JP2021130306A - 積層体、成形体及び成形体の製造方法 - Google Patents

積層体、成形体及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】被着体との高い密着強度を実現できる積層体を提供する。【解決手段】着色剤を含む第1の樹脂層と、接着性を有する第2の樹脂層と、を含む積層体であって、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波のうちいずれかの透過率が10%以上である、積層体。【選択図】なし

Description

本発明は、積層体、成形体及び成形体の製造方法に関する。
自動車や家電、建材、日用品、情報通信機器等様々な分野において、外観の意匠性を向上させる方法として塗装が用いられている。しかしながら、塗装は大量の揮発性有機化合物(VOC)を排出するため、環境負荷が大きい。さらに、塗装ブースの温度・湿度コントロールや焼き付け工程では多量のエネルギーを消費し、大量の二酸化炭素を排出する。特に自動車の生産においては、排出される二酸化炭素のうち塗装工程で排出されるものが2割を占めるため、環境負荷を低減すべく塗装の代替手段が積極的に開発されている。
代替手段として、所望の色や意匠を予め付与したいわゆる加飾シートを用いて対象物品を装飾する方法がある。当該方法としては、加飾シートを用いた被覆成形法やインサート成形法が広く使用され、これらの工法では、通常、加飾シートを赤外線ヒーターで加熱しつつ、真空、圧空又は真空圧空によってシートを附形して被着体との一体化を行う。
一方で、特許文献1には、カーボンブラックによって着色された着色基層を有する化粧シートが開示されている。
特開平10−138698号
しかしながら、従来の加飾シート、特に着色剤を含む加飾シートでは、被着体との十分な密着強度が得られないという課題があった。例えば、特許文献1のようなカーボンブラックを含む化粧シートに接着層を設け、これを加飾シートとして用いようとすると、被着体との密着強度が得られにくい。本発明の目的は、被着体との高い密着強度を実現できる積層体を提供することである。
本発明者らは、従来の加飾シートの問題点について以下のように考察した。即ち、上述したように、被覆成形法やインサート成形法では赤外線ヒーターによって加飾シートを加熱する工程が含まれるが、設備上又は工程上の制約により、加飾シートの接着層側から赤外線を照射することが困難な場合がある。特に、被覆成形法では真空チャンバー中に被覆体が存在するため、構造上、加飾シートの接着層側を加熱することはできない。よって、接着層と反対側の面に赤外線を照射して加飾シートを加熱することとなるが、このような場合に特に被着体との密着強度が得られにくい。その原因として、本発明者らは、赤外線が加飾シートの積層構造で吸収されてしまい接着層まで十分に届かず、接着層の接着機能が十分に発揮されていないためと考察した。特に加飾シート中の着色層(意匠層)の影響が大きく、特定の着色剤が含まれている場合には当該着色剤によって赤外線の大部分が吸収されてしまうと考えられる。
本発明者らは、上記知見に基づき、着色剤を含む加飾シート(積層体)であっても、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波(赤外線)に関して積層構造全体の透過率を高めることによって、接着層に十分な赤外線を到達させることが可能となり、結果として被着体との密着強度を向上できることを見出し、本発明を完成した。
本発明によれば、以下の積層体等が提供される。
1.着色剤を含む第1の樹脂層と、接着性を有する第2の樹脂層と、を含む積層体であって、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波のうちいずれかの透過率が10%以上である、積層体。
2.前記着色剤が顔料である、1に記載の積層体。
3.前記着色剤がFeを含む、1又は2に記載の積層体。
4.前記着色剤が、Ca及びFeからなる群から選ばれる1以上の元素と、Mg、Mn及びZnからなる群から選ばれる1以上の元素と、を含む、1又は2に記載の積層体。
5.前記第1の樹脂層におけるカーボンブラックの含有量が、該第1の樹脂層の総量に対して0.5質量%以下である、1〜4のいずれかに記載の積層体。
6.前記第2の樹脂層が、融点125℃以下の接着剤を含む、1〜5のいずれかに記載の積層体。
7.さらに、熱可塑性樹脂を含有する第3の樹脂層を含み、
前記第3の樹脂層、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層をこの順で含む、1〜6のいずれかに記載の積層体。
8.前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層及び前記第3の樹脂層からなる群から選択される1以上の樹脂層がポリオレフィンを含む、7に記載の積層体。
9.前記ポリオレフィンがポリプロピレンを含む、8に記載の積層体。
10.前記ポリプロピレンの130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である、9に記載の積層体。
11.前記ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率が80モル%以上99モル%以下である、9又は10に記載の積層体。
12.前記ポリプロピレンが造核剤を含まない、9〜11のいずれかに記載の積層体。
13.前記積層体の一部又は全面に易接着層を含み、前記易接着層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステルからなる群から選択される1以上の樹脂を含む、1〜12のいずれかに記載の積層体。
14.1〜13のいずれかに記載の積層体を用いて製造された成形体。
15.1〜13のいずれかに記載の積層体を成形することを含む、成形体の製造方法。
16.前記積層体を金型に合致するよう賦形し、前記賦形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して前記賦形した積層体と一体化して前記成形を行う、15に記載の成形体の製造方法。
17.チャンバーボックス内に芯材を配設し、前記芯材の上方に前記積層体を配置し、前記積層体を加熱軟化し、前記チャンバーボックス内を減圧して前記加熱軟化させた積層体を前記芯材に押圧して被覆させる、15に記載の成形体の製造方法。
18.前記積層体における前記第2の樹脂層の反対側から該積層体に赤外線を照射することを含む、15に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、被着体との高い密着強度を実現できる積層体が提供できる。
実施例において樹脂シートの製造に用いた装置の概略図である。
(積層体)
本発明の一態様に係る積層体(加飾シート)は、着色剤を含む第1の樹脂層と、接着性を有する第2の樹脂層と、を含む。また、かかる積層体は、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波のうちいずれかの透過率が10%以上である。
かかる積層体は、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波(赤外線)の透過性能が高いことにより、成形工程において赤外線を第2の樹脂層に十分に到達させることができるため、積層体と被着体との密着強度の高い成形体の提供が可能となる。
(透過率)
積層体は、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波のうちいずれか、即ち波長2.5μm〜7.0μmの領域における透過率の最大値が10%以上であり、例えば、15%以上、20%以上又は30%以上であり得る。透過率の最大値の上限は格別限定されず、例えば、100%以下、80%以下又は60%以下であり得る。
透過率の最大値は実施例に記載の方法によって測定する。
(第1の樹脂層:着色剤)
第1の樹脂層は着色剤を含む着色層(意匠層)である。積層体が上述した透過率の条件を満たすように、第1の樹脂層に用いる着色剤の種類を選定し、また着色剤の含有量を適宜調整することができる。
着色剤は格別限定されず、積層体が上述した透過率の条件を満たす範囲で第1の樹脂層に含有されればよい。着色剤として、例えば、顔料、染料等が挙げられる。
着色剤は顔料であることが好ましい。顔料として、例えば、黒色アゾ顔料、ペリレン系黒色顔料等が挙げられる。これらの顔料は、積層体の赤外線透過性能を損いにくいため、好適に用いることができる。なお、これらの顔料以外の顔料(例えば後述するカーボンブラック等)であっても、積層体が上述した透過率の条件を満たす範囲で使用できる。
着色剤はFeを含むことが好ましい。Feを含む着色剤は、Feを含む顔料であってもよいし、Feを含む染料であってもよい。着色剤がFeを含むことによって、積層体の赤外線透過性能が損なわれにくくなる。
着色剤は、Ca及びFeからなる群から選ばれる1以上の元素と、Mg、Mn及びZnからなる群から選ばれる1以上の元素と、を含むことが好ましい。そのような着色剤は、顔料であり得る(以下、かかる顔料を「顔料X」とも称する。)。
顔料Xは、黒色を呈するが、カーボンブラックに比べて赤外線を吸収し難いため、積層体が上述した透過率の条件を好適に満たすことができる。
一実施形態において、顔料Xは、Ca及びFeからなる群から選ばれる1以上の元素を含有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnからなる群から選ばれる1以上の元素が、例えば0.05モル%以上5モル%以下の範囲で、固溶された固溶体であり得る。複合酸化物の成分組成は格別限定されず、例えば、CaFe、CaFe等で表されるカルシウムフェライト等が挙げられ、CaFeで表される化合物が好ましい。そのような顔料Xは、複合酸化物の格子点にある溶媒原子(Ca、Fe)が溶質原子(Mg、Mn、Zn)と置換した置換型固溶体であってもよいし、複合酸化物の格子間隙に溶質原子が入った侵入型固溶体であってもよい。固溶体であることは、顔料のX線回折において複合酸化物以外の別相のピークが現れないことをもって確認できる。そのような顔料Xは、例えば、特開2009−215384号公報に記載の方法によって製造できる。
一実施形態において、顔料Xは、Ca、Mn及びTiの複合酸化物を含む。そのような顔料Xもまた、黒色を呈するが、カーボンブラックに比べて赤外線を吸収し難いため、積層体が上述した透過率の条件を好適に満たすことができる。そのような顔料Xとしては、例えば、石原産業株式会社製「タイペークブラックSG−103」等として市販されているものを用いることができる。
以上に説明した顔料Xは、さらに酸化アルミニウム等のような他の成分を含んでもよい。
染料としては、例えば、黒色アゾ系染料、黒色キノン系染料等が挙げられる。
第1の樹脂層は、積層体が上述した透過率の条件を満たす範囲で、カーボンブラックを含んでもよいし、含まなくてもよい。第1の樹脂層がカーボンブラックを含む場合は、第1の樹脂層の総量に対して0.5質量%以下であることが好ましい。
特に、自動車の内装及び外装等の分野で広く求められる黒色の意匠では、従来、赤外線を吸収し易いカーボンブラックが多用されているが、これを積層体の第1の樹脂層に含有させた場合は上記の密着強度不足の問題が生じ易い。そのため、第1の樹脂層又は積層体全体において、カーボンブラックの含有量を積層体が上述した透過率の条件を満たす範囲に抑えることが好ましい。
以上に説明した着色剤は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(第1の樹脂層:その他の成分)
第1の樹脂層に含まれる樹脂は、例えば、上述した着色剤のバインダー等として機能し得る。あるいは、第1の樹脂層に含まれる樹脂は、着色剤のマスターバッチに由来し得る。
第1の樹脂層が含み得る樹脂は格別限定されず、例えば、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテル、ポリエステル、液晶ポリマー、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等が挙げられる。これらの樹脂の中で、透明性や耐久性から、ポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリル樹脂が好ましい。この中でも、耐薬品性、耐久性及び成形性の観点からポリオレフィンがより好ましい。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ポリオレフィン等を用いることができる。この中でも、耐薬品性、耐久性及び成形性の観点からポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレンは、少なくともプロピレンを含む重合体である。具体的には、ホモポリプロピレン、プロピレンとオレフィンとの共重合体等が挙げられる。特に、耐熱性、硬度の理由からホモポリプロピレンが好ましい。
共重合体としては、ブロック共重合体でも、ランダム共重合体でもよく、これらの混合物でもよい。オレフィンとしては、エチレン、ブチレン、シクロオレフィン等が挙げられる。
ポリプロピレンは、アイソタクチックペンタッド分率が80モル%以上99モル%以下であることが好ましい。かかるアイソタクチックペンタッド分率は、80モル%以上98モル%以下、86モル%以上98モル%以下又は91モル%以上98モル%以下であり得る。
アイソタクチックペンタッド分率が80モル%以上であることによって、樹脂シートの剛性が向上する。一方、アイソタクチックペンタッド分率が99モル%以下であることによって、樹脂シートの透明性が向上する。
アイソタクチックペンタッド分率とは、樹脂組成の分子鎖中のペンタッド単位(プロピレンモノマーが5個連続してアイソタクチック結合したもの)でのアイソタクチック分率である。
アイソタクチックペンタッド分率は実施例に記載の方法で測定する。
ポリプロピレンは、130℃での結晶化速度が2.5min−1以下であることが、成形性の観点から好ましい。
ポリプロピレンの結晶化速度は、2.5min−1以下が好ましく、2.0min−1以下がより好ましい。
結晶化速度は実施例に記載の方法で測定する。
ポリプロピレンの結晶構造としては、スメチカ晶を含むことが好ましい。スメチカ晶は、準安定状態の中間相であり、一つ一つのドメインサイズが小さいため、透明性に優れるため、好ましい。また、準安定状態であるため、結晶化が進んだα晶と比較して、低い熱量でシートが軟化するため、成形性に優れるため、好ましい。
ポリプロピレンの結晶構造には、他に、β晶、γ晶、非晶部等他の結晶形が含まれてもよい。
樹脂シート中のポリプロピレンの30質量%以上、50質量%以上、70質量%以上、85質量%以上、又は90質量%以上が、スメチカ晶でもよい。
樹脂シート中のスメチカ晶の有無は下記の方法によって確認できる。
樹脂シート中のポリプロピレンの結晶構造を、X線発生装置(株式会社リガク製「model ultra X 18HB」)を用いて、広角X線の散乱パターンを下記測定条件で測定し、同定する。その結果、ピーク分離してもスメチカ晶型のピークが見られれば、得られた樹脂シート中にスメチカ晶が存在することを確認できる。
(測定条件)
・光源波長:300mAのCuKα線(波長=1.54Å)の単色光
・線源出力 電圧/電流:50kV/250mA
・照射時間:60分
・カメラ長:1.085m
・試料厚み:1.5〜2.0mmになるようにシートを重ねる。製膜(MD)方向が揃うようにシートを重ねる。
なお、測定時間を短縮するため、1.5〜2.0mmになるようにシートを重ねているが、測定時間を長くすれば、シートを重ねずに1枚でも測定可能である。
以上に説明したポリプロピレン等のポリオレフィンは、造核剤を含まないことが好ましい。なお、ポリオレフィンが造核剤を含まないというのは、当該ポリオレフィンを含む層(例えば第1の樹脂層)が造核剤を含まないことであるということができる。造核剤を含む場合、その含有量は少量であることが好ましく、例えば、当該ポリオレフィンを含む層の1.0質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下である。
造核剤としては、例えば、ソルビトール系結晶核剤等が挙げられ、市販品としてはゲルオールMD(新日本理化学株式会社)やリケマスターFC−1(理研ビタミン株式会社)等が挙げられる。
ポリプロピレンは、好ましくは示差走査熱量測定曲線において最大吸熱ピークの低温側に1.0J/g以上(より好ましくは1.5J/g以上)の発熱ピークを有する。上限値は特に限定されないが、通常10J/g以下である。
発熱ピークは、示差走査熱量測定器を用いて測定する。
環状ポリオレフィンは、環状オレフィンに由来する構造単位を含む重合体であり、エチレンとの共重合体(環状ポリオレフィン共重合体)であってもよい。
ポリオレフィンには、必要に応じて、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤等の添加剤を配合してもよい。
また、ポリオレフィンを、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、アクリル酸、メタクリル酸、テトラヒドロフタル酸、グリシジルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタクリレート等の変性用化合物で変性して得られる変性ポリオレフィン樹脂を配合してもよい。
一実施形態において、第1の樹脂層の厚みは、5μm以上、10μm以上又は20μm以上であり得、また、3000μm以下、2000μm以下又は500μm以下であり得る。
(第2の樹脂層)
第2の樹脂層は接着性を有し、積層体を被着体に接着するための接着層として用いることができる。一実施形態において、接着層は、積層体における積層方向の一端側(最外層)に配置され、積層体の一表面を構成し得る。
一実施形態において、接着層は、赤外線の照射によって、被着体に接着可能な状態に変化する。接着層が樹脂を含む場合、該樹脂が赤外線の照射によって加熱、軟化又は溶融されて、被着体に接着可能な状態に変化し得る。
第2の樹脂層に含まれる樹脂としては、該第2の樹脂層に接着性を付与できるものが好適であり、例えば、融点125℃以下の樹脂(接着剤)を用いることが好ましい。
融点125℃以下の接着剤は格別限定されず、例えば、オレフィン系接着剤、スチレン系接着剤、イソシアネート系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤等が挙げられる。オレフィン系接着剤としては、例えば、融点125℃以下の低融点ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
第2の樹脂層は、接着層であり得る。この場合、第2の樹脂層は、上述した融点125℃以下の接着剤(「接着成分」ともいう。)を含むことによって、125℃以下の温度(かつ融点以上の温度)で、任意の被着体に対する接着性を発揮し得る。
一実施形態において、第2の樹脂層は、積層体を被着体に接着するために用いられる。この場合、被着体の材質は格別限定されず、例えば樹脂等が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリプロピレンやABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)が挙げられる。特に被着体がポリプロピレン系樹脂製である場合は、第2の樹脂層が融点125℃以下のオレフィン系接着剤を含むことによって、密着強度が高くなるため好ましい。
積層体を第2の樹脂層によって被着体に接着した場合、第2の樹脂層と被着体との剥離、及び、第2の樹脂層と第2の樹脂層との剥離が実用上発生しないことが好ましい。具体的には、積層体と被着体との180°剥離試験における剥離強度、又は、該180°剥離試験において積層体が破断する破断強度が、18N/15mm以上であることが好ましい。積層体と被着体の180°剥離試験は、実施例に記載の方法により行う。
第2の樹脂層に含まれる接着剤の融点は、例えば、125℃以下、120℃以下、115℃以下、113℃以下、110℃以下、108℃以下、105℃以下、103℃以下又は100℃以下であり得る。下限は格別限定されず、例えば、80℃以上であり得る。
第2の樹脂層に含まれる接着剤の融解エンタルピー(ΔH)は、80J/g以下が好ましい。ΔHが80J/g以下であると、接着原料を融解させるために必要な熱量が小さいため、比較的温度上昇が小さい(発生熱量が小さい)被覆成形等の成形方法においても優れた密着強度を発揮でき好ましい。接着剤の溶融エンタルピー(ΔH)は、例えば、70J/g以下、60J/g以下、50J/g以下、40J/g以下、30J/g以下であり得る。下限は格別限定されず、例えば5J/g以上であり得る。
接着剤の融解エンタルピー(ΔH)は、実施例に記載の方法により測定する。
接着層には、上述した接着剤以外の他の成分を含めてもよい。他の成分としては、例えば、石油樹脂等のような粘着付与剤や、可塑剤等が挙げられる。
第2の樹脂層は、接着剤(例えば融点125℃以下の接着剤)のみからなってもよいし、実質的に接着剤(例えば融点125℃以下の接着剤)のみからなってもよい。後者の場合、第2の樹脂層は不可避不純物を含んでもよい。
第2の樹脂層は、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%が、
接着剤(例えば融点125℃以下の接着剤)、又は
接着剤(例えば融点125℃以下の接着剤)、並びに、上記の各任意成分から選択される1以上の成分
であってもよい。
一実施形態において、第2の樹脂層の厚みは、5μm以上、10μm以上又は30μm以上であり得、また、1000μm以下、500μm以下又は100μm以下であり得る。
(その他の層)
積層体は、少なくとも第1の樹脂層及び第2の樹脂層の2層を含み、その他の層をさらに含むことができる。その他の層としては、例えば、クリア層(第3の樹脂層)や易接着層等が挙げられる。
(第3の樹脂層)
第3の樹脂層は、透光性を有するクリア層として設けることができる。第3の樹脂層は、第1の樹脂層における第2の樹脂層の反対側に積層することができる。
一実施形態において、積層体は、第3の樹脂層、第1の樹脂層及び第2の樹脂層がこの順に積層された3層構成である。
第2の樹脂層上に第3の樹脂層を積層することによって、第2の樹脂層を保護でき、また、意匠に深みを出すことができる。
第3の樹脂層は、樹脂を含むことができる。第3の樹脂層に含まれ得る樹脂としては、第1の樹脂層に関して説明したものを用いることができる。
一実施形態において、第3の樹脂層の厚みは、5μm以上、20μm以上又は50μm以上であり得、また、2000μm以下、1000μm以下又は300μm以下であり得る。
以上に説明した本発明の積層体を構成する各層の形成方法としては、押出法等が挙げられる。
冷却は、好ましくは80℃/秒以上で行い、積層体がポリオレフィンを含有する場合は当該ポリオレフィンを含有する層の内部温度が結晶化温度以下となるまで行うことができる。これにより、ポリオレフィン(特にポリプロピレン)の結晶構造を、上述のスメチカ晶とすることができる。冷却は、90℃/秒以上がより好ましく、150℃/秒以上がさらに好ましい。
(易接着層)
易接着層は、好ましくはウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。易接着層は、例えば、積層体の接着層側の面又はその反対面、及びこれらの両面に設けることができる。易接着層は一部に設けてもよいし、全部(全面)に設けてもよい。
ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択される1種以上を含む易接着層を設けることで、積層体が複雑な非平面状に成形された場合であっても、易接着層が積層体に追従して良好に層構成を形成でき、ひび割れや剥離が生じる不都合を防止することができる。
易接着層が含むウレタン系樹脂は、ジイソシアネート、高分子量ポリオール及び鎖延長剤を反応させて得られるウレタン系樹脂が好ましい。高分子量ポリオールは、ポリエーテルポリオール又はポリカーボネートポリオールとしてもよい。ウレタン系樹脂の市販品としては、ハイドランWLS−202(DIC株式会社製)等が挙げられる。
アクリル系樹脂としては、アクリット8UA−366(大成ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、アローベースDA−1010(ユニチカ株式会社製)等が挙げられる。
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。
易接着層は、上述した材料を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
易接着層が含むウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂のうち、後述する金属層及び印刷層への密着性や成形性を考慮すると、ウレタン系樹脂が好ましい。
易接着層の、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、99質量%以上、99.5質量%以上、99.9質量%以上又は100質量%が、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択される1以上の樹脂からなってもよい。例えば易接着層は、ウレタン樹脂のみからなる層でもよい。
易接着層のガラス転移温度は、−100℃以上100℃以下が好ましい。ガラス転移温度が−100℃以上であると、易接着層の歪みが後述する金属層や印刷層の追従性を超えないため、長期間使用してもひび割れによる不良が発生しない。ガラス転移温度が100℃以下であると、軟化温度が適度であるため予備賦形時の伸びが良好であり、延伸部の伸びムラや金属層、印刷層のひび割れを抑制することができる。
易接着層のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(パーキンエルマージャパン株式会社製「DSC−7」)により、以下の条件で示差走査熱分析曲線を測定することで求めることができる。
測定開始温度:−90℃
測定終了温度:220℃
昇温温度:10℃/分
易接着層の引張破断伸度は、例えば150%以上900%以下であり、好ましくは200%以上850%であり、より好ましくは300%以上750%以下である。
易接着層の引張破断伸度が150%以上であると、熱成形の際の樹脂シートの伸びに易接着層が問題なく追従できるため、易接着層のひび割れ、及び金属層や印刷層のひび割れや剥離を抑制することができる。引張破断伸度が900%以下であると耐水性が良好である。
易接着層の引張破断伸度は、例えば、ガラス基板上に、易接着層となる樹脂(例えばウレタン樹脂)をバーコーターにて塗布し、80℃にて1分間乾燥し、その後分離して厚み150μmの試料を作成し、JIS K7311:1995に準拠した方法で測定することにより評価できる。
易接着層の軟化温度は、例えば50℃以上180℃以下であり、好ましくは90℃以上170℃以下であり、より好ましくは100℃以上165℃以下である。
軟化温度が50℃以上であると、易接着層は常温での強度に優れ、金属層や印刷層のひび割れや剥離を抑制することができる。軟化温度が180℃以下であると、熱成形時に易接着層が十分軟化するため、易接着層のひび割れ、及び金属層や印刷層のひび割れや剥離を抑制することができる。
易接着層の軟化温度は、例えば、ガラス基板上に、易接着層となる樹脂(例えばウレタン樹脂)をバーコーターにて塗布し、80℃にて1分間乾燥し、その後分離して厚み150μmの試料を作成し、易接着層の軟化温度を高化式フローテスター(島津製作所社製「定試験力押出形細管式レオメータフローテスター CFT−500EX」)による流動開始温度を測定することにより評価できる。
易接着層は、1層単独でもよく、又は、2層以上の積層構造でもよい。
易接着層の厚さは、35nm以上3000nm以下としてもよく、50nm以上2000nm以下としてもよく、50nm以上1000nm以下としてもよい。
易接着層は、例えば、上述した樹脂をグラビアコーター、キスコーター又はバーコーター等で塗布し、40〜100℃にて10秒〜10分間乾燥することで形成することができる。
易接着層の上には、インキやハードコート、反射防止コート、遮熱コート等の各種コーティングを積層できる。
また、積層体の、上記の易接着層(第1の易接着層)と反対側の面に易接着層をもう1層設けてもよい(第2の易接着層)。このようにすることで、成形体の表面となる第1の樹脂層又は第3の樹脂層に、表面処理やハードコーティング等の機能性を付与することができる。
(成形体)
本発明の一態様に係る成形体は、上述した本発明の一態様に係る積層体を用いて製造された成形体である。成形体は、積層体と被着体とを含むことができる。そのような成形体において、被着体は、積層体の接着層上に接着されていることが好ましい。
(成形体の製造方法)
本発明の一態様に係る成形体の製造方法は、上述した本発明の一態様に係る積層体を成形することを含む。
一実施形態において、成形体の製造方法は、積層体に赤外線を照射することを含む。このとき、積層体における接着層の反対側から該積層体に赤外線を照射することができる。そのような赤外線の照射によって積層体の接着層が加熱され得る。赤外線の照射は、積層体の賦形前、賦形中及び賦形後からなる群から選択される1以上において行うことができる。赤外線の照射には、赤外線ヒーターを用いることができる。
積層体の接着層は、加熱された状態で被着体に接合され得る。
成形体において、被着体は成形体本体を構成し得る。成形体において、積層体は、成形体本体の表面の少なくとも一部を被覆する被覆層であり得る。
成形体の製造方法における成形方法としては、例えば、インサート成形、被覆成形等が挙げられる。
(インサート成形)
インサート成形は、積層体を金型に合致するよう賦形すること、及び、成形用樹脂を前記賦形された積層体上に供給することで、前記成形用樹脂と前記積層体とを一体化させることを含む。ここで、成形用樹脂は、積層体上で冷却され、固化され、上述した被着体になり得る。
かかる成形体の製造方法(インサート成形法)では、金型内に設置する賦形体(積層体)を予備賦形しておき、その形状に合わせて成形用樹脂を充填することで、成形体を得ることができる。
金型に合致するように行う賦形(予備賦形)は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、プレス成形、プラグアシスト成形等で行うことができる。賦形に際して、予め積層体を加熱することができる。積層体を加熱する方法は、積層体に赤外線を照射することを含むことが好ましい。このとき、積層体における接着層の反対側から該積層体に赤外線を照射することができる。
以上の説明において、成形用樹脂には、成形可能な熱可塑性樹脂を用いることができる。具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、アセチレン−スチレン−ブタジエン共重合体、アクリル重合体等が例示できるが、この限りではない。ファイバーやタルク等の無機フィラーを添加してもよい。
成形用樹脂の供給は、射出で行うことが好ましく、圧力5MPa以上120MPa以下が好ましい。金型温度は20℃以上90℃以下であることが好ましい。
(被覆成形)
被覆成形では、チャンバーボックス内に芯材(被着体)を配設し、芯材の上方に、積層体を配置し、チャンバーボックス内を減圧し、積層体を加熱軟化し、芯材の上面に、積層体を接触し、加熱軟化させた積層体を芯材に押圧して被覆させることができる。
加熱軟化後、芯材の上面に積層体を接触させてもよい。押圧は、チャンバーボックス内において、積層体の芯材と接する側を減圧したまま、積層体の芯材の反対側を加圧して行うことができる。
芯材は、凸状でも凹状であってもよく、例えば三次元曲面を有する樹脂、金属、セラミック等が挙げられる。樹脂は、上述の成形に用いる樹脂と同様のものが挙げられる。
上記方法として、具体的には、互いに分離可能な上下2つの成形室から構成されるチャンバーボックスを用いることができる。
まず、下成形室内のテーブル上へ芯材を載せ、セットする。被成形物である本発明の一態様による積層体を下成形室上面にクランプで固定する。この際、上・下成形室内は大気圧である。
次に上成形室を降下させ、上・下成形室を接合させ、チャンバーボックス内を閉塞状態にする。上・下成形室内の両方を大気圧状態から、真空タンクによって真空吸引状態とする。
上・下成形室内を真空吸引状態にした後、赤外線ヒーターを点けて積層体の加熱を行なう。赤外線ヒーターは、積層体における接着層の反対側に配置される。次に上・下成形室内は真空状態のまま下成形室内のテーブルを上昇させる。
次に、上成形室内の真空を開放し大気圧を入れることによって、被成形物である本発明の一態様による積層体は芯材へ押し付けられてオーバーレイ(成形)される。尚、上成形室内に圧縮空気を供給することで、より大きな力で被成形物である本発明の一態様による積層体を芯材へ密着させることも可能である。
オーバーレイが完了した後、赤外線ヒーターを消灯し、下成形室内の真空も開放して大気圧状態へ戻し、上成形室を上昇させ、加飾印刷された積層体が表皮材として被覆された製品を取り出す。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されない。
実施例1
(1)実施例及び比較例で使用した材料
・PP−1:日本ポリプロ株式会社製「ノバテックFTX0983」(ホモポリプロピレン、MFR=6g/10分)
・PP−2:日本ポリプロ株式会社製の低融点ポリプロピレン(MFR:6g/10分、融点(Tm):118℃)
・PP−3:株式会社プライムポリマー製「プライムポリプロF133A」(ホモポリプロピレン、MFR=2.8g/10分)
・着色剤−1:大日精化工業株式会社製「PP−RM 18C9324 BK」(黒色顔料マスターバッチ)
着色剤−1の概要は以下の通りである。
黒色顔料:石原産業株式会社製「タイペークブラックSG−103」
黒色顔料の組成:カルシウム、マンガン及びチタンの複合酸化物と、酸化アルミニウムとを含む
黒色顔料マスターバッチ中の黒色顔料の含有量:20質量%
黒色顔料マスターバッチの残部:ホモポリプロピレン
・着色剤−2:東京インキ株式会社製「PPM91291 BLACK AL#315」(カーボンブラックマスターバッチ、カーボンブラック含有量30質量%、カーボンブラックマスターバッチの残部はホモポリプロピレン)
(2)積層体の製造
図1に示す製造装置を用い、クリア層(第3の樹脂層、厚さ90μm)/着色層(第1の樹脂層、厚さ160μm)/接着層(第2の樹脂層、厚さ50μm)の3層からなる積層体を共押出し法により製造した。
当該装置の動作を説明する。押出機のTダイ52より共押出しされた溶融樹脂(積層体の3層を形成するための3つの樹脂組成物)を第1冷却ロール53上で金属製エンドレスベルト57と第4冷却ロール56との間に挟み込む。この状態で、溶融樹脂を第1、第4冷却ロール53、56で圧接するとともに急冷する。
積層体は、続いて、第4冷却ロール56の略下半周に対応する円弧部分で第4冷却ロール56により面状圧接及び冷却された後、金属製エンドレスベルト57に密着した積層体は、金属製エンドレスベルト57の回動とともに第2冷却ロール54上に移動される。樹脂シートは、前述同様、第2冷却ロール54の略上半周に対応する円弧部分で金属製エンドレスベルト57により面状圧接され、再び冷却される。第2冷却ロール54上で冷却された樹脂シート51は、その後、金属製エンドレスベルト57から剥離される。なお、第1、第2冷却ロール53、54の表面には、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)製の弾性材62が被覆されている。また、第3冷却ロール55は、金属製エンドレスベルト57を下部で支えて回転する機能を果たしている。
樹脂シートの製造条件は以下の通りである。
[製造条件]
・クリア層:表1に示す樹脂
・着色層:表1に示す樹脂及び着色剤
・接着層:表1に示す樹脂
・クリア層の押出機の直径:65mm
・着色層の押出機の直径:75mm
・接着層の押出機の直径:50mm
・Tダイの幅:900mm
・積層体の引取速度:6m/分
・冷却ロール及び金属製エンドレスベルトの表面温度:20℃
・冷却速度:10,800℃/分(180℃/秒)
なお、実施例1並びに後述する実施例2、3及び比較例1において、積層体を構成するいずれの層にも造核剤を添加していない。
得られた積層体について以下の評価を行った。結果を表1に示す。
(3)結晶化速度
示差走査熱量測定器(DSC)(パーキンエルマー社製「Diamond DSC」)を用いて、積層体に用いたポリプロピレンの結晶化速度を測定した。具体的には、ポリプロピレンを80℃/分にて50℃から230℃に昇温し、230℃にて5分間保持し、80℃/分で230℃から130℃に冷却し、その後130℃に保持して結晶化を行った。130℃になった時点から熱量変化について測定を開始し、DSC曲線を得た。得られたDSC曲線から、以下の手順(i)〜(iv)により結晶化速度を求めた。なお、DSCの測定サンプル(ポリプロピレン)としては、積層体を形成する前の原料をサンプルとして用いてもよいし、積層体から切り出されたサンプルを用いてもよい。これらのサンプルは、上記「230℃にて5分間保持」する段階を経ることによって結晶状態がリセットされるため、実質的に同一の結晶化速度を示す。
(i)測定開始からピークトップまでの時間の10倍の時点から、20倍の時点までの熱量変化を直線で近似したものをベースラインとした。
(ii)ピークの変曲点における傾きを有する接線とベースラインとの交点を求め、結晶化開始及び終了時間を求めた。
(iii)得られた結晶化開始時間から、ピークトップまでの時間を結晶化時間として測定した。
(iv)得られた結晶化時間の逆数から、結晶化速度を求めた。
(4)アイソタクチックペンタッド分率の測定
積層体に用いたポリプロピレンについて13C−NMRスペクトルを評価することでアイソタクチックペンタッド分率を測定した。具体的には、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案されたピークの帰属に従い、下記の条件にて行った。
(測定方法・条件)
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
(計算式)
アイソタクチックペンタッド分率[mmmm]=m/S×100
ラセミペンタッド分率[rrrr]=γ/S×100
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
(5)接着剤の融点、融解エンタルピー測定
第2の樹脂層に用いられる樹脂(接着剤)の融点を、JIS K7121:2012(転移温度測定方法)に準拠して決定した。第2の樹脂層に用いられる接着剤の融解エンタルピーを、JIS K7122(転移熱測定方法)に記載の方法に準拠して決定した。
(6)電磁波透過率
得られた積層体について、赤外分光光度計(日本分光株式会社製「FT/IR−6100 typeA」)を用いて、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波(赤外線)の透過率を測定し、最大値を求めた。測定に際しては、電磁波入射側に積層体のクリア層側が面し、受光側に接着層側が面するように積層体を配置した。測定する積層体の固定には、スリットタイプのホルダーを使用した。
(7)接着層の表面温度
被覆成形機(布施真空株式会社製「NGF−0611−S」)の赤外線ヒーターを用いて、積層体をクリア層側から加熱した。積層体の接着層側にK型熱電対を貼り付け、接着層の表面温度を温度測定装置(株式会社マルコム製「リフローチェッカーRCX−1」)にて測定した。クリア層表面の温度が約150℃(成形に適した温度)に到達した時の接着層表面の温度を接着層表面温度として記録した。
実施例1では下記の加熱条件で積層体のクリア層表面の温度が153℃になるように加熱した。尚、加熱速度及び約150℃(成形に適した温度)に到達するまでの加熱時間は積層体の構成に応じて異なり得る。
<加熱条件>
・ヒーター:中波長赤外線ヒーター(0.5〜5μm領域:ヘレウス社製)
・加熱速度:1.17℃/秒(23℃から143℃まで103秒間で昇温)
・加熱時間:103秒
(8)密着強度
下記のようにして密着強度測定用サンプルを作製した。
被覆成形機(布施真空株式会社製「NGF−0611−S」)のチャンバーボックス内に被着体(芯材)を設置し、被着体の上方に、接着層側を被着体側に向けて積層体を配置し、被覆成形機の赤外線ヒーターを用いて、クリア層表面温度が150℃に達するまで加熱して軟化させ、チャンバーボックス内を減圧することで加熱軟化させた積層体を芯材に押圧することで被覆成形を行い、被覆成形体(密着強度測定用サンプル)を得た。
被着体:ブロックポリプロピレンの平板(ブロックポリプロピレン:プライムポリマー社製「J762HP」、平板サイズ:70mm×150mm、厚さ2mm)
被覆成形体を構成する積層体を、被着体から15mm幅で180°の方向に剥離した際に要した強度(剥離強度)を、プッシュプルゲージで測定し、積層体と被着体との密着強度とした。但し、剥離前に積層体が破断した場合は、表1中、密着強度の枠内に「破断」と表記し、破断した際の強度(破断強度)を密着強度として示した。破断が生じないと仮定した場合の剥離強度は、少なくとも破断強度以上であると推定できる。積層体が被着体に良好に密着している場合は、上記のように剥離前に積層体の破断が生じ得る。
実施例2〜4及び比較例1,2
積層体を構成する各層の厚さ又は組成を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に積層体を作製し、評価した。結果を表1に示す。なお、比較例2の着色層には着色剤−1(12質量%)と着色剤−2(3質量%)を混合した着色剤を用いた。
Figure 2021130306
本発明の積層体から得られる成形体は、多岐にわたる種々の用途に使用することができ、例えば、輸送機器(自動車や二輪車等)、住宅設備、建築材料、家電等の多岐に渡る分野の筐体にて、塗装を代替する加飾シートとして使用することができる。

Claims (18)

  1. 着色剤を含む第1の樹脂層と、接着性を有する第2の樹脂層と、を含む積層体であって、波長2.5μm〜7.0μmの電磁波のうちいずれかの透過率が10%以上である、積層体。
  2. 前記着色剤が顔料である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記着色剤がFeを含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記着色剤が、Ca及びFeからなる群から選ばれる1以上の元素と、Mg、Mn及びZnからなる群から選ばれる1以上の元素と、を含む、請求項1又は2に記載の積層体。
  5. 前記第1の樹脂層におけるカーボンブラックの含有量が、該第1の樹脂層の総量に対して0.5質量%以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
  6. 前記第2の樹脂層が、融点125℃以下の接着剤を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
  7. さらに、熱可塑性樹脂を含有する第3の樹脂層を含み、
    前記第3の樹脂層、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層をこの順で含む、請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
  8. 前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層及び前記第3の樹脂層からなる群から選択される1以上の樹脂層がポリオレフィンを含む、請求項7に記載の積層体。
  9. 前記ポリオレフィンがポリプロピレンを含む、請求項8に記載の積層体。
  10. 前記ポリプロピレンの130℃での結晶化速度が2.5min−1以下である、請求項9に記載の積層体。
  11. 前記ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率が80モル%以上99モル%以下である、請求項9又は10に記載の積層体。
  12. 前記ポリプロピレンが造核剤を含まない、請求項9〜11のいずれかに記載の積層体。
  13. 前記積層体の一部又は全面に易接着層を含み、前記易接着層が、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン及びポリエステルからなる群から選択される1以上の樹脂を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の積層体。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の積層体を用いて製造された成形体。
  15. 請求項1〜13のいずれかに記載の積層体を成形することを含む、成形体の製造方法。
  16. 前記積層体を金型に合致するよう賦形し、前記賦形した積層体を金型に装着し、成形用樹脂を供給して前記賦形した積層体と一体化して前記成形を行う、請求項15に記載の成形体の製造方法。
  17. チャンバーボックス内に芯材を配設し、前記芯材の上方に前記積層体を配置し、前記積層体を加熱軟化し、前記チャンバーボックス内を減圧して前記加熱軟化させた積層体を前記芯材に押圧して被覆させる、請求項15に記載の成形体の製造方法。
  18. 前記積層体における前記第2の樹脂層の反対側から該積層体に赤外線を照射することを含む、請求項15に記載の成形体の製造方法。

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