JP2021127280A - 金属酸化物複合体およびその製造方法、並びに二酸化炭素の分離方法 - Google Patents

金属酸化物複合体およびその製造方法、並びに二酸化炭素の分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】鉄鋼スラグから変換されたメソ細孔を有する多孔質シリカを含む金属酸化物複合体を提供する。【解決手段】メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含み、Si、Ca、MgおよびAlの合計原子数に占めるCaとMgとの合計割合が30原子%以上である、金属酸化物複合体。【選択図】図1

Description

本発明は、メソ細孔を有する多孔質シリカを含む金属酸化物複合体に関する。
鉄鉱石から鋼を製造する工程には、高炉で鉄鉱石から鉄(銑鉄)を取り出す製銑と呼ばれる工程と、銑鉄から鋼を製造する製鋼と呼ばれる工程とが含まれる。これらの工程においては、鉄鋼スラグが副生成物として得られる。鉄鋼スラグは、鉄鉱石中の鉱物成分、石灰石などが、溶融し、複合化することで生成する。鉄鋼スラグのうち、製銑工程で生成するものは高炉スラグと呼ばれ、製鋼工程で生成するものは製鋼スラグと呼ばれている。
高炉スラグは年間2303万トン、製鋼スラグは年間1367万トン生産されている(2017年度)。そのため、国内における処分場の不足、処理費用の高騰が問題となっており、鉄鋼産業においては、以前より鉄鋼スラグの有効利用法を見出すことが課題となっていた。現在、鉄鋼スラグの多くはセメント・コンクリート材、路盤材、埋め立て材などに利用されている。しかし、公共事業の縮小化や環境基準の厳格化といった観点から新しい鉄鋼スラグの再利用法が希求されている。
鉄鋼スラグの再利用法としては、例えば、特許文献1では、高炉スラグ微粉末と消石灰とを含む、重金属や揮発性有機塩素化合物などの汚染物に対する浄化用吸着材が報告されている。特許文献2には、製鋼スラグを加熱処理して得られる重金属吸着材が開示されている。また、特許文献3には、焼却施設などで生成するフライアッシュのような廃棄物に、鉄スラグを添加して特定の温度で反応させて環境に無害な溶融生成物を得ることにより、廃棄物を低コストで処理する方法が開示されている。
鉄鋼スラグは、酸化カルシウム(CaO)および二酸化ケイ素(SiO)を主成分とする多成分系の酸化物である。鉄鋼スラグの大部分を占める高炉スラグには、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム(Al)、酸化マグネシウム(MgO)の他に、鉄、チタン、マンガンなどの微量の遷移金属の酸化物も含まれている。一方、製鋼スラグには、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムに加え、鉄の酸化物が多く含まれている。
このように、鉄鋼スラグは特徴ある化学組成を有しているため、化学的プロセスを経て含まれる成分を再構築することで、鉄鋼スラグを高付加価値材料に転換できる可能性がある。そこで、鉄鋼スラグを酸やアルカリで処理することにより、鉄鋼スラグからシリカ成分のみを抽出、分離し、高純度シリカやゼオライトを製造する技術についても検討されている。
例えば、特許文献4では、鉄鋼スラグなどの溶融スラグに、特定濃度の酸を加えて、特定条件下で溶解処理することにより、高比表面積シリカやメソポーラスシリカなどのシリカを製造する方法が報告されている。特許文献5では、鉄鋼スラグにリン酸またはリン酸塩を添加した混合物に、アルカリを添加することにより、吸着材として有用なハイドロキシアパタイトとゼオライトとの複合体を製造する方法が開示されている。
また、鉄鋼産業が抱えるもう一つの課題として、製銑工程において大量に発生する二酸化炭素(CO)の排出量削減が挙げられる。製銑工程では、還元剤として用いられるコークスによって大量のCOが発生する。鉄鋼産業から排出されるCOは年間1億6346万トンであり、日本の産業全体から排出されるCO排出量の13.7%を占めるとされている(2017年度)。このため、鉄鋼業界では地球温暖化対策としてCOの排出量を約30%削減する革新的製鉄プロセス技術開発(COURSE50)プロジェクトが立ち上げられており、COの排出量削減は喫緊の課題となっている。そこで、現在、アミン溶液を用いた化学吸収法により、大量のCOを分離、回収する技術が提案されている。
特開2017−170420号公報 特開2019−37924号公報 特開2019−122949号公報 特開2019−156667号公報 特開2010−189241号公報
従来の鉄鋼スラグの再利用法では、大量に生産される鉄鋼スラグを簡易な方法で効率的に処理することは困難であった。また、鉄鋼スラグを酸やアルカリで処理してシリカ成分を抽出、分離する方法も、シリカ成分以外の金属成分は利用できないため、リサイクル効率の高い再利用法とはなり得なかった。
CO排出量の削減のためにアミン溶液を用いる化学吸収法は、大量のCOを分離、回収するのに適した技術である。しかし、アミン溶液は液体であるためコンパクト性に欠け、さらに劣化速度が速く設備の腐食を起こすという欠点を持つ。そのため、固体で繰り返し利用可能なCO吸収材が求められている。
本発明の一側面は、メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含み、Si、Ca、MgおよびAlの合計原子数に占めるCaとMgとの合計割合が30原子%以上である、金属酸化物複合体に関する。
本発明の他の側面は、上記金属酸化物複合体を含む、二酸化炭素吸着材に関する。
本発明の更に他の側面は、(i)酸性水溶液に溶解させた鉄鋼スラグの溶解物と、メソ細孔に対応する有機構造規定剤と、を含む前駆体水溶液を調製する工程と、(ii)前記前駆体水溶液中で沈殿物を生成させる工程と、(iii)前記沈殿物を乾燥させた後、500℃以上800℃以下で焼成して、メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含む金属酸化物複合体を生成させる工程と、を含む、金属酸化物複合体の製造方法に関する。
本発明の更に他の側面は、上記金属酸化物複合体と、二酸化炭素を含むガスとを、600℃以上800℃以下の温度環境で接触させて、前記ガスに含まれる前記二酸化炭素の少なくとも一部を前記金属酸化物複合体に吸着させる工程、を含む、二酸化炭素の分離方法に関する。
本発明によれば、鉄鋼スラグを有用な金属酸化物複合体に容易に変換することができる。
実施例1で得られた金属酸化物複合体を透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影した画像である。 比較例1で得られた金属酸化物複合体をTEMを用いて撮影した画像である。 実施例1〜3で得られた金属酸化物複合体のX線回折(XRD)パターンである。 実施例1で得られた金属酸化物複合体をTEMを用いて撮影した画像である。 実施例1で得られた金属酸化物複合体のエネルギー分散型X線分析(EDX)スペクトルである。 実施例1で得られた金属酸化物複合体を酸性水溶液で洗浄後にTEMを用いて撮影した画像である。 実施例1〜3で得られた金属酸化物複合体の窒素吸脱着等温線である。 実施例1〜3で得られた金属酸化物複合体の窒素吸脱着等温線から求めた細孔径分布プロットである。 実施例1、実施例4、実施例5および比較例2で得られた金属酸化物複合体の窒素吸脱着等温線である。 実施例1、実施例4、実施例5および比較例2で得られた金属酸化物複合体の窒素吸脱着等温線から求めた細孔径分布プロットである。 実施例1、実施例6および実施例7で得られた金属酸化物複合体の窒素吸脱着等温線である。 実施例1、実施例6および実施例7で得られた金属酸化物複合体の窒素吸脱着等温線から求めた細孔径分布プロットである。 実施例1および比較例1で得られた金属酸化物複合体、原料に用いた高炉スラグ、メソポーラスシリカと酸化カルシウムとの混合物ならびに酸化カルシウムの二酸化炭素吸脱着試験の結果を示す図である。 実施例1、実施例6および実施例7で得られた金属酸化物複合体の二酸化炭素吸脱着試験の結果を示す図である。
本発明に係る金属酸化物複合体は、メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含む。金属酸化物複合体において、Si、Ca、MgおよびAlの合計原子数に占めるCaとMgとの合計割合は30原子%以上である。メソ細孔とは、直径2nm〜50nmの細孔をいう。CaとMgは、比較的強いアルカリ性を示す元素である。よって、金属酸化物複合体は、二酸化炭素との親和性が高く、二酸化炭素吸着材として有用である。
金属酸化物複合体に含まれる、例えば、酸化カルシウムは、一般式(1)の反応により、二酸化炭素を吸脱着する。
CaO + CO ⇔ CaCO (1)
金属酸化物複合体は、特に600℃以上800℃以下の温度環境で二酸化炭素に対して高い吸脱着性を示す。金属酸化物複合体と、二酸化炭素を含むガスとを、600℃以上800℃以下の温度環境で接触させることにより、ガスに含まれる二酸化炭素の少なくとも一部を金属酸化物複合体に吸着させて、二酸化炭素を分離することができる。
したがって、鉄鋼産業が擁する設備において生成される鉄鋼スラグから金属酸化物複合体を合成し、合成された金属酸化物複合体を二酸化炭素吸着材として利用することにより、当該設備で生成される二酸化炭素の大気中に排出される量を大幅に、かつ効率よく削減することが可能となる。
二酸化炭素の高い吸着性とメソ細孔構造の高い安定性が得られる点で、金属酸化物複合体中のSi、Ca、MgおよびAlの合計原子数に占めるCaとMgとの合計割合は、35原子%以上であることが好ましく、40原子%以上であることがより好ましい。金属酸化物複合体中のSi、Ca、MgおよびAlの原子数は、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析、エネルギー分散型X線分析(EDX)の元素マッピングなどにより求めることができる。
金属酸化物複合体の全細孔容積は、高い吸着性を得るために、0.1cm/g以上であることが好ましく、0.3cm/g以上であることがより好ましい。
金属酸化物複合体のBET比表面積は、高い吸着性を得るために、50m/g以上であることが好ましく、100m/g以上であることがより好ましい。
金属酸化物複合体の全細孔容積に占めるメソ細孔の割合は、高い吸着性を得るために、30体積%以上であることが好ましく、50体積%以上であることがより好ましい。
全細孔容積、全細孔容積に占めるメソ細孔の割合およびBET比表面積は、例えば、JIS Z8830(2013)に準拠したガス吸着法により求めることができる。
金属酸化物複合体の平均細孔直径は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましい。平均細孔直径とは、体積基準の細孔径分布におけるメディアン径を意味する。体積基準の細孔径分布は、上記と同様のガス吸着法により測定することができる。
本発明に係る金属酸化物複合体は、さらに、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。これらを含む場合でも、例えば、二酸化炭素に対する高い吸着性を維持できることに変わりはなく、金属酸化物複合体の有用性が損なわれることはない。
次に、本発明に係る金属酸化物複合体の製造方法について説明する。
製造方法は、(i)酸性水溶液に溶解させた鉄鋼スラグの溶解物と、メソ細孔に対応する有機構造規定剤と、を含む前駆体水溶液を調製する工程と、(ii)前駆体水溶液中で沈殿物を生成させる工程と、(iii)沈殿物を乾燥させた後、500℃以上800℃以下で焼成して、メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含む金属酸化物複合体を生成させる工程と、を含む。
メソ細孔を有する多孔質シリカは、一般的に、酸性または塩基性の条件下、ミセル粒子を含む溶液にシリカ源を添加して熟成させることでシリカゲル骨格を形成させ、その後、高温で焼成することにより製造される。メソ細孔の大きさや形は、ミセル粒子を形成する有機構造規定剤の種類、熟成温度、熟成時間などによって制御することができる。本発明に係る金属酸化物複合体の製造方法においては、シリカ源として鉄鋼スラグを用いることを特徴とする。鉄鋼スラグは鉄鋼産業において副生成物として大量に産出されるものである。鉄鋼スラグのシリカ源としての利用は、金属酸化物複合体の製造コストを削減し得るだけでなく、鉄鋼スラグの有効な再利用法ともなり得る。すなわち、鉄鋼スラグを原料とすることで、鉄鋼産業などにおいて大量に必要となる二酸化炭素吸着材を、安価かつ大量に供給することが可能となる。
以下、工程(i)〜(iii)について、詳細に説明する。
(工程(i))
工程(i)においては、酸性水溶液に溶解させた鉄鋼スラグの溶解物と、メソ細孔に対応する有機構造規定剤と、を含む前駆体水溶液を調製する。
原料として用いる鉄鋼スラグとしては、高炉スラグ、製鋼スラグのいずれを使用してもよい。高炉スラグには、高炉から排出された溶融状態のスラグを徐冷して得られる高炉徐冷スラグ、急激に冷却して得られる水砕スラグなどが含まれる。また、製鋼スラグには、転炉において、銑鉄に酸素を吹き付けて酸化精練する際に生成する転炉系スラグ、電気炉において、鉄スクラップを精練する際に生成する電気炉系スラグなどが含まれる。電気炉系スラグには、酸化精練で生成する酸化スラグと、還元精練で生成する還元スラグとが含まれる。
鉄鋼スラグには、二酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムの他に、鉄、チタン、マンガンなどの微量の遷移金属の酸化物も含まれている。原料として用いる鉄鋼スラグに含まれるSi、Ca、MgおよびAlの質量比は、特に限定されないが、吸着性および耐久性の高い金属酸化物複合体が得られる点で、鉄鋼スラグとしては、特に高炉スラグを用いることが好ましい。
鉄鋼スラグの大きさは、特に限定されないが、酸性水溶液に溶解させやすい点で、直径1mm以下に粉砕してから用いることが好ましい。
酸性水溶液としては、一般的にメソ細孔を有する多孔質シリカの合成に用いられる無機酸の水溶液を用いることができる。また、水中での酸解離定数(pKa)が概ね5.0以下の有機酸の水溶液を、酸性水溶液として用いることもできる。
無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、塩素酸、過塩素酸、臭素酸、過臭素酸、ヨウ素酸、過ヨウ素酸などが挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酪酸、イソ酪酸、レブリン酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、イソカプロン酸、エナント酸、イソエナント酸、マロン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。工程(iii)の焼成工程において、分解、除去されやすく、金属酸化物複合体に残留成分が存在しにくくなることから、酸性水溶液としては有機酸の水溶液を用いることが好ましい。特にギ酸が好ましく用いられる。
酸性水溶液のpHは、特に限定されないが、鉄鋼スラグの溶解性と、焼成による除去のしやすさとを考慮すると、3以下であることが好ましく、0.5以上2以下であることがより好ましい。
酸性水溶液に溶解させる鉄鋼スラグの量は、酸性水溶液および鉄鋼スラグの種類に応じて適宜決定することができる。ここで少量の不溶物が存在しても、工程(ii)および工程(iii)に影響はなく、目的とする金属酸化物複合体を得ることができる。
有機構造規定剤としては、一般的にメソ細孔を有する多孔質シリカの合成に用いられる公知の有機構造規定剤を用いることができる。メソ細孔に対応する有機構造規定剤とは、目的とする金属酸化物複合体に含まれる多孔質シリカの細孔のサイズを所望のサイズにし得る有機構造規定剤を意味する。通常、有機構造規定剤の種類、分子の長さなどにより、細孔のサイズや形が決定する。
有機構造規定剤としては、カチオン性界面活性剤や非イオン性界面活性剤などを用いることができる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、ハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウム、ハロゲン化ジアルキルジメチルアンモニウム、ハロゲン化アルコキシトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(iii)の焼成工程において、分解、除去されやすく、金属酸化物複合体に残留成分が存在しにくくなることから、非イオン性界面活性剤を用いることが好ましい。特に、多孔質シリカの多孔性が高くなることから、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体を用いることが好ましい。ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンのブロック共重合体の市販品としては、Pluronic(登録商標) P123、Pluronic(登録商標) F127(いずれもALDRICH社製)などが挙げられる。
有機構造規定剤の分子量としては特に限定されないが、1000以上20000以下が好ましい。1000未満では、得られる多孔質シリカの細孔の直径が2nm未満となり、50000を超えると取り扱いにくくなる。
シリカ源である鉄鋼スラグと有機構造規定剤との混合比率は、特に限定されないが、有機構造規定剤と鉄鋼スラグに含まれるシリカ(SiO)成分との反応によって多孔質シリカが形成されることから、鉄鋼スラグに含まれるSiO成分と有機構造規定剤との質量比:SiO/有機構造規定剤は、0.3以上1.5以下であることが好ましい。このとき、メソ細孔を有する多孔質シリカが得られやすくなる。特に、質量比は0.5以上1.0以下であることが好ましい。
工程(i)の前駆体水溶液の調製方法は特に限定されず、メソ細孔を有する多孔質シリカの公知の調製方法を用いることができる。有機構造規定剤とシリカ源との反応性を均一化する観点から、まず酸性水溶液に鉄鋼スラグを十分に溶解させ、その後、有機構造規定剤を添加することが好ましい。
酸性水溶液に溶解させた鉄鋼スラグの溶解物と、メソ細孔に対応する有機構造規定剤とを含む前駆体水溶液を調製する温度は、鉄鋼スラグ、酸性水溶液および有機構造規定剤の種類に応じて適宜決定される。例えば、室温以上100℃以下の温度で調製することができる。
得られる金属酸化物複合体に形成されるメソ細孔径を制御する目的で、前駆体水溶液には適宜拡張剤を加えてもよい。拡張剤を添加することで、有機構造規定剤が拡張し、多孔質シリカのメソ細孔をより大きくすることができる。
拡張剤としては、疎水性有機物を用いることができる。疎水性有機物としては、例えば、ヘキサン、デカンなどの直鎖アルカン、ベンゼン、アルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼンなどのアルキル芳香族化合物などの疎水性炭化水素類が挙げられる。拡張剤と有機構造規定剤との混合比率は、特に限定されないが、拡張剤と有機構造規定剤との質量比:拡張剤/有機構造規定剤は、1.0以上10.0以下であることが好ましく、2.0以上5.0以下であることがより好ましい。
(工程(ii))
工程(ii)においては、工程(i)で得られた前駆体水溶液中で沈殿物を生成させる。この工程において、工程(i)で得られた前駆体水溶液中の鉄鋼スラグから溶出したSiによって、メソ細孔構造を持つシリカゲル骨格が形成される。
工程(i)で得られた前駆体水溶液中で沈殿物を生成させる方法は、特に限定されない。多孔性の高い多孔質シリカを得るために必要なシリカゲル骨格を形成させるためには、前駆体水溶液を室温以上200℃以下の温度で熟成して沈殿物を生成させることが好ましい。加熱温度は80℃以上150℃以下であることがより好ましい。加熱は、温度に応じて、密閉性圧力容器内で行ってもよい。
加熱時間は、沈殿物が十分に生成する時間であればよく、例えば、3時間以上48時間以下、より好ましくは6時間以上24時間以下である。加熱は、攪拌しながら行ってもよく、攪拌せずに保持するだけでもよい。攪拌しながら加熱する場合には、均一かつ高表面積を有する沈殿物が得られやすくなる。加熱温度によって有機構造規定剤の大きさが変わるため、生成する沈殿物に形成されるメソ細孔の直径や容積は変化し得る。そのため、所望のサイズのメソ細孔を形成させるために、加熱温度を途中で変化させてもよい。
(工程(iii))
工程(iii)においては、工程(ii)で得られる沈殿物を乾燥させた後、500℃以上800℃以下で焼成して、メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含む金属酸化物複合体を生成させる。
工程(ii)で得られる沈殿物の乾燥方法は特に限定されないが、エバポレーションにより乾燥させることが好ましい。焼成前に沈殿物を洗浄することなく、直接沈殿物をエバポレーションによって乾燥させることにより、焼成後に得られる金属酸化物複合体には、鉄鋼スラグに含まれていた全ての金属成分が含まれることになる。その結果、金属酸化物複合体には、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムが含まれる。この場合、鉄鋼スラグのほぼ全量を金属酸化物複合体に変換し、有用な製品(特に二酸化炭素吸着材)として再利用することができるようになる。エバポレーションは、例えば、ロータリーエバポレーターなどを用いて行うことができる。
工程(ii)で得られる沈殿物を乾燥させた後、500℃以上800℃以下で焼成することにより、メソ細孔を有する多孔質シリカを含む金属酸化物複合体が形成される。同時に、工程(i)で用いた酸や有機構造規定剤などが分解し、除去される。焼成温度は、500℃以上700℃以下であることがより好ましい。焼成方法は、特に限定されないが、例えば、大気中、乾燥させた沈殿物を焼成してもよい。焼成時間は、例えば、1時間以上12時間以下、より好ましくは2時間以上6時間以下である。
以下、本開示に係る金属酸化物複合体を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[金属酸化物複合体の製造]
(実施例1)
工程(i)
室温下で鉄鋼スラグ3.0gをギ酸の3M水溶液(pH約1)33mLに溶解させた。得られた溶解物に、有機構造規定剤となるPluronic(登録商標) P123(分子量5,800、ALDRICH社製)1.7gを添加し、前駆体水溶液を調製した。
鉄鋼スラグとしては高炉スラグを用いた。誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析で測定したところ、SiO含有量が34.6質量%、CaO含有量が40.1質量%、MgO含有量が5.3質量%、Al含有量が14.8質量%であった。また、鉄鋼スラグに含まれるSiOと有機構造規定剤との質量比:SiO/有機構造規定剤は、0.61であった。
工程(ii)
工程(i)で得られた前駆体水溶液をガラスビーカー内で40℃、大気圧下で24時間攪拌した後、ポリテトラフルオロエチレン製容器に移して密閉し、さらに100℃で24時間保持して沈殿物を生成させた。
工程(iii)
工程(ii)で生成した沈殿物を、ロータリーエバポレーターを用いて乾燥させた。その後、乾燥物を大気中600℃で4時間焼成し、金属酸化物複合体を合成した。
(実施例2)
工程(i)において、保持温度を100℃から130℃に変更した以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(実施例3)
工程(i)において、保持温度を100℃から150℃に変更した以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(実施例4)
工程(iii)において、焼成温度を600℃から700℃に変更した以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(実施例5)
工程(iii)において、焼成温度を600℃から750℃に変更した以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(実施例6)
工程(i)において、ギ酸の3M水溶液の代わりに硝酸の3M水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(実施例7)
工程(i)において、ギ酸の3M水溶液の代わりに塩酸の3M水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(比較例1)
工程(i)において、有機構造規定剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
(比較例2)
工程(iii)において、焼成温度を600℃から900℃に変更した以外は実施例1と同様にして金属酸化物複合体を合成した。
[金属酸化物複合体の構造評価]
実施例および比較例で得られた金属酸化物複合体について、以下の測定により構造を分析した。
(1)走査電子顕微鏡(SEM)−エネルギー分散型X線分析(EDX)
SEMとしてJSM−5600(日本電子(株)製)を用い、加速電圧20kVで測定を実施した。EDX装置としては、EDAX Genesis(AMETEK社製)を用いた。
(2)透過型電子顕微鏡(TEM)
TEMとしてARM200F(日本電子(株)製)を用い、加速電圧200kVで測定を実施した。
(3)X線回折(XRD)
XRD装置としてUltimaIV((株)リガク製)を用い、加速電圧40kV、放電電流40mVで測定を実施した。
(4)エネルギー分散型X線分析(EDX)
EDX装置としてJED−2300T(日本電子(株)製)を用いた。
(5)窒素吸脱着測定
JIS Z8830(2013)に準拠したガス吸着法により測定した。
窒素吸脱着測定前に、試料に付着した物理吸着水を取り除く目的で、予め真空下、200℃で3時間前処理を行った。測定は、BELSOPR−max(マイクロトラック・ベル(株)製)を用い、液体窒素温度(−196℃)にて実施した。
実施例1で得られた金属酸化物複合体について、SEM−EDXによる元素分析を行った。各元素の含有量は、酸化物としてSiOが40.0質量%、CaOが36.5質量%、Alが17.4質量%、MgOが3.7質量%、Feが1.1質量%、MnOが0.5質量%、TiOが0.8質量%であった。このことから、金属酸化物複合体には、シリカ以外に、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムに加え、鉄、マンガン、チタニウムなどの鉄鋼スラグに由来する微量の金属元素も含まれていると考えられる。また、Si、Ca、MgおよびAlの合計原子数に占めるCaとMgとの合計割合は、42原子%であった。
実施例1および比較例1で得られた金属酸化物複合体をTEMにより観察した。実施例1の金属酸化物複合体の画像を図1に、比較例1の金属酸化物複合体の画像を図2に示す。実施例1の金属酸化物複合体がスポンジ状のメソ細孔構造を有する多孔質シリカの部分と、メソ細孔構造を有しない部分とを含む複合体であることが確認された。一方、比較例1の金属酸化複合物には、スポンジ状のメソ細孔構造は見られなかった。このことから、有機構造規定剤を用いなかった比較例1では、メソ細孔を有する多孔質シリカが生成しなかったことが明らかになった。
実施例1〜3で得られた金属酸化物複合体について、XRDによる分析を行った結果を図3に示す。いずれの金属酸化物複合体においても、観察されたピークは酸化カルシウムおよび炭酸カルシウムに由来するものであった。炭酸カルシウムは、酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応して生成したものと推測される。工程(i)における保持温度に関わらず、得られる金属酸化物複合体には、二酸化炭素を吸着する酸化カルシウムが含まれることが確認された。
実施例1で得られた金属酸化物複合体をTEMおよびEDXによりさらに詳細に分析した。図4に示したTEM画像で観察された領域A、B、CおよびDについて、それぞれEDXにより測定した結果を図5に示す。領域A、BおよびCでは、シリカ、炭酸カルシウムだけでなく、マグネシウムやアルミニウムに由来するピークも見られた。一方、領域Dではシリカ、マグネシウム、アルミニウムに由来するピークは見られず、炭酸カルシウムに由来するピークのみが観察された。
スポンジ状のメソ細孔構造が見られた領域Cは、メソ細孔構造を有しない領域AおよびBと異なり、炭酸カルシウムの含有量が低かったことから、アルミニウムやマグネシウムが固溶したシリカであると推測される。これらの結果から、金属酸化物複合体は、酸化カルシウムが大気中の二酸化炭素と反応して生成した炭酸カルシウム相と、メソ細孔を有する多孔質シリカ相とがミクロレベルで混合した複合体であることが明らかとなった。SEM−EDXによる元素分析でも確認されたアルミニウムやマグネシウムは多孔質シリカ相に取り込まれていると考えられる。
実施例1で得られた金属酸化物複合体を3Mの硝酸に入れ、室温で3時間攪拌した後、蒸留水で洗浄した。洗浄後の金属酸化物複合体をTEMにより観察した画像を図6に示す。洗浄後は、全体的にスポンジ状のメソ細孔構造を有しており、洗浄前に存在していたメソ細孔構造を有しない部分は観察されなかった。硝酸で洗浄することにより、二酸化炭素と反応する酸化カルシウムは溶解し、洗浄後には金属酸化物複合体中に存在していないものと考えられる。
実施例1の金属酸化物複合体は、洗浄工程を含まずに製造されることによって、二酸化炭素と反応する酸化カルシウムと、メソ細孔構造を有する多孔質シリカとを含む金属酸化物複合体になり得ることが確認された。
実施例1〜7および比較例1〜2で得られた金属酸化物複合体の全細孔容積、BET比表面積、平均細孔直径および全細孔容積に占めるメソ細孔の割合を、ガス吸着法を用いた窒素吸脱着測定により測定した。結果を表1に示す。また、吸脱着等温線および細孔径分布プロットを図7〜図12に示す。
Figure 2021127280
実施例1〜5の金属酸化物複合体の平均細孔直径は11.0〜12.1nmであり、メソ細孔構造を有する多孔質を含むことがわかった。また、全細孔容積、BET比表面積ともに高い値を示していた。
また、実施例6および実施例7の金属酸化物複合体は、実施例1〜5の金属酸化物複合体と比較して、全細孔容積、全細孔容積に占めるメソ細孔の割合およびBET比表面積の値が低かった。調製工程で残存した硝酸イオン、塩化物イオンの影響により焼成時にメソ細孔構造が一部壊れ、多孔性が低下したものと考えられる。
工程(iii)における焼成温度を900℃とした比較例2の金属酸化物複合体は平均細孔直径が66.8nmであり、メソ細孔構造を含まないと考えられる。全細孔容積およびBET比表面積の値も低く、900℃の高温ではメソ細孔構造が壊れ、多孔性が大きく低下するものと考えられる
[金属酸化物複合体の二酸化炭素吸脱着性]
実施例1〜3、実施例6〜7および比較例1で得られた金属酸化物複合体の二酸化炭素の脱吸着性を、熱分析装置ThermoPlus EVO II((株)リガク製)を用いて実施した。
10mgの金属酸化物複合体を試料として用いた。700℃において、二酸化炭素(CO)と窒素(N)との混合ガス(CO濃度:10体積%)を50mL/分で流通させて2.5時間吸着処理を行い、その後、750℃において、Nガスを50mL/分で1時間流通させて脱着処理を行った。
原料として用いた高炉スラグを試料とした参考例1、メソポーラスシリカと酸化カルシウムとの物理混合物を試料とした参考例2、酸化カルシウムを試料とした参考例3についても同様の測定を行った。メソポーラスシリカとしては、SBA−15(BET比表面積670m/g、全細孔容積1.09cm/g)を用いた。酸化カルシウムとメソポーラスシリカとの混合比は、酸化カルシウムの試料全体に占める質量割合が40質量%となるようにした。
実験データより、金属酸化物複合体(試料)全体に対するCOの吸着率(CO(g)/試料(g))と、試料に含まれる酸化カルシウムに対するCOの吸着率(CO(g)/CaO(g))を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2021127280
また、実施例1、実施例6、実施例7および比較例1で得られた金属酸化物複合体、参考例1〜3の試料について、上記の吸脱着処理を3サイクル行った結果を図13および図14に示す。
表2より、実施例1〜3の金属酸化物複合体は、いずれも高い吸着率を示すことがわかった。特に、全細孔容積およびBET比表面積が最も高かった実施例3の金属酸化物複合体が、最も高い吸着性を示した。実施例1〜3の金属酸化物複合体の吸着率は参考例2の混合物と比較しても高い値であった。複合体を形成することにより、二酸化炭素の吸着を担う酸化カルシウム相が高分散化されるため、より吸着性が上がるものと考えられる。また、メソ細孔構造を有しない比較例1の金属酸化物複合体の吸着性は低かった。
また、実施例6および実施例7の金属酸化物複合体の吸着性は、実施例1〜3の金属酸化物複合体と比較すると低かった。調製工程で残存した硝酸イオン、塩化物イオンの影響により焼成時にメソ細孔構造の一部が壊れ、多孔性が低下したためであると考えられる。高い吸着性を有する金属酸化物複合体を得るためには、製造時、工程(i)における酸性水溶液として、工程(iii)の焼成工程で分解、除去されやすい有機酸の水溶液を用いることが好ましいと考えられる。
吸脱着処理を3サイクル行っても、実施例1の金属酸化物複合体の吸脱着量に大きな変化は見られなかった。熱的安定性に優れる多孔質シリカ相を含むため、吸脱着処理を繰り返し行っても構造の安定性が保たれたためと考えられる。
本発明によれば、鉄鋼スラグを、有用なメソ細孔を有する多孔質シリカを含む金属酸化物複合体に容易に変換することができる。鉄鋼スラグは鉄鋼産業において副生成物として大量に産出されるものである。したがって、金属酸化物複合体への変換は、鉄鋼スラグの有効な再利用法となる。さらに、金属酸化物複合体は高い二酸化炭素の吸脱着性を有するため、鉄鋼産業で生成する二酸化炭素の大気中に排出される量を大幅に、かつ効率よく削減する吸着材としての利用が期待できる。

Claims (11)

  1. メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含み、
    Si、Ca、MgおよびAlの合計原子数に占めるCaとMgとの合計割合が30原子%以上である、金属酸化物複合体。
  2. 全細孔容積が0.1cm/g以上であり、
    BET比表面積が50m/g以上である、請求項1に記載の金属酸化物複合体。
  3. さらに、酸化鉄、酸化マンガンおよび酸化チタンからなる群より選択される少なくとも1種を含む、請求項1または2に記載の金属酸化物複合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属酸化物複合体を含む、二酸化炭素吸着材。
  5. (i)酸性水溶液に溶解させた鉄鋼スラグの溶解物と、メソ細孔に対応する有機構造規定剤と、を含む前駆体水溶液を調製する工程と、
    (ii)前記前駆体水溶液中で沈殿物を生成させる工程と、
    (iii)前記沈殿物を乾燥させた後、500℃以上800℃以下で焼成して、メソ細孔を有する多孔質シリカと、酸化カルシウムと、酸化マグネシウムと、酸化アルミニウムと、を含む金属酸化物複合体を生成させる工程と、を含む、金属酸化物複合体の製造方法。
  6. 工程(i)において、前記酸性水溶液に前記鉄鋼スラグを溶解させ、その後、前記有機構造規定剤を添加する、請求項5に記載の金属酸化物複合体の製造方法。
  7. 工程(ii)において、前記前駆体水溶液を室温以上200℃以下で加熱する、請求項5または6に記載の金属酸化物複合体の製造方法。
  8. 工程(iii)において、前記沈殿物をエバポレーションにより乾燥させる、請求項5〜7のいずれか1項に記載の金属酸化物複合体の製造方法。
  9. 前記酸性水溶液が、有機酸の水溶液である、請求項5〜8のいずれか1項に記載の金属酸化物複合体の製造方法。
  10. 前記有機構造規定剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項5〜9のいずれか1項に記載の金属酸化物複合体の製造方法。
  11. 請求項1に記載の金属酸化物複合体と、二酸化炭素を含むガスとを、600℃以上800℃以下の温度環境で接触させて、前記ガスに含まれる前記二酸化炭素の少なくとも一部を前記金属酸化物複合体に吸着させる工程、を含む、二酸化炭素の分離方法。
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