以下、図面を参照して、本発明を適用した実施形態を説明する。本実施形態は、光学系駆動装置の一例として、撮像装置(カメラ)のファインダを構成するファインダブロック10に適用したものである。ファインダブロック10は、後述する各部品を組みわせて図7及び図8に示す状態にしてから、撮像装置の本体(図示略)に組み付けられる。ファインダブロック10の光学系の光軸OX(図3から図6、図8参照)に沿う方向を光軸方向と定義する。各図に矢印で示す前後、左右、上下は、ファインダブロック10が搭載される撮像装置を基準とした各方向を意味する。前後方向は、ファインダブロック10の光軸方向と一致する。
ファインダブロック10を構成する光学系は、撮像装置におけるファインダ光学系のうち接眼側の一部であり、ファインダブロック10はユーザーによって操作可能な視度調整機能を備えている。なお、本発明を視度調整機能付きのファインダ光学系に適用する場合、撮影用の光学系から反射鏡を経由して被写体光を接眼光学系に導くレフレックスタイプと、反射鏡を用いずに独立したファインダ光学系で被写体を直接に観察するノンレフレックスタイプ(直視式)のいずれの方式のファインダにも適用が可能である。
図1及び図2は、ファインダブロック10の要部を分解した状態である。ファインダブロック10は、各部品の組み付けのベース(支持部材)となるケース11を有し、ケース11に対して、光学要素であるレンズやその他の部品を組み付けて構成される。図7に示すように、ファインダブロック10は、ケース11の後方に取り付けられる背面カバー12と、背面カバー12に対して回動可能に支持される視度調整ダイヤル13とを有している。背面カバー12は、ファインダブロック10を撮像装置に取り付けた状態で、該撮像装置の背面側の外装の一部を構成する。視度調整ダイヤル13は、撮像装置の背面側に位置して、ユーザーが回転操作することができる。
図8に示すように、ファインダブロック10における光学系は、光軸方向の前方から順に、前固定レンズL1、前可動レンズL2、後可動レンズL3、後固定レンズL4を備えている。図1から図4に示すように、各レンズL1〜L4は、光軸OXに沿う正面視(又は背面視)で略矩形の外形形状を有しており、長手方向が左右方向に向き、短手方向が上下方向に向く、横長形状となっている。以下の各レンズL1〜L4に関する説明では、「側面」は左右方向を向く両側の縁部を意味し、「上面」は上方を向く縁部を意味し、「下面」は下方を向く縁部を意味する。
前固定レンズL1と後固定レンズL4は、ケース11に対して固定的に支持される固定レンズであり、前可動レンズL2と後可動レンズL3は、ケース11に対して光軸方向に移動可能に支持される可動レンズである。視度調整ダイヤル13の回転操作に応じて前可動レンズL2と後可動レンズL3がそれぞれ光軸方向に所定の軌跡で移動して、視度調整が行われる。
ケース11は、各レンズL1〜L4を収容する収容空間14を内部に有する。ケース11は、光軸方向に貫通した箱型の形状であり、基本構造として各レンズの周囲を囲む左右と上下の壁部を有するが、上下の壁部は部分的に開放されており、後固定レンズL4を除く各レンズL1〜L3については、上下方向からケース11への組み付けが行われる。
より詳しくは、図1に示すように、ケース11の上面側には、光軸方向で最も前方に位置する第1開口15と、第1開口15の後方に離接する第2開口16とが形成されている。前固定レンズL1は、第1開口15を通して上方から下方に向けて収容空間14に挿入される。前可動レンズL2は、第2開口16を通して上方から下方に向けて収容空間14に挿入される。つまり、収容空間14のうち、第1開口15の下方空間が前固定レンズL1を収容する領域であり、第2開口16の下方空間が前可動レンズL2を収容する領域である。
図2に示すように、ケース11の下面側には、第3開口17が形成されている。第3開口17は、光軸方向で第2開口16よりも後方に形成されており、後可動レンズL3は第3開口17を通して下方から上方に向けて収容空間14に挿入される。つまり、収容空間14のうち、第3開口17の上方空間が後可動レンズL3を収容する領域である。ケース11の後端側には、後方に向けて開口する後端収容部18が形成されている。後端収容部18は収容空間14の後端部分を構成しており、後固定レンズL4が後端収容部18に対して後方から組み付けられる。
ケース11はさらに、収容空間14の右側の側部に側方支持部19を有している。側方支持部19は、後述する主ガイド軸23,28やカム軸部材40や伝達部材55などの、各可動レンズL2,L3の支持及び駆動に関係する構成要素を集約して支持する部位である。
図1及び図8に示すように、前固定レンズL1の周縁(左右の側面と下面)には、複数のリブ20が設けられている。第1開口15を通して収容空間14に挿入された前固定レンズL1は、ケース11の内側(左右の側面と底面)に形成した複数の凹部11aに対して複数のリブ20を嵌合させて、光軸方向の位置が定まる。また、凹部11aとリブ20の嵌合によって、左右方向と下方への前固定レンズL1の移動が規制されて位置が定まる。
図1、図3から図6に示すように、前可動レンズL2から左右に突出する第1アーム21と第2アーム22が設けられている。第1アーム21は前可動レンズL2の右側の側面から突出し、第2アーム22は前可動レンズL2の左側の側面から突出する。第1アーム21と第2アーム22はそれぞれ、前可動レンズL2の左右の側面のうち、前可動レンズL2の上面に近い上方寄りの箇所から突出している。第1アーム21には、光軸方向に貫通するガイド孔21aが形成されている。第2アーム22には、光軸方向に貫通すると共に左方に向けて開放された、長溝状の回転規制溝22aが形成されている。
図1及び図8に示すように、ケース11右側の側方支持部19には、光軸方向に貫通する支持孔11bが形成されている。光軸方向に位置を異ならせて2つの支持孔11bが設けられており、この2つの支持孔11bの間に第1アーム21が配置される。支持孔11bとガイド孔21aに対して、光軸方向に延びる主ガイド軸23が挿入される。主ガイド軸23は、光軸方向に沿って一様な断面形状である円柱状の部材であり、光軸方向の後端部に大径の頭部23aを有する。側方支持部19の後面側に形成した凹部11c(図2及び図8参照)の底面に頭部23aが当接するまで主ガイド軸23を挿入する。主ガイド軸23は、各支持孔11bに対して固定的に支持される。固定的に支持された主ガイド軸23に対して、第1アーム21のガイド孔21aが光軸方向に摺動可能に支持される。
図1及び図8に示すように、ケース11の左側には、光軸方向に貫通する支持孔11dが形成されている。光軸方向に位置を異ならせて2つの支持孔11dが設けられており、この2つの支持孔11dの間に第2アーム22が配置される。支持孔11dと回転規制溝22aに対して、光軸方向に延びる副ガイド軸24が挿入される。副ガイド軸24は、光軸方向に沿って一様な断面形状である円柱状の部材であり、光軸方向の後端部に大径の頭部24aを有する。ケース11に形成した後方を向く凹部11e(図8参照)の底面に頭部24aが当接するまで副ガイド軸24を挿入する。副ガイド軸24は、各支持孔11dに対して固定的に支持される。固定的に支持された副ガイド軸24に対して、第2アーム22の回転規制溝22aが光軸方向に摺動可能に支持される。
ガイド孔21aは主ガイド軸23を囲む円筒状の内周面を有し、光軸OXと垂直な全ての方向への第1アーム21の移動が主ガイド軸23によって制限される。つまり、第1アーム21は主ガイド軸23に対して光軸方向にのみ移動するように直進案内されている。回転規制溝22aは、上下方向の幅よりも左右方向の長さが大きく、第2アーム22は副ガイド軸24に対して、主ガイド軸23を中心とする回転が規制される一方で、左右方向への位置変化が許容されている。従って、前可動レンズL2は、主ガイド軸23によって光軸方向に直進案内されつつ、副ガイド軸24によって光軸OXと平行な軸(主ガイド軸23)を中心とする回転が規制された状態で支持される。
第1アーム21には、前方に突出する筒部21bが設けられ、筒部21bの中心部分にガイド孔21aが形成されている。筒部21bを囲み光軸方向に軸線を向けたコイルバネ25が取り付けられる。コイルバネ25は圧縮バネであり、前可動レンズL2をケース11内に組み込んだ状態で、コイルバネ25の一端が第1アーム21に当接し、コイルバネ25の他端がケース11の内面(側方支持部19の前壁)に当接する。コイルバネ25によって、前可動レンズL2は光軸方向後方に向けて付勢される。
図2から図6に示すように、後可動レンズL3から左右に突出する第1アーム26と第2アーム27が設けられている。第1アーム26は後可動レンズL3の右側の側面から突出し、第2アーム27は後可動レンズL3の左側の側面から突出する。第1アーム26と第2アーム27はそれぞれ、後可動レンズL3の左右の側面のうち、後可動レンズL3の下面に近い下方寄りの箇所から突出している。第1アーム26には、光軸方向に貫通するガイド孔26aが形成されている。第2アーム27には、光軸方向に貫通すると共に左方に向けて開放された、長溝状の回転規制溝27aが形成されている。
図2に示すように、ケース11右側の側方支持部19には、上述した支持孔11bよりも下方に、光軸方向に貫通する支持孔11fが形成されている。図2には1つの支持孔11fのみが示されているが、光軸方向に位置を異ならせて2つの支持孔11fが設けられており、この2つの支持孔11fの間に第1アーム26が配置される。支持孔11fとガイド孔26aに対して、光軸方向に延びる主ガイド軸28が挿入される。主ガイド軸28は、光軸方向に沿って一様な断面形状である円柱状の部材であり、光軸方向の後端部に大径の頭部28aを有する。側方支持部19の後面側に形成した凹部11g(図2参照)の底面に頭部28aが当接するまで主ガイド軸28を挿入する。主ガイド軸28は、各支持孔11fに対して固定的に支持される。固定的に支持された主ガイド軸28に対して、第1アーム26のガイド孔26aが光軸方向に摺動可能に支持される。
図2に示すように、ケース11の左側には、上述した支持孔11dよりも下方に、光軸方向に貫通する支持孔11hが形成されている。図2には1つの支持孔11hのみが示されているが、光軸方向に位置を異ならせて2つの支持孔11hが設けられており、この2つの支持孔11hの間に第2アーム27が配置される。支持孔11hと回転規制溝27aに対して、光軸方向に延びる副ガイド軸29が挿入される。副ガイド軸29は、光軸方向に沿って一様な断面形状である円柱状の部材であり、光軸方向の後端部に大径の頭部29aを有する。ケース11に形成した後方を向く凹部(図示略)の底面に頭部29aが当接するまで副ガイド軸29を挿入する。副ガイド軸29は、各支持孔11hに対して固定的に支持される。固定的に支持された副ガイド軸29に対して、第2アーム27の回転規制溝27aが光軸方向に摺動可能に支持される。
ガイド孔26aは主ガイド軸28を囲む円筒状の内周面を有し、光軸OXと垂直な全ての方向への第1アーム26の移動が主ガイド軸28によって制限される。つまり、第1アーム26は主ガイド軸28に対して光軸方向にのみ移動するように直進案内されている。回転規制溝27aは、上下方向の幅よりも左右方向の長さが大きく、第2アーム27は副ガイド軸29に対して、主ガイド軸28を中心とする回転が規制される一方で、左右方向への位置変化が許容されている。従って、後可動レンズL3は、主ガイド軸28によって光軸方向に直進案内されつつ、副ガイド軸29によって光軸OXと平行な軸(主ガイド軸28)を中心とする回転が規制された状態で支持される。
第1アーム26には、後方に突出する筒部26bが設けられ、筒部26bの中心部分にガイド孔26aが形成されている。筒部26bを囲み光軸方向に軸線を向けたコイルバネ30が取り付けられる。コイルバネ30は圧縮バネであり、後可動レンズL3をケース11内に組み込んだ状態で、コイルバネ30の一端が第1アーム26に当接し、コイルバネ30の他端がケース11の内面(側方支持部19の後壁)に当接する。コイルバネ30によって、後可動レンズL3は光軸方向前方に向けて付勢される。
図2に示すように、後固定レンズL4の周縁(左右の側面と上面と下面)には、複数のリブ31が設けられている。後方から後端収容部18に挿入された後固定レンズL4は、ケース11に形成した複数の凹部11iに対して複数のリブ31を嵌合させて、光軸方向の位置が定まる。また、凹部11iとリブ31の嵌合によって、左右方向と上下方向への前後固定レンズL4の移動が規制されて位置が定まる。さらに、ケース11に形成した複数の嵌合孔11jに対して、後固定レンズL4側の嵌合突起32が嵌合して、後端収容部18から後方への後固定レンズL4の移動(脱落)が規制される。
ケース11に対する各レンズL1〜L4の組み付けは、次のように行う。前固定レンズL1と前可動レンズL2はそれぞれ、対応する第1開口15と第2開口16を通して上方から収容空間14に挿入される。凹部11aに対するリブ20の嵌合によって、光軸方向での前固定レンズL1の位置が定まる。また、第1開口15が形成されているケース11の上面以外では、ケース11の壁面によって前固定レンズL1が囲まれており、前固定レンズL1は左右方向と下方への移動が規制される。
前固定レンズL1と前可動レンズL2を収容空間14に挿入した後で、ケース11の上面側に上カバー33(図1参照)を取り付ける。ケース11の上面には、3つの位置決め突起11kと2つのネジ穴11mが形成されている。上カバー33は、位置決め突起11kに対応する3つの位置決め孔33aと、ネジ穴11mに対応する2つのネジ挿通孔33bを有している。各位置決め孔33aに対応の位置決め突起11kを挿入することで上カバー33の位置が定まる。そして、各ネジ挿通孔33bを通してネジ穴11mにネジ34を螺合させることで、上カバー33がケース11に固定される。
ケース11に取り付けた状態の上カバー33によって、第1開口15と第2開口16が覆われる。前固定レンズL1の上面側に設けた突起35(図1参照)が上カバー33に当接して、上方への前固定レンズL1の移動(第1開口15からの脱落)が規制される。つまり、前固定レンズL1は、ケース11の各壁部と上カバー33とによって囲まれて、固定的に支持される。
前可動レンズL2を収容空間14に挿入した後で、主ガイド軸23と副ガイド軸24をそれぞれ光軸方向の後方から挿入してケース11に取り付ける。主ガイド軸23はガイド孔21aに挿入され、副ガイド軸24は回転規制溝22aに挿入される。前可動レンズL2は、ケース11による直接の位置規制は受けず、主ガイド軸23と副ガイド軸24を介して、光軸方向へ移動可能に支持される。
後可動レンズL3は、第3開口17を通して下方から収容空間14に挿入される。後可動レンズL3を収容空間14に挿入した後で、主ガイド軸28と副ガイド軸29をそれぞれ光軸方向の後方から挿入してケース11に取り付ける。主ガイド軸28はガイド孔26aに挿入され、副ガイド軸29は回転規制溝27aに挿入される。後可動レンズL3は、ケース11による直接の位置規制は受けず、主ガイド軸28と副ガイド軸29を介して、光軸方向へ移動可能に支持される。
後可動レンズL3を収容空間14に挿入した後で、ケース11の下面側に下カバー36(図2参照)を取り付ける。ケース11の下面には、4つの位置決め突起11nと2つのネジ穴11pが形成されている。下カバー36は、位置決め突起11nに対応する4つの位置決め孔36aと、ネジ穴11pに対応する2つのネジ挿通孔36bを有している。各位置決め孔36aに対応の位置決め突起11nを挿入することで下カバー36の位置が定まる。そして、各ネジ挿通孔36bを通してネジ穴11pにネジ37を螺合させることで、下カバー36がケース11に固定される。
後可動レンズL3は、光軸OXと垂直な方向への移動が主ガイド軸28や副ガイド軸29によって規制されている。そのため、前固定レンズL1の支持に関与する上カバー33とは異なり、下カバー36は後可動レンズL3を直接的に支持していない。しかし、図2に示すように、ケース11における第3開口17の後縁部分(後端収容部18との境界部分)は、細い橋絡形状になっている。そのため、当該橋絡部分に対しても嵌合する構成の下カバー36を取り付けることで、第3開口17の周辺でのケース11の強度を向上させることができる。また、遮光性や防塵性の観点からも、第3開口17を開放させたままにするのではなく、下カバー36によって第3開口17を覆うことが好ましい。
後固定レンズL4は、後端収容部18に対して光軸方向の後方から組み付けられる。さらに、図8に示すように、ケース11の後部に後カバー38を取り付ける。後カバー38はカバーガラスGを支持しており、後カバー38を取り付けると、後固定レンズL4の後方がカバーガラスGによって覆われる。また、後カバー38とカバーガラスGの間にシール部材(図示略)が挟まれて、ファインダブロック10の後面側が防塵防滴構造になる。
ケース11への組み付けに際して光軸方向に挿入されるのは、後固定レンズL4のみであり、他の各レンズL1,L2及びL3は、光軸OXと垂直な方向でケース11に組み付けられる。そのため、複数のレンズを光軸方向に順次組み込んでいく構成に比べて、本実施形態のファインダブロック10は、ケース11に対する各レンズL1〜L4の組み付け順序の自由度が高い。
図3から図6に示すように、前可動レンズL2と後可動レンズL3を支持する2つの主ガイド軸23,28と2つの副ガイド軸24,29は、前可動レンズL2及び後可動レンズL3の左右に振り分けて配置されている。主ガイド軸23と主ガイド軸28は、前可動レンズL2及び後可動レンズL3の右側に位置しており、主ガイド軸23が上で主ガイド軸28が下となる関係で、上下方向に間隔を空けて配置されている。副ガイド軸24と副ガイド軸29は、前可動レンズL2及び後可動レンズL3の左側に位置しており、副ガイド軸24が上で副ガイド軸29が下となる関係で、上下方向に間隔を空けて配置されている。このように、横長の矩形状である前可動レンズL2と後可動レンズL3の四隅に近い位置に4つのガイド軸を配置することで、スペース効率に優れた構成で、前可動レンズL2と後可動レンズL3を高精度に安定して直進案内することができる。
例えば、主ガイド軸23,28によるガイド孔21a,26aの光軸方向の支持長が大きいほど、前可動レンズL2と後可動レンズL3が光軸OXに対して傾きを生じにくく、高精度なレンズ支持を実現できる。上下方向で互いの位置を異ならせて主ガイド軸23と主ガイド軸28を配置したことにより、互いに干渉せずに主ガイド軸23,28の長さとガイド孔21a,26aに対する支持長を設定することが可能になり、前可動レンズL2と後可動レンズL3の支持精度に優れた構成となっている。そして、主ガイド軸23と主ガイド軸28を光軸方向に並べる構成に比べて、2つの可動レンズL2,L3を案内するガイド機構を、光軸方向でコンパクトな構成にすることができる。
より詳しくは、図5及び図6に示すように、主ガイド軸23と主ガイド軸28は、それぞれの長さの半分以上が、光軸方向で同じ範囲に位置している。また、前可動レンズL2における第1アーム21と、後可動レンズL3における第1アーム26は、互いの一部が光軸方向で同じ位置にある。しかし、主ガイド軸23と主ガイド軸28が上下方向に離間して設けられているので、主ガイド軸23と主ガイド軸28、第1アーム21と第1アーム26はいずれも、相互に干渉することなく、光軸方向の限られたスペース内に収めることができる。
副ガイド軸24,29と第2アーム22,27についても、同様の効果が得られる。図5に示すように、上下方向に互いの位置を異ならせることで、副ガイド軸24と副ガイド軸29は、それぞれの長さの半分以上を光軸方向で同じ範囲に位置させることができ、前可動レンズL2と後可動レンズL3の支持精度を高めつつ、光軸方向でのコンパクト化を実現できる。
ファインダブロック10は、視度調整ダイヤル13の回転操作に応じて前可動レンズL2と後可動レンズL3をそれぞれ光軸方向に移動させる駆動部材として、カム軸部材40を備えている。図1に示すように、カム軸部材40は、光軸方向に貫通する円形断面の軸孔41を中心に有し、軸孔41を囲む円筒状の筒部42を有している。光軸方向で筒部42の中央付近には、筒部42よりも径が大きい被伝達ギヤ43が設けられている。被伝達ギヤ43は、軸と平行に向く複数の歯が設けられた平歯車である。
カム軸部材40にはさらに、被伝達ギヤ43を挟んだ光軸方向の両側(前後)に、前カム部44と後カム部45が設けられている。被伝達ギヤ43に対して光軸方向の一方の側(前側)に設けられた前カム部44は、前方に向く端面カム44aを有している。被伝達ギヤ43に対して光軸方向の他方の側(後側)に設けられた後カム部45は、後方に向く端面カム45aを有している。
図1及び図2に示すように、ケース11の側方支持部19には、カム軸部材40を収容するカム収容部50が形成されている。カム収容部50は、筒部42の前後の端部が対向する前後の壁部50aを有し、この前後の壁部50aにそれぞれ軸支持孔50bが形成されている。
カム収容部50における前後の壁部50aの間にカム軸部材40が挿入される。図1に示すように、カム収容部50は、各レンズL1〜L4を収める収容空間14とは反対の右側に向けて開放されており、カム軸部材40は右方からカム収容部50内に挿入される。カム収容部50に挿入したカム軸部材40は、筒部42の前後の端面が前後の壁部50aに対向して、光軸方向への移動が規制される。
カム収容部50の軸支持孔50bとカム軸部材40の軸孔41に対して、光軸方向に延びる支持軸52が挿入される。支持軸52は、光軸方向に沿って一様な断面形状である円柱状の部材であり、光軸方向の後端部に大径の頭部52aを有する。頭部52aが後方の壁部50aに当接するまで支持軸52を挿入する。支持軸52は、各軸支持孔50bに対して固定的に支持される。固定的に支持された支持軸52を中心としてカム軸部材40が回動可能に支持される。
ケース11の側方支持部19に取り付けた状態の支持軸52及びカム軸部材40は、図3及び図4に示すように、上下方向で主ガイド軸23と主ガイド軸28の間に位置している。より詳しくは、主ガイド軸23と主ガイド軸28は、左右方向で略同じ位置にあり、上下方向に離間して配置されている。主ガイド軸23の中心軸と主ガイド軸28の中心軸を結ぶ仮想線P0を、図3及び図4に示した。仮想線P0は、概ね上下方向に延びている。
支持軸52は、上下方向で主ガイド軸23と主ガイド軸28の間(略中間)に位置し、主ガイド軸23及び主ガイド軸28(仮想線P0)よりも右方(可動レンズL2,L3の右側面から離れた位置)に位置している。図3や図4に示すように、主ガイド軸23と支持軸52の互いの中心軸を結ぶ仮想線P1の長さと、主ガイド軸28と支持軸52の互いの中心軸を結ぶ仮想線P2の長さが、略等しい。別言すれば、主ガイド軸23の中心軸からカム軸部材40の回転中心までの距離と、主ガイド軸28の中心軸からカム軸部材40の回転中心までの距離とが、略等しい。そして、仮想線P0,P1,P2を各辺として形成される三角形(仮想線P0を底辺とする二等辺三角形)の頂点の位置に、主ガイド軸23と主ガイド軸28と支持軸52が配置されている。
図5及び図6に示すように、光軸方向における支持軸52の位置は、その略全体が主ガイド軸23,28と同じ範囲に含まれている。従って、支持軸52は、主ガイド軸23,28と同様に、光軸方向でスペース効率良く収められている。
上下方向に離間して設けた主ガイド軸23と主ガイド軸28の間に、支持軸52により軸支されたカム軸部材40が位置している。図3及び図4に示すように、カム軸部材40は、一部が仮想線P0と重なる位置まで可動レンズL2,L3(光軸OX)に近づけて配置されており、主ガイド軸23と主ガイド軸28の間のスペースを、カム軸部材40の配置領域として有効利用している。別言すれば、主ガイド軸23及び主ガイド軸28に対する支持軸52の右方へのオフセット量を小さくして、上下方向で主ガイド軸23と主ガイド軸28の間にカム軸部材40の一部が収まるようにしている。略矩形の可動レンズL2,L3の上面と下面に近い位置まで、主ガイド軸23と主ガイド軸28を上下方向で離間させているので、主ガイド軸23と主ガイド軸28に干渉せずに、左右方向でカム軸部材40を光学系の光軸OXに近づけて配置することが可能になっている。
なお、上下方向への主ガイド軸23と主ガイド軸28の間隔を増大させれば、カム軸部材40を左右方向でさらに光軸OXに近づけることも可能である。しかし、主ガイド軸23が可動レンズL2,L3の上面よりも上方に位置したり、主ガイド軸28が可動レンズL2,L3の下面よりも下方に位置したりする構成では、ガイド機構が上下方向に大型化して、ファインダブロック10全体の上下方向寸法が増大してしまう。本実施形態では、可動レンズL2,L3の上面と下面の間にガイド機構を収めることで、ファインダブロック10を上下方向で小型にさせている。その上で、主ガイド軸23,28の間にカム軸部材40を進入させる配置にして、ファインダブロック10の左右方向の寸法も最小限に抑えている。
前可動レンズL2における第1アーム21には、概ね仮想線P1に沿って右斜め下方に向けて突出するカムフォロア53が設けられる(図3参照)。カムフォロア53は、主ガイド軸23を中心とする半径方向で前カム部44の前方位置まで突出しており、光軸方向で端面カム44aとカムフォロア53が対向する。第1アーム21はコイルバネ25によって後方に向けて付勢されており、この付勢力によってカムフォロア53が端面カム44aに当接した状態が維持される。
後可動レンズL3における第1アーム26には、概ね仮想線P2に沿って右斜め上方に向けて突出するカムフォロア54が設けられる(図4参照)。カムフォロア54は、主ガイド軸28を中心とする半径方向で後カム部45の後方位置まで突出しており、光軸方向で端面カム45aとカムフォロア54が対向する。第1アーム26はコイルバネ30によって前方に向けて付勢されており、この付勢力によってカムフォロア54が端面カム45aに当接した状態が維持される。
端面カム44aと端面カム45aはそれぞれ、カム軸部材40の回転方向に進むにつれて光軸方向への突出量を変化させる。端面カム44aと端面カム45aのそれぞれの展開形状に対応した、前可動レンズL2の移動軌跡L2zと後可動レンズL3の移動軌跡L3zを、図9に模式的に示した。図9のうち移動軌跡L2z,L3zを示す部分では、縦軸がカム軸部材40の回転角、横軸が光軸方向の位置を示している。
カム軸部材40の第1回動端M1では、端面カム44aのうち前方への突出量が最も小さい領域にカムフォロア53が当接し、端面カム45aのうち後方への突出量が最も小さい領域にカムフォロア54が当接する。従って、第1回動端M1では、カム軸部材40により制御される動作範囲のうち、前可動レンズL2が最も光軸方向の後方に位置し、後可動レンズL3が最も光軸方向の前方に位置し、前可動レンズL2と後可動レンズL3の光軸方向間隔が最小になっている。
第1回動端M1から第2回動端M2に向けてカム軸部材40を回動させると、コイルバネ25の付勢力に抗して、端面カム44aによってカムフォロア53が徐々に光軸方向の前方に押圧移動され、コイルバネ30の付勢力に抗して、端面カム45aによってカムフォロア54が徐々に光軸方向の後方に押圧移動され、前可動レンズL2と後可動レンズL3の光軸方向間隔が増大する。なお、カム軸部材40(支持軸52)の中心軸に対する傾きは、端面カム44aの方が端面カム45aよりも大きく設定されており、カム軸部材40の単位回転角あたりの光軸方向への移動量は、後可動レンズL3よりも前可動レンズL2の方が大きい。
第2回動端M2では、カム軸部材40により制御される動作範囲のうち、前可動レンズL2が最も光軸方向の前方に位置し、後可動レンズL3が最も光軸方向の後方に位置し、前可動レンズL2と後可動レンズL3の光軸方向間隔が最大になる。この最大の光軸方向間隔よりもさらに離間する方向への前可動レンズL2と後可動レンズL3の移動は、ケース11によって制限される。
第2回動端M2から第1回動端M1に向けてカム軸部材40を回動させた場合には、上記の動作とは逆に、コイルバネ25,30の付勢力によってカムフォロア53,54が端面カム44a,45aに追従して、前可動レンズL2と後可動レンズL3が光軸方向で互いに接近する移動を行う。
以上の前可動レンズL2と後可動レンズL3の光軸方向での相対的な移動によって、ファインダブロック10の光学系における視度調整を行う。視度調整用のカム軸部材40の動作は、視度調整ダイヤル13から伝達部材55を介して回転力を伝達して行われる。
図3に示すように、カム軸部材40の被伝達ギヤ43に対して、伝達部材55の伝達ギヤ55aが噛み合っている。伝達部材55に設けた前方に突出する円筒状の軸部55bが、ケース11の側方支持部19(カム収容部50の斜め上方)に形成した軸孔56に挿入される。軸部55bと軸孔56の関係によって、伝達部材55は光軸方向に向く軸線を中心として回動可能に支持される。つまり、カム軸部材40と伝達部材55は互いに平行な軸を中心として回転し、伝達部材55の回転が伝達ギヤ55aと被伝達ギヤ43を介してカム軸部材40に伝達される。
図8に示すように、伝達部材55は、視度調整ダイヤル13と同軸上に設けられており、締結ネジ57によって視度調整ダイヤル13と伝達部材55が締結固定されている。伝達部材55には、締結ネジ57が螺合するネジ孔55cが形成されており、視度調整ダイヤル13には、ネジ孔55cに連通するネジ挿通孔13aが形成されている。ネジ挿通孔13aに対して後方から挿入した締結ネジ57をネジ孔55cに螺合させ、後端側の頭部57aが視度調整ダイヤル13の背面側の凹部13bの底面に当接した状態で締結ネジ57を締め込むと、視度調整ダイヤル13が伝達部材55に対して固定される。視度調整ダイヤル13は、背面カバー12に対して、支持ブッシュ58を介して回動可能に支持されており、視度調整ダイヤル13と伝達部材55が一体的に回転する。
図3及び図4に示すように、伝達部材55は、上下方向で主ガイド軸23と略同じ位置にあり、主ガイド軸23bの右方に位置している。伝達部材55の回転中心である軸部55bは、カム軸部材40の回転中心である支持軸52よりも、上方且つ右方に位置し、仮想線P2の延長上に軸部55bが位置している。つまり、正面(背面)視で、軸部55bと支持軸52と主ガイド軸28の3つの軸部材が、概ね一直線上に並ぶ関係である。軸部55bと主ガイド軸23は、上下方向で略同じ位置にあり、軸部55bが主ガイド軸23に対して右方に離間して配されている。そして、支持軸52は、左右方向で軸部55bと主ガイド軸23の間(略中間)に位置し、主ガイド軸23及び軸部55bよりも下方に位置している。
つまり、カム軸部材40を軸支する支持軸52を基準として、左斜め上方に主ガイド軸23、左斜め下方に主ガイド軸28、右斜め上方に軸部55bが配置されている。そして、主ガイド軸23と主ガイド軸28と軸部55bのそれぞれの中心軸を結んだ正面(背面)視で三角形状のスペースに、前可動レンズL2及び後可動レンズL3を光軸方向に移動可能に支持するガイド機構と、視度調整ダイヤル13から前可動レンズL2及び後可動レンズL3に対して操作力(駆動力)を伝達する駆動機構とが配置されている。図3及び図4に示すように、カム軸部材40の一部が、左右方向で主ガイド軸23,28及び軸部55bと重なる位置関係で配されているため、上記の三角形状のスペースは、左右方向に占める幅が小さく抑えられており、左右方向でのファインダブロック10の小型化が実現される。また、ガイド機構と駆動機構の構成要素は、概ね前可動レンズL2と後可動レンズL3の上下方向の寸法に収まるように配置されているので、上下方向でのファインダブロック10の大型化を抑制できる。例えば、駆動機構のうち、カム軸部材40よりも光軸OXから離れた位置にある視度調整ダイヤル13でも、図7及び図8に示すように、左右方向及び上下方向で光学系に近づけた配置が実現されている。
伝達部材55にはさらに、伝達ギヤ55aの後方に位置する係止用凹凸部55dが形成されている。係止用凹凸部55dは、伝達部材55の回転方向に配列した歯車状の凹凸部からなり、伝達ギヤ55aと回転方向での凹凸のピッチが等しく設定されている。伝達ギヤ55aと同じ細かいピッチで係止用凹凸部55dを設けることにより、後述するクリックバネ59dとの係合で視度位置を細かく調整することが可能になる。
図1に示すように、ファインダブロック10には、クリック用部材59が設けられる。クリック用部材59は平板形状のベースプレート59aを有し、ベースプレート59aを貫通する2つの位置決め孔59bと1つのネジ挿通孔59cが形成されている。ベースプレート59aは、上述した上カバー33の上側に重ねて支持され、各位置決め孔59bに位置決め突起11kを嵌合させてケース11に対する位置が定められる。ネジ挿通孔59cとネジ挿通孔33bに対してネジ34が挿入されて、クリック用部材59は上カバー33と共締めの状態でケース11に対して固定される。
ベースプレート59aから右方に向けて、片持ち形状の弾性係合部であるクリックバネ59dが延設される。クリックバネ59dは、ベースプレート59aへの接続箇所を支点として上下方向に弾性変形可能である。クリックバネ59dの先端部分が、伝達部材55の係止用凹凸部55dの凹形状に対して上方から係合する。この係合によって、伝達部材55及び視度調整ダイヤル13の回転が軽く係止(クリックストップ)され、回転方向の位置が安定する。伝達部材55が回転する際には、クリックバネ59dが上方に弾性変形して、係止用凹凸部55dの凸形状を乗り越える。
以上のように構成したファインダブロック10は、以下のように動作する。ユーザーが視度調整ダイヤル13を回転操作すると、視度調整ダイヤル13に締結固定された伝達部材55が、軸部55bを中心として回動する。伝達部材55の伝達ギヤ55aから被伝達ギヤ43に回転が伝達されて、カム軸部材40が支持軸52を中心として回動する。伝達ギヤ55aと被伝達ギヤ43の間に別のギヤが介在していないため、カム軸部材40の回動方向は、伝達部材55の回動方向とは逆になる。カム軸部材40が回動すると、前カム部44の端面カム44aとカムフォロア53の関係によって回転力が光軸方向の移動力に変換されて、前可動レンズL2が光軸方向に直進移動し、後カム部45の端面カム45aとカムフォロア54の関係によって回転力が光軸方向の移動力に変換されて、後可動レンズL3が光軸方向に直進移動する。このときの前可動レンズL2と後可動レンズL3のそれぞれの移動軌跡は、図9を参照して先に説明した通りである。
視度調整ダイヤル13の回転操作は、クリックバネ59dと係止用凹凸部55dの係合によって得られるクリック感によってステップワイズに行われる。ユーザーによる回転操作が停止されると、視度調整ダイヤル13は軽く係止されて、調整後の前可動レンズL2と後可動レンズL3の位置が保持される。
以上の本実施形態のファインダブロック10では、2つの可動光学要素である前可動レンズL2と後可動レンズL3を光軸方向に直進案内する第1と第2のガイド部材である主ガイド軸23,28を、上下方向(光軸OXに垂直な方向)に離間して配置すると共に、操作手段である視度調整ダイヤル13の操作を受けて前可動レンズL2と後可動レンズL3を光軸方向に所定の軌跡で移動させる共通の駆動部材であるカム軸部材40を、上下方向で主ガイド軸23と主ガイド軸28の間に配置している。この構成により、前可動レンズL2及び後可動レンズL3の移動を案内するガイド機構と、前可動レンズL2及び後可動レンズL3に光軸方向の移動力を与える駆動機構とを、スペース効率良く設けることができ、ファインダブロック10の小型化を実現できる。また、2つの可動レンズL2,L3を共通のカム軸部材40によって駆動させるので、部品点数が少なく、製造コストの低減や軽量化の効果が得られる。
上述したように、主ガイド軸23と主ガイド軸28を上下方向で位置を異ならせて配置したことにより、光軸方向でのファインダブロック10の大型化を防ぎながら、光軸方向における各可動レンズL2,L3(ガイド孔21a,26a)の支持長を長く確保して、高精度なガイドを行うことができる。
副ガイド軸24と副ガイド軸29は、横長形状の各可動レンズL2,L3に関して、主ガイド軸23と主ガイド軸28が設けられている右側部とは反対側の左側部に配されている。そのため、主ガイド軸23,28から副ガイド軸24,29までの距離が大きく、各可動レンズL2,L3に対する回転抑制効果が高くなり、各可動レンズL2,L3の支持精度の向上に寄与する。また、副ガイド軸24と副ガイド軸29は、上下方向で位置を異ならせて配置されているので、主ガイド軸23と主ガイド軸28と同様に、光軸方向でのファインダブロック10の大型化を防ぎながら、光軸方向での各可動レンズL2,L3(回転規制溝22a,27a)の支持長を大きくできる効果が得られる。
主ガイド軸23と主ガイド軸28の間に、それぞれの主ガイド軸23,28から略等距離になるようにカム軸部材40を配置している。これにより、主ガイド軸23による案内を受ける第1アーム21から延設したカムフォロア53の長さと、主ガイド軸28による案内を受ける第1アーム26から延設したカムフォロア54の長さが、概ね均等になっている。その結果、前可動レンズL2の駆動系と後可動レンズL3の駆動系とで、負荷がバランス良く作用し、2つの可動レンズL2,L3を効率良く円滑に駆動させることができる。また、カムフォロア53とカムフォロア54の双方の長さをコンパクトにして剛性を確保し、誤差の少ない高精度なレンズ駆動を実現できる。
カム軸部材40は、伝達部材55からの回転が伝達される被伝達ギヤ43の前後に振り分けて前カム部44と後カム部45を有している。これにより、光軸方向の前方に位置する前可動レンズL2に対する動力伝達経路と、光軸方向の後方に位置する後可動レンズL3に対する動力伝達経路とを、それぞれシンプルで駆動効率に優れた構成にすることができる。具体的には、主ガイド軸23と支持軸52を結ぶ方向に直線的(仮想線P1に沿って)に延びるシンプルな形状のカムフォロア53と、主ガイド軸28と支持軸52を結ぶ方向に直線的(仮想線P2に沿って)に延びるシンプルな形状のカムフォロア54によって、各可動レンズL2,L3への動力伝達を実現できる。また、カム軸部材40に対して回転が入力される被伝達ギヤ43の両側に、駆動力の伝達先であるカムフォロア53とカムフォロア54を配しているので、カム軸部材40にかかる負荷を光軸方向で均等化させ、カム軸部材40による各可動レンズL2,L3の駆動精度と動力伝達効率を向上させることができる。
カム軸部材40だけでなく、伝達部材55及び視度調整ダイヤル13に関しても、光学系の光軸OXに近づけた配置が実現され、ファインダブロック10全体の小型化に寄与している。具体的には、図3及び図4に示すように、伝達部材55は、各可動レンズL2,L3の上面から上方へ大きく突出せずに、主ガイド軸23の右方の位置に収まっている。また、カム軸部材40を軸支する支持軸52よりも軸部55bの位置を上方にずらすことで、伝達部材55を左右方向で主ガイド軸23に近づけた配置を実現している。
以上のように、本実施形態のファインダブロック10では、各可動レンズL2,L3の支持及び駆動を担う各構成要素を、各可動レンズL2,L3の側方(矩形状である各可動レンズL2,L3の外形の一辺に沿う領域)に集約してスペース効率良く配置している。当該配置を実現するべく、ケース11の右側部には、主ガイド軸23,28、カム軸部材40、伝達部材55などを支持する側方支持部19が形成されている。可動レンズL2,L3からは、この側方支持部19に進入する第1アーム21,26が側方に突出しており、可動レンズL2,L3の前後に位置する固定レンズL1,L4よりも左右方向のサイズが大きくなっている。
このような条件下で、ケース11をできるだけコンパクトにしながら、各レンズL1〜L4の組み付け性を優れたものにするべく、ケース11の一部を上下方向に開放させて第1開口15と第2開口16と第3開口17を形成し、レンズL1〜L3を上下方向からケース11の収容空間14に挿入するようにしている。
まず、レンズ組み付け用の開口15,16,17をケース11の上下面に形成することで、側方支持部19などのケース11左右の構造部分に制約が生じず、可動レンズL2,L3の支持及び駆動用の構成要素を支持するのに最適化した構成(上述した各構成要素のスペース効率の良い配置を含む)にできる。また、側方に突出する第1アーム21,26や第2アーム22,27を有する可動レンズL2,L3を通過させるための大型の開口を、ケース11の前端や後端に形成する必要がなく、ケース11の前後部分を、固定レンズL1,L4の支持に必要な最小限なサイズに抑えることができる。そして、光軸方向でのケース11の中間部分にのみ第1アーム21,26や第2アーム22,27を収容する部分を設けるので、ケース11の小型化と剛性の高さを実現できる。
ケース11における側方支持部19は、可動レンズL2,L3の支持及び駆動用の構成要素を、光軸方向への挿入(主ガイド軸23,28、支持軸52、伝達部材55)と、収容空間14とは反対の側方からの挿入(カム軸部材40)のいずれかで組み付け可能な構造となっている。そのため、レンズL1〜L4以外の各部材についても、簡単且つ確実にケース11への組み付けを行うことができる。
カム軸部材40は、光軸方向の前後に端面カム44a,45aを向けた構成であり、カム収容部50は側方支持部19の右側に開放されている。そのため、各カムフォロア53,54を有する各可動レンズL2,L3をケース11に対して組み込んだ後で、側方からカム収容部50へのカム軸部材40の挿入を容易に行うことができる。そして、カム収容部50にカム軸部材40を挿入することで、各端面カム44a,45aに各カムフォロア53,54が対向及び当接する状態になり、複雑な調整を要さず簡単な組み立て作業によって、カム軸部材40と各可動レンズL2,L3を連係させることができる。
また、伝達部材55の係止用凹凸部55dに弾性的に係合するクリック用部材59(クリックバネ59d)を、ケース11の第1開口15を覆う上カバー33と共に固定するようにした。これにより、視度調整ダイヤル13をクリックストップさせる機構を、簡単で組み立て作業性に優れたものにできる。
以上、図示実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨内における変更や改良が可能である。
例えば、上記実施形態では、カム軸部材40に設けるカム面を端面カム44a,45aで構成している。前後に向けて開放された構成の端面カム44a,45aを用いることで、カム軸部材40をカム収容部50に組み込んで各カムフォロア53,54と連係(当接)状態にさせる際の作業性が良好になるという利点がある。しかし、駆動部材に設ける動力伝達構造(移動制御部)として、端面カムに代えて、光軸方向の両側に側面(カム面、リード面)を有するカム溝やリード溝などを採用することも可能である。
上記実施形態では、伝達部材55を、上方の主ガイド軸23の側方(右方)に配置している。この配置により、伝達部材55と同軸で回転する視度調整ダイヤル13が、ファインダブロック10の光学系の上下方向の中心よりも上方寄りに位置する(図7参照)。一眼レフカメラでは、ファインダブロック10がカメラ本体の中央上部に位置するため、当該位置に視度調整ダイヤル13を配置すると、カメラ本体による操作の制約を受けにくくなり、視度調整ダイヤル13の操作性が向上する。しかし、視度調整ダイヤル13の操作性に支障が無い場合には、下方の主ガイド軸28の側方(右方)に伝達部材55を配置することも可能である。ファインダブロック10でのスペース効率や製造時の作業性という観点では、下方の主ガイド軸28の側方に伝達部材55を配置した場合も、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態は、別部材として形成した視度調整ダイヤル13と伝達部材55を締結ネジ57で結合させた構造にしているが、視度調整ダイヤル13と伝達部材55に相当する部分を一部材として形成することも可能である。つまり、視度調整ダイヤル自体が、伝達ギヤ55aや係止用凹凸部55dに相当する部分を備える構成であってもよい。この場合、上記実施形態で伝達部材55の配置として説明した内容は、視度調整ダイヤルの配置として読み替えるものとする。
本発明は、上記実施形態における可動レンズL2,L3のような矩形状のレンズを駆動の対象とする場合に好適であるが、矩形以外の形状の光学要素の駆動にも適用が可能である。例えば、可動光学要素が、左右の側面を平面状ではなく凸型としたDカット形状のレンズであってもよい。
本発明で駆動の対象とする2つの可動光学要素の少なくとも一方を、レンズ以外の光学要素とすることもできる。例えば、光学的なフィルタや視野枠などを駆動の対象としてもよい。