以下、図面を参照して本開示に係る駐車支援装置の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る駐車支援装置10を搭載した車両1の構成を概略的に示すブロック図である。本実施形態の駐車支援装置10は、たとえば、乗用車、トラック、またはバスなど車両1に搭載され、車両1の駐車支援を行うための電子制御装置(ECU)である。
図1に示す例において、駐車支援装置10が搭載された車両1は、たとえば、車輪2と、車両センサ3と、外界センサ4と、ステアリングホイール5と、電動パワーステアリング装置6と、車両制御装置7と、表示装置8と、を備えている。また、図1に示す例では、たとえば、車両センサ3と、外界センサ4と、車両制御装置7と、駐車支援装置10と、図示を省略する各種のアクチュエータとによって、車両1の駐車支援システムが構成されている。
車輪2は、たとえば、左右の前輪と、左右の後輪とを含む。左右の前輪である車輪2は、たとえば、電動パワーステアリング装置6により、図示を省略する操舵機構を介して転舵される操舵輪である。左右の後輪である車輪2は、たとえば、図示を省略するエンジンまたはモータなどの駆動源により、図示を省略する動力伝達機構を介して駆動される駆動輪である。なお、左右の前輪である車輪2が駆動輪であってもよい。
車両センサ3は、たとえば、車両1の速度、加速度、角速度、位置情報などの車両情報Ivを検知するセンサである。車両センサ3は、たとえば、車輪速センサ3aを含む。車輪速センサ3aは、たとえば、左右の前輪である車輪2と左右の後輪である車輪2のそれぞれの回転速度rsを検知して、駐車支援装置10へ出力する。車両センサ3は、たとえば、図示を省略する加速度センサ、角速度センサ、および全球測位衛星システム(GNSS)などを含む。
外界センサ4は、車両1の周囲の外界情報Ieを検知するセンサである。外界センサ4は、たとえば、カメラ4aと、超音波センサ4bとを含む。また、外界センサ4は、たとえば、LiDARなど、カメラ4aおよび超音波センサ4b以外のセンサを含んでもよい。
カメラ4aは、たとえば、単眼カメラまたはステレオカメラであり、車両1の前部、後部および左右の側部に、車両1の周囲の物体、路面、道路標示などを撮影することができるように、適切な角度および画角で設置されている。カメラ4aは、車両1の周囲の外界情報Ieとして、画像情報gを駐車支援装置10へ出力する。
超音波センサ4bは、たとえば、車両1の前部の正面部、左右コーナ部、および左右側部、ならびに、車両1の後部の正面部、左右コーナ部、および左右側部に設けられている。超音波センサ4bは、超音波を送信波として送信し、車両1の周囲の物体に反射された反射波を受信することで、車両1の周囲の物体までの距離dを検知し、外界情報Ieとして、駐車支援装置10へ出力する。
ステアリングホイール5は、車両1の運転者のステアリング操作に応じた操舵角で回転する。また、ステアリングホイール5は、たとえば、図示を省略する操舵アクチュータによって自動的に操作される。
電動パワーステアリング装置6は、運転者によるステアリングホイール5の操作を補助して、ステアリングホイール5の操舵角に応じて操舵輪である車輪2を転舵させる。電動パワーステアリング装置6は、たとえば、図示を省略する操舵角センサ、転舵補助モータ、および操舵ECUを備えている。
操舵角センサは、ステアリングホイール5の操舵角θを検知して、操舵ECU、車両制御装置7、および駐車支援装置10へ出力する。転舵補助モータは、図示を省略する操舵機構を介して操舵輪である車輪2を転舵させる操舵トルクを補助する。操舵用ECUは、操舵用の電子制御装置であり、ステアリングの操舵角に応じて転舵補助モータを制御し、操舵トルクを制御する。
車両制御装置7は、駐車支援装置10から入力される車両1の走行経路Rpおよび駐車予定位置Lpなどに基づいて、車両1の自動駐車または駐車支援を実行するECUである。より具体的には、車両制御装置7は、たとえば、図示を省略する中央処理装置(CPU)、ROMやRAMなどの記憶装置、データの入出力を行う入出力回路、およびタイマーなどを備えたマイクロコントローラまたはファームウェアによって構成することができる。
車両制御装置7は、たとえば、記憶装置に記憶されたプログラムをCPUによって実行し、車両1に搭載された図示を省略する各種のアクチュエータを制御することで、車両1の操作を自動的に行い、または、運転者による車両1の操作を支援する。ここでの車両1の操作は、たとえば、ステアリング操作、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作のすべて、または、少なくとも一つである。
表示装置8は、たとえば、車両1の運転席の近傍に設置された液晶表示装置、有機EL表示装置、またはヘッドアップディスプレイなどによって構成され、車両1の運転者に各種の情報を表示する。表示装置8は、たとえば、カメラ4aによって撮影されて駐車支援装置10によって処理された車両1の周囲の画像を表示する。また、表示装置8は、たとえば、駐車支援装置10によって算出された駐車予定位置Lp、走行経路Rpなどの情報を表示する。表示装置8は、たとえば、タッチパネル、キーボード、スイッチ、または音声入力装置などの情報入力装置を備え、運転者の操作によって入力された各種の情報Iiを、駐車支援装置10へ出力する。
以下、本実施形態の駐車支援装置10の構成を、図2および図3を参照して詳細に説明する。図2は、本実施形態の駐車支援装置10の構成を概略的に示すブロック図である。図3は、本実施形態の駐車支援装置10の各機能を説明する機能ブロック図である。
本実施形態の駐車支援装置10は、車両1の駐車予定位置Lpと走行経路Rpとを算出する装置である。駐車支援装置10は、たとえば、マイクロコントローラによって構成されたECUである。駐車支援装置10は、図2に示すように、たとえば、回路基板11とCPU12とを備えている。
回路基板11は、たとえば、A/D変換器11aと、RAMやROMなどの記憶装置11bと、図示を省略する入出力回路とを含む。駐車支援装置10は、たとえば、回路基板11の入出力回路を介して、図1に示すように、車両センサ3、外界センサ4、電動パワーステアリング装置6、および車両制御装置7に接続されている。駐車支援装置10は、たとえば、外界センサ4から出力された外界情報Ieと、車両センサ3から出力された車両情報Ivとを入力とする。
より具体的には、駐車支援装置10は、たとえば、カメラ4aから出力された画像情報gと、超音波センサ4bから出力された車両1の周囲の物体までの方向および距離dとを入力とする。また、駐車支援装置10は、たとえば、車輪速センサ3aから出力された車輪2の回転速度rsと、電動パワーステアリング装置6の操舵角センサから出力されたステアリングホイール5の操舵角θとを入力とする。
CPU12は、たとえば、図示を省略する入出力回路を介して回路基板11に接続され、回路基板11に搭載されたA/D変換器11a、記憶装置11bとの間で情報の授受を行う。また、CPU12は、記憶装置11bに記憶されたプログラムを実行することで、図示を省略する入出力回路を介して駐車支援装置10に入力された各種の情報を取得して、図4に示すような各種の処理を実行する。
図3に示すように、本実施形態の駐車支援装置10は、たとえば、位置推定機能F11と、演算解析機能F12と、経路演算機能F13と、を備えている。図3に示す駐車支援装置10の各機能は、たとえば、CPU12が記憶装置11bに記憶されたプログラムを実行することで実現することができる。
以下、駐車支援装置10による処理の一例を説明する。図4は、本実施形態の駐車支援装置10による処理の一例を示すフロー図である。図5は、本実施形態の駐車支援装置10を搭載した車両1が、道路脇の駐車車両V1,V2の間に縦列駐車を行う場面を示す平面図である。
駐車支援装置10を搭載した車両1の運転者が、たとえば、図5に示すように、手動運転で道路Rを走行しているときに、道路脇の駐車車両V1,V2の間に駐車スペースを見つけて、車両1を駐車するために減速して停車したとする。運転者は、たとえば、表示装置8のタッチパネルを操作して、運転支援を開始するための情報Iiを駐車支援装置10に入力する。
たとえば、表示装置8のタッチパネルを介して入力された運転支援を開始するための情報Iiは、図3に示すように、駐車支援装置10の位置推定機能F11に入力される。これにより、図4に示す駐車支援装置10による処理が開始される。運転者は、たとえば、車両1を手動運転で、駐車スペースの前方の駐車車両V1の側方に移動させ、縦列駐車に適した駐車スペースの斜め前方の位置で停車する。
この間、駐車支援装置10は、たとえば、位置推定機能F11により、車両1に搭載された車両センサ3から車両1の車両情報Ivを取得して、車両1の位置を推定する処理P1を実行する。より具体的には、処理P1において、位置推定機能F11は、車輪速センサ3aから各々の車輪2の回転速度rsを取得して、車両1の速度を算出する。また、処理P1において、位置推定機能F11は、電動パワーステアリング装置6の操舵角センサから操舵角θを取得して、車両1の進行方向を算出する。
さらに、処理P1において、位置推定機能F11は、車両1の速度と進行方向に基づいて、車両1の座標位置を算出する。なお、位置推定機能F11は、処理P1において、たとえば、GNSSから車両1の座標位置を取得してもよい。位置推定機能F11によって算出または取得された車両1の位置情報は、たとえば、演算解析機能F12および経路演算機能F13に入力される。
次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、車両1に搭載された外界センサ4から車両1の周囲の外界情報Ieを取得する処理P2を実行する。より具体的には、処理P2において、演算解析機能F12は、たとえば、カメラ4aから画像情報gを取得するとともに、超音波センサ4bから車両1の周囲の物体までの方向および距離dを取得する。
次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、外界情報Ieに基づいて車両1の周囲の物体を認識する処理P3を実行する。より具体的には、処理P3において、演算解析機能F12は、たとえば、画像情報gに対する画像処理を行って車両1の周囲の物体を認識する。
より詳細には、演算解析機能F12は、たとえば、パターンマッチングによって認識した物体の種別を判定するとともに、視差画像に基づいて認識した物体までの距離を算出する。また、演算解析機能F12は、たとえば超音波センサ4bによって得られた物体の方向と距離dに基づいて、物体までの距離を補正する。また、処理P3において、演算解析機能F12は、たとえば、認識した物体の方向および距離に基づいて、物体の位置Poすなわち座標情報を算出する。
なお、処理P3において、演算解析機能F12によって認識される物体は、たとえば、車両1の周囲の駐車車両V1,V2、道路R、歩道W、縁石C、道路標示、道路標識、歩行者、その他の障害物を含む。また、処理P3において、演算解析機能F12は、認識した物体の位置Poを、記憶装置11bに記憶させ、車両制御装置7へ出力する。
次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、処理P3で認識された物体の位置Poに基づいて、駐車予定位置Lpを算出する処理P4を実行する。この処理P4において、演算解析機能F12は、たとえば、車両1の全幅、全長、および全高などの仕様に基づく車両1を駐車するのに必要な空間と、道路脇、すなわち道路Rの歩道W側の部分における障害物が存在しない空間とを比較する。
さらに、処理P4における上記比較の結果、道路脇に車両1を駐車するのに必要な空間が存在する場合、演算解析機能F12は、その空間に処理P3で認識した物体の位置Poに基づいて駐車予定位置Lpを設定する。このとき、演算解析機能F12は、たとえば、認識された物体と駐車後の車両1との間に、車幅方向および前後方向に、それぞれ所定の間隔を確保するように、駐車予定位置Lpを設定する。
図5に示す例において、駐車予定位置Lpは、駐車車両V1,V2の間に一箇所だけが設定されている。しかし、たとえば、駐車車両V1,V2が存在しない場合など、車両1の周囲に広い空間が存在する場合には、車両1の後方に複数の駐車予定位置Lpが設定される場合もある。処理P4において、演算解析機能F12は、たとえば、設定した一または複数の駐車予定位置Lpを、経路演算機能F13へ出力する。
なお、図5に示す例において、駐車支援装置10は、外界情報Ieに基づいて、車両1の左側の駐車車両V1と、車両1の後方の駐車車両V2と、駐車予定位置Lpの歩道W側の縁石Cとを、物体として認識している。また、図5に示す例において、駐車支援装置10は、物体の位置Poである縁石Cの位置を示す座標点列Scを、実際の縁石Cの位置よりも歩道W側の座標点列Scとして認識している。同様に、図5に示す例において、駐車支援装置10は、車両1の後方の物体の位置Poである駐車車両V2の位置を示す座標点列Sbを、実際の駐車車両V2の位置よりも後方の座標点列Sbとして認識している。
このような物体の実際の位置と、駐車支援装置10によって認識した物体の位置Poすなわち座標点列Scおよび座標点列Sbとのずれは、たとえば、外界センサ4から物体までの距離や角度と、外界センサ4の検出精度との関係によるものである。たとえば、外界センサ4から物体までの距離が遠くなったり、外界センサ4の光軸方向または法線方向と、物体の方向との間の角度が大きくなったりすると、外界センサ4による物体の検出精度は低下する傾向がある。また、図5に示すように、車両1が最初に後退を開始する前の制御開始位置Dpでは、駐車予定位置Lpの奥の縁石Cの一部や、駐車予定位置Lpの後方の駐車車両V2の一部を認識できない場合がある。
そのため、処理P4において、駐車支援装置10の演算解析機能F12は、たとえば図5に示すように、車両1の駐車予定位置Lpを、適切な位置よりも縁石Cに近い位置に設定したり、駐車車両V2に近い位置に設定したりする場合がある。このように、車両1が最初に後退を開始する前に演算解析機能F12によって設定された駐車予定位置Lpは、駐車支援装置10が実行する後述する処理によって、適切な位置に修正される。
次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、処理P4で算出した駐車予定位置Lpを、表示装置8に出力して表示させる処理P5を実行する。この処理P5において、演算解析機能F12は、たとえば、カメラ4aから入力された画像情報gを処理して、車両1の周囲の俯瞰画像を生成し、その俯瞰画像に駐車予定位置Lpを重畳させた画像を、表示装置8に表示させる。
次に、駐車支援装置10は、たとえば、経路演算機能F13により、演算解析機能F12から取得した一または複数の駐車予定位置Lpのいずれかを、運転者が選択したか否かを判定する処理P6を実行する。より具体的には、経路演算機能F13は、たとえば、運転者が表示装置8のタッチパネルまたは音声入力装置を用いて、表示装置8に表示された駐車予定位置Lpを選択する。すると、表示装置8から選択された駐車予定位置Lpの情報Iiが、経路演算機能F13に入力され、経路演算機能F13は、運転者が駐車予定位置Lpを選択した(YES)と判定する。この場合、経路演算機能F13は、次の走行経路Rpを算出する処理P7を実行する。
一方、処理P6において、たとえば、運転者が表示装置8のタッチパネルや音声入力装置を用いて、表示装置8に表示された駐車予定位置Lpをキャンセルすると、表示装置8から駐車支援のキャンセルの情報Iiが経路演算機能F13に入力される。すると、経路演算機能F13は、運転者が駐車予定位置Lpを選択しなかった(NO)と判定する。この場合、駐車支援装置10は、処理P1へ戻り、処理P1から処理P6を繰り返し実行する。
また、前述の処理P4において、演算解析機能F12は、たとえば、車両1の仕様と車両1の周囲の空間との比較の結果、車両1を駐車するのに必要な空間が存在しなかった場合、次の処理P5において、表示装置8に駐車予定位置Lpを表示しない。さらに、次の処理P6において、経路演算機能F13は、たとえば、駐車予定位置Lpが選択されなかった(NO)と判定する。この場合、駐車支援装置10は、処理P1へ戻り、処理P1から処理P6を繰り返し実行する。
そして、前述のように、処理P6において、経路演算機能F13は、駐車予定位置Lpが選択された(YES)と判定すると、走行経路Rpを算出する処理P7を実行する。この処理P7において、経路演算機能F13は、たとえば、位置推定機能F11から入力された車両1の周囲の物体の位置Poと、演算解析機能F12から入力されて運転者によって選択された駐車予定位置Lpとに基づいて、車両1の走行経路Rpを算出する。
より具体的には、処理P7において、経路演算機能F13は、図5に示すように、車両1の停車後に最初に後退を開始する制御開始位置Dpにおける外界情報Ieに基づく座標点列Sa,Sb,Scと運転者が選択した駐車予定位置Lpとを取得する。そして、経路演算機能F13は、座標点列Sa,Sb,Scと車両1の仕様に基づいて、車両1が駐車車両V1,V2および縁石Cに接触しないように、図5に示す車両1の制御開始位置Dpから駐車予定位置Lpまでの走行経路Rpを算出する。また、経路演算機能F13は、算出した走行経路Rpを車両制御装置7へ出力する。
次に、図1に示す車両制御装置7によって、図4に示す車両1を移動させる処理P8が実行される。処理P8において、車両制御装置7は、たとえば、図示を省略するブレーキペダルの踏力を検出するセンサにより、車両1の運転者がブレーキペダルを解放したことを検知すると、走行経路Rpに沿って車両1を自動的に走行させる。
より具体的には、車両制御装置7は、たとえば、図示を省略する車両1の各種のアクチュエータを制御して、車両1のアクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイール5などを自動的に操作し、車両1を走行経路Rpに沿って走行させる。なお、走行経路Rpが前進経路と後退経路を含む場合には、車両制御装置7は、車両1の前進と後退を切り替える切り返し位置まで、車両1を走行経路Rpに沿って前進させ、切り返し位置で車両1を停車させる、その後、車両制御装置7は、車両1を切り返し位置である制御開始位置Dpから走行経路Rpに沿って最初に後退させる。
また、処理P8において車両制御装置7が車両1の移動を開始すると、駐車支援装置10は、たとえば演算解析機能F12により、外界情報Ieを取得する処理P9を実行する。次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、障害物が認識されたか否かを判定する処理P10を実行する。
この処理P10において、演算解析機能F12は、たとえば、外界情報Ieに基づいて物体を認識する。さらに、演算解析機能F12は、車両1が走行経路Rpに沿って移動を開始する前に認識された物体の位置Poである座標点列Sa,Sb,Scとは異なる位置に、車両1に接触する可能性がある障害物が認識されたか否かを判定する。この処理P10において、演算解析機能F12により、車両1に接触する可能性がある障害物が認識されていない(NO)と判定されると、駐車支援装置10は、次の処理P11を実行する。
処理P11において、駐車支援装置10は、たとえば、位置推定機能F11により、車両情報Ivに基づいて車両1の位置を推定し、車両1が目標位置である駐車予定位置Lpに到達したか否かを判定する。この処理P11において、位置推定機能F11により、車両1が目標位置に到達していない(NO)と判定されると、駐車支援装置10は、処理P8から処理P11までを繰り返し実行する。
また、処理P10において、演算解析機能F12は、たとえば、車両1に接触する可能性がある障害物が認識された(YES)と判定すると、その障害物の位置を新たな物体の位置Poとして車両制御装置7へ出力する。すると、車両制御装置7は、車両1を障害物の手前で停車させる処理P12を実行する。この処理P12において、車両制御装置7は、たとえば、車輪速センサ3aから取得した車輪2の回転速度rsに基づいて車両1の速度を算出し、車両1の速度に応じた制動距離を算出して、車両1を障害物の手前の停車位置で停車させる。
図6は、図5に示す車両1が、障害物である縁石Cの手前で停止した状態を示す拡大図である。車両1が走行経路Rpに沿って後退して縁石Cおよび駐車車両V2に近づくと、外界センサ4は、縁石Cおよび駐車車両V2の位置Poとして座標点列Sc’および座標点列Sb’をより正確に検知することが可能になる。
その結果、走行経路Rpに沿って移動を開始する前の制御開始位置Dpで設定または認識した駐車予定位置Lpと縁石Cまたは駐車車両V2との間の距離が想定以上に近くなったり、これらが重なったりする。すると、車両1と縁石Cまたは駐車車両V2などの障害物とが接触する可能性が生じたり、車両1の乗降に支障を来したりするおそれがある。このような場合、処理P12において、車両制御装置7は、図6に示すように、障害物である縁石Cや駐車車両V2の手前で、車両1を停車させる。
次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、駐車予定位置Lpの修正可能範囲Aを算出する処理P13を実行する。ここで、修正可能範囲Aは、駐車予定位置Lpを適切に設定することが可能な範囲である。すなわち、駐車予定位置Lpが修正可能範囲Aに含まれる場合には、駐車予定位置Lpに駐車した車両1と周囲の障害物との間に適切な距離が確保され、運転者が不自然さや危険を感じるほど車両1が道路R側にはみ出すことを防止することができる。
修正可能範囲Aの道路R側の境界Brは、たとえば、次のように設定することができる。まず、車両1が走行経路Rpに沿って移動を開始した後に認識された障害物である駐車車両V1,V2の座標点列Sa’および座標点列Sb’のうち、最も道路R側に位置する座標点を抽出する。次に、車両1の幅方向において、抽出した最も道路R側に位置する座標点と、その座標点から道路R側への駐車予定位置Lpの許容突出量Qに基づいて、修正可能範囲Aの道路R側の境界Brを設定する。この許容突出量Qは、車両1の車幅方向において、駐車車両V1,V2の最も道路R側に位置する座標点よりも道路R側に、たとえば5[cm]以下、10[cm]以下、または15[cm]以下程度の違和感を生じない所定の範囲で、設定することができる。
また、修正可能範囲Aの歩道W側の境界Bwは、たとえば、次のように設定することができる。まず、車両1が走行経路Rpに沿って移動を開始した後に認識された障害物である縁石Cの座標点列Sc’のうち、最も道路R側に位置する座標点を抽出する。次に、車両1の幅方向において、抽出した最も道路R側に位置する縁石Cの座標点と、駐車予定位置Lpとの間の隙間の最小幅に基づいて、修正可能範囲Aの歩道W側の境界Bwを設定する。この歩道W側の隙間の最小幅は、たとえば、車両1の歩道W側から乗降しない場合は、縁石Cとの接触を確実に回避できる適切な範囲であり、車両1の歩道W側から乗降する場合は、乗降に支障がない適切な範囲に設定することができる。
また、修正可能範囲Aの歩道W側の境界Bwは、たとえば、次のように設定することができる。まず、車両1の幅方向において、障害物の位置が駐車予定位置Lpに対して制御開始位置Dpの反対側、すなわち歩道W側に位置する場合に、障害物の種別を判定する。次に、判定した障害物の種別に応じて、障害物と修正可能範囲Aとの間隔Gs、すなわち修正可能範囲Aの歩道W側の境界Bwと障害物との間の間隔Gsを設定する。より具体的には、たとえば、障害物が縁石Cの場合には、縁石Cよりも高いフェンスや壁などの障害物の場合よりも、修正可能範囲Aと障害物との間隔Gsを小さく設定する。
また、車両1の前後の修正可能範囲Aの境界Bf,Bbは、たとえば、車両1が走行経路Rpに沿って移動を開始した後に認識された障害物である駐車車両V1,V2の座標点列Sa’および座標点列Sb’に基づいて設定することができる。より具体的には、車両1の前後の修正可能範囲Aの境界は、駐車予定位置Lpに駐車した車両1と、駐車車両V1,V2の座標点列Sa’および座標点列Sb’との間に、適切な間隔Ga,Gbが確保されるように設定する。この適切な間隔Ga,Gbは、たとえば、駐車予定位置Lpに駐車した車両1が、駐車車両V1,V2の間から道路Rへ退出すること可能な間隔Ga,Gbである。
以上のように、処理P13において、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、修正可能範囲Aの車両1の前後、道路R側、および歩道W側の境界Bf,Bb,Br,Bwを設定し、修正可能範囲Aを画定することができる。次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、修正可能範囲A内に修正駐車位置Lp’を算出し、経路演算機能F13により、現在の車両1の位置から修正駐車位置Lp’までの走行経路Rp’を算出する処理P14を実行する。
この処理P14において、駐車支援装置10は、たとえば、経路演算機能F13により、現在の車両1の位置から修正駐車位置Lp’までの走行経路Rp’が算出できた場合には、たとえば、表示装置8に新たな走行経路Rp’を表示する。運転者は、たとえば、タッチパネルなどの入力装置を用い、表示装置8に表示された新たな走行経路Rp’を選択するか、またはキャンセルする。
運転者によって新たな走行経路Rp’が選択されると、車両制御装置7は、新たな走行経路Rp’に沿って車両1を走行させる処理P8を実行する。その後、車両制御装置7と駐車支援装置10によって、処理P8から処理P11までを繰り返すことで、車両1は、新たな走行経路Rp’に沿って走行し、修正駐車位置Lp’に到達する。すると、車両制御装置7は、処理P11において、車両1が目標位置に到達した(YES)と判定し、車両1を停車させる処理P15を実行し、図4に示す駐車支援の処理フローが終了する。
また、処理P14において、駐車支援装置10は、たとえば、経路演算機能F13により、現在の車両1の位置から修正駐車位置Lp’までの走行経路Rp’が算出できなかった場合には、車両1が最初に後退を開始した制御開始位置Dpまでの走行経路を算出する。さらに、駐車支援装置10は、たとえば、経路演算機能F13により、制御開始位置Dpから修正後の修正駐車位置Lp’までの走行経路を算出する。その後、車両制御装置7と駐車支援装置10によって、処理P8から処理P11までを繰り返すことで、車両1は、新たな走行経路に沿って走行し、修正駐車位置Lp’に到達する。
図7は、本実施形態の駐車支援装置10を搭載した車両1が、道路脇の駐車スペースPに縦列駐車を行う場面を示す平面図である。図8は、図7に示す車両1が障害物である縁石Cの手前で停止した状態を示す拡大図である。
前述の図5および図6に示す例では、駐車支援装置10の演算解析機能F12は、車両1を駐車するのに必要な空間と、道路脇、すなわち道路Rの歩道W側の部分における障害物が存在しない空間とを比較して駐車予定位置Lpを算出した。しかし、図7および図8に示す例において、駐車支援装置10の演算解析機能F12は、たとえば、外界センサ4の外界情報Ieに基づいて認識された駐車スペースPを画定する枠線Fの内側の領域に駐車予定位置Lpを設定することができる。
図7および図8に示す例では、図5および図6に示す例と同様に、車両1が最初に後退を開始する制御開始位置Dpで、駐車支援装置10は、物体の位置Poである縁石Cの位置を、実際の縁石Cの位置よりも歩道W側の座標点列Scとして認識している。そのため、図4に示す処理P4において、駐車支援装置10の演算解析機能F12は、たとえば図7に示すように、車両1の駐車予定位置Lpを、適切な位置よりも縁石Cに近い位置に設定する場合がある。
この場合、図4に示す処理P10において、演算解析機能F12は、たとえば、車両1に接触する可能性がある障害物である縁石Cが認識された(YES)と判定し、処理P12において、車両制御装置7は、車両1を障害物の手前の停車位置で停車させる。次に、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、駐車予定位置Lpの修正可能範囲Aを算出する処理P13を実行する。
図8に示すように、修正可能範囲Aの歩道W側の境界Bwは、前述の図6に示す例と同様に設定することができる。また、修正可能範囲Aの道路R側の境界Brは、たとえば、次のように設定することができる。まず、車両1が走行経路Rpに沿って移動を開始した後に認識された道路標示である駐車スペースPの枠線Fの座標点列のうち、最も道路R側に位置する座標点p1,p2に基づいて、修正可能範囲Aの道路R側の境界Brを設定する。
より具体的には、修正可能範囲Aの道路R側の境界Brは、たとえば、車両1の前後で駐車スペースPを画定する枠線Fの最も道路R側に位置する座標点p1,p2を結ぶ直線に設定することができる。また、車両1の前後の修正可能範囲Aの境界Bf,Bbは、たとえば、座標点p1,p2を通る車両1の幅方向の直線に設定することができる。以上のように、処理P13において、駐車支援装置10は、たとえば、演算解析機能F12により、修正可能範囲Aの車両1の前後、道路R側、および歩道W側の境界Bf,Bb,Br,Bwを設定し、修正可能範囲Aを画定することができる。
その後、図8に示す例においても、図6に示す例と同様に、駐車支援装置10によって図4に示す処理P14を実行し、車両制御装置7と駐車支援装置10によって処理P8から処理P11までを繰り返すことで、車両1は、新たな走行経路Rp’に沿って走行し、修正駐車位置Lp’に到達する。すると、車両制御装置7は、処理P11において、車両1が目標位置に到達した(YES)と判定し、車両1を停車させる処理P15を実行し、図4に示す駐車支援の処理フローが終了する。
以上のように、本実施形態の駐車支援装置10は、車両1の駐車予定位置Lpと走行経路Rpとを算出する装置である。駐車支援装置10は、車両1に搭載された外界センサ4から車両1の周囲の外界情報Ieを取得し、外界情報Ieに基づいて物体を認識し、物体の位置に基づいて駐車予定位置Lpを算出し、車両1の制御開始位置から駐車予定位置Lpまでの走行経路Rpを算出する。さらに、駐車支援装置10は、車両1が走行経路Rpに沿って移動を開始した後に外界情報Ieに基づいて障害物が認識された場合に、その障害物の位置に基づいて駐車予定位置Lpの修正可能範囲Aを算出するとともに、その修正可能範囲Aに含まれる修正駐車位置Lp’までの走行経路Rp’を算出する。
この構成により、駐車支援装置10は、車両1の縦列駐車の駐車支援を行って、縁石Cなどの歩道W側の障害物と車両1との間に適切な距離を確保しつつ、車両1が道路R側にはみ出すのを防止することができる。したがって、本実施形態の駐車支援装置10によれば、車両1をより適切な位置に駐車させることができ、車両1の運転者や搭乗者の安全性、利便性、および安心感を向上させることができる。
また、本実施形態の駐車支援装置10は、車両1の幅方向において障害物が駐車予定位置Lpに対して制御開始位置Dpの反対側に位置する場合に、障害物の種別を判定し、その種別に応じて幅方向における障害物と修正可能範囲Aとの間隔を設定する。この構成により、縁石Cのような高さの低い障害物の場合に、駐車後の車両1と障害物との間隔が必要以上に広くなるのを防止することができる。また、フェンスや壁のような高さが高い障害物の場合に、車両1の運転者や搭乗者の乗降に支障のない間隔を確保することができる。
また、本実施形態の駐車支援装置10は、車両1の前後方向において、たとえば駐車車両V1,V2などの障害物が駐車予定位置Lpの前方または後方に位置する場合に、車両1の幅方向において、障害物の端部の位置に基づいて、修正可能範囲Aの境界を設定する。この構成により、車両1の駐車後に、駐車車両V1,V2などの障害物に対して、車両1の幅方向において道路R側に極端にはみ出すことが防止される。これにより、車両1の運転者や搭乗者の安全を確保し、車両1の運転者や搭乗者が不自然さや危険を感じるのを防止できる。
また、本実施形態の駐車支援装置10は、車両1の駐車が可能な位置を示す道路標示である枠線Fを外界情報Ieに基づいて認識し、道路標示の有無に応じて修正可能範囲Aを設定する。この構成により、駐車が可能な位置を示す道路標示である枠線Fの有無にかかわらず、車両1を適切な位置に駐車することが可能になる。
以上説明したように、本実施形態によれば、車両1をより適切な位置に駐車させることが可能な駐車支援装置10を提供することができる。
以上、図面を用いて本開示に係る駐車支援装置の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本開示に含まれるものである。