JP2021134269A - マクロモノマーの製造方法、マクロモノマー、それを用いたグラフト共重合体の製造方法、重合体組成物および成形品 - Google Patents

マクロモノマーの製造方法、マクロモノマー、それを用いたグラフト共重合体の製造方法、重合体組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】重合阻害物質を副生せず、高収率でマクロモノマーを得る製造方法、及び自身及び他の単量体との重合性が良好なマクロモノマーの提供。【解決手段】有機アルカリ金属化合物存在下で、共役ジエン及び芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる1種以上の単量体アニオン重合することで活性末端重合体を製造する工程(1)と、極性化合物存在下で、工程(1)で得られた活性末端重合体と、式(I)で表される化合物とを反応させる工程(2)を含む、マクロモノマーの製造方法。(式中、R1からR5はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基等を表す。)【選択図】なし

Description

本発明は、マクロモノマーおよびその製造方法、グラフト共重合体の製造方法、重合体組成物および成形品に関する。
グラフト重合体を合成する方法の一つに、マクロモノマー法がある。この方法は、グラフト鎖となる重合体鎖を有する物質(マクロモノマー)の単独重合、またはマクロモノマーと主鎖を構成するモノマーとを共重合させることによりグラフト重合体を合成する方法である。マクロモノマー、すなわち分子鎖末端に重合可能な官能基を有する重合体は、種々の重合法により製造可能である。例えばアニオン重合による方法では、有機アルカリ金属化合物存在下で重合した共役ジエン系重合体または芳香族ビニル系重合体の活性末端と、特定のキャッピング化合物とを反応させることで、分子鎖末端に重合性基を有する重合体が合成されることが知られている(特許文献1、非特許文献1)。
特公昭54−44716号公報
Macromolecules,1983,16,628
非特許文献1に記載の、極性溶媒中または大量の極性化合物を含む炭化水素溶媒中でアニオン重合を行うことは、共役ジエン系重合体の製造時においては、重合体のミクロ構造制御の面から好ましくない。さらに、炭化水素溶媒中、極性化合物存在下で共役ジエン系マクロモノマーを製造した場合、キャッピング反応の際にリチウム−ハロゲン交換反応が進行してキャッピング反応前の重合体の二量体が副生する。二量体を含む多量化体はキャッピング化合物と反応しないため、多量化体の副生はマクロモノマーの収率低下に繋がる。
特許文献1には、重合体の末端をジフェニルエチレンアニオン末端に変換してアニオンの活性を低下させることで、極性化合物存在下でのキャッピング反応時の副反応が抑制されることが記載されている。ところが、特許文献1に記載の製造法では活性末端とキャッピング剤との反応率(キャッピング効率)が低いため、マクロモノマーの収率が低下することが判明した。
さらに、非特許文献1および特許文献1に記載の製造方法では、活性末端とキャッピング剤との反応時に副生するハロゲン化リチウムがアニオン重合阻害物質となるため、後に続く共重合前に除去、精製する必要が生じ、煩雑な工程となる。また、ハロゲン化物は、燃焼時に有害な生成物を発生する原因となる等の環境上の問題から、重合体中の含有量を低減することが求められている。
本発明は、上記の事情に鑑み、重合阻害物質を副生せず、多量化体生成の抑制と高いキャッピング効率を両立し、高収率でマクロモノマーを得る製造方法、および該製造方法によって製造された、重合阻害物質を含有せず、自身および他の単量体との重合性が良好なマクロモノマーを提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、活性末端重合体と特定の化合物とを反応させることで、重合阻害物質を副生せず、多量化体生成の抑制と高いキャッピング効率を両立し、高収率でマクロモノマーが得られることを見出した。さらに、該製造方法によって、重合阻害物質を含有せず、自身および他の単量体との重合性が良好なマクロモノマーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の好適な形態を提供するものである。
[1]有機アルカリ金属化合物存在下で、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体をアニオン重合することで活性末端重合体を製造する工程(1)と、さらに、極性化合物存在下で、工程(1)で得られた活性末端重合体と、下記式(I)で表される化合物とを反応させる工程(2)を含む、マクロモノマーの製造方法。
Figure 2021134269


(式(I)中、Xは下記式(II−a)または(II−b)で示される構造を表し、RからRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(III)で示される構造を表す。ただし、RからRのうち少なくとも1つは式(III)で示される構造である。)
Figure 2021134269


(式(II−a)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
Figure 2021134269


(式(II−b)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、Rは炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
Figure 2021134269


(式(III)中、Rは炭素数0から5の飽和炭化水素基を表す。)
[2]下記式(IV)で表されるマクロモノマー。
Figure 2021134269


(式(IV)中、Wは下記式(V−a)または(V−b)で示される構造を、R10からR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(VI)で示される構造を表す。ただし、R10からR14のうち少なくとも1つは式(VI)で示される構造である。)
Figure 2021134269


(式(V−a)中、R15は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
Figure 2021134269


(式(V−b)中、R16は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、R17は炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
Figure 2021134269


(式(VI)中、R18は炭素数0から5の飽和炭化水素基を表し、Yは水酸基またはOMで示される構造(Mはアルカリ金属)を表し、Zは共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含む重量平均分子量1,000以上の重合体を表す。)
本発明によれば、重合阻害物質を副生せず、多量化体生成の抑制と高いキャッピング効率を両立し、高収率でマクロモノマーを得る製造方法、および該製造方法により製造された、重合阻害物質を含有せず、自身および他の単量体との重合性が良好なマクロモノマーを提供できる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<マクロモノマーの製造方法>
本発明の製造方法では、有機アルカリ金属化合物存在下で、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体をアニオン重合することで活性末端重合体を製造する工程(1)と、さらに、極性化合物存在下で、工程(1)で得られた活性末端重合体と、下記式(I)で表される化合物(以下、化合物(I)と称することもある)とを反応させる工程(2)により、マクロモノマー、すなわち重合性官能基を有する重合体を製造することができる。
なお、本明細書において「活性末端重合体」とは、分子鎖末端にアニオン重合活性残基を有する重合体を意味する。
Figure 2021134269


(式(I)中、Xは下記式(II−a)または(II−b)で示される構造を表し、RからRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(III)で示される構造を表す。ただし、RからRのうち少なくとも1つは式(III)で示される構造である。)
Figure 2021134269


(式(II−a)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
Figure 2021134269


(式(II−b)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、Rは炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
Figure 2021134269


(式(III)中、Rは炭素数0から5の飽和炭化水素基を表す。)
<活性末端重合体>
上記活性末端重合体は、有機アルカリ金属化合物を開始剤として、必要に応じて活性末端に不活性な溶媒および極性化合物の存在下で、単量体をアニオン重合させることにより得ることができる。
本発明で用いられる活性末端重合体には、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位が含まれる。
上記活性末端重合体を構成する共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン(以下、ブタジエンと称することもある)、イソプレン;2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,3−オクタジエン、1,3−シクロヘキサジエン、2−メチル−1,3−オクタジエン、1,3,7−オクタトリエン、ミルセン、ファルネセンおよびクロロプレン等のブタジエンおよびイソプレン以外の共役ジエンが挙げられる。上記活性末端に含まれる共役ジエン単位としては、重合体の加工性の観点から、ブタジエンおよびイソプレンからなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位が好ましい。上記共役ジエンは1種単独でも、2種以上併用されてもよい。
上記活性末端重合体を構成する芳香族ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、N,N−ジエチル−4−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン、4−メトキシスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレンおよびジビニルベンゼンなどが挙げられる。これら芳香族ビニル化合物の中でも、重合体の加工性の観点から、スチレン、α−メチルスチレンおよび4−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族ビニル化合物は1種単独でも、2種以上併用されてもよい。
活性末端重合体は、単量体単位1種のみからなる単独重合体、または、2種以上の単量体単位からなる共重合体であってもよい。また、上記活性末端重合体を構成する重合体は1種単独でもよく、異なる構造を有する2種以上であってもよい。
活性末端重合体を構成し得る共役ジエン単位の比率は特に制限されず、目的に応じて設計することが可能であるが、後述するマクロモノマーの加工性の観点からは、活性末端重合体を構成する全単量単位のうち、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。共役ジエン単位の比率が50質量%以上であると、後述するマクロモノマーの加工性が向上する傾向にある。
活性末端重合体を構成し得る芳香族ビニル化合物単位の比率は特に制限されず、目的に応じて設計することが可能であるが、後述するマクロモノマーの力学特性の観点からは、活性末端重合体を構成する全単量単位のうち、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。芳香族ビニル化合物単位の比率が50質量%以上であると、後述するマクロモノマーの力学特性が向上する傾向にある。
活性末端重合体のビニル含量は特に制限されないが、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。また、0.5モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましい。本発明において、「ビニル含量」とは、重合体に含まれる、共役ジエン単位の合計100モル%中、1,2−結合、3,4−結合(ファルネセン以外の場合)および3,13−結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン単位(1,4−結合(ファルネセン以外の場合)および1,13−結合(ファルネセンの場合)以外で結合をしている共役ジエン単位)の合計モル%を意味する。活性末端重合体のビニル含量は、その活性末端重合体のH−NMRスペクトルにおいて、1,2−結合、3,4−結合(ファルネセン以外の場合)および3,13−結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン単位由来のピークと、1,4−結合(ファルネセン以外の場合)および1,13−結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン単位に由来するピークの面積比から算出する。
活性末端重合体のビニル含量は目的に応じて設計することが可能であり、例えば、ビニル含量が50モル%未満であると、後述するマクロモノマーのガラス転移温度(Tg)が低くなり、得られる重合体の流動性や低温特性が優れる傾向がある。
なお、上記ビニル含量は、活性末端重合体を製造する際に使用する溶媒の種類、必要に応じて使用される極性化合物、重合温度などを制御することにより所望の値とすることができる。
活性末端重合体のガラス転移温度(Tg)は、共役ジエン単位のビニル含量、共役ジエン単位の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含有量などによって変化し得るが、−150〜50℃が好ましく、−130〜50℃がより好ましく、−130〜30℃がさらに好ましい。Tgが上記範囲であると、例えば、粘度が高くなるのを抑えることができ、取り扱いが容易になる。なお、本発明において、Tgは示差走査熱量測定(DSC)測定により求めた、DDSCのピークトップの値である。
上記活性末端重合体の共役ジエンの二重結合は水素添加されていてもよい。水素添加反応としては、例えば、有機溶媒中で金属触媒の存在下で水素を加圧する方法、ヒドラジンを用いる方法など従来公知の方法を用いることができる。
活性末端重合体の重量平均分子量(Mw)は1,000以上100,000以下であることが好ましく、2,000以上80,000以下がより好ましく、3,000以上50,000以下がさらに好ましい。上記活性末端重合体のMwが上記範囲内であると、製造時の工程通過性に優れ、経済性が良好となる傾向にある。なお、本発明において、特に断りがない限り、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定から求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
活性末端重合体を製造する際の有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどが挙げられる。
有機アルカリ金属化合物の使用量は、目的とする活性末端重合体の重量平均分子量に応じて、用いる単量体の使用量との比率によって決定できる。
活性末端に不活性な溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、イソオクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は、単量体濃度が1〜70質量%となる範囲で用いることが好ましい。
上記アニオン重合は、極性化合物存在下で行われてもよい。極性化合物は、アニオン重合において、反応を失活させず、共役ジエン部位のミクロ構造(ビニル含量)を調整するため用いられることが好ましい。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、有機アルカリ金属化合物1モルに対して、0.01〜1000モルの量で使用されることが好ましい。
上記アニオン重合の温度は、−80〜150℃の範囲が好ましく、より好ましくは0〜100℃、さらに好ましくは10〜70℃である。重合様式は、回分式または連続式のいずれでもよい。
上記アニオン重合は、0.1〜0.4MPaの範囲内で実施されることが好ましく、特に0.1〜0.3MPaの範囲内で実施されることが好ましい。
上記アニオン重合の反応時間は、10分〜5時間の範囲が好ましく、特に30分〜2時間の範囲が好ましい。
<化合物(I)>
本発明のマクロモノマーの製造方法で用いられる化合物(I)を以下に示す。
Figure 2021134269


(式(I)中、Xは下記式(II−a)または(II−b)で示される構造を表し、RからRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(III)で示される構造を表す。ただし、RからRのうち少なくとも1つは式(III)で示される構造である。)
Figure 2021134269


(式(II−a)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
Figure 2021134269


(式(II−b)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、Rは炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
Figure 2021134269


(式(III)中、Rは炭素数0から5の飽和炭化水素基を表す。)
式(I)中、RからRとしては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基または式(III)で示される構造が挙げられる。RからRのうち少なくとも1つは式(III)で示される構造であり、R(Xに対してパラ位)が式(III)で示される構造であることが好ましい。
式(II−a)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。マクロモノマーの取り扱い性の観点からは、Rは水素原子であることが好ましい。
式(II−b)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。マクロモノマーの取り扱い性の観点からは、Rは水素原子であることが好ましい。
式(II−b)中、Rは炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。マクロモノマーの反応性の観点からは、Rは炭素数1の飽和炭化水素基であることが好ましい。
式(III)中、Rは炭素数0から5の飽和炭化水素基を表し、マクロモノマーの取り扱い性の観点からは、Rは炭素数が0であることが好ましい。つまり、式(III)は下記式(III’)で示される構造であることが好ましい。
Figure 2021134269

Xが式(II−a)である、式(I)で表される化合物としては、例えば、2−ビニルベンズアルデヒド、3−ビニルベンズアルデヒド、4−ビニルベンズアルデヒド、4−エテニル−2−メチルベンズアルデヒド、2−エテニル−4−メチルベンズアルデヒド、3−エテニル−4−メチルベンズアルデヒド、4−エテニル−3−メチルベンズアルデヒド、2−エテニル−5−メチルベンズアルデヒド、6−エテニル−2,3−ジメチル−ベンズアルデヒド、4−エテニル−2,5−ジエチル−ベンズアルデヒド、2−エテニル−3,5,6−トリメチル−ベンズアルデヒド、2−メチル−3−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒド、4−メチル−3−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒド、3−メチル−2−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒド、2−メチル−4−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒド、3−メチル−4−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒド、4−メチル−2−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒド、5−メチル−2−(1−メチルエテニル)−ベンズアルデヒドなどが挙げられる。
上記化合物の中でも、官能基の反応性の観点から、2−ビニルベンズアルデヒド、3−ビニルベンズアルデヒド、4−ビニルベンズアルデヒドが好ましく、4−ビニルベンズアルデヒドがさらに好ましい。
Xが式(II−b)である、式(I)で表される化合物としては、例えば、2−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒド、3−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒド、4−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒド、4−(2−メチル−2−オキシラニル)−ベンズアルデヒド、4−(2−メチル−2−オキセタニル)−ベンズアルデヒド、4−(テトラヒドロ−2−フラニル)−ベンズアルデヒドなどが挙げられる。
上記化合物の中でも、官能基の反応性の観点から、2−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒド、3−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒド、4−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒドが好ましく、4−(2−オキシラニル)−ベンズアルデヒドが特に好ましい。
マクロモノマー中の官能基の安定性の観点から、化合物(I)としては、Xが式(II−a)である化合物が好ましい。
本発明のマクロモノマーの製造方法における化合物(I)と活性末端重合体の比率は、特に制限されないが、活性末端重合体1モルに対して、化合物(I)が1.0モル以上であることが好ましく、より好ましくは1.1モル以上、さらに好ましくは1.5モル以上であり、また、3.0モル以下が好ましい。1.0モル未満の場合は、活性末端重合体が充分にキャッピングされず、目的とするマクロモノマーの収率が低下する傾向がある。また、1モルを超えて使用してもよいが、重合体中に導入される該化合物には変化が無いため、経済性の観点からは1.0〜1.5モルの範囲で使用されることが好ましい。
活性末端重合体と化合物(I)の反応は、極性化合物存在下で行う。なお、極性化合物は、活性末端重合体を製造する際に使用した極性化合物をそのまま用いてもよく、または、化合物(I)を添加する際に添加してもよい。極性化合物は、反応系中の活性を高めるため用いられる。極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン等の3級アミン;アルカリ金属アルコキシド、ホスフィン化合物などが挙げられる。極性化合物は、活性末端重合体を製造する際に使用した有機アルカリ金属化合物1モルに対して、0.01〜1000モルの量で使用されることが好ましい。
活性末端重合体と化合物(I)との反応は、両者が接触すると直ちに起こるので、反応時間は広範囲にわたって調整できるが、反応時間は数秒〜数時間が好ましい。
活性末端重合体と化合物(I)との反応温度は、−50〜120℃の範囲が好ましく、−20〜100℃がより好ましく、0〜70℃がさらに好ましい。反応温度を−50℃より下げて反応させてもよいが、反応による副反応生成物の割合に何ら変化はなく、反応槽を冷却するための特別な操作を必要とし、工業的実施にあたって負担が大きい傾向がある。また、反応温度が120℃を越えると、生成する副反応物の割合が高くなる傾向がある。
化合物(I)はそのまま用いてもよいし、溶媒に溶解されてもよいが、溶媒を用いる場合は活性リチウムに対して不活性である炭化水素溶媒を用いることが好ましい。炭化水素溶媒の例として、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサン、n−ヘキサン等を挙げることができる。
活性末端重合体と化合物(I)との反応は、重合停止剤の添加により停止してもよい。重合停止剤としては、例えば、メタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。重合停止後の反応液からマクロモノマーを分離取得する方法としては、例えば、反応液をメタノール等の貧溶媒に注いで、重合体を析出させるか、反応液を水で洗浄し、分離後、乾燥することにより重合体を単離してもよい。
本発明の製造方法では、重合阻害物質を副生せず、多量化体生成の抑制と高いキャッピング効率を両立し、高収率でマクロモノマーを得ることができる。キャッピング反応時の多量化体生成量は、5.0質量%以下であることが好ましく、4.5質量%以下であることがより好ましく、4.0質量%以下であることがさらに好ましい。また、キャッピング効率は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。なお、「多量化体生成量」と「キャッピング効率」は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
<マクロモノマー>
本発明のマクロモノマーとは、下記式(IV)で表される化合物である。
Figure 2021134269


(式(IV)中、Wは下記式(V−a)または(V−b)で示される構造を、R10からR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(VI)で示される構造を表す。ただし、R10からR14のうち少なくとも1つは式(VI)で示される構造である。)
Figure 2021134269


(式(V−a)中、R15は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
Figure 2021134269


(式(V−b)中、R16は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、R17は炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
Figure 2021134269


(式(VI)中、R18は炭素数0から5の飽和炭化水素基を表し、Yは水酸基またはOMで示される構造(Mはアルカリ金属)を表し、Zは共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含む重量平均分子量1,000以上の重合体を表す。)
本発明のマクロモノマーとは、Wで表される重合性官能基と、Zで表されるような重合体が、芳香環および飽和炭素結合を介して連結している重合体である。
Wは、式(V−a)または式(V−b)で示される構造である。マクロモノマーの保存安定性の観点からは、Wが式(V−a)で示される構造であることが好ましい。
式(V−a)中、R15は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。マクロモノマーの取り扱い性の観点からは、R15は水素原子であることが好ましい。
式(V−b)中、R16は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。マクロモノマーの取り扱い性の観点からは、R16は水素原子であることが好ましい。
式(V−b)中、R17は炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。マクロモノマーの反応性の観点からは、R17は炭素数1の飽和炭化水素基であることが好ましい。
式(IV)中、R10からR14としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または式(VI)で示される構造が挙げられる。R10からR14のうち少なくとも1つは式(VI)で示される構造であり、R12(Wに対してパラ位)が式(VI)で示される構造であることが好ましい。
式(VI)中、R18は炭素数0から5の飽和炭化水素基を表す。マクロモノマーの取り扱い性の観点からは、R18は炭素数が0であることが好ましい。つまり、式(VI)は下記式(VI’)で示される構造であることが好ましい。
Figure 2021134269

式(VI)中、Yは水酸基またはOMで示される構造(Mはアルカリ金属)を表す。Mで表されるアルカリ金属としては、Li、Na、Kなどが挙げられる。
式(VI)中、Zは、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含む、重量平均分子量1,000以上の重合体である。Zで表される重合体の重量平均分子量は、2,000以上が好ましく、3,000以上がより好ましく、5,000以上がさらに好ましく、10,000以上が特に好ましい。また、100,000以下が好ましく、80,000以下がより好ましく、50,000以下がさらに好ましい。なお、Zは共役ジエン単位を含む重合体であることが好ましく、共役ジエン単位を含む場合は、共役ジエン単位の二重結合は水素添加されていてもよい。
式(VI)中、Zで表される重合体を構成する共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物は、前述の活性末端重合体を構成する単量体単位と同一である。これらの単量体化合物は1種単独でも、2種以上併用されてもよい。
式(VI)中、Zで表される重合体を構成する共役ジエン単位または芳香族ビニル化合物単位の比率は、前述の活性末端重合体の重合体と同一である。
式(VI)中、Zで表される重合体のビニル含量、Tgは、前述の活性末端重合体のビニル含量、Tgと同一である。
<グラフト重合体の製造方法>
本発明のマクロモノマーを単独で、または他の単量体と(共)重合することで、グラフト重合体を製造することができる。該(共)重合方法は、公知の方法を用いることができる。
本発明のグラフト重合体の製造方法において、マクロモノマーの構造のうち式(VI)中、Zで表される重合体部分に由来する構造をグラフト重合体の側鎖、それ以外の重合体部分(マクロモノマーの構造のうちZを除く部分の単独重合体、またはマクロモノマーの構造のうちZを除く部分と他の単量体との共重合体)に由来する構造をグラフト重合体の主鎖と定義する。
本発明のマクロモノマーと共重合しうる他の単量体としては、例えば、共役ジエン、芳香族ビニル化合物などが挙げられる。他の単量体は1種単独でも、2種以上併用されてもよい。
上記共役ジエンの具体例としては、前述の活性末端重合体を構成する共役ジエンの具体例と同一である。中でも、ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、ブタジエンがより好ましい。
上記芳香族ビニル化合物の具体例としては、前述の活性末端重合体を構成する芳香族ビニルの具体例と同一である。中でも、スチレン、α−メチルスチレンおよび4−メチルスチレンが好ましい。
本発明のマクロモノマーと他の単量体を共重合する場合、マクロモノマーおよび他の単量体からなるブロック共重合体であってもよく、マクロモノマーおよび他の単量体からなるランダム共重合体であってもよい。他の単量体は1種単独でも、2種以上併用されてもよい。また、マクロモノマーの重合体部分と他の単量体からなる重合体部分は同一であってもよく異なっていてもよい。
本発明のグラフト重合体の製造方法で使用されるマクロモノマーの比率は特に制限されず、目的に応じて設計することが可能であるが、使用するマクロモノマーおよび他の単量体の合計質量のうち、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが特に好ましく、100質量%であってもよい。
本発明のグラフト重合体の製造方法で、他の単量体として使用される共役ジエンの比率は特に制限されず、目的に応じて設計することが可能であるが、使用するマクロモノマーおよび他の単量体の合計質量のうち、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。共役ジエン単位の比率が50質量%以下であると、得られるグラフト重合体の力学特性が向上する傾向にある。
本発明のグラフト重合体の製造方法で、他の単量体として使用される芳香族ビニル化合物の比率は特に制限されず、目的に応じて設計することが可能であるが、使用するマクロモノマーおよび他の単量体の合計質量のうち、90質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。芳香族ビニル化合物単位の比率が50質量%以下であると、得られるグラフト重合体の加工性が向上する傾向にある。
本発明の製造方法によって得られるグラフト重合体のビニル含量は特に制限されないが、90モル%以下であることが好ましく、80モル%以下がより好ましく、70モル%以下がさらに好ましい。また、0.5モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましい。グラフト重合体のビニル含量は、グラフト重合体のH−NMRスペクトルにおいて、1,2−結合、3,4−結合(ファルネセン以外の場合)および3,13−結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン単位由来のピークと1,4−結合(ファルネセン以外の場合)および1,13−結合(ファルネセンの場合)で結合をしている共役ジエン単位に由来するピークの面積比から算出する。
上記ビニル含量は目的に応じて設計することが可能である。なお、上記ビニル含量は、共重合体を製造する際に使用する溶媒の種類、必要に応じて使用される極性化合物、重合温度などを制御することにより所望の値とすることができる。
本発明の製造方法によって得られるグラフト重合体のTgは、共役ジエン単位のビニル含量、共役ジエン単位の種類、共役ジエン以外の単量体に由来する単位の含有量などによって変化し得るが、−150〜50℃が好ましく、−130〜50℃がより好ましく、−130〜30℃がさらに好ましい。Tgが上記範囲であると、例えば、粘度が高くなるのを抑えることができ取り扱いが容易になる。
本発明の製造方法によって得られるグラフト重合体の共役ジエン部分の二重結合は水素添加されていてもよい。水素添加反応としては、例えば、有機溶媒中で金属触媒の存在下で水素を加圧する方法、ヒドラジンを用いる方法など従来公知の方法を用いることができる。
本発明の製造方法によって得られるグラフト重合体の重量平均分子量(Mw)は2,000以上1,000,000以下であることが好ましく、3,000以上800,000以下がより好ましく、5,000以上500,000以下がさらに好ましい。上記グラフト重合体のMwが上記範囲内であると、製造時の工程通過性に優れ、経済性が良好となる傾向にある。
本発明のグラフト重合体の製造方法をアニオン重合により合成する方法は、前述の活性末端重合体の重合方法と同様である。
本発明のグラフト重合体の製造方法をラジカル重合により合成する方法は、懸濁重合法、塊状重合法、溶液重合法、乳化重合法から選択することが可能であり、中でも乳化重合法、溶液重合法が好ましく、得られる分子量分布の観点から、溶液重合法がより好ましい。
上記溶液重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、有機溶媒中に所定量のマクロモノマー、共役ジエンまたは芳香族ビニル化合物を含む単量体を溶解し、ラジカル重合開始剤により重合する。
有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸ブチル、ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単量体濃度が1〜90質量%となる範囲で用いられることが好ましく、30〜80質量%となる範囲で用いられることがさらに好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2−アゾビスイソブチロニトリル、4,4−アゾビス−4−シアノバレリックアシド、1−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ系化合物が挙げられる。
溶液重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、0〜100℃の範囲が好ましく、より好ましくは0〜80℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
上記乳化重合法としては、公知の方法を適用できる。例えば、所定量のマクロモノマー、共役ジエンまたは芳香族ビニル化合物を含む単量体を乳化剤の存在下に分散媒中に乳化分散し、ラジカル重合開始剤により乳化重合する。
乳化剤としては、例えば炭素数10以上の長鎖脂肪酸塩およびロジン酸塩などが挙げられる。長鎖脂肪酸塩としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸のカリウム塩またはナトリウム塩などが挙げられる。
分散媒としては、水が使用されることが好ましい。重合時の安定性が阻害されない範囲で、分散媒はメタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒を含んでいてもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウムのような過硫酸塩、有機過酸化物、過酸化水素等が挙げられる。
得られるグラフト重合体の分子量を調整するため、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、チオグリコール酸、ジテルペン、ターピノーレン、γ−テルピネン、α−メチルスチレンダイマーなどが挙げられる。
乳化重合の温度は、使用するラジカル重合開始剤の種類などにより適宜設定できるが、0〜100℃の範囲が好ましく、より好ましくは0〜60℃の範囲である。重合様式は、連続重合、回分重合のいずれでもよい。
乳化重合は、重合停止剤の添加により停止できる。重合停止剤としては、例えば、イソプロピルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン等のアミン化合物、ヒドロキノンやベンゾキノン等のキノン系化合物、亜硝酸ナトリウム等が挙げられる。
乳化重合停止後、必要に応じて老化防止剤を添加してもよい。乳化重合停止後、得られたラテックスから必要に応じて未反応単量体を除去し、次いで、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等の塩を凝固剤とし、必要に応じて硝酸、硫酸等の酸を添加して凝固系のpHを所定の値に調整しながら、上記グラフト重合体を凝固させた後、分散媒を分離することによって重合体を回収する。次いで水洗および脱水後、乾燥することで、上記グラフト重合体が得られる。なお、凝固の際に、必要に応じて予めラテックスと乳化分散液にした伸展油とを混合し、油展したグラフト重合体として回収してもよい。
<重合体組成物>
本発明の重合体組成物は、本発明のマクロモノマー(以下、マクロモノマー(α1)とも称する。)を含む。また、上記重合体組成物は、さらに本発明のグラフト重合体の製造方法から得られるグラフト重合体(以下、グラフト重合体(α2)とも称する。)を含んでいてもよく、マクロモノマー(α1)、グラフト共重合体(α2)以外の他の重合体(β)を含んでもよい。他の重合体(β)は、熱可塑性重合体(β1)であっても、硬化性重合体(β2)であってもよい。
上記熱可塑性重合体(β1)としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エステル重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネン等のオレフィン系樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂;スチレン−メタクリル酸メチル共重合体;スチレン−メタクリル酸メチル−無水マレイン酸共重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ乳酸等のポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマー等のポリアミド;ポリカーボネート;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;エチレン−ビニルアルコール共重合体;ポリアセタール;ポリフッ化ビニリデン;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリフェニレンスルフィド;シリコーンゴム変性樹脂;アクリル系ゴム;シリコーン系ゴム;SEPS、SEBS、SIS等のスチレン系熱可塑性エラストマー;IR、EPR、EPDM等のオレフィン系ゴムなどが挙げられる。熱可塑性重合体(β1)は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
硬化性重合体(β2)としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、エステル(メタ)アクリレート樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂、ケイ素樹脂、イミド樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、アリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂が挙げられる。これらの中でも、入手性および硬化物の基本物性の観点や、また、気泡の抜け性、得られる硬化物の靱性により一層優れる重合体組成物が得られるなどの観点から、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂およびエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が好ましく、中でも、エポキシ樹脂および不飽和ポリエステル樹脂がより好ましく、エポキシ樹脂がさらに好ましい。硬化性重合体(β2)は、1種単独でも、2種以上を併用してもよい。
上記重合体組成物に、マクロモノマー(α1)および他の重合体(β)が含まれる場合、その質量比(α1)/(β)は、1/99〜99/1であることが好ましい。
また、重合体組成物に、マクロモノマー(α1)、グラフト共重合体(α2)、および他の重合体(β)が含まれる場合、その質量比(α1+α2)/(β)は、1/99〜99/1であることが好ましい。
また、本発明の重合体組成物には、本発明の効果を損なわない程度に、種々の添加剤を添加してもよい。例えば、他の重合体(β)が熱可塑性重合体(β1)の場合、かかる添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、クレーなどの補強剤または充填剤、プロセスオイル、ポリエチレングリコール、グリセリン、フタル酸エステルなどの可塑剤を添加剤として用いることができる。また、その他の添加剤として、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、顔料、滑剤、界面活性剤などが挙げられる。さらに、該添加剤として発泡剤が挙げられ、発泡剤と熱可塑性重合体(β1)を含む重合体組成物からは発泡体を作製することが可能である。
例えば、他の重合体(β)が硬化性重合体(β2)の場合、かかる添加剤としては、硬化剤、硬化促進剤、公知のゴム、熱可塑性エラストマー、コア−シェル粒子等の衝撃改質剤、充填剤(シリカ、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機粒子など)、難燃剤、消泡剤、顔料、染料、酸化防止剤、耐候剤、滑剤、離型剤などが挙げられる。
本発明の重合体組成物は、マクロモノマー(α1)、グラフト共重合体(α2)と他の重合体(β)などの各成分の組成比等に応じ、通常の高分子物質の混合方法により調製できる。
他の重合体(β)が熱可塑性重合体(β1)の場合、例えば、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー等の混合装置により重合体組成物が作製できる。特に本発明においては、これら混合装置を用いて、溶融混練する方法が好ましい。
他の重合体(β)が硬化性重合体(β2)の場合、例えばミキサーなどで十分混合し、次いでミキシングロール、押出機等によって溶融混練したあと、冷却、粉砕する方法により重合体組成物が作製できる。
本発明の重合体組成物は、従来から知られている各種の成形法により、成形品とすることが可能である。
他の重合体(β)が熱可塑性重合体(β1)の場合、重合体組成物を、例えば押出成形、射出成形、中空成形、圧縮成形、真空成形、カレンダー成形等により成形することにより、成形品が作製できる。これら方法によって各種形状の成形品、シート、フィルムなどが得られる。また、メルトブロー法、スパンボンド法等の方法により、不織布、繊維状物となった成形品を作製することもできる。
他の重合体(β)が硬化性重合体(β2)の場合、重合体組成物を、例えば、トランスファー成形法により、熱により硬化した成形品が作製できる。その他の成形方法としては、例えば、インジェクション成形法、圧縮成形法が挙げられる。
他の重合体(β)が熱可塑性重合体(β1)の場合、重合体組成物から得られる成形品の用途としては、例えば、バンパー、インパネなどの自動車用内外装品、テレビ、ステレオ、掃除機等の家電用のハウジング材、コネクターなどの電気・電子部品、電線ケーブル用素材、食肉鮮魚用トレー、青果物パック、冷凍食品容器等の食品包装材若しくは食品容器、工業資材等の包装材料、スポーツシューズ素材などのスポーツ用品、布帛若しくは皮革製品、玩具、サンダルなどの日用雑貨、各種フィルム、シート、成形品のラミネート材、粘・接着剤、紙おむつなどに用いられる伸縮材料、ホース、チューブ、ベルト等の各種ゴム製品、医療用品などが挙げられる。
他の重合体(β)が硬化性重合体(β2)の場合、重合体組成物、その硬化物または成形品の用途としては、例えば、繊維補強複合材用接着剤(コンクリート用繊維補強複合材料用接着剤、自動車・鉄道車両・航空機といった運輸運送装置用繊維補強複合材料用接着剤、各種スポーツ用品用繊維補強複合材料用接着剤等)、組み立て用接着剤(自動車・鉄道車両・航空機といった運輸運送装置における部品組み立て用接着剤等)などの各種接着剤;上下水道用防食・防水塗料、金属用防食塗料などの各種塗料;建築土木用塗装プライマー、自動車・鉄道車両・航空機といった運輸運送装置用の塗装プライマーなどの各種塗装プライマー;金属用ライニング材、コンクリート用ライニング材、タンク類用ライニング材などの各種ライニング材;コンクリート用亀裂補修材などの各種補修材;プリント配線基板、絶縁ボード、半導体封止材、パッケージ材などの各種電気電子部品などが挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において、得られた重合体の物性は以下の方法により評価した。
[重量平均分子量(Mw)]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、共役ジエン系グラフト共重合体およびその製造の各段階における重合体の重量平均分子量(Mw)を標準ポリスチレン換算で求めた。
装置:東ソー株式会社製 GPC装置「HLC−8220」
分離カラム:東ソー株式会社製 「TSKgel SuperMultiporeHZ−M(カラム径=4.6mm、カラム長=15cm)」(2本を直列に繋いで使用)
溶離液:テトラヒドロフラン
溶離液流量:0.35mL/分
カラム温度:40℃
検出方法:示差屈折率(RI)
注入量:10μL
濃度:1mg/1cc(重合体/THF)
[ビニル含量]
H−NMRによって、マクロモノマーおよびその製造の各段階における重合体のビニル含量を算出した。得られたスペクトル中のビニル化された共役ジエン単位由来の二重結合のピークと、ビニル化されていない共役ジエン単位由来の二重結合のピークとの面積比からビニル含量を算出した。
装置:日本電子株式会社製核磁気共鳴装置 「JNM−ECX400」
溶媒:重クロロホルム
測定温度:25℃
積算回数:1024回
[多量化体生成量]
キャッピング反応時の多量化体生成量は、上記GPC測定で得られたスペクトルの、キャッピング反応後に生成した多量化体に由来する成分のピーク面積と、スペクトル中の全てのピーク面積の総和を用いて下式より求められる。
多量化体生成量[質量%]=多量化体に由来する成分のピーク面積/全てのピーク面積の総和
[キャッピング効率]
キャッピング効率は、工程(2)の反応後の重合体溶液をサンプリングし、キャッピング反応後のキャッピング化合物の含有量をガスクロマトグラフィーにより分析し、工程(2)での反応系中に添加したキャッピング化合物の仕込み量との差から算出した。なお、ここで「キャッピング化合物」とは、化合物(I)またはキャッピング剤(i−1)、(i−2)を指す。
装置:株式会社島津製作所製「GC−2014」
カラム:アジレント・テクノロジー株式会社製「DB−1」(内径0.25mm、長さ30.0m、膜厚1.00μm)
キャリアガス:ヘリウム(120.0kPaG)を流量1.36mL/分で流通させた。
サンプル注入量:薬液0.5μLをスプリット比50/1で注入した。
検出器:FID
検出器温度:300℃
気化室温度:250℃
昇温条件:80℃で3分保持した後、30℃/分で300℃まで昇温した後、3分保持した。
キャッピング効率[質量%]={(反応系中に添加したキャッピング化合物の仕込み量[質量ppm]−反応後のキャッピング化合物の含有量[質量ppm])/反応系中に添加したキャッピング化合物の仕込み量[質量ppm]}×100
[実施例1]
(1)十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン2570gおよびsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)25gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度が50℃となるように制御しながら、テトラヒドロフラン19.6gと、ブタジエン654gを逐次添加して、1時間重合した。
(2)その後、4−ビニルベンズアルデヒド5.9gを10℃で添加し、30分間反応させて、重合体溶液(A−1)を得た。
(3)続いて、得られた重合体溶液(A−1)に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を排出した。洗浄終了後の重合体溶液に安定剤として2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を重合体100質量部あたり0.1質量部加え、溶媒を加熱除去してマクロモノマー(A−2)を得た。
(4)得られたマクロモノマー(A−2)の重量平均分子量は30,000、ビニル含量は50モル%、多量化体生成量は3.5質量%であった。H−NMR測定の結果、マクロモノマー(A−2)は下記式で表される分子構造を有していることを確認した。実施例1において使用した各試薬の種類、添加量を表1に、得られたマクロモノマー(A−2)の分子仕様、物性を表3に示す。
Figure 2021134269

[実施例2]
(1)十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン2570gおよびsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)25gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン654gを逐次添加して、1時間重合した。
(2)その後、テトラヒドロフラン19.6gを添加し、4−ビニルベンズアルデヒド5.9gを10℃で添加し、30分間反応させて、重合体溶液(B−1)を得た。
(3)続いて、得られた重合体溶液(B−1)に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液に安定剤としてBHTを重合体100質量部あたり0.1質量部加え、溶媒を加熱除去してマクロモノマー(B−2)を得た。
(4)得られたマクロモノマー(B−2)の重量平均分子量は30,000、ビニル含量は10モル%、多量化体生成量は2.5質量%であった。実施例2において使用した各試薬の種類、添加量を表1に、得られたマクロモノマー(B−2)の分子仕様、物性を表3に示す。
[実施例3]
(1)十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン2570gおよびsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)25gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、ブタジエン654gを逐次添加して、1時間重合した。
(2)その後、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.48gを添加し、4−ビニルベンズアルデヒド5.9gを10℃で添加し、30分間反応させて、重合体溶液(C−1)を得た。
(3)続いて、得られた重合体溶液(C−1)に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液に安定剤としてBHTを重合体100質量部あたり0.1質量部加え、溶媒を加熱除去してマクロモノマー(C−2)を得た。
(4)得られたマクロモノマー(C−2)の重量平均分子量は30,000、ビニル含量は10モル%、多量化体生成量は2.5質量%であった。実施例3において使用した各試薬の種類、添加量を表1に、得られたマクロモノマー(C−2)の分子仕様、物性を表3に示す。
[比較例1]
工程(2)において、キャッピング剤を表2に示す試薬、添加量とした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。工程(2)において得られた重合体溶液を(D−1)とする。得られたマクロモノマー(D−2)の分子仕様、物性を表3に示す。
[比較例2]
工程(2)において、1,1−ジフェニルエチレン8.13g、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン1.44gを50℃で添加後、4−クロロメチルスチレン6.0gを10℃で添加し、30分間反応させて、重合体溶液(E−1)を得た以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られたマクロモノマー(E−2)の分子仕様、物性を表3に示す。
[比較例3]
工程(2)において、キャッピング剤を表2に示す試薬、添加量とした以外は、実施例1と同様の方法で実施した。得られたマクロモノマー(F−2)の分子仕様、物性を表3に示す。
Figure 2021134269

Figure 2021134269

表1および表2中、略字はそれぞれ下記を示す。
SBL:sec−ブチルリチウム
Bd:1,3−ブタジエン
THF:テトラヒドロフラン
TMEDA:N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン
VBA:4−ビニルベンズアルデヒド
DPE:1,1−ジフェニルエチレン
(i−1):4−クロロメチルスチレン
(i−2):ジメチルエトキシビニルシラン
Figure 2021134269

[実施例4]
(1)十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン1060gおよびsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)2.7gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、テトラヒドロフラン6.6g添加後、実施例1において得られた重合体溶液(A−1)1200gとブタジエン44gの混合溶液を逐次添加して、1時間反応させた。なお、重合体溶液(A−1)に含まれるマクロモノマー(A−2)の濃度は30質量%であった。反応後の溶液に、メタノールを0.4g添加して反応を停止させ、重合体溶液(G−1)を得た。
(2)続いて、得られた重合体溶液(G−1)に水を添加して撹拌し、水で重合体溶液を洗浄した。撹拌を終了し、重合体溶液相と水相とが分離していることを確認した後、水を分離した。洗浄終了後の重合体溶液に安定剤としてBHTを重合体100質量部あたり0.1質量部加え、溶媒を加熱除去してグラフト重合体(G−2)を得た。
(3)得られたグラフト重合体(G−2)のGPC測定の結果、原料のマクロモノマーに由来するピークは観察されず、グラフト重合体のMwは73,000であった。
[実施例5]
(1)マクロモノマー(A−2)18.4gを、スチレン6.0g、トルエン6.7g、AIBN0.02gとともに試験管に仕込み、窒素を溶液中にバブリングさせた。反応溶液を65℃に昇温し、8時間保って重合させた。反応後の溶液に4−メトキシフェノール/トルエン溶液を添加し、重合を停止し、グラフト重合体溶液(H−1)を得た。
(2)グラフト重合体溶液(H−1)のGPC測定の結果、グラフト重合体(H−2)のMwは480,000であった。
[比較例4]
(1)十分に乾燥した5Lオートクレーブを窒素置換し、シクロヘキサン1060gおよびsec−ブチルリチウム(10.5質量%シクロヘキサン溶液)2.7gを仕込み、50℃に昇温した後、撹拌条件下、重合温度を50℃となるように制御しながら、テトラヒドロフラン6.6g添加後、比較例1において得られた重合体溶液(D−1)1200gとブタジエン44gの混合溶液を逐次添加して、1時間反応させた。なお、重合体溶液(D−1)の重合体濃度は30質量%であった。反応後の溶液に、メタノールを0.4g添加して反応を停止させ、重合体溶液(J−1)を得た。
(2)重合体溶液(J−1)のGPC測定の結果、原料のマクロモノマー(D−2)に由来するピークのみが観察され、マクロモノマー(D−2)とブタジエンのアニオン共重合が進行しないことを確認した。
表3より、実施例1〜3は、活性末端重合体とビニルベンズアルデヒド(化合物(I))とを反応させた場合、重合体のビニル含量に関わらず、反応時の多量化体生成量が抑制され、高いキャッピング効率で反応が進行したことから、マクロモノマー収率が高いと言える。実施例1〜3において多量化体生成量が低減されたのは、化合物(I)の重合性官能基と脱離基の反応性差が大きく、キャッピング反応時の重合性官能基への求核付加が抑制されたためである。さらに、実施例1〜3では重合阻害物質を副生しない。これは、化合物(I)中にハロゲン化物を含有しないことに起因する。
一方、比較例1では多量化体が多く生成したことからマクロモノマー収率は低い。比較例2では活性低下剤により多量化体生成量が低減されたものの、キャッピング反応が十分に進行しなかったため、マクロモノマー収率は低いと言える。比較例1および2ではマクロモノマー収率が低いことに加え、重合阻害物質が副生する。また、比較例3はキャッピング剤にハロゲン化物を含有しないため、重合阻害物質が副生しないが、キャッピング剤の重合性官能基と脱離基の反応性差が小さいために多量化体が多く生成し、マクロモノマー収率が低いことが分かった。
さらに、本製造法により提供されるマクロモノマーは、スチレンやブタジエンなどの単量体との共重合性に優れるため、グラフト重合体の製造の原料として有用である。
本発明によって製造されるマクロモノマーは、末端の二重結合またはエポキシ基を利用して、グラフト重合体、ブロック重合体の合成や、粘接着剤、コーティング剤、成形材料などの原料として有用である。

Claims (11)

  1. 有機アルカリ金属化合物存在下で、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体をアニオン重合することで活性末端重合体を製造する工程(1);と、
    さらに、極性化合物存在下で、工程(1)で得られた活性末端重合体と、下記式(I)で表される化合物とを反応させる工程(2);
    を含む、マクロモノマーの製造方法。
    Figure 2021134269


    (式(I)中、Xは下記式(II−a)または(II−b)で示される構造を表し、RからRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(III)で示される構造を表す。ただし、RからRのうち少なくとも1つは式(III)で示される構造である。)
    Figure 2021134269


    (式(II−a)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
    Figure 2021134269


    (式(II−b)中、Rは水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、Rは炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
    Figure 2021134269


    (式(III)中、Rは炭素数0から5の飽和炭化水素基を表す。)
  2. 前記活性末端重合体が、共役ジエン単位を含む重合体である、請求項1に記載のマクロモノマーの製造方法。
  3. Xが式(II−a)で示される構造である、請求項1または2のいずれかに記載のマクロモノマーの製造方法。
  4. 下記式(IV)で表されるマクロモノマー。
    Figure 2021134269


    (式(IV)中、Wは下記式(V−a)または(V−b)で示される構造を、R10からR14はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1から5のアルキル基、または下記式(VI)で示される構造を表す。ただし、R10からR14のうち少なくとも1つは式(VI)で示される構造である。)
    Figure 2021134269


    (式(V−a)中、R15は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表す。)
    Figure 2021134269


    (式(V−b)中、R16は水素原子または炭素数1から3のアルキル基を表し、R17は炭素数1から3の飽和炭化水素基を表す。)
    Figure 2021134269


    (式(VI)中、R18は炭素数0から5の飽和炭化水素基を表し、Yは水酸基またはOMで示される構造(Mはアルカリ金属)を表し、Zは共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含む重量平均分子量1,000以上の重合体を表す。)
  5. 12が式(VI)で示される構造である、請求項4に記載のマクロモノマー。
  6. 式(VI)中のZが共役ジエン単位を含む重合体である、請求項4または5に記載のマクロモノマー。
  7. 式(IV)中のWが式(V−a)で示される構造である、請求項4〜6のいずれかに記載のマクロモノマー。
  8. 有機アルカリ金属化合物存在下、請求項4〜7のいずれかに記載のマクロモノマーを反応させる、グラフト重合体の製造方法。
  9. 請求項4〜7のいずれかに記載のマクロモノマーと、共役ジエンおよび芳香族ビニル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体とを反応させる、請求項8に記載のグラフト重合体の製造方法。
  10. 請求項4〜7のいずれかに記載のマクロモノマーを含有する、重合体組成物。
  11. 請求項10に記載の重合体組成物からなる成形品。
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