以下、添付図面を参照して、調整装置の実施の形態について説明する。
最初に、空気調和装置1の構成について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す空気調和装置1は、「調整装置」の一例であって、物品の製造現場(成形処理、プレス処理、切断処理および組立処理の処理場や、食品等の加工(調理)の処理場、並びに製造物の検査場)に設置されて製造現場の空気(「調整対象の流体」の一例)の温度を調整したり、農産物や畜産物の生産現場(栽培用建屋および畜舎や、生産物の検査場など)に設置されて生産現場の空気(「調整対象の流体」の他の一例)の温度を調整したりすることができるように構成されている。この空気調和装置1は、冷凍サイクル2、送風用ファン3a,3b、温湿度センサ4a,4b、操作部5、表示部6、メモリ装着部7、制御部8、記憶部9および電源部10を備え、これら各構成要素2〜10が図示しない筐体内に収容されて一体化されている。
冷凍サイクル2は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14を備え、送風用ファン3a,3bと相俟って「調整部」を構成する。この場合、本例の空気調和装置1では、後述するように、圧縮機11によって圧送された冷媒が凝縮器12において送風用ファン3aによって送風される空気との熱交換によって凝縮させられた後に、膨張弁13を通過させられて蒸発器14内に供給されることにより、送風用ファン3bによって送風される空気が蒸発器14内の冷媒との熱交換によって温度低下させられる(温度調整される)構成が採用されている。
また、本例の空気調和装置1では、一例として、圧縮機11の冷媒出口(凝縮器12の冷媒入口)に、冷媒圧力を検出する圧力センサ(図示せず)、および冷媒温度を検出する温度センサ(図示せず)が配設されており、これらのセンサによる検出結果がセンサ信号S11として制御部8に出力される構成が採用されている。さらに、本例の空気調和装置1では、一例として、凝縮器12の冷媒出口(膨張弁13の冷媒入口)に、冷媒圧力を検出する圧力センサ(図示せず)、および冷媒温度を検出する温度センサ(図示せず)が配設されており、これらのセンサによる検出結果がセンサ信号S12として制御部8に出力される構成が採用されている。
また、本例の空気調和装置1では、一例として、膨張弁13の冷媒出口(蒸発器14の冷媒入口)に、冷媒圧力を検出する圧力センサ(図示せず)、および冷媒温度を検出する温度センサ(図示せず)が配設されており、これらのセンサによる検出結果がセンサ信号S13として制御部8に出力される構成が採用されている。さらに、本例の空気調和装置1では、一例として、蒸発器14の冷媒出口(圧縮機11の冷媒入口)に、冷媒圧力を検出する圧力センサ(図示せず)、および冷媒温度を検出する温度センサ(図示せず)が配設されており、これらのセンサによる検出結果がセンサ信号S14として制御部8に出力される構成が採用されている。
送風用ファン3aは、一例として、空気流路における凝縮器12の下流側に配設されており、制御部8の制御下で凝縮器12において熱交換された空気を筐体外に吹き出すことによって新たな空気(凝縮器12において熱交換させる空気)を筐体内に導入する。送風用ファン3bは、一例として、空気流路における蒸発器14の下流側に配設されており、制御部8の制御下で蒸発器14において熱交換された空気を筐体外に吹き出すことによって新たな空気(蒸発器14において熱交換させる空気)を筐体内に導入する。
温湿度センサ4aは、空気流路における蒸発器14の上流側に配設されており、蒸発器14との熱交換が行われる前の空気の温度や湿度を検出し、検出結果を示すセンサ信号S4aを制御部8に出力する。温湿度センサ4bは、空気流路における蒸発器14の下流側に配設されており、蒸発器14との熱交換が行われた後の空気の温度や湿度を検出し、検出結果を示すセンサ信号S4bを制御部8に出力する。
操作部5は、空気調和装置1の動作条件の設定、後述のデータ出力処理30やデータ入力処理40の開始の指示、および後述の各認証処理50〜80におけるパスワードの入力などの操作を行うための操作スイッチ、並びに空気調和装置1の動作開始/停止の指示を行う操作スイッチなどを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部8に出力する。表示部6は、制御部8の制御下で空気調和装置1の動作条件や動作状態などの各種情報を表示する。
メモリ装着部7は、「接続部」に相当し、「外部記憶装置」の一例であるリムーバブルメモリMを装着(接続)可能に構成されている。この場合、本例の空気調和装置1では、一例として、USB規格に準ずる接続コネクタを備えてメモリ装着部7が構成されており、リムーバブルメモリMとしてのUSBメモリ(USBフラッシュドライブ)を装着して(接続して)各種データを入出力することができるように構成されている。
制御部8は、空気調和装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部8は、「制御部」の一例であって、後述のプログラムデータDp1やパラメータデータDp2に従って冷凍サイクル2の圧縮機11や膨張弁13、および送風用ファン3a,3bなどを制御することによって周囲の空気を予め設定された温度に調整させる(「調整部の動作を制御する」との処理の一例)。
また、制御部8は、温湿度センサ4aからのセンサ信号S4aに基づき、空気調和装置1による温度調整前の空気の温度や湿度を特定可能な温度データや湿度データを生成して記憶部9に記憶させ、特定した各温度や湿度を表示部6に表示させる。さらに、制御部8は、温湿度センサ4bからのセンサ信号S4bに基づき、空気調和装置1による温度調整後の空気の温度や湿度を特定可能な温度データや湿度データ(「調整部によって調整された温度および湿度の少なくとも一方の値を記録した第1のデータ」の一例)を生成して記憶部9に記憶させると共に、特定した各温度や湿度を表示部6に表示させる。
また、制御部8は、冷凍サイクル2の各構成要素11〜14からのセンサ信号S11〜S14に基づき、冷凍サイクル2内の各部における冷媒温度の温度データや冷媒圧力の圧力データ(「[調整部]の動作状態を特定可能な予め規定された値を記録した第2のデータ」の一例)を生成して記憶部9に記憶させる。さらに、制御部8は、送風用ファン3a,3bの回転数や圧縮機11の回転数を特定可能な回転数データ(「[調整部]の動作状態を特定可能な予め規定された値を記録した第2のデータ」の他の一例)を生成して記憶部9に記憶させると共に、電源部10から各部への電力の供給状態を特定可能な供給電力データ(供給電力の電圧値や電流値を特定可能なデータ:「[調整部]の動作状態を特定可能な予め規定された値を記録した第2のデータ」のさらに他の一例)を生成して記憶部9に記憶させる。
また、制御部8は、メモリ装着部7にリムーバブルメモリMが装着されたときにメモリ装着時処理20(図2参照)を実行する。さらに、制御部8は、後述のユーザデータDuやシステムデータDsのリムーバブルメモリMへの記録(ユーザデータDuやシステムデータDsの空気調和装置1からの出力)を指示されたときに、図3に示すデータ出力処理30を実行して、指示されたユーザデータDuおよび/またはシステムデータDsをリムーバブルメモリMに記録する(リムーバブルメモリMを介して空気調和装置1から出力する)。また、制御部8は、メモリ装着時処理20にリムーバブルメモリM内に新たなプログラムデータDp1や新たなパラメータデータDp2が記録されていると判別したときに、図4に示すデータ入力処理40を実行して、記録されているプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2を記憶部9に記憶させる(リムーバブルメモリMを介して入力する)。
さらに、制御部8は、空気調和装置1における何らかの動作不良を検知したときに、検知した動作不良に対応付けられたエラーコードと動作不良の発生日時(検知日時)とを対応付けてエラーコードデータDcを生成して記憶部9に記憶させる。なお、制御部8による各種データの生成および記憶部9への記憶の処理や、メモリ装着時処理20、データ出力処理30およびデータ入力処理40などの各処理の具体的な内容については、後に詳細に説明する。
記憶部9は、「記憶部」の一例であって、制御部8が各部を制御する制御手順が記録された制御用プログラムのプログラムデータDp1(「プログラムデータ」の一例)や、制御部8がプログラムデータDp1に記録されている制御手順に従って各部の動作を制御するための制御用パラメータのパラメータデータDp2(「パラメータデータ」の一例)を記憶する。また、記憶部9は、メモリ装着時処理20において空気調和装置1における使用(データの記録(出力)や、データの読み出し(入力))を許容されるべきリムーバブルメモリMがメモリ装着部7に装着されているか否かを特定可能な情報が記録されたメモリデータDm、および後述する各認証処理50〜80において使用されるパスワードデータDwを記憶する。
また、記憶部9は、制御部8によって生成される上記の温度データ、湿度データ、圧力データ、回転数データおよび供給電力データや、ユーザデータDu、システムデータDsおよびエラーコードデータDcなどを記憶する。さらに、記憶部9は、後述するようにデータ出力処理30において制御部8によって生成される出力履歴データDr1や、後述するようにデータ入力処理40において制御部8によって生成される入力履歴データDr2を記憶する。また、電源部10は、上記の各構成要素2〜9に電源を供給する。
この場合、本例の空気調和装置1では、情報端末の接続や通信ネットワークへの接続が可能な接続コネクタが設けられておらず、後述するように、空気調和装置1における使用を許容されたリムーバブルメモリMを介してのデータの出力や入力以外の手段でデータの出力や入力を行うことができないように構成される(使用規制の構成)と共に、使用を許容されたリムーバブルメモリMがメモリ装着部7に装着されたときに、そのリムーバブルメモリMへのデータの記録やリムーバブルメモリMからの読み出しが許容されるように構成されている(使用許容の構成)。
次に、空気調和装置1を工場内(物品の製造現場)に設置して工場内の空気の温度を調整させる使用形態を例に挙げて空気調和装置1の使用形態について説明する。
なお、工場内への空気調和装置1の設置作業(電源部10の商用交流への接続や、蒸発器14において生じる結露水の排出用配管の接続など)については公知のため、詳細な説明を省略する。また、本例の空気調和装置1では、設置前(製品の出荷時)において、用途に応じた内容の最新のプログラムデータDp1およびパラメータデータDp2が記憶部9に記憶させられている。
また、本例の空気調和装置1では、メモリ装着部7に装着して使用することが許容されるリムーバブルメモリMが制限されており、使用を許容されるべきリムーバブルメモリM(以下、「使用許容メモリM」ともいう)を特定可能なメモリデータDmが記憶部9に記憶されると共に、後述するように使用許容メモリM以外のリムーバブルメモリMの使用が規制される構成が採用されている。
具体的には、一例として、設置する空気調和装置1の付属品として2つまたは3つ程度の使用許容メモリMを設置者(空気調和装置1の製造者や販売者)が提供し、提供した使用許容メモリMを特定可能な情報を記録したメモリデータDmを記憶部9に記憶させることで使用許容メモリM以外のリムーバブルメモリMの使用を規制する。この場合、付属品として用意された使用許容メモリMを使用する形態に代えて(または、そのような形態に加えて)、例えば、使用者(空気調和装置1の購入者や管理者)が所有するリムーバブルメモリMを使用許容メモリMとして使用可能にその使用許容メモリMを特定可能な情報を記録したメモリデータDmを記憶部9に記憶させることで使用許容メモリM以外のリムーバブルメモリMの使用を規制することもできる。
また、本例では、一例として、使用許容メモリMとすべきリムーバブルメモリMに空気調和装置1における使用を目的として規定されたユニークな文字列からなる特定用データを記録させると共に、リムーバブルメモリM(使用許容メモリM)に記録した特定用データの文字列を特定可能な情報を「使用許容メモリMを特定可能な情報」としてメモリデータDmに記録することができる。なお、リムーバブルメモリM(使用許容メモリM)に記録する特定用データについては、予め規定されたパスワードを用いて暗号化したり、パーソナルコンピュータ用のオペレーティングシステムに付属の一般的なファイラー等では使用許容メモリMに記録されていることを確認できない不可視ファイルとしたり、一般的なファイラー等ではアクセスできない不可視領域を使用許容メモリMに設けて記録したりすることにより、特定用データに記録されている「使用許容メモリMを特定可能な情報(ユニークな文字列)」の漏洩を好適に回避することができる。
また、本例では、空気調和装置1からの各種データの出力作業(使用許容メモリMへの記録作業)や、空気調和装置1への各種データの入力作業(使用許容メモリMからの読み出しおよび記憶部9への記憶作業)の実施を許容する者を制限する構成が採用されており、作業の実施を許容すべき者だけに提示されるパスワードを特定可能なパスワードデータDwが記憶部9に記憶させられて、パスワードデータDwに記録されたパスワードが入力されたときに、各種データの出力や入力が許容される構成が採用されている。
具体的には、一例として、本例の空気調和装置1では、後述のユーザデータDuのみの出力についての作業を行う者(例えば、使用者)に対して提示するパスワードと、後述のシステムデータDsおよびユーザデータDuの出力、またはシステムデータDsのみの出力についての作業を行う者(例えば、設置者や管理者)に対して提示するパスワードと、パラメータデータDp2のみの入力についての作業を行う者(例えば、使用者)に対して提示するパスワードと、プログラムデータDp1およびパラメータデータDp2の入力、またはプログラムデータDp1のみの入力についての作業を行う者(例えば、設置者や管理者)に対して提示するパスワードとをそれぞれ規定すると共に、各パスワードを記録したパスワードデータDwを記憶部9に記憶させ、後述の各認証処理50において入力されるパスワードがパスワードデータDwに記録されているパスワードと一致したときに、許容されているデータの出力や入力を許容する構成が採用されている。
なお、上記のメモリデータDmやパスワードデータDwを記憶部9に記憶させる作業については、空気調和装置1の設置前(製品の出荷時)に設置者が実施するだけでなく、空気調和装置1の設置後に設置者、管理者または使用者が設置現場において実施することもできる。
一方、設置作業、および上記のメモリデータDmやパスワードデータDwの記憶部9への記憶が完了した状態において操作部5に対するスイッチ操作によって動作開始を指示されたときに、制御部8は、プログラムデータDp1およびパラメータデータDp2に従い、使用者によって設定された目標温度となるように冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bを動作させて設置場所の空気の温度を調整させる。
この際には、冷凍サイクル2の圧縮機11が電源部10から供給される電力によって冷媒の圧縮(圧送)を開始することにより、冷媒が冷凍サイクル2内を循環させられる。また、送風用ファン3aが電源部10から供給される電力によって送風を開始することにより、送風用ファン3aによる筐体内の空気の筐体外への吹き出しに伴って筐体内に導入される空気と凝縮器12内の冷媒との熱交換が行われ、これにより、凝縮器12内の冷媒が凝縮させられる。さらに、送風用ファン3bが電源部10から供給される電力によって送風を開始することにより、送風用ファン3bによる筐体内の空気の筐体外への吹き出しに伴って筐体内に導入される空気と蒸発器14内の冷媒との熱交換が行われ、これにより、蒸発器14を通過する空気の温度が低下させられる。
この場合、本例の空気調和装置1では、送風する空気(空気調和装置1によって温度調整された空気)の温度が設定温度となるように制御部8が冷凍サイクル2(圧縮機11および膨張弁13)や送風用ファン3a,3bを制御する制御手順を規定した制御用プログラムがプログラムデータDp1に記録されている。また、本例の空気調和装置1では、冷凍サイクル2の各部に配設された温度センサや圧力センサからのセンサ信号S11〜S14に基づいて特定される冷媒温度や冷媒圧力と、制御部8の制御下で動作させられている送風用ファン3a,3bの回転数や圧縮機11の回転数と、電源部10から各部に供給されている電力の電力情報と、温湿度センサ4aからのセンサ信号S4aに基づいて特定される温度(空気調和装置1による温度調整前の空気の温度)と、温湿度センサ4bからのセンサ信号S4bに基づいて特定される温度(空気調和装置1による温度調整後の空気の温度)と、使用者によって設定された温度(目標温度)とに基づき、制御部8が、冷凍サイクル2(圧縮機11および膨張弁13)や送風用ファン3a,3bをどのような状態で動作させるべきかを規定した(数値化した)制御用パラメータ(制御値)がパラメータデータDp2に記録されている。
したがって、制御部8がプログラムデータDp1の制御用プログラムに規定されている制御手順、空気調和装置1の各部から得られる上記の各種情報、およびパラメータデータDp2の制御用パラメータ(制御値)に従って冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bの動作を制御することにより、空気調和装置1から送風される低温の空気によって周囲の空気(設置場所の空気)が設定温度に調整されて、その状態が維持される。
また、本例の空気調和装置1では、前述したように、上記のような空気の温度調整処理を実行しているときに、制御部8が、温湿度センサ4a,4bからのセンサ信号S4a,S4bに基づいて温度データおよび湿度データを逐次生成し、生成時刻に対応付けて記憶部9に記憶させる処理を繰り返し実行する構成が採用されている。これにより、空気調和装置1による空気の温度調整処理が行われていた時刻や、空気調和装置1による温度調整前の空気の温度や湿度、並びに空気調和装置1による温度調整後の空気の温度や湿度などを特定可能な情報(すなわち、設置場所の空気の温度管理が適正に行われていたか否かを確認するのに有用な情報)が記憶部9に記憶された状態となる。
また、本例の空気調和装置1では、前述したように、上記のような空気の温度調整処理を実行しているときに、制御部8が、冷凍サイクル2に配設された各温度センサや圧力センサからのセンサ信号S11〜S14に基づいて温度データおよび圧力データを逐次生成し、生成時刻に対応付けて記憶部9に記憶させる処理を繰り返し実行する構成が採用されている。さらに、本例の空気調和装置1では、前述したように、上記のような空気の温度調整処理を実行しているときに、制御部8が、送風用ファン3a,3bや圧縮機11の動作制御値に基づいて送風用ファン3a,3bや圧縮機11の回転数データを逐次生成し、生成時刻に対応付けて記憶部9に記憶させる処理を繰り返し実行する構成が採用されている。
また、本例の空気調和装置1では、前述したように、上記のような空気の温度調整処理を実行しているときに、制御部8が、電源部10から各部に供給されている電力についての電力データを逐次生成し、生成時刻に対応付けて記憶部9に記憶させる処理を繰り返し実行する構成が採用されている。さらに、本例の空気調和装置1では、前述したように、上記のような空気の温度調整処理を実行しているときに何らかの動作不良を検知したときに、検知した動作不良に対応付けられたエラーコードと動作不良の発生日時(検知日時)とを対応付けてエラーコードデータDcを生成して記憶部9に記憶させる構成が採用されている。
これにより、圧縮機11の冷媒出口(凝縮器12の冷媒入口)における冷媒圧力および冷媒温度、凝縮器12の冷媒出口(膨張弁13の冷媒入口)における冷媒圧力および冷媒温度、膨張弁13の冷媒出口(蒸発器14の冷媒入口)における冷媒圧力および冷媒温度、蒸発器14の冷媒出口(圧縮機11の冷媒入口)における冷媒圧力および冷媒温度、送風用ファン3a,3bの回転数、圧縮機11の回転数、および電源部10からの供給電力の電圧値や電流値などを特定可能な情報(すなわち、上記のような空気の温度調整処理の実行中における空気調和装置1の動作状態を特定可能な情報)が記憶部9に記憶された状態となる。また、何らかの動作不良が発生したときには、どのような動作不良がいつ発生したかを特定可能な情報が記憶部9に記憶された状態となる。
一方、本例の空気調和装置1では、メモリ装着部7にリムーバブルメモリMが装着されたときに、制御部8がプログラムデータDp1に従って図2に示すメモリ装着時処理20を開始する。なお、本例では、空気調和装置1の構成に関する理解を容易とするために、一例として、空気調和装置1の付属品として用意された2つのリムーバブルメモリMを使用許容メモリMとして使用すべく、それらのリムーバブルメモリMにおける通常のデータ記憶領域に、予め規定されたユニークな文字列からなる特定用データが予め設定されたパスワードで復号化可能に暗号化された状態で記憶されると共に、特定用データと同じ文字列が記録されたメモリデータDmが空気調和装置1の記憶部9に記憶され、かつ暗号化された特定用データを復号化可能なパスワードがプログラムデータDp1内に記録された状態で記憶部9に記憶されているものとする。
このメモリ装着時処理20では、制御部8は、メモリ装着部7に装着されたリムーバブルメモリMが使用許容メモリMであるか否かを判別する(ステップ21)。具体的には、制御部8は、メモリ装着部7に装着されたリムーバブルメモリMに暗号化された特定用データが記録されているか否かを判別する。この際に、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMに特定用データが記録されていないときに、制御部8は、装着されているリムーバブルメモリMの空気調和装置1における使用を許容されていない(使用許容メモリMではない)と判別し、一例として、図示しないスピーカから警告音を出力すると共に、「使用できないメモリが装着されました。」とのメッセージを表示部6に表示させて(ステップ22)、このメモリ装着時処理20を終了する。
また、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMに特定用データが記録されているときに、制御部8は、記録されている特定用データが暗号化されているか否かを判別する。この際に、特定用データが暗号化されていないとき、すなわち、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMに記録されている特定用データが使用許容メモリMに記録されているべき特定用データではないときには、装着されているリムーバブルメモリMの空気調和装置1における使用を許容されていないと判別し、警告音の出力、および前述のメッセージの表示を行って(ステップ22)、このメモリ装着時処理20を終了する。
さらに、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMに記録されている特定用データが暗号化されているときに、制御部8は、プログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いた復号化を試みる。この際に、プログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いた復号化ができないとき、すなわち、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMに記録されている特定用データが使用許容メモリMに記録されているべき特定用データではないときには、装着されているリムーバブルメモリMの空気調和装置1における使用を許容されていないと判別し、警告音の出力、および前述のメッセージの表示を行って(ステップ22)、このメモリ装着時処理20を終了する。
また、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMに記録されている特定用デーをプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いて復号化できたときに、制御部8は、復号化した特定用データに記録されている文字列が、記憶部9に記憶されているメモリデータDmに記録されているか否かを判別する。この際に、特定用データに記録されている文字列が、記憶部9に記憶されているメモリデータDmに記録されていないときに、制御部8は、装着されているリムーバブルメモリMの空気調和装置1における使用を許容されていないと判別し、警告音の出力、および前述のメッセージの表示を行って(ステップ22)、このメモリ装着時処理20を終了する。
また、特定用データに記録されている文字列が、記憶部9に記憶されているメモリデータDmに記録されているときに、制御部8は、装着されているリムーバブルメモリMの空気調和装置1における使用を許容されている(使用許容メモリMである)と判別し、その使用許容メモリMにプログラムデータDp1およびパラメータデータDp2のいずれかまたは双方が記録されているか否かを判別する(ステップ23)。この際に、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMにプログラムデータDp1およびパラメータデータDp2のいずれかまたは双方が記録されているときに、制御部8は、このメモリ装着時処理20を終了して、後述するデータ入力処理40を開始する。また、使用許容メモリMにプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が記録されていないときは、メモリ装着部7に装着されているリムーバブルメモリMが使用許容メモリMであるとの判別結果を保持した状態でメモリ装着時処理20を終了する。
一方、例えば、空気調和装置1の使用者や管理者が、設置場所の空気の温度管理が適正に行われていたか否かを確認するための情報を必要とするときや、空気調和装置1の管理者や設置者が、空気の温度調整処理の実行中における空気調和装置1の動作状態を特定可能な情報を必要とするときには、操作部5を操作してユーザデータDuおよび/またはシステムデータDsの出力を指示する。この際に、制御部8は、プログラムデータDp1に従い、図3に示すデータ出力処理30を開始する。
このデータ出力処理30では、制御部8は、最初に、使用許容メモリMがメモリ装着部7に装着されているか否かを判別し(ステップ31)、装着されていないときには、一例として、使用許容メモリMの装着を促すメッセージを表示部6に表示させ、使用許容メモリMが装着されるまで待機する。また、上記のメッセージに応じてメモリ装着部7にリムーバブルメモリMが装着されたときには、データ出力処理30を一時中断して前述のメモリ装着時処理20を実行する。
また、データ出力処理30の一時中断後にメモリ装着部7に使用許容メモリMが装着されたとき、または、データ出力処理30の開始に先立ってメモリ装着部7に使用許容メモリMが装着されていたときに、制御部8は、ステップ31において使用許容メモリMが装着されていると判別し、ユーザデータDuの出力(使用許容メモリMへの記録)を要求されているか否かを判別する(ステップ32)。この際に、ユーザデータDuの出力を要求されていないとき(すなわち、システムデータDsのみの出力を要求されているとき)には、後述の第2認証処理60以降の処理を実行する。
また、ユーザデータDuの出力を要求されていたときに、制御部8は、第1認証処理50を実行する。この第1認証処理50では、制御部8は、プログラムデータDp1に従い、パスワードの入力操作を要求するメッセージを表示部6に表示させる。これに応じて、操作部5の操作によってパスワードが入力されたときに、制御部8は、入力されたパスワードと記憶部9に記憶されているパスワードデータDwに記録されているパスワードとが一致するか否かを判別する。具体的には、入力されたパスワードが、ユーザデータDuのみの出力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードと、システムデータDsおよびユーザデータDuの出力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードとのいずれかと一致するか否かを判別し、判別結果を保持した状態で第1認証処理50を終了する。
次いで、制御部8は、上記の第1認証処理50においてパスワードが一致したか否かを判別し(ステップ33)、一致しなかったときには、後述のステップ35の処理を実行する。また、ステップ33において一致したと判別したときには、ユーザデータDuの生成、暗号化および出力(使用許容メモリMへの記録)を実行する(ステップ34)。
具体的には、制御部8は、温湿度センサ4a,4bからのセンサ信号S4a,S4bに基づいて生成して記憶部9に記憶させた温度データおよび湿度データを、それらの生成時刻に対応付けて記録してユーザデータDuを生成する。次いで、制御部8は、生成したユーザデータDuを暗号化する。この際には、一例として、直前に実行した第1認証処理50において入力されたパスワードと一致したパスワードを使用してユーザデータDuを暗号化する。続いて、制御部8は、暗号化したユーザデータDuを使用許容メモリMに記録する。以上により、ステップ34のユーザデータDuの出力処理が完了する。
また、使用許容メモリMに対するユーザデータDuの記録を完了したときに、制御部8は、システムデータDsの出力(使用許容メモリMへの記録)を要求されているか否かを判別する(ステップ35)。この際に、システムデータDsの出力を要求されていないとき(すなわち、ユーザデータDuのみの出力を要求されているとき)には、後述のステップ38の処理を実行する。
また、システムデータDsの出力を要求されていたときや、前述のステップ32においてユーザデータDuの出力を要求されていないと判別したときに、制御部8は、第2認証処理60を実行する。この第2認証処理60では、制御部8は、プログラムデータDp1に従い、パスワードの入力操作を要求するメッセージを表示部6に表示させる。これに応じて、操作部5の操作によってパスワードが入力されたときに、制御部8は、入力されたパスワードと記憶部9に記憶されているパスワードデータDwに記録されているパスワードとが一致するか否かを判別する。具体的には、入力されたパスワードが、システムデータDsのみの出力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードと、システムデータDsおよびユーザデータDuの出力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードとのいずれかと一致するか否かを判別し、判別結果を保持した状態で第2認証処理60を終了する。
次いで、制御部8は、上記の第2認証処理60においてパスワードが一致したか否かを判別し(ステップ36)、一致しなかったときには、後述のステップ38の処理を実行する。また、ステップ36において一致したと判別したときには、システムデータDsの生成、暗号化および出力(使用許容メモリMへの記録)を実行する(ステップ37)。
具体的には、制御部8は、冷凍サイクル2に配設された各温度センサや圧力センサからのセンサ信号S11〜S14に基づいて生成して記憶部9に記憶させた温度データおよび圧力データ、送風用ファン3a,3bや圧縮機11の動作制御値に基づいて生成して記憶部9に記憶させた回転数データ、および電源部10から各部に供給されている電力について生成して記憶部9に記憶させた電力データを、それらの生成時刻に対応付けて記録してシステムデータDsを生成する。また、データ出力処理30の開始に先立って何らかの動作不良が検知されて生成されたエラーコードデータDcが記憶部9に記憶されているときには、そのエラーコードデータDcを上記の各データと共に記録してシステムデータDsを生成する。
次いで、制御部8は、生成したシステムデータDsを暗号化する。この際には、一例として、直前に実行した第2認証処理60において入力されたパスワードと一致したパスワードを使用してシステムデータDsを暗号化する。続いて、制御部8は、暗号化したシステムデータDsを使用許容メモリMに記録する。以上により、ステップ37のシステムデータDsの出力処理が完了する。
また、前述のステップ34の処理を実行して使用許容メモリMに対するユーザデータDuの記録を完了した後にステップ35においてシステムデータDsの出力を要求されていないと判別したとき、または、前記のステップ37の処理を実行して使用許容メモリMに対するシステムデータDsの記録を完了したときに、制御部8は、使用許容メモリMに対して記録したデータ(空気調和装置1から出力したデータ:ユーザデータDuおよび/またはシステムデータDs)を特定可能な情報、および使用許容メモリMに記録した(出力した)日付を記録する(ステップ38)。
具体的には、制御部8は、上記のデータ出力処理30においてユーザデータDuを使用許容メモリMに記録させたときには、そのユーザデータDu(ユーザデータDuの生成に際して参照した温度データや湿度データ)を特定可能な情報、およびユーザデータDuを記録した日付を相互に関連付けて出力履歴データDr1(「外部記憶装置に記憶させた[指定されたデータ]を特定可能な第3のデータ」の一例)を生成して記憶部9に記憶させ、出力履歴データDr1に出力履歴を記録したユーザデータDuを記憶部9から消去する。また、制御部8は、上記のデータ出力処理30においてシステムデータDsを使用許容メモリMに記録させたときには、そのシステムデータDs(システムデータDsの生成に際して参照した温度データ、圧力データ、回転数データおよび供給電力データなど)を特定可能な情報、およびシステムデータDsを記録した日付を相互に関連付けて出力履歴データDr1(「外部記憶装置に記憶させた[指定されたデータ]を特定可能な第3のデータ」の他の一例)を生成して記憶部9に記憶させ、出力履歴データDr1に履歴を記録したシステムデータDsを記憶部9から消去する。
以上により、データ出力処理30が完了する。なお、ユーザデータDuやシステムデータDsを特定可能な情報を記録した出力履歴データDr1の生成および記憶部9への記憶の処理(上記のステップ38の処理)を実行するタイミングについては、ユーザデータDuやシステムデータDsを使用許容メモリMに記憶させた後に限定されず、ユーザデータDuやシステムデータDsを使用許容メモリMに記憶させるのに先立ってこれを実行することもできる。また、記憶部9に記憶させた出力履歴データDr1については、空気調和装置1からの出力を指示されたときに、データ出力処理30において前述のシステムデータDsの一部として使用許容メモリMに記憶させることができる。
この場合、ユーザデータDuは、主として空気調和装置1の使用者(空気調和装置1の設置場所において物品の製造や農畜産物の生産を行っている者、または、製造や生産を管理している者)が、製造条件や生産条件の管理(現場環境の監視や分析)を行うのに必要とされるデータであり、かつ、前述したように、製造条件や生産条件に関する秘匿事項の1つが記録されたデータであって、本例では、温湿度センサ4aによって検出された温度や湿度(蒸発器14との熱交換が行われる前の空気の温度や湿度)、および温湿度センサ4bによって検出された温度や湿度(蒸発器14との熱交換が行われた後の空気の温度や湿度)などの推移が記録されている。したがって、上記のようにユーザデータDuを使用許容メモリMに記録させることにより、空気調和装置1(メモリ装着部7)から取り外した使用許容メモリMをパーソナルコンピュータなどの情報処理端末に装着(接続)し、使用許容メモリMからユーザデータDuを読み出して、事前に提示されているパスワードを使用して復号化することで、製造条件や生産条件に関する秘匿事項の漏洩を招くことなく、記録されている各種の情報を確実かつ容易に特定して、製造条件や生産条件の管理を行うことができる。
また、システムデータDsは、主として空気調和装置1の製造者(空気調和装置1の保守・メンテナンスを行う者や、空気調和装置1の設計・製造を行う者)が空気調和装置1を正常動作させる(異常が生じないように動作させたり、使用環境に応じて最適な状態で動作させたりする)のに必要とされるデータであり、かつ同様の調整装置の製造者に対して秘匿すべき各種のノウハウが記録されたデータであって、冷凍サイクル2に配設された各温度センサによって検出された各部の冷媒圧力や冷媒温度、圧縮機11による冷媒圧送量、送風用ファン3a,3bによる送風量、および電源部10からの各部への電源供給状態の推移が記録されている。したがって、上記のようにシステムデータDsを使用許容メモリMに記録させることにより、空気調和装置1(メモリ装着部7)から取り外した使用許容メモリMを情報処理端末に装着(接続)し、使用許容メモリMからシステムデータDsを読み出して、事前に提示されているパスワードを使用して復号化することで、空気調和装置1の動作に関するノウハウの漏洩を招くことなく、記録されている各種の情報を確実かつ容易に特定して、好適な保守・メンテナンスを行ったり、新たな空気調和装置の設計・製造に役立てたりすることができる。
さらに、情報処理端末において復号化したシステムデータDsにエラーコードデータDcが含まれているときには、検知された動作不良の内容および動作不良の発生日時を確実かつ容易に特定することができる。これにより、例えば、エラーコードデータDcが含まれたシステムデータDsと共にユーザデータDuを取得して(使用許容メモリMから読み出して復号化して)分析することにより、空気調和装置1において生じた動作不良が、空気調和装置1の故障等に起因するものであるか、空気調和装置1の使用方法(設置場所の環境)に起因するものであるかなどを特定することができる。また、情報処理端末において復号化したシステムデータDsに出力履歴データDr1が含まれているときには、空気調和装置1から出力されたユーザデータDuおよび/またはシステムデータDsとその出力時刻とを確実かつ容易に特定することができる。さらに、情報処理端末において復号化したシステムデータDsに後述の入力履歴データDr2が含まれているときには、空気調和装置1に入力されたプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2とその出力時刻とを確実かつ容易に特定することができる。
この場合、前述したように、本例の空気調和装置1では、使用許容メモリM以外のリムーバブルメモリMがメモリ装着部7に装着されたときに、このリムーバブルメモリMの使用(各種データの記録や読み出し)が規制される構成が採用されている。したがって、使用許容メモリMを所有しない者が、汎用のリムーバブルメモリMをメモリ装着部7に装着したとしても、そのリムーバブルメモリMに対するユーザデータDuやシステムデータDsの記録が行われる事態が確実に回避される。
また、本例の空気調和装置1では、ユーザデータDuの出力を指示されたときにユーザデータDuを生成して使用許容メモリMに書き込むと共に、システムデータDsの出力を指示されたときにシステムデータDsを生成して使用許容メモリMに書き込む構成が採用されている。したがって、例え使用許容メモリMが装着されていたとしても、出力を指示される前にユーザデータDuやシステムデータDsが使用許容メモリMに記録された状態となることがないため、出力の指示によってユーザデータDuやシステムデータDsが使用許容メモリMに書き込まれた後に、その使用許容メモリMを適正に管理する(ユーザデータDuやシステムデータDsに記録された情報を特定されるべきではない者が使用許容メモリMを取得することのないようにする)ことで、使用許容メモリMを介してのユーザデータDuやシステムデータDsの漏洩が好適に回避される。
さらに、本例の空気調和装置1では、データ出力処理30の第1認証処理50においてユーザデータDuの出力を許容された者に対して提示されたパスワードが入力されなかったときに使用許容メモリMに対するユーザデータDuの記録が行われず、第2認証処理60においてシステムデータDsの出力を許容された者に対して提示されたパスワードが入力されなかったときに使用許容メモリMに対するシステムデータDsの記録が行われない構成が採用されている。したがって、ユーザデータDuやシステムデータDsの出力を許容された者以外の指示によってユーザデータDuやシステムデータDsが使用許容メモリMに書き込まれることがないため、提示されたパスワードを知り得ない者に対する使用許容メモリMを介してのユーザデータDuやシステムデータDsの漏洩が好適に回避される。
また、本例の空気調和装置1では、データ出力処理30のステップ34において予め規定されたパスワードを使用してユーザデータDuを暗号化して使用許容メモリMに記録させると共に、ステップ37において予め規定されたパスワードを使用してシステムデータDsを暗号化して使用許容メモリMに記録させる構成が採用されている。したがって、ユーザデータDuやシステムデータDsが記録された使用許容メモリMがユーザデータDuやシステムデータDsの出力を許容されていない者の手に渡ったとしても、予め設定されたパスワードが分からないため、使用許容メモリMに記録されているユーザデータDuやシステムデータDsを復号化することができない。このため、暗号化に際して使用されたパスワードを知り得ない者に対する使用許容メモリMを介してのユーザデータDuやシステムデータDsの漏洩が一層好適に回避される。
また、本例の空気調和装置1では、上記のように使用許容メモリMを介してユーザデータDuやシステムデータDsを空気調和装置1から出力する構成が採用されている。したがって、ユーザデータDuやシステムデータDsの取得を目的として、空気調和装置1の設置現場に情報処理端末を携行して空気調和装置1に接続したり、空気調和装置1を通信ネットワークに接続したりする必要がないため、情報処理端末の持ち込みが制限された現場や、通信ネットワークへの接続が制限されている現場に空気調和装置1を設置した場合においても、ユーザデータDuやシステムデータDsを確実かつ容易に取得することができる。また、空気調和装置1のマルウェア等の感染も好適に回避することができる。
なお、本例では、ユーザデータDuやシステムデータDsの取得を目的としてリムーバブルメモリMをメモリ装着部7に装着した際に実行されるメモリ装着時処理20におけるステップ21の処理と、上記のデータ出力処理30における第1認証処理50および第2認証処理60とが「データ出力時認証処理」に相当する。また、本例では、メモリ装着時処理20におけるステップ21において「空気調和装置1における使用を許容されている使用許容メモリMである」と判別したときと、第1認証処理50や第2認証処理60においてパスワードが一致すると判別したときとが「外部記憶装置に対するデータ出力を許容するデータ出力許容条件が満たされたと判別したとき」に相当する。
一方、例えば、空気調和装置1の管理者や設置者が、記憶部9に記憶されているプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2を他のプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2(空気調和装置1の使用実態に即したプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2や、不具合を解消されている新たなプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2)に変更するのを希望するときには、一例として、空気調和装置1(記憶部9)に新たに記憶させるべきプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2を使用許容メモリMに記録させた後に、空気調和装置1のメモリ装着部7に装着する。
なお、使用許容メモリMに記録させるプログラムデータDp1やパラメータデータDp2については、プログラムデータDp1に記録されているパスワード(一例として、前述の特定用データの復号化に使用したパスワードと同じパスワード)を使用して暗号化されているものとする。また、プログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2が記録された使用許容メモリMがメモリ装着部7に装着されたときには、前述のメモリ装着時処理20が開始され、そのステップ23においてプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2が記録されていると判別されて、図4に示すデータ入力処理40が開始される。
このデータ入力処理40では、制御部8は、まず、使用許容メモリMにプログラムデータDp1が記録されているか否か(プログラムデータDp1の空気調和装置1への入力(記憶部9に記憶されているプログラムデータDp1の更新)のためにプログラムデータDp1が記録された使用許容メモリMがメモリ装着部7に装着されたか否か)を判別する(ステップ41)。この際に、プログラムデータDp1が使用許容メモリMに記録されていないときには、後述の第4認証処理80以降の処理を実行する。
また、プログラムデータDp1が記録されていたときに、制御部8は、第3認証処理70を実行する。この第3認証処理70では、制御部8は、記憶部9に記憶されているプログラムデータDp1(データ出力処理30の開始前に記憶部9に記憶されていたプログラムデータDp1:以下、「実行中のプログラムデータDp1」ともいう)に従い、パスワードの入力操作を要求するメッセージを表示部6に表示させる。これに応じて、操作部5の操作によってパスワードが入力されたときに、制御部8は、入力されたパスワードと記憶部9に記憶されているパスワードデータDwに記録されているパスワードとが一致するか否かを判別する。具体的には、入力されたパスワードが、プログラムデータDp1およびパラメータデータDp2の入力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードと、プログラムデータDp1のみの入力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードとのいずれかと一致するか否かを判別し、判別結果を保持した状態で第3認証処理70を終了する。
次いで、制御部8は、上記の第3認証処理70においてパスワードが一致したか否かを判別し(ステップ42)、一致しなかったときには、後述のステップ45の処理を実行する。また、ステップ42において一致したと判別したときには、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1の復号化および記憶部9への保存(空気調和装置1へのプログラムデータDp1の入力)を実行する(ステップ43)。
具体的には、制御部8は、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1が暗号化されているか否かを判別する。この際に、プログラムデータDp1が暗号化されていないとき、すなわち、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1が正規なプログラムデータDp1(予め規定されたパスワードで暗号化されたプログラムデータDp1)ではないときに、制御部8は、一例として、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1が正規なプログラムデータDp1ではないとのメッセージを表示部6に表示させ、使用許容メモリMから読み出したプログラムデータDp1についての処理を行わずに、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1を消去した後に(ステップ44)、後述のステップ45の処理を実行する。
また、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1が暗号化されているときに、制御部8は、実行中のプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いた復号化を試みる。この際に、実行中のプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いた復号化ができないとき、すなわち、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1が正規なプログラムデータDp1ではないときに、制御部8は、一例として、前述のようなメッセージを表示部6に表示させ、使用許容メモリMから読み出したプログラムデータDp1についての処理を行わずに、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1を消去した後に(ステップ44)、後述のステップ45の処理を実行する。
また、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1を実行中のプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いて復号化できたときに、制御部8は、復号化したプログラムデータDp1(使用許容メモリMに記録されていたプログラムデータDp1)を記憶部9の予め規定された記憶領域に記憶させて保存する。なお、この際に保存されたプログラムデータDp1は、後に空気調和装置1が再起動されたときに、それ以前に記憶部9に記憶されていたプログラムデータDp1に上書きされる。さらに、ステップ43におけるプログラムデータDp1の保存を完了したときに、制御部8は、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1を消去する(ステップ44)。以上により、使用許容メモリMからのプログラムデータDp1の入力処理が完了する。
また、使用許容メモリMに記録されていたプログラムデータDp1の記憶部9への保存(空気調和装置1へのプログラムデータDp1の入力および使用許容メモリMからの消去)を完了したときに、制御部8は、使用許容メモリMにパラメータデータDp2が記録されているか否か(パラメータデータDp2の空気調和装置1への入力(記憶部9に記憶されているパラメータデータDp2の更新)のためにパラメータデータDp2が記録された使用許容メモリMがメモリ装着部7に装着されたか否か)を判別する(ステップ45)。この際に、パラメータデータDp2が記録されていないときには、後述のステップ49の処理を実行する。
また、パラメータデータDp2が記録されていたときや、前述のステップ41においてプログラムデータDp1が記録されていないと判別したときに、制御部8は、第4認証処理80を実行する。この第4認証処理80では、制御部8は、実行中のプログラムデータDp1に従い、パスワードの入力操作を要求するメッセージを表示部6に表示させる。これに応じて、操作部5の操作によってパスワードが入力されたときに、制御部8は、入力されたパスワードと記憶部9に記憶されているパスワードデータDwに記録されているパスワードとが一致するか否かを判別する。具体的には、入力されたパスワードが、パラメータデータDp2のみの入力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードと、プログラムデータDp1およびパラメータデータDp2の入力についての作業を行う者に対して提示されているパスワードとのいずれかと一致するか否かを判別し、判別結果を保持した状態で第4認証処理80を終了する。
次いで、制御部8は、上記の第4認証処理80においてパスワードが一致したか否かを判別し(ステップ46)、一致しなかったときには、後述のステップ49の処理を実行する。また、ステップ46において一致したと判別したときには、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2の復号化および記憶部9への保存(空気調和装置1へのパラメータデータDp2の入力)を実行する(ステップ47)。
具体的には、制御部8は、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2が暗号化されているか否かを判別する。この際に、パラメータデータDp2が暗号化されていないとき、すなわち、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2が正規なパラメータデータDp2(予め規定されたパスワードで暗号化されたパラメータデータDp2)ではないときに、制御部8は、一例として、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2が正規なパラメータデータDp2ではないとのメッセージを表示部6に表示させ、使用許容メモリMから読み出したパラメータデータDp2についての処理を行わずに、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2を消去した後に(ステップ48)、後述のステップ49の処理を実行する。
また、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2が暗号化されているときに、制御部8は、実行中のプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いた復号化を試みる。この際に、実行中のプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いた復号化ができないとき、すなわち、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2が正規なパラメータデータDp2ではないときに、制御部8は、一例として、前述のようなメッセージを表示部6に表示させ、使用許容メモリMから読み出したパラメータデータDp2についての処理を行わずに、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2を消去した後に(ステップ48)、後述のステップ49の処理を実行する。
また、メモリ装着部7に装着されている使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2を実行中のプログラムデータDp1に記録されているパスワードを用いて復号化できたときに、制御部8は、復号化したパラメータデータDp2(使用許容メモリMに記録されていたパラメータデータDp2)を記憶部9の予め規定された記憶領域に記憶させて保存する。なお、この際に保存されたパラメータデータDp2は、後に空気調和装置1が再起動されたときに、それ以前に記憶部9に記憶されていたパラメータデータDp2に上書きされる。さらに、ステップ47におけるパラメータデータDp2の保存を完了したときに、制御部8は、使用許容メモリMに記録されているパラメータデータDp2を消去する(ステップ48)。以上により、使用許容メモリMからのパラメータデータDp2の入力処理が完了する。
また、前述のステップ43,44の処理を実行して使用許容メモリMに記録されていたプログラムデータDp1の記憶部9への保存(空気調和装置1へのプログラムデータDp1の入力および使用許容メモリMからの消去)を完了した後にステップ45において使用許容メモリMにパラメータデータDp2が記録されていないと判別したとき、または、前記のステップ48の処理を実行して使用許容メモリMに記録されていたパラメータデータDp2の記憶部9への保存(空気調和装置1へのパラメータデータDp2の入力および使用許容メモリMからの消去)を完了したときに、制御部8は、空気調和装置1(記憶部9)に保存した(使用許容メモリMから入力した)データ(プログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2)を特定可能な情報、および保存した(入力した)日付を記録する(ステップ49)。
具体的には、制御部8は、上記のデータ入力処理40においてプログラムデータDp1を記憶部9に保存したときには、そのプログラムデータDp1を特定可能な情報、およびプログラムデータDp1を保存した日付を相互に関連付けて入力履歴データDr2を生成して記憶部9に記憶させる。また、制御部8は、上記のデータ入力処理40においてパラメータデータDp2を保存したときには、そのパラメータデータDp2を特定可能な情報、およびパラメータデータDp2を保存した日付を相互に関連付けて入力履歴データDr2を生成して記憶部9に記憶させる。以上により、データ入力処理40が完了する。
なお、空気調和装置1(記憶部9)に保存したプログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2を特定可能な情報を記録した入力履歴データDr2の生成および記憶部9への記憶の処理(上記のステップ49の処理)を実行するタイミングについては、プログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2を使用許容メモリMから空気調和装置1に保存した後に限定されず、プログラムデータDp1および/またはパラメータデータDp2を保存するのに先立ってこれを実行することもできる。また、記憶部9に記憶させた入力履歴データDr2については、空気調和装置1からの出力を指示されたときに、前述のデータ出力処理30においてシステムデータDsの一部として使用許容メモリMに記憶させることができる。
この場合、上記のようにプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を使用許容メモリMから空気調和装置1に保存させた後に空気調和装置1を再起動させることにより、データ入力処理40の開始前に記憶部9に記憶されていたプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を、使用許容メモリMを介して空気調和装置1に入力した新たなプログラムデータDp1やパラメータデータDp2に変更(上書き)することができる。これにより、空気の温度調整に関する処理を正常に行うことが困難な不具合が存在するプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を、不具合が解消されたプログラムデータDp1やパラメータデータDp2に確実かつ容易に変更することができる。また、記憶部9に記憶されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2では、使用者の意図する温度調整が困難なときに、意図する温度調整が可能な他のプログラムデータDp1やパラメータデータDp2に確実かつ容易に変更することができる。
この場合、前述したように、本例の空気調和装置1では、使用許容メモリM以外のリムーバブルメモリMがメモリ装着部7に装着されたときに、このリムーバブルメモリMの使用(各種データの記録や読み出し)が規制される構成が採用されている。したがって、使用許容メモリMを所有しない者が、汎用のリムーバブルメモリMにプログラムデータDp1やパラメータデータDp2等を記録してメモリ装着部7に装着したとしても、そのリムーバブルメモリMから空気調和装置1へのデータの入力が確実に回避される。
また、本例の空気調和装置1では、データ入力処理40の第3認証処理70においてプログラムデータDp1の入力を許容された者に対して提示されたパスワードが入力されなかったときに使用許容メモリMから空気調和装置1へのプログラムデータDp1の入力が行われず、第4認証処理80においてパラメータデータDp2の出力を許容された者に対して提示されたパスワードが入力されなかったときに使用許容メモリMから空気調和装置1へのパラメータデータDp2の入力が行われない構成が採用されている。したがって、たとえ、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2等が記録された使用許容メモリMがメモリ装着部7に装着されたとしても、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の入力を許容された者以外によってプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が使用許容メモリMから空気調和装置1に入力されることがないため、提示されたパスワードを知り得ない者によるプログラムデータDp1やパラメータデータDp2の不正な変更が回避される。
また、本例の空気調和装置1では、データ入力処理40のステップ43において暗号化されているプログラムデータDp1を予め規定されたパスワードを使用して復号化して記憶部9に記憶させると共に、ステップ47において暗号化されているパラメータデータDp2を予め規定されたパスワードを使用して復号化して記憶部9に記憶させる構成が採用されている。したがって、上記のステップ43,47における復号化が実行されること(空気調和装置1に入力するために使用許容メモリMに記憶させるプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が暗号化されている必要があること)を知り得ない者が、暗号化されていない非正規なプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を空気調和装置1に入力しようとしたり、上記のステップ43,47において復号化する際に使用するパスワードを知り得ない者が、誤ったパスワードで暗号化したプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を空気調和装置1に入力しようとしたりしても、それらが空気調和装置1に入力される事態が回避されるため、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の不正な変更が回避される。
さらに、本例の空気調和装置1では、データ入力処理40において使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2の記憶部9への記憶を完了したときに、ステップ49において、使用許容メモリMからプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を消去する構成を採用している。したがって、空気調和装置1への入力が完了したプログラムデータDp1やパラメータデータDp2(プログラムデータDp1に記録されている制御手順やパラメータデータDp2に記録されている制御用パラメータ)が使用許容メモリMを介して漏洩する事態が好適に回避される。
また、ステップ49の処理を実行しなかったときには、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の入力(記憶部9への記憶)作業の完了後に空気調和装置1から取り外した使用許容メモリMを空気調和装置1に再装着したときに、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が誤って記憶部9に記憶される(再装着前に記憶されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2に、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が上書きされる)おそれがある。この場合、再装着前に記憶部9に記憶されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2と、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2とが同じデータの場合には実害は生じないものの、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2よりも新しいプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が記憶部9に記憶されている場合には、使用許容メモリMに記録されている古いプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が上書きされてしまう。したがって、使用許容メモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2の記憶部9への記憶を完了したときに、ステップ49において、使用許容メモリMからの入力完了後にステップ49の処理を行うことで、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の意図しない上書きを回避する必要がある。
また、本例の空気調和装置1では、上記のように使用許容メモリMを介してプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を空気調和装置1に入力する構成が採用されている。したがって、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の入力(変更)を目的として、空気調和装置1の設置現場に情報処理端末を携行して空気調和装置1に接続したり、空気調和装置1を通信ネットワークに接続したりする必要がないため、情報処理端末の持ち込みが制限された現場や、通信ネットワークへの接続が制限されている現場に空気調和装置1を設置した場合においても、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2を確実かつ容易に入力(変更)することができる。また、空気調和装置1のマルウェア等の感染も好適に回避することができる。
なお、本例の空気調和装置1では、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の更新を目的としてリムーバブルメモリMをメモリ装着部7に装着した際に実行されるメモリ装着時処理20におけるステップ21の処理と、上記のデータ入力処理40における第3認証処理70および第4認証処理80とが「データ入力時認証処理」に相当する。また、本例では、メモリ装着時処理20におけるステップ21において「空気調和装置1における使用を許容されている使用許容メモリMである」と判別したときと、第3認証処理70や第4認証処理80においてパスワードが一致すると判別したときとが「外部記憶装置からのデータ入力を許容するデータ入力許容条件が満たされたと判別したとき」に相当する。
このように、この空気調和装置1では、制御部8が、「データ出力時認証処理」を実行してリムーバブルメモリMに対するデータ出力を許容する「データ出力許容条件」が満たされたと判別したときに、冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bによって調整された温度および/または湿度の値を記録した温度データや湿度データ、並びに冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bの動作状態を特定可能な予め規定された値を記録した温度データ、圧力データ、回転数データおよび供給電力データのうちの指定されたデータを記憶部9から読み出してユーザデータDuやシステムデータDsを生成してメモリ装着部7に装着(接続)されているリムーバブルメモリMに記憶させる。
したがって、この空気調和装置1によれば、情報処理端末の持ち込みや通信ネットワークへの接続を制限されている場所に設置したときにもユーザデータDuやシステムデータDsを空気調和装置1からリムーバブルメモリMに出力させて(記録させて)これを分析することができるだけでなく、情報処理端末や通信ネットワークを介しての遠隔装置による不正運転やマルウェアの侵入を確実に回避することができる。また、情報処理端末の接続や操作に不慣れな者であっても、空気調和装置1からリムーバブルメモリMにユーザデータDuやシステムデータDsを出力させて(記録させて)確実かつ容易に取得することができる。さらに、メモリ装着部7にリムーバブルメモリMが装着されていたとしても、「データ出力時認証処理」において「データ出力許容条件」が満たされたと判別されるまで、ユーザデータDuやシステムデータDsがリムーバブルメモリMに記録されないため、「データ出力許容条件」が満たされたと判別される前にリムーバブルメモリMが取り外されて持ち出されたとしても、ユーザデータDuやシステムデータDsが漏洩する事態を確実に回避することができる。
また、この空気調和装置1によれば、制御部8が、ユーザデータDuおよび/またはシステムデータDsをリムーバブルメモリMに記憶させるときに、予め規定された暗号化手順に従って暗号化した後にリムーバブルメモリMに記憶させることにより、ユーザデータDuやシステムデータDsが記録されたリムーバブルメモリMが、ユーザデータDuやシステムデータDsの内容の特定を許容されるべき者以外の手に渡ったとしても、リムーバブルメモリMに記録されている暗号化されたユーザデータDuやシステムデータDsを復号化することができないため、その内容が漏洩する事態を確実に回避することができる。
さらに、この空気調和装置1によれば、制御部8が、温度データ、湿度データ、圧力データ、回転数データおよび供給電力データなどを記憶部9から読み出してユーザデータDuやシステムデータDsとしてリムーバブルメモリMに記憶させたときに、リムーバブルメモリMに記憶させたユーザデータDuおよび/またはシステムデータDsを特定可能な出力履歴データDr1を記憶部9に記憶させることにより、例えば、ユーザデータDuやシステムデータDsの分析によって特定し得る情報漏洩が発生したときに、出力履歴データDr1の分析によって、対応するユーザデータDuやシステムデータDsが空気調和装置1から出力されたか否かを特定することができるため、情報漏洩の原因を確実かつ容易に特定することができる。
また、この空気調和装置1では、制御部8が、「データ入力時認証処理」を実行してリムーバブルメモリMからのデータ入力を許容する「データ入力許容条件」が満たされたと判別したときに、制御部8による冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bの制御手順が記録された制御用プログラムのプログラムデータDp1、および制御用プログラムに記録された制御手順に従って冷凍サイクル2や送風用ファン3a,3bの動作を制御するための制御用パラメータのパラメータデータDp2のうちのメモリ装着部7に接続されているリムーバブルメモリMに記憶されているデータをリムーバブルメモリMから読み出して記憶部9に記憶させる。
したがって、この空気調和装置1によれば、情報処理端末の持ち込みや通信ネットワークへの接続を制限されている場所に設置したときにもプログラムデータDp1やパラメータデータDp2をリムーバブルメモリMから空気調和装置1に入力させる(記憶部9に記憶させる)ことができるだけでなく、情報処理端末や通信ネットワークを介しての遠隔装置による不正運転やマルウェアの侵入を確実に回避することができる。また、情報処理端末の接続や操作に不慣れな者であっても、リムーバブルメモリMから空気調和装置1にプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を確実かつ容易に入力させる(記憶部9に記憶させる)ことができる。さらに、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2が記録されたリムーバブルメモリMがメモリ装着部7に装着されていたとしても、「データ入力時認証処理」において「データ入力許容条件」が満たされたと判別されるまで、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2がリムーバブルメモリMから空気調和装置1に入力されないため、「データ入力許容条件」が満たされたと判別されることのない状態においてプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が不正に入力される事態を確実に回避することができる。
また、この空気調和装置1によれば、制御部8が、リムーバブルメモリMから読み出したプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が暗号化されているときに、予め規定された復号化手順に従って復号化した後に記憶部9に記憶させることにより、暗号化された状態のプログラムデータDp1やパラメータデータDp2をリムーバブルメモリMに記録して空気調和装置1に入力することを知り得ない者が暗号化していないプログラムデータDp1やパラメータデータDp2をリムーバブルメモリMに記録したり、暗号化に際して使用するパスワードを知り得ない者が異なるパスワードを使用して暗号化したプログラムデータDp1やパラメータデータDp2をリムーバブルメモリMに記録したりしても、それらのプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が空気調和装置1に入力される事態を好適に回避できるだけでなく、正規なパスワードで暗号化されたプログラムデータDp1やパラメータデータDp2については、復号化のパスワードを入力する操作を行わなくても自動的に復号化されて空気調和装置1に入力されるため、不正なデータが入力される事態を回避しつつ、正規なプログラムデータDp1やパラメータデータDp2の空気調和装置1への入力に要する負担を十分に軽減することができる。また、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2が記録されたリムーバブルメモリMが、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の空気調和装置1への入力前に、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の内容の特定を許容されるべき者以外の手に渡ったとしても、リムーバブルメモリMに記録されている暗号化されたプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を復号化することができないため、その内容が漏洩する事態を確実に回避することができる。
さらに、この空気調和装置1によれば、制御部8が、リムーバブルメモリMに記憶されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2をリムーバブルメモリMから読み出して記憶部9に記憶させた後に、リムーバブルメモリMから読み出したプログラムデータDp1やパラメータデータDp2をリムーバブルメモリMから消去することにより、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2を記録したリムーバブルメモリMが、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の空気調和装置1への入力後に、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2の内容の特定を許容されるべき者以外の手に渡ったとしても、プログラムデータDp1やパラメータデータDp2がリムーバブルメモリMに記録されていないため、その内容が漏洩する事態を確実に回避することができる。また、空気調和装置1に入力する(記憶させる)ためにプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を記憶させたリムーバブルメモリMを、作業完了後に空気調和装置1から取り外し、その後に再装着したときに、リムーバブルメモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が誤って記憶部9に記憶される事態(再装着前に記憶されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2に、リムーバブルメモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2が上書きされる事態)を確実に回避することができる。
なお、「調整装置」の構成は、上記の空気調和装置1の構成の例に限定されない。
例えば、冷凍サイクル2の各構成要素11〜14のすべてに圧力センサおよび温度センサをそれぞれ配設し、検出される冷媒圧力や冷媒温度を示すセンサ信号S11〜S14を制御部8にそれぞれ出力させる構成を例に挙げて説明したが、冷媒圧力に基づいて演算した冷媒温度に応じて冷凍サイクル2を動作させることが可能なときには、冷媒温度を検出するための温度センサを配設しない構成を採用し、冷媒温度に基づいて演算した冷媒圧力に応じて冷凍サイクル2を動作させることが可能なときには、冷媒圧力を検出するための圧力センサを配設しない構成を採用することもできる。
また、冷媒圧力を検出するための圧力センサについては、冷凍サイクル2の各構成要素11〜14のすべてに配設する構成だけでなく、各構成要素11〜14のうちのいずれか1つ、2つ、または3つに配設する構成を採用することもできる。同様にして、冷媒温度を検出するための温度センサについては、冷凍サイクル2の各構成要素11〜14のすべてに配設する構成だけでなく、各構成要素11〜14のうちのいずれか1つ、2つ、または3つに配設する構成を採用することもできる。
さらに、空気調和装置1における使用を許容されたリムーバブルメモリMであるか否かを特定可能にリムーバブルメモリMに記録する「使用許容メモリMを特定可能な情報(特定用データ)」については、空気調和装置1における使用を目的として規定された「ユニークな文字列」に限定されず、リムーバブルメモリMに付与されているMACアドレスのデータや、リムーバブルメモリMの製造番号(シリアル番号)を記録したデータを利用することもできる。また、他の「データ出力時認証処理」や他の「データ入力時認証処理」を実行することを条件として、上記の例におけるメモリ装着時処理20を実行しない構成(空気調和装置1において使用可能なリムーバブルメモリMを制限しない構成)を採用することもできる。
また、他の「データ出力時認証処理」を実行することを条件として、上記のデータ出力処理30における第1認証処理50およびステップ33の処理や、第2認証処理60およびステップ36の処理を実行しない構成(入力されるパスワードとの一致を判別する処理を行わない構成)を採用することもできる。さらに、他の「データ入力時認証処理」を実行することを条件として、上記のデータ入力処理40における第3認証処理70およびステップ42の処理や、第4認証処理80およびステップ46の処理を実行しない構成(入力されるパスワードとの一致を判別する処理を行わない構成)を採用することもできる。また、上記のデータ出力処理30におけるステップ34,37における暗号化の処理を行わない構成や、上記のデータ入力処理40におけるステップ43,47における復号化の処理を行わない構成を採用することもできる。
さらに、上記のデータ出力処理30におけるステップ38の処理(出力履歴データDr1を生成して記憶部9に記憶させる処理)や、データ入力処理40におけるステップ49の処理(入力履歴データDr2を生成して記憶部9に記憶させる処理)を行わない構成を採用することもできる。また、上記のデータ入力処理40におけるステップ44,48の処理(リムーバブルメモリMに記録されているプログラムデータDp1やパラメータデータDp2を消去する処理)を行わない構成を採用することもできる。さらに、「データ出力時認証処理」および「データ入力時認証処理」のいずれか一方を実行しない構成を採用することもできる。
また、供給対象に対して冷風(蒸発器14における冷媒との熱交換によって温度低下させられた空気)を供給可能に構成された空気調和装置1の構成を例に挙げて説明したが、供給対象に対して温風(「凝縮器」における冷媒との熱交換によって温度上昇させられた空気)を供給可能に構成した「調整装置(温度調整装置:空気調和装置)」においても上記の空気調和装置1と同様にして、「データ出力時認証処理」や「データ入力時認証処理」を実行可能な構成を採用することで空気調和装置1によって奏される上記の効果と同様の効果を奏することができる。
さらに、空気等の気体の温度調整を行う「温度調整装置(湿度の調整を目的として動作せずに温度を調整する装置)」の構成を例に挙げて説明したが、空気等の気体の湿度調整を行う「湿度調整装置(温度の調整を目的として動作せずに湿度を調整する装置)」や、空気等の気体の温度調整および湿度調整を行う「温湿度調整装置(温度および湿度の双方の調整を目的として動作する装置)」においても上記の空気調和装置等と同様にして、「データ出力時認証処理」や「データ入力時認証処理」を実行可能な構成を採用することで空気調和装置1によって奏される上記の効果と同様の効果を奏することができる。
また、空気等の気体の温度や湿度を調整する「調整装置」の構成を例に挙げて説明したが、水や不凍液などの液体の温度を調整する「調整装置(温度調整装置)」においても上記の空気調和装置等と同様にして、「データ出力時認証処理」や「データ入力時認証処理」を実行可能な構成を採用することで空気調和装置1によって奏される上記の効果と同様の効果を奏することができる。さらに、「気体や液体」の温度や湿度を調整するための「冷熱源」や、「気体」の湿度を調整するための「冷熱源」、並びに「気体や液体」の温度や湿度を調整するための「温熱源」は、冷凍サイクル2の蒸発器14や凝縮器12に限定されず、「ヒートポンプ」、「送風機」および「電気ヒータ」など各種の熱源を使用する構成を採用することができる。
また、上記の各種の構成に代えて(または、それらの構成に加えて)、「データ出力時認証処理」や「データ入力時認証処理」として、データの出力を許容された者だけが知り得る操作手順(例えば、予め規定された操作ボタンの長押しや任意の複数回の早押し、または、予め規定された複数の操作ボタンの同時操作など)が行われたときだけ使用可能な操作メニュー(いわゆる「隠しメニュー」)を用意しておき、そのような操作メニューの操作によってのみ、データの出力を許容する構成を採用したり、データの入力を許容された者だけが知り得る操作手順でのみ選択可能な操作メニューを用意しておき、そのような操作メニューの操作によってのみ、データの入力を許容する構成を採用したりすることもできる。