以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同一の部材を示す複数の図面同士においても、形状等を誇張するために、寸法比率等は互いに一致していないことがある。
第2実施形態以降の説明においては、基本的に先に説明された実施形態との相違点についてのみ述べる。特に言及が無い事項については、先に説明された構成と同様とされたり、先に説明された構成から類推されたりしてよい。複数の実施形態において互いに対応する構成については、具体的な形状等が異なる場合においても、同じ符号を付すことがある。
<第1実施形態>
(プリンタの全体構成)
図1(a)は、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2(以下で単にヘッドということがある。)を含む記録装置であるカラーインクジェットプリンタ1(以下で単にプリンタと言うことがある)の概略の側面図であり、図1(b)は、概略の平面図である。プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pを給紙ローラ80Aから回収ローラ80Bへと搬送することにより、印刷用紙Pをヘッド2に対して相対的に移動させる。なお、給紙ローラ80A及び回収ローラ80B並びに後述する各種のローラは、印刷用紙Pとヘッド2とを相対移動させる移動部85を構成している。制御部88は、画像や文字等のデータである印刷データ等に基づいて、ヘッド2を制御して、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
本実施形態では、ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。記録装置の他の実施形態としては、ヘッド2を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に往復させるなどして移動させ、その途中で液滴を吐出する動作と、印刷用紙Pの搬送を交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
プリンタ1には、印刷用紙Pとほぼ平行となるように、4つの平板状のヘッド搭載フレーム70(以下で単にフレームと言うことがある)が固定されている。各フレーム70には図示しない5個の孔が設けられており、5個のヘッド2がそれぞれの孔の部分に搭載されている。1つのフレーム70に搭載されている5つのヘッド2は、1つのヘッド群72を構成している。プリンタ1は、4つのヘッド群72を有しており、合計20個のヘッド2が搭載されている。
フレーム70に搭載されたヘッド2は、液体を吐出する部位が印刷用紙Pに面するようになっている。ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5〜20mm程度とされる。
20個のヘッド2は、制御部88と直接繋がっていてもよいし、間に印刷データを分配する分配部を介して接続してもよい。例えば、制御部88が印刷データを1つの分配部へ送付し、1つの分配部が印刷データを20個のヘッド2に分配してもよい。また、例えば、4つのヘッド群72に対応する4つの分配部へ制御部88が印刷データを分配し、各分配部は、対応するヘッド群72内の5つのヘッド2に印刷データを分配してもよい。
ヘッド2は、図1(a)の手前から奥へ向かう方向、図1(b)の上下方向に細長い長尺形状を有している。1つのヘッド群72内において、3つのヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に沿って並んでおり、他の2つのヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3つのヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。別の表現をすれば、1つのヘッド群72において、ヘッド2は、千鳥状に配置されている。ヘッド2は、各ヘッド2で印刷可能な範囲が、印刷用紙Pの幅方向、すなわち、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、印刷用紙Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
4つのヘッド群72は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各ヘッド2には、図示しない液体供給タンクから液体、例えば、インクが供給される。1つのヘッド群72に属するヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを、制御部88で制御して印刷すれば、カラー画像が印刷できる。
プリンタ1に搭載されているヘッド2の個数は、単色で、1つのヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、1つでもよい。ヘッド群72に含まれるヘッド2の個数や、ヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の個数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷すれば、同じ性能のヘッド2を使用しても搬送速度を速くできる。これにより、時間当たりの印刷面積を大きくすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、搬送方向と交差する方向にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
さらに、色のあるインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を、ヘッド2で、一様に、あるいはパターンニングして印刷してもよい。コーティング剤としては、例えば、記録媒体として液体が浸み込み難いものを用いる場合において、液体が定着し易いように、液体受容層を形成するものが使用できる。他に、コーティング剤としては、記録媒体として液体が浸み込み易いものを用いる場合において、液体のにじみが大きくなり過ぎたり、隣に着弾した別の液体とあまり混じり合わないように、液体浸透抑制層を形成するものが使用できる。コーティング剤は、ヘッド2で印刷する以外に、制御部88が制御する塗布機76で一様に塗布してもよい。
プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80Aに巻き取られた状態になっており、給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、フレーム70に搭載されているヘッド2の下側を通り、その後2つの搬送ローラ82Cの間を通り、最終的に回収ローラ80Bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82Cを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、ヘッド2によって印刷される。
続いて、プリンタ1の詳細について、印刷用紙Pが搬送される順に説明する。給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、2つのガイドローラ82Aの間を通った後、塗布機76の下を通る。塗布機76は、印刷用紙Pに、上述のコーティング剤を塗布する。
印刷用紙Pは、続いて、ヘッド2が搭載されたフレーム70を収納した、ヘッド室74に入る。ヘッド室74は、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっているが、概略、外部と隔離された空間である。ヘッド室74は、必要に応じて、制御部88等によって、温度、湿度、および気圧等の制御因子が制御される。ヘッド室74では、プリンタ1が設置されている外部と比較して、外乱の影響を少なくできるので、上述の制御因子の変動範囲を外部よりも狭くできる。
ヘッド室74には、5個のガイドローラ82Bが配置されており、印刷用紙Pは、ガイドローラ82Bの上を搬送される。5個のガイドローラ82Bは、側面から見て、フレーム70が配置されている方向に向けて、中央が凸になるように配置されている。これにより、5個のガイドローラ82Bの上を搬送される印刷用紙Pは、側面から見て円弧状になっており、印刷用紙Pに張力を加えることで、各ガイドローラ82B間の印刷用紙Pが平面状になるように張られる。2つのガイドローラ82Bの間には、1つのフレーム70が配置されている。各フレーム70は、その下を搬送される印刷用紙Pと平行になるように、設置される角度が少しずつ変えられている。
ヘッド室74から外に出た印刷用紙Pは、2つの搬送ローラ82Cの間を通り、乾燥機78の中を通り、2つのガイドローラ82Dの間を通り、回収ローラ80Bに回収される。印刷用紙Pの搬送速度は、例えば、100m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
乾燥機78で乾燥することにより、回収ローラ80Bにおいて、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れることが起き難くできる。高速で印刷するためには、乾燥も速く行なう必要がある。乾燥を速くするため、乾燥機78では、複数の乾燥方式により順番に乾燥してもよいし、複数の乾燥方式を併用して乾燥してもよい。そのような際に用いられる乾燥方式としては、例えば、温風の吹き付け、赤外線の照射、加熱したローラへの接触などがある。赤外線を照射する場合は、印刷用紙Pへのダメージを少なくしつつ乾燥を速くできるように、特定の周波数範囲の赤外線を当ててもよい。印刷用紙Pを加熱したローラに接触させる場合は、印刷用紙Pをローラの円筒面に沿って搬送させることで、熱が伝わる時間を長くしてもよい。ローラの円筒面に沿って搬送させる範囲は、ローラの円筒面の1/4周以上がよく、さらにローラの円筒面の1/2周以上にするのがよい。UV硬化インク等を印刷する場合には、乾燥機78の代わりに、あるいは乾燥機78に追加してUV照射光源を配置してもよい。UV照射光源は、各フレーム70の間に配置してもよい。
プリンタ1は、ヘッド2をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、例えば、ワイピングや、キャッピングして洗浄を行なう。ワイピングは、例えば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位、例えば吐出面(後述)を擦ることで、その面に付着していた液体を取り除く。キャッピングしての洗浄は、例えば、次のように行なう。まず、液体を吐出される部位、例えば吐出面を覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングと言う)ことで、吐出面とキャップとで、ほぼ密閉された空間が作られる。そのような状態で、液体の吐出を繰り返すことで、吐出口(後述)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高くなっていた液体や、異物等を取り除く。キャッピングしてあることで、洗浄中の液体がプリンタ1に飛散し難く、液体が、印刷用紙Pやローラ等の搬送機構に付着し難くできる。洗浄を終えた吐出面を、さらにワイピングしてもよい。ワイピングや、キャッピングしての洗浄は、プリンタ1に取り付けられているワイパーやキャップを人が手動で操作して行なってもよいし、制御部88によって自動で行なってもよい。
記録媒体は、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルトを直接搬送して、記録媒体を搬送ベルトに置いて搬送してもよい。そのようにすれば、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを記録媒体にできる。さらに、ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ、温度センサなどを取り付けて、制御部88が、各センサからの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。例えば、ヘッド2の温度や、ヘッド2に液体を供給する液体供給タンクの液体の温度、液体供給タンクの液体がヘッド2に加えている圧力などが、吐出される液体の吐出特性、すなわち、吐出量や吐出速度などに影響を与えている場合などに、それらの情報に応じて、液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
(ヘッド本体の概要)
図2及び図3は、ヘッド2が含むヘッド本体2aの一部の拡大断面図である。図2は、後述する図6のII−II線に対応している。図3は、後述する図6のIII−III線に対応している。図2及び図3の紙面下方は、印刷用紙P側である。
ヘッド本体2aは、ヘッド2の印刷用紙Pに対向する面(吐出面5a)の略全体を構成する概略板状の部材である。その厚さは、例えば、0.5mm以上2mm以下である。吐出面5aには液滴を吐出する複数の吐出口9(図2及び図3の各図では1つのみ示す。)が開口している。複数の吐出口9は、吐出面5aに沿って2次元的に配置されている。ヘッド本体2aは、圧電素子の機械的歪により液体に圧力を付与して液滴を吐出するピエゾ式のヘッドである。ヘッド本体2aは、それぞれ吐出口9を含む複数の第1吐出素子3Aを有しており、図2及び図3の各図では、1つの第1吐出素子3Aが示されている。
後述するように、ヘッド本体2aは、液滴を吐出しないダミーの吐出素子(第2吐出素子3B)を有している。以下の説明では、第1吐出素子3Aと第2吐出素子3Bとを区別せずに吐出素子3ということがある。第1吐出素子3Aに係る構成については、「第1個別流路13A」のように「第1」及び「A」を付すことがある。第2吐出素子3Bに係る構成については、「第2個別流路13B」のように「第2」及び「B」を付すことがある。また、単に「個別流路13」というなど、「第1」及び「A」等を省略することがある。
ヘッド本体2aは、別の観点では、液体(インク)が流れる流路が形成されている板状の流路部材5と、流路部材5内の液体に圧力を付与するためのアクチュエータ基板7とを有している。複数の吐出素子3は、流路部材5及びアクチュエータ基板7により構成されている。吐出面5aは、流路部材5によって構成されている。流路部材5の吐出面5aとは反対側の面を加圧面5bというものとする。アクチュエータ基板7は加圧面5bに重なっている。
流路部材5は、共通流路11と、共通流路11にそれぞれ接続されている複数の個別流路13(図2及び図3の各図では1つを図示)とを有している。図2及び図3では、液滴を吐出する第1吐出素子3Aの第1個別流路13Aが示されている。第1個別流路13Aは、既述の吐出口9を有しており、また、共通流路11から吐出口9へ順に、供給流路15(第1供給流路15A)、加圧室17(第1加圧室17A)及び吐出流路19を有している。
複数の個別流路13及び共通流路11には液体が満たされている。各第1個別流路13Aにおいては、加圧室17の容積が変化して液体に圧力が付与されることにより、加圧室17から吐出流路19へ液体が送出され、吐出口9から複数の液滴が吐出される。また、加圧室17へは供給流路15を介して共通流路11から液体が補充される。
流路部材5は、例えば、複数のプレート21A〜21N(以下、A〜Nを省略することがある。)が積層されることにより構成されている。プレート21には、複数の個別流路13及び共通流路11を構成する複数の穴(主として貫通孔。凹部にすることも可)が形成されている。複数のプレート21の厚み及び積層数は、複数の個別流路13及び共通流路11の形状等に応じて適宜に設定されてよい。複数のプレート21は、適宜な材料により形成されてよい。例えば、複数のプレート21は、金属又は樹脂によって形成されている。プレート21の厚さは、例えば、10μm以上300μm以下である。
プレート21同士は、例えば、プレート21間に介在する不図示の接着剤によって互いに固定されている。なお、本実施形態の説明では、接着剤の存在を無視した表現をすることがある。
特に図示しないが、ヘッド2は、ヘッド本体2a以外に、筐体、ドライバIC、配線基板などを含んでいてよい。また、ヘッド本体2aは、流路部材5に液体を供給する他の流路部材を含んでいてよい。そのような他の流路部材は、他の部材を支持したり、ヘッド2のフレーム70に対する固定に寄与したりしてもよい。これらの構成要素の有無に関わらず、流路部材5及びアクチュエータ基板7の組み合わせ(ヘッド本体2a)のみが本開示におけるヘッドと捉えられてもよい。
(共通流路)
図4は、流路部材5の平面透視図である。図4の紙面貫通方向は、ヘッド2と印刷用紙Pとの対向方向である。また、図4の紙面上下方向は、図1(b)の紙面上下方向である。図4では、流路部材5内の流路のうち、共通流路11及び当該共通流路11に液体を供給する供給口23のみを示している。
共通流路11の数は、任意であり、1つでもよいし、複数でもよい。図4の例では、8本の共通流路11が設けられている。複数の共通流路11は、例えば、互いに並列に直線状に延びている。複数の共通流路11の構成は、基本的に互いに同じである。共通流路11が延びる方向と、流路部材5の長手方向との相対関係も適宜に設定されてよく、図示の例では、両者は平行である。すなわち、本実施形態では、共通流路11は、印刷用紙Pの搬送方向に対して略直交する方向に延びている。図示の例とは異なり、共通流路11は、流路部材5の長手方向(搬送方向に略直交する方向)に対して傾斜していてもよい。
複数の共通流路11は、例えば、両端において合流している。その合流した端部は供給口23に接続されている。供給口23は、流路部材5の外部に通じている。液体は、供給口23から共通流路11に流れ込む。図示の例とは異なり、複数の共通流路11は、一端のみにおいて合流してもよい。また、供給口23は、共通流路11毎に設けられてもよい。
共通流路11の横断面(流れに直交する断面)の形状及び共通流路11の各種の寸法等は適宜に設定されてよい。本実施形態では、共通流路11の横断面の形状が矩形状の態様を例に取る。特に図示しないが、共通流路11の内面には、共通流路11に生じた圧力変動を減衰するためのダンパが設けられていてもよい。
(個別流路の配置の概要)
図5は、図4の領域Vの拡大図(平面透視図)である。図5の紙面上下方向は図4の紙面左右方向である。図5では、図4に示された流路に加え、加圧室17及び吐出流路19も示されている。
図6は、図5の領域VIの拡大図(平面透視図)である。図6の紙面上下方向は図5の紙面上下方向である。図6では、図5に示された流路に加え、吐出口9及び供給流路15も示されている。さらに、図6のうち一部(左側)の個別流路13については、アクチュエータ基板7の構成要素も示されている。
複数の個別流路13(別の観点では吐出素子3)は、列を成すように配置されている。具体的には、例えば、複数の個別流路13は、各共通流路11に沿って(共通流路11の長さ方向に)配列されている。より詳細には、例えば、複数の吐出口9は、共通流路11に沿って配列されている。複数の加圧室17は、共通流路11に沿って配列されている。複数の吐出流路19は、共通流路11に沿って配列されている。複数の供給流路15は、共通流路11に沿って配列されている。
1本の共通流路11及び当該1本の共通流路11に繋がる複数の個別流路13(別の観点では複数の吐出素子3)の構成は、基本的に複数の共通流路11同士で同じである。以下では、1本の共通流路11のみに着目して説明することがある。
図示の例では、1本の共通流路11と繋がっている複数の個別流路13は、共通流路11の片側にそれぞれ2行ずつ、両側を合わせて4行の第1流路行25A〜第4流路行25D(以下、A〜Dを省略することがある。)を構成している。本実施形態では、共通流路11は4本あるので、流路行25は全体で16行ある。
共通流路11に交差する方向(例えば図5の紙面上下方向)に複数の吐出口9を見たときに、複数の吐出口9は、互いに重ならないように配置されている。これにより、印刷用紙Pを上記交差する方向へ搬送しつつ、印刷用紙Pに向けて液滴を吐出すると、各流路行25における吐出口9のピッチよりも狭いピッチで、搬送方向に直交する方向に配列されたドットを形成することができる。
(第1個別流路の配置及び形状)
各流路行25内において、液滴を吐出する複数の第1個別流路13A(別の観点では第1供給流路15A、第1加圧室17A、吐出流路19及び/又は吐出口9)の形状、向き及び共通流路11に対する位置関係は、基本的に互いに同じとされている。各流路行25内において、複数の第1個別流路13A(15A、17A、19及び/又は9)は、基本的に一定のピッチで共通流路11の長さ方向に配列されている。ただし、種々の理由により、吐出口9のピッチが当該ピッチよりも小さい量で変動していたり、第1個別流路13A全体のピッチが変動していたりしてもよい。
第1個別流路13Aの形状、向き及び共通流路11に対する位置関係に関して、第1流路行25Aに属する第1個別流路13Aと、第4流路行25Dに属する第1個別流路13Aとは、線対称及び/又は回転対称の関係にある。同様に、第2流路行25Bに属する第1個別流路13Aと、第3流路行25Cに属する第1個別流路13Aとは、線対称及び/又は回転対称の関係にある。
一方、第1流路行25A及び第4流路行25Dに属する第1個別流路13Aと、第2流路行25B及び第3流路行25Cに属する第1個別流路13Aとは、平面視における共通流路11との距離が異なり、また、平面視における第1供給流路15Aの第1加圧室17Aに対する向きが異なる。その他の事項については、第1流路行25A及び第4流路行25Dに属する第1個別流路13Aと、第2流路行25B及び第3流路行25Cに属する第1個別流路13Aとで基本的に同じである。
以下では、第1流路行25A及び第4流路行25Dに属する第1個別流路13Aに13AAの符号を用いることがある。また、第2流路行25B及び第3流路行25Cに属する第1個別流路13Aに13ABの符号を用いることがある。既述の図2では、第1個別流路13AAが示されている。図3では、第1個別流路13ABが示されている。
図7は、第1個別流路13A(13AA及び13AB)の形状を示す斜視図である。
第1個別流路13Aの各部(第1供給流路15A、第1加圧室17A、吐出流路19及び吐出口9)の形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。図2、図3及び図7に示す例では、以下のとおりである。
第1加圧室17Aは、加圧面5bに沿って一定の厚さで広がる薄型形状に形成されている。薄型形状は、例えば、平面視のいずれの径よりも厚さが小さい形状である。第1加圧室17Aの平面形状は、角部が曲線で面取りされた菱形である。ただし、第1加圧室17Aは、厚さが変化する部分を有していてもよいし、加圧面5bに平行な断面の面積が高さ方向の位置によって異なっていてもよい。なお、このような場合、本実施形態で述べる第1加圧室17Aにおける加圧面5bに平行な断面の面積は、例えば、最小の面積又は最大の面積とされてよい。また、第1加圧室17Aは、平面視において円形又は楕円形等の他の形状を有していてもよい。
第1加圧室17Aは、例えば、加圧面5bに開口しており、アクチュエータ基板7によって塞がれている。なお、第1加圧室17Aは、プレート21によって塞がれていてもよい。ただし、これは、第1加圧室17Aを塞ぐプレート21を流路部材5の一部として捉えるか、アクチュエータ基板7の一部として捉えるかの問題と考えることもできる。
第1加圧室17A(その下面17a)は、共通流路11(その上面11a)よりも上方に位置している。従って、第1加圧室17Aは、平面視において共通流路11と重なりを有するように配置可能である。図示の例では、第1個別流路13AAの第1加圧室17Aは共通流路11に重なっていない。また、第1個別流路13ABの第1加圧室17Aは一部が共通流路11に重なっている。その重なりの面積は適宜に設定されてよい。図示の例では、第1個別流路13ABの第1加圧室17Aは、その面積の半分以上、0.7以上又は0.8以上が共通流路11に重なっている。
吐出流路19は、第1加圧室17Aから吐出面5aに向かって延びている。吐出流路19の形状は、概略、直円柱状である。平面視において、吐出流路19は、例えば、第1加圧室17Aの長手方向の端部(図示の例では菱形の鋭角となっている1つの角部)に繋がっている。特に図示しないが、吐出流路19は、吐出面5aに直交する方向に対して傾斜していてもよいし、第1加圧室17Aから吐出口9に至る過程で横断面(吐出面5aに平行な断面)の面積が変化してもよい。また、複数の吐出流路19は、互いに形状が異なっていてもよい。
吐出口9は、吐出流路19の底面(第1加圧室17Aとは反対側の面)の一部に開口している。吐出口9は、例えば、吐出流路19の底面の概ね中央に位置していてもよいし(図示の例)、吐出流路19の底面の中央に対して偏心して設けられていてもよい。吐出口9の縦断面(吐出面5aに直交する断面)の形状は、吐出面5a側ほど径が小さくなるテーパ状とされている。ただし、吐出口9は、一部又は全部が逆テーパであってもよい。
第1供給流路15Aは、例えば、共通流路11の上面11aに接続されている第1部位15aと、第1部位15aの上面に接続され、平面方向(加圧面5bに沿う方向)に延びている第2部位15bと、第2部位15bの上面に接続され、加圧室17の下面17aに接続されている第3部位15cとを有している。
第1部位15aは、例えば、加圧面5bの法線方向を軸方向とする概略円柱状に形成されている。第2部位15bは、平面視において一定の幅で直線状に延びている部分と、その両側の拡幅部分とを有している。拡幅部分は、第1部位15a又は第3部位15cに接続されている。第3部位15cは、加圧面5bの法線方向を軸方向とする概略円柱状に形成されている。第2部位15bは、第1部位15a及び第3部位15cに比較して、また、共通流路11及び加圧室17に比較して、横断面(流れ方向に直交する断面)の面積が小さくされている。すなわち、第2部位15bは、いわゆる絞りとして機能する。
平面視において、第1供給流路15A(第3部位15c)の加圧室17に対する接続位置は、例えば、加圧室17の下面17aのうちの当該下面17aの中央に対して吐出流路19とは反対側の端部(本実施形態では、加圧室17の長手方向の一端)とされている。第1供給流路15A(第1部位15a)の共通流路11に対する接続位置は、共通流路11の上面のうちの幅方向の適宜な位置とされている。
図示の例では、第1個別流路13AAに関しては、平面視において、加圧室17が共通流路11に重なっていないことに対応して、第1供給流路15Aの一部は、共通流路11の外側へ延び出ている。一方、第1個別流路13ABに関しては、第1供給流路15Aは、その全体が共通流路11に重なっている。また、第1個別流路13AAの第1供給流路15Aと第1個別流路13ABの第1供給流路15Aとは向き(例えば第1加圧室17Aに対する向き)が互いに異なっている。この他の点について、第1個別流路13AAの第1供給流路15Aと第1個別流路13ABの第1供給流路15Aとは、互いに同一であってもよいし(図示の例)、異なっていてもよい。
(アクチュエータ基板)
図2及び図3に示すように、アクチュエータ基板7は、複数の加圧室17に亘る広さを有する概略板状である。アクチュエータ基板7は、いわゆるユニモルフ型の圧電アクチュエータによって構成されている。なお、アクチュエータ基板7は、バイモルフ型等の他の形式の圧電アクチュエータによって構成されていてもよい。アクチュエータ基板7は、例えば、流路部材5側から順に、振動層27、共通電極29、圧電体層31及び個別電極33を有している。
振動層27、共通電極29及び圧電体層31は、平面視において複数の加圧室17に亘って広がっている。すなわち、これらは、複数の加圧室17に共通に設けられている。個別電極33は、加圧室17毎に加圧室17に対向する位置に設けられている。個別電極33の数は、基本的に、加圧室17の数と同数である。なお、アクチュエータ基板7のうち、各加圧室17に対応する部分を加圧部35というものとする。
圧電体層31の個別電極33と共通電極29とに挟まれている部分は、厚さ方向に分極されている。従って、例えば、個別電極33及び共通電極29によって圧電体層31の分極方向に電界(電圧)を印加すると、圧電体層31は当該層に沿う方向に収縮する。この収縮は、振動層27によって規制される。その結果、加圧部35は加圧室17側へ凸となるように撓み変形する。ひいては、加圧室17の容積が縮小され、加圧室17の液体に圧力が付与される。個別電極33及び共通電極29によって上記とは逆向きに電界(電圧)を印加すると、加圧部35は加圧室17とは反対側へ撓み変形する。
アクチュエータ基板7を構成する各層の厚さ及び材料等は適宜に設定されてよい。一例を挙げると、振動層27及び圧電体層31の厚さは、それぞれ10μm以上40μm以下とされてよい。共通電極29の厚さは1μm以上3μm以下とされてよい。個別電極33の厚さは、0.5μm以上2μm以下とされてよい。振動層27及び圧電体層31の材料は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系、NaNbO3系、BaTiO3系、(BiNa)TiO3系、BiNaNb5O15系などの強誘電性を有するセラミックス材料とされてよい。振動層27の材料は、圧電性を持たない材料とされても構わない。共通電極29の材料は、Ag−Pd系などの金属材料とされてよい。個別電極33の材料は、Au系などの金属材料とされてよい。
個別電極33の平面視における形状及び寸法は、例えば、概略、加圧室17の平面視における形状及び寸法と同じである。本実施形態では、図6に示すように、個別電極33は、加圧室17よりも一回り小さい菱形とされている。ただし、個別電極33の平面形状は、加圧室17の平面形状と異なっていても構わない。
図6に示すように、個別電極33からは引出電極37が延び出ている(図2及び図3では図示省略)。引出電極37の個別電極33とは反対側の端部は、加圧室17の外側に至っており、当該端部上には接続電極39が形成されている。接続電極39は、ヘッド2が含む不図示の信号伝達部材(例えばFPC:Flexible printed circuits)と接合される。個別電極33は、制御部88から信号伝達部材、接続電極39及び引出電極37を介して電位(駆動信号)が付与される。
共通電極29は、例えば、特に図示しないが、平面視における複数の個別電極33の非配置位置にて圧電体層31を貫通している貫通導体を介して上述の信号伝達部材に接続され、ひいては、制御部88と接続されている。共通電極29は、信号伝達部材を介して基準電位が付与される。
(第2吐出素子)
既述のように、ヘッド本体2aは、液滴を吐出しないダミーの吐出素子として第2吐出素子3Bを有している。図6において、吐出口9を示す黒丸が付されていない個別流路13は、第2吐出素子3Bが有する第2個別流路13Bである。図6では、各流路行25の端部に1つずつ第2個別流路13Bが設けられている態様が例示されている。
このような液滴を吐出しない第2吐出素子3Bは、例えば、第1吐出素子3Aの第1加圧室17Aがその両側の第1加圧室17Aから受ける構造的な影響を流路行25の端部側に位置している第1吐出素子3Aの第1加圧室17Aについても再現することに寄与している。すなわち、液滴の吐出特性の均一化に寄与している。
第2個別流路13B(第2吐出素子3B)は、例えば、全ての流路行25に設けられ、また、各流路行25の両端に設けられている。換言すれば、第1個別流路13A及び第2個別流路13Bは、列を成すように配置され、第2個別流路13Bは、その列の端に位置している。各流路行25の一端において、第2個別流路13Bの数は適宜に設定されてよく、1つであってもよいし(図示の例)、2以上であってもよい。
第2吐出素子3B(第2個別流路13B)の配置位置(例えば加圧室17を基準とする)は、例えば、第1吐出素子3A(第1個別流路13A)の配置位置と同様とされてよい。換言すれば、第2吐出素子3Bは、あたかも第1吐出素子3Aが第2吐出素子3Bの位置まで配列されているかのように配置されてよい。例えば、第2吐出素子3Bとその隣の吐出素子3(3A又は3B)とのピッチは、第1吐出素子3A同士のピッチと同じとされてよい。
ただし、第2吐出素子3Bの配置位置は、第1吐出素子3Aの配置位置と異なっていてもよい。例えば、第2吐出素子3Bとその隣の吐出素子3(3A又は3B)とのピッチは、第1吐出素子3A同士のピッチよりも短くされてもよい。この場合、例えば、第1吐出素子3Aが隣の第1吐出素子3A及び2つ隣の第1吐出素子3Aから受ける影響を1つの第2吐出素子3Bによって再現することが容易化される。
図8、図9及び図10は、第2吐出素子3B(及びその周辺)の構成を示す図である。
具体的には、これらの図は、第1吐出素子3Aの構成を示した図2、図3及び図7に対応している。図8は、図6のVIII−VIII線における断面図である。図9は、図6のIX−IX線における断面図である。図10は、第2個別流路13B(13BA及び13BB)の形状を示す斜視図である。図8に示す第2個別流路13BAは、図2に示す第1個別流路13AAと同一の流路行25(より詳細には25A又は25D)に属している。図9に示す第2個別流路13BBは、図3に示す第1個別流路13ABと同一の流路行25(より詳細には25B又は25C)に属している。
第2吐出素子3Bは、第1吐出素子3Aと同様に、個別流路13と、加圧部35とを有している。ただし、第1吐出素子3Aの第1個別流路13Aが共通流路11から見て吐出面5aの外部へ通じていたのに対して、第2吐出素子3Bの第2個別流路13Bは、共通流路11から見て吐出面5aの外部へ通じない行き止まり(袋小路)を構成している。例えば、図示の例では、第2個別流路13Bは、吐出口9を有していない(吐出口9が塞がれている。)。これにより、第2吐出素子3Bからは液滴が吐出されない。
第2個別流路13Bにおいては、第1個別流路13Aと同様に、加圧室17(第2加圧室17B)が設けられているとともに、第2加圧室17Bは共通流路11に接続されている。従って、第2加圧室17Bには液体が満たされている。これにより、第2加圧室17Bに液体が満たされていない態様に比較して、第2吐出素子3Bがその周囲の第1吐出素子3Aに及ぼす影響は、第1吐出素子3Aがその周囲の他の第1吐出素子3Aに及ぼす影響に近くなる。
第2吐出素子3Bの第2加圧部35Bの構成は、第1吐出素子3Aの第1加圧部35Aの構成と同様である。従って、既述のアクチュエータ基板7の説明では、第1吐出素子3Aと第2吐出素子3Bとを特に区別していない。ただし、第1加圧部35A及び第2加圧部35Bは互いに構成が異なっていてもよい。例えば、第2加圧部35Bは、第1加圧部35Aよりも駆動力が大きくされてもよい。この場合、例えば、第1吐出素子3Aが隣の第1吐出素子3A及び2つ隣の第1吐出素子3Aから受ける影響を1つの第2吐出素子3Bによって再現することが容易化される。
(共通流路の拡張)
図6、図8〜図10に示されているように、共通流路11は、第2吐出素子3Bの位置において幅が広くされている。図8及び図9では、共通流路11の範囲を破線で示している。また、図8及び図9では、図2及び図3の位置における共通流路11及び吐出流路19の形状を点線で示している。
共通流路11は、例えば、平面透視において第2加圧室17Bの全体と重なるように幅が広くされている。これにより、例えば、後述する説明から理解されるように、第2加圧室17Bと共通流路11とを連通しやすくなっている。
より詳細には、図示の例では、第2吐出素子3Bの位置に第1吐出素子3Aが位置していると仮定した場合において、共通流路11は、平面透視において、加圧室17全体に加えて、第1供給流路15A及び吐出流路19(及び吐出口9)の全体にも重なる態様で幅が広くされている。また、別の観点では、図8及び図9から理解されるように、共通流路11は、第1吐出素子3Aの位置においては空洞とならない部分(加圧室17直下のプレート21B〜21Jによって構成されている部分)を含んでいる。また、共通流路11は、第1吐出素子3Aの位置においては吐出流路19の一部(プレート21B〜21Jの部分)となる部分を含んでいる。
図示の例とは異なり、例えば、共通流路11の幅の拡張は、平面透視において、共通流路11が第2加圧室17Bの全体にのみ重なる態様であってもよい。また、例えば、共通流路11の幅の拡張は、共通流路11が第2加圧室17Bの全体に重ならないが、第2加圧室17Bと共通流路11との重なりが、第1加圧室17Aと共通流路11との重なりよりも大きくなる態様であってもよい。共通流路11の幅の拡張によって(又は拡張によらずに)、第2加圧室17Bと共通流路11との重なりは、例えば、第2加圧室17Bの面積の半分以上とされてよい。
共通流路11の幅は、例えば、第1吐出素子3Aの位置から第2吐出素子3Bの位置へ近づくにつれて徐々に広くされている。その変化は、平面視において共通流路11の側面が直線状になるものであってもよいし(図示の例)、曲線状になるものであってもよい。また、その変化の程度(共通流路11の延びる方向に対する傾斜)も任意である。図示の例とは異なり、共通流路11の幅は、階段状に広くされても構わない。
第2吐出素子3Bの位置よりも共通流路11の端部側における共通流路11の幅は、例えば、第2吐出素子3Bの位置における幅よりも狭くされてもよいし(図示の例)、第2吐出素子3Bの位置における幅のままとされてもよいし、第2吐出素子3Bの位置における幅よりも広くされてもよい。また、第2吐出素子3Bの位置よりも共通流路11の端部側における共通流路11の幅は、第2吐出素子3Bの位置における幅よりも狭くされる場合において、第1吐出素子3Aの位置における幅よりも広くされてもよいし(図示の例)、同等以下とされてもよい。
共通流路11の下面から上面11aまでの高さ(厚さ)は、例えば、元々の幅(第1吐出素子3Aの位置における幅)の領域と、幅の拡張に伴って追加された領域とで同一である。ただし、両者は異なっていてもよい。例えば、追加された領域の下面は、元々の領域の下面よりも高く、又は低くされてもよい。また、共通流路11の下面にダンパが設けられる場合において、ダンパは、例えば、元々の領域及び追加された領域に亘っていてもよいし、元々の領域のみに設けられていてもよい。
共通流路11の幅が第2吐出素子3Bの位置において広くされている態様において、共通流路11として捉えられる空間と、第2個別流路13Bとして捉えられる空間との境界は合理的に判断されてよい。例えば、第1吐出素子3Aの位置における共通流路11の下面から上面までの高さと概略同等の高さを有している空間は、平面視における位置及び形状によらずに、共通流路11の一部として捉えられてよい。
(第2個別流路の形状の具体例)
第2個別流路13Bは、既述のように第2加圧室17Bを有しており、さらに、共通流路11と第2加圧室17Bとを接続する第2供給流路15Bを有している。
第2加圧室17Bの形状及び寸法等は、例えば、第1加圧室17Aの形状及び寸法等と同一である。従って、既述の第1加圧室17Aの形状及び寸法等の説明は、第2加圧室17Bに援用されてよい。ただし、既述のように、第2加圧室17Bの位置(例えばピッチ)は、第1加圧室17Aの位置と若干異なっていてもよい。また、第2加圧室17Bの形状及び寸法も第1加圧室17Aの形状及び寸法と若干異なっていてもよい。
第2供給流路15Bは、横断面(流れに直交する方向の断面)の面積の最小値が、第1個別流路13Aの第1供給流路15Aにおける横断面の面積の最小値(図示の例では第2部位15bの横断面の面積)よりも大きくされている。これにより、例えば、第2個別流路13Bに気体(例えば空気)が留まる蓋然性が低減される。
上記のような横断面の面積の条件を満たす第2供給流路15Bの形状は、種々可能である。以下では、図8、図9及び図10に例示されている第2供給流路15Bの形状について述べる。
図2、図3及び図7と、図8、図9及び図10との比較から理解されるように、第2個別流路13Bは、第1個別流路13Aのうち共通流路11よりも上方側に位置する部分を、その下面から共通流路11の上面まで吐出面5aに直交する方向に直線状に拡張した形状とされている。この形状では、第2個別流路13Bのうち第2加圧室17B以外の全ての部位は、第2加圧室17Bと共通流路11とを接続することに寄与しており、第2供給流路15Bを構成していると言える。
別の観点では、第2供給流路15Bは、第2加圧室17Bの、加圧面5bに平行な断面の形状(又は下面17aの形状)を所定方向に平行移動させた(別の観点では投影した)と仮定したときに、第2加圧室17Bの上記形状が通過する領域を含んでいる。図示の例では、この平行移動(投影)に係る所定方向は加圧面5bに直交する方向である。また、平行移動は、下面17aの位置から、少なくとも共通流路11の位置までなされている。
第2供給流路15Bの流路方向、横断面(流路方向に直交する断面)及びその最小値は合理的に判断されてよい。例えば、図示の例では、第2供給流路15Bの流路方向は、加圧面5bに直交する方向とされてよい。別の観点では、第2供給流路15Bの横断面は、加圧面5bに平行な断面とされてよい。この場合、第2供給流路15Bの横断面の最小値は、第2加圧室17Bの下面17aにおける開口面積である。
例えば、以下のような場合、第2供給流路15Bは、加圧面5bに直交する方向に直線状に延びていると捉えられてよい。まず、第2供給流路15Bの加圧面5bに平行な断面のうち面積が最小の断面(図示の例では下面17aにおける開口面)を特定する。この最小の断面を加圧面5bに直交する方向に投影した投影面を考える。第2供給流路15Bが第2加圧室17Bから共通流路11までの全体に亘って上記投影面を含んでいるとき(第2供給流路15Bの、いずれの位置における、加圧面5bに平行な断面も、上記投影面を含んでいるとき)、第2供給流路15Bは、加圧面5bに直交する方向に直線状に延びていると捉えられてよい。上記から理解されるように、第2供給流路15Bが直線的に延びているという場合、第2供給流路15Bの横断面の面積は変化してもよいし、また、複数の横断面の図心は、横断面に直交する直線を成さなくてもよい。
また、例えば、図示の例に近い態様においては、直線的に延びているとは言えなくても、加圧面5bに直交する方向を流路方向として捉えたり、加圧面5bに平行な断面を横断面と捉えたりしてよい。例えば、第2供給流路15Bが第2加圧室17Bから共通流路11までの全体に亘って上述した投影面の6割以上又は8割以上を含んでいる場合、加圧面5bに直交する方向が流路方向として捉えられてよく、また、加圧面5bに平行な断面が横断面として捉えられてよい。以上に述べた態様以外においては、例えば、第2加圧室17Bと共通流路11とを最短で結ぶ仮想線(最短経路)を特定する。そして、当該仮想線に沿う方向が流路方向として捉えられ、仮想線に直交する断面が横断面として捉えられてよい。
第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値は、適宜に設定されてよい。図示の例では、既述の説明から理解されるように、第2供給流路15Bの横断面の最小値は、第2加圧室17Bの加圧面5bに平行な断面の面積と同等である。図示の例とは異なり、第2供給流路15Bの横断面の最小値は、第2加圧室17Bの加圧面5bに平行な断面の面積よりも小さくてもよい。例えば、第2供給流路15Bは、第2加圧室17Bの下面17aの一部にのみ開口してもよいし、第2加圧室17Bと共通流路11との間の位置において縮径されていてもよい。第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値は、例えば、第2加圧室17Bの加圧面5bに平行な断面の面積の半分以上、0.7以上又は0.8以上とされてよい。
これまでの説明でも触れているように、第2供給流路15Bは、その横断面の面積が第2加圧室17Bから共通流路11までの位置に応じて変化していてもよい。図示の例では、第2供給流路15Bは、共通流路11の上面11aから第2加圧室17Bの下面17aに近づくほど横断面(加圧面5bに平行な断面)の面積が小さくなる形状を有している。具体的には、第2供給流路15Bの、第2加圧室17Bとの接続部分の横断面の面積は、第2加圧室17Bの下面17aの面積と同一である。その直下の部分(プレート21Mによって構成されている部分)の横断面の面積は、平面視において、第2加圧室17Bの面積と、第1供給流路15Aにおける第3部位15c及び吐出流路19に相当する部分の面積との論理和となっている。共通流路11の上面11aに接する部分(プレート21K及び21Lによって構成されている部分)の横断面の面積は、平面視において、上記のプレート21Mにおける面積と、第1供給流路15Aにおける第1部位15a及び第2部位15bに相当する部分の面積との論理和になっている。図示の例からも明らかなように、第2加圧室17Bに近いほど横断面の面積が小さいという場合、第2供給流路15Bは、流路方向のいずれの位置においても縮径している必要は無く、流路方向の一部に横断面の面積が変化しない部分を含んでいても構わない。
第2供給流路15Bの流路方向における長さは、第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値の平方根よりも小さくされてもよい。横断面の断面積の平方根は横断面の幾何平均的な幅を表すため、第2供給流路15Bの長さが、第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値の平方根よりも小さいことは、第2供給流路15Bの長さが、第2供給流路15Bの幾何平均的な幅の最小値よりも小さいこと、すなわち、第2供給流路15Bが、流路の長さが流路の幅よりも小さいような形状を有していることを示す。また、その一方で、第1供給流路15Aの流路方向における長さは、第1供給流路15Aの横断面の面積の最小値の平方根よりも大きくされてもよい。以下に、このような態様における寸法の一例を挙げる。
第1供給流路15Aの長さは、例えば、第1供給流路15Aの中心線の長さとされてよく、例えば、400μmである。また、第1供給流路15Aの横断面の面積の最小値は、第2部位15bにおける横断面の面積であり、例えば、1800μm2(30μm×60μm)である。その平方根は、約42μmである。このように、第1供給流路15Aの長さは、第1供給流路15Aの横断面の面積の平方根に対して十分に長い(例えば5倍以上である。)。
図示の例において、第2供給流路15Bの横断面の面積(最小値は)、既述のように、加圧室17の加圧面5bに平行な断面の面積と同等である。例えば、加圧室17の面積は、例えば、444400μm2である。その平方根は、約667μmである。また、加圧室17の面積の半分(222200μm2)の平方根は、約471μmである。従って、例えば、仮に、第2供給流路15Bの長さが第1供給流路15Aの長さと同等だとしても、その長さは第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値(又はその半分)の平方根よりも小さい。さらに、図から理解されるように、第2供給流路15Bの長さは、第1供給流路15Aの最短経路の長さよりも短い。第2供給流路15Bの長さは、例えば、230μm以上430μm以下とされてよい。
以上のとおり、本実施形態では、液体吐出ヘッド2は、流路部材5と、複数の加圧部35とを有している。流路部材5は、吐出面5aと、その反対側に面する加圧面5bとを有している。複数の加圧部35は、流路部材5に対して加圧面5b側に位置している。流路部材5は、複数の個別流路13と、該複数の個別流路13が接続されている共通流路11と、を有している。複数の個別流路13は、1つ以上の第1個別流路13A及び1つ以上の第2個別流路13Bを含んでいる。第1個別流路13Aは、吐出面5aに開口している吐出口9と、第1加圧室17Aと、共通流路11と第1加圧室17Aとを繋いでいる第1供給流路15Aと、第1加圧室17Aと吐出口9とを繋いでいる吐出流路19と、を有しており、共通流路11から見て吐出面5aの外部へ通じている。第2個別流路13Bは、第2加圧室17Bと、共通流路11と第2加圧室17Bとを繋いでいる第2供給流路15Bと、を有しており、共通流路11から見て吐出面5aの外部に通じない行き止まりを構成している。複数の加圧部35は、第1加圧室17A内の液体を加圧する1つ以上の第1加圧部35Aと、第2加圧室17B内の液体を加圧する1つ以上の第2加圧部35Bと、を含んでいる。第1個別流路13A及び第2個別流路13Bは列(流路行25)を成すように配置されており、第2個別流路13Bは流路行25の端に位置している。第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値が第1供給流路15Aの横断面の面積の最小値よりも大きい。
流路行25において、第1吐出素子3A(第1加圧室17A及び第1加圧部35A)は、その両側の第1吐出素子3Aから構造的な影響を受ける。しかし、複数の第1吐出素子3Aのうち端に位置する第1吐出素子3Aは、一方側しか第1吐出素子3Aと隣り合っていないことから、周囲の第1吐出素子3Aから受ける影響が、他の第1吐出素子3Aと異なってしまう蓋然性が高い。しかし、そのような端に位置する第1吐出素子3Aにダミーの吐出素子3である第2吐出素子3Bが隣り合うことによって(流路行25の端に第2吐出素子3Bが設けられることによって)、複数の第1吐出素子3Aの特性を均一化することができる。
第2個別流路13Bは、共通流路11と接続されている第2加圧室17Bを有している。従って、第1加圧室17Aと同様に、液体が充填された状態で加圧部35からの力を受けることになる。その結果、第2吐出素子3Bによる第1吐出素子3Aと同様の影響の再現が容易化される。一方で、第2個別流路13Bは、共通流路11から見て行き止まりとなっていることから、液滴は吐出されず、これにより、第2吐出素子3Bは、ダミーの吐出素子3として機能する。
仮に、第2個別流路13Bが単に第1個別流路13Aにおいて吐出口9を無くした構成である場合、例えば、横断面の面積が小さくされる絞り(第1供給流路15Aの第2部位15b)の存在に起因して気泡が第2個別流路13B内に留まる蓋然性が高くなる。その結果、例えば、液体が第2加圧室17Bに十分に充填されない可能性が生じる。また、例えば、第2加圧室17Bに液体が留まる蓋然性が高くなる。留まった液体は、例えば、硬化してヘッド2の動作に不具合を生じることがある。
しかし、本実施形態では、第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値が第1個別流路13Aの横断面の面積の最小値(絞りにおける断面積)よりも大きくされている。従って、例えば、上記のように気泡及び/又は液体が第2加圧室17Bに留まる蓋然性を低減することができる。
また、本実施形態では、第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値は、第2加圧室17Bの加圧面5bに平行な断面の面積の半分以上とされてよい。
この場合、例えば、第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値が、第2加圧室17Bの加圧面5bに平行な断面の面積の半分未満の態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、共通流路11から第2加圧室17Bへ液体が流れやすくなる。その結果、上述の気泡及び/又は液体の滞留の蓋然性を低減できる効果が向上する。なお、第1供給流路15Aにおいては、通常、第2部位15bの横断面の面積を加圧室17の加圧面5bに平行な断面の面積の半分以上とすることはあり得ない。
また、本実施形態では、第2供給流路15Bは、共通流路11から第2加圧室17Bへ直線的に延びている。
この場合、例えば、第2供給流路15Bが屈曲している態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、第2供給流路15Bにおける流れの抵抗が低減され、共通流路11から第2加圧室17Bへ液体が流れやすくなる。その結果、上述の気泡及び/又は液体が第2加圧室17Bに留まる蓋然性を低減できる効果が向上する。気泡及び液体は、屈曲部において留まりやすいから、この観点においても、上述の効果が向上する。なお、第1供給流路15Aは、第1加圧室17Aと共通流路11との間における圧力波の伝搬を低減する観点等から、屈曲していることが多い。
また、本実施形態では、第2供給流路15Bの長さが、第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値の平方根よりも小さい。
この場合、例えば、第2供給流路15Bの長さが第2供給流路15Bの横断面の面積の最小値の平方根以上の態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、第2供給流路15Bにおける流れの抵抗が低減されやすい。その結果、上述の気泡及び/又は液体が第2加圧室17Bに留まる蓋然性を低減できる効果が向上する。
また、本実施形態では、第2供給流路15Bは、第2加圧室17Bに近い位置ほど横断面の面積が小さい。
例えば、共通流路11から第2加圧室17Bへ(すなわち上方へ)液体が流れる過程において、途中に断面積が広がる部分が存在すると(そのような部分が存在する態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)、その広がった部分に気泡及び/又は液体が留まりやすい。しかし、上記のように上方ほど面積が小さくなることによって、気泡及び/又は液体の滞留の蓋然性を低減することができる。
また、本実施形態では、第2供給流路15Bは、その流路方向の全体に亘って、第2加圧室17Bの共通流路11への投影面全体を含む横断面を有している。
この場合、例えば、第2加圧室17Bの下面17a内の全ての位置が共通流路11の上面11aと互いに並列に接続されているような状態となるから、共通流路11から第2加圧室17Bへの流れに関して特異点が生じ難い。例えば、特定の部位において流れの滞留が生じる蓋然性が低減される。その結果、上述した気泡及び/又は液体の滞留の蓋然性を低減する効果が向上する。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係るヘッド本体202aを示す断面図であり、第1実施形態の図9に対応している。図12(a)は、第2実施形態におけるプレート21Jの一部を示す平面図である。図12(b)は、第1実施形態におけるプレート21Jの一部を示す平面図である。
ヘッド本体202aは、反射板41を有している点のみが第1実施形態と相違する。反射板41は、共通流路11及び第2供給流路15Bの少なくとも一方の流路内に位置し、共通流路11と第2加圧室17Bとの連通を許容しつつ(完全に遮断することなく)、共通流路11の少なくとも一部と第2加圧室17Bとを隔てている(両者の間に位置している。)。このような反射板41は、例えば、第2加圧室17Bから共通流路11を介して第1加圧室17Aに伝搬する圧力波の低減に寄与する。
反射板41の位置、形状及び寸法等は適宜に設定されてよい。例えば、反射板41は、第2個別流路13BA及び13BBのいずれに対して設けられてもよい。また、反射板41は、第2供給流路15B及び共通流路11のいずれに位置してもよい。反射板41の、加圧面5bに直交する方向における位置も任意である。反射板41の面積は、第2加圧室17Bの面積よりも小さくてもよいし、同等でもよいし、広くてもよい。
図示の例では、反射板41は、第2個別流路13BA及び13BBそれぞれに対して設けられている。また、反射板41(例えばその上面)は、共通流路11の上面11a以下の高さに位置している。換言すれば、反射板41は、共通流路11内に位置している。反射板41(例えばその上面)は、共通流路11の高さの半分よりも上方に位置している。反射板41は、加圧面5bに直交する方向において第2加圧室17Bの全体に対向する広さを有している。換言すれば、反射板41は、第2加圧室17Bの共通流路11への投影面全体を含む外形を有している。より詳細には、例えば、反射板41は、第2加圧室17Bの平面視における形状(寸法含む)と同等の形状を有している。
図示の例とは異なり、第2供給流路15Bの流路方向が加圧面5bに直交する方向に対して傾斜している場合において、反射板41は、その流路方向に直交するように、加圧面5bに直交する方向に対して斜めに設けられてもよい。この場合、反射板41は、例えば、流路方向に見ると第2加圧室17Bの下面17a全体に重なっており、加圧面5bに直交する方向に見ると下面17a全体に重なっていないものとされてもよい。また、特に図示しないが、反射板41は、第2加圧室17Bに対向していなくてもよい。例えば、共通流路11内に吐出面5aに対して直交し、第2加圧室17Bから第1供給流路15Aへの圧力波を反射する反射板41が設けられてもよい。
反射板41は、例えば、複数のプレート21のいずれかによって構成されてよい。図示の例では、プレート21Jによって構成されている。図示の例とは異なり、1つの反射板41は、互いに隣り合う2以上のプレート21によって構成されていてもよい。また、互いに離れている2以上のプレート21によって2以上の反射板41が構成されていてもよい。また、反射板41は、ハーフエッチングによって、反射板41を含むプレート21の他の領域よりも薄くされていてもよい。また、既に触れたように、反射板41は、他の領域に対して傾斜するように他の領域との境界等において曲げられていてもよい。
また、反射板41は、図12(a)に示したように片持ち梁状に支持されるものに限定されず、両端が支持されるものであってもよい。例えば、図12(a)において共通流路11の幅方向両側に位置している2つの反射板41は、共通流路11を横断するように互いにつなげられていてもよい。
以上のとおり、本実施形態に係るヘッド本体202aは、反射板41を有している。反射板41は、共通流路11内に位置し、第2加圧室17Bと対向している。
この場合、例えば、既述のように、第2加圧室17Bから共通流路11を介して第1加圧室17Aに伝搬する圧力波を低減することができる。すなわち、第2供給流路15Bの横断面を大きくしたことに起因して、第2吐出素子3Bから第1吐出素子3Aへの意図されていない影響が大きくなる蓋然性を低減できる。
また、本実施形態では、反射板41は、第2加圧室17Bの共通流路11への投影面全体を含む外形を有している。
この場合、例えば、第2加圧室17B全体によって生成された圧力波を広い面積で反射させることができる。その結果、上記の意図されていない圧力波の伝搬が生じる蓋然性を低減する効果が向上する。
<第3実施形態>
図13は、第3実施形態に係る第2個別流路13Bの構成を示す斜視図であり、第1実施形態の図10に対応している。
この図に示されるように、第2個別流路13B(第2供給流路15B)は、第1個別流路13Aの第1供給流路15Aに相当する部分を含んでいなくてもよい。換言すれば、第2供給流路15Bの形状は、第1供給流路15Aの形状を拡張したものでなくてもよい。
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態に係る第2個別流路13Bの構成を示す斜視図であり、第1実施形態の図10に対応している。
この図に示されるように、第2個別流路13B(第2供給流路15B)は、第1個別流路13Aの吐出流路19に相当する部分を含んでいなくてもよい。別の観点では、閉塞されるのは、吐出口9ではなく、吐出流路19であってもよい。
また、第2個別流路13BAにおいて示されているように、第2供給流路15Bは、加圧面5bに直交する方向に対して傾斜する方向に延びていてもよい。図示の例では、第2供給流路15Bの内面は、プレート21の積層によって構成されていることに起因して段差を有している。このような段差が存在する場合も、第2供給流路15Bは、直線的に延びている、及び/又は第2加圧室17Bの投影面全体を含む横断面を有していると捉えられてよい。
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、流路部材は、液体を循環させるものであってもよい。具体的には、例えば、液体の供給用の共通流路(実施形態参照)とは別に液体の回収用の共通流路が設けられるとともに、第1個別流路のうち吐出流路と、回収用の共通流路とを接続する回収用の個別流路が設けられてもよい。この場合において、第2個別流路も回収用の共通流路と接続されてよい。第2個別流路に接続される回収用の個別流路は、第1個別流路に接続される回収用の個別流路に対して、同様の形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。後者としては、例えば、第2個別流路に接続される回収用の個別流路の横断面の面積の最小値が、第1個別流路に接続される回収用の個別流路の横断面の面積の最小値よりも大きい態様が挙げられる。
実施形態の説明でも触れたように、第2供給流路の形状は、種々可能であり、実施形態に示した以外の形状とされてもよい。例えば、第1実施形態において、第1個別流路13AA及び13AB、並びに第2個別流路13BA及び13BBのうち、第1個別流路13AB及び第2個別流路13BB(元々の幅の共通流路11に一部が重なる加圧室17を有する個別流路13)のみが設けられる場合、共通流路11が拡張されずに、共通流路11から第2加圧室17Bへ加圧面5bに直交する方向に直線的に延びる第2供給流路15Bが設けられてもよい。