1〜0.6が好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第1の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つの厚さTaは、下記の範囲が好ましい。厚さTaは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.01mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましく、0.2mm以上が特に好ましく、0.25mm以上が極めて好ましく、0.3mm以上が非常に好ましい。厚さTaは、使用する電極(極板等)を増やすことができ、蓄電デバイスを高容量化しやすい観点から、1mm以下が好ましく、0.8mm以下がより好ましく、0.6mm以下が更に好ましく、0.4mm以下が特に好ましく、0.35mm以下が極めて好ましく、0.3mm以下が非常に好ましい。これらの観点から、厚さTaは、0.01〜1mmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、セパレーターの全厚Tに対する第2の層の厚さTbの比率Tb/Tは、下記の範囲が好ましい。比率Tb/Tは、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点から、0.1以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、0.2以上が更に好ましく、0.25以上が特に好ましい。比率Tb/Tは、セパレーター中において電解液を保持しやすい観点から、0.9以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.5以下が更に好ましく、0.4以下が特に好ましく、1/3以下が極めて好ましく、0.3以下が非常に好ましい。これらの観点から、比率Tb/Tは、0.1〜0.9が好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第2の層の厚さTbは、下記の範囲であることが好ましい。厚さTbは、セパレーター中において電解液を保持しやすい観点から、0.02mm以上が好ましく、0.05mm以上がより好ましく、0.1mm以上が更に好ましく、0.15mm以上が特に好ましく、0.2mm以上が極めて好ましい。厚さTbは、使用する電極(極板等)を増やすことができ、蓄電デバイスを高容量化しやすい観点から、2mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1mm以下が更に好ましく、0.8mm以下が特に好ましく、0.6mm以下が極めて好ましく、0.5mm以下が非常に好ましく、0.45mm以下がより一層好ましく、0.4mm以下が更に好ましく、0.3mm以下が特に好ましく、0.25mm以下が極めて好ましく、0.2mm以下が非常に好ましい。これらの観点から、厚さTbは、0.02〜2mmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第1の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つの厚さTaの第2の層の厚さTbに対する比率Ta/Tbは、下記の範囲が好ましい。比率Ta/Tbは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましく、0.7以上が特に好ましく、0.9以上が極めて好ましく、1以上が非常に好ましく、1を超えることがより一層好ましく、1.25以上が更に好ましく、1.5以上が特に好ましい。比率Ta/Tbは、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点から、3以下が好ましく、2.5以下がより好ましく、2以下が更に好ましく、1.75以下が特に好ましく、1.5以下が極めて好ましい。これらの観点から、比率Ta/Tbは、0.1〜3が好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第1の層及び第3の層の厚さの合計Ttは、第2の層の厚さTbより大きくてよい。すなわち、第2の層の厚さTbに対する第1の層及び第3の層の厚さの合計Ttの比率Tt/Tbは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、1を超えることが好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、1.75以上が特に好ましく、2以上が極めて好ましく、2.5以上が非常に好ましく、2.75以上がより一層好ましく、3以上が更に好ましい。比率Tt/Tbは、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点から、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましく、5以下が特に好ましく、4以下が極めて好ましく、3以下が非常に好ましい。これらの観点から、比率Tt/Tbは、1を超え10以下が好ましい。
本実施形態に係るセパレーターは、少なくとも一方の最外層として、下記の範囲の平均細孔径を有する層を有することが好ましい。平均細孔径は、セパレーター中において電解液が拡散しやすい観点から、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2μm以上が更に好ましく、2.5μm以上が特に好ましく、3μm以上が極めて好ましい。平均細孔径は、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下が更に好ましく、6μm以下が特に好ましく、5μm以下が極めて好ましく、4.5μm以下が非常に好ましく、4μm以下がより一層好ましく、3.5μm以下が更に好ましい。これらの観点から、平均細孔径は、1〜10μmが好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第2の層の平均細孔径は、下記の範囲が好ましい。平均細孔径は、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、5μm以上が好ましく、5μmを超えることがより好ましく、6μm以上が更に好ましく、7μm以上が特に好ましく、8μm以上が極めて好ましく、9μm以上が非常に好ましく、10μm以上がより一層好ましい。平均細孔径は、セパレーター中において電解液を保持しやすい観点から、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、30μm以下が特に好ましく、20μm以下が極めて好ましく、18μm以下が非常に好ましく、15μm以下がより一層好ましく、13μm以下が更に好ましく、12μm以下が特に好ましく、11.5μm以下が極めて好ましく、11μm以下が非常に好ましく、10.5μm以下がより一層好ましい。これらの観点から、平均細孔径は、5〜100μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
本実施形態に係るセパレーターが、第1の層と第3の層との間に第2の層を有する場合、第1の層及び第3の層からなる群より選ばれる少なくとも一つの平均細孔径Daの第2の層の平均細孔径Dbに対する比率Da/Dbは、下記の範囲が好ましい。比率Da/Dbは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.25以上が更に好ましく、0.3以上が特に好ましい。比率Da/Dbは、鉛蓄電池において浸透短絡を防止しやすい観点から、1未満が好ましく、0.9以下がより好ましく、0.8以下が更に好ましく、0.7以下が特に好ましく、0.6以下が極めて好ましく、0.5以下が非常に好ましく、0.45以下がより一層好ましく、0.4以下が更に好ましい。これらの観点から、比率Da/Dbは、0.1以上1未満が好ましい。
セパレーターを構成する各層の厚さは、実施例に記載の方法により測定できる。平均細孔径は、例えば、全自動細孔分布測定装置(Poro Master 60−GT、Quanta Chrome Co.社製)を用い、測定対象の層0.05gをスモールセル(径:10mm×30mm)に加えて測定できる。水銀パラメータについては、水銀接触角を140degreesに設定し、水銀表面張力を480dyn/cmに設定できる。細孔径の測定範囲を0.0036〜1000μmの範囲に設定してそれぞれの値を算出し、メジアン細孔径を平均細孔径として得ることができる。
本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、少なくとも上述の第1の層及び第2の層を有するセパレーターの製造方法である。本実施形態に係るセパレーターの製造方法によれば、本実施形態に係るセパレーターを得ることができる。
本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、ガラス繊維を含有する層同士を互いに積層させる積層工程を備え、前記層(積層工程において積層される層)の一方又は両方がビニルアルコール重合体繊維を含有する。積層工程では、ガラス繊維を含有する層を含む積層物を得ることができる。積層工程において積層される層は、セパレーターを構成する層と同一の層(第1の層、第2の層、第3の層等)であってよく、後述の熱処理工程等を経ることにより、セパレーターを構成する層となる層であってよい。
本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、積層工程において積層される層を作製する層作製工程を備えてよい。層作製工程は、ガラス繊維を含むスラリーを用いて抄造を行うことにより層を得る工程であってよく、スラリーはビニルアルコール重合体繊維を含んでよい。この場合、ガラス繊維は、上述の好ましい範囲の繊維径(例えば数平均繊維径)を有することができる。層作製工程において用いるガラス繊維又はビニルアルコール重合体繊維の繊維径を調整することにより層の細孔径を調整することができる。層作製工程において用いるガラス繊維又はビニルアルコール重合体繊維の量を調整することにより層の厚さを調整することができる。
抄造により層を作製する方法としては、湿式抄造、乾式抄造等が挙げられる。これらの中でも、湿式法に基づく抄造法(湿式抄造)が好ましい。層作製工程は、例えば、ガラス繊維等を含むスラリーを調製するスラリー調製工程と、スラリーを抄紙して抄造体を作製する抄造体作製工程と、を有する。スラリーを抄紙して得られる抄造体は、ガラス繊維をバインダーで接着したシート状又はマット状の成形体であってよく、以下、当該成形体を「ガラスシート」ということがある。
スラリー調製工程においては、ガラス繊維等を所定の分散媒体に分散させる。スラリーの調製は、例えば、ミキサー、ボールミル、パルパー等により行うことができる。分散媒体としては、水を用いることができる。スラリー中の各原料成分の含有量は、例えば、得られるセパレーター中の各原料成分の含有量が上記の範囲となるように調整することができる。スラリー調製工程においてビニルアルコール重合体繊維を用いる場合、ビニルアルコール重合体繊維の含有量は、ガラス繊維100質量部に対して、本実施形態に係るセパレーターに関して上述した範囲であることが好ましい。
スラリーは、界面活性剤を含んでいてもよい。スラリーが界面活性剤を含むことで、セパレーターを製造する際に原料成分を分散させやすい。界面活性剤は、後の熱処理において分解されてもよい。界面活性剤は、シランカップリング剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤等のいずれであってもよい。界面活性剤の含有量は、スラリーの全質量を基準として、0.01〜5質量%であることが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩を用いることが好ましい。カチオン性界面活性剤としては、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ココ(精留)ベンジルジメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジ(水素化牛脂)ジメチルアンモニウム、塩化ジ(水素化牛脂)ベンジルメチルアンモニウム、塩化(水素化牛脂)ベンジルジメチルアンモニウム、塩化ジオレイルジメチルアンモニウム、塩化ジ(エチレンヘキサデカンカルボキシレート)ジメチルアンモニウム、塩化ジアリルジメチルアンモニウム、二塩化N−オクタデシル−N−ジメチル−N’−トリメチル−プロピレン−ジアンモニウム、ポリ(塩化ジオクチルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジデシルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジココイルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ココベンジルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジオレイルジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジ(エチレンヘキサデカンカルボキシレート)ジメチルアンモニウム)、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、カルボキシレート類、N−アシルサルコシネート類、アルカンスルホネート類、直鎖及び分岐鎖アルキルアリールスルホネート類、ジアルキルスルホスクシネート類、アリールスルホネート類、ナフタリンスルホネート類、N−アシル−N−アルキルラウレート類、脂肪酸類の2−スルホエチルエステル類、オレフインスルホネート類、アルキルサルフエート類、サルフエート化した天然オイル類、サルフエート化したアルキルフェノールアルコキシレート類、アルカノール類、フェノール及びアルキルフェノールアルコキシレート類のホスフェートエステル類、アルキル(アリール)スルホネート類、スルフェートエステル類、ホスフェートエステル類、アルキル(アリール)ホスフェート類、アルキル(アリール)ホスホネート類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート類、カルボキシル化アルキルエトキシレート類、カルボキシル化ドデシルベンゼンスルホネート類、アンモニウムポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート類等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンジアルキルエステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類等が挙げられる。
スラリーは、凝集剤を含んでいてもよい。スラリーが凝集剤を含むことで、製造されるセパレーターの歩留まりを向上させることができる。凝集剤は、無機系凝集剤(硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミ二ウム、ポリ硫酸第二鉄、塩化第二鉄等)、カチオン性高分子凝集剤、アニオン性高分子凝集剤などのいずれであってもよい。凝集剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。凝集剤の含有量は、スラリーの固形分の全量を基準として、0.01〜10質量%が好ましい。凝集剤の含有量は、ガラス繊維の全質量に対して、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜6質量%が更に好ましい。
本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、積層工程の後において、積層工程で得られた積層物(例えば、抄造体(ガラスシート)の積層物)を圧縮して圧縮体を作製する圧縮体作製工程を備えてよい。圧縮体作製工程では、積層物の積層方向(厚み方向)に積層物を圧縮することができる。圧縮体作製工程では、プレス機等の加圧機を用いることができる。圧縮時の圧力は、1〜10000kPaであってよい。圧縮時間は、1〜5分間であってよい。圧縮体作製工程は、層作製工程において行われてもよい。
本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、積層工程の後において、積層工程で得られた積層物を熱処理する熱処理工程を備えてよい。熱処理工程は圧縮体作製工程の前又は後に行われてよく、例えば、熱処理工程において、圧縮体作製工程で得られる圧縮体を熱処理してよい。圧縮体作製工程及び熱処理工程が同時に行われてよく、すなわち、本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、積層工程の後において、積層工程で得られた積層物を圧縮すると共に熱処理する工程を備えてよい。熱処理工程は、層作製工程において行われてもよい。
熱処理工程では、バインダーの軟化点以上の温度で積層物を熱処理することができる。これにより、バインダーが軟化してガラス繊維等同士を確実に結着させることができると共に、ガラス繊維等の表面の一部又は全部をバインダーで被覆することでセパレーターに柔軟性を付与することができる。さらに、バインダーが一部分解してテンプレートとして機能し、電解液の保持力を向上させることができる。
熱処理工程における熱処理温度は、ガラス繊維等同士を結着させやすいことにより優れた層間の密着性及び引張強度が得られやすい観点から、60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、110℃以上が更に好ましく、120℃以上が特に好ましい。熱処理温度は、セパレーターが割れやすくなるのを抑制しやすい観点から、200℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、150℃以下が更に好ましく、140℃以下が特に好ましく、130℃以下が極めて好ましい。これらの観点から、熱処理温度は、60〜200℃が好ましく、100〜180℃がより好ましく、100〜150℃が更に好ましく、100〜140℃が特に好ましく、100〜130℃が極めて好ましく、110〜130℃が非常に好ましく、120〜130℃がより一層好ましい。例えば、本実施形態に係るセパレーターの製造方法は、積層工程で得られた積層物を60〜130℃で熱処理する工程を備えてよい。
本実施形態に係る蓄電デバイスは、正極と、負極と、本実施形態に係るセパレーターと、を備え、セパレーターが正極及び負極の間に配置されている。蓄電デバイスとしては、鉛蓄電池、リチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ、亜鉛電池(ニッケル亜鉛電池等)、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池などが挙げられる。例えば、本実施形態に係る蓄電デバイスは、鉛蓄電池であってよく、制御弁式鉛蓄電池であってよい。以下、蓄電デバイスの一例として、鉛蓄電池の構成について説明する。
本実施形態では、セパレーターの少なくとも一部が正極及び負極の間に配置されている。セパレーターは、袋状であってよい。セパレーターは、正極及び負極からなる群より選ばれる少なくとも一つを包んでいてよい。セパレーターは、正極及び/又は負極を包んでいなくてもよい。
正極(例えば正極板)は、正極集電体と、正極活物質充填部とを有しており、正極活物質が正極集電体に充填されることにより正極活物質充填部が形成されている。負極(例えば負極板)は、負極集電体と、負極活物質充填部とを有しており、負極活物質が負極集電体に充填されることにより負極活物質充填部が形成されている。本明細書では、化成後の正極から正極集電体を除いたものを「正極活物質」と称し、化成後の負極から負極集電体を除いたものを「負極活物質」と称する。
正極活物質は、Pb成分としてβ−PbOを含むことができる。正極活物質は、α−PbOを含んでいてよく、α−PbOを含んでいなくてもよい。正極活物質は、必要に応じて、PbO以外のPb成分(例えばPbSO)及び後述の添加剤を含むことができる。
正極活物質は、正極活物質の原料を含むペースト状正極活物質(正極活物質ペースト)を熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に未化成の正極活物質を化成することで得ることができる。正極は、正極集電体(鋳造格子体、エキスパンド格子体等)に充填されたペースト状正極活物質を熟成及び乾燥することにより未化成の正極活物質を得た後に未化成の正極活物質を化成することで得ることができる。未化成の正極活物質は、主成分として三塩基性硫酸鉛を含んでいてよい。正極活物質の原料としては、鉛粉、鉛丹(Pb)等が挙げられる。
正極集電体は、正極活物質からの電流の導電路となり、かつ、正極活物質を保持するものである。正極集電体は、例えば格子状を呈している。正極集電体の組成としては、例えば、鉛−カルシウム−錫系合金、鉛−アンチモン−ヒ素系合金等の鉛合金が挙げられる。用途に応じて適宜セレン、銀、ビスマス等を正極集電体に添加してもよい。これらの鉛合金を重力鋳造法、エキスパンド法、打ち抜き法等で格子状に形成することにより正極集電体を得ることができる。
正極活物質に含まれ得る添加剤としては、例えば、炭素材料(炭素繊維を除く)及び補強用短繊維が挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック及び黒鉛が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びケッチェンブラックが挙げられる。補強用短繊維としては、例えば、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、及び、炭素繊維が挙げられる。
負極活物質は、Pb成分としてPbを含むことができる。負極活物質は、必要に応じて、Pb以外のPb成分(例えばPbSO)及び後述の添加剤を含むことができる。負極活物質は、多孔質の海綿状鉛(Spongy Lead)を含んでいてよい。
負極活物質は、負極活物質の原料を含むペースト状負極活物質(負極活物質ペースト)を熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に未化成の負極活物質を化成することで得ることができる。負極は、負極集電体(鋳造格子体、エキスパンド格子体等)に充填されたペースト状負極活物質を熟成及び乾燥することにより未化成の負極活物質を得た後に未化成の負極活物質を化成することで得ることができる。未化成の負極活物質は、主成分として三塩基性硫酸鉛を含んでいてよい。負極活物質の原料としては、鉛粉等が挙げられる。
負極集電体は、負極活物質からの電流の導電路となり、かつ、負極活物質を保持するものである。負極集電体は、上述した正極集電体と同一であってもよく、異なっていてもよい。
負極活物質に含まれ得る添加剤としては、例えば、スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂、硫酸バリウム、炭素材料(炭素繊維を除く)及び補強用短繊維が挙げられる。スルホ基及び/又はスルホン酸塩基を有する樹脂としては、例えば、リグニンスルホン酸、リグニンスルホン酸塩、及び、フェノール類とアミノアリールスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物(例えば、ビスフェノールとアミノベンゼンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合物)が挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック及び黒鉛が挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック及びケッチェンブラックが挙げられる。補強用短繊維としては、例えば、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、及び、炭素繊維が挙げられる。
ペースト状正極活物質及び/又はペースト状負極活物質は、溶媒及び/又は硫酸を含んでいてもよい。溶媒としては、例えば、水(例えばイオン交換水)及び有機溶媒が挙げられる。
図2は、鉛蓄電池の一例を示す分解斜視図である。図2に示す鉛蓄電池1は、複数の正極板2と、複数の負極板3と、複数のセパレーター4と、中空状の電槽5と、電槽5を密閉する蓋体6とを備えている。蓋体6には、電槽5内の圧力を制御する制御弁7と、正極板2を外部に接続する正極端子8と、負極板3を外部に接続する負極端子9とが設けられている。
正極板2は、正極集電体と、正極集電体に充填された正極活物質充填部とを有している。負極板3は、負極集電体と、負極集電体に充填された負極活物質充填部とを有している。正極板2と負極板3とが交互に配置されると共に正極板2と負極板3との間にセパレーター4が配置されることにより極板群が構成される。
各正極板2に設けられた耳部2a同士がストラップ2bを介して接続されることにより、複数の正極板2は互いに電気的に接続されている。各負極板3に設けられた耳部3a同士がストラップ3bを介して接続されることにより、複数の負極板3は互いに電気的に接続されている。正極板2のストラップ2bには、正極板2を正極端子8に接続するための正極柱2cが設けられている。負極板3のストラップ3bには、負極板3を負極端子9に接続するための負極柱3cが設けられている。
セパレーター4は、例えば、電解液を保持する電解液保持体(リテーナ)として用いることができる。セパレーター4は、少なくとも上述の第1の層及び第2の層を有している。
電槽5は、極板群を収容可能であり、希硫酸等の電解液に対する耐性を有していれば特に制限されない。電槽5は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ABS樹脂等で形成されている。電槽5内は、複数のセル室に分けられていてよく、この場合、例えば、各セル室内に極板群が収容される。そして、一のセル室内に収容された極板群と、それに隣接するセル室内に収容された極板群とを、反対の極性のストラップ間が接続されるように互いに接続することにより鉛蓄電池を構成できる。
電槽5には、極板群と電解液とが収容されている。電解液は、例えば、硫酸を含有している。電解液は、アルミニウムイオンを更に含有していてもよい。アルミニウムイオンを含有する電解液は、例えば、硫酸及び硫酸アルミニウムを混合することにより得ることができる。
蓋体6は、例えば、電槽5と同じ材料で形成されている。蓋体6は、例えば、熱融着又は接着剤を用いた接着により電槽5に取り付けられる。
本実施形態に係るマイクロハイブリッド車、電動車又は電源装置は、本実施形態に係る蓄電デバイスを備える。本実施形態に係るマイクロハイブリッド車、電動車又は電源装置の製造方法は、本実施形態に係る蓄電デバイスの製造方法により蓄電デバイスを得る工程を備える。本実施形態に係るマイクロハイブリッド車、電動車又は電源装置の製造方法は、例えば、本実施形態に係る蓄電デバイスの製造方法により蓄電デバイスを得る工程と、前記蓄電デバイスを含む構成部材を組み立ててマイクロハイブリッド車、電動車又は電源装置を得る工程とを備えている。マイクロハイブリッド車としては、ISS車(start−stop system vehicle)、発電制御車等が挙げられる。電動車としては、フォークリフト、ゴルフカート等が挙げられる。電源装置としては、UPS、防災(非常)無線用電源、電話用電源等が挙げられる。本実施形態によれば、マイクロハイブリッド車用、電動車用(例えば、フォークリフト用)、又は、電源装置用の蓄電デバイスが提供される。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ガラス繊維の数平均繊維径の測定>
後述するガラス繊維の数平均繊維径は、予め下記の手順で測定した。ガラス繊維をエポキシ樹脂で注型した後、ダイヤモンドカッターで厚さ4mmにスライスした。スライス後、ガラス繊維の断面部分(ガラス繊維の長さ方向に垂直な断面部分)を直径9μmのダイヤモンド砥粒で研磨した。さらに、直径5μmのダイヤモンド砥粒で研磨した後に直径1μmのダイヤモンド砥粒で研磨することにより測定サンプルを作製した。測定サンプルにイオンスパッタ(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:E−1030)で白金を蒸着後、SEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、商品名:S−8020)を用いてガラス繊維の断面を観察した。計200本のガラス繊維の繊維径を測定し、この平均値を数平均繊維径として得た。このとき、ガラス繊維の断面が真円状である場合は、真円の直径を繊維径として取得し、ガラス繊維の断面が楕円形状である場合は、短径を繊維径として取得した(図3参照。符号A及びBは繊維径を表す)。ガラス繊維の長さ方向に平行な断面は繊維径の測定からは除外した。
<ビニルアルコール重合体繊維の準備>
ビニルアルコール重合体繊維として下記の繊維を準備した。
・ポリビニルアルコール繊維(株式会社クラレ製、商品名:SPG056、数平均繊維径:8μm、数平均繊維長:5mm、平均アスペクト比:630)
・エチレンビニルアルコール重合体繊維(株式会社クラレ製、商品名:S030、数平均繊維径:8μm、数平均繊維長:5mm、平均アスペクト比:630)
<ガラスシートの作製>
(ガラスシートa1)
数平均繊維径0.8μmのガラス繊維a1(含水率:5質量%、Lauscha社製、商品名:C−08−R)210gに水を加えて20kgに調整した後、界面活性剤(分散剤、明成化学工業株式会社製、商品名:パスコールHA−52、「パスコール」は登録商標)20gを加えて混合液L11を得た。この混合液L11を20L用のパルパー(熊谷理機工業株式会社製)に投入した後、混合液L11を10分間撹拌した。数平均繊維径4.1μmのガラス繊維a2についても、同様の手順で混合液L12を調製した後に撹拌した。撹拌後、ガラス繊維a1を含む混合液L11から4.5kgを分取し、ガラス繊維a2を含む混合液L12から0.5kgを分取した後、これらを混合して混合液Aを得た。つまり、この混合液Aは、ガラス繊維の全質量を基準として、数平均繊維径0.8μmのガラス繊維90質量%、及び、数平均繊維径4.1μmのガラス繊維10質量%を含んでいた。
続いて、ガラス繊維100質量部に対して6質量部のポリビニルアルコール繊維を混合液Aに加えた後、撹拌機で10分間撹拌することによりスラリーa1を調製した。
80メッシュの金網を設置したφ160mm丸型シートマシン(熊谷理機工業株式会社製)に、水を注入しながら140gのスラリーa1を流し入れた。シートマシン内部の水量が80%程度(7L)になるまで水を注入した後、撹拌棒で数回攪拌した。その後、水を抜き、抄紙してガラスシートa1(抄造体)を得た。
ショッパー形厚さ測定器(株式会社安田精機製作所製)を用い、20kgf/cm(1.96MPa)加圧下でガラスシートa1の厚さを6点測定し、その平均値をガラスシートa1の厚さ(セパレーターを構成する層の厚さ)として得た。ガラスシートa1の厚さは0.3mmであった。ガラスシートの厚さについては、以下同様に測定した。
ガラスシートa1の平均細孔径を次の手順で測定した。全自動細孔分布測定装置(Poro Master 60−GT、Quanta Chrome Co.社製)を用い、測定対象の層0.05gをスモールセル(径:10mm×30mm)に加えて測定できる。水銀パラメータについては、水銀接触角を140degreesに設定し、水銀表面張力を480dyn/cmに設定できる。細孔径の測定範囲を0.0036〜1000μmの範囲に設定してそれぞれの値を算出し、メジアン細孔径を平均細孔径として得た。ガラスシートa1の平均細孔径は3μmであった。ガラスシートの平均細孔径については、以下同様に測定した。
(ガラスシートa2)
ポリビニルアルコール繊維に代えてエチレンビニルアルコール重合体繊維を用いたことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートa2を得た。ガラスシートa2の厚さは0.3mmであり、平均細孔径は5μmであった。
(ガラスシートa3)
混合液Aに加えるビニルアルコール重合体繊維として、6質量部のポリビニルアルコール繊維に代えて、3質量部のポリビニルアルコール繊維及び3質量部のエチレンビニルアルコール重合体繊維を用いたことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートa3を得た。ガラスシートa3の厚さは0.3mmであり、平均細孔径は4μmであった。
(ガラスシートa4)
混合液Aに加えるビニルアルコール重合体繊維として、6質量部のポリビニルアルコール繊維に代えて、0.1質量部のポリビニルアルコール繊維及び5.9質量部のエチレンビニルアルコール重合体繊維を用いたことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートa4を得た。ガラスシートa4の厚さは0.3mmであり、平均細孔径は5μmであった。
(ガラスシートxa1)
スラリーa1に代えて、ポリビニルアルコール繊維を用いることなく混合液Aを用いて抄紙したことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートxa1を得た。ガラスシートxa1の厚さは0.3mmであった。平均細孔径はガラスシートの強度が弱く測定できなかった。
(ガラスシートxa2)
ポリビニルアルコール繊維に代えてポリエステル繊維(芯鞘状、ユニチカ株式会社製、商品名:キャスベン7080)を用いたことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートxa2を得た。ガラスシートxa2の厚さは0.3mmであった。平均細孔径はガラスシートの強度が弱く測定できなかった。
(ガラスシートxa3)
ポリビニルアルコール繊維に代えてポリビニルアルコール(非繊維状、平均重合度:500、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:ポリビニルアルコール500)を用いたことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートxa3を得た。ガラスシートxa3の厚さは0.3mmであった。平均細孔径はガラスシートの強度が弱く測定できなかった。ポリビニルアルコールは、水に溶解させて用いた。
(ガラスシートb1)
ガラス繊維a1及びガラス繊維a2に代えて数平均繊維径2.4μmのガラス繊維bを用いたこと以外は混合液Aと同様の手順で混合液Bを得た。続いて、ガラス繊維100質量部に対して6質量部のポリビニルアルコール繊維を混合液Bに加えた後、撹拌機で10分間撹拌することによりスラリーbを調製した。
140gのスラリーa1に代えて100gのスラリーbを用いたことを除きガラスシートa1と同様に手順でガラスシートb1を得た。ガラスシートb1の厚さは0.2mmであり、平均細孔径は10μmであった。
(ガラスシートb2)
ポリビニルアルコール繊維に代えてエチレンビニルアルコール重合体繊維を用いたことを除きガラスシートb1と同様に手順でガラスシートb2を得た。ガラスシートb2の厚さは0.2mmであり、平均細孔径は12μmであった。
(ガラスシートb3)
混合液Bに加えるビニルアルコール重合体繊維として、6質量部のポリビニルアルコール繊維に代えて、0.1質量部のポリビニルアルコール繊維及び5.9質量部のエチレンビニルアルコール重合体繊維を用いたことを除きガラスシートb1と同様に手順でガラスシートb3を得た。ガラスシートb3の厚さは0.2mmであり、平均細孔径は12μmであった。
(ガラスシートxb1)
スラリーbに代えて、ポリビニルアルコール繊維を用いることなく混合液Bを用いて抄紙したことを除きガラスシートb1と同様に手順でガラスシートxb1を得た。ガラスシートxb1の厚さは0.2mmであった。平均細孔径はガラスシートの強度が弱く測定できなかった。
<セパレーターの作製>
(2層セパレーター)
[実施例A1]
ガラスシートa1として、ガラスシートa11及びガラスシートa12の2枚を準備した。ガラスシートa11に第1のろ紙(アドバンテック株式会社製、商品名:26−WA)を被せてクーチングロールで充分に脱水した後、ガラスシートa11を第1のろ紙と一緒に上述の80メッシュの金網から剥がし取った。次に、ガラスシートa11とガラスシートa12を接触させた後、第1のろ紙に第2のろ紙(アドバンテック株式会社製、商品名:26−WA)を被せてクーチングロールで充分に脱水した。その後、ガラスシートa11及びガラスシートa12を第1のろ紙及び第2のろ紙と一緒に80メッシュの金網から剥がしとった後、第1のろ紙及び第2のろ紙を剥し取ることにより、ガラスシートa11及びガラスシートa12の2層ガラスシートを作製した。
この2層ガラスシートを20℃においてプレス機(熊谷理機工業株式会社製)にて410kPa下で5分間プレスした後に脱水した。脱水後、回転ドライヤ(熊谷理機工業株式会社製)で120℃、4分加熱乾燥し、さらに、105℃の恒温槽で充分に乾燥することにより2層セパレーターを得た。
[実施例A2〜A5及び比較例A6〜A7]
ガラスシートa1に代えて、表1に示すガラスシートを用いたことを除き実施例A1と同様の手順で2層セパレーターを得た。
(3層セパレーター)
[実施例B1]
ガラスシートa1として、ガラスシートa11及びガラスシートa12の2枚を準備した。ガラスシートa11に第1のろ紙(アドバンテック株式会社製、商品名:26−WA)を被せてクーチングロールで充分に脱水した後、ガラスシートa11を第1のろ紙と一緒に上述の80メッシュの金網から剥がし取った。次に、ガラスシートa11とガラスシートb1とを接触させた後、第1のろ紙に第2のろ紙(アドバンテック株式会社製、商品名:26−WA)を被せてクーチングロールで充分に脱水した。その後、第2のろ紙を剥がし、ガラスシートa11及びガラスシートb1を第1のろ紙と一緒に80メッシュの金網から剥がし取った。さらに、ガラスシートb1とガラスシートa12とを接触させた後、第1のろ紙に第3のろ紙(アドバンテック株式会社製、商品名:26−WA)を被せてクーチングロールで充分に脱水した。その後、ガラスシートa11、ガラスシートb1及びガラスシートa12を第1のろ紙及び第3のろ紙と一緒に80メッシュの金網から剥がしとった後、第1のろ紙及び第3のろ紙を剥し取ることにより、ガラスシートa11、ガラスシートb1及びガラスシートa12の3層ガラスシートを作製した。
この3層ガラスシートを上述の2層セパレーターと同様に脱水及び乾燥することにより3層セパレーターを得た。
[実施例B2〜B8及び比較例B9]
ガラスシートa1及びガラスシートb1に代えて、表2に示すガラスシートを用いたことを除き実施例B1と同様の手順で3層セパレーターを得た。
<層間密着性の評価>
セパレーターを25mm×100mmの短冊状に切り取ることにより試験片を得た。試験片を直径5mm又は10mmのマンドレル棒(東洋精機株式会社製)に巻きつけた(試験片の長手方向が周方向に沿うように試験片を巻きつけた)。層間の剥離の有無を目視で確認し、以下の基準で判定した。3層セパレーターについては、二つの層間のいずれかが剥離した場合を「剥離あり」と判定した。判定結果を表1及び表2に示す。
A:直径5mm及び10mmのマンドレル棒で剥離なし
B:直径10mmのマンドレル棒で剥離なし、かつ、直径5mmのマンドレル棒で剥離あり
C:直径10mmのマンドレル棒で剥離あり
D:評価前に剥離あり
<引張強度の測定>
セパレーターを50mm×10mmの短冊状に切り取ることにより試験片を得た。チャック間距離20mmの条件で試験片をオートグラフ(株式会社島津製作所製、商品名:AG−X)に取り付けた。試験片が破断するまで試験片の長手方向に引張速度500mm/minで試験片を引っ張った。試験片が破断した時の最大応力を引張強度の値として得た。測定結果を表1及び表2に示す。
Figure 2021136219
Figure 2021136219
1…鉛蓄電池、2…正極板(正極)、3…負極板(負極)、4,100,200…セパレーター、100a,200a…一方面、100b,200b…他方面、110a,210a…第1の層、110b,210b…第2の層、210c…第3の層。

Claims (11)

  1. 互いに積層された第1の層及び第2の層を有し、
    前記第1の層及び前記第2の層がガラス繊維を含有し、
    前記第1の層及び前記第2の層からなる群より選ばれる少なくとも一つがビニルアルコール重合体繊維を含有する、セパレーター。
  2. 前記第1の層及び前記第2の層が前記ビニルアルコール重合体繊維を含有する、請求項1に記載のセパレーター。
  3. 前記ビニルアルコール重合体繊維が、ポリビニルアルコール繊維及びエチレンビニルアルコール共重合体繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載のセパレーター。
  4. 前記ビニルアルコール重合体繊維の含有量が前記ガラス繊維100質量部に対して0.1〜20質量部である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のセパレーター。
  5. 少なくとも一方の最外層の厚さが0.01〜1mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のセパレーター。
  6. ガラス繊維を含有する第3の層を更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のセパレーター。
  7. 前記第3の層がビニルアルコール重合体繊維を含有する、請求項6に記載のセパレーター。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のセパレーターの製造方法であって、
    ガラス繊維を含有する層同士を互いに積層させる積層工程を備え、
    前記層の一方又は両方がビニルアルコール重合体繊維を含有する、セパレーターの製造方法。
  9. 前記積層工程で得られた積層物を60〜130℃で熱処理する工程を更に備える、請求項8に記載のセパレーターの製造方法。
  10. 正極と、負極と、請求項1〜7のいずれか一項に記載のセパレーターと、を備え、
    前記セパレーターが前記正極及び前記負極の間に配置されている、蓄電デバイス。
  11. 鉛蓄電池である、請求項10に記載の蓄電デバイス。
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