JP2021124422A - 信号処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドップラーレーダによって検出される計測点がマイクロドップラ点であるか否かを判定する技術を提供する。【解決手段】S310では、信号処理装置は、情報取得部が取得した測定情報を用いて、小クラスタ許容サイズに、クラスタサイズの上限を制限したクラスタリングを実行する。S330〜S340では、信号処理装置は、小クラスタ速度、小クラスタ離散度、及びクラスタ外速度を速度情報として生成する。S350〜S380では、信号処理装置は、小クラスタ毎に、速度情報を用いて、小クラスタ内点のそれぞれが、可動部上の計測点であるマイクロドップラ点であるか否かを判定する。【選択図】図7

Description

本開示は、ドップラー効果による周波数の変移を観測することで観測対象の相対的な移動速度を観測する技術に関する。
下記特許文献1には、ドップラーレーダを用いて人体を検知する場合、体を構成する部位がそれぞれ異なる速度で動くため、人体上の部位毎に、それぞれの運動を反映したドップラーシフトが観測されることが記載されている。ところで、ドップラーレーダを用いて走行中の車両を検知する場合、車両全体から多くの計測点が検出される。特に、車輪や車軸などの車体の移動とは異なる動きをする部位の計測点では、車体の計測点とは異なる速度が検出される。このように、部分的に周囲とは異なる速度成分を有した計測点は、マイクロドップラ(以下、MD)点と呼ばれる。
また、同一物標に基づく複数の計測点を一つにまとめる手法の一つとして、クラスタリングが知られている。クラスタリングでは、計測点同士が同一のクラスタに属するか否かの判定に、計測点間の位置が近いことのほか、速度差が小さいこと等が用いられる。
特開2013−96828号公報
しかしながら、発明者の詳細な検討の結果、上述した従来技術では、以下の課題が見出された。
すなわち、クラスタリングの対象となる複数の計測点の中にMD点が含まれている場合、MD点は、全体の速度平均値から大きく離れた速度を有するため、異常な速度を持つ、独立した物標として誤って処理されることがあった。また、位置情報だけを用いてクラスタリングを行うと、クラスタに属する計測点の情報から、物標の速度情報等を算出する際に、MD点は算出精度を劣化させる原因となることがあった。
本開示の1つの局面は、ドップラーレーダによって検出される計測点がマイクロドップラ点であるか否かを判定する技術を提供することにある。
本開示の一態様は、信号処理装置であって、情報取得部(3:S110〜S120)と、小クラスタリング部(3:S310)と、小クラスタ情報生成部(3:S330〜S340)と、小クラスタ判定部(3:S350〜S380)とを備える。
情報取得部は、ドップラーレーダにて検出される計測点の相対速度及び位置を含む測定情報を取得するように構成される。
小クラスタリング部は、他の部位とは異なる動きをする可動部を有した物体を検出対象物として、情報取得部が取得した測定情報を用いて、小クラスタ許容サイズに、クラスタサイズの上限を制限したクラスタリングを実行するように構成される。小クラスタ許容サイズは、可動部に基づく計測点が分布する範囲の大きさに設定される。
小クラスタ情報生成部は、小クラスタ内点が有する速度の平均値である小クラスタ速度、小クラスタ内点が有する速度のバラツキ度を表す小クラスタ離散度、及び小クラスタ外点が有する速度の平均値であるクラスタ外速度を速度情報として生成する。小クラスタは、小クラスタリング部によって生成されるクラスタである。小クラスタ内点は、小クラスタに属する計測点である。小クラスタ外点は、小クラスタの周囲に位置する計測点の少なくとも一部である。
小クラスタ判定部は、小クラスタ毎に、小クラスタ情報生成部にて生成された速度情報を用いて、小クラスタ内点のそれぞれが、可動部上の計測点であるマイクロドップラ点であるか否かを判定する。
このような構成によれば、空間的な広がりの中に存在する複数の計測点の速度のバラツキを利用して、計測点がマイクロドップラ点であるか否かを判定するため、1回の観測で得られる情報だけを用いてマイクロドップラ点を効率よく判定できる。
レーダシステムの構成を示すブロック図である。 レーダセンサの配置等を示す説明図である。 検出対象物が車両である場合の可動部を示すと共に、マイクロドップラ点及び非マイクロドップラ点を例示する説明図である。 車輪上のマイクロドップラ点が有する速度を例示する説明図である。 信号処理部が実行する物標検出処理のフローチャートである。 MD点判定処理のフローチャートである。 小クラスタ判定処理のフローチャートである。 小クラスタ判定処理による判定結果を例示する説明図である。 中クラスタ判定処理のフローチャートである。 中クラスタ判定処理による判定結果を例示する説明図である。 大クラスタ判定処理のフローチャートである。 他車両が自車両を追い越すシーンでの測定サイクル毎に生成される計測点情報及び基準速度値が変化する様子を示すグラフである。 大クラスタに属する複数の小クラスタから車両の種類を推定する方法についての説明図である。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[1.構成]
本実施形態のレーダシステム1は、車両に搭載され、当該レーダシステム1を搭載する車両である自車両の周囲領域の少なくとも一部を検知エリアとして、自車両以外の車両である他車両を少なくとも含む種々の物標を検出するために用いられる。
図1に示すように、レーダシステム1は、レーダセンサ2と、信号処理装置3とを備える。
レーダセンサ2は、例えば、図2に示すように、車両の後方バンパの右端に搭載され、車両の右後方の領域が検知エリアとなり、且つ、検知エリアの中心が車両の斜め右後方を向くように配置される。なお、検知エリアには、車両の車長方向(すなわち、図2中のX軸方向)に沿った後方向、及び車幅方向(すなわち、図2中のY軸方向)に沿った右方向がいずれも含まれるように、検知エリアは、90°以上の角度範囲を有する。なお、右、左は、車両の前方を向いた状態を基準とする。
ここでは、レーダセンサ2は、自車両の右後方が検知エリアとなるように取り付けられる場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、レーダセンサ2は、車両の左後方、右前方、左前方、前方、後方、右側方、及び左側方のいずれかが検知エリアとなるように設置されてもよく、また、検知エリアが互いに異なるように複数設置されてもよい。
レーダセンサ2は、ドップラー効果による周波数の変移を観測することで、観測対象の相対的な移動速度と変位を求めることが可能なドップラーレーダが用いられる。また、レーダセンサ2は、送信アンテナ及び受信アンテナの少なくとも一方がアレーアンテナを用いて構成され、送信アンテナと受信アンテナとの組み合わせであるチャネル間での受信信号の位相差から反射波の到来方向を検出できるように構成される。
レーダセンサ2は、予め設定された測定サイクル毎に、レーダ波の送受信を行い、送信信号と受信信号とを混合したビート信号を生成する。更に、レーダセンサ2は、ビート信号をサンプリングしAD変換することで得られるデジタルデータを信号処理装置3に供給する。レーダ波としては、FMCW波、FCM波、及び多周波CW波等を用いてもよい。
信号処理装置3は、CPU31と、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ32)とを有するマイクロコンピュータを備える。信号処理装置3は、高速フーリエ変換(以下、FFT)処理等を実行するコプロセッサを備えてもよい。
信号処理装置3は、CPU31がプログラムを実行することで、物標検出処理を少なくとも実行する。
[2.マイクロドップラ点]
ここで、物標検出処理で用いられるマイクロドップラ点について説明する。
図2は、レーダセンサ2が、自車両の後方から右側方に到る検知エリア内に存在する車両を検出する場合を示す。レーダ波は、車両上の多くの地点(以下、反射点)で反射され、その反射波の一部がレーダセンサ2にて受信され検出される。以下では、レーダセンサ2にて検出される反射点を計測点という。
車両は、図3に示すように、走行中に車体Bとは異なる動きをする、車輪Wや車軸A等の可動部が存在する。例えば、車輪Wは回転運動をするため、車輪W上の計測点は、平行移動をする車体Bの速度成分と、車輪Wの回転方向に沿った速度成分とを合成した速度成分を有する。そして、図4中の太線矢印で示すように、回転方向のベクトルが車体Bの移動方向と一致する位置にある計測点P1は、車体Bの速度より速い速度成分を持つ。車輪Wの回転中心付近のある計測点P2は、車体Bの速度と同程度の速度成分を持つ。回転方向のベクトルが車体Bの移動方向とは反対となる位置にある計測点P3は、車体Bの速度より遅い、場合によっては車体Bの速度とは反対方向の速度成分を持つ。このように、同一物標に基づく計測点の中で、周囲とは異なる速度成分を持つ計測点を、マイクロドップラ点と呼び、以下では、MD点と表記する。
[3.物標検出処理]
信号処理装置3が実行する物標検出処理を、図5に示すフローチャートに沿って説明する。本処理は、レーダセンサ2にて、レーダ波の送受信が行われる毎に繰り返し実行される。つまり、本処理は、測定サイクル毎に実行される。
本処理が起動すると、信号処理装置3は、S110にて、レーダセンサ2から、レーダセンサ2での測定結果であるビート信号のサンプリングデータを、送受信チャネル毎に取得する。
続くS120では、信号処理装置3は、ドップラーレーダにおける公知の方法を用いて、計測点を抽出し、抽出された計測点のそれぞれについて、その計測点に関する情報(以下、計測点情報)を生成する。なお、計測点情報には、速度情報、位置情報、及び強度情報等が含まれてもよい。速度情報は、自車両に対する計測点の相対速度であり、接近する場合を負値、離隔する場合を正値で表すものとする。位置情報は、自車両を基準とする計測点までの距離及び方位で位置を特定する極座標で表現されてもよいし、自車両を基準として設定される直交座標(例えば、図2に示すX軸及びY軸を参照)で表現されてもよい。強度情報は、計測点の反射強度である。なお、計測点情報の生成には、FFT処理及び到来方向推定処理等が用いられてもよい。
続くS130では、信号処理装置3は、S120にて計測点情報が生成された計測点のそれぞれについて、MD点であるか否かを判定するMD判定処理を実行する。MD判定処理の詳細は後述するが、小クラスタ、中クラスタ、大クラスタが抽出されると共に、クラスタ毎に、クラスタに属する計測点の平均速度などが算出される。
続くS140では、信号処理装置3は、S130での処理において抽出されたクラスタのうち、大クラスタについて設定された基準平均速度を用い、クラスタリングを再実行することで、大クラスタに属する計測点を抽出し直す。なお、ここでのクラスタリングは、例えば、基準平均速度を中心にした所定の速度範囲に含まる計測点を対象として実行する。また、クラスタリングの結果、大クラスタに属する計測点に変更があった場合は、抽出された計測点の情報に基づいて、大クラスタに関するクラスタ情報が再設定される。
続くS150では、信号処理装置3は、S130での処理において抽出されるクラスタを単位として、トラッキング処理を実行する。トラッキング処理では、S140で再設定されたクラスタ情報が利用される。なお、トラッキング処理は、前回の測定サイクルで検出されたクラスタの情報から得られる今回の測定サイクルでの推定位置と、今回の測定サイクルで検出されたクラスタの計測位置とを比較することで、同一物標を表しているか否かを判定する公知の処理である。具体的には、推定位置と計測位置との距離が所定値以下であれば同一物標であるとして、前回の測定サイクルで検出されたクラスタと、今回の測定サイクルで検出されたクラスタとを履歴接続する。そして、連続して所定回以上履歴接続が確認されたクラスタは、物標化(すなわち、物標として登録)し、それ以外のクラスタは仮物標として、引き続き、物標であるか否かの判定を行うための追跡対象とする。
続くS160では、信号処理装置3は、S150にて物標化されたクラスタについて設定されたクラスタ情報を利用して、そのクラスタに対応づけられる物標に関する情報(以下、物標情報)を生成する。物標情報には、物標の速度情報、位置情報、及び物標の種類を表す情報等が含まれてもよい。
続くS170では、信号処理装置3は、S160にて生成された物標情報を他の車載装置が利用できるように、車載LAN等を介して他の車載装置に提供して、処理を終了する。なお、S110〜S120が情報取得部に相当する。
[3−1.MD判定処理]
S130で実行するMD判定処理を、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
S210では、信号処理装置3は、小クラスタ判定処理を実行する。小クラスタ判定処理は、車両を検出対象物として、検出対象物が有する可動部の大きさに相当する範囲に集中する複数の計測点(以下、小クラスタ)を抽出し、MD点の特徴を利用して、小クラスタに属する個々の計測点がMD点であるか否かを判定する処理である。
続くS220では、信号処理装置3は、中クラスタ判定処理を実行する。中クラスタ判定処理は、小クラスタを拡張した範囲に存在する複数の計測点(以下、中クラスタ)を抽出し、S210での判定結果を利用して、中クラスタに属する個々の計測点がMD点であるか否かを判定する処理である。中クラスタ判定処理によって、小クラスタの周辺に存在する小クラスタに属さない孤立したMD点を抽出する。
続くS230では、信号処理装置3は、大クラスタ判定処理を実行して、処理を終了する。大クラスタ判定処理は、検出対象物の大きさに相当する範囲に存在する複数の計測点(以下、大クラスタ)を抽出し、S210及びS220での判定結果を利用して、大クラスタに関する速度情報の有効性を判定する処理である。
以下では、車両を検出対象物とし、車輪を可動部として、S210〜S230で実行する処理の詳細を説明する。
[3−1−1.小クラスタ判定処理]
S210で実行される小クラスタ判定処理を図7に示すフローチャートを用いて説明する。
S310では、信号処理装置3は、S210で生成された計測点情報を用いてクラスタリングを実行する。 クラスタリングは、例えばDBSCANを用いてもよい。DBSCANは、Density-based spatial clustering of applications with noise の略である。DBSCANでは、計測点の密度がある閾値を超えている限りクラスタを成長させる。
但し、ここでのクラスタリングは、クラスタの上限サイズCLST_AREA_LIMに制限して実行する。レーダセンサ2によって検出されるタイヤからの反射に基づく計測点は、その殆どがホイール部分からの反射に基づくものである。このため、上限サイズCLST_AREA_LIMは、例えば、タイヤのホイール程度の大きさに設定された小クラスタ許容サイズ(例えば、0.6m)が用いられる。以下、ここでのクラスタリングの結果として得られるクラスタを小クラスタという。
続くS320では、信号処理装置3は、S310で生成された小クラスタのうち、以下で説明するS330〜S390の処理を実行していない小クラスタの一つを選択する。この選択された小クラスタを選択クラスタという。
続くS330では、信号処理装置3は、選択クラスタに属する計測点(以下、小クラスタ内点)の計測情報を用いて、小クラスタ速度Va、小クラスタ離散値Vs、小クラスタ重心Poを算出する。小クラスタ速度Vaは、例えば、小クラスタ内点の速度の平均値である。小クラスタ離散値Vsは、例えば、小クラスタ内点の速度の標準偏差値である。小クラスタ重心Poは、例えば、クラスタ内点の重心位置である。
続くS340では、信号処理装置3は、クラスタ外速度Vを算出する。具体的には、まず、選択クラスに属さない計測点(以下、小クラスタ外点)のうち、S330にて算出された小クラスタ重心Poに近いものから順番に所定個の小クラスタ外点を抽出して、それら抽出した小クラスタ外点の速度の平均値を、クラスタ外速度Vとする。なお、抽出対象となる小クラスタ外点は、小クラスタ重心Poから決められた半径内に存在するものに制限してもよい。なお、クラスタ外速度Vは、小クラスタ外点を可動部以外からの反射に基づく計測点(すなわち、非MD点)であるとみなして算出した、非MD点の平均速度、すなわち、車体Bの移動速度を表す。
続くS350では、信号処理装置3は、クラスタ外速度Vと小クラスタ速度Vaとの速度差の絶対値|V−Va|が、あらかじめ設定された速度閾値MD_VDIF_LIMより大きいか否かを判定する。ここでの速度閾値が小クラスタ閾値に相当する。速度閾値MD_VDIF_LIMは、例えば、計測点の速度情報の検出誤差の最大値程度に設定されてもよい。信号処理装置3は、S350にて肯定判定した場合、処理をS360に移行する。また、信号処理装置3は、S350にて否定判定した場合、処理をS380に移行する。
S360では、信号処理装置3は、小クラスタ離散値Vsが、あらかじめ設定されたバラツキ閾値MD_VSTD_LIM以下であるか否かを判定する。バラツキ閾値MD_VSTD_LIMは、例えば、非MD点の速度の標準偏差値を実験的に算出して、その上限値程度に設定されてもよい。信号処理装置3は、S360にて肯定判定した場合、処理をS370に移行し、S360にて否定判定した場合は、処理をS380に移行する。
S370では、信号処理装置3は、全ての小クラスタ内点に、当該小クラスタ判定処理で抽出されたMD点であることを示すMD1フラグを付与して、処理をS390に進める。
S380では、信号処理装置3は、小クラスタ内点のうち、(1)式を満たす小クラスタ内点にMD1フラグを付与して、処理をS390に進める。但し、Viは、iで識別される小クラスタ内点の速度である。
|Vi−V|>MD_VDIF_LIM (1)
S390では、信号処理装置3は、S310にて抽出された全ての小クラスタが、S320にて選択済みであるか否かを判定し、未選択の小クラスタが存在する場合は、処理をS320に移行し、全ての小クラスタが選択済みである場合は、処理を終了する。
なお、S310が小クラスタリング部、S330〜S340が小クラスタ情報生成部、S350〜S380が小クラスタ判定部に相当する。また、S370が一括判定部、S380が選択判定部に相当する。
つまり、小クラスタ判定処理では、小クラスタの内外での速度差(すなわち、|V−Va|)が十分に大きく、且つ、小クラスタ内点の速度のバラツキ(すなわち、Vs)が小さい場合は、全ての小クラスタ内点をMD点であると判定する。このように、小クラスタ判定処理では、MD点はある範囲内で集中的に検出され、かつ、速度のバラツキが大きいというMD点の特徴を利用してMD点であるか否かの判定を実施する。
また、小クラスタ判定処理では、小クラスタの内外での速度差が小さい場合、又は、小クラスタ内点の速度のバラツキが大きい場合は、クラスタ外速度(すなわち、非MD点の速度)Vとの速度差が十分に大きい小クラスタ内点をMD点であると判定する。
例えば、図8に示すように、車輪W上で多くの測定点が検出されて、小クラスタS_CLSTが形成された場合、小クラスタ内点は、小クラスタ外の非MD点とは異なる速度を有するため、S350では肯定判定される。
そして、例えば、小クラスタ内点の殆どが、車輪Wの中心から離れた位置に存在すれば、小クラスタ内点の速度のバラツキを表す小クラスタ離散値Vsが大きな値となるため、S360では肯定判定される。この場合、全てのクラスタ内点がMD点であると判定される。
また、例えば、小クラスタ内点に、車輪Wの中心付近に位置する点、又は車体B上の非MD点が多数含まれる場合、小クラスタ離散値Vsの値は十分に大きな値とはならないため、S360では否定判定される。この場合、非MD点の速度Vとの速度差が大きい小クラスタ内点だけが、MD点であると判定される。
一方、車体B上等、車輪W以外の部位に小クラスタが形成された場合、小クラスタ内点は非MD点であり、小クラスタ外点と同様の速度を有するため、S350では否定判定される。この場合も、非MD点の速度Vとの速度差が大きい小クラスタ内点だけが、MD点であると判定される。
[3−1−2.中クラスタ判定処理]
S220で実行される中クラスタ判定処理を図9に示すフローチャートを用いて説明する。
S410では、信号処理装置3は、計測点の位置情報を用いてクラスタリングを実行する。
クラスタリングは、小クラスタ判定処理の場合と同様に、例えばDBSCANを用いてもよい。但し、クラスタの上限サイズCLST_AREA_LIMには、小クラスタより大きい車幅程度の大きさに設定された中クラスタ許容サイズ(例えば、2.5m)が用いられる。以下、ここでのクラスタリングの結果として得られるクラスタを中クラスタという。
続くS420では、信号処理装置3は、S410で生成された中クラスタのうち、以下で説明するS430〜S460の処理が実行されていない中クラスタの一つを選択する。この選択された中クラスタを選択クラスタという。
続くS430では、信号処理装置3は、選択クラスタに属する計測点(以下、中クラスタ内点)のうち、フラグMD1が付与されていない中クラスタ内点(以下、未フラグ点)の計測情報を用いて、中クラスタ速度Va、中クラスタ離散値Vsを算出する。中クラスタ速度Vaは、選択クラスタに属する未フラグ点の速度の平均値である。中クラスタ離散値Vsは、選択クラスタに属する未フラグ点の速度の標準偏差値である。なお、未フラグ点が中クラスタ非MD点に相当する。
続くS440では、信号処理装置3は、中クラスタ離散値Vsがバラツキ閾値MD_VSTD_LIMより大きいか否かを判定する。バラツキ閾値MD_VSTD_LIMは、小クラスタ判定処理の場合と同じでもよいし異なっていてもよい。信号処理装置3は、S440にて肯定判定した場合は、処理をS450に移行し、S440にて否定判定した場合は、処理をS460に移行する。
S450では、信号処理装置3は、(2)式を満たす未フラグ点に、当該中クラスタ判定処理で抽出されたMD点であることを示すMD2フラグを付与して、処理をS460に進める。但し、Viは、iで識別される未フラグ点の速度である。また、ここで使用する速度閾値MD_VDIF_LIMが、中クラスタ閾値に相当する。
|Vi−Va|>MD_VDIF_LIM (2)
S460では、信号処理装置3は、S410にて抽出された全ての中クラスタが、S420にて選択済みであるか否かを判定し、未選択の中クラスタが存在する場合は、処理をS420に移行し、全ての中クラスタが選択済みである場合は、処理を終了する。
なお、S410が中クラスタリング部、S430が中クラスタ情報生成部、S440〜S450が中クラスタ判定部に相当する。
つまり、中クラスタ判定処理では、未フラグ点の速度のバラツキ(すなわち、Vs)が小さい場合は、全ての未フラグ点は、非MD点であると判定される。また、未フラグ点の速度バラツキが大きい場合は、中クラスタ速度Vaとの速度差が大きい未フラグ点が、MD点であると判定され、MD2フラグが付与される。
これにより、小クラスタとして抽出される車輪Wの領域から離れて存在する孤立したMD点の抽出が可能となる。孤立したMD点は、図10に示すように、小クラスタS_CLSTの外部に存在する他の車輪Wや車軸A等からの反射波が、路面反射等によるマルチパスによってレーダセンサ2にて検出されることで発生する。このような孤立したMD点は、広い領域に分散して発生する性質があるため、小クラスタ判定処理で補捉されない場合が多い。なお、図10中の左図において、丸印のみで示された計測点が未フラグ点である。
[3−1−3.大クラスタ判定処理]
S230で実行される大クラスタ判定処理を図11に示すフローチャートを用いて説明する。
S510では、信号処理装置3は、計測点の位置情報を用いてクラスタリングを実行する。クラスタリングは、小クラスタ判定処理及び中クラスタ判定処理の場合と同様に、例えばDBSCANを用いてもよい。但し、クラスタの上限サイズCLST_AREA_LIMは、中クラスタより大きい車長程度の大きさ(例えば、3.5m)に設定された大クラスタ許容サイズ(例えば、3.5m)が用いられる。以下、ここでのクラスタリングの結果として得られるクラスタを大クラスタという。
続くS520では、信号処理装置3は、S510で生成された大クラスタのうち、以下で説明するS530〜S580の処理が実行されていない大クラスタの一つを選択する。この選択された大クラスタを選択クラスタという。
続くS530では、信号処理装置3は、選択クラスタに属する計測点(以下、大クラスタ内点)のうち、フラグMD1,MD2が付与されていない非MD点の計測情報を用いて、大クラスタ速度Va及び大クラスタ離散値Vsを算出する。大クラスタ速度Vaは、選択クラスタに属する非MD点の速度の平均値である。大クラスタ離散値Vsは、選択クラスタに属する非MD点の速度の標準偏差値である。なお、ここでの非MD点が、大クラスタ非MD点に相当する。
続くS540では、信号処理装置3は、選択クラスタに属する非MD点の数である非MD点数Nをカウントする。
続くS550では、信号処理装置3は、非MD点数Nが、あらかじめ設定された非MD点数閾値MD_CNT_VALID以上であるか否かを判定し、肯定判定した場合は、処理をS560に移行し、否定判定した場合は、処理をS580に移行する。
続くS560では、信号処理装置3は、大クラスタ離散値Vsがバラツキ閾値MD_VSTD_LIMより大きいか否かを判定する。バラツキ閾値MD_VSTD_LIMは、小クラスタ判定処理及び中クラスタ判定処理で用いる値と同じでもよいし、異なっていてもよい。信号処理装置3は、S560にて肯定判定した場合は、処理をS580に移行し、S560にて否定判定した場合は、処理をS570に移行する。
S570では、信号処理装置3は、S530にて算出された大クラスタ速度Vaを、選択クラスタの基準速度値に設定して、処理をS580に進める。
S580では、信号処理装置3は、S510にて抽出された全ての大クラスタが、S520にて選択済みであるか否かを判定し、未選択の大クラスタが存在する場合は、処理をS520に移行し、全ての大クラスタが選択済みである場合は、処理を終了する。
なお、S510が大クラスタ生成部、S530が大クラスタ情報生成部、S540〜S570が速度設定部に相当する。
つまり、大クラスタ判定処理では、クラスタリングによって、小クラスタ及び中クラスタを、検出対象物である車両と同程度の大きさを有する大クラスタに再編成する。そして、大クラスタに属する非MD点の計測情報を用いて算出される大クラスタ速度Vaが、大クラスタの基準速度値として有効であるか否かを判定する。
但し、選択クラスタにおける非MD点数Nが、大クラスタ離散値Vsを所望の精度で算出するのに必要な数に達しており、且つ、非MD点の速度のバラツキが十分に小さい場合に、大クラスタ速度Vaは基準速度値として有効であると判定する。
[4.実験]
図12は、レーダシステム1を搭載した自車両を、後方から接近する他車両が追い抜くシーンにおいて、レーダセンサ2によって検出される計測点の速度、MD判定処理にて得られる大クラスタの基準速度値を、測定サイクルの経過と共に示したグラフである。但し、自車両と他車両との相対速度は約−10m/sとする。グラフにおいて、他車両との相対速度Vel=0の時に、他車両は自車両におけるレーダセンサ2の取付位置の真横に位置する。真横を通過した他車両は、自車量から遠ざかるためプラスの相対速度で検出されるが、検知範囲から外れる。
他車両に基づく計測点は、他車両が遠方に存在するときは、車輪Wが見えていないためMD点は殆ど発生しない。自車両に接近するに従って、MD点の数が増えるだけでなく、レーダセンサ2から見て、計測点が存在する角度範囲が広がること等によって、非MD点であっても速度のばらつきが大きくなる。
しかしながら、図12からは、MD判定処理により、追い抜きシーンの全般に渡って、安定した基準速度値が得られることがわかる。
[5.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(a)レーダシステム1では、MD点の性質を利用して、MD点が集中的に発生する領域を小クラスタとして抽出すると共に、小クラスタに属する計測点がMD点であるか否かを判定する。特に、検出対象物が車両である場合、MD点は、車輪Wの回転等によって発生するため、車輪Wの大きさ程度の限られた領域に集中して発生し、その集中して発生するMD点は、MD点毎の速度のバラツキが大きいという性質を有する。つまり、レーダシステム1によれば、空間的な広がりの中に存在する複数の計測点の速度のバラツキを利用して、計測点がMD点であるか否かを判定するため、1回の観測で得られる情報だけを用いてMD点を効率よく判定できる。
(b)レーダシステム1では、小クラスタを拡張した中クラスタを用い、小クラスタ判定処理でMD点と判定された点を除く中クラスタ内点(すなわち、未フラグ点)を用いて、可動部以外の部位(すなわち、車体B)の速度を表す中クラスタ速度Vaを算出する。その中クラスタ速度Vaとの速度差によって、小クラスタから外れた位置に存在するMD点を識別する。従って、レーダシステム1によれば、車輪Wからの反射に基づいて狭い範囲で集中的に発生するMD点だけでなく、車軸Aからの反射等に基づく孤立したMD点も識別できる。つまり、計測点の情報を用いて大クラスタに対応づけられる物標の速度情報を算出する際に、精度よくMD点を排除できるため、速度情報の精度を向上させることができる。
(c)レーダシステム1では、検出対象物の大きさを有する大クラスタを用い、MD点であると判定された点を除く大クラスタ内点(すなわち、非MD点)を用いて、可動部以外の部位(すなわち、車体B)の速度を表す大クラスタ速度Vaを算出する。そして、非MD点の数及び非MD点の速度のバラツキから、大クラスタ速度Vaが、大クラスタに対応づけられる検出対象物の基準速度値として有効であるか否かを判定する。従って、レーダシステム1によれば、後段の処理に対して、精度の高い基準速度値を提供できる。
例えば、基準速度値を、大クラスタに属する測定点の再評価に用いることで、クラスタリングの精度、例えば物標の大きさの検出精度を向上させることができる。また、基準速度値を、トラッキングに用いることで、処理の精度を向上させることができる。
(d)レーダシステム1では、多くのMD点を有する小クラスタは、車輪Wの位置を表している可能性が高いため、大クラスタ内に複数の小クラスタが存在する場合は、それら小クラスタの数や配置から、検出対象物の種類を推定してもよい。例えば、図13に示すように、小クラスタS_CLSTが、レーダシステム1を搭載する自車両の進行方向に沿って複数並び、且つ、小クラスタの配列方向に直交する方向のずれδが許容値以下である場合に、車両であると判定する。更に、小クラスタS_CLSTの配置間隔Lから、乗用車、トラック、及びバス等の車種を推定してもよい。
[6.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
(6a)上記実施形態では、検出対象物が車両である場合について説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。例えば、人や自転車等、移動速度を表すベクトルとは、異なる速度成分が検出される可動部を有する物体であれば適用可能である。この場合、検出対象物における可動部の大きさ、検出対象物自体の大きさに応じて、小クラスタ、中クラスタ、大クラスタの上限サイズCLST_AREA_LIMを設定すればよい。
(6b)上記実施形態では、小クラスタ判定処理、中クラスタ判定処理、大クラスタ判定処理をいずれも行っているが、中クラスタ判定処理及び大クラスタ判定処理のうちいずれか一方、又は両方を省略してもよい。
(6c)本開示に記載の信号処理装置3及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の信号処理装置3及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の信号処理装置3及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されてもよい。信号処理装置3に含まれる各部の機能を実現する手法には、必ずしもソフトウェアが含まれている必要はなく、その全部の機能が、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現されてもよい。
(6d)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
(6e)上述した信号処理装置3の他、当該信号処理装置3を構成要素とするシステム、当該信号処理装置3としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実体的記録媒体、マイクロドップラ点判定方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
1…レーダシステム、2…レーダセンサ、3…信号処理装置、31…CPU、32…メモリ、A…車軸、B…車体、W…車輪。

Claims (9)

  1. ドップラーレーダにて検出される計測点の相対速度及び位置を含む測定情報を取得するように構成された情報取得部(3:S110〜S120)と、
    他の部位とは異なる動きをする可動部を有した物体を検出対象物として、前記情報取得部が取得した前記測定情報を用いて、前記可動部に基づく前記計測点が分布する範囲の大きさに設定された小クラスタ許容サイズに、クラスタサイズの上限を制限したクラスタリングを実行するように構成された小クラスタリング部(3:S310)と、
    前記小クラスタリング部によって生成されるクラスタを小クラスタ、前記小クラスタに属する前記計測点を小クラスタ内点、前記小クラスタの周囲に位置する前記計測点の少なくとも一部を小クラスタ外点として、前記小クラスタ内点が有する速度の平均値である小クラスタ速度、前記小クラスタ内点が有する速度のバラツキ度を表す小クラスタ離散度、及び前記小クラスタ外点が有する速度の平均値であるクラスタ外速度を速度情報として生成するように構成された小クラスタ情報生成部(3:S330〜S340)と、
    前記小クラスタ毎に、前記小クラスタ情報生成部にて生成された前記速度情報を用いて、前記小クラスタ内点のそれぞれが、前記可動部上の前記計測点であるマイクロドップラ点であるか否かを判定するように構成された小クラスタ判定部(3:S350〜S380)と
    を備える信号処理装置。
  2. 請求項1に記載の信号処理装置であって、
    前記小クラスタ判定部は、前記小クラスタ速度と前記クラスタ外速度との速度差の絶対値が、あらかじめ設定された小クラスタ閾値より大きく、且つ、前記小クラスタ離散度が予め設定されたバラツキ閾値以下であるある場合に、前記小クラスタ内点のすべてを前記マイクロドップラ点であると判定するように構成された一括判定部(3:S370)を備える
    信号処理装置。
  3. 請求項2に記載の信号処理装置であって、
    前記小クラスタ判定部は、前記小クラスタ速度と前記クラスタ外速度との速度差の絶対値が前記小クラスタ閾値以下であるか、又は前記小クラスタ離散度が前記バラツキ閾値より大きい場合に、前記小クラスタ速度との速度差の絶対値が前記小クラスタ閾値より大きい前記小クラスタ内点を前記マイクロドップラ点であると判定するように構成された選択判定部(3:S380)を更に備える
    信号処理装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の信号処理装置であって、
    前記小クラスタ情報生成部は、前記クラスタ外速度の算出に、前記小クラスタ内点の重心位置に近い順に選択された一つ以上の前記小クラスタ外点を用いる
    信号処理装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の信号処理装置であって、
    前記情報取得部が取得した前記測定情報を用いて、前記小クラスタ許容サイズより大きく、且つ前記検出対象物より小さく設定された中クラスタ許容サイズに、クラスタサイズの上限を制限したクラスタリングを実行するように構成された中クラスタリング部(3:S410)と、
    前記中クラスタリング部で生成されるクラスタを中クラスタ、前記中クラスタに属する前記計測点を中クラスタ内点として、前記小クラスタ判定部にて前記マイクロドップラ点であると判定された以外の前記中クラスタ内点を中クラスタ非MD点として、前記中クラスタ毎に、前記中クラスタ非MD点の速度の平均値である中クラスタ速度、及び前記中クラスタ非MD点の速度の標準偏差値である中クラスタ離散値を生成するように構成された中クラスタ情報生成部(3:S430)と、
    前記中クラスタのそれぞれについて、前記中クラスタ離散値があらかじめ設定されたバラツキ閾値より大きい場合に、前記中クラスタ速度との速度差の絶対値が、あらかじめ設定された中クラスタ閾値より大きい前記中クラスタ非MD点のそれぞれを、前記マイクロドップラ点であると判定するように構成された中クラスタ判定部(3:S440〜S450)と、
    を備える信号処理装置。
  6. 請求項5に記載の信号処理装置であって、
    前記中クラスタ判定部は、前記中クラスタ閾値として、前記中クラスタ離散値を用いる
    信号処理装置。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の信号処理装置であって、
    前記検出対象物の大きさに基づいて設定される大クラスタ許容サイズに、クラスタサイズの上限を制限したクラスタリングを実行するように構成された大クラスタ生成部(3:S510)と、
    前記大クラスタ生成部にて生成されるクラスタを大クラスタ、前記大クラスタに属する前記計測点を大クラスタ内点として、前記小クラスタ判定部及び前記中クラスタ判定部にて前記マイクロドップラ点であると判定された以外の前記大クラスタ内点を大クラスタ非MD点として、前記大クラスタ毎に、前記大クラスタ非MD点の速度の平均値である大クラスタ速度、及び前記大クラスタ非MD点の速度の標準偏差値である大クラスタ離散値を生成するように構成された大クラスタ情報生成部(3:S530)と、
    前記大クラスタ離散値が前記バラツキ閾値以下である場合に、前記大クラスタ速度を、前記大クラスタに対応づけられる前記検出対象物の基準速度値に設定するように構成された速度設定部(3:S540〜S570)と、
    を更に備える信号処理装置。
  8. 請求項7に記載の信号処理装置であって、
    前記速度設定部は、前記大クラスタ非MD点の数が、あらかじめ設定された非MD点数閾値以上である場合、前記基準速度値の設定を有効とするように構成された
    信号処理装置。
  9. 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の信号処理装置であって、
    前記検出対象物は車両であり、
    前記可動部は車輪である
    信号処理装置。
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