JP2021129080A - 発光デバイスおよび発光デバイスの製造方法ならびに画像表示装置 - Google Patents

発光デバイスおよび発光デバイスの製造方法ならびに画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】表示特性を向上させることが可能な発光デバイスおよび発光デバイスの製造方法ならびに画像表示装置を提供する。【解決手段】本開示の発光デバイスは、基板と、基板の一の面に配置された発光素子と、発光素子の上方に配置され、化学反応により光透過率が変化すると共に、発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている反射抑制層とを備える。【選択図】図1

Description

本開示は、例えば、固体光源を有する発光デバイスおよびその製造方法ならびにこれを備えた画像表示装置に関する。
例えば、特許文献1では、LED素子の発光面側の上方に、LED素子の真上の位置にLED素子から発光される光の一部を透過させる透光穴を有する遮光層を設けることで、視認性の向上を図ったLED実装モジュールが開示されている。
特開2017−3751号公報
ところで、LEDディスプレイでは、表示特性の向上が望まれている。
表示特性を向上させることが可能な発光デバイスおよび発光デバイスの製造方法ならびに画像表示装置を提供することが望ましい。
本開示の一実施形態の発光デバイスは、基板と、基板の一の面に配置された発光素子と、発光素子の上方に配置され、化学反応により光透過率が変化すると共に、発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている反射抑制層とを備えたものである。
本開示の一実施形態の発光デバイスの製造方法は、基板の一の面に実装された発光素子の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層を形成し、反射抑制層の、発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口を形成する。
本開示の一実施形態の画像表示装置は、上記一実施形態の発光デバイスを備えたものである。
本開示の一実施形態の発光デバイスおよび一実施形態の発光デバイスの製造方法ならびに一実施形態の画像表示装置では、発光素子の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層を設けるようにした。この反射抑制層の発光素子と正対する位置には、光透過性を有する開口が設けられている。これにより、発光素子から出射される光の透過率を犠牲にすることなく、反射を低減する、所謂黒面積を維持する。
本開示の一実施の形態に係る発光デバイスの構成の一例を表す断面模式図である。 図1に示した発光デバイスの製造工程の一例を説明する断面模式図である。 図2Aに続く工程を表す断面模式図である。 図2Bに続く工程を表す断面模式図である。 図2Cに続く工程を表す断面模式図である。 図1に示した発光デバイスを備えた画像表示装置の構成の一例を表す斜視図である。 図3に示した画像表示装置のレイアウトの一例を表す模式図である。 アクティブマトリクス駆動方式の画素回路図である。 本開示の変形例1に係る発光デバイスの製造工程の一例を説明する断面模式図である。 図6Aに続く工程を表す断面模式図である。 図6Bに続く工程を表す断面模式図である。 本開示の変形例2に係る発光デバイスの構成の一例を表す断面模式図である。 本開示の変形例3に係る発光デバイスの製造工程の一例を説明する断面模式図である。 図8Aに続く工程を表す断面模式図である。 図8Bに続く工程を表す断面模式図である。 本開示の変形例4に係る発光デバイスの製造工程の一例を説明する断面模式図である。 図9Aに続く工程を表す断面模式図である。 図9Bに続く工程を表す断面模式図である。
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本開示の一具体例であって、本開示は以下の態様に限定されるものではない。また、本開示は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比等についても、それらに限定されるものではない。なお、説明する順序は、下記の通りである。
1.実施の形態(化学反応により透過率が変化する反射抑制層を有する発光デバイスの例)
1−1.発光デバイスの構成
1−2.発光デバイスの製造方法
1−3.画像表示装置の構成
1−4.作用・効果
2.変形例
2−1.変形例1(外部からの熱負荷により反射抑制層に開口を形成する例)
2−2.変形例2(表面保護膜側に反射抑制層を設けた例)
2−3.変形例3(発光素子の上方およびその周辺部にのみ部分的に反射抑制層を設けた一例
2−4.変形例4(発光素子の上方およびその周辺部にのみ部分的に反射抑制層を設けた他の例)
<1.実施の形態>
図1は、本開示の一実施の形態に係る発光デバイス(発光デバイス10)の断面構成の一例を模式的に表したものである。この発光デバイス10は、例えば所謂LEDディスプレイと呼ばれる画像表示装置(例えば、画像表示装置1、図3参照)の表示画素として好適に用いられるものである。
(1−1.発光デバイスの構成)
発光デバイス10は、基板11に1または複数の発光素子12が配置されている。基板11には、さらに、例えば、保護膜13、反射抑制層14、粘着層15および表面保護膜16がこの順に積層されている。本実施の形態では、反射抑制層14は、詳細は後述するが、化学反応により光透過率が変化する材料を含んで形成されており、発光素子12と正対する位置に光透過性を有する開口14Hを有している。以下、発光デバイス10を構成する各構成部材について詳細に説明する。
基板11は、例えば、矩形状の平面形状を有する板状部材ある。基板11は、例えば、優れた熱伝導性を有する材料を用いて構成されていることが好ましい。これにより、発光素子12において発生する熱を、効率よく排熱することが可能となる。基板11は、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、炭化シリコン(SiC)、シリコン(Si)または銅(Cu)によって構成されている。
この他、基板11は、樹脂フィルム等の可撓性を有するフレキシブル基板を用いてもよい。フレキシブル基板を用いることにより、例えば後述する画像表示装置1を、設置場所が曲面を含む壁面等に対して、その形状に追従させて設置することができる。
発光素子12は、所定の波長域の光を出射する固体発光素子であり、具体的にはLED(Light Emitting Diode)チップである。LEDチップとは、結晶成長に用いたウェハから切り出した状態のものを指しており、成形した樹脂等で覆われたパッケージタイプのものではないことを指している。LEDチップは、例えば、5μm以上100μm以下のサイズとなっており、いわゆるマイクロLEDと呼ばれるものである。LEDチップの平面形状は、例えば、略正方形となっている。LEDチップは薄片状となっており、LEDチップのアスペクト比(高さ/幅)は、光が吸収を受けないようにするため、例えば0.1以上1未満が望ましい。
保護膜13は、基板11上に配置された発光素子12を覆うように設けられている。保護膜13は、光透過性を有する材料を用いて形成されている。具体的な材料としては、例えば、有機ハイブリット樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリスチレン(PS)樹脂、脂環式アクリル樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、透明ポリイミドおよびシリコーン樹脂等が挙げられる。
反射抑制層14は、発光素子12以外からの光を吸収してコントラストを向上させるものである。本実施の形態の反射抑制層14は、化学反応によって光透過率が可逆的または非可逆的に変化するものであり、所定の位置に光透過性を有する開口14Hが設けられている。具体的には、詳細は後述するが、反射抑制層14は、例えば、発光素子12の自己発熱または発光素子12から出射される光を吸収することによる発熱によって、発光素子12と正対する位置およびその近傍の光透過率が変化するものである。即ち、開口14Hは、発光素子12と正対する位置およびその近傍に設けられており、これにより、発光素子12から出射された光が発光デバイス10の表面(面S1)側から取り出される。
反射抑制層14は、例えば、ロイコ色素を用いることで形成することができる。ロイコ色素としては、例えば、一般的な感熱紙に用いられているフルオラン化合物が挙げられる。ロイコ色素は、顕色剤と呼ばれる酸性化合物と共に用いることによって、例えば可逆的に発色または消色する。具体的には、例えば水素イオン(H)の添加または脱離によってフルオラン化合物のラクトン環が開閉し、これによって発色または消色する。
ロイコ色素の発色/消色のメカニズムを説明する。消去状態のロイコ色素と、例えば長鎖型の顕色剤からなる組成物を溶融混合するまで加熱すると発色状態になる。この状態から徐冷すると、組成物は、顕色剤の再配列が生じて消色するが、急冷すると、ロイコ色素および長鎖型顕色剤がある程度規則的に集合した発色状態に固定される。発色状態から溶融(発色)温度より低い温度に加熱するとこの集合体が崩れ、顕色剤が単独で結晶化し、ロイコ色素と分離して組成物は消色する。
更に、反射抑制層14は、ロイコ色素および顕色剤と共に、光熱変換剤を用いて構成するようにしてもよい。光熱変換剤は、例えば、所定の波長域の光を吸収して発熱するものである。光熱変換剤としては、例えば発光素子12から出射される光に対して選択的な吸収特性を有するものを用いることが好ましい。
この他、反射抑制層14は、フォトクロミック材料を用いて形成するようにしてもよい。具体的なフォトクロミック材料としては、例えば、アゾベンゼン化合物、フルギド化合物、スピロピラン化合物、ジアリールエテン化合物およびスピロペリミジン化合物等が挙げられる。
反射抑制層14の厚みは、例えば5nm以上30nm以下である。
粘着層15は、反射抑制層14と表面保護膜16とを貼り合わせるものであり、例えば、光学的に均一且つ透明な、所謂光学粘着シートを用いることができる。
表面保護膜16は、発光デバイス10の表面を保護すると共に、発光デバイス10の表面における映り込みを低減するためのものである。表面保護膜16は、例えば、光透過性を有する基材(図示せず)と、その表面(例えば、面S1側)に設けられた反射防止膜(AR)とから構成されている。基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)やシクロオレフィン・コポリマーフィルム(COCフィルム)等を用いることができる。
(1−2.発光デバイスの製造方法)
図2A〜図2Dは、発光デバイス10の製造方法の一例を模式的に表したものである。図1に示した発光デバイス10は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、図2Aに示したように、基板11上に複数(ここでは、2つ)の発光素子12を配置した後、発光素子12を覆うように、基板11上に保護膜13を製膜する。続いて、図2Bに示したように、保護膜13上に、ロイコ色素、顕色剤および変色温度調整剤を含む塗料を、例えば5μm〜30μmの厚みで塗布し、乾燥させることにより、例えば黒色の反射抑制層14を製膜する。
次に、図2Cに示したように、発光素子12を発光させ、その自己発熱または発光素子12から出射された光L1の吸収による発熱によって、反射抑制層14の所定の領域の発色を消色させる。これにより、発光素子12と正対する位置およびその近傍に、光透過性を有する開口14Hがセルフアライメントによって形成される。
その後、図2Dに示したように、例えば、反射抑制層14に、粘着層15が形成された表面保護膜16を貼り合わせる。以上により、図1に示した発光デバイス10が完成する。
(1−3.画像表示装置の構成)
図3は、画像表示装置(画像表示装置1)の概略構成の一例を斜視的に表したものである。画像表示装置1は、いわゆるLEDディスプレイと呼ばれるものであり、表示画素としてLEDが用いられたものである。画像表示装置1は、例えば図3に示したように、表示パネル110と、表示パネル110を駆動する駆動回路(図示せず)とを備えている。
表示パネル110は、実装基板120と、透明基板130とを互いに重ね合わせたものである。表示パネル110は、透明基板130の表面が映像表示面となっており、中央部分に表示領域1Aを有し、その周囲に、非表示領域であるフレーム領域1Bを有している。
図4は、実装基板120の透明基板130側の表面のうち表示領域1Aに対応する領域のレイアウトの一例を表したものである。実装基板120の表面のうち表示領域1Aに対応する領域には、例えば図4に示したように、複数のデータ配線221が所定の方向に延在して形成されており、且つ、所定のピッチで並列配置されている。実装基板120の表面のうち表示領域1Aに対応する領域には、さらに、例えば、複数のスキャン配線222がデータ配線221と交差(例えば、直交)する方向に延在して形成されており、且つ、所定のピッチで並列配置されている。データ配線221およびスキャン配線222は、例えば、Cu(銅)等の導電性材料からなる。
スキャン配線222は、例えば、最表層に形成されており、例えば、基材表面に形成された絶縁層(図示せず)上に形成されている。なお、実装基板120の基材は、例えば、ガラス基板、または樹脂基板等からなり、基材上の絶縁層は、例えば、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)または酸化アルミニウム(Al)等からなる。一方、データ配線221は、スキャン配線222を含む最表層とは異なる層(例えば、最表層よりも下の層)内に形成されており、例えば、基材上の絶縁層内に形成されている。絶縁層の表面上には、スキャン配線222の他に、例えば、必要に応じてブラック層が設けられている。ブラック層は、コントラストを高めるためのものであり、光吸収性の材料によって構成されている。ブラック層は、例えば、絶縁層の表面のうち少なくとも後述のパッド電極221B,222Bの非形成領域に形成されている。なお、ブラック層は、必要に応じて省略することも可能である。
実装基板120では、データ配線221とスキャン配線222との交差部分の近傍が表示画素223となっており、複数の表示画素223が表示領域1A内においてマトリクス状に配置されている。各表示画素223には、複数の発光素子12を含む発光デバイス10が実装されている。
なお、図4には、3つの発光素子(発光素子12R,12G,12B)で一つの表示画素223が構成されており、発光素子12Rから赤色の光を、発光素子12Gから緑色の光を、発光素子12Bから青色の光をそれぞれ出力することができるようになっている場合が例示されている。
また、図3に示した画像表示装置1は、パッシブマトリクス型の画像表示装置の一例であり、本実施の形態の発光デバイス10は、アクティブマトリクス型の画像表示装置にも適用することができる。なお、アクティブマトリクス型の画像表示装置では、例えば、図3に示したフレーム領域1Bは不要となる。
パッシブマトリクス型の駆動方式では、スキャン配線数を多くすると各発光デバイスに割り当てられる時間が短くなるため、デューティ比の低下に伴い注入電流を増加させなければならず、発光効率や素子寿命が低下する虞がある。これを避けるには、最大輝度設定値を低くしていくことが好ましい。また、配線抵抗および寄生容量による電圧降下および信号遅延等の問題から、走査線数の多い大画面や高精細な画像表示装置では、画面を複数の部分画面に分割し並列にパッシブマトリクス駆動する方式、または発光デバイスをアクティブ駆動する方式を用いることができる。なお、並列パッシブマトリクス駆動では、部分画面ごとに配線を裏面に引き出して駆動回路を接続し、各部分画面に合わせて画像信号も分割・並列化する必要がある等、表示装置全体の構造の複雑化や回路規模の増大を招く虞がある。一方、アクティブ駆動方式では、画素単位で信号電圧保持および電圧電流変換回路を設けることにより、上記のような画面分割を行わない、あるいは少なくとも分割数が少ない状態で、パッシブマトリクス駆動より高い輝度を得ることができる。
図5は、一般的なアクティブマトリクス駆動方式の画素回路の一例を表したものである。アクティブマトリクス駆動方式では、画素(発光素子12R,12G,12B、データ配線221とスキャン配線222との交差部分近傍)ごとにスイッチングトランジスタ(Tr1)、駆動トランジスタ(Tr2)および容量素子(Cs)がそれぞれ設けられている。アクティブマトリクス駆動方式では、スイッチングトランジスタをスイッチとして、Vsigを容量素子に書き込むことに加え、駆動トランジスタを電源(Vcc)−Vsigの電位差で電流制御する電流源として用いて発光デバイスを電流変調する。実際には、トランジスタごとに特性ばらつきがあるため、同じVsigを書き込んでも各画素で発光デバイスに印加される電流がばらつき、画像表示装置の表示均一性が低下する。そのため、一般には、トランジスタの特性のばらつきを補正する回路が付加されるが、電流変化に伴い発光波長が変化する発光デバイスを用いる場合には、後述するようにパルス幅変調による階調制御を合わせて行うことが望ましく、回路がさらに複雑になる。本実施の形態の発光デバイスでは、電流変化に伴う発光波長の変化が低減されることから、比較的簡単な電流変調駆動回路で画像表示装置を構成することができる。
発光デバイス10には、例えば発光素子12R,12G,12Bごとに一対の端子電極が設けられている。そして、一方の端子電極は、例えばデータ配線221に電気的に接続されており、他方の端子電極は、例えばスキャン配線222に電気的に接続されている。具体的には、例えば、一方の端子電極は、データ配線221に設けられた分枝221Aの先端のパッド電極221Bに電気的に接続されている。例えば、他方の端子電極は、スキャン配線222に設けられた分枝222Aの先端のパッド電極222Bに電気的に接続されている。
各パッド電極221B,222Bは、例えば、最表層に形成されており、例えば、図3に示したように、各発光デバイス10が実装される部位に設けられている。ここで、パッド電極221B,222Bは、例えば、Au(金)等の導電性材料からなる。
駆動回路は、映像信号に基づいて各表示画素223(各発光デバイス10)を駆動するものである。駆動回路は、例えば、表示画素223に接続されたデータ配線221を駆動するデータドライバと、表示画素223に接続されたスキャン配線222を駆動するスキャンドライバとにより構成されている。駆動回路は、例えば、実装基板120上に実装されていてもよいし、表示パネル110とは別体で設けられ、かつ配線(図示せず)を介して実装基板120と接続されていてもよい。
(1−4.作用・効果)
本実施の形態の発光デバイス10は、基板11上に配置された複数の発光素子12の上方に、各発光素子12と正対する位置およびその近傍に光透過性を有する開口14Hを有する反射抑制層14を設けるようにした。この反射抑制層14は、化学反応により光透過率が変化し、開口14Hは、発光素子12の自己発熱または発光素子12から出射される光の吸収による発熱によって、セルフアライメントで形成される。これにより、発光素子12から出射される光の透過率を犠牲にすることなく、反射を低減する、所謂黒面積を維持することが可能となる。以下、これについて説明する。
LEDディスプレイでは、表面反射を抑制して引き締まった黒を再現するために、最表面の黒率((ディスプレイ面積−開口面積)/(ディスプレイ面積))の向上が図られている。その手段として、例えば、最表面にND(Neutral Density)層を設けたり、一般に有機EL(Electro Luminescent)ディスプレイの最表面に設けられている円偏光板を設けることにより、発光部以外からの反射光を吸収してコントラストを向上させる方法が報告されている。しかしながら、上記方法を用いた場合、発光部にも光吸収の作用が働くため、ディスプレイの輝度が低下し、消費電力が高くなるという課題が生じる。
この他、ブラック層の発光部付近にリソグラフィ技術や印刷等を用いて開口を形成する方法があるが、このような開口方式では、開口を形成するためのプロセスが煩雑となる。また、プロセスマージンが必要となり、マージンを確保すると黒率が低下し、コントラストが低下するという課題が生じる。この黒率の低下は、発光部が狭ピッチ化するほど影響が大きくなる。
これに対して、本実施の形態では、基板11上に配置された複数の発光素子12の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層14を設け、発光素子12の自己発熱または発光素子12から出射される光の吸収による発熱によって、光透過性を有する開口14Hを設けるようにした。これにより、反射抑制層14に対して、各発光素子12と正対する位置およびその近傍に、最低限の開口処理をセルフアライメントで行うことができるようなる。よって、発光素子12から出射される光の透過率を犠牲にすることなく、黒面積を維持することが可能となる。
以上のように、本実施の形態の発光デバイス10では、基板11上に配置された複数の発光素子12の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層14を設けるようにしたので、セルフアライメントによって、反射抑制層14に光透過性を有する開口14Hを設けることが可能となる。これにより、発光素子12から出射される光の透過率を犠牲にすることなく、黒面積を維持することができるようになり、表示特性を向上、特に、明所でのコントラストを向上させることが可能となる。
また、本実施の形態の発光デバイス10では、上記のようにND層や円偏光板を設けた場合と比較して、輝度を向上させることが可能となる。また、開口形成のプロセスを簡略化することが可能となる。
次に、本開示の変形例1〜4について説明する。なお、上記実施の形態の発光デバイス10と同様の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
<2.変形例>
(2−1.変形例1)
図6A〜図6Cは、上記実施の形態おいて説明した発光デバイス10の製造方法の他の例(変形例1)を表したものである。図1に示した発光デバイス10は、例えば、以下のようにして製造することもできる。
まず、図6Aに示したように、基板11上に複数(ここでは、2つ)の発光素子12を配置した後、発光素子12を覆うように、基板11上に保護膜13および、例えば黒色の反射抑制層14を、上記実施の形態と同様の方法を用いて製膜する。
続いて、図6Bに示したように、外部からの熱負荷によって開口14Hを形成する。具体的には、例えば、予め基板11に発光素子12の位置を示すアライメントマークを形成する。このアライメントマークは、例えば、ブラック層が形成されていない、後に裁断される基板11の外周部に、基板配線と同様にパターン形成する。図6Bでは、アライメントマークを参照して発光素子12の位置を特定し、例えばレーザ光L2を照射することによる熱負荷によって開口14Hを形成する。この他例えば、発光素子12を発光させ、例えばサーモビューワーで発光素子12の位置を特定してレーザ光L2を照射するようにしてもよい。
その後、図6Cに示したように、例えば、反射抑制層14に、粘着層15が形成された表面保護膜16を貼り合わせる。以上により、図1に示した発光デバイス10が完成する。
なお、外部からの熱負荷は、レーザ光L2の照射に限らず、例えば、ヒータや超音波等、局所的に加熱する手法も適用することができる。
このように、本変形例では、外部からの熱負荷によって反射抑制層14の開口14Hを形成するようにしたので、上記実施の形態と比較して、開口14Hの面積をより制御することが可能となる。具体的には、熱による開口14Hの拡がりを抑えることが可能となる。よって、より表示特性を向上させることが可能となる。
(2−2.変形例2)
図7は、本開示の変形例2に係る発光デバイス(発光デバイス10A)の断面構成の一例を模式的に表したものである。上記実施の形態等では、反射抑制層14を基板11側に形成した例を示したが、表面保護膜16側に形成するようにしてもよい。本変形例の発光デバイス10Aは、基板11側から、発光素子12、保護膜13、粘着層15、反射抑制層14および表面保護膜16がこの順に積層された構成を有する。
本変形例の表面保護膜16では、例えば、光透過性を有する基材の表面(面S1側)に反射防止膜が設けられており、対向する裏面(面S2側)に、例えばロイコ塗料を塗布することにより反射抑制層14が製膜されている。基材裏面へのロイコ塗料の塗布は、例えばロールtoロール方式を用いることができる。開口14Hは、基板11側に設けられた保護膜13と、反射抑制層14が設けられた表面保護膜16とを、粘着層15を介して貼り合わせた後に、上述したセルフアライメント方式および外部からの熱負荷のどちらでも形成することができる。
このように、本変形例の発光デバイス10Aでは、反射抑制層14を表面保護膜16側に成膜するようにしたので、例えばロールtoロール方式等によって反射抑制層14を製膜できるようになり、大面積への反射抑制層14の成膜を安定して行うことが可能となる。よって、製造コストを低減することが可能となる。
(2−3.変形例3)
図8A〜図8Cは、本開示の変形例3に係る発光デバイス(発光デバイス10B)の断面構成および製造方法の一例を模式的に表したものである。上記実施の形態等では、発光デバイス10の全面に反射抑制層14を設けた例を示したが、反射抑制層14は、各発光素子12の上方およびその周辺部に部分的に形成するようにしてもよい。その場合、反射抑制層14が形成されていない部分(反射抑制層14の未形成領域)には、反射防止膜21が形成される。
反射防止膜21は、表面保護膜16と同様に、発光デバイス10の表面を保護すると共に、発光デバイス10Bの表面における映り込みを低減するためのものである。反射防止膜21としては、例えば、植毛シートや円偏光シート等を用いることができる。
発光デバイス10Bは、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、図8Aに示したように、基板11上に複数(ここでは、2つ)の発光素子12を配置した後、発光素子12を覆うように、基板11上に保護膜13および、例えば黒色の反射抑制層14を、発光素子12の上方およびその周辺部に部分的に製膜する。
続いて、図8Bに示したように、反射抑制層14を含む保護膜13に、反射抑制層14と対応する位置に開口21Hを有する反射防止膜21(植毛シート)を、粘着層15を介して貼り合わせる。
その後、上述したセルフアライメント方式や外部からの熱負荷によって、反射抑制層14に開口14Hを形成する。これにより、図8Cに示した発光デバイス10Bが完成する。
このように、本変形の発光デバイス10Bでは、反射抑制層14を発光素子12の上方およびその周辺部に部分的に形成し、各発光素子12の間の反射抑制層14の未形成領域には、植毛シート等の反射防止膜21を形成するようにした。これにより、反射防止膜21の開口21Hの大まかなアライメントが可能となる。
(2−4.変形例4)
図9A〜図9Cは、本開示の変形例3に係る発光デバイス(発光デバイス10B)の断面構成および製造方法の一例を模式的に表したものである。上記変形例3では、反射抑制層14を発光素子12の上方およびその周辺部に部分的に形成し、反射抑制層14の未形成領域に、植毛シート等の反射防止膜21を形成する例を示したが、反射抑制層14の未形成領域には、より反射率の低い低反射ブラック(BLK)層22を設けるようにしてもよい。
低反射BLK層22は、表面保護膜16や反射防止膜21と同様に、発光デバイス10の表面を保護すると共に、発光デバイス10Bの表面における映り込みを低減するためのものである。低反射BLK層22としては、例えば、ブラックレジスト等を用いて形成することができる。
発光デバイス10Cは、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、図9Aに示したように、基板11上に複数(ここでは、2つ)の発光素子12を配置した後、発光素子12を覆うように、基板11上に保護膜13および、例えば黒色の反射抑制層14を、発光素子12の上方およびその周辺部に部分的に製膜する。
続いて、図9Bに示したように、反射抑制層14を含む保護膜13に、反射抑制層14と対応する位置に開口22Hを有する低反射BLK層22を、粘着層15を介して貼り合わせる。
その後、上述したセルフアライメント方式や外部からの熱負荷によって、反射抑制層14に開口14Hを形成する。これにより、図9Cに示した発光デバイス10Cが完成する。
このように、本変形の発光デバイス10Cでは、反射抑制層14を発光素子12の上方およびその周辺部に部分的に形成し、各発光素子12の間の反射抑制層14の未形成領域には、低反射BLK層22を形成するようにした。これにより、黒面積を維持しつつ、発光デバイス10Cの表面(面S1)の反射率をより低反射化することが可能となる。よって、表示特性をさらに向上させることが可能となる。
以上、実施の形態および変形例1〜4を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、発光デバイス10として、3つまたは3つの発光素子12R,12G,12Bが一列に配置された例を示したがこれに限らず、例えば、三角状に発光素子12R,12G,12Bを配置するようにしてもよい。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
なお、本開示は以下のような構成をとることも可能である。以下の構成の本技術によれば、発光素子の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層を設けるようにした。この反射抑制層の発光素子と正対する位置には、光透過性を有する開口が設けられている。これにより、発光素子から出射された光の透過率を犠牲にすることなく、反射を低減する、所謂黒面積を維持する。これにより、表示特性を向上させることが可能となる。
(1)
基板と、
前記基板の一の面に配置された発光素子と、
前記発光素子の上方に配置され、化学反応により光透過率が変化すると共に、前記発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている反射抑制層と
を備えた発光デバイス。
(2)
前記反射抑制層の光透過率は、前記発光素子から出射される光または前記発光素子の発熱によって変化する、前記(1)に記載の発光デバイス。
(3)
前記反射抑制層の光透過率は、外部から照射される光または外部から印加される熱によって変化する、前記(1)に記載の発光デバイス。
(4)
前記基板の前記一の面に複数の前記発光素子を有し、
前記反射抑制層は、複数の前記発光素子に対して連続して設けられている、前記(1)乃至(3)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(5)
前記基板の前記一の面に複数の前記発光素子を有し、
前記反射抑制層は、複数の前記発光素子の上方およびその周辺部に、部分的に設けられている、前記(1)乃至(3)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(6)
前記反射抑制層の周囲に反射防止部材をさらに有する、前記(5)に記載の発光デバイス。
(7)
前記反射防止部材は、ブラック層、植毛シートまたは円偏光シートである、前記(6)に記載の発光デバイス。
(8)
前記基板の前記一の面側に、前記発光素子を保護する第1の保護膜をさらに有し、
前記反射抑制層は、前記第1の保護膜側に設けられている、前記(1)乃至(7)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(9)
前記基板の前記一の面側に、前記発光素子を保護する第1の保護膜と、前記第1の保護膜との貼合面を有する第2の保護膜をさらに有し、
前記反射抑制層は、前記第2の保護膜側に設けられている、前記(1)乃至(8)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(10)
前記反射抑制層はロイコ色素を含む、前記(1)乃至(9)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(11)
前記反射抑制層はフォトクロミック材料を含む、前記(1)乃至(9)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(12)
前記反射抑制層の光透過率は可逆的に変化する、前記(1)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(13)
前記反射抑制層の光透過率は非可逆的に変化する、前記(1)乃至(11)のうちのいずれか1つに記載の発光デバイス。
(14)
基板の一の面に実装された発光素子の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層を形成し、
前記反射抑制層の、前記発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口を形成する
発光デバイスの製造方法。
(15)
前記発光素子を発光させることにより、前記反射抑制層に前記開口を形成する、前記(14)に記載の発光デバイスの製造方法。
(16)
前記発光素子の上方に前記反射抑制層を形成した後、外部から熱負荷を加えることにより前記反射抑制層に前記開口を形成する、前記(14)または(15)に記載の発光デバイスの製造方法。
(17)
複数の発光デバイスを備え、
前記発光デバイスは、
基板と、
前記基板の一の面に配置された発光素子と、
前記発光素子の上方に配置され、化学反応により光透過率が変化すると共に、前記発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている反射抑制層と
を有する画像表示装置。
1…画像表示装置、1A…表示領域、1B…フレーム領域、10,10A,10B,10C…発光デバイス、11…基板、12,12R,12G,12B…発光素子、13…保護膜、14…反射抑制層、14H,21H,22H…開口、15…粘着層、16…表面保護膜、21…反射防止膜、22…低反射BLK層、110…表示パネル、120…実装基板、130…透明基板。

Claims (17)

  1. 基板と、
    前記基板の一の面に配置された発光素子と、
    前記発光素子の上方に配置され、化学反応により光透過率が変化すると共に、前記発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている反射抑制層と
    を備えた発光デバイス。
  2. 前記反射抑制層の光透過率は、前記発光素子から出射される光または前記発光素子の発熱によって変化する、請求項1に記載の発光デバイス。
  3. 前記反射抑制層の光透過率は、外部から照射される光または外部から印加される熱によって変化する、請求項1に記載の発光デバイス。
  4. 前記基板の前記一の面に複数の前記発光素子を有し、
    前記反射抑制層は、複数の前記発光素子に対して連続して設けられている、請求項1に記載の発光デバイス。
  5. 前記基板の前記一の面に複数の前記発光素子を有し、
    前記反射抑制層は、複数の前記発光素子の上方およびその周辺部に、部分的に設けられている、請求項1に記載の発光デバイス。
  6. 前記反射抑制層の周囲に反射防止部材をさらに有する、請求項5に記載の発光デバイス。
  7. 前記反射防止部材は、ブラック層、植毛シートまたは円偏光シートである、請求項6に記載の発光デバイス。
  8. 前記基板の前記一の面側に、前記発光素子を保護する第1の保護膜をさらに有し、
    前記反射抑制層は、前記第1の保護膜側に設けられている、請求項1に記載の発光デバイス。
  9. 前記基板の前記一の面側に、前記発光素子を保護する第1の保護膜と、前記第1の保護膜との貼合面を有する第2の保護膜をさらに有し、
    前記反射抑制層は、前記第2の保護膜側に設けられている、請求項1に記載の発光デバイス。
  10. 前記反射抑制層はロイコ色素を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
  11. 前記反射抑制層はフォトクロミック材料を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
  12. 前記反射抑制層の光透過率は可逆的に変化する、請求項1に記載の発光デバイス。
  13. 前記反射抑制層の光透過率は非可逆的に変化する、請求項1に記載の発光デバイス。
  14. 基板の一の面に実装された発光素子の上方に、化学反応により光透過率が変化する反射抑制層を形成し、
    前記反射抑制層の、前記発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口を形成する
    発光デバイスの製造方法。
  15. 前記発光素子を発光させることにより、前記反射抑制層に前記開口を形成する、請求項14に記載の発光デバイスの製造方法。
  16. 前記発光素子の上方に前記反射抑制層を形成した後、外部から熱負荷を加えることにより前記反射抑制層に前記開口を形成する、請求項14に記載の発光デバイスの製造方法。
  17. 複数の発光デバイスを備え、
    前記発光デバイスは、
    基板と、
    前記基板の一の面に配置された発光素子と、
    前記発光素子の上方に配置され、化学反応により光透過率が変化すると共に、前記発光素子と正対する位置に光透過性を有する開口が設けられている反射抑制層と
    を有する画像表示装置。




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